JP3677665B2 - 巻取ロール鏡面の凹凸測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、紙やフィルム、金属箔などのような連続した薄い帯状物(以下、「ウェブ」という。)を連続して巻取ることによって形成される巻取ロールの鏡面の凹凸状態を計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェブを巻き取るワインダ工程は、製造されて走行しているウェブを連続的に心材に巻取ることによって行われるが、走行時の蛇行や、あるいは紙などの場合には坪量の変動による紙幅の変化などによって鏡面が一定に揃わずに鏡面に凹凸が形成されてしまうおそれがある。巻取ロールを製品として出荷する際に、この鏡面の凹凸が所定の寸法の範囲内に収まっていない場合には、印刷、裁断するなどによりこの巻取ロールを加工する工程で不具合が生じてしまうから、当該巻取ロールは製品として不適なものとなってしまう。このため、巻取ロールの鏡面の凹凸を計測管理することは、ウェブの製造、加工において重要な検査となっている。
【0003】
従来、巻取ロールの鏡面の凹凸の計測は、測定者が目視したり、物差などを用いて手作業により行っている。すなわち、ワインダ工程において形成された巻取ロールを計測台などに移動し、鏡面とほぼ平行な方向に配設した基準面と該鏡面との距離を測定して検査を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、手作業により検査では、測定者によって測定精度にバラツキが生じてしまったり、迅速に測定するために熟練を要することから、次のような問題が生じている。例えば抄紙工程では、抄紙機の進歩や高速化などによってワインダ工程における巻取速度が上昇し、測定のための時間的な余裕がなくなってきており、そのため巻取ロールの全数検査を行えず、抜取り検査を行っている。ところが、印刷輪転機の高速化や印刷仕様の複雑化などによって巻取ロール製品の品質に対する要求が厳しくなる傾向にあり、巻取ロールの鏡面の凹凸の測定検査の重要性がさらに増大しているため、巻取ロールの全数について検査することが必要となっている。
【0005】
そこで、この発明の目的は、測定精度を向上させることができ、全ての巻取ロールについて短時間でその鏡面の凹凸を測定することができる巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための技術的手段として、この発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置は、巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段とからなり、上記測距手段を上記ガイド手段に案内させて前記巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定して該鏡面の凹凸を計測することを特徴としている。
【0007】
たとえば、この凹凸測定装置の架台上に計測すべき巻取ロールを載置させた状態で、その鏡面が前記ガイド手段とほぼ平行に位置するようにする。そして、前記測距手段をガイド手段に対して摺動させながら、該測距手段から鏡面までの距離を計測すると、該鏡面の任意の直線に沿った凹凸の変化を測定することができる。なお、測距手段の測定範囲に鏡面の中心を含ませれば、鏡面の直径に沿った凹凸の変化を測定することができる。また、前記ガイド手段の高さ位置を変更することができるようにしておけば、計測すべき巻取ロールの直径に対して高さ位置を変更することによって該巻取ロールの鏡面の直径に沿って凹凸の変化を測定することができる。
【0008】
そして、測距手段の測距位置(高さ)の変更を容易に行えるように、巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段と、上記ガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向に移動させるガイド部移動手段とからなり、上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴としている。
【0009】
すなわち、前記ガイド部移動手段によって前記ガイド手段を移動させると、測距手段の走査する部分が変更される。このため、計測すべき巻取ロールの径に応じてガイド手段を移動させれば、巻取ロールの径に拘らず、例えば鏡面の中心を含む範囲について凹凸の変化を測定することができる。
【0010】
また、ワインダ工程から製品として出荷される間のいずれかの工程で、搬送されている巻取ロールについて鏡面の凹凸を計測するために、巻取ロールの軸方向に搬送されている該巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段と、上記ガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向であって、該ガイド手段を前記巻取ロールの搬送域から占避自在に移動させるガイド部移動手段とからなり、搬送途中の巻取ロールを所定の位置で停止させ、上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴としている。
【0011】
巻取ロールは軸方向に搬送されているためその鏡面を前方に向けて搬送されている。前記測距手段が測距を行なえる位置にある場合には、前記ガイド手段や該測距手段が搬送の障害となってしまう。このため、巻取ロールの搬送時にはガイド手段と測距手段とを搬送域から退避させておかなければならず、測距手段を支持した前記ガイド手段を上昇させておく。計測すべき巻取ロールがこの凹凸測定装置に搬送されると、所定の位置で搬送装置を停止させ、前記ガイド部移動手段によってガイド手段を下降させて測距手段を鏡面の所定の位置に対向する位置まで下降させる。そして、測距手段をガイド手段に案内させながら鏡面の直径方向に移動させ、順次鏡面までの距離を測定すれば、鏡面の凹凸を計測することができる。
【0012】
また、軸方向に搬送されている巻取ロールの両側の鏡面の凹凸を計測することができるように、前記測距手段を前記ガイド手段に摺動自在にかつ回動自在に支持させ、該測距手段を回動させてその測距方向を変更させることにより、巻取ロールの軸方向に搬送されている該巻取ロールの前側鏡面と後側鏡面のそれぞれの凹凸を計測することを特徴としている。
【0013】
前述のように、搬送装置を停止させて前側の鏡面の凹凸を計測したならば、測距手段を巻取ロールの搬送域から巻取直径に応じた方法で退避させ、巻取ロールを搬送する。後側の鏡面が測距手段の下方を通過したならば搬送装置を停止させて、測距手段を必要な場合は下降させるとともに、該測距手段を回動させてその測距部を後側の鏡面に対向させる。そして、測距手段をガイド手段に案内させて移動させながら後側の鏡面までの距離を測定すれば、該鏡面の凹凸を計測することができる。
【0014】
また、巻取ロールの軸方向と直交する方向に搬送されている該巻取ロールの両側の鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、計測すべきそれぞれの鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行を長手方向としてそれぞれ延設したガイド手段と、上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記それぞれのガイド手段に案内支持された測距手段と、上記それぞれのガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向に移動させるガイド部移動手段とからなり、搬送途中の巻取ロールを所定の位置で停止させ、上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴としている。
【0015】
すなわち、巻取ロールがその軸方向と直交する方向に搬送されている場合には、それぞれの鏡面は搬送方向と平行にある。したがって、巻取ロールがこの凹凸測定装置の位置に搬送されると、搬送装置を停止して巻取ロールを停止させ、それぞれの鏡面に対して配設した測距手段をそれぞれのガイド手段に案内させて移動させながら、それぞれの鏡面までの距離を測定すれば、搬送されている巻取ロールそれぞれの鏡面の凹凸を各別にほぼ同時に計測することができる。
【0016】
また、巻取ロールの軸方向と直交する方向に搬送されている該巻取ロールの両側の鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、計測すべきそれぞれの鏡面から適宜距離を隔てた位置にそれぞれ配設した測距手段と、上記それぞれの測距手段を昇降させる測距部移動手段とからなり、上記それぞれの測距手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で巻取ロールを搬送させながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴としている。
【0017】
鏡面の凹凸を計測する場合には、該鏡面と平行な方向に測距手段を走査させながら行なう。しかし、軸方向と直交する方向に巻取ロールが搬送されている場合には、その搬送によって定位置にある測距手段を走査させた場合と同様な結果となる。すなわち、搬送されている巻取ロールの鏡面に関して、定位置にある測距手段によって鏡面までの距離を測定すれば、該鏡面の凹凸が計測される。
【0018】
また、前記測距手段を測定すべき鏡面と交差する方向に移動自在とし、巻取ロールの幅員に応じて該測距手段を所定位置まで移動させて任意の幅員の巻取ロールの鏡面の凹凸を計測することを特徴としている。
【0019】
巻取ロールが軸方向と直交する方向に搬送される場合、該巻取ロールの幅員によっては、測距手段から鏡面までの距離が大きくなって該測距手段により正確に鏡面までの距離を測定できなくなってしまうおそれがある。このため、測距手段を巻取ロールの鏡面と交差する方向に移動させることによって、該測距手段を、鏡面までの距離を確実に測定できる位置に位置させることができる。したがって、幅員の異なる巻取ロールの鏡面の凹凸を計測することができる。
【0020】
また、計測すべき鏡面を有する巻取ロールの概略の径を予め計測する予備計測手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
凹凸を計測すべき鏡面の位置が巻取ロールによって異なっていては、品質の管理に供すべき凹凸データにバラツキが生じてしまうから、計測のために走査すべき位置(高さ)は一定であることが望ましく、例えば鏡面の中心を通過するように走査することが望ましい。測距手段を鏡面の中心を走査する高さに位置させるには、巻取ロールの直径を測定してそれに応じて測距手段の高さを変更する。すなわち、上記予備計測手段によって巻取ロールの径を予め測定し、その測定値に応じて測距手段を昇降させて走査する高さを変更する。
【0022】
計測すべき巻取ロールを架台や搬送装置の支持板などに載置した場合に、その軸の方向が所定の方向にあれば、測距手段は鏡面と平行な方向に走査することができるが、軸の方向が所定の方向に対して傾いてしまっている場合には、測距手段を鏡面と平行な方向に走査することができないから、正確な凹凸の変化を計測することができない。そのため、前記測距手段の走査方向に沿った直線と測定すべき鏡面との距離の偏差に基づいて補正する補正演算手段を備え、該測距手段によって得られた鏡面の凹凸データを補正処理して鏡面の凹凸を計測することを特徴としている。
【0023】
補正するための基準値は、例えば架台などに載置された巻取ロールの軸方向の傾きを算出し、その値から基準値を求めたり、載置された巻取ロールの走査する直線における巻取ロールの端部まで距離の値の平均値を基準値とするなどによる。
【0024】
さらに、鏡面の凹凸が所定の範囲内に収まっておらず、製品として出荷するのに不適な巻取ロールであることを直ちに識別できるように、鏡面の凹凸データを予め設定した閾値と比較する比較手段を備え、凹凸データが閾値を越えた場合にその旨を出力して警告ランプや警報によって告知する警告手段を有することを特徴としている。
【0025】
不適と判定された巻取ロールは、リワインダ装置によって再度巻き直して製品とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を具体的に説明する。
【0027】
図1は巻取ロール1の搬送経路の途中にこの発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を配設した状態の背面図で、図2および図3はそれぞれ側面図であり、巻取ロール1は床面に敷設された搬送装置2に載置されてその軸1aの方向に、図2において右方向に搬送される。搬送装置2を跨いだ状態に門型の支持フレーム3が設置されている。この支持フレーム3は4本の脚部31、32、33、34とこれら脚部31、32、33、34の上端部に矩形状に掛け渡された桁部35とにより形成されている。なお、脚部32は図2およびび図3において脚部31の背後となって図面上には現われていない。
【0028】
巻取ロール1の搬送方向の前方側に位置した脚部33、34の背面側には、ガイド手段としての走査装置5のそれぞれの端部を昇降自在に支持した昇降ガイド4が設けられている。走査装置5の中央部は該走査装置5を吊り下げた状態に吊り下げロッド6の先端部で支持されており、この吊り下げロッド6が支持フレーム3の桁部35に配置されたガイド部移動手段としての昇降装置7に連繋している。すなわち、該昇降装置7の作動によって吊り下げロッド6を介して上記走査装置5が、昇降ガイド4に案内されて昇降するようにしてある。
【0029】
上記走査装置5は、図1に示すように、巻取ロール1の鏡面1bと平行な方向を長手方向として配設されており、この走査装置5に支持ブラケット8が該走査装置5の長手方向、即ち鏡面1bの直径方向に案内されて摺動自在に支持されている。そして、この支持ブラケット8の先端部に、鏡面1bまでの距離を測定する測距手段としての測距装置9が、該支持ブラケット8の長手方向を軸として少なくとも 180゜の範囲で回動自在に設けられた回転テーブル10に取り付けられている。
【0030】
また、図2および図3に示すように、巻取ロール1の搬送方向の後方側に位置した脚部31の前側面には、巻取ロール1の前端部を検出するロール前端検出手段11が設けられている。搬送されている巻取ロール1の前端部をこのロール前端検出手段11が検出した信号によって搬送装置2を停止し、該停止した位置において巻取ロール1の前側の鏡面1bと測距装置9との軸1aの方向の距離が、該測距装置9の測距範囲に十分に含まれるようにしてある。他方、巻取ロール1の搬送方向の前方側に位置した脚部33の背面側には、巻取ロール1の後端部を検出するロール後端検出手段12が設けられている。このロール後端検出手段12が搬送されている巻取ロール1の後端部を検出した信号によって搬送装置2が停止し、該停止した位置において巻取ロール1の後側の鏡面1bと測距装置9との軸1aの方向の距離が、該測距装置9の測距範囲に十分に含まれるようにしてある。
【0031】
さらに、支持フレーム3の桁部35には、巻取ロール1の搬送方向の後方に向って突設したブラケット13a に、予備計測手段としてのロール径計測手段13が支持されている。このロール径計測手段13は、下方を通過する巻取ロール1までの距離を測定するようにしてあり、該ロール径計測手段13の設置されている高さと巻取ロール1のまでの距離から、該巻取ロール1の外径を測定するようにしてある。
【0032】
以上により構成したこの発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置の図1ないし図3に示す実施形態について、以下にその作用を説明する。
【0033】
ワインダ工程で形成された巻取ロール1は、搬送装置2によって次工程に給送される。その搬送経路の途中で凹凸測定装置を通過しようとすると、図2に示すように、前記ロール前端検出手段11によって該巻取ロール1の前端縁が検知される。このため、搬送装置2が停止し、巻取ロール1が当該位置で停止する。また、前記ロール径計測手段13は巻取ロール1の上端までの距離を測定して、該巻取ロール1の概略の外径を測定する。この巻取ロール1の外径データに基づいて、前記測距装置9が巻取ロール1の中心の高さに位置するように、前記昇降装置7が作動して両端部を前記昇降ガイド4に案内させながら走査装置5を昇降させる。そして、測距装置9の測距部を巻取ロール1の前側の鏡面1bに対向させて走査装置5によって該測距装置9を鏡面1bと平行に走査しながら鏡面1bまでの距離を測定すれば、前側の鏡面1bの凹凸を計測することができる。
【0034】
巻取ロール1の前側の鏡面1bの計測が終了すると、巻取直径に応じて昇降装置7または走査装置5が作動して、走査装置5と測距装置9とを巻取ロール1の搬送域から退避させた後、搬送装置2が作動して巻取ロール1を再び搬送することになる。搬送された巻取ロール1の後端縁が、図3に示すように、ロール後端検出手段12によって検知されると、搬送装置2が停止して巻取ロール1が当該位置に停止する。巻取ロール1の外径は既に前記ロール径計測手段13によって計測されているから、必要な場合は昇降装置7が作動して測距装置9を巻取ロール1の中心の高さまで下降させる。この時、支持ブラケット8より半径の小さい巻取ロールでは昇降退避が不要となる。そして、前記回転テーブル10を作動させて測距装置9をほぼ 180゜回動させ、その測距部を巻取ロール1の後側の鏡面1bに対向させる。次いで、走査装置5によって測距装置9を鏡面1bと平行に走査しながら鏡面1bまでの距離を測定すれば、後側の鏡面1bの凹凸を計測することができる。
【0035】
巻取ロール1が搬送装置2の搬送方向に対して所定の方向にあれば、測距装置9の走査方向は、該巻取ロール1の鏡面1bと平行となって、該測距装置9によって取得された凹凸データは信頼できるものである。しかし、巻取ロール1の軸方向と搬送方向とが一致していない場合には、測距装置9の走査方向が鏡面1bと平行とならず、取得された凹凸データを信頼できない。そのため、鏡面1bまでの測距データを補正して信頼できる凹凸データを得る必要がある。そこで、取得された鏡面1bまでの測距データを補正演算手段(図示せず)を介して補正することによって、凹凸データを得るようにしてある。この補正演算手段は、例えば測距装置9によって鏡面1bまでの距離を測定する場合に、該鏡面1bの両端部までの距離の平均値を補正のための基準値と定め、該基準値と測距データとの偏差に応じて測距データを補正して凹凸データを得るようにする。
【0036】
また、巻取ロール1の鏡面1bの凹凸が当該巻取ロール1に許容される範囲にあるか否かを判断するために、取得された凹凸データを予め設定された閾値と比較する比較手段(図示せず)を備えている。そして、凹凸データがこの閾値の範囲から外れた場合には、警告ランプを点灯したり、警報を発したりしてその旨を告知するように、警告手段(図示せず)が設けられている。
【0037】
図4に示す実施形態に係る凹凸測定装置は、巻取ロール1がその軸と直交する方向、即ち紙面を貫通する方向に搬送される場合の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を示している。搬送装置2を挟んで一対の支持フレーム3が設けられており、この一対の支持フレーム3の搬送装置2側の脚部36、37には昇降ガイド4が設けられている。なお、脚部37は図4において脚部36の背後となって図面上には現われていない。この昇降ガイド4にガイド手段としての走査装置5の両端部がそれぞれ昇降自在に支持されている。また、走査装置5は吊り下げロッド6の先端部に吊り下げられており、この吊り下げロッド6が支持フレーム3の桁部38に配置されたガイド部移動手段としての昇降装置7に連繋している。すなわち、該昇降装置7の作動によって吊り下げロッド6を介して上記走査装置5が、昇降ガイドに案内されて昇降するようにしてある。
【0038】
上記走査装置5は、巻取ロール1の左右の鏡面1c、1dと平行な方向を長手方向として配設されており、この走査装置5に支持ブラケット8が該走査装置5の長手方向、即ち鏡面1c、1dの直径方向に案内されて摺動自在に支持されている。この支持ブラケット8の先端部に、鏡面1c、1dまでの距離をそれぞれ測定する測距手段としての測距装置9が支持されている。
【0039】
また、支持フレーム3の適宜位置には、搬送される巻取ロール1が通過することを検知する、図1に示す実施形態のロール前端検出手段11と同様のロール検出手段(図示せず)が設けられて、該ロール検出手段が巻取ロール1を検知するとその信号によって搬送装置2が停止するようにしてある。
【0040】
この図4に示す実施形態に係る凹凸測定装置では、搬送装置2によって巻取ロール1が凹凸測定装置まで搬送されると、図示しないロール検出手段が巻取ロール1を検知した信号によって搬送装置2が停止する。そして、走査装置5が支持ブラケット8を介して測距装置5をそれぞれの鏡面1c、1dに沿って移動させながら走査してそれぞれの鏡面1c、1dまでの距離を測定すれば、それぞれの鏡面1c、1dの凹凸データを同時に取得することができる。
【0041】
この図4に示す実施形態に係る凹凸測定装置では、走査装置5や測距装置9が巻取ロール1の搬送域の外側に配設されているから、搬送の障害とならず、巻取ロール1の搬送を許容するためにこれら走査装置5や測距装置9を昇降させる必要がない。また、図1に示す実施形態に係る凹凸測定装置と同様に、巻取ロール1の外径を予め計測するロール径計測手段を設けて、その計測データに基づいて測距装置9を鏡面1c、1dの凹凸を計測するのに適宜な位置まで昇降させるようにすることもできる。
【0042】
図5に示す実施形態に係る凹凸測定装置は、図4に示す実施形態と同様に、巻取ロール1がその軸の方向と直交する方向に搬送される場合の鏡面1c、1dの凹凸を計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を示しているが、この図5に示す実施形態では、種々の幅員の巻取ロール1について計測を行なえるようにしてある。すなわち、測距装置9を支持した支持ブラケット8は、基端部が走査装置5に支持されて先端部を巻取ロール1の軸方向に伸長させた測距位置調整手段14に、巻取ロール1の軸方向に摺動自在に支持されている。この測距位置調整手段14に対する支持ブラケット8の摺動は、図示しないモータなどの動力によって行なわれるようにしてあり、巻取ロール1の幅員に応じて測距位置調整手段14に対する支持ブラケット8の位置が調整されるようにしてある。
【0043】
この図5に示す実施形態による凹凸測定装置では、ワインダ工程において形成された巻取ロール1の幅員に応じて、測距位置調整手段14に対する支持ブラケット8の位置を予め調整し、搬送装置2によって搬送された巻取ロール1について、図4に示す実施形態の凹凸測定装置と同様に、鏡面1c、1dの凹凸を測定する。
【0044】
図4及び図5に示した実施形態に係る凹凸測定装置では、巻取ロール1を所定の位置で停止させ、測距装置9を鏡面1c、1dに沿って走査する構造について説明したが、測距装置9を定位置に設定し、巻取ロール1の搬送走行によって測距装置9による測距位置を順次変更するようにすることもできる。この構造による場合には、走査装置5は不要となり構造を簡略化することができる。
【0045】
また、図4及び図5に示した実施形態に係る凹凸測定装置においても、図1に示した実施形態の場合と同様に、鏡面1c、1dと測距装置9の走査方向とが平行でない状態で取得された測距データの補正を行なう補正演算手段や、凹凸データを閾値と比較して警告を発する警告手段を設ける構造とすることもできる。
【0046】
以上に示した実施形態に係る凹凸測定装置では、巻取ロール1を搬送装置2によって搬送する途中で鏡面1b、1c、1dの凹凸を計測する構造を示してあるが、搬送途中において計測するものではなく、ワインダ工程によって形成された巻取ロール1を専用の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置の架台に載置させて計測するものであっても構わない。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置によれば、測距手段によって鏡面までの距離を測定することにより該鏡面の凹凸を計測するようにして、測定者の目視など経験に頼らないようにしたから、測定精度を向上させることができる。また、搬送されている巻取ロールについても短時間で計測を行なえるから、巻取ロールの全てについて鏡面の凹凸を計測することができ、巻取ロールの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一の実施形態を説明するための図で、巻取ロールをその軸方向に搬送する搬送経路の途中にこの発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を配設した状態の背面図である。
【図2】図1の側面図であり、巻取ロールの前側の鏡面の凹凸を計測する状態を示している。
【図3】図1の側面図であり、巻取ロールの後側の鏡面の凹凸を計測する状態を示している。
【図4】他の実施形態を説明するための図で、巻取ロールをその軸方向と直交する方向に搬送する搬送経路の途中にこの発明に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を配設した状態の正面図である。
【図5】図4に示す実施形態の凹凸測定装置を改良した実施形態に係る巻取ロール鏡面の凹凸測定装置を説明する図で、図4に相当する正面図である。
【符号の説明】
1 巻取ロール
1a 軸
1b 鏡面
2 搬送装置
3 支持フレーム
4 昇降ガイド
5 走査装置(ガイド手段)
6 吊り下げロッド
7 昇降装置(ガイド部移動手段)
8 支持ブラケット
9 測距装置(測距手段)
10 回転テーブル
11 ロール前端検出手段
12 ロール後端検出手段
13 ロール径計測手段(予備計測手段)
14 測距位置調整手段
Claims (10)
- 巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、
計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、
上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段とからなり、
上記測距手段を上記ガイド手段に案内させて前記巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定して該鏡面の凹凸を計測することを特徴とする巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。 - 巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、
計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、
上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段と、
上記ガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向に移動させるガイド部移動手段とからなり、
上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴とする巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。 - 巻取ロールの軸方向に搬送されている該巻取ロールの鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、
計測すべき鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行な方向を長手方向として延設したガイド手段と、
上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記ガイド手段に案内支持された測距手段と、
上記ガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向であって、該ガイド手段を前記巻取ロールの搬送域から占避自在に移動させるガイド部移動手段とからなり、
搬送途中の巻取ロールを所定の位置で停止させ、上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴とする巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。 - 前記測距手段を前記ガイド手段に摺動自在にかつ回動自在に支持させ、該測距手段を回動させてその測距方向を変更させることにより、巻取ロールの軸方向に搬送されている該巻取ロールの前側鏡面と後側鏡面のそれぞれの凹凸を計測することを特徴とする請求項3に記載の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。
- 巻取ロールの軸方向と直交する方向に搬送されている該巻取ロールの両側の鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、
計測すべきそれぞれの鏡面から適宜距離を隔てて、該鏡面とほぼ平行を長手方向としてそれぞれ延設したガイド手段と、
上記鏡面の直径方向に沿って摺動自在に上記それぞれのガイド手段に案内支持された測距手段と、
上記それぞれのガイド手段を上記測距手段の摺動方向と交差する方向に移動させるガイド部移動手段とからなり、
搬送途中の巻取ロールを所定の位置で停止させ、上記ガイド手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で上記測距手段を該ガイド手段に案内させて巻取ロールの直径方向とほぼ平行な方向に走査しながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴とする巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。 - 巻取ロールの軸方向と直交する方向に搬送されている該巻取ロールの両側の鏡面の凹凸を非接触にて計測する巻取ロール鏡面の凹凸測定装置において、
計測すべきそれぞれの鏡面から適宜距離を隔てた位置にそれぞれ配設した測距手段と、
上記それぞれの測距手段を昇降させる測距部移動手段とからなり、
上記それぞれの測距手段を適宜位置まで移動させ、当該位置で巻取ロールを搬送させながら、上記鏡面までの距離を測定することにより、任意の径の巻取ロールの任意の位置における凹凸を計測することを特徴とする巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。 - 前記測距手段を測定すべき鏡面と交差する方向に移動自在とし、巻取ロールの幅員に応じて該測距手段を所定位置まで移動させて任意の幅員の巻取ロールの鏡面の凹凸を計測することを特徴とする請求項5または請求項6のいずれかに記載の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。
- 計測すべき鏡面を有する巻取ロールの概略の径を予め計測する予備計測手段を備えていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれかに記載の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。
- 前記測距手段の走査方向に沿った直線と測定すべき鏡面との距離の偏差に基づいて補正する補正演算手段を備え、該測距手段によって得られた鏡面の凹凸データを補正処理して鏡面の凹凸を計測することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。
- 鏡面の凹凸データを予め設定した閾値と比較する比較手段を備え、凹凸データが閾値を越えた場合にその旨を出力して告知する警告手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の巻取ロール鏡面の凹凸測定装置。
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- 1996-05-10 JP JP13973996A patent/JP3677665B2/ja not_active Expired - Lifetime
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