JP3674594B2 - 乳酸系共重合ポリエステルからなる包装材料 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はラクタイドと、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、および芳香族・脂肪族ポリエステルにラクタイドを開環付加重合およびエステル交換反応させる乳酸系共重合ポリエステルからなる包装材料に関するものである。
【0002】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、押出成形、射出成形、インフレーション成形、積層成形、プレス成形等の種々の方法により成形加工を行うことができ、汎用樹脂に使用されている既存装置を用いて成形することが可能であり、広く包装材料として有用である。
【0003】
例えば、フィルムの用途としては、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類、農業用、食品用、工業用、繊維用、雑貨等の包装材用途や、結束テープ、農業用マルチフィルム等、またシート、射出成形品としては、農業用、食品用、工業用シートを始め、トレー、日曜雑貨、食品容器、養生シート、苗木ポット、産業資材、工業用品等として有用である。
【従来の技術】
【0004】
近年、環境問題等から、優れた生分解性を有する乳酸系ポリマーを、広く汎用ポリマーとして活用しようとする研究が盛んに行われ、製造方法に関する多くの研究、特許出願がなされている。しかし従来の乳酸もしくはラクタイドの重合体であるポリ乳酸、もしくはラクタイドと他のモノマーとの共重合体は、成形性、透明性において十分な性能を有しているとは言い難く、またポリ乳酸は、特殊な用途を除いては、分解性が早すぎて、汎用樹脂として用いにくい等の問題点があり、新規な生分解性ポリマーの開発が嘱望されている。
【0005】
国際公開特許第91/02015号公報には、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのような芳香族系ポリエステルと、ポリグリコライド、またはポリ乳酸との共重合体とその製造方法について記載されている。
【0006】
また製造方法としては、ラクタイドとブチレングリコールとジメチルテレフタレートとを反応させる、モノマーからの反応による製造方法と、220℃の高温下で、ポリグリコライドとポリブチレンテレフタレートとの2種のポリマー間でエステル交換反応させる、ポリマー同士の反応による製造方法が記載されている。しかしながら、実施例はポリマー間のエステル交換法に限られている。
【0007】
また特開平4−504731号公報には、ラクタイドとポリエチレンテレフタレートを共存させて重合を行ないポリ乳酸とポリエチレンテレフタレートとのブレンドポリマーを製造する方法が記載されている。また結晶性芳香族系ポリエステルにラクトン類を反応させる技術が特公昭48−4115号公報、特公昭48−4116号公報等に記載されている。これら方法では、結晶性芳香族系ポリエステルにラクトン類、特にε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンを反応させている。
【0008】
しかしながら、特開平4−504731号公報に記載の方法では、ポリエチレンテレフタレートの軟化点は220℃以上であり、ラクタイドの分解温度、
185℃よりも高く、得られる共重合体は著しく着色し、高分子量のものが得られない。また特公昭48−4115号公報、特公昭48−4116号公報に記載されているラクトン類を反応させる方法では、得られた共重合体は透明性がなく、また過度の柔軟性を有し、成形用樹脂としては好ましくない等の問題点を有する。
【0009】
即ち、今までに報告された、ジカルボン酸成分またはそのエステル化物と、ジオール成分、およびラクタイドのような環状エステルからの、所謂モノマー同士からの製造方法では、十分な高分子量化ができないことは一般によく知られている。また、ポリマー同士の反応による製造方法では、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのような芳香族系ポリエステルが流動性を持つ温度より、ポリ乳酸の分解温度がはるかに低く、現実的ではない。
【0010】
また、芳香族系ポリエステルの結晶性、高い溶融温度および他の化合物との相溶性の悪さに起因して、得られた乳酸系共重合ポリエステルは脆く、透明性にも劣る。ラクタイドと脂肪族ポリエステルの共重合体としてはε−カプロラクトンをあらかじめ重合してホモポリマーを得て、さらにラクタイドをブロック共重合化する方法が特開昭63−145661号公報に記載されている。
【0011】
しかしながら、ポリε−カプロラクトンにラクタイドをブロック共重合化する方法では、得られた共重合体は白濁不透明化する。これは、共重合体中のポリ
ε−カプラクトンブロックとポリ乳酸ブロックが相溶しにくく、ポリε−カプロラクトン鎖の脂肪族系ポリエステルが、一般に持つ高い結晶性を反映して白濁するためと考えられる。また示差熱分析による比較的高いガラス転移点にもかかわらず、室温で柔軟な性質である。
【0012】
これら従来の技術をまとめてみると、従来公知のポリ乳酸は、優れた分解性、透明性を有するものの、分解が早すぎたり、耐熱性に乏しい欠点を有するとともに、ラクタイドの結晶性に起因する剛性の為に、フィルム、シート等の包装材料に使用する為には、成形性が十分でなかった。
【0013】
また従来公知の乳酸系のコポリマーは、分解性は有するものの、汎用されている非分解性のポリマーに比して、分子量が低く、透明性を有していなかったり、また耐熱性が十分ではなかった。またラクタイドの剛性の為に、芳香族ポリエステルとの共重合コポリマーでは、フィルム・シート等の包装材料として使用する為には、十分な柔軟性を有していなかった。
【0014】
可塑化の手段として、残留モノマーであるラクタイドを可塑剤として用いた場合には、そのラクタイドの昇華飛散による製造工程での装置への付着汚染問題、貯蔵もしくは使用中に、可塑剤であるラクタイドがポリマー中から消失することによる可塑化効果の消失ならびに包装内容物の汚染等の問題がある。
【0015】
また一般の可塑剤を添加した場合にも、可塑化の為に多量の可塑剤添加を必要とし、可塑剤のブリードアウトの問題が不可避であり、貯蔵中での可塑化効果の消失ならびに包装内容物の汚染等の問題は解決されておらず、包装材料用ポリマーとして、十分満足できる特性を備えるポリマーは得られていなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、十分な高分子量、靭性を有し、用途に応じた剛性、柔軟性、透明性を有する分解性の乳酸系共重合ポリエステルの製造方法、並びに該製造方法により製造される乳酸系共重合ポリエステルから成る、優れた成形性、分解性、透明性を有するシート、フィルム等の汎用性の包装材料を提供することにある。
【0017】
【課題の解決するための手段】
このような課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討の結果、ラクタイドと、種々の構成割合からなる脂肪族ジカルボン酸成分および/または芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルポリマーとを、開環重合触媒の存在下に反応させて製造する乳酸系共重合ポリエステルは、ポリエステル部分とポリ乳酸部分の相溶性がよく透明性を持つこと、
【0018】
また、硬質で加水分解され易いポリ乳酸に対し、疎水的なポリエステルと共重合化を行なうことにより加水分解性が抑えられ、かつ脂肪族ジカルボン酸成分および芳香族ジカルボン酸成分の割合を任意に変えることにより、所謂、内部可塑化効果を有する、高いガラス転移点と融点を持つ硬質な樹脂から柔軟な性質を有する樹脂までの様々なポリエステルポリマーを製造できることを見い出した。
【0019】
更に、本発明の乳酸系共重合ポリエステルを用い、透明性を有し、包装材料用のシート、フィルムに適する引張弾性率(1%モジュラス)にして500〜50,000kg/cm2 のシート、フィルムが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0020】
即ち、本発明は上記課題を解決するために、(I)(a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜75重量%、とから構成される重量平均分子量2万〜40万での線状乳酸系共重合ポリエステルを必須の構成成分として成る包装材料を提供する。
【0021】
また、本発明は上記課題を解決するために(II)(a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分10〜35重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分65〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される重量平均分子量2万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルを必須の構成成分として成る包装材料を提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1で使用する重量平均分子量2万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルは、例えば、ラクタイド(A)25〜98部と、脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とから成る重量平均分子量1万〜25万の線状脂肪族ポリエステル(C)2〜75部とを、開環重合触媒(D)の存在下に、開環重合並びにエステル交換反応させる方法により製造することができる。
【0023】
本発明の請求項7で使用する重量平均分子量2万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルは、ラクタイド(A)25〜98部と、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール成分とから成る芳香族環を有する重量平均分子量1万〜25万の線状芳香族・脂肪族ポリエステル(E)2〜75部とを、開環重合触媒(D)の存在下に、開環重合並びにエステル交換反応させる
方法により製造することができる。
【0024】
ラクタイドは、乳酸を環状二量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーである。すなわち、ラクタイドには2つのL−乳酸からなるL−ラクタイド、D−乳酸からなるD−ラクタイド、L−乳酸とD−乳酸からなるMESO−ラクタイドが存在する。
【0025】
L−ラクタイド、またはD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点が得られる。本発明の乳酸系共重合ポリエステルはこれら3種のラクタイドを組み合わせることによって好ましい樹脂特性を実現できる。
【0026】
本発明では高い熱物性を発現するため、ラクタイドはL−ラクタイドを総ラクタイド中、75%以上を含むものが好ましく、さらに高い熱物性を発現するためには、ラクタイドはL−ラクタイドを総ラクタイド中90%以上を含むものが好ましい。
【0027】
脂肪族ポリエステル(C)は、脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分からなるものを意味し、高分子量であることが好ましく、具体的には重量平均分子量で10,000〜250,000である。高分子量の脂肪族ポリエステルを得る為には、脂肪族ジカルボン酸成分とジオール成分のモル分率は、ほぼ1であることが好ましい。
【0028】
ラクタイド(A)の使用割合については、特に制約はないが、好ましくはラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(C)の合計100重量部に対して25〜98重量部である。より透明性の良い樹脂を得る為には、ラクタイドと脂肪族ポリエステルの合計100重量部に対して75〜98重量部である。
【0029】
得られた乳酸系共重合ポリエステルをシート化すると、高い強度のシートから柔軟なシートまでを得ることができる。具体的には引張弾性率として500〜50,000kg/cm2 のシートが得られる。引張弾性試験についてはセイコー電子社製固体粘弾性測定装置DMS200を使用し、測定条件は23℃、50%相対湿度である。以下、特に断りのない限り、引張弾性率はこの条件で測定した貯蔵弾性率を指す。
【0030】
本発明で使用する脂肪族ポリエステル(C)中の脂肪族ジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、なかでも炭素原子数4〜14の脂肪族ジカルボン酸成分であることが好ましい。具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。この他にダイマー酸等も使用することが出来る。
【0031】
またジオール成分に関しては、特に種類を問わないが、なかでも炭素数が2〜10ジオールが好ましく、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、3−ヒドロキシピバリルピバレート等、および水添ビスフェノールが挙げられる。
【0032】
上記の方法で得られた乳酸系共重合ポリエステルは、透明性の良い樹脂を得ることができる。さらに、上記の方法で得られる乳酸系共重合ポリエステルは室温以上のガラス転移点や140℃以上の融点も実現でき、この目的のため、(A)と(C)の構成要素は重量比で(A)/(C)が75/25〜98/2であることが好ましい。
【0033】
さらに、高い透明性のポリマーを得る為には、ラクタイドの使用割合が、重量比で(A)と(C)の比率、(A)/(C)が85/15〜98/2であることが好ましい。
【0034】
乳酸系共重合ポリエステルは、高分子量のほうが広い温度範囲で成形加工することができるために好ましく、分子量は具体的に重量平均分子量で20,000〜400,000である。この分子量の範囲の乳酸系共重合ポリエステルをシート化すると高い強度のシートから柔軟なシートまで得られる。具体的には引張弾性率として500〜50,000kg/cm2 のシートが得られる。
【0035】
芳香族・脂肪族ポリエステル(E)は、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分の両ジカルボン酸成分とジオールから成るポリエステルを意味する。得られた乳酸系共重合ポリエステルの透明性を向上させるためには、非晶性なポリエステルが好ましい。
【0036】
また、芳香族・脂肪族ポリエステル(E)の分子量は、高いことが好ましく、具体的には重量平均分子量で10,000〜250,000が好ましく、ジカルボン酸成分とジオール成分のモル比は1前後であることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分と芳香族ジカルボン酸成分の量比は特には問わないが、なかでも脂肪族ジカルボン酸成分が全ジカルボン酸成分中にモル分率として10〜50%含まれることが好ましい。
【0037】
また、芳香族・脂肪族ポリエステル(E)中の芳香族ジカルボン酸成分は、具体的には、フタル酸、イソフタル酸および/またはテレフタル酸が好ましく、この他には、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分は炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分であることが好ましい。具体的にはコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。この他にダイマー酸等も挙げられる。
【0038】
ジオール成分に関しては、特に種類を問わないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブタンジオール、3−ヒドロキシピバリルピバレート等が挙げられる。
【0039】
エステル結合を多く有したポリ乳酸部分の性質によって、より高い融点、ガラス転移温度を実現でき、本発明で得られる乳酸系共重合ポリエステルは室温以上のガラス転移点や160℃以上の融点も実現できる。この目的のため、(A)と(E)の構成割合は(A)/(E)が50/50〜98/2であり、さらに、高い透明性と45℃以上のガラス転移点等の熱的特性を得る為には、ラクタイドの使用割合が、(A)/(E)が85/15〜95/5であることが好ましい。
【0040】
乳酸系共重合ポリエステルは、高分子量のほうが広い温度範囲で成形加工することができるために好ましく、分子量は具体的に重量平均分子量で20,000〜400,000である。この分子量の範囲の乳酸系共重合ポリエステルをシート化すると高い強度のシートから柔軟なシートまで得られる。具体的には引張弾性率として500〜50,000kg/cm2 のシートが得られる。
【0041】
本発明で使用する脂肪族ポリエステル(C)、および、芳香族・脂肪族ポリエステル(E)としては、融点または軟化点のいずれか低い方が200℃以下のものが好ましく、なかでも80〜190℃のものが好ましい。ここで本発明で言う、融点は示差走査熱量分析法(DSC)によるもので、軟化点はJIS−K−2531に準じるものである。
【0042】
重合反応には、開環重合触媒(D)を使用することが望ましく、本発明で使用する開環重合触媒としては、一般に環状エステル類の開環重合触媒、エステル交換触媒としても知られる錫、亜鉛、鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属およびその誘導体が挙げられ、これらの誘導体については特に金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。具体的には、オクタン酸錫、塩化錫、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムが適している。
【0043】
開環重合触媒(D)の量は、ラクタイド(A)と脂肪族ポリエステル(C)および/または芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分を含む芳香族・脂肪族ポリエステル(E)の合計の重量に対して0.01〜0.2重量%が好ましい。反応速度が十分に速く、かつ得られた乳酸系共重合ポリエステルの着色を少なくするためには、特に0.02〜0.1重量%が好ましい。
【0044】
次に、製造方法を順に説明する。ラクタイド(A)と芳香族・脂肪族ポリエステル(E)、または脂肪族ポリエステル(C)、またはこれらの混合物を加温溶融させ、または溶剤によって混合後、開環重合触媒(D)を添加する。反応温度はラクタイドの融点以上であると、反応系を均質にでき、速い重合速度が得られて望ましい。
【0045】
無溶剤系での反応温度は、ラクタイドの融点以上、かつ185℃以下の温度が反応の平衡上望ましく、また分解反応にともなう乳酸系共重合ポリエステルの着色を防ぐことができる。ラクタイドの融点は100℃付近であり、100℃以上185℃以下の温度、更に好ましくは、145〜180℃が反応の平衡上望ましく、分解反応にともなう乳酸系共重合ポリエステルの分子量の低下や着色を防ぐことができる。
【0046】
即ち、ラクタイドを溶融し、更に共重合に使用するポリエステルを、このラクタイドに溶解させて反応させることが好ましい。更にこの温度で、ポリエステルが溶融状態またはラクタイドに溶解して反応を行うことができる。
【0047】
ラクタイドの分解、着色を防ぐため、反応に適した雰囲気は乾燥した不活性ガスがよい。特に窒素、アルゴンガス雰囲気下、またはバブリング状態で反応を行う。同時に原料となる芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分を含む芳香族・脂肪族ポリエステル(E)、脂肪族ポリエステル(C)またはこれらの混合物は水分を除去し、乾燥させておく必要がある。
【0048】
また、ラクタイドは溶剤に溶解できるため、溶剤等を使用して反応できる。使用できる溶剤の例として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、イソプロピルエーテルが挙げられる。
【0049】
重合をGPCで追跡すると、当初、芳香族・脂肪族ポリエステル(E)、脂肪族ポリエステル(C)に起因する低分子量の画分と、ラクタイド(A)を含む共重合体、またはラクタイドのホモ重合体に起因する比較的に高分子量の画分が見られ、反応と共に中間の分子量の単一の画分となる。
【0050】
重合反応は、共重合に使用するポリエステルの末端OH基へ、ラクタイドがブロック状に開環付加重合して、A−B−A型のブロック状の共重合体が生成し、更にポリマー同士のエステル交換反応が進行するものと考えられる。このエステル交換反応を充分行うことによって、ホモ重合体を含まない乳酸系共重合ポリエステルが得られる。これら開環重合、およびエステル交換反応を通して、生成する乳酸系共重合ポリエステルは実質的に線状構造を保つ。
【0051】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、通常の反応釜を使用し製造することも可能であるが、高分子量化に伴う高粘度化の為に、通常の反応槽を使用した共重合反応では混合撹拌が妨げられ、局部加熱による部分変質が起こり易い。反応槽からの生成物の抜き出しの際も、器壁或いは撹拌翼へ生成物が付着して、収率の低下を招く。
【0052】
一般に、樹脂粘度が1万ポイズを越えるような高粘度領域では、重合熱はもとより、撹拌剪断応力により発生する撹拌熱の発生が激しく、動的撹拌ではその撹拌部に於ける局所的発熱が著しくなる為、剪断応力が小さく、しかも均一に作用するスタティック・ミキサーの使用が好ましい。
【0053】
またスタティック・ミキサーは、通常管状であり、複数のスタティック・ミキサーを線状に連結し、不活性ガス雰囲気下で原料仕込み口から原料を連続的に供給し、反応物がスタティック・ミキサー内を連続的に移動することにより、反応を連続的に、しかも外部大気に全く触れることなく、原料仕込みから、反応、脱輝、ポリマーのペレット化までを行なうことが出来る。
【0054】
ここで言うスタティック・ミキサーとは、撹拌機を有する混合装置に対して、可動部分の無い、即ち撹拌機のない静的混合装置のことであり、具体的には、管内に固定された可動部分の無いミキシング・エレメントにより、流れを分割し、かつ流れ方向を転換または反転させ、流れを縦方向、横方向に分割・転換・反転を繰り返す事により溶液を混合する混合装置を言う。
【0055】
スタティック・ミキサーの種類によっては、管外周部に熱交換の為のジャケットが備えられているものもあり、またミキシング・エレメント自体に熱媒体を通す熱交換の為のチューブが備えられているものもある。
【0056】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルの製造には、スタティック・ミキサーを備えた反応装置のみで全ての重合反応を行なうこともできるが、スタティック・ミキサーは、ポリマーが高粘度化する反応後半に、特にその撹拌効果を顕著に発揮する為に、反応初期におけるポリマー粘度の比較的低い段階では、通常の撹拌器を有する反応槽において反応させ、後半のポリマーが高粘度化する工程をスタティック・ミキサーを備えた反応装置で行うこともできる。
【0057】
この為、撹拌式反応槽と、これに連結したスタティック・ミキサーを備えた連続反応装置も用いる事が出来る。
【0058】
ラクタイド、ポリエステル系重合体、および得られた乳酸系共重合ポリエステルは溶剤等に溶解し易く溶剤等を使用して反応できる。また、得られた乳酸系共重合ポリエステルは融点が高い上、溶融粘度が高く、反応させ難いが、溶剤を加えることによって反応系の粘度は下がり、撹拌が容易になり、反応を行いやすくなる。
【0059】
特にスタティックミキサーを備えた連続重合装置を使用する場合、重合溶液の押し出し圧力が下がり、また、温度コントロールを目的として熱媒用内部装置や撹拌を目的とした邪魔板を持った反応装置では装置を軽装化でき有効である。
撹拌が容易なために温度コントロールが容易で反応装置中で温度が均質であり、着色等がより少ない乳酸系共重合ポリエステルが得られる。
【0060】
使用する溶剤の例として、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルエーテルが好ましく用いられる。溶剤を使用した反応を行う場合、反応速度は遅くなる。これを改良する目的で反応温度は165〜195℃にすることが好ましい。
【0061】
反応に際し、水分が反応系に入り込むと重合が阻害され、かつ分解反応が促進される為、反応は乾燥した不活性ガス雰囲気下がよい。特に窒素、アルゴンガス雰囲気下、または不活性ガス通気下で反応を行う。
【0062】
重合後期に残留したラクタイド、溶剤および臭気を持った物質を取り除く目的で減圧下に脱揮を行うことが望ましい。この脱揮工程によって残留ラクタイド量を減少することができ、得られた乳酸系共重合ポリエステルの保存安定性を著しく増すことが出来る。
【0063】
また残留ラクタイドは、乳酸系共重合ポリエステルをシート状に加工する場合、チルロールに付着堆積し、この堆積物がシート、フィルムに転写され斑状の模様を生じ好ましくない。また製品化したフィルム・シートから昇華により飛散する為、包装商品の汚染を生じ好ましくない。この為、本発明の乳酸系共重合ポリエステル中の残留ラクタイド量は、1重量%以下にすることが望ましい。
【0064】
具体的な脱揮の方法としては、重合後に減圧下、加熱しながら取り出しを行う方法が好ましい。乳酸系共重合ポリエステルの分子量を低下させない為に、脱揮条件は、脱揮時間は2〜30分、温度は145〜230℃、減圧度は0.1〜
50Torrで行なうことが好ましい。
【0065】
その他の脱揮方法としては、重合終了後に、乳酸系共重合ポリエステルをペレット化、または粉砕し、減圧下、加熱しながら取り出しを行う方法がある。
この場合も乳酸系共重合ポリエステルの分子量を低下させない目的で、脱揮時間は15〜400分、温度は60〜200℃、減圧度は0.1〜50Torrが好ましい。
【0066】
他の残存ラクタイドを減少させる方法としては、重合反応終了後に、乳酸系共重合ポリエステルを溶剤に溶解し、貧溶剤に加えることによって重合体を得る再沈澱法がある。乳酸系共重合ポリエステルを溶解する溶剤としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、
【0067】
メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン等と、これらの混合溶剤が溶解性が良く好ましく、貧溶剤としては水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ジエシルエーテル等とこれらの混合溶剤が挙げられる。
【0068】
再沈澱は、室温または加温しながら溶剤に2〜20重量%の濃度で乳酸系共重合ポリエステルを溶解後、撹拌しながら2〜15倍量の貧溶剤中に徐々に加え、10〜180分静置し沈澱を生成させ取り出しを行う方法が好ましい。
取り出した沈澱を減圧下または、および加熱状態下に残留した溶剤を取り除く。
これらの脱揮方法によって、通常、2.5%程度残留しているラクタイドを
1.0%以下、さらに必要に応じ、0.1%以下に減少させることができる。
【0069】
本発明の共重合体を製造する際、ラクタイド(A)以外の環状エステル類を、更に加えて乳酸系共重合ポリエステルを作ることもできる。特に軟質化を目的としてラクトンを総重量の1〜20重量%加えることが出来る。
【0070】
ラクタイド以外に加える環状エステル類については特に限定はないが、具体的にはグリコライド等のヒドロキシ酸の環状二量化物や、分子内ラクタイド類、特にε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ウンデカラクトン等が挙げられる。ラクトン類の量が増加するとガラス転移点、融点が低くなり柔軟性が高くなる。
【0071】
本発明による製造方法は、高い剛性を有する乳酸系共重合ポリエステルから、高い柔軟性を有する乳酸系共重合ポリエステルまでを提供できる。
【0072】
即ち、分解性、引張弾性率にして500〜50,000kg/cm2 を有し、広く汎用樹脂として使用し得るシートおよびフィルム等の包装材料用樹脂、発泡用樹脂、押し出し成形用樹脂、射出成形用樹脂、インキ用樹脂、ラミネーション用樹脂等の汎用樹脂として有用なポリマーを提供することができ、特に包装材料用ポリマーの製造方法として有用である。
【0073】
次に、本発明の包装材料としての乳酸系共重合ポリエステルについて、詳細に説明する。
本発明の包装材料としては、より具体的には、包装材料用のシート、フィルムを意味する。本発明による包装材料としての乳酸系共重合ポリエステルは、ポリ乳酸ブロックと、芳香族環部分および−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分から成るポリエステルブロックとから構成される線状乳酸系共重合ポリエステルを必須の構成成分として成る包装材料である。
【0074】
ここで言うポリ乳酸ブロックとは、ラクタイドが開環重合して成るラクタイド成分から成る構成部分を言い、また芳香族環部分および−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分から成るポリエステルブロックとは、原料ポリエステルに由来するポリエステル部分であり、芳香族ポリエステル原料に由来する芳香族環と芳香族環以外の直鎖部分構造、即ち、芳香族環以外のポリエステル残基部分としての、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分から成る構成部分から成っている。
【0075】
また原料ポリエステルに芳香族環を含有しない、脂肪族ポリエステルを用いる場合には、本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、ラクタイドが開環重合して成る構成部分ポリ乳酸部分と、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分から成るポリエステル部分とから成る。
【0076】
本発明の包装材料に用いられる乳酸系共重合ポリエステルは、上述のポリ乳酸ブロックとポリエステルブロックが、ブロック共重合、エステル交換して成るものである。またここでは、芳香族環を有するポリエステルを芳香族ポリエステル、また芳香族環を有しないポリエステルを、脂肪族ポリエステルと呼ぶことがある。
【0077】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、Tダイキャスト成形やインフレーション成形等の押出成形により容易にシート、フィルムに加工できる。乳酸系共重合ポリエステルは、吸湿性が高いために加水分解しやすく、シート、フィルム等の包装材の加工にあたっては、一般的な単軸押出機で容易に可能であるが水分管理が重要となる。
【0078】
スクリューは、通常のL/Dが20〜30程度のフルフライトタイプで良く、ベントを付設しても良い。単軸押出機を使用する時には、押出機内での加水分解を避けるため真空乾燥器等により除湿乾燥を行い、原料中の水分を50ppm以下に抑えるのが好ましい。適正な押出温度は使用する乳酸系共重合ポリエステルの分子量、残存ラクタイド量によって異なるが、流動開始温度以上が望ましい。
【0079】
Tダイキャスト成形では、押出後のシート、フィルム冷却は、通常温調された鏡面または梨地ロールにより冷却される。なおこの際に、エアーナイフを用いることができる。また、ベントを付設した二軸押出機を用いると、脱水効果が高いため、事前乾燥は必要なく、効率的な成膜が可能である。
【0080】
インフレーション成形の際は、通常のサーキュラーダイ、エアーリングを備えた成形装置で容易に成形でき、特別の付属装置は必要としない。なおこの際偏肉を避けるため、ダイ、エアリング或いはワインダーの回転を行っても良い。
【0081】
成膜されたシート、フィルムは、ガラス転移温度以上、融点以下の温度でテンター方式やインフレーション方式等で、一軸および二軸に延伸することができる。延伸処理を施すことにより、分子配向を生じさせ、耐衝撃性、剛性、透明性等の物性を改良することが出来る。
【0082】
なお、延伸は同時延伸、逐次延伸どちらでも良く、延伸速度に関しても、特に制限はない。延伸倍率も特に制限はないが、二軸延伸の際は縦横方向とも通常2〜4倍の延伸が有効である。なおシュリンクフィルム等の特に加熱時の収縮性を要求するような場合には、一軸或いは二軸方向への3〜6倍等の高倍率延伸が好ましい。
【0083】
また耐熱性を向上させる為、延伸直後にヒートセットを行い、歪の除去或いは結晶化を促進することにより耐熱特性を向上させることもできる。
【0084】
これらシート、フィルム成膜の際に、一般的なフィラー、例えばタルク、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、ケイソウ土、パーライト等の無機系充填剤、或いは木粉等の有機系充填剤を混入添加しても良い。
【0085】
また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、ブチル・ヒドロキシアニソール(BHA)の様な酸化防止剤、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、および、燐酸エステル、イソシアネート、カルボジイミド等の安定剤を使用し、成形時の熱的安定性を向上させることができる。
【0086】
これらの安定剤の添加量は、特に限定されるものではないが、乳酸系共重合ポリエステル重量に対して、通常0.1〜10%の量で添加することが好ましい。
また本発明の乳酸系共重合ポリエステルは、単独で十分熱可塑性があり、良好な溶融成形性を有するが、更なる軟質化を図る際には、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、トリオクチルトリメリテート、フタル酸ジエチル、
【0087】
フタル酸ジオクチル、ポリプロピレングリコールアジピン酸、アジピン酸ブタンジオール等の可塑剤を添加しても良い。なかでも、アジピン酸系ポリエステル可塑剤は、特に相溶性、添加による可塑化効果から好ましく、重量平均分子量が
20,000以下、かつポリエステルの末端がアルコール等で封止されているものが、成形、加工時に安定性が良く特に好ましい。
【0088】
これらの可塑剤の添加量は、特に限定されるものではないが、過剰の可塑剤が樹脂から溶出する現象、ブリーディングを避ける目的で、乳酸系共重合ポリエステルの重量に対して1〜30%の量で添加することが好ましい。
【0089】
またステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシュウム等の金属石鹸類、鉱油、流動パラフィン、エチレンビスステアリルアマイド等の滑剤、グリセリン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル等の非イオン系、アルキルスルホン酸塩等のイオン系等の界面活性剤、酸化チタン、カーボンブラックの様な着色剤等の添加も何等差し支えない。
【0090】
また、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム等の無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、スルホニルヒドラジド等の有機系発泡剤等の添加により、もしくはペンタン、ブタン、フレオン等の発泡剤を本発明ポリマーに事前に含浸させるか、押出工程の途中で押出機内に直接供給することにより発泡体とすることもできる。
また押出ラミ、ドライラミ或いは共押出により紙、アルミホイル、或いは他の分解性ポリマーフィルムとの積層化も可能である。
【0091】
シートの二次加工法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等が利用できる。本発明の乳酸系共重合ポリエステルのシート化は、汎用樹脂のシート製造に使用されている既存装置を用い、成形することが可能である。
【0092】
真空成形、真空圧空成形の場合には、プラグアシスト成形を行っても良い。延伸シートについては圧空成形を行うのが好ましい。なおこれら成形時に金型の加熱、冷却も任意に併用することができる。特に、金型を結晶化温度以上に加熱し、結晶化を積極的に進めることにより耐熱性能を向上させることもできる。
【0093】
フィルム製造については、横ピロー製袋機、縦ピロー製袋機、ツイストバック製袋機等通常の製袋機で容易にヒートシールし、袋状物を得ることができる。
これらシート、フィルム以外の加工製品を得る際には、通常の射出成型機を用いて容器等の型物を問題なくを得ることができる。
【0094】
またブロー成形も容易で、既存の成型機を使用することにより単層、多層ボトルを容易に成形を行うことができる。プレス成形についても特段の問題はなく通常の成型機で単層或いは積層製品を得ることができる。
【0095】
本発明の乳酸系共重合ポリエステルの具体的な用途例を、以下に述べるが、本発明の乳酸系共重合ポリエステルの用途は、これらに限定されるものではない。フィルムの用途としては、延伸の有無に拘らず、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋等の袋類、結束テープや食品用、工業用品用、電気製品用、繊維製品用、雑貨用等の一般包装用フィルム、或いは農業用マルチフィルム、ラベル等が挙げられる。
【0096】
シートとしては、トレー、発泡シート、養生シート、苗木ポット等が、また射出成形品では、日曜雑貨、玩具、食品容器、産業資材、工業用品等が挙げられる。特にポリ乳酸に比べ、耐水性が付与されるために、水分を含む食品包装、農資材用途には特に有望である。
【0097】
その他、紙、アルミホイル、他のポリマー等との押出ラミネーション或いはドライラミネーションによるカップ、紙パック、ケース等が挙げられる。更には型物発泡による魚箱、緩衝材或いはブロー成形による飲料ボトル、洗剤ボトル等が挙げられる。
【0098】
引張弾性率が15,000〜50,000kg/cm2 を示すような高い剛性を持った包装材料は、シ−ト、射出成形品用途に特に好ましい。ここでは、比較的厚膜状のものをシートと呼ぶ。シート用途の具体例としては、トレー、発泡シート、養生シ−ト、苗木ポット等が、また射出成形品では日用雑貨、玩具、食品容器、産業資材、工業用品等、その他に型物発泡による魚箱、緩衝材等が挙げられる。
【0099】
高い剛性と透明性を兼ね備えた包装材料用途には、ポリ乳酸ブロック75〜98重量%と、芳香族環部分10〜35重量%および−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分65〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される芳香族環を0.2〜9重量%含有し、かつ、重量平均分子量が10万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料が挙げられる。
【0100】
また、高い柔軟性を持った包装材料として、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分の両者を持つ芳香族・脂肪族ポリエステルとラクタイドの共重合体のうちでも、引張弾性率500〜20,000kg/cm2 を示す例として、ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、芳香族環部分10〜25重量%および−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される芳香族環を0.2〜19重量%含有し、かつ、重量平均分子量が4万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料、
【0101】
および、脂肪族ジカルボン酸成分のみを持つ脂肪族ポリエステルとラクタイドの共重合体のうちでも、ポリ乳酸ブロック25〜95重量%と、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素からなるポリエステルブロック5〜75重量%とから構成される重量平均分子量が4万〜40万で、引張弾性率が500〜20,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料が挙げられる。
【0102】
これら引張弾性率500〜20,000kg/cm2 を示す、高い柔軟性を持った包装材料は、フィルム用途に特に好ましい。ここではシートに比べ、比較的薄膜状のものをフィルムと呼ぶ。用途の具体例として、ゴミ袋、レジ袋、一般規格袋、重袋、結束テープや食品用、工業用品用、電気製品用、繊維製品用、雑貨用等の一般包装用フィルム、或いは農業用マルチフィルム、ラベル等が挙げられる。
【0103】
また、ラミネーション用途として、紙、アルミホイル、他のポリマー等との押出ラミネーション或いはドライラミネーションによるカップ、紙パック、ケース等が挙げられる。
【0104】
高い柔軟性と透明性を兼ね備えた包装材料として、ポリ乳酸ブロック75〜
98重量%と、芳香族環部分10〜25重量%および−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分75〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される、芳香族環を0.2〜7重量%含有する重量平均分子量4万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料、および、ポリ乳酸ブロック75〜98重量%と、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素からなるポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される重量平均分子量4万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料が挙げられる。
【0105】
本発明で得られる乳酸系共重合ポリエステルは、良い生分解性を持ち、汎用樹脂、包装材料等に使用された後に廃棄されたり、製造工程上から廃棄されたとしても、廃棄物の減量に役立つ。特に海中に投棄された場合でも、加水分解、微生物等による分解を受ける。海水中での分解も数カ月の間に樹脂としての強度が劣化し、外形を保たないまでに分解可能である。
【0106】
【実施例】
以下に実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、例中の部は特に記載のない限り全て重量基準である。
【0107】
(製造例1)
ステンレス304製のアンカー翼を持った20Lフラスコを使用して重合を行った。芳香族ジカルボン酸成分および脂肪族ジカルボン酸成分を含むポリエステル(テレフタル酸成分14モル%、イソフタル酸成分16モル%、アジピン酸成分20モル%、エチレングリコール成分28モル%、ネオペンチルグリコール成分22モル%、重量平均分子量45,800(数平均分子量:19,800、ポリスチレン換算))4部に、L−ラクタイド79部およびD−ラクタイド2部
【0108】
を加え、さらに溶剤としてトルエン15部を加え、不活性ガス雰囲気下、100℃で1時間、両者を溶融・混合させ、触媒としてオクタン酸錫を0.02部加えて165℃で1時間、この後175℃で3.5時間の反応を行った。
【0109】
反応終了時の乳酸系共重合ポリエステルをサンプリングすると無色透明な樹脂であった。重量平均分子量196,000のラクタイドと共重合した乳酸系共重合ポリエステルが確認され、GPCのピークは単一で単一の共重合体が生成していた。この重合溶液を高粘度用の保温可能なギヤポンプで熱交換器、脱揮槽等からなる装置へ重合溶液を導き、脱揮処理を行った。脱揮装置の前の熱交換器の温度は230℃、脱揮槽の真空度は4〜8Torrであった。
【0110】
得られた乳酸系共重合ポリエステルをペレット化し、各種の性状や物性測定を行った。GPCの結果から重量平均分子量181,000の乳酸系共重合ポリエステルが確認され、ラクタイドモノマーは0.4%が残留したが、トルエンは確認されなかった。融点は168.98℃であった。無色透明の乳酸系共重合ポリエステルが得られた。
【0111】
この乳酸系共重合ポリエステルペレットを、ホットプレスで10cm×10cm、厚さ100μmのシートとし、海水中、35℃に浸漬し、生分解試験を試みた。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
(製造例2)
内径0.5インチ、長さ60センチのスタティック・ミキサーを4基直列に連結した循環重合ラインと、内径3/4インチ、長さ50センチのスタティック・ミキサー(ノリタケ製、ミキシングエレメント15個内蔵)を4基直列に、循環用ギヤポンプを備えた循環重合ラインより引き続き連結した重合ラインとからなる重合領域を有する連続重合装置を用いた。
【0114】
触媒は触媒供給ポンプにより、主原料供給ポンプの直前で内径1/4インチ、長さ15.5cmのスタティックミキサー(ノリタケ製、ミキシングエレメント12個内臓)により主原料と混合した。
【0115】
窒素ガス雰囲気下で調製した主原料溶液、L−ラクタイド85部、D−ラクタイド5部、脂肪族系ポリエステル(コハク酸成分50モル%、エチレングリコール成分50モル%、重量平均分子量70,000)10部、触媒としてチタン酸テトライソプロピル0.04部を用い、以下の条件で連続的に重合した。
【0116】
【0117】
この重合溶液を高粘度用の保温可能なギヤポンプで熱交換器、脱揮槽等からなる装置へ重合溶液を導き、脱揮処理を行った。脱揮装置の前の熱交換器の温度は230℃、脱揮槽の真空度は4〜10Torrであった。得られた乳酸系共重合ポリエステルは、黄色みを帯びた透明の樹脂で、これをペレット化した後に、各種の性状や物性測定を行った。
【0118】
GPCの結果から重量平均分子量16,2000の乳酸系共重合ポリエステルが確認された。融点は166.2℃であった。
ホットプレス機で200μm厚のフィルムを作成し、引張弾性率を測定したところ、12,000kg/cm2 であった。
【0119】
この乳酸系共重合ポリエステルペレットをホットプレスで10cm×10cm、厚さ100μmのシートとし、海水中、35℃に浸漬し、生分解試験を試みた。結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
(実施例1)
製造例2で得たペレットを十分に絶乾状態にし、押出温度190℃の条件で、L/D=24の押し出しスクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック社製)により押し出し、厚み1.0mmの透明性の優れたシートを得た。押し出し条件はスクリュー回転数は44rpm、吐出量は25kg/hr、背圧は148kg/cm2 、引取速度は1.3m/minであった。
【0122】
得られたシートの分子量測定を行うと共に、JIS−K−7127に基づき短冊形試験片を作成し、引張試験により引張弾性率、引張強度、引張伸びの測定を、並びに、JIS−K−7105によりヘイズ測定を行った。
結果を表3に示す。この結果から、このポリマーは通常の押出機で容易にシート化でき、作成したシートは熱安定性が良く分子量低下が少なく、透明性、引張強度、剛性に優れたシートが得られた。
【0123】
(実施例2)
実施例1と同じ原料、温度条件で厚さ0.15mmのシートを作成した。サンプル採取時のスクリュー回転数は24rpm、吐出量は16kg/hr、背圧は86kg/cm2 、引取速度は6.0m/minであった。実施例30と同様な方法を用い引張弾性率、引張強度、引張伸び、ヘイズ、及びエルメンドルフ引裂強度、折り割れ強度の測定を行った。
【0124】
結果を表3に示す。なおエルメンドルフ引裂強度はJIS−K−7128に基づき測定を行い、16枚あたりの強度を示す。また折り割れ強度は次の方法によった。シートを最初180度折り曲げ、折り目を先端を滑らかにした金属片でしごいた後、反対側に360度折り曲げ同様に金属片でしごく。この作業を亀裂が入るまで続け、それまでの回数を折り曲げ強度とした。またこのポリマーは通常の押出機により薄手のシートも容易に成膜できた。
【0125】
(実施例3)
実施例1と同様な原料、温度条件で0.03mmフィルムを採取した。サンプル採取時のスクリュー回転数は24rpm、吐出量は16kg/hr、背圧は86kg/cm2 、引取速度は30.0m/minであった。実施例1と同様な方法を用い引張弾性率、引張強度、引張伸び、ヘイズの測定を行った。結果を表3に示す。このポリマーは通常の押出機によりフィルムも容易に成膜できた。
【0126】
【表3】
【0127】
(実施例4)
実施例1で得た乳酸系共重合ポリエステルの1.0mmのシートを縦12
cm、横12cmに裁断し、二軸延伸装置(岩本製作所製)を用いて、チャック間を10cmとし、延伸温度条件50〜110℃、延伸速度600%/分で逐次延伸により延伸し、延伸適性を調べた。倍率は縦方向、横方向同倍率で行い、
各々2〜6倍まで変化させた。ここで延伸可能範囲の評価は3段階で行った。
【0128】
評価は延伸できず破断したものを×、破断の発生はないが均一に延伸できなかったものを△、何等問題なく良好に延伸できたものを○とした。結果を表4に示す。このシートの良好に延伸できる許容範囲は60〜90℃と広く、しかも70℃での最高延伸倍率は6×6倍とかなり高倍率まで延伸できた。
【0129】
【表4】
【0130】
作成したサンプルのうち60℃、70℃、80℃の3×3延伸により得られた厚さ0.1mmのサンプルについて、ASTM D−1504に基づき分子配向を調べるための配向緩和応力の測定、引張弾性率、引張強度、引張伸び、ヘイズの測定を行った。結果を表5に示す。(MDは流れ方向、CDは流れ方向に直角の方向を意味する。)配向緩和応力を大きくすることにより、透明性を維持したまま、剛性、強度の向上したサンプルを得ることができた。
【0131】
【表5】
【0132】
(実施例5)
製造例2で得たペレットにアジピン酸と1,3−ブタンジオールよりなるポリエステル系可塑剤を10%及び20%添加し、混練温度を160℃とし、L/D=10のニーダー(栗本鐵工所社製)で混練後、ペレタイザーによりペレット化した。このペレットを実施例30と同様の装置を使用し、180℃の押出温度で成膜を行った。
【0133】
得られた0.03mmのフィルムの物性を実施例30と同様な方法で測定した。測定結果を表6に示す。この結果から明らかなように、この可塑化された本発明のポリマーから透明な柔軟性の高いフィルムを得た。
【0134】
【表6】
【0135】
(実施例6)
実施例3及び実施例5の可塑剤10%添加を行った0.03mmフィルムを、ヒートシーラー(テスター産業株式会社)を用い、ヒートシール試験した。
加熱時間1秒、加熱圧力3kg/cm2 の条件下でシールを行った。結果を表7に示す。この結果からシール温度90℃以上において、製袋等を行うのに必要な、十分な強度が得られた。
【0136】
【表7】
【0137】
(実施例7)
実施例2で得られた0.15mmシートを真空成型機(三和工業社製)により成形を行った。加熱時間5秒、成形・冷却時間5秒、離型時間1秒の条件下で惣菜トレー蓋を成形したところ、型再現性、透明性の優れた成型品を得ることができた。
【0138】
(実施例8)
実施例4で得られた70℃、3×3延伸サンプルを圧空成型機により成形を行った。加熱圧力1.0kg/cm2 、成形圧力3.0kg/cm2 、成形時間1.5秒、金型温度40℃、熱板温度90℃の条件下で実施例36と同様の惣菜トレー蓋を成形したところ、型再現性の良い成型品を得ることができた。
【0139】
(比較製造例1)
ポリエチレンテレフタレート(シート状)90部に、ポリ乳酸10部を加え、オクタン酸錫を0.02部加えて、不活性ガスで雰囲気を置換し、220℃で3時間、反応させた。反応中、ポリ乳酸は溶融し、著しい褐色に着色した。ポリエチレンテレフタレートはわずかに軟化するのみで共重合体は生成しなかった。
【0140】
(比較製造例2)
ポリエチレンテレフタレート(重量平均分子量18,300)10部に、ε−カプロラクトン10部を加え、オクタン酸錫を0.02部加えて、不活性ガスで雰囲気を置換し、165℃で8時間、反応させ、重量平均分子量45,800の共重合体が得られ、白色不透明な樹脂であった。
【0141】
(比較例1)
重量平均分子量16万のポリ乳酸(ピュラック社製)を、実施例31と同一の押出機、条件で押し出し、0.15mmのシートを作製した。このシートの引張強度、引張弾性率、引張伸び、ヘイズ、エルメンドルフ引裂強度、折り割れ強度を実施例31と同様な方法で測定した。結果を表8に示す。
【0142】
この測定結果と実施例31の結果から、本発明品は引張弾性率がポリ乳酸に比べて低下し柔軟になっていることが分かる。また柔軟になった結果、ポリ乳酸の欠点である引裂強度、折り割れ強度もポリ乳酸に比べ向上しており靭性が増加していることが分かる。
【0143】
【表8】
【0144】
【発明の効果】
本発明の包装材料は、十分な高分子量、靭性を有し、用途に応じた剛性、柔軟性、透明性を有する分解性の乳酸系共重合ポリエステルを用いているので、成形性、分解性、透明性に優れている。
Claims (13)
- (a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜75重量%、とから構成される重量平均分子量2万〜40万での線状乳酸系共重合ポリエステルを必須の構成成分として成る包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック80〜98重量%と、(b)脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜20重量%とから構成される重量平均分子量が10万〜40万で、かつ、引張弾性率が15000〜50000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る請求項1記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック25〜95重量%と、(b)脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素からなるポリエステルブロック5〜75重量%とから構成される重量平均分子量が4万〜40万で、かつ、引張弾性率が500〜20,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る請求項1記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック75〜98重量%と、(b)脂肪族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素からなるポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される重量平均分子量が4万〜40万で、かつ、引張弾性率が500〜20,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る透明な請求項1記載の包装材料。
- 包装材料が、シートまたはフィルムである請求項1から4のいずれか一つに記載の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料。
- 包装材料が、一軸または二軸方向に延伸されたシートまたはフィルムである請求項5記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分10〜35重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分65〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される重量平均分子量2万〜40万の線状乳酸系共重合ポリエステルを必須の構成成分として成る包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分20〜35重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される芳香族環を0.4〜28重量%含有し、重量平均分子量が10万〜40万で、かつ、引張弾性率が15000〜50,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る請求項7記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック25〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分10〜25重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素から構成されるポリエステルブロック2〜75重量%とから構成される芳香族環を0.2〜19重量%含有し、重量平均分子量が4万〜40万で、かつ、引張弾性率が500〜20,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る請求項7記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック75〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分10〜35重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分65〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される芳香族環を0.2〜9重量%含有し、重量平均分子量が10万〜40万で、かつ、引張弾性率が15,000〜50,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る透明な請求項7記載の包装材料。
- (a)ポリ乳酸ブロック75〜98重量%と、(b)芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分を反応させて得られる、(b-1)芳香族環部分10〜25重量%および(b-2)−COO−基を含有する鎖状炭化水素および/または脂環式炭化水素部分75〜90重量%から成るポリエステルブロック2〜25重量%とから構成される芳香族環を0.2〜7重量%含有し、重量平均分子量が4万〜40万で、かつ、引張弾性率が500〜20,000kg/cm2 の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る透明な請求項7記載の包装材料。
- 包装材料が、シートまたはフィルムである請求項7から11のいずれか一つに記載の線状乳酸系共重合ポリエステルから成る包装材料。
- 包装材料が、一軸または二軸方向に延伸されたシートまたはフィルムである請求項12記載の包装材料。
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