JP3676769B2 - 加工工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波振動子を利用して、切削、研削、削孔、溶着等の各種の超音波加工を行う加工工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波振動を利用した加工を行う場合、超音波振動の駆動源である超音波振動子に工具を装着し、その工具に超音波特有の大きな加速度を持つ高周波微振動を発生させ、このような工具を被加工物に衝突させる。これにより、効率の良い加工を行うことが可能である。
【0003】
このような超音波振動を利用した加工工具の従来の一例を図9ないし図13に基づいて説明する。図9は超音波振動を利用した従来の加工工具の一例を示す斜視図、図10はその分解斜視図である。また、図11は超音波振動を利用した従来の加工工具の別の一例を示す斜視図、図12はその分解斜視図である。そして、図13は、加工工具の縦断面と共にその共振振動分布を示す説明図である。
【0004】
ここで紹介する加工工具1は、被加工物に微***を穿孔する超音波穿孔装置の一例であり、超音波振動子11に対して、工具21を止めネジ式の工具ホルダ31で固定する構造のものである。
【0005】
超音波振動子11は、前部ホーン12、2個の圧電素子13、2枚の電極14、後部ホーン15、及び締着ボルト16(図13参照)によって構成されている。工具21としては、ドリル形状のものを例示する。つまり、工具21の先端に位置する加工部は、ドリル22となっている。そして、前部ホーン12の先端部には雌ネジ17が切られており、この雌ネジ17に工具ホルダ31に設けられた雄ネジ32が螺合し、これによって前部ホーン12と工具ホルダ31とがネジ結合されている。この工具ホルダ31は、工具挿入孔33を有する。工具21は、その後端側から工具挿入孔33に挿入され、工具ホルダ31に設けられた工具止めネジ34によって締め付けられて固定されている。ここに、加工工具1が構成されている。
【0006】
このような構造のものは、図示しない高周波電源から、超音波振動子11、工具ホルダ31及び工具21から構成された加工工具の共振周波数に対応した高周波電圧を2枚の電極14に印加することで、2個の圧電素子13が伸縮を繰り返し、これによって超音波振動子11に超音波振動が発生する。これにより、工具21の先端に設けられたドリル22がその機能を発揮する。
【0007】
なお、超音波振動子11の振動は、一般的に、圧電素子13の種類に応じて、軸振動、たわみ振動、捩れ振動、及びこれらの複合振動等がある。図9及び図10に例示する超音波振動子11は軸振動をする。どの振動を選択するかは、工具21の種類に応じて決めれば良い。
【0008】
図11及び図12に示す加工工具は、工具ホルダ31にすり割35を設けた構造の一例である。図9及び図10に例示する工具ホルダ31では、工具21の側方から工具止めネジ34の先端を工具21に直接押し付けて工具21を固定する構造であるのに対して、図11及び図12に例示する工具ホルダ31では、工具止めネジ34を締め込むことによってすり割35の間隔を狭め、これによって工具ホルダ31それ自体の加圧力で工具21を固定する。
【0009】
ここで、図13に基づいて、超音波穿孔装置振動体として機能する加工工具1の振動分布について説明する。加工工具1の振動分布を示す図13に示すように、Nで示すノード(節)は軸振動が0(ゼロ)の部分であり、ここを境に左右は位相を逆にして伸び縮みする。ループ(腹)は、振幅の最大部であり、後端部の振幅L2に対して、工具21の先端部の振幅L1は大きくなる。これは、ノードNを境に直径を細くすると、振動振幅が拡大されるためである。ノードN部分から直径を絞れば、その形状と直径比とによって所望の振幅拡大率が得られ、加工に必要な振幅を設計することができる。図9ないし図13に示す例では、半波長(1/2波長)の共振体として構成された加工工具1を示すが、半波長(1/2波長)の整数倍の波長で共振体を構成することも可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
昨今の工業技術の進歩に伴い、超音波の有効利用の試みが以前にも増して活発になるにつれ、付加価値の高い加工、つまり超微細化、高精度化、高速度化等の高難易度な加工が強く求められるようになってきている。しかしながら、このような要望には、従来の超音波技術だけでは対応が困難である。その理由を次に説明する。
【0011】
図13に示す振動分布に見られるように、加工工具1の振動分布の振幅は、工具21の先端部分で最大となる。このときの工具21の振動速度V(m/sec)は、
V(m/sec)=2×π×f×a ……(1)
で表される。ここで、f(Hz)は装置の共振周波数、a(m)は工具21の先端部分の片振幅である。
【0012】
一般に、図9ないし図13に例示する加工工具1のような超音波振動を応用した加工工具の場合、工具21の振動速度V(m/sec)が大きいほど高能率で高精度、つまり品位の高い加工が可能とされている。そこで、振動速度を大きくすることが望ましいが、そのためには共振周波数を高くするか振幅を大きくする必要が生ずる。
【0013】
一方、工具21の振動は往復運動であり、その振動の上死点及び下死点では大きな加速度が発生する。そして、振動速度V(m/sec)の大きさに比例して加速度は当然に大きくなり、これによって工具21に大きな慣性力が生ずることになる。これを数式で説明すると、振動により発生する工具21の慣性力F(N)は、工具21自身の質量m(kg)と加速度g(m/sec2 )とに支配され、
F(N)=m×g ……(2)
で表されることになる。
【0014】
以上の理論から、高効率で高精度な超音波加工を行うためには、工具21を高速で振動させる、つまり工具21の振動速度V(m/sec)を大きくする必要があるのに対して、振動速度V(m/sec)が大きくなるに伴い工具21の加速度g(m/sec2 )も急激に増大することが明白である。
【0015】
しかしながら、例えば図9ないし図13に示す例でも明らかなように、工具21は超音波共振体の一部ではあるが、工具ホルダ31の機械的構造で保持されているに過ぎない。このため、高効率で高精度な超音波加工を行うために加工工具1の振動速度V(m/sec)を増大させた場合、工具ホルダ31による工具21の保持力が弱いと、工具21は自分自身の慣性力F(N)で飛び出してしまうことになるという問題がある。
【0016】
このようなことから、少しでも大きな振動速度V(m/sec)で工具21を振動させるには、工具21を強力に保持すると共に、できるだけ工具を軽くする必要がある。上記(1)式及び(2)式より、振動速度V(m/sec)が増大すれば工具21の加速度g(m/sec2 )が増大して工具21に生ずる慣性力F(N)が大きくなり、これに対処するには工具21を強力に保持する必要があり、また、この時に工具21に生ずる慣性力F(N)を少しでも減少させるには工具21の質量m(kg)をできるだけ小さくするしかないからである。
【0017】
ここで、工具21を確実に超音波振動子11に固定する手法は、過去にも様々な形が提案されてきたが、一般的には図9及び図10又は図11及び図12に例示する手法が広く用いられている。これらの固定手法では、工具21を簡便に交換できるという利点がある。
【0018】
しかしながら、図9及び図10に例示する手法は、通常、20kHzの周波数においては、a=10μm程度の振幅にまでしか適用することができない。しかも、工具21の固着力を増加するために工具止めネジ34を強く締め込むと、工具21の変形、折れ、偏芯等の工具性能や加工性能の劣化を引き起こし易いという問題もある。
【0019】
また、図11及び図12に例示する手法では、工具止めネジ34を強く締め込んだとしても、工具21の変形、折れ、偏芯等が発生する可能性が少ないものの、図9及び図10に例示する手法と比較して、工具21の保持力が弱くなってしまうという問題がある。通常、20kHzの周波数においては、a=5〜7μm程度の振幅にまでしか適用できない。
【0020】
このようなことから、さらに強力な振動速度V(m/sec)で工具21を振動させるには、工具ホルダ31と工具21とをロウ付けなどに代表される溶接技術を用いて直接接合する手法が取られる。しかし、この手法は、材料を高温で加熱してロウ材を溶かし込むため、熱歪による材料の変形や精度劣化、高温による材質特性の劣化が生じ、しかも生産性が悪く高コストとなる等の大きな問題を抱えている。
【0021】
本発明の目的は、簡便に工具を装着することができながら工具に大きな振動速度を得ることができるようにすることである。
【0022】
本発明の別の目的は、工具を再装着する場合であっても、優れた寸法再現性を得られるようにすることである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、超音波振動を発生し、先端部から軸方向に向けて工具挿入孔が設けられた超音波振動子と、後端部から前記工具挿入孔に挿入されて先端部に加工部を有し、前記超音波振動子と共振周波数が略等しい工具と、前記超音波振動子に挿入された前記工具を、その後端側を非固定状態としながらそのノード近傍からループまでの位置で固定する締結構造と、を具備し、複数の共振振動分布を有する単一の共振体として構成した加工工具である。
【0024】
したがって、締結構造による超音波振動子に対する工具の固定位置を工夫するだけで、工具には超音波振動子に発生する超音波振動の振幅よりも大きな振幅が得られる。しかも、超音波振動子に対する工具の固定位置における振幅は、工具に得られる振動の振幅よりも小さいため、工具を簡便に装着しても十分な剛性が得られる。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の加工工具において、前記工具挿入孔と前記工具との挿入構造における断面形状を非真円形状とした。
【0026】
したがって、工具挿入孔に対する工具の周方向の位置が一意的に定められるため、工具を再装着する場合に優れた寸法再現性が得られる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の加工工具において、非真円形状として多角形が選択されている。
【0030】
したがって、工具挿入孔と工具との挿入構造における非真円形状である断面形状を容易に製造することができる。
【0031】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の加工工具において、非真円形状として、歯車形状が選択されている。
【0032】
したがって、工具挿入孔と工具との挿入構造における非真円形状である断面形状を容易に製造することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。
【0034】
図1は加工工具を示す斜視図、図2はその分解斜視図、図3は工具の振動方向を示す斜視図である。図4は加工工具の別の実施の一形態を示す斜視図、図5はその分解斜視図、図6は工具の振動方向を示す斜視図である。
【0035】
本実施の形態の加工工具101は、超音波振動子111に対して、工具121を工具ホルダ131で固定する構造のものである。
【0036】
超音波振動子111は、前部ホーン112、2個の圧電素子113、2枚の電極114、及び後部ホーン115によって構成され、これらが締着ボルト116(図5参照)によって締め込まれることで一体をなしている。
【0037】
図2に示すように、前部ホーン112の先端部にはその軸方向に延出する工具挿入孔117が設けられており、この工具挿入孔117に工具121がその後端部から挿入されている。
【0038】
工具121は、超音波振動子111と共振周波数が略等しく、工具挿入孔117に挿入される部分が長く形成されている。また、工具121にはフランジ122が形成されており、工具121は、そのフランジ122が前部ホーン112の先端部に当接する位置まで工具挿入孔117に挿入されている。このような工具121の先端部には、加工部123が一体に形成されている。
【0039】
ここで、図1ないし図3に示す加工工具101では、工具121として、角孔を穿孔するための立方体形のツールが加工部123として設けられている。この加工部123は、軸振動をすることによってガラスやセラミックス等のような硬くて脆い、いわゆる高脆性材に穿孔加工を施す。そこで、このような加工部123を工具121に設ける場合であれば、その加工部123を軸振動させるために、軸振動用の超音波振動子111が用いられる。軸振動用の超音波振動子111は、代表的な超音波振動子111の一つであり、圧電素子113の選択によって容易に得られる。
【0040】
これに対して、図4ないし図6に示す加工工具101では、工具121として、穴繰りバイトが加工部123として設けられている。この加工部123、つまり穴繰りバイトは、たわみ振動をすることによって振動切削をする。そこで、このような加工部123を工具121に設ける場合であれば、その加工部123をたわみ振動させるために、たわみ振動用の超音波振動子111が用いられる。たわみ振動用の超音波振動子111は、代表的な超音波振動子111の一つであり、圧電素子113の選択によって容易に得られる。
【0041】
次いで、工具121には、フランジ122よりも後端側に位置させて角型シャンク124が形成されている。この角型シャンク124は、工具121のフランジ122よりも後端側の部分全体に比較すれば長さが短く、工具121における角型シャンク124から後ろの部分は、円筒形状を維持している。このような角型シャンク124に対応させて、前部ホーン112に形成された工具挿入孔117は、その先端部分のみが角型シャンク124と相似形になっている(図5参照)。これにより、工具挿入孔117と工具121との挿入構造における断面形状は、その一部が非真円形状であると言える。そして、角型シャンク124を採用する本実施の形態では、そのような非真円形状のうち、多角形が選択されていると言える。もっとも、このような工具挿入孔117と工具121との挿入構造における断面形状については、いかなる非円形状をも選択可能であり、例えば歯車形状状や星形形状、Dカット形状等、各種の形状が選択可能である。
【0042】
工具挿入孔117に挿入された工具121は、工具ホルダ131で固定され、これによって超音波振動子111に工具121が締結される。工具ホルダ131及びこの工具ホルダ131による工具121の固定構造の形態は、図1ないし図3に示す加工工具101と図4ないし図6に示す加工工具101とで異なる。
【0043】
図1ないし図3に示す加工工具101では、前部ホーン112の先端部外周軸方向に雄ネジ118が切られており、袋ナット構造の工具ホルダ131がその雄ネジ118にネジ止めされ、これによって超音波振動子111に工具121が締結されている。つまり、工具ホルダ131には、前部ホーン112の外周に設けられた雄ネジ118に螺合する雌ネジ132が切られている(図8参照)。そこで、フランジ122が前部ホーン112の先端部に当接する位置まで工具121が工具挿入孔117に挿入された状態で、工具ホルダ131を工具121側から装着し、その雌ネジ132を前部ホーン112に形成された雄ネジ118に螺合させることで工具121は超音波振動子111に締結される。つまり、工具121に設けられたフランジ122が前部ホーン112の先端部と工具ホルダ131との間に挟まれるわけである。
【0044】
これに対して、図4ないし図6に示す加工工具101では、前部ホーン112の先端部にその軸方向と直交するする方向に雌ネジ119が切られており、この雌ネジ119に螺合する雄ネジ形態の工具ホルダ131が締め込まれて超音波振動子111に工具121が締結されている。つまり、フランジ122が前部ホーン112の先端部に当接する位置まで工具121が工具挿入孔117に挿入された状態で、前部ホーン112に設けられた雌ネジ119に螺合する工具ホルダ131が締め込まれると、その工具ホルダ131の先端が工具121に押圧され、これによって工具121が固定されるわけである。
【0045】
こうして、図1ないし図3に示す加工工具101、あるいは図4ないし図6に示す加工工具101が構成される。
【0046】
こうして構成された加工工具101を使用するには、図示しない高周波電源から2枚の電極114に高周波電圧を印加する。このとき、超音波振動子111と工具ホルダ131と工具121とから構成された振動装置となる加工工具101の共振周波数に対応した高周波電圧を印加することで、2枚の電極114に挟まれた2個の圧電素子113が伸縮を繰り返し、これによって超音波振動が発生する。
【0047】
ここで、図1ないし図3に示す加工工具101と図4ないし図6に示す加工工具101とのそれぞれについて、超音波振動子111に超音波振動を発生させて行う作業について説明する。
【0048】
まず、図1ないし図3に示す加工工具101では、工具121として、角孔を穿孔するための立方体形のツールが加工部123として設けられている。そこで、このような加工部123を備える工具121が装着された加工工具101を用いた作業について説明する。
【0049】
ガラスやセラミックスなど硬くて脆い、いわゆる高脆性材を加工する場合、超音波振動を利用した加工方法は最も効率の良い加工手段の一つとして以前より利用されている。例えば、高脆性材に角穴を穿孔する場合、図3に例示するように、工具121の先端に設ける加工部123の形状を、希望の角形に成形すればよい。そして、超音波振動子111に軸方向の超音波振動を発生させた状態で、高脆性材の被加工物に加工部123を当て、遊離砥粒を供給する。すると、図3中の矢印で示す方向、つまり超音波振動子111の軸方向に超音波振動が生ずるため、遊離砥粒が加工部123の先端で加速されて被加工物である高脆性材に衝突し、これによって被加工物に無数の極微小クラックが発生し、加工部123の形状と相似形の角孔が開けられることになる。この場合、加工部123を砥石で形成すれば、切削液を供給するのみで同一の穿孔加工が可能になる。
【0050】
次いで、図4ないし図6に示す加工工具101では、工具121として、穴繰りバイトが加工部123として設けられている。そこで、このような加工部123を備える工具121が装着された加工工具101を用いた作業について説明する。
【0051】
超音波振動を応用した振動切削は、従来は切削が困難とされていたような加工領域において、高精度で高効率な加工を行うことができる手段として利用されている。このような超音波振動を応用した振動切削は、通常、刃先の振動方向を切削方向と一致させることで実現することができる。そこで、図6に例示する加工部123を用いて振動切削する場合、超音波振動子111を、その軸方向に対して直角方向にたわみ振動させれば良い。穴繰り加工は、穴の内壁面を切削加工する手法で、本実施の形態では、穴繰りバイトである加工部123を穴の内壁周面の接線方向に振動させて精密に切削することが可能である。この時、精密穴繰り加工において一番重要なことは、穴繰りバイトである加工部123の刃の高さを非切削物内周面の軸心と正確に一致させることであり、これを怠ると、特に小径穴加工では寸法精度の悪化や切削面の品位の劣化、あるいはバイト寿命の劣化などの問題が発生する。また、切削性の悪い材質や高硬度金属、あるいは焼入れされた鋼材等、切削性が悪くなるほど刃先の位置を厳密に制御する必要があり、その良し悪しで加工の良否が殆んど決まるといって過言ではない。
【0052】
ここで、本実施の形態の加工工具101における共振振動特性について、図7及び図8を参照して説明する。図7は加工工具の側面図、図8は加工工具の図7におけるA−A断面と共にその共振振動分布を示す説明図である。つまり、図8に示す説明図では、加工工具101を超音波振動させた際に発生する各部の振動状態を振動分布図で表し、このような振動分布と超音波振動子111の内部構造とを対比して説明している。なお、図7及び図8に示す例では、工具121の先端にドリル形態の加工部123が装着され、これに合せて軸振動を発生する超音波振動子111が用いられた例を示している。
【0053】
図8中、点線は超音波振動子111の振動分布、実線は工具121の振動分布をそれぞれ示している。これらの振動分布から明らかなように、超音波振動子111は1波長で構成されており、工具121は1/2波長で構成されている。これらの超音波振動子111及び工具121の振動分布は、いずれも、超音波振動子111に工具121を工具ホルダ131で締結固定した状態、つまり加工工具101としての状態での振動分布である。
【0054】
超音波振動子111の軸方向の振動分布は、図8の点線で示すように、ノードの部分N1及びN2で軸方向の振幅は0になり、ループ部L1、L2、及びL3でその振幅は最大となり、その振動分布は正弦波状のカーブを示す。工具121は、前述したように、超音波振動子111と共振周波数が略等しいことから、超音波振動子111の超音波振動に応じて1/2の波長で共振超音波振動し、この場合のノードはN3、ループはL3及びL4となる。このような超音波振動子111と工具121との振動分布から明らかなように、工具121は、その振動分布におけるノードN3とループL3との中間点で超音波振動子111に固定され、接合していることになる。つまり、工具121は、図1ないし図3に例示する加工工具101の場合であれば、そのフランジ122が前部ホーン112の先端部と工具ホルダ131との間に挟まれて固定されることから、この固定位置でのみ超音波振動子111に固定されることになり、その他の部分はフリー状態となっている。このような構造は、図4ないし図6に例示する加工工具101の場合であれば、工具ホルダ131として構成されている雄ネジが工具121を押圧する位置が工具121の超音波振動子111に対する固定位置ということになる。図8に示す振動分布図では、このような超音波振動子111に対する工具121の固定位置を交差点LNとして示している。なお、このような超音波振動子111に対する工具121の固定位置である交差点LNは、工具121のノードN3近傍からループL3までの位置であれば、どの位置をも許容することができる。
【0055】
したがって、超音波振動子111に挿入された工具121は、その後端側を非固定状態としながらそのノードN3近傍からループまでの位置で固定されていることになる。これにより、本実施の形態では、超音波振動子111に挿入された工具121を、その後端側を非固定状態としながらそのノードN3近傍からループL3までの位置で固定する締結構造が設けられている。そして、このような締結構造が設けられた結果、本実施の形態の加工工具101は、複数の共振振動分布を有する単一の共振体として構成されることになる。
【0056】
また、上記締結構造によって超音波振動子111と工具121とを締結した結果、本実施の形態では、超音波振動子111における振動の振幅と工具121における振動の振幅とは、交差点LNで同一となる。この交差点LNは、超音波振動子111に関してはループL1の振幅にほぼ等しい。これに対して、この交差点LNは、工具3にとってはそのノードN3とループL3との略中間点である。これにより、超音波振動子111と工具ホルダ131とで構成される振動体によって、工具121は交差点LNを起点として励振されることになり、結果的に、工具121の先端に設けられた加工部123の振幅は、工具ホルダ131を装着した超音波振動子111の最大振幅部であるループL1よりも増大することになる。したがって、本実施の形態によれば、工具121に特別な振幅拡大手段を用いなくとも、工具121の先端に設けた加工部123の振幅を大きくすることが可能となる。よって、工具に大きな振動速度を得ることができる。
【0057】
しかも、従来の一般的な超音波振動子111と工具121との締結手段、例えば図9ないし図13に示すような締結手段を採用した加工工具1では、工具21は全体の共振体、つまり一つの振動分布の一部として構成されるのに対して、本実施の形態によれば、二つの共振体(工具ホルダ131を装着した超音波振動子111と工具121)が各々独立した振動分布を持つことになる。これにより、各々独立した振動分布を持つ二つの共振体である工具ホルダ131を装着した超音波振動子111と工具121とを、それぞれの振動振幅が小さな位置、つまり振動速度が小さい位置で接合することができる。また、振動子はもとより、工具121の振動形態は、単独で共振振動している形態と全く同じであり、加工部124の振幅が大きくなっても工具121を構成する素材要素の限界強度を超えない範囲であれば、効率の良い振動が可能である。また、交差点LNでは、二つの共振体が同期をとって同一の振幅で振動しており、図9ないし図13に例示する従来技術のように、加速度が増大して工具ホルダ131の保持力の限界を超えた時点で工具121が飛び出すようなことがない。したがって、簡便な接合方法で超音波振動子111と工具121とを固定したとしても、工具121に対して確実に振動を伝達することができることになる。
【0058】
以上のことから、本実施の形態によれば、簡便に工具121を装着することができながら、工具121に大きな振動速度を得ることができる。
【0059】
しかも、超音波振動子111と工具121とを任意の位置で接合できることから、工具121の先端部の長さを必要とされる任意の長さに設定することができ、これにより、工具121の先端部の長さを必要以上に長くする必要がなくなって剛性の高い加工工具101を容易に設計できるようになる。
【0060】
次いで、本実施の形態における工具121の取り付け再現性について説明する。加工位置精度が要求されたり、精密な寸法で加工を行う必要があったりする場合、当然ながら、工具121の取り付け再現性に対して厳しい精度要求が出てくる。これに対して、本実施の形態では、角型シャンク124と工具挿入孔117とが嵌め合い状態の構成となっているため、工具121を交換したとしても、厳しい精度が要求される加工にも十分対応した加工が可能になる。
【0061】
ここで、本実施の形態では、工具121の角型シャンク124に連なる後端部の一部は丸棒形状を呈し角型シャンク124より若干径が細くなっているが、これは、工具挿入孔117との接触を避け、異なる振幅同士の接触による不要な騒音の発生を防止するのが目的である。このため、工具121の中間から後端にかけての部分については、必要に応じて全域を角型シャンク124として形成しても良い。但し、これは、図1ないし図3に例示する加工工具101のように軸振動する超音波振動子111を採用した場合の話であり、図4ないし図6に例示する加工工具101のようにたわみ振動をする超音波振動子111が採用される場合には、工具121の角型シャンク124に連なる後端部と工具挿入孔117との間には、超音波振動子111を妨げない程度の隙間が設けられていなければならない。もっとも、この隙間は、目視できない程度の隙間である。
【0062】
以上、本実施の形態における工具121の取り付け再現性について一般的に説明したが、この工具121の取り付け再現性について、図1ないし図3に例示する加工工具101と図4ないし図6に例示する加工工具101との場合について個別的に説明する。
【0063】
まず、図1ないし図3に例示する加工工具101では、角穴穿孔用の加工部123が工具121の先端に設けられている。このような加工部123では、穿孔する角穴の回転角や加工位置精度が要求されたり、精密な寸法で角穴加工を行う必要があったりする場合、当然ながら、工具121の取り付け再現性に対して厳しい精度要求が出てくる。この場合、工具121側の角型シャンク124と超音波振動子111側の工具挿入孔117とが嵌め合い状態の構成となっていれば、工具121を交換したとしても、厳しい精度が要求される角穴加工にも十分対応した加工が可能になる。
【0064】
次いで、図4ないし図6に例示する加工工具101では、穴繰りバイトとして構成された加工部123が工具121の先端に設けられている。このような加工部123では、加工部123である穴繰りバイトの刃は、加工を続けることで磨耗し、品質管理の観点から適切な時期に新品に交換する必要がある。この際、いかに短時間でバイトの交換が行えるかという要求と共に、交換時の寸法再現性についても厳しい要求がなされることがある。つまり、特に切削性の悪いいわゆる難削材の小径穴繰り加工の刃先の高さに関しては、非常に厳密な精度が望まれ、従来は工具交換の都度、工具顕微鏡で数十倍〜数百倍に拡大した状態で刃先位置を計測し、その位置を微調整していた。ところが、この場合には、その調整に非常に手間がかかり、生産性の観点からも改善が望まれていた。
【0065】
これに対して、本実施の形態では、工具121側の角型シャンク124と超音波振動子111側の工具挿入孔117とが嵌め合い状態の構成となっていることから、工具121を交換したとしても、厳しい精度が要求される穴繰り加工にも十分対応した加工が可能になる。これをより詳細に説明すると、図4ないし図6に例示する加工工具101では、角型シャンク124及び工具挿入孔117は四角柱であるため、工具121の装着時、工具固定用の雄ネジとして構成された工具ホルダ131で角型シャンク124の角部分を強く押さえ込むことで、角型シャンク124及び工具挿入孔117の底面に相当する直角の二面が強く押さえ込まれることになる。このため、各部品精度が正確であれば、正確な寸法再現性が得られ、工具121を交換しても、再度、加工部123である穴繰りバイトの刃の位置を微調整する必要がなくなる。これにより、穴繰りバイトの刃の位置を微調整する煩雑さから開放され、生産性も飛躍的に向上することになる。
【0066】
なお、工具121に設けられたフランジ122は、工具121を工具挿入孔117に挿入する際のストッパの役目を果たし、穴繰りバイトである加工部123の突き出し量の再現性を高める働きをするが、このような再現性の制御については、フランジ122ではなく、別の手法で制御することも可能である。
【0067】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、超音波振動を発生し、先端部から軸方向に向けて工具挿入孔が設けられた超音波振動子と、後端部から前記工具挿入孔に挿入されて先端部に加工部を有し、前記超音波振動子と共振周波数が略等しい工具と、前記超音波振動子に挿入された前記工具を、その後端側を非固定状態としながらそのノード近傍からループまでの位置で固定する締結構造と、を具備し、複数の共振振動分布を有する単一の共振体として構成した加工工具であるので、締結構造による超音波振動子に対する工具の固定位置を工夫するだけで、工具には超音波振動子に発生する超音波振動の振幅よりも大きな振幅を得ることができ、しかも、超音波振動子に対する工具の固定位置における振幅は、工具に得られる振動の振幅よりも小さいため、工具を簡便に装着しても十分な剛性を得ることができる。
【0068】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の加工工具において、前記工具挿入孔と前記工具との挿入構造における断面形状を非真円形状としたので、工具挿入孔に対する工具の周方向の位置が一意的に定められるため、工具を再装着する場合に優れた寸法再現性を得ることができる。
【0070】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の加工工具において、非真円形状として多角形が選択されているので、工具挿入孔と工具との挿入構造における非真円形状である断面形状を容易に製造することができる。
【0071】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の加工工具において、非真円形状として、歯車形状が選択されているので、工具挿入孔と工具との挿入構造における非真円形状である断面形状を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態として、加工工具を示す斜視図である。
【図2】その分解斜視図である。
【図3】工具の振動方向を示す斜視図である。
【図4】本発明の別の実施の一形態である加工工具を示す斜視図である。
【図5】その分解斜視図である。
【図6】工具の振動方向を示す斜視図である。
【図7】加工工具の側面図である。
【図8】加工工具の図7に示すA−A断面と共にその共振振動分布を示す説明図である。
【図9】加工工具の従来の一例を示す斜視図である。
【図10】その分解斜視図である。
【図11】加工工具の別の従来の一例を示す斜視図である。
【図12】その分解斜視図である。
【図13】加工工具の縦断面と共にその共振振動分布を示す説明図である。
【符号の説明】
111 超音波振動子
117 工具挿入孔
123 加工部
121 工具
N3 ノード
L3 ループ
Claims (4)
- 超音波振動を発生し、先端部から軸方向に向けて工具挿入孔が設けられた超音波振動子と、
後端部から前記工具挿入孔に挿入されて先端部に加工部を有し、前記超音波振動子と共振周波数が略等しい工具と、
前記超音波振動子に挿入された前記工具を、その後端側を非固定状態としながらそのノード近傍からループまでの位置で固定する締結構造と、
を具備し、複数の共振振動分布を有する単一の共振体として構成した加工工具。 - 前記工具挿入孔と前記工具との挿入構造における断面形状は、非真円形状である請求項1記載の加工工具。
- 非真円形状として、多角形が選択されている請求項2記載の加工工具。
- 非真円形状として、歯車形状が選択されている請求項2記載の加工工具。
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