JP3674111B2 - データ伝送装置 - Google Patents

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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車電話等におけるディジタルデータ伝送に用いるデータ伝送装置に関するものであり、特に軟判定装置を備えるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルデータ伝送に用いるデータ伝送装置は、通常、伝送路において生じたデータの誤りを訂正する誤り訂正機能を有する。この訂正のために用いられる符号には、通報と符号語とが逐次的に対応する畳み込み符号がある。この畳み込み符号を復号するための手段としてもっとも良く用いられるのがビタビ復号である。
【0003】
ビタビ復号とは、畳み込み符号のもつ繰り返し構造を利用して最尤復号を効率的に実行する復号法である。詳しくは後述するが、符号器の状態と入力符号とから定まる状態遷移図(トレリス線図と呼ばれる)において、ハミング距離が小さい方のパスを選択することにより途中の誤りを訂正し正しく復号することが可能である。このとき、ハミング距離を形成する際に、復合器の入力データを0か1かの2値で判定する方法と、復合器の入力データを2値ではなく多値にする方法とがある。前者を硬判定、後者を軟判定という。軟判定は、硬判定の場合よりも伝送上の情報の信頼性がより反映されるという特徴を有する。
【0004】
従来の軟判定装置を備えるデータ転送装置を説明する前に、技術的な理解のためにまず技術的背景について説明し、その後、従来技術について説明する。
【0005】
(技術的背景1) FIRフィルタ
FIRフィルタは有限インパルス応答(Finite Impulse Response )フィルタの略で、インパルス応答が有限時間に終了するフィルタである。図22にFIRフィルタの構成を示す。FIRフィルタは、遅延要素(同図の、遅延1、遅延2、・・・、遅延L)により入力される信号に順次遅延を与えるとともに、乗算器(同図のMULT 0、・・・、MULT L)によりタップ係数c0 ,・・・,cL を乗算した後、加算器(同図のSUM)によりこれら複数の乗算結果を加算するものである。遅延要素の遅延量は、通常、一定値である。
【0006】
(技術的背景2) 符号間干渉(ISI)を有する伝送路モデル
23にISIを有する伝送路のモデルを示す。本モデルは伝送路特性をFIRフィルタで表現したものである。本モデルにおいて、受信信号は、送信された信号を直接受信した先行信号と反射等により遅延して受信された遅延信号との合成信号である。同図において、各遅延信号の時間差は遅延回路DELAY(シフトレジスタ)によって与えられる。先行信号は、乗算器MULT0により送信信号In とタップ係数c0,n とを乗算することにより得られる。ここで、下付きのnは時刻を意味する。遅延信号は、乗算器MULT1〜Lにより遅延された送信信号In-1 〜In-L とタップ係数c1,n 〜cL,n とをそれぞれ乗算することにより得られる。そして、乗算器MULT0〜Lの出力は加算器SUMにより合成される。更に、加算器ADDにより加算器SUMが出力する合成波に雑音Wn が加算されて受信信号rn として出力される。
【0007】
ISIが存在しない場合には、受信信号rn は次式で表現される。
n =c0,nn +wn (1)
この場合、c0,n が既知で、雑音が小さければ、rn からIn を容易に推定できる。
【0008】
しかし、図23のモデルによれば、伝送路に対して{In }なる送信系列を送信した場合、この送信系列は、伝送路で加法的白色ガウス雑音(AWGN)wn ばかりでなくISIを受ける。したがって、受信信号rn は時刻nだけではなく、それより過去のIn を含む。このときの受信信号rn は次式で表現される。
n = Σ ci,nn-i +wn (2)
ここで、総和Σはi=0,・・・,Lについてとり、LはISIが影響を与える時間長(伝送路メモリ長)を示す。
【0009】
23の伝送路モデルでは、時刻nから時刻(n−L)まで送信系列が含まれることになる。
ところで、rn からIn を推定するときに、最尤系列推定がしばしば用いられる。
【0010】
(技術的背景3) ビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定
G.D.Forney,Jr 著の“Maxmum-likelihood sequence estimation of digital sequence in presence of intersymbol interference ”(IEEE Trans. Information Theory, vol.IT-18, pp.363-378, May 1972 )に示されたビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定の説明を順次行う。
【0011】
ビタビアルゴリズムとは、畳み込み符号の復号法として最も良く用いられるものである。
畳み込み符号の簡単な例として、情報1ビットの入力で2ビットの畳み込み符号を出力する場合を考える。1ビットの入力から2ビットの出力を得ることになるので、この畳み込み符号の符号化率は1/2になる。この例では、2つ前の入力が決まるとその次に入力されるデータの0、1による出力はすべて規則性を持っている。すなわち、符号化装置に1ビットが入力されるとき、すでに保持されている2ビット分のデータによって状態(ステート)が決まり、このステートごとに次の入力ビットによる符号の状態が決まることになる。
【0012】
23のISIを有する伝送路モデルによれば、受信信号は現在の送信信号だけでなく過去の送信信号によっても決定される。したがって、現在の送信信号を推定するためには過去の送信信号も考慮する必要がある。
【0013】
この過去の送信信号の組み合わせによって構成される送信系列の候補がステートに相当する。遅延回路が1シンボル周期(L=1)であれば、ステートは、ステート[0]とステート[1]の2種類であり、遅延回路が2シンボル周期(L=2)であれば、ステートはステート[0,0]、ステート[1,0]、ステート[0,1]、ステート[1,1]の4種類である。このように、ステートは送信系列の組み合わせで表現される。
【0014】
ところで、復調アルゴリズムであるビタビアルゴリズムのメモリ長をVとすると、時刻nにおけるステートSn 及び時刻n−1におけるステートSn-1 はそれぞれ(3)、(4)式で表現できる。
n =[In-v+1 ,In-V+2 ,・・・,In ] (3)
n-1 =[In-V ,In-V+1 ,・・・,In-1 ] (4)
【0015】
ただし、これ以降表記を簡単にするため、ステートSn を単にIn-V+1n-V+2 ・・・In と表わすことがある。例えば、ステート[0,1]は01と表現される。
ここで、2つのステートSn 、Sn-1 のうちIn-v+1 からIn-1 のV−1個の送信系列は同一値となる性質を利用して図24のトレリス図が作成できる。トレリス図とは、符号器の状態と入力符号とから定まる状態遷移図である。
【0016】
24において、送信信号の候補の数UがU=2であって、信号が0と1の2値をとる場合、ステート個数MはM=UV =22 =4となる。すなわち、本例はIn を0,1としV=2としたので、Sn は00、10、01、11の4ステートでトレリスが構成される。これらのステートを仮にA,B,C,Dとする。
【0017】
24において、縦方向は上から順にステートA,B,C,Dを、横方向は左から順に時刻n−1,n,n+1,n+2,n+3,n+4を示す。また、各ステート(白丸)から次の時刻の2つのステートにそれぞれ線が引かれているが、この線分は時刻変化に伴うステートの変化を示す。たとえば、ステートAからはステートA及びBに対して2本の線が引かれる。ステートAからステートAへの線は入力データが0の場合を示し、データ入力前とデータ入力後とでステートが同じ00であることを示す。ステートAからステートBへの線は入力データが1の場合を示し、データ入力前のステート00からステート10に変化することを意味する。
【0018】
このトレリスにおける線分Sn-1 /Sn は枝と呼ばれる。この枝は、送信系列In-V 〜In により一意的に決定される。これを(5)式のように表現する。
n-1 /Sn =[In-V ,In-V+1 ,・・・,In ] (5)
【0019】
なお、ステートの表記と同様に表記を簡単にするため、枝Sn-1 /Sn を単にIn-Vn-V+1 ・・・In と表わすことがある。例えば、枝[1,0,1]を101のように表現する。
【0020】
ところで、V=Lと設定した場合、すなわち、ISIが影響を与える時間長(伝送路メモリ長)とビタビアルゴリズムのメモリ長とが等しい場合、(2)式で示されるrn の推定値(レプリカ)hn は、(6)式に示すように一意的に推定される。
n = Σ gi,nn-i (6)
ここで、ci,nの推定値をそれぞれgi,nとした。また、総和Σはi=0,・・・,Lについてとる。
【0021】
また、トレリスにおいて、互いに接続された折れ線SVV+1 ・・・Sn はパスと呼ばれる。このパスは一意的に枝SV /SV+1 、SV+1 /SV+2 、・・・、Sn-1 /Sn を決定するとともに、I0 からIn の送信系列を決定する。
25に、図24のトレリスを用いて、送信系列[In-2 ,In-1 ,・・・,In+4 ]=[1,0,1,1,0,0,1]に対応するパスSn-1n ・・・Sn+4 を示す。太線はパスであり、太い白抜きの丸はパスの通るステート、ステートとステートを結ぶ太線はパスによって決定される枝である。なお説明の都合上、図25のステートBとCとは、図24の場合と逆になっている。また、図26に図25のパスに沿ったステート及び枝の遷移を示す。
【0022】
26からわかるように、送信系列のデータは2つづつ順次シフトしていく。たとえば、送信系列の最初の2つのデータ1、0が入力されると時刻n−1のステートは01になる。これがステートSn-1 である。
次にデータ1が入力されると時刻nのステートは10になる。これがステートSn である。
以下同様にデータ1001が入力されると、時刻n+1,・・・,n+4のステートSn+1 、・・・、Sn+4 は、11、01、00、10である。
以上のように、送信系列[In-2 ,In-1 ,・・・,In+4 ]に1対1に対応してパスが決定される。
【0023】
逆に、パスが決定できれば送信系列を特定することができる。受信信号からパスを推定するために、各枝において推定がなされる。これには枝メトリックが用いられる。枝メトリックとは、受信信号rn と、各枝によって決定される送信系列の候補In 及び推定値gi,n によって再生された受信信号のレプリカhn との2乗誤差のことである。この2乗誤差は、ステートから次のステートへの遷移の確からしさ、すなわち枝の生起する確からしさを表している。
【0024】
枝Sn-1 /Sn により決定されるIn-V からIn の送信系列の候補値In-i からrn のレプリカhn [Sn-1 /Sn ]を以下のように作成できる。
n [Sn-1 /Sn ]= Σ gi,nn-i (7)
ただし、総和Σはi=0,・・・,Lについてとる。
【0025】
実際の受信信号rn と枝[Sn-1 /Sn ]により決定されるレプリカhn [Sn-1 /Sn ]の2乗誤差、すなわち枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]は以下のように表現できる。
n [Sn-1 /Sn ]={ABS(rn −hn [Sn-1 /Sn ])}2 (8)
ただし、ABS()はユークリッド空間におけるベクトルの長さを意味する。(8) 式では、点rn と点hn [Sn-1 /Sn ]との距離の2乗を示す。
つまり、枝[Sn-1 /Sn ]により一意的に枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]が決定される。
【0026】
また、パスに沿って一意に決定される枝についての枝メトリックの全ての合計累積2乗誤差のことをパスメトリックと呼ぶ。各ステートにおいて、U個(図24ではU=2)のパスがあるが、これらパスの中でパスメトリックが最小のパスを生き残りパスと呼ぶ。各ステート毎に生き残りパスが存在する。
【0027】
この生き残りパスを求めるための処理がACS処理である。ACSとはAdd-Compare-Select(加算・比較・選択)の略である。
加算処理とは、(9)式に示す1時刻過去のステートSn-1 に対応した生き残りパスメトリックFn-1 [Sn-1 ]と枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]を加算する操作である。
n [Sn-1 /Sn ]=En [Sn-1 /Sn ]+Fn-1 [Sn-1 ] (9)
ここで、Fn [Sn ]はステートSn に対応する生き残りパスメトリックを表わし、Fn [Sn-1 /Sn ]は枝Sn-1 /Sn に対応するパスメトリックである。
【0028】
比較処理とは、各ステートに対して作成されるU個のパスメトリックを比較する操作である。最尤系列推定全体としては、M個のステートにU個の枝が存在するため(M・ U)個のパスメトリックが作成される。
選択処理とは、各ステートにおいて比較処理の結果からパスメトリックの最も小さいものを選択し、選択したパスメトリックに対応する系列を現時刻の生き残りパスとして選択する操作である。
【0029】
以上がビタビアルゴリズムを用いた最尤系列推定の説明である。このように、G.D.Forneyにより示された最尤系列推定は、シンボルレートの受信信号を入力し、各ステートに対して逐次ACS処理を行う。全ての入力信号系列を入力した後、最終的に残った生き残りパスの中で最小のパスメトリックを有するパスを最尤パスとし、この最尤パスによって決定される唯一の系列(最尤系列)が送信した系列として判定される。
【0030】
(技術的背景4) 軟判定
軟判定について説明する。符号化の一種に畳込み符号化があり、畳込み符号の最適復号法にはビタビアルゴリズムが用いられる。このビタビアルゴリズムの入力には、0または1というような2値量子化したデータ(硬判定値という)でなく、信頼度も含んだ例えば0. 2や0. 9等というデータ(軟判定値という)を入力した方が良好な誤り率特性を示す。それゆえ、畳込み符号の復号には軟判定値を用いた場合、誤り率特性を改善することができる。しかし、上述の最尤系列推定では軟判定値を計算することができないので、軟判定値の計算に最大事後確率推定が利用されることが多い。
【0031】
L.R.Bahl, 他著の“Optimal decoding of linear codes for minimizing symbol error rate ”(IEEE Trans. Information Theory, vol.IT-20, pp.284-287, March 1974 )に示された最大事後確率推定の説明を行う。
【0032】
送信信号は0,1の2値をとるとする。ISIを有した受信信号から送信信号の推定値In-V+1 が1である確率を計算するには、上述のトレリスにおいて、送信系列によって決定するパスがステートSn の中でIn-V+1 =1となるステートのどれかを通る確率を計算すればよい。すなわち、In-V+1 =1となる確率P[In-V+1 =1]を以下のように表現できる。
P[In-V+1 =1]= Σ P[Sn ] (10)
ここで、P[Sn ]は送信系列によって決定するパスがステートSn を通る確率であり、P[Sn ]はトレリス図において時刻nより過去のステート遷移の確率に依存する前方確率Pf [Sn ]と、時刻nより未来のステート遷移の確率に依存する後方確率Pb [Sn ]の積として表わすことができる。また、総和ΣはIn-V+1 =1のときにとりうるすべてのステートSn についてとる。
【0033】
まず、前方処理について説明する。前方処理は上述の前方確率Pf [Sn ]を計算する処理である。いま、Sn に繋がる枝の生起確率PE [S0 n-1 /Sn ]及びPE [S1 n-1 /Sn ]と、一時刻過去のステートS0 n-1 、S1 n-1 の前方確率Pf [S0 n-1 ]、Pf [S1 n-1 ]がわかっている場合、ステートSn の前方確率Pf [Sn ]は(11)式によって計算できる。
Figure 0003674111
【0034】
したがって、(11)式に基づいて生起確率が既知である始点からの各時刻における全てのステートの前方確率を逐次計算することができる。なお、枝の生起確率については後で説明する。
【0035】
同様に、Sn に繋がる枝の生起確率PE [Sn /S0 n+1 ]及びPE [Sn /S1 n+1 ]と、一時刻未来のステートS0 n+1 、S1 n+1 の後方確率Pb [S0 n+1 ]、Pb [S1 n+1 ]がわかっている場合、ステートSn の後方確率Pb [Sn ]は(12)式によって計算できる。
Figure 0003674111
【0036】
したがって、(12)式に基づいて生起確率が既知である終端から各時刻における全てのステートの後方確率を逐次計算することができる。
よって、各時刻nにおける確率P[In-V+1 =1]は(13)式を用いて計算できる。
P[In-V+1 =1]= Σ Pf [Sn ]・Pb [Sn ] (13)
ここで、総和ΣはIn-V+1 =1のときにとりうるすべてのステートSn についてとる。
確率P[In-V+1 =1]が0. 5以上の場合はIn-V+1 =1であると、また、0. 5より小さい場合はIn-V+1 =0と推定することができる。
【0037】
以上が最大事後確率推定の説明である。この事後確率に基づき、(14)式によって軟判定値yn-V+1 を計算することができる。
n-V+1 =log(P[In-V+1 =1]/P[In-V+1 =0]) (14)
ここで、P[In-V+1 =0]はIn-V+1 =0となる確率であり、P[In-V+1 =1]と同様の計算によって求めることができる。
【0038】
軟判定値yn-V+1 が0以上の場合、In-V+1 =1であると、0より小さい場合、In-V+1 =0とそれぞれ判定される。これは硬判定である。このときのyn-V+1 の絶対値はその信頼度を表わす。
【0039】
次に、枝の生起確率について説明する。上述の伝送路モデルにおいて、枝の生起確率は(15)式のように表わすことができる。
Figure 0003674111
ここで、En [Sn-1 /Sn ]は(8)式の枝メトリックであり、σ2 は雑音電力を表わす。
【0040】
さらに、σ2 が一定の場合、
A={1/(2π)1/2 σ}・exp(1/2σ2 ) (16)
と置くことにより(15)式は(17)式のように書き換えることができる。
E [Sn-1 /S n]=A・exp(−En [Sn-1 /Sn ]) (17)
【0041】
ところで、軟判定値は、(14)式に示すようにP[In-V+1 =1]とP[In-V+1 =0の比に依存するので、σ2 が一定の場合はA=1として(18)式のように定義しても、軟判定値は影響を受けない。
E [Sn-1 /S n]=exp(−En [Sn-1 /Sn ]) (18)
【0042】
次に、枝メトリックによる軟判定値の計算について説明する。
各確率P[In-V+1 =1]、Pf [Sn ]、Pb [Sn ]を(19)〜(21)式のようにメトリックで表現する。
P[In-V+1 =1]=exp(−p[In-V+1 =1]) (19)
f [Sn ]=exp(−pf [Sn ]) (20)
b [Sn ]=exp(−pb [Sn ]) (21)
【0043】
すると、(11)〜(14)式は(22)〜(25)式のように書き換えることができる。
Figure 0003674111
【0044】
このように、枝メトリックより軟判定値を計算する場合、対数・指数演算を頻繁に行うとともに、大規模なメモリが必要となるため、実時間での処理が困難である。そこで、(22)〜(25)式を簡略化して、軟判定装置に適用している。
【0045】
(従来の軟判定装置を備えるデータ転送装置の説明)
次に従来の軟判定装置の一例について説明する。
27はデータ伝送装置に用いられた従来の軟判定装置のブロック図である。この例は特開平3−9617号に記載された軟判定装置である。
【0046】
27において、11は受信信号入力端子、362は伝送路の特性gi,n を推定して出力する伝送路特性推定回路、363−1〜363−(2M)は受信信号及び伝送路の特性に基づき枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]をそれぞれ求める枝メトリック作成回路、364−1〜364−Mは2つの枝メトリック作成回路に基づきACS処理を行うACS回路(i=1,2,・・・,Mとしたとき、ACS回路364−iと枝メトリック作成回路363−(2i−1)及び(2i)とが対応する)、365はACS回路364−1〜Mと接続された共有メモリ、366−1,366−2はACS回路364−1〜Mの出力に基づき最小のパスを選択する最小値選択回路、367は最小値選択回路366−1の出力から最小値選択回路366−2の出力を減算する減算回路、17はこの軟判定装置の出力端である軟判定値出力端子である。
【0047】
枝メトリック作成回路363−1〜2Mはいずれも同じ構成を持つ。枝メトリック回路363−iは、FIRフィルタ3631−i、メモリ3632−i、減算回路3633−i、2乗回路3634−iから構成される。枝メトリック作成回路363は、前述の(6) 式に対応する処理を行う。
【0048】
ACS回路364−1〜Mはいずれも同じ構成をもつ。図28はACS回路364の内部を示すブロック図である。ACS回路364−iは、枝メトリック入力端子3641a−i,3641b−i、1時刻過去の生き残りパスメトリック入力端子3642a−i,3642b−i、加算回路3643a−i,3643b−i、比較・選択回路3644−i、パスメトリック出力端子3645a−i,3645b−i、現時刻の生き残りパスメトリック出力端子3646−iから構成される。
【0049】
従来の軟判定装置の動作について図27を用いて説明する。送信信号は0、1の2値をとり、M(=2V )をステート数とし、V=Lである。
まず、枝メトリック作成回路363−1の動作を説明する。FIRフィルタ3631は、メモリ3632から出力される枝に対応した送信系列の候補と伝送路特性推定回路362で推定された伝送路特性(タップ係数)を受けて、(6) 式に基づき受信信号のレプリカ(推定値)を出力する。減算回路3633は、受信信号とFIRフィルタ3631から出力されるレプリカを受けて、受信信号とレプリカの差を出力する。2乗回路3634は、減算回路3633の出力を2乗して、この値を枝メトリックとして出力する。以上の動作は(8) 式に対応する。枝メトリック作成回路363−2〜363−(2M)も同様に動作して、各枝に対応した枝メトリックを出力する。
【0050】
M個のACS回路364−1〜364−Mは一時刻過去及び現時刻の生き残りパスメトリックを共有メモリ365によって共有しており、これらパスメトリックは互いにアクセス可能である。ACS回路364−1〜364−Mは、各ACS回路364−1〜364−Mに対応したステートに繋がる2つの枝に対応した2系統の枝メトリック作成回路363−1〜363−(2M)から出力される枝メトリックと、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応し共有メモリ365より出力される一時刻過去の生き残りパスメトリックをそれぞれ受けて、(9) 式に基づきACS処理を行うとともに、さらにACS処理の加算処理を行い各枝に対応したパスメトリックと現時刻の生き残りパスメトリックを出力する。
【0051】
ここで、ACS回路364−1の動作を図28を用いてさらに詳細に説明する。加算回路3643a,3643bは、枝メトリック入力端子3641a,3641bに入力された枝メトリックと、1時刻過去の生き残りパスメトリック入力端子3642a,3642bに入力された1時刻過去の生き残りパスメトリックをそれぞれ加算し、その結果をパスメトリック出力端子3645a,3645bから出力する。
比較・選択回路3644は、加算回路3643a,3643bが出力するパスメトリックを入力し、その中で値の小さい方を現時刻の生き残りパスメトリックとして、現時刻の生き残りパスメトリック出力端子3646から出力する。
【0052】
共有メモリ365はACS回路364−1〜364−Mの出力を受けて、現時刻の生き残りパスメトリックを一時刻過去の生き残りパスメトリックとする。このようにして、共有メモリ365の内容は更新される。
【0053】
最小値選択回路366−1は、枝により決定される送信系列の最も過去の送信信号が0である枝に対応したM個のパスメトリックを受けて、その最小値を出力する。最小値選択回路366−2は、枝により決定される送信系列の最も過去の送信信号が1である枝に対応したM個のパスメトリックを受けて、その最小値を出力する。
減算回路367は最小値選択回路366−1より出力される最小値から最小値選択回路366−2より出力される最小値を減算した結果を、軟判定値として出力する。
【0054】
以上の動作を図29に示すトレリスによって具体的に説明する。ここで、L=V=2、M=2V =4とし、送信信号In の軟判定値を計算する。
FIRフィルタ3631−1は、メモリ3632−1から出力される枝に対応した送信系列の候補[In ,In+1 ,In+2 ]=[0,0,0]と伝送路特性推定回路362で推定された伝送路特性g0 ,g1 ,g2 を入力し、受信信号のレプリカhn+2 [000]を計算する。
n+2 [000]=g0n +g1n+1 +g2n+2 (26)
【0055】
減算回路3633−1は、受信信号rn+2 とFIRフィルタ351から出力されるレプリカhn+2 [000]を受けて、受信信号とレプリカの差rn+2 −hn+2 [000]を計算する。2乗回路3634−1は、rn+2 −hn+2 [000]の2乗して、この値を枝メトリックEn+2 [000]として出力する。
n+2 [000]={ABS(rn+2 −hn+2 [000])}2 (27)
【0056】
以上は枝メトリック作成回路363−1の動作である。他の枝メトリック作成回路363−2〜363−8も同様に動作して各枝100、010、・・・、111に対する枝メトリックEn+2 [100]、En+2 [010]、・・・、En+2 [111]を出力する。
【0057】
ACS回路364−1は、ACS回路364−1に対応したステート00に繋がる2系統の枝000、100に対応する枝メトリック作成回路363−1、363−2から出力される枝メトリックEn+2 [000]、En+2 [100]と一時刻過去の生き残りパスメトリックFn+1 [000]、Fn+1 [100]をそれぞれ入力し、加算処理によって次の枝000、100に対応したパスメトリックを得る。
n+2 [000]=En+2 [000]+Fn+1 [00] (28)
n+2 [100]=En+2 [100]+Fn+1 [10] (29)
【0058】
パスメトリックFn+2 [000]、Fn+2 [100]は最小値選択回路366−1、366−2に出力される。さらに、ACS回路内の比較・ 選択回路3644によってこれら2つパスメトリックの中の小さい方がステート00に対応する現時刻の生き残りパスメトリックFn+2 [00]として共有メモリ365に出力される。ACS回路364−2〜364−4も同様に動作して、ステート10、01、11に対応した現時刻の生き残りパスメトリックFn+2 [10]、Fn+2 [01]、Fn+2 [11]が共有メモリ365に出力される。
【0059】
最小値選択回路366−1は、ACS回路364−1〜364−4から出力されるパスメトリックの中でIn =0となるパスメトリックFn+2 [000]、Fn+2 [010]、Fn+2 [001]、Fn+2 [011]を受けて、それらの中で最小のパスメトリックを出力する。最小値選択回路366−2は、ACS回路364−1〜364−4から出力されるパスメトリックの中でIn =1となるパスメトリックFn+2 [100]、Fn+2 [110]、Fn+2 [101]、Fn+2 [111]を受けて、その中で最小のパスメトリックを出力する。減算回路367は最小値選択回路366−1より出力される最小値から最小値選択回路366−2より出力される最小値を減算し、その結果を軟判定値として出力する。
【0060】
本従来例は、上述の最大事後確率推定に基づいた軟判定値の計算((22)〜(25)式)を次のように簡略化したものである。
Figure 0003674111
【0061】
ただし、pf [Sn ]と(pf [Sn-1 ]+En [Sn-1 /Sn ])はFn [Sn ]、Fn [Sn-1 /Sn ]にそれぞれ対応する。なお、本従来例は軟判定値yn を求めるように記述してあるが、(30)〜(32)式は枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]を基準にし、En [Sn-1 /Sn ]より計算される軟判定値yn-V を求めるように記述してある。
また、本従来例の処理は図29のトレリス図に示すように、時刻(n+2)の全てのステートSn+2 に参入する全てのパスの中からIn =0及びIn =1である最小のパスをそれぞれ選択し、これら2つのパスのパスメトリックFn+2 [Sn+2 ]の差を軟判定値としている。このように、本従来例は簡略化することにより、最尤系列推定と同程度の処理で軟判定値を計算できる。
【0062】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例において、対数・ 指数演算を比較・ 選択処理に置き換え、かつ、トレリスのメモリ長Vと推定伝送路のメモリ長Lを同じ値にして、始点から終端までの全系列より計算される確率情報を、始点から時刻(n+L)までの部分系列より計算する。そのため軟判定値に誤差が生じる。この誤差のため、本従来例の軟判定装置により出力される軟判定値を利用して、ビタビ復号を行った場合、データの誤り率が悪くなる。なお、以下ではビタビ復号したデータの誤り率が良くなるような軟判定値を、精度の高い軟判定値と表現する。
【0063】
また、枝メトリックの計算におけるタップ係数は、雑音などに起因する推定誤差が含まれ、タップ数に応じてこの誤差が加算されることになる。よって、本従来例は推定伝送路のメモリ長が固定であるため、伝送路特性のメモリ長が変化するような伝送路において、伝送路特性のメモリ長が小さくなった場合、不要なタップのために精度の高い軟判定値を得ることができない。
【0064】
また、伝送路特性が時間とともに変動する場合、本従来例は推定伝送路特性がその変動に追従できないので、時変伝送路において精度の高い軟判定値を得ることができない。
【0065】
また、本従来例はACS処理の途中結果であるパスメトリックによって軟判定値を計算するため、枝メトリックの計算とACS処理を一括して高速計算できるようなDSPにおいて、回路規模が大きくなってしまうという問題がある。
【0066】
以上のように、従来の軟判定装置には、受信した系列の部分系列から軟判定値を計算するため、精度の高い軟判定値を得ることができないこと、さらに、推定伝送路特性のメモリ長及びタップ係数が時間変化するような伝送路において軟判定値の精度がさらに悪くなること、また、枝メトリックの計算とACS処理を専用ハードウェアで一括して高速計算できるようなDSPにおいて、回路規模が大きくなってしまうという問題があった。
【0067】
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、精度の高い軟判定値を得ることができる、さらに、推定伝送路特性のメモリ長及びタップ係数が時間変化するような伝送路においても精度の高い軟判定値を得ることができる、また、枝メトリックの計算とACS処理を専用ハードウェアで一括して高速計算できるようなDSPにおいて回路規模を小さくできるなどの性能を向上したデータ伝送装置を提供することを目的とする。
【0068】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るデータ伝送装置は、伝送路を介して符号化された信号を受信し、受信信号の状態を送信信号の組み合わせによって定義されるステートに対応させ、上記受信信号の受信に伴うひとつのステートから次のステートへの遷移である枝に対してその遷移の指数である枝メトリック対応させ、上記符号化された信号を逐次受信したときの上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指数であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうちの一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された信号を軟判定し、この結果を用いて復号するデータ伝送装置において、上記ステートに繋がる各枝に対応して上記パスメトリックを算出するとともに、上記生き残りパスに対応する上記パスメトリックを生き残りパスメトリックとして上記ステートごとに算出上記生き残りパスメトリックを上記ステートを構成する送信信号系列中の最も過去の送信信号の符号に基づいて分類し、この分類された生き残りパスメトリックに基づき軟判定値を算出する軟判定装置と、上記軟判定値に基づき復号を行う復号回路とを備えたものである。
【0069】
また、上記軟判定装置、伝送路を介して受信した受信信号に基づき上記伝送路のメモリ長L及び伝送路特性を推定する伝送路特性推定手段と、連続したV(V≧L)個の送信信号の組み合わせと上記ステートとを対応させるとともに、上記受信信号及び上記伝送路特性推定手段の推定伝送路特性に基づき上記ステートに繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを上記ステートごとに算出する枝メトリック作成手段と、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリック及び1時刻過去の生き残りパスメトリックから、上記生き残りパスのパスメトリックを上記ステートごとに算出し、上記生き残りパスメトリックとして出力する加算比較選択手段と、上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算比較選択手段が次の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、上記加算比較選択手段が出力する上記ステートごとの上記生き残りパスメトリックを受け、上記生き残りパスメトリックから、上記ステートを構成する送信信号系列中の最も過去の送信信号が第1の符号であるものを選択するとともに、これら選択された上記生き残りパスメトリックのうちの最小のものを出力する第1の最小値選択手段と、上記加算比較選択手段が出力する上記ステートごとの上記生き残りパスメトリックを受け、上記生き残りパスメトリックから、上記ステートを構成する送信信号系列中の最も過去の送信信号が第2の符号であるものを選択するとともに、これら選択された上記生き残りパスメトリックのうちの最小のものを出力する第2の最小値選択手段と、上記第1及び第2の最小値選択出力手段から出力された上記生き残りパスメトリックの最小値の差を軟判定値として出力する軟判定値作成手段とを備えたものである。
【0070】
上記枝メトリック手段は、たとえば、次式に基づいて上記枝メトリックを算出する。
n [Sn-1 /Sn
=[ABS{rn −(g0n +g1n-1 +g2n-2 )}]2
ただし、En [Sn-1 /Sn ]は枝メトリック、rn は受信信号、g0 〜g2 は推定伝送路特性、In 〜In-2 は各枝メトリック作成回路が保有している送信信号の候補である。
【0071】
上記加算比較選択手段は、たとえば、パスメトリックFn [S0 n-1 /Sn ]及びFn [S1 n-1 /Sn ]のうちの小さいほうを生き残りパスメトリックとしして選択し出力する。パスメトリックは次式に基づいて算出される。
n [S0 n-1 /Sn ]=En [S0 n-1 /Sn ]+Fn-1 [S0 n-1
n [S1 n-1 /Sn ]=En [S1 n-1 /Sn ]+Fn-1 [S1 n-1
ただし、En [S0 n-1 /Sn ]、En [S1 n-1 /Sn ]は枝メトリック、Fn-1 [S0 n-1 ]、Fn-1 [S1 n-1 ]は1時刻過去の生き残りパスメトリックである。また、S0 n-1 /Sn はステートSn につながる「0」の枝、S1 n-1 /Sn はステートSn につながる「1」の枝を意味する。
【0072】
上記軟判定値作成手段は、たとえば、次式に基づいて上記軟判定値を算出する。
n-3 =min0 (Fn [Sn ])−min1 (Fn [Sn ])
ただし、yn-3 は軟判定値、min0 (Fn [Sn ])は第1の最小値選択手段の出力、min1 (Fn [Sn ])は第2の最小値選択手段の出力である。
【0073】
また、上記加算比較選択手段を、上記生き残りパスメトリックとともに、対応する生き残りパスを出力するよう構成するとともに、上記加算比較選択手段により出力される上記生き残りパス及びこれらのパスメトリックを受け、硬判定値を算出する硬判定値作成手段を備えたものである。
【0074】
また、伝送路を介して符号化された信号を受信し、受信信号の状態を送信信号の組み合わせによって定義されるステートに対応させ、上記受信信号の受信に伴うひとつのステートから次のステートへの遷移である枝に対してその遷移の指数である枝メトリック対応させ、上記符号化された信号を逐次受信したときの上記遷移の経路であるパスについて上記枝メトリックに基づき上記パスの指数であるパスメトリックを算出し、上記パスメトリックに基づき上記パスのうちの一部を生き残りパスとして選択することにより伝送された信号を軟判定し、この結果を用いて復号するデータ伝送装置において、上記ステートを構成する送信信号系列の長さを伝送路のメモリ長よりも長くし、上記ステートに繋がる各枝に対応して上記パスメトリックを算出するとともに、上記パスメトリックを上記ステートに繋がる各枝に対応した送信信号系列中の最も過去の送信信号の符号に基づいて分類し、この分類されたパスメトリックに基づき軟判定値を算出する軟判定装置と、上記軟判定値に基づき復号を行う復号回路とを備えたものである。
【0075】
また、上記軟判定装置、伝送路を介して受信した受信信号に基づき上記伝送路のメモリ長L及び伝送路特性を推定する伝送路特性推定手段と、連続したV(V>L)個の送信信号の組み合わせと上記ステートとを対応させるとともに、上記受信信号及び上記伝送路特性推定手段の推定伝送路特性に基づき上記ステートに繋がる枝それぞれの上記枝メトリックを上記ステートごとに算出する枝メトリック作成手段と、上記枝メトリック作成手段により出力される上記枝メトリック及び1時刻過去の生き残りパスメトリックから、上記生き残りパスのパスメトリック及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックを算出し、出力する加算比較選択手段と、上記生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算比較選択手段が次の処理をするときに上記1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、上記加算比較選択手段が出力する上記枝ごとの上記パスメトリックを受け、上記パスメトリックから、上記ステートに繋がる枝に対応した送信信号系列中の最も過去の送信信号が第1の符号であるものを選択するとともに、これら選択された上記パスメトリックのうちの最小のものを出力する第1の最小値選択手段と、上記加算比較選択手段が出力する上記枝ごとの上記パスメトリックを受け、上記パスメトリックから、上記ステートに繋がる枝に対応した送信信号系列中の最も過去の送信信号が第2の符号であるものを選択するとともに、これら選択された上記パスメトリックのうちの最小のものを出力する第2の最小値選択手段と、上記第1及び第2の最小値選択出力手段から出力された上記パスメトリックの最小値の差を軟判定値として出力する軟判定値作成手段とを備えたものである。
【0076】
上記枝メトリック手段は、たとえば、次式に基づいて上記枝メトリックを算出する。
n [XXIn-2n-1n
=[ABS{rn −(g0n +g1n-1 +g2n-2 )}]2
ただし、En [XXIn-2n-1n ]は枝メトリック、rn は受信信号、g0 〜g2 は推定伝送路特性、In 〜In-2 は各枝メトリック作成回路が保有している送信信号の候補である。また、Xは任意の送信信号を意味している。
【0077】
上記加算比較選択手段は、たとえば、パスメトリックFn [S0 n-1 /Sn ]及びFn [S1 n-1 /Sn ]のうちの小さいほうを生き残りパスメトリックとしして選択し出力する。パスメトリックは次式に基づいて算出される。
n [S0 n-1/Sn ]=En [XXIn-2n-1n ]+Fn-1 [S0 n-1
n [S1 n-1/Sn ]=En [XXIn-2n-1n ]+Fn-1 [S1 n-1
ただし、En [XXIn-2n-1n ]は枝メトリック、Fn-1 [S0 n-1 ]、Fn-1 [S1 n-1 ]は1時刻過去の生き残りパスメトリックである。また、S0 n-1 /Sn はステートSn につながる「0」の枝、S1 n-1 /Sn はステートSn につながる「1」の枝を意味する。
【0078】
上記軟判定値作成手段は、たとえば、次式に基づいて上記軟判定値を算出する。
Figure 0003674111
ただし、yn-4 は軟判定値、min0 (Fn [Sn-1 /Sn ])は第1の最小値選択手段の出力、min1 (Fn [Sn-1 /Sn ])は第2の最小値選択手段の出力である。
【0079】
また、上記加算比較選択手段を、上記生き残りパスメトリック及び各ステートに繋がる枝を含むパスのパスメトリックとともに、対応する生き残りパスを出力するよう構成するとともに、上記加算比較選択手段により出力される上記生き残りパス及びこれらのパスメトリックを受け、硬判定値を算出する硬判定値作成手段を備えたものである。
【0080】
また、上記伝送路特性推定手段により出力される推定伝送路特性に基づき上記伝送路のメモリ長L及び上記ステートを構成する送信信号の個数Vを求めるメモリ長推定手段を備え、
上記枝メトリック作成手段を、上記メモリ長推定手段の出力に基づき上記枝メトリックを算出するように構成したものである。
【0081】
また、上記メモリ長推定手段を、上記推定伝送路特性に基づき信号電力及び各符号間干渉成分を計算し、この信号電力と各符号間干渉成分に基づいて上記推定伝送路特性を修正し、この修正後の推定伝送路特性を上記メモリ長L及び上記送信信号の個数Vとともに上記枝メトリック作成手段に出力するように構成したものである。
【0082】
また、上記受信信号及び上記伝送路特性推定手段により出力される推定伝送路特性に基づき推定誤差電力を算出する誤差電力推定手段を備え、
上記軟判定値作成手段を、上記推定誤差電力に基づき軟判定値を補正するように構成したものである。
【0083】
また、上記受信信号及び上記伝送路特性推定手段により出力される推定伝送路特性に基づき推定誤差電力を算出する誤差電力推定手段と、上記誤差電力推定手段により出力される推定誤差電力及び上記推定伝送路特性に基づき計算される各符号間干渉成分に基づいて上記メモリ長L及び上記送信信号の個数Vを求めるメモリ長推定手段とを備えたものである。
【0084】
また、上記受信信号と上記軟判定値に基づき上記推定伝送路特性を逐次更新し、更新した推定伝送路特性を上記枝メトリック作成回路に出力する伝送路特性更新手段を備えたものである。
【0085】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態1.
この発明の実施の形態1について説明する。本発明の実施の形態において、送信信号は0または1の2値をとる。なお、図において同一の符号を付した構成要素は、同一または相当のものである。
【0086】
この発明の実施の形態1ついて説明する。
図1は、発明の実施の形態1に係るデータ伝送装置の一例を示すブロック図である。同図において、201は受信信号入力端子、202は受信信号を増幅する増幅回路、203は増幅された受信信号をアナログ量からディジタル量に変換するA/D変換器、204はこの発明にかかる軟判定装置、205は求められた軟判定値を増幅回路202の出力で除算することにより補正を行う除算回路、206は補正された軟判定値を規則的に並べ換えるデインターリーブ回路、207は並べ換えられた軟判定値を受けて復号処理を行うビタビ復号回路、208は復号データ出力端子である。
【0087】
次に、図1の軟判定装置を含むデータ伝送装置の動作について説明する。図1の装置はデータの受信処理を行うものである。
増幅回路202は、A/D変換回路203の入力レベルが適切な範囲になるように、受信信号を増幅量βnで増幅する。
A/D変換回路203は増幅された受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換する。
【0088】
軟判定装置204は、ディジタル信号に変換された受信信号から軟判定値を計算する。軟判定装置204が、本発明の特徴をなす部分である。この詳細については後述する。
除算回路205は、軟判定装置204より出力される軟判定値を、増幅回路202より出力される増幅量βnで割り、軟判定値を補正する。
デインターリーブ回路206は、除算回路205より出力される補正された軟判定値を規則的に並びかえる。
ビタビ復号回路207は、並びかえられた軟判定値を入力し、その復号結果を出力する。
【0089】
受信信号の信号電力は変化するが雑音電力が一定であるような伝送路において、受信機は受信信号が一定レベルに保たれるように増幅量βで受信信号を増幅する。すると雑音電力が変化するから、この変化を考慮して軟判定値を補正する必要がある。
【0090】
ここで、増幅回路202の入力レベルにおける雑音電力をσ2 とする。増幅後の雑音電力は(βn ・ σ2 )となる。そこで、(βn ・ σ2 )で軟判定値を正規化、すなわち軟判定値を増幅後の雑音電力(βn ・ σ2 )で割ることにより、増幅回路202における雑音電力の変化を吸収することができる。あるいは、軟判定値はその相対値にしか意味が無いので、σ2 =1とおいて、増幅量βn で軟判定値を割るだけでもよい。
【0091】
図1の装置によれば、軟判定装置202の出力を増幅回路202の増幅量βn で割ることにより、受信信号の信号電力が変化し、雑音電力が一定であるような伝送路においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0092】
図2は、図1の軟判定装置の内部構成を示すブロック図である。
図2において、11は受信信号入力端子、12は伝送路の特性gi,n を推定して出力する伝送路特性推定回路、13−1〜13−(2N)はメモリ長Vとしたトレリス図において2N(ここでN=2V 、V≧L)個の枝それぞれに対応して設けられ、受信信号及び伝送路の特性に基づき枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]をそれぞれ求める枝メトリック作成回路、14−1〜14−Nはメモリ長Vとしたトレリス図においてN(=2V )個のステートそれぞれに対応して設けられ、2つの枝メトリック作成回路に基づきACS処理を行うACS回路(i=1,2,・・・,NとしたときACS回路14−iと枝メトリック作成回路13−(2i−1)及び(2i)とが対応する)、15はACS回路14−1〜14−Nと接続された共有メモリ、16はACS回路14−1〜14−Nが出力するパスメトリックFn [Sn-1 /Sn ]に基づき軟判定値を作成する軟判定値作成回路、17は軟判定値出力端子である。
【0093】
ここで、Nはステート数、LはISIが影響を与える時間長(伝送路メモリ長)、Vはビタビアルゴリズムのメモリ長である。
【0094】
枝メトリック作成回路13−1〜13−(2N)はいずれも同じ構成を持つ。図3は枝メトリック作成回路13−1の詳細なブロック図である。同図において、21は推定伝送路特性入力端子、22−1〜22−(L+1)は推定伝送路特性gi,n と送信系列In とをそれぞれ乗算する乗算回路、23は送信系列In を記憶するメモリ、24は乗算回路22−1〜22−(L+1)の出力の総和を求める加算回路、25は受信信号rn から加算回路24の出力を減算する減算回路、26は減算回路25の出力の2乗値を求める2乗回路、27は枝メトリック出力端子である。
【0095】
ACS回路14−1〜14−Nはいずれも同じ構成を持つ。図4はACS回路14−1の詳細なブロック図である。同図において、31−1、31−2は枝メトリック入力端子、32−1、32−2は1時刻過去の生き残りパスメトリックの入力端子、33−1、33−2は枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックとを加算してパスメトリックを求める加算回路、34はパスメトリックのうちで小さな方を選択して生き残りパスメトリックとして出力する比較・ 選択回路、35は生き残りパスメトリック出力端子である。
【0096】
図5は軟判定値作成回路16の詳細なブロック図である。同図において、41−1〜41−(N/2)及び42−1〜42−(N/2)は生き残りパスメトリック入力端子、43−1、43−2は入力された生き残りパスメトリックから最小のものを選択する最小値選択回路、44は減算回路である。
【0097】
ここで、生き残りパスメトリック入力端子41−1〜41−(N/2)に入力される生き残りパスメトリックは、送信系列の候補の組み合わせであるステートのうちでもっとも過去のシンボルにあたるもの(正確に言えば長さVである部分送信系列のうちのもっとも過去のシンボル)が「1」のものである。また、生き残りパスメトリック入力端子42−1〜42−(N/2)に入力される生き残りパスメトリックは、ステートのうちでもっとも過去のシンボルにあたるものが「0」のものである。このような対応関係に基づき、ACS回路14−1〜14−Nと軟判定値作成回路16とは接続されている。
【0098】
次に軟判定装置の動作について説明する。
まず、装置全体の動作の概要を述べ、次に動作の詳細を述べる。
受信信号は、伝送路特性推定を行うことを目的としたトレーニング信号と、情報を伝送することを目的とした情報信号とから構成され、トレーニング信号は軟判定装置側で既知であるとする。これ以降、受信信号の情報信号部分を受信信号と呼び、受信信号のトレーニング信号部分をトレーニング信号と呼ぶ。
【0099】
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号とトレーニング信号の既知情報に基づいて伝送路特性を推定し、gi,n を出力する。
2N個の枝メトリック作成回路13−1〜13−(2N)は、受信信号rn と伝送路特性推定回路が出力する推定伝送路特性gi,n を受けて、メモリ23に記憶された各枝に対応した送信系列In に基づいて枝メトリックEn [Sn-1 /Sn ]を出力する。
【0100】
ACS回路14−1は、ACS回路14−1に対応するステートに繋がる2つの枝に対応した2系統の枝メトリック作成回路が出力する枝メトリックと、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応して共有メモリ15より出力される1時刻過去の生き残りパスメトリックFn-1 [Sn-1 ]を受けてACS処理を行い、現時刻の生き残りパスメトリックFn [Sn ]を出力する。他のACS回路14−2〜14−Nも同様に動作する。
共有メモリ15は、ACS回路14−1〜14−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックを受けて1時刻過去の生き残りパスメトリックを更新する。
軟判定値作成回路16はACS回路14−1〜14−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックFn [Sn ]を受けて軟判定値を計算し、軟判定値出力端子17から軟判定値を出力する。
【0101】
枝メトリック作成回路13−1の動作について図3を用いて説明する。
乗算回路22−1〜22−(L+1)は、推定伝送路特性入力端子21より入力した推定伝送路特性gi,n (タップ数(L+1)個のFIRフィルタのタップ係数)と、メモリ23に記憶されている枝メトリック作成回路13−1に対応した枝によって決定される送信系列の候補の一部、すなわち枝によって決定される(V+1)シンボルの送信信号の中で最も新しい(L+1)シンボルの送信信号との積をそれぞれ計算する。加算回路24は、乗算回路22−1〜22−(L+1)から出力される(L+1)個の乗算結果を入力し、その総和を計算する。減算回路25は、加算回路24から出力される総和と受信信号の差を計算する。2乗回路26は、減算回路25から出力される差の2乗を計算し、その結果を枝メトリックとして枝メトリック出力端子27から出力する。
【0102】
ACS回路14−1の動作について図4を用いて説明する。
枝メトリック入力端子31−1、31−2は、ACS回路14−1に対応するステートに繋がる2つの枝に対応した枝メトリック作成回路13−1、13−2より出力される枝メトリックが入力する。生き残りパスメトリック入力端子32−1、32−2は、ACS回路14−1に対応するステートに繋がる2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応した生き残りパスメトリックを共有メモリ15から受ける。加算回路33−1、33−2は、枝メトリック入力端子31−1、31−2より入力される枝メトリックと生き残りパスメトリック入力端子32−1、32−2より入力される生き残りパスメトリックの和をそれぞれ計算する。比較・ 選択回路34は、加算回路33−1、33−2から出力される和を入力し、2つの和を比較して小さい方を現時刻の生き残りパスメトリックとして、生き残りパスメトリック出力端子35から出力する。
【0103】
軟判定値作成回路16の動作について図5を用いて説明する。
生き残りパスメトリック入力端子41−1〜41−(N/2)は、ステートを構成する最も過去の送信信号が0であるステートに対応したACS回路14から出力される生き残りパスメトリックを受ける。一方、生き残りパスメトリック入力端子42−1〜42−(N/2)は、ステートを構成する最も過去の送信信号が1であるステートに対応したACS回路14から出力される生き残りパスを受ける。最小値選択回路43−1は、生き残りパスメトリック入力端子41−1〜41−(N/2)からの生き残りパスメトリックを受けて、それらの中で最小の生き残りパスメトリックを選択して出力する。最小値選択回路43−2は、生き残りパスメトリック入力端子42−1〜42−(N/2)からの生き残りパスメトリックを受けて、それらの中で最小の生き残りパスメトリックを選択して出力する。減算回路44は最小値選択回路43−1の出力と最小値選択回路43−2の出力の差を計算し、この結果を軟判定値として軟判定値出力端子15から出力する。
【0104】
次に、発明の実施の形態1の具体的な動作について図6を用いて説明する。
L=2、V=4、N=2V =16とする。
枝メトリック作成回路13−1〜13−32はそれぞれ枝Sn-1 /Sn に対応して設けられている。これら枝メトリック作成回路13は、受信信号rn 、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 及び、各枝メトリック作成回路13が保有している送信信号の候補In-2 、In-1 、In に基づいて、(50)式によって枝メトリックを計算する。
n [Sn-1 /Sn
=[ABS{rn −(g0n +g1n-1 +g2n-2 )}]2 (50)
ただし、In-2 、In-1 、In は、枝Sn-1 /Sn によって決定される送信信号の候補In-4 、In-3 、In-2 、In-1 、In の中の3シンボルである。これらは時刻nに依らず各枝メトリック作成回路で常に固定した値である。また、ABSは絶対値記号である。
【0105】
なお、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 が変化しない場合、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 と送信信号の候補I2 [Sn-1 /Sn ]、I3 [Sn-1 /Sn ]、I4 [Sn-1 /Sn ]より計算されるレプリカ、すなわち(50)式の{}内は常に一定である。この場合、レプリカの値をメモリに記憶しておき、枝メトリック作成回路13を推定伝送路特性が更新されたときだけレプリカを更新するように構成することもできる。
【0106】
次にACS作成回路14−1〜14−16はそれぞれステートSn に対応して設けられている。具体的な対応関係は、たとえば図6に基づく。ACS作成回路14は、ステートSn に繋がる枝S0 n-1 /Sn 及び枝S1 n-1 /Sn にそれぞれ対応する枝メトリック作成回路13の出力、すなわち枝メトリックEn [S0 n-1 /Sn ]及び枝メトリックEn [S1 n-1 /Sn ]を受ける。また、ACS作成回路14は、共有メモリ15の出力する1時刻過去のステートS0 n-1 及びS1 n-1 にそれぞれ対応する生き残りパスメトリックFn-1 [S0 n-1 ]及びFn-1 [S1 n-1 ]を受ける。ACS作成回路14は、これら入力に基づき(51)、(52)式に示す加算処理を行い、現時刻のパスメトリックを計算する。
Figure 0003674111
【0107】
そして、ACS回路14は、上記(51)、(52)式により得られたパスメトリックFn [S0 n-1 /Sn ]とFn [S1 n-1 /Sn ]とを比較して、小さい方をステートSn に対応する現時刻の生き残りパスメトリックFn [Sn ]として出力する。
【0108】
例えば、ステート1011に対応するACS回路は、枝01011と枝11011に対応する枝メトリックEn [01011]、En [11011]と、1時刻過去のステート0101とステート1101に対応する生き残りパスメトリックFn-1 [0101]とFn-1 [1101]を受けて、枝01011と枝11011に対応するパスメトリックを(53)、(54)式によって計算する。
n [01011]=En [01011]+Fn-1 [0101] (51)
n [11011]=En [11011]+Fn-1 [1101] (52)
【0109】
さらに、ACS回路はパスメトリックFn [01011]とFn [11011]を比較し、小さい方をステート1011に対応する生き残りパスメトリックFn [1011]として出力する。
【0110】
軟判定値作成回路16は、ACS回路14−1〜14−16から出力される生き残りパスメトリックを受けて、(55)式によって軟判定値yn-3 を計算する。
n-3 =min(Fn [Sn ])−min(Fn [Sn ]) (55)
ここで、第1項は、ステートSn によって決定される送信系列In-3 、In-2 、In-1 、In の中で最も過去の送信信号In-3 =0となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小の生き残りパスメトリックを計算している。この送信系列In-3 〜In の数はV=2L に対応する。
また、第2項は、In-3 =1となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小の生き残りパスメトリックを計算している。
【0111】
図6は、発明の実施の形態1(L=2、V=4、N=2V =16)によって、送信信号In の軟判定値yn を計算する場合の例を示したトレリス図である。パスAは、In =0となるステートSn+3 に対応した生き残りパスメトリックの中で値が最小になる生き残りパスメトリックを有するパスである。パスBは、In =1となるステートSn+3 に対応した生き残りパスメトリックの中で値が最小になる生き残りパスメトリックを有するパスである。軟判定値はパスAとパスBのパスメトリック差として計算される。
【0112】
図7は、理解を容易にするために、図6のパスAとパスBによって決定される送信系列と同じ送信系列を構成するパスを、V=2とした場合のトレリス図に示したものである。図8は、図7との比較のために、従来例(L=V=2、M=2V =4)によって送信信号In の軟判定値yn を計算した場合の例をトレリス図に示したものである。
【0113】
従来例において、枝Sn+1 /Sn+2 =000に対応するパスC(これは、結果的にステートSn+2 =00に対応する生き残りパスとなる)と枝Sn+1 /Sn+2 =110に対応するパスD(結果的に、ステートSn+2 =10に対応する生き残りパスとなる)の差として軟判定値yn が計算される。これに対して発明の実施の形態1においては、さらに枝Sn+2 /Sn+3 を用いて軟判定値が計算されるので、従来例よりも精度の良い軟判定値を計算することができる。
【0114】
図8の従来例において単純にパスCとパスDを延長するだけでは軟判定値の精度を高めることができないことを、図9を用いて説明する。同図において、ステートの上の数字は各ステートに対応する生き残りパスメトリックである。ただし、ステートSn+3 の上下の数字はステートSn+3 につながる枝に対応するパスメトリックである。
【0115】
従来例(V=L=2)の場合パスCとパスDのメトリック差によって軟判定値が計算され軟判定値yn =1となる。しかし、ステートSn+3 につながるパスを考えた場合、In =0となるパスの中で最小のパスメトリックを有するものはパスE、In =1となるパスの中で最小のパスメトリックを有するものはパスFであり、パスE及びパスFは両者ともパスCとパスDを延長したパスとはならないことがわかる。ここで、パスCとパスDを延長して軟判定値を計算するとyn =−1となる。これに対して、発明の実施の形態1(L=2、V=4)の場合パスEとパスFのメトリック差によって軟判定値が計算され軟判定値yn =−2となる。
【0116】
このように、トレリスのメモリ長Vを推定伝送路特性のメモリ長Lより大きくすることによって、従来例より精度の高い軟判定値が計算できる。従来は、VをLより大きくしてもなんら効果はないと考えられてきた。しかし、この発明の実施の形態によれば、ただ単に枝Sn+2 /Sn+3 の情報が加味されるだけでなく、図6のようにパスAとパスBが合流した場合、ステートSn+3 以降のパスまで考慮して軟判定値を計算したことになるので、精度の向上が期待できる。
【0117】
図7の例ではSn+3 で合流しているが、さらに先のステートまで合流しない場合もある。しかし、トレリスのメモリ長Vと推定伝送路特性のメモリ長Lの差をある程度大きくすることによって、軟判定値の計算に使われる2つのパスのほとんどは合流する。合流する場合、送信系列の終端まで考慮して軟判定値を計算したことになる。
【0118】
発明者はこの発明の効果を定量的に求めた。図10は、この軟判定装置を備えるデータ伝送装置によりビタビ復号した後の誤り率(BER)を計算機シミュレーションによって測定した結果を示す。
【0119】
従来例(L=V=2)は、発明の実施の形態1のL=2,V=3の場合と同じ誤り率である。この場合、枝に対応したパスメトリックを利用するのと、ステートに対応した生き残りパスメトリックを用いるのとで実質的な相違がないからである。しかし、発明の実施の形態1においてV=4、V=5とVを大きくするに従い誤り率BERは従来例よりも小さくなる。V=5程度にすると送信系列の終端まで考慮した場合と同程度の誤り率となる。
【0120】
図10によれば、C/N=3dBのとき、従来例のBERは約1×10-2であるのに対し、V=4のBERは約5×10-3、V=5のBERは約4×10-3である。同じく、C/N=5dBのとき、従来例のBERは約2×10-4であるのに対し、V=4のBERは約1×10-4、V=5のBERは約2×10-5である。この発明におけるBERは従来例の半分以下である。
【0121】
発明の実施の形態1はACS処理の結果である生き残りパスメトリック(ステートに対応する)によって軟判定値を計算する。これに対し、従来例はACS処理の途中で結果であるパスメトリック(枝に対応する)によって軟判定値を計算する。発明の実施の形態1は途中結果であるパスメトリックを記憶する必要も、演算に用いる必要もない。このため発明の実施の形態1は、枝メトリックの計算とACS処理を一括して高速計算できるようなDSP(ディジタル信号処理回路)において、従来よりも簡単に構成することができる。
【0122】
さらに、発明の実施の形態1は送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張できる。取り得る値についても0と1ではなく、−1と1の組み合わせの方が実用的である。また、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0123】
また、以上の説明において、ビタビ復号に適用する場合を例にとり説明したが、ビタビ復号に限らず軟判定復号アルゴリズム一般に適用できる。例えば、代数的復号、最大事後確率復号、最尤復号、逐次復号にも適用できる。
また、発明の実施の形態1においてデインターリーブ回路がない場合も考えられる。さらに、雑音電力の変動が無視できる場合、軟判定装置の出力を増幅回路における増幅量によって補正する必要はない。
【0124】
発明の実施の形態2.
この発明の実施の形態2について説明する。ただし、本発明の実施の形態は送信信号が0または1の2値をとる場合の構成例である。なお、図において上述した発明の実施の形態と同一の符号を付した構成要素は、同一または相当のものである。
【0125】
図11はこの発明の軟判定装置の発明の実施の形態を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は伝送路特性推定回路、13−1〜13−(2N)はメモリ長V(N=2V 、V≧L)としたトレリス図において2N個の枝それぞれに対応して設けられる枝メトリック作成回路、14−1〜14−Nはメモリ長Vとしたトレリス図においてN(=2V )個のステートそれぞれに対応して設けられるACS回路、15は共有メモリ、16は軟判定値作成回路、17は軟判定値出力端子である。
【0126】
また、101は枝メトリック作成回路13が必要とする伝送路特性を伝送路特性推定回路12か、推定伝送路特性更新回路102から供給するかを選択して供給する切り替えスイッチ、102は軟判定値作成回路16の出力に基づき推定伝送路特性を更新する推定伝送路特性更新回路である。
【0127】
次に、発明の実施の形態2の軟判定装置の動作について図11を用いて説明する。ただし、受信信号は、伝送路特性推定を行うことを目的としたトレーニング信号と、情報を伝送することを目的とした情報信号とから構成され、トレーニング信号は軟判定装置側で既知であるとする。これ以降、受信信号の情報信号部分を受信信号と呼び、受信信号のトレーニング信号部分をトレーニング信号と呼ぶ。
【0128】
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号とトレーニング信号の既知情報に基づいて伝送路特性を推定する。切り替えスイッチ101は、受信信号に対する軟判定値に対応して推定伝送路特性回路102が推定伝送路特性を更新している期間中、その更新された推定伝送路特性が枝メトリック作成回路13−1〜13−(2N)に入力されるように切り替え動作を行う。
【0129】
推定伝送路特性更新回路102は、伝送路特性推定回路12からの推定伝送路特性、受信信号入力端子11からの受信信号、及び、軟判定値作成回路16からの軟判定値を受けて、推定伝送路特性をLMS(Least Mean Square )アルゴリズムに基づいて推定伝送路特性を計算して更新する。そして、更新した結果を枝メトリック作成回路13−1〜13−(2N)に出力する。
【0130】
推定伝送路特性の更新は次のように行われる。ここで、推定伝送路特性更新回路102の出力する推定伝送路特性をg0,n 、g1,n 、・・・、gL,n と表わす。下付きのnは時刻を表わす。
【0131】
軟判定値yn は、その値から硬判定値xn に変換される。この硬判定値xn と受信信号rn 、1時刻前の推定伝送路特性g0,n-1 、g1,n-1 、・・・、gL,n-1 によって、(56)式のアルゴリズム(LMSアルゴリズム)で推定伝送路特性を更新する。
i,n =gi,n-1 +α(rn −Σ gj,n-1 ・xn-j ) (56)
ただし、i=0,・・・,L である。総和Σはj=0からLまでとる。
ここで、αは更新アルゴリズムのステップサイズである。この更新アルゴリズムにおけるgの初期値は、伝送路特性推定回路12が出力する推定伝送路特性をそのまま用いる。
【0132】
枝メトリック作成回路13−1〜13−(2N)、ACS回路14−1〜14−N、共有メモリ15、軟判定値作成回路16は発明の実施の形態1と同様に動作する。
【0133】
発明の実施の形態2は、発明の実施の形態1同様にトレリスのメモリ長Vを推定伝送路のメモリ長Lよりも大きくとることにより従来例よりも精度の高い軟判定値を得ることができる。
さらに、伝送路特性が高速に変動する場合、発明の実施の形態2は推定伝送路特性を逐次更新することによって、従来例よりも精度の高い軟判定値を計算できる。
【0134】
また、発明の実施の形態2では1シンボルごとに推定伝送路特性を更新していたが、数シンボルごとに推定伝送路特性更新することによって処理量を減らすことができる。
さらに、推定伝送路更新回路内の推定伝送路特性は1シンボルごとに更新し、枝メトリック作成回路に出力する推定伝送路特性だけを数シンボルごとに更新することによって、推定伝送路を更新するために増える処理量を少なくすることができる。
【0135】
また、発明の実施の形態2では推定伝送路特性の更新にLMSアルゴリズムを用いたが他のアルゴリズムで更新することもできる。
また、発明の実施の形態2はACS処理の結果である生き残りパスメトリック(ステートに対応する)によってを軟判定値を計算するが、従来例はACS処理の途中で結果であるパスメトリック(枝に対応する)によってを軟判定値を計算する。このため発明の実施の形態2は、枝メトリックの計算とACS処理を一括して高速計算できるようなDSPにおいて、従来例よりも簡単に構成することができる。
【0136】
さらに、発明の実施の形態2は送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、取り得る値についても0と1ではなく−1と1の組み合わせの方が実用的である。また、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0137】
発明の実施の形態3
この発明の実施の形態3について説明する。ただし、本発明の実施の形態は送信信号が0または1の2値をとる場合の構成例である。なお、図において上述した発明の実施の形態と同一の符号を付した構成要素は、同一または相当のものである。
【0138】
図12は、この発明の軟判定装置の発明の実施の形態を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は伝送路特性推定回路、113−1〜113−(2M)は(2M)個(M=2L )の枝メトリック作成回路、114−1〜114−Nはメモリ長Vとしたトレリス図においてN(=2V )個のステートそれぞれに対応して設けられるACS回路、15は共有メモリ、116は軟判定値作成回路、17は軟判定値出力端子である。
【0139】
図13は、図12におけるACS回路114−1の詳細なブロック図である。同図において、121は枝メトリック入力端子、122−1、122−2は1時刻過去の生き残りパスメトリック入力端子、123−1、123−2は加算回路、124は比較・選択回路、125は生き残りパスメトリック出力端子、126−1、126−2はパスメトリック出力端子である。
【0140】
図14は、図12における軟判定値作成回路116の詳細なブロックである。同図において、131−1〜131−N及び132−1〜132−Nはパスメトリック入力端子、133−1、133−2は最小値選択回路、134は減算回路である。
【0141】
次に、発明の実施の形態3の軟判定装置の動作について図12を用いて説明する。ただし、受信信号は、伝送路特性推定を行うことを目的としたトレーニング信号と、情報を伝送することを目的とした情報信号とから構成され、トレーニング信号は軟判定装置側で既知であるとする。これ以降、受信信号の情報信号部分を受信信号と呼び、受信信号のトレーニング信号部分をトレーニング信号と呼ぶ。
【0142】
まず、動作の概要について説明し、その後に具体的処理内容について式を用いて説明する。
【0143】
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号とトレーニング信号の既知情報に基づいて伝送路特性を推定する。
2M個の枝メトリック作成回路113−1〜113−(2M)は、受信信号入力端子11からの受信信号と伝送路特性推定回路12が出力する推定伝送路特性を受けて、各枝に対応した送信系列の部分系列に基づいて枝メトリックを出力する。
【0144】
ACS回路114−1は、ACS回路114−1に対応するステートに繋がる枝に対応する枝メトリックを出力する枝メトリック作成回路113−1より出力される枝メトリックと、ACS回路114−1に対応するステートに繋がる2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応して共有メモリ15より出力される1時刻過去の生き残りパスメトリックを受けて、加算処理によって計算されるパスメトリック、及び、ACS処理によって計算される現時刻の生き残りパスメトリックを出力する。他のACS回路14−2〜14−Nも同様に動作する。
【0145】
共有メモリ15はACS回路114−1〜114−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックを受けて、1時刻過去の生き残りパスメトリックを更新する。
【0146】
軟判定値作成回路116はACS回路114−1〜114−Nが出力するパスメトリックを受けて、軟判定値を計算して、軟判定値出力端子17から軟判定値を出力する。
【0147】
ACS回路114−1の動作について図13を用いて説明する。
枝メトリック入力端子121は、ACS回路114−1に対応するステートに繋がる2つの枝に対応した枝メトリックを出力する枝メトリック作成回路113−1より枝メトリックを受ける。
【0148】
生き残りパスメトリック入力端子122−1、122−2は、ACS回路114−1に対応するステートに繋がる2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応した生き残りパスメトリックを共有メモリ15から入力する。
加算回路123−1、123−2は、枝メトリック入力端子121より入力される枝メトリックと生き残りパスメトリック入力端子122−1、122−2より入力される生き残りパスメトリックの和をそれぞれ計算する。
【0149】
パスメトリック出力端子126−1、126−2は、加算回路123−1、123−2から出力される和をそれぞれ出力する。比較・ 選択回路124は、加算回路123−1、123−2から出力される和を受けて、2つの和を比較する。そして、小さい方を現時刻の生き残りパスメトリックとして、生き残りパスメトリック出力端子125から出力する。
【0150】
軟判定値作成回路116の動作について図14を用いて説明する。
パスメトリック入力端子131−1〜131−Nは、枝によって決定される送信系列の最も過去の送信信号が0である枝に対応したパスメトリックを受ける。一方、パスメトリック入力端子132−1〜132−Nは、枝によって決定される送信系列の最も過去の送信信号が1である枝に対応したパスメトリックを受ける。
【0151】
最小値選択回路133−1は、パスメトリック入力端子131−1〜131−Nからのパスメトリックを受けて、その中で最小のパスメトリックを選択して出力する。最小値選択回路133−2は、パスメトリック入力端子132−1〜132−Nからのパスメトリックを受けて、その中で最小のパスメトリックを選択して出力する。
【0152】
減算回路134は最小値選択回路133−1の出力から最小値選択回路133−2の出力を減算し、この差を軟判定値として軟判定値出力端子15から出力する。
【0153】
発明の実施の形態3の具体的な動作について図12を用いて説明する。なお、L=2、V=4、M=2L =4、N=2V =16とする。
枝メトリック作成回路113−1〜113−8は、枝Sn-1 /Sn によって決定される送信信号の候補In-4 、In-3 、In-2 、In-1 、In の中の右(未来側)から3シンボルIn-2 、In-1 、In の組み合わせに対応して設けられる。枝メトリック作成回路113は、受信信号rn 、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 を受けて、各枝メトリック作成回路に対応した送信系列の候補In-2 、In-1 、In に基づいて、(57)式によって枝メトリックを計算する。
n [XXIn-2n-1n
=[ABS{rn −(g0n +g1n-1 +g2n-2 )}]2 (57)
【0154】
ここで、枝Sn-1 /Sn =In-4n-3n-2n-1n という表現をしてきたが、(57)式の枝メトリックはIn-4 、In-3 に依存することなく一意的に決定できるので、XXIn-2n-1n と表現する。Xは任意の送信信号を意味している。
【0155】
なお、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 が変化しない場合、推定伝送路特性g0 、g1 、g2 と送信信号の候補In-2n-1n より計算されるレプリカ、すなわち(57)式の()内は常に一定なので、この値をメモリに記憶しておき、推定伝送路特性が更新されたときだけレプリカを更新するように構成することもできる。
【0156】
次に、ACS作成回路114−1〜114−16はそれぞれステートSn に対応して設けられている。ACS作成回路114−1〜114−16は、ステートSn に繋がる枝S0 n-1 /Sn 及び枝S1 n-1 /Sn の両者に対応した枝メトリックを出力する枝メトリック作成回路113が出力する枝メトリックEn [XXIn-2n-1n ]と、共有メモリ15が出力する1時刻過去のステートS0 n-1及びS1 n-1にそれぞれ対応した生き残りパスメトリックFn [S0 n-1]及びFn [S1 n-1]を受けて、(58)、(59)式に示す加算処理によって現時刻のパスメトリックを計算する。
Figure 0003674111
【0157】
そして、ACS作成回路114−1〜114−16は、パスメトリックFn [S0 n-1/Sn ]とFn [S1 n-1/Sn ]をパスメトリック出力端子126−1,126−2から出力するとともに、これら2つのパスメトリックを比較して小さい方をステートSn に対応する生き残りパスメトリックFn [Sn ]として出力する。
【0158】
例えば、ステート1011に対応するACS回路114は、枝メトリックEn [XX011]と、1時刻過去のステート0101とステート1101に対応する生き残りパスメトリックFn-1 [0101]とFn-1 [1101]を入力し、枝01011と枝11011に対応するパスメトリックを(60)、(61)式によって計算する。
n [01011]=En [XX011]+Fn-1 [0101] (60)
n [11011]=En [XX011]+Fn-1 [1101] (61)
【0159】
ACS回路114はパスメトリックFn [01011]とFn [11011]を比較し、小さい方をステート1011に対応する生き残りパスメトリックFn [1011]とする。
【0160】
軟判定値作成回路116は、ACS回路114−1〜114−16から出力されるパスメトリックを受けて(62)式によって軟判定値yn-4 を計算する。
Figure 0003674111
【0161】
ここで、第1項は、枝Sn-1 /Sn によって決定される送信系列In-4 、In-3 、In-2 、In-1 、In の中で最も過去の送信信号In-4 =0となるステートに対応するパスメトリックの中で最小のパスメトリックを計算している。第2項は、In-4 =1となるステートに対応するパスメトリックの中で最小のパスメトリックを計算している。
【0162】
発明の実施の形態3は、発明の実施の形態1同様にトレリスのメモリ長Vを推定伝送路のメモリ長Lよりも大きくとることにより従来例よりも精度の高い軟判定値を得ることができる。また、同じ値を出力する枝メトリック作成回路を共有することにより、回路規模の増加を抑えつつ、トレリスのメモリ長Vを拡大できる。
【0163】
また、発明の実施の形態3は、発明の実施の形態2のように推定伝送路特性を更新するようにして、伝送路特性の変動が激しい場合でも精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0164】
さらに、発明の実施の形態3は送信信号の取り得る数U=2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、取り得る値についても0と1ではなく−1と1の組み合わせの方が実用的である。また、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0165】
発明の実施の形態4
この発明の実施の形態4について説明する。ただし、本発明の実施の形態は送信信号が0または1の2値をとる場合の構成例である。なお、図において上述の発明の実施の形態と同一の符号を付した構成要素は、同一または相当のものである。
【0166】
図15はこの発明の実施の形態4を示すブロック図である。同図において、11は受信信号入力端子、12は伝送路特性推定回路、141は伝送路特性推定回路12による伝送路特性の推定値に基づき符号間干渉(ISI)を有する伝送路のメモリ長を推定するメモリ長推定回路、143−1〜143−(2N)はメモリ長V(N=2V 、V≧L)としたトレリス図において2N個の枝それぞれに対応して設けられる枝メトリック作成回路、14−1〜14−Nはメモリ長をVとしたトレリス図においてN(=2V )個のステートそれぞれに対応して設けられるACS回路、15は共有メモリ、16は軟判定値作成回路、144はメモリ長推定回路141により制御され、メモリ長推定回路141の推定結果に基づきFIRフィルタのタップ係数のシフト量に対応して軟判定値を遅延させる遅延回路、17は軟判定値出力端子である。
【0167】
図16は、図15におけるメモリ長推定回路141の詳細なブロック図である。図16において、151は推定伝送路特性入力端子、152−1〜
152−(L+1)は伝送路特性gi を2乗する2乗回路、153は2乗回路152−1〜152−(L+1)の出力の総和を求める加算回路、156は加算回路153の出力に対して定数αを乗算してしきい値Qを出力する乗算回路、154−1〜154−(L+1)は乗算回路156の出力と2乗回路152−1〜152−(L+1)の出力とをそれぞれ比較する比較回路、155はしきい値Qよりも大きい伝送路特性gi (正確にはgi の2乗)となるすべてのタップ係数gi が含まれるようにタップ数を決定するとともに、タップ係数をシフトすることにより補正を行う推定伝送路特性補正回路、157は推定された伝送路特性の推定伝送路特性出力端子、158は推定伝送路特性補正回路155のシフト量が遅延量として出力するための判定値遅延量出力端子である。
【0168】
図17は、図15における枝メトリック作成回路143−1の詳細なブロック図である。図17において、11は受信信号入力端子、161は推定伝送路特性入力端子、22−1〜22−(L+1)は乗算回路、23はメモリ、162−1〜162−Lは乗算回路22−2〜22−(L+1)にそれぞれ設けられ、メモリ長推定回路141の出力に基づき乗算回路22−2〜22−(L+1)の出力をオン/オフする切り替えスイッチ、24は乗算回路22−1及び切り替えスイッチ162−1〜162−Lの出力の総和を求める加算回路、25は減算回路、26は2乗回路、27は枝メトリック出力端子である。
【0169】
次に、発明の実施の形態4の軟判定装置の動作について図15を用いて説明する。ただし、受信信号は、伝送路特性を推定することを目的としたトレーニング信号と、情報を伝送することを目的とした情報信号とから構成され、トレーニング信号は軟判定装置側で既知であるとする。これ以降、受信信号の情報信号部分を受信信号と呼び、受信信号のトレーニング信号部分をトレーニング信号と呼ぶ。
【0170】
まず、動作の概要について説明し、その後に具体的処理内容について式を用いて説明する。
【0171】
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号とトレーニング信号の既知情報に基づいて伝送路特性を推定する。メモリ長推定回路141は伝送路特性推定回路12より出力される伝送路特性に基づき伝送路の推定メモリ長を推定し、伝送路の推定メモリ長と受信に関する情報を含む推定伝送路特性と判定値の遅延量を出力する。
【0172】
(2N) 個の枝メトリック作成回路143−1〜143−(2N)は、受信信号とメモリ長推定回路141が出力する伝送路の推定メモリ長に関する情報を含む推定伝送路特性を受けて、各枝に対応した送信系列に基づいて枝メトリックを出力する。
【0173】
ACS回路14−1は、ACS回路14−1に対応するステートに繋がる2つの枝に対応した2系統の枝メトリック作成回路が出力する枝メトリックと、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応して共有メモリ15より出力される1時刻過去の生き残りパスメトリックをそれぞれ受けて、ACS処理を行い現時刻の生き残りパスメトリックを出力する。他のACS回路14−2〜14−Nも同様に動作する。
【0174】
共有メモリ15はACS回路14−1〜14−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックを入力し、1時刻過去の生き残りパスメトリックを更新する。
軟判定値作成回路16はACS回路14−1〜14−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックを入力し、軟判定処理を行い、軟判定値を出力する。
【0175】
遅延回路144は、メモリ長推定回路141により出力される判定値の遅延量に基づき軟判定値作成回路により出力される軟判定値を遅延させる。この遅延された軟判定値は軟判定値出力端子17から出力される。
【0176】
メモリ長推定回路141の動作について図16を用いて説明する。2乗回路152−1〜152−(L+1)は、伝送路特性推定回路12より出力される各タップ係数(推定伝送路特性)の2乗を計算する。
加算回路153は、2乗回路152−1〜152−(L+1)より出力される値の総和を計算する。
乗算回路156は、加算回路153より出力される総和をα倍する。
比較回路154−1〜154−(L+1)は、2乗回路152−1〜152−(L+1)より出力される値と乗算回路156より出力される乗算結果とを比較する。
【0177】
推定伝送路補正回路155は、推定伝送路特性入力端子151から受けた推定伝送路特性と比較回路154−1〜154−(L+1)より出力される比較結果に基づいて、推定伝送路特性の補正を行い、補正した結果(タップ係数及びタップ数に関する情報)を推定伝送路特性出力端子156より出力する。
【0178】
枝メトリック作成回路143−1の動作について図18を用いて説明する。
乗算回路22−1〜22−(L+1)は、推定伝送路特性入力端子161より受けた推定伝送路特性(タップ係数)と、メモリ23に記憶されている枝メトリック作成回路143−1に対応した枝によって決定される送信系列の候補の一部、すなわち枝によって決定される(V+1)シンボルの送信信号の中で最も新しい(L+1)シンボルの送信信号との積をそれぞれ計算する。ただし、メモリ長推定回路142より出力される推定伝送路特性(タップ数)によって、切り替えスイッチ162−1〜162−Lが制御される。
【0179】
加算回路24は、切り替えスイッチ162−1〜162−Lを経由して乗算回路22−1〜22−(L+1)から出力される乗算結果を受けて、その総和を計算する。
減算回路25は、加算回路24から出力される総和と受信信号入力端子11から入力された受信信号との差を計算する。
2乗回路26は、減算回路25から出力される差の2乗を計算し、その結果を枝メトリックとして枝メトリック出力端子27から出力する。
【0180】
さらに、発明の実施の形態4の具体的な動作について図15〜17を用いて説明する。なお、V=4、L=3、N=2V =16とする。
図16において、比較回路154−1〜154−4は、伝送路特性推定回路12が推定したタップ係数(推定伝送路特性)g0 、g1 、g2 、g3 を受けて、下記の(63)式のしきい値Qとタップ係数gi の絶対値の2乗(ただしi=0,1,2,3)とをそれぞれ比較する。
Figure 0003674111
【0181】
推定伝送路特性補正回路155は、{ABS(gi )}2 >Qとなるタップ係数gi が全て含まれるようにタップ数を決定し、{ABS(g0 )}2 ≦Qとならないようにタップ係数をシフトさせる。このときのシフト量が判定値の遅延量となる。推定伝送路特性補正回路155は、シフトしたタップ係数及び有効なタップ数を推定伝送路特性として枝メトリック作成回路143−1〜143−32に対し出力するとともに、判定値の遅延量を遅延回路144に対し出力する。
【0182】
推定伝送路特性の補正の例を図18に示す。伝送路特性推定回路12で推定されたタップ係数の中でg1 とg3 が{ABS(gi )}2 >Qとなるので、g1 、g2 及びg3 が有効なタップ係数である。{ABS(g0 )}2 ≦Qとならないように、g1 、g2 及びg3 はそれぞれg'0、g'1及びg'2にシフトされる。このときタップ係数は1シンボルだけシフトされたので、判定値の遅延量は1シンボルとなる。
【0183】
枝メトリック作成回路143−1〜143−32はそれぞれ枝Sn-1 /Sn に対応して設けられている。これら枝メトリック作成回路143は、受信信号rn 、タップ係数g'0、g'1、g'2、g'3、及び有効タップ数(La +1)を受けて、各枝メトリック作成回路143が保有している送信信号の候補In-3 、In-2 、In-1 、In に基づいて、(64)式によって枝メトリックを計算する。
n [Sn-1 /Sn ]={ABS(rn −Σ g'i・In-i )}2 (64)
ただし、総和Σはi=0,・・・,La についてとる。
【0184】
ACS回路14−1〜14−N、共有メモリ15及び軟判定値作成回路は、上述の他の発明の実施の形態の場合と同様に動作する。
遅延回路144はメモリ長推定回路141におけるタップ係数のシフト量だけ軟判定値yn を遅延させる。なお、枝メトリック作成回路143が保有する送信信号の候補In-3 、In-2 、In-1 、In は、タップ係数のシフト量に応じてIn-D-3 、In-D-2 、In-D-1 、In-D となるが、この系列は時間に依らず一定なので、上述の説明においては、時刻(n−D)のところを時刻nとしている。
【0185】
発明の実施の形態4の軟判定装置は、推定伝送路特性のメモリ長Lを変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても追従することが可能であり、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0186】
なお、発明の実施の形態4において、メモリ長推定回路141は伝送路のメモリ長Lを推定したが、同様にトレリスのメモリ長Vについても推定し、この推定値に基づいて不要なACS回路を停止させることによって、装置の平均処理量を削減できる。
また、発明の実施の形態4の軟判定装置は、発明の実施の形態3のように伝送路の推定メモリ長に基づいて、同じ値を出力する枝メトリック作成回路を停止させることによって、装置の平均処理量が削減できる。
【0187】
また、推定伝送路特性補正回路155において、{ABS(g'i)}2 ≦Qとなるタップ係数を強制的にgi =0とするように推定伝送路特性を補正することもできる。例えば、図22の推定伝送路特性補正回路の出力において、{ABS(g'1)}2 ≦Qとなるのでg' 1 =0とする。
また、推定伝送路特性補正回路155において、有効でないタップ係数({ABS(g'i)}2 ≦Qとなるタップ係数)を0にすることにより、枝メトリック作成回路143−1〜143−(2N)の切り替えスイッチを省くことができる。
【0188】
また、発明の実施の形態4の軟判定装置は、発明の実施の形態2のように推定伝送路特性を逐次更新するようにして、伝送路特性の変動が激しい場合でもこれに追従可能とし、精度の高い軟判定値を得ることができる。
さらに、発明の実施の形態4の軟判定装置は送信信号の取り得る数Uを2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、取り得る値についても0と1ではなく−1と1の組み合わせの方が実用的である。また、枝メトリックとして受信信号とそのレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0189】
発明の実施の形態5
この発明の実施の形態5について説明する。ただし、本発明の実施の形態は送信信号が0または1の2値をとる場合の構成例である。なお、図において上述の発明の実施の形態と同一の符号を付した構成要素は、同一または相当のものである。
【0190】
図19はこの発明の軟判定装置の発明の実施の形態を示すブロック図である。図19において、11は受信信号入力端子、12は伝送路特性推定回路、143−1〜143−(2N)はメモリ長V(N=2V 、V≧L)としたトレリス図において(2N)個の枝それぞれに対応して設けられる枝メトリック作成回路、171はメモリ長推定回路、172は伝送路特性推定回路12からの推定伝送路特性及び受信信号入力端子11からの受信信号に基づき誤差を推定し、推定誤差値をメモリ長推定回路171及び軟判定値作成回路176に対し出力する推定誤差検出回路、174−1〜174−Nはメモリ長Vとしたトレリス図においてN(=2V )個のステートそれぞれに対応して設けられるACS回路、175は共有メモリ、176は軟判定値作成回路、144は遅延回路、17は軟判定値出力端子、178は硬判定値作成回路、179は硬判定値出力端子である。
【0191】
図20は、図19におけるメモリ長推定回路171の詳細なブロック図である。図20において、151は推定伝送路特性入力端子、152−1〜152−(L+1)は推定伝送路特性をそれぞれ2乗する2乗回路、154−1〜154−(L+1)は2乗回路152−1〜152−(L+1)の出力と乗算回路156の出力とをそれぞれ比較する比較回路、155は比較回路154−1〜154−(L+1)の出力及び推定伝送路特性に基づき伝送路を補正するための推定伝送路特性補正回路、156は推定誤差電力入力端子181からの推定誤差電力に対し定数αを乗算する乗算回路、157は推定伝送路特性補正回路155に接続された推定伝送路特性出力端子、158は推定伝送路特性補正回路155に接続された判定値遅延量出力端子、181は推定誤差検出回路172からの推定誤差電力を受ける推定誤差電力入力端子である。
【0192】
図21は、図19における軟判定値作成回路176の詳細なブロック図である。図21において、41−1〜41−(N/2)及び42−1〜42−(N/2)は生き残りパスメトリック入力端子、43−1、43−2は最小値選択回路、44は減算回路、181は推定誤差電力入力端子、192は減算回路44の出力を端子181からの推定誤差電力値で除して軟判定値yn を出力する除算回路、197は除算回路192に接続された判定値出力端子である。
【0193】
次に発明の実施の形態5の軟判定装置の動作について図18を用いて説明する。ただし、受信信号は、伝送路特性を推定することを目的としたトレーニング信号と、情報を伝送することを目的とした情報信号とから構成され、トレーニング信号は軟判定装置側で既知であるとする。これ以降、受信信号の情報信号部分を受信信号と呼び、受信信号のトレーニング信号部分をトレーニング信号と呼ぶ。
【0194】
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号とトレーニング信号の既知情報に基づいて伝送路特性を推定する。
推定誤差検出回路172は、受信信号と伝送路特性推定回路12より出力される推定伝送路特性を受けて、推定誤差電力を推定し、その推定値を出力する。
メモリ長推定回路171は、伝送路特性推定回路12が出力する伝送路特性と推定誤差検出回路172が出力する推定誤差電力を受けて、伝送路のメモリ長を推定するとともに、伝送路の推定メモリ長に関する情報を含む推定伝送路特性と判定値の遅延量を出力する。
【0195】
(2N) 個の枝メトリック作成回路173−1〜173−(2N)は、それぞれ、受信信号とメモリ長推定回路171が出力する推定伝送路特性のメモリ長に関する情報を含む推定伝送路特性を受けて、各枝に対応した送信系列に基づいて枝メトリックを出力する。
ACS回路174−1は、ACS回路174−1に対応するステートに繋がる2つの枝に対応した2系統の枝メトリック作成回路が出力する枝メトリックと、その2つの枝によって結ばれる1時刻過去のステートに対応し共有メモリ175より出力される1時刻過去の生き残りパス及び生き残りパスメトリックを受けて、ACS処理を行い現時刻の生き残りパス及び生き残りパスメトリックを出力する。他のACS回路174−2〜174−Nも同様に動作する。
【0196】
共有メモリ175は、ACS回路174−1〜174−Nが出力する現時刻の生き残りパス及び生き残りパスメトリックを受けて、1時刻過去の生き残りパス及び生き残りパスメトリックを更新する。
軟判定値作成回路176は、ACS回路174−1〜174−Nが出力する現時刻の生き残りパスメトリックと推定誤差検出回路172より出力される推定誤差電力を受けて、軟判定値計算を行い、軟判定値を出力する。
【0197】
遅延回路144は、メモリ長推定回路171により出力される判定値の遅延量と軟判定値作成回路176により出力される軟判定値を受けて、この軟判定値を判定値の遅延量だけ遅延させた後、軟判定値出力端子17から出力する。
硬判定値作成回路178は、ACS回路174−1〜174−Nが出力する現時刻の生き残りパス及び生き残りパスメトリックとメモリ長推定回路171により出力される判定値の遅延量を受けて、この判定値の遅延量を考慮して送信系列を推定しながら硬判定値を硬判定値出力端子179より出力する。
【0198】
メモリ長推定回路171の動作について図20を用いて説明する。2乗回路152−1〜152−(L+1)は、伝送路特性推定回路12より出力される各タップ係数(推定伝送路特性)の2乗を計算する。
乗算回路156は、推定誤差電力入力端子181より入力された推定誤差電力をα倍する。
【0199】
比較回路154−1〜154−(L+1)は、2乗回路152−1〜152−(L+1)より出力される値と乗算回路156より出力される乗算結果とを比較する。
推定伝送路補正回路155は、推定伝送路特性入力端子151から入力された推定伝送路特性と比較回路154−1〜154−(L+1)より出力される比較結果に基づいて、推定伝送路特性の補正を行い、補正した結果(タップ係数及びタップ数に関する情報)を推定伝送路特性出力端子157より出力する。
【0200】
軟判定値作成回路176の動作について図21を用いて説明する。生き残りパスメトリック入力端子41−1〜41−(N/2)は、ステートを構成する最も過去の送信信号が0であるステートに対応したACS回路から出力される生き残りパスメトリックが入力される。一方、生き残りパスメトリック入力端子42−1〜42−(N/2)は、ステートを構成する最も過去の送信信号が1であるステートに対応したACS回路から出力される生き残りパスが入力される。
【0201】
最小値選択回路43−1は、生き残りパスメトリック入力端子41−1〜41−(N/2)からの生き残りパスメトリックを受けて、その中で最小の生き残りパスメトリックを出力する。最小値選択回路43−2は、生き残りパスメトリック入力端子42−1〜42−(N/2)からの生き残りパスメトリックを受けて、その中で最小の生き残りパスメトリックを出力する。
【0202】
減算回路44は、最小値選択回路43−1の出力から最小値選択回路43−2の出力を減算する。
除算回路192は、減算回路44より出力される値を、推定誤差電力入力端子181からの推定誤差電力で割るとともに、この計算結果を軟判定値として軟判定値出力端子197から出力する。
【0203】
さらに、発明の実施の形態5の具体的な動作について説明する。なお、V=4、L=3、N=2V =16とする。
伝送路特性推定回路12は、トレーニング信号r'nとトレーニング信号の既知情報I'nに基づいてタップ係数(伝送路特性)g0 、g1 、g2 、g3 を推定する。
推定誤差検出回路172は、(65)式によって推定誤差電力を計算する。
e=Σ{ABS(r'n−Σ gi ・I'n-i)}2 /(Ntra −2) (65)
ここで、かっこ内の総和Σはi=0,・・・,3についてとる。かっこ外の総和Σはj=3,・・・,Ntra についてとる。
なお、推定誤差電力eは実際の受信信号と受信信号のレプリカとの平均誤差電力を表わす。
【0204】
乗算回路156は推定誤差電力eをα倍し、しきい値Q(=α・ e)を計算する。比較回路154−1〜154−4は、しきい値Qとgi の絶対値の2乗、すなわち{ABS(gi )}2 (i=0,1,2,3)とをそれぞれ比較する。
推定伝送路特性補正回路155は、{ABS(gi )}2 >Qとなるタップ係数gi が全て含まれるようにタップ数を決定するとともに、{ABS(g0 )}2 ≦Qとならないようにタップ係数をシフトさせる。このシフト量が受信信号の遅延量となる。推定伝送路特性補正回路155は、シフトしたタップ係数、有効なタップ数及び受信信号の遅延量を推定伝送路特性として枝メトリック作成回路143−1〜143−32に出力する。
【0205】
硬判定値作成回路178は、ACS回路174−1〜174−16から出力される生き残りパスと生き残りパスメトリック、及びメモリ長推定回路171により出力する推定値の遅延量を受けて、生き残りパスメトリックが最大になる生き残りパスに沿った系列を送信系列とし、判定値の遅延量だけ遅延した信号を硬判定値として硬判定値出力端子179から出力する。
【0206】
軟判定値作成回路176は、ACS回路174−1〜174−16から出力される生き残りパスメトリックを入力し、(66)式によって軟判定値yn-3 を計算する。
n-3 ={min(Fn [Sn ])−min(Fn [Sn ])}/e (66)
【0207】
ここで、分子の第1項は、ステートSn によって決定される送信系列In-3 、In-2 、In-1 、In の中で最も過去の送信信号In-3 =0となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小の生き残りパスメトリックを計算している。分子の第2項は、In-3 =1となるステートに対応する生き残りパスメトリックの中で最小の生き残りパスメトリックを計算している。
【0208】
発明の実施の形態5の軟判定装置は、推定誤差電力で軟判定値を正規化しているので、雑音電力が変化するような場合においても、適切な軟判定値を求めることができ、精度の高い軟判定値を得ることができる。
さらに、発明の実施の形態5の軟判定装置は、推定伝送路特性のメモリ長Lを変化させることにより、実際の伝送路のメモリ長が変化するような場合においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0209】
また、発明の実施の形態5の軟判定装置において、メモリ長推定回路141は推定伝送路特性のメモリ長Lを推定したが、トレリスのメモリ長Vについても推定し、この推定値に基づいて不要なACS回路を停止することによって、装置の平均処理量を削減できる。
さらに、発明の実施の形態5の軟判定装置は、発明の実施の形態3のように伝送路の推定メモリ長に基づいて、同じ値を出力する枝メトリック作成回路を停止することによって、装置の平均処理量が削減できる。
【0210】
また、発明の実施の形態5の軟判定装置は、発明の実施の形態2のように推定伝送路特性を逐次更新するようにして、伝送路特性の変動が激しい場合でも精度の高い軟判定値を得ることができる。
さらに、発明の実施の形態5の軟判定装置は送信信号の取り得る数U=2としたが、2より大きい場合についても容易に拡張でき、取り得る値についても0と1ではなく−1と1の組み合わせの方が実用的である。また、枝メトリックとして受信信号とレプリカの2乗誤差に−1をかけた値を枝メトリックとし、ACS処理及び軟判定値の計算において最小値を選択する代わりに最大値を選択するようにして修正することもできる。
【0211】
軟判定値から計算した硬判定値は、最尤系列推定によって判定した硬判定値より誤り率が悪くなる。このため、畳込み符号化した信号と符号化しない信号を組み合わせて送信するようなシステムにおいて、硬判定値を軟判定した結果から計算すると符号化しない信号の誤り率が悪くなる。発明の実施の形態5の軟判定装置は、軟判定値の計算と同時に最尤系列推定に基づいた硬判定を行うので、上述のシステムにおいて符号化しない信号の誤り率を改善することができる。
【0212】
【発明の効果】
以上のように、この第1または第2の発明によれば、軟判定値をパスメトリックではなく、生き残りパスメトリックに基づいて求めるので、各ステートに対応する加算比較選択処理(ACS処理)を同時に行うことができる。ディジタル信号処理プロセッサ(DSP)を用いた場合、回路規模が小さくなる。
【0213】
また、第3の発明によれば、僅かな回路の追加により、軟判定値に加えて、軟判定値から計算した硬判定した場合よりも誤り率特性の良い硬判定値を得ることができる。
【0214】
また、第4または第5の発明によれば、ステートに対応する受信符号の長さVを伝送路のメモリ長Lよりも長くしたので、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0215】
また、第6の発明によれば、僅かな回路の追加により、軟判定値に加えて、軟判定値から計算した硬判定した場合よりも誤り率特性の良い硬判定値を得ることができる。
【0216】
また、第7の発明によれば、メモリ長推定手段の推定結果に基づき最適な推定伝送路のメモリ長Lを選択して枝メトリックを算出するので、誤差の発生を抑制できる。たとえば、枝メトリック作成手段をFIRフィルタで構成する場合、そのタップ数を必要最小限とすることができる。したがって、タップが多すぎることに起因する推定誤差を抑圧できる。これにより伝送路のメモリ長が変化するような環境において精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0217】
また、第8の発明によれば、伝送路特性の変動に追随できるように推定伝送路特性が修正されるので、伝送路特性が変化するような環境においても精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0218】
また、第9の発明によれば、推定誤差電力で軟判定値を修正するので、雑音電力が変動するような環境においても、精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0219】
また、第10の発明によれば、推定誤差電力に基づき伝送路特性の変動に追随できるように推定伝送路特性が修正されるので、伝送路特性のメモリ長が変化するような環境においても精度の高い軟判定値を得ることができる。
【0220】
また、第11の発明によれば、伝送路特性の変動に追随するように、受信信号及び生き残りパスによって推定伝送路特性を逐次更新するので、伝送路特性が高速に変化するような環境においても精度の高い軟判定値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1のデータ伝送装置のブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の軟判定装置のブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の軟判定装置の枝メトリック作成回路のブロック図である。
【図4】 この発明の実施の形態1の軟判定装置のACS回路のブロック図である。
【図5】 この発明の実施の形態1の軟判定装置の軟判定値作成回路のブロック図である。
【図6】 この発明の実施の形態1の軟判定方法を説明するためのトレリス図である。ただしV=4である。
【図7】 この発明の実施の形態1の軟判定方法を説明するためのトレリス図である。ただしV=2である。
【図8】 この発明の実施の形態1の軟判定方法と比較するための、従来の軟判定方法のトレリス図である。ただしV=L=2である。
【図9】 この発明の実施の形態1の軟判定方法を説明するためのトレリス図である。ただしV=2である。
【図10】 この発明の実施の形態1のデータ伝送装置のビット誤り率BERとキャリア対雑音比C/Nとの関係を示すグラフである。このグラフは計算機シミュレーションにより得られたものである。このグラフには比較のために従来のデータ伝送装置についてもプロットしてある。
【図11】 この発明の実施の形態2の軟判定装置のブロック図である。
【図12】 この発明の実施の形態3の軟判定装置のブロック図である。
【図13】 この発明の実施の形態3の軟判定装置のACS回路のブロック図である。
【図14】 この発明の実施の形態3の軟判定装置の軟判定値作成回路のブロック図である。
【図15】 この発明の実施の形態4の軟判定装置のブロック図である。
【図16】 この発明の実施の形態4の軟判定装置のメモリ長推定回路のブロック図である。
【図17】 この発明の実施の形態4の軟判定装置の枝メトリック作成回路のブロック図である。
【図18】 この発明の実施の形態4の軟判定装置のメモリ長推定回路による軟判定値の遅延動作の説明図である。
【図19】 この発明の実施の形態5の軟判定装置のブロック図である。
【図20】 この発明の実施の形態5の軟判定装置のメモリ長推定回路のブロック図である。
【図21】 この発明の実施の形態5の軟判定装置の軟判定値作成回路のブロック図である。
【図22】 FIRフィルタのブロック図である。
【図23】 伝送路のモデル図である。
【図24】 V=2のときのトレリス図である。
【図25】 従来の最尤系列推定を説明するためのトレリス図である。ただしV=2である。
【図26】 図25のトレリス図に対応したステート遷移の説明図。
【図27】 従来の軟判定装置のブロック図である。
【図28】 従来の軟判定装置のACS回路のブロック図である。
【図29】 従来の軟判定装置の原理を説明するためのトレリス図及びステート遷移図である。ただしV=2である。
【符号の説明】
11 受信信号入力端子、12 伝送路特性推定回路、13−1〜13−(2N) 枝メトリック作成回路、14−1〜14−N ACS回路、15 共有メモリ、16 軟判定値作成回路、17 軟判定値出力端子、21 推定伝送路特性入力端子、22−1〜22−(L+1) 乗算回路、23 メモリ、24 加算回路、25 減算回路、26 2乗回路、27 枝メトリック出力端子、31−1、31−2 枝メトリック入力端子、32−1、32−2 1時刻過去の生き残りパスメトリック入力端子、33−1、33−2 加算回路、34 比較・ 選択回路、35 生き残りパスメトリック出力端子、41−1〜41−(N/2)生き残りパスメトリック入力端子、42−1〜42−(N/2) 生き残りパスメトリック入力端子、43−1、43−2 最小値選択回路、44 減算回路、101 切り替えスイッチ、102 推定伝送路特性更新回路、113−1〜113−(2M) 枝メトリック作成回路、114−1〜114−N ACS回路、116 軟判定値作成回路、121 枝メトリック入力端子、122−1、122−2 1時刻過去の生き残りパスメトリック入力端子、123−1、123−2 加算回路、124 比較・ 選択回路、125 生き残りパスメトリック出力端子、126−1、126−2 パスメトリック出力端子、131−1〜131−N パスメトリック入力端子、132−1〜132−N パスメトリック入力端子、133−1、133−2 最小値選択回路、134 減算回路、141 メモリ長性推定回路、143−1〜143−(2N) 枝メトリック作成回路、144 遅延回路、151 推定伝送路特性入力端子、152−1〜152−(L+1) 2乗回路、153 加算回路、154−1〜154−(L+1)比較回路、155 推定伝送路特性補正回路、156 乗算回路、157 推定伝送路特性出力端子、158判定値遅延量出力端子、161 推定伝送路特性入力端子、162−1〜162−L 切り替えスイッチ、171 メモリ長推定回路、172 推定誤差検出回路、174−1〜174−N ACS回路、175 共有メモリ、176 軟判定値回路、178 硬判定値作成回路、179 硬判定値出力端子 、181 推定誤差入力端子、192 除算回路、201 受信信号入力端子、202 増幅回路、203 A/D変換器、204 軟判定装置、205 乗算回路、206 デインターリーブ回路、207 ビタビ復号回路、208 復号データ出力端子。

Claims (7)

  1. 伝送路を介した受信信号に基づき伝送路特性を推定する伝送路特性推定手段と、
    この伝送路特性推定手段の推定伝送路特性と上記受信信号に基づき次のステートに繋がる枝それぞれの枝メトリックを算出する枝メトリック算出手段と、
    この枝メトリック算出手段により算出される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックとを加算して現時刻のパスメトリックを算出し、現時刻のステートごとに上記算出された各パスメトリックを比較し、上記ステート中でもっとも小さいパスメトリックを生き残りパスメトリックとして選択する加算比較選択手段と、
    この選択された生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算比較選択手段が加算をするときに1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記加算比較選択手段が出力する上記ステートごとの上記生き残りパスメトリックを、各ステートに対応する送信信号の最も過去の送信信号に基づいて分類し、この分類された生き残りパスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定出力手段と、
    上記軟判定値に基づき復号を行う復号回路と、
    を備えたデータ伝送装置。
  2. 加算比較選択手段が、
    生き残りパスメトリックを選択し、この生き残りパスメトリックに対応する生き残りパスを出力するように構成するとともに、
    上記加算比較選択手段により出力される上記生き残りパス及び上記生き残りパスメトリックを受け、硬判定値を算出する硬判定値作成手段を、
    備えたことを特徴とした請求項1に記載のデータ伝送装置。
  3. ステートを構成する送信信号系列の長さを伝送路のメモリ長よりも長くしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ伝送装置。
  4. 伝送路特性推定手段により出力される推定伝送路特性に基づき伝送路のメモリ長L及びステートを構成する送信信号の個数Vを求めるメモリ長推定手段を備え、
    枝メトリック作成手段を、上記メモリ長推定手段の出力に基づき枝メトリックを算出するように構成したことを特徴とする
    請求項1又は2に記載のデータ伝送装置。
  5. 受信信号及び伝送路特性推定手段により出力される推定伝送路特性に基づき推定誤差電力を算出する誤差電力推定手段を備え、
    上記軟判定値作成手段を、上記推定誤差電力に基づき軟判定値を補正するように構成したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれかに記載のデータ伝送装置。
  6. 受信信号と軟判定値に基づき推定伝送路特性を逐次更新し、更新した推定伝送路特性を枝メトリック作成回路に出力する伝送路特性更新手段を備えたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4のいずれかに記載のデータ伝送装置。
  7. 伝送路を介した受信信号に基づき伝送路特性を推定する伝送路特性推定手段と、
    この伝送路特性推定手段の推定伝送路特性と上記受信信号に基づき次のステートに繋がる枝それぞれの枝メトリックを算出する枝メトリック算出手段と、
    この枝メトリック算出手段により算出される上記枝メトリックと1時刻過去の生き残りパスメトリックとを加算して現時刻のパスメトリックを算出し、現時刻のステートごとに上記算出された各パスメトリックを比較し、上記ステート中でもっとも小さいパスメトリックを生き残りパスメトリックとして選択する加算比較選択手段と、
    この選択された生き残りパスメトリックを記憶し、上記加算比較選択手段が加算をするときに1時刻過去の生き残りパスメトリックとして記憶内容を出力するメモリと、
    上記加算比較選択手段が出力する上記ステートごとの上記生き残りパスメトリックを、各ステートに対応する送信信号の最も過去の送信信号に基づいて分類し、この分類された生き残りパスメトリックに基づき軟判定値を出力する軟判定出力手段と、
    を備えた軟判定装置。
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