JP3672664B2 - テレビ用着色スクリーン - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、透過光強度を低下させずに指向性の良い光拡散性をもち、光源からの光の結像を容易にし、かつ、スクリーンの板の厚みが変化しても対応が容易に出来てかつ、投射光強度を上げて、外光反射を低減することでコントラストをはっきりさせることのできる、明るい環境でも見やすい、電源を消しても風合の良い暗色性色調をもつという、これらのことを同時に満足する背面透過型プロジェクションテレビ用スクリーンに関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年テレビの大型化に伴い、従来の直視型ブラウン管テレビから背面透過型プロジェクションテレビの需要が増大している。これまでのプロジェクションテレビ用の出射光側のパネルの構成は一般にはテレビ内部からフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、スクリーンの3枚構成となっており、また、スクリーンにレンチキュラーレンズを付け両方の役目を果たしているものもある。スクリーンの主とする目的は、フレネル及びレンチキュラーレンズの保護であるが、映像を結像し、さらに視野角を広げるためでもある。レンチキュラーレンズを通った光は、スクリーン上で画像が結像する。画像の視野角を広げるためにスクリーンに光拡散性を持たせている。
【0003】
そして、スクリーンに光拡散性能を持たせるために一般的には(1)表面に凹凸形状をつける、または、(2)光拡散剤を用いることが挙げられる。(1)の表面に凹凸形状をつけるものについては熱変形により表面形状が変化しやすく均一な凹凸形状がつけにくく好ましくない。そこで、(2)の光拡散剤が良く用いられる。光拡散剤として微粒子が用いられるが、その代表的な物には炭酸カルシウム、シリカ、マイカ、ガラス等の白色もしくは無色の無機物があげられる。これらは白色系の無色であり、一般的にスクリーンにこのような微粒子を分散させた物では、外光反射量が大きく、また、テレビの電源を消した時に外光反射によってスクリーンが白く見え、外観がふさわしくない。また、光拡散剤をスクリーンの全面に一様に分散した場合、レンチキュラーを通ってきた画像が結像するのに微粒子の濃度が低く、このため、光源からの画像光がよほど緻密でないと、像が結像し難く、また、拡散性も悪く視野角も狭い。このプロジェクションテレビに最適な視野角とは、オプッテク社のゴニオフォトメーターで0.2°間隔で測定して、1/3視野角(β値)が5〜25°である。なお、1/3視野角とはサンプル面に垂直に入射した平行光線を透過側からみて、光軸上における光線強度をVとしたときに光線強度が、1/3Vまで低下するのに要する光軸とのなす角度である。この視野角を広げるために微粒子の重量濃度を高くすると、光源からの光が散乱して透過光強度が低下し、さらに、光源からの像の結像についてもスクリーンの光源側で結像するようレンチキュラーレンズの設計をしても、スクリーン内部を結像光が通る過程で散乱し、像がぼやけてしまう。スクリーンの観察者側で像を結像させるよう設計しても、今度は結像手前の光が散乱してしまうことで結像がうまく行かないといった事で多くの不具合が生じる。さらに、スクリーンの厚みが厚くなると、低濃度であっても光路が長くなり厚みが薄いものと光拡散性や光線透過率に大きな違いが生じる。
【0004】
これらの改善として微粒子を熱可塑性透明樹脂の片面又は両面に印刷方法等を用いて塗布することで上記の不具合を改善する方法が、特開平5−292437、特開平6−311464等で知られているが、この方法では作業工程が複雑になり、また、均一な厚みで微粒子を塗布しなければ透過性や光拡散性の光学特性にむらが生じ、さらに、熱成形を行うと微粒子の欠落や微粒子の間隔の不均一等で光学特性が大きく変化したり、スクリーンの風具合が悪くなったりして、好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は従来のプロジェクションテレビ用スクリーンでは得られなかった外光反射量の低下と、電源を消した際のスクリーンの外観の色調の風具合いの良さと、透過光強度を低下させずに指向性の良い光拡散性をもち、光源からの光の結像を容易にすることを同時に満足するプロジェクションテレビ用スクリーンを提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に着色した第1微粒子を分散した拡散層(i)に熱可塑性樹脂に該微粒子と同一もしくは異なる着色した第2微粒子を分散した拡散層(ii)を片面もしくは両面に積層する事で、外光反射量を低下し、結果として、コントラストがはっきりし、明るい環境下でもはっきりとした映像を見ることが出来て、なおかつ、電源を消した際のスクリーンの外観の色調の風具合いの良い、それでいて、光透過量を低下させずに指向性のよい光拡散性をもつプロジェクションテレビ用スクリーンができることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の(1)〜(7)である。
【0008】
(1)熱可塑性樹脂に着色した第1微粒子を分散した拡散層(i)に熱可塑性樹脂に、該第1微粒子と同一もしくは異なる着色をした第2微粒子を分散した拡散層(ii)を、片面もしくは両面に積層させたことを特徴とするプロジェクションテレビ用スクリーンであって、該第2微粒子の重量濃度が該第1微粒子の重量濃度より高いことを特徴とするプロジェクションテレビ用スクリーン。
【0010】
(2)第1及びまたは第2微粒子がJIS−Z−8722により光源を標準C光源を用いて、10度視野で反射物体として測定したとき、該微粒子の色度座標x10、y10および明度指数L*が、下記式(I)、(II)及び(III)を同時に満たす色調に着色されたことを特徴とする上記(1)記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
【0011】
0.15≦x10≦0.50 …………………………(I)
0.15≦y10≦0.50 …………………………(II)
2≦L*≦95 …………………………(III)
(3)第1微粒子の面積濃度F1が下記式(IV)を満たすことを特徴とする上記(1)または(2)記載のプロジェクションテレビ用スクリーン
1wt%・μm≦F1≦2500wt%・μm ……(IV)
(4)第1微粒子の面積濃度F1及び該拡散層(ii)の微粒子の面積濃度F2と、該拡散層(ii)の重量濃度C2及び該拡散層(ii)の総厚みL2が下記式(V)、(VI)及び(VII)を同時に満たすことを特徴とする上記(1)〜(3)記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
【0012】
500wt%・μm≦F1+F2≦3000wt%・μm …(V)
5wt%≦C2≦20wt% ………………………………(VI)
10μm≦L2≦250μm …………………………………(VII)
(5)第1及び第2微粒子が、下記式(VIII)、(IX)を同時に満足することを特徴とする、上記(1)〜(4)記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
【0013】
0.001≦|Nm−Nd|≦0.1 ……………………(VIII)
(Nmは熱可塑性透明樹脂の屈折率、Ndは微粒子の屈折率を示す。)
1μm≦Dd≦20μm ……………………(IX)
(Ddは微粒子の重量平均粒径を示す。)
(6)該拡散層(i)と該拡散層(ii)の積層によって、1/3視野角(β値)が5°以上、25°以下であることを特徴とする上記(1)〜(5)記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明で用いられる熱可塑性透明樹脂は特に限定されることなく、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、スチレンーアクリル共重合樹脂、耐衝撃性アクリル樹脂等が挙げられ、これらの混合体も有用である。中でも光透過性の点ですぐれたアクリル樹脂が好ましい。さらに二次加工後の薄肉部分の強度維持の点で耐衝撃性アクリル樹脂が特に好ましい。なお耐衝撃性アクリル樹脂は、そのゴム弾性体が特開昭53−58554号公報、同55−94917号公報、同61−32346号公報等に開示されているが、簡単に説明すると、アクリル系重合体芯材料のまわりに弾性層及び非弾性層を交互に生成させる多段階逐次重合法により製造される多段重合体である。また、これらは1種のみではなく複数種用いてもよい。本発明において拡散層(i)及び拡散層(ii)に用いる熱可塑性透明樹脂は同一のものでも良く、また異なっていても良い。
【0016】
本発明の拡散層部に用いる第1及び第2微粒子の材質としては、例えばスチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系重合体、塩化ビニル系重合体等の有機物あるいは、結晶性シリカ、ガラス、沸化リチウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機物が挙げられる。しかし、該微粒子を分散させる透明樹脂の成形温度に於いて実質的に溶融しなければ材質について限定されることはない。第1微粒子と第2微粒子の材質は同一でも異なっていてもよい。また、これら各々の微粒子は単独でも二種以上の組み合わせで利用しても良い。形状も真球状、楕円体状、不定形状等、形状は限定しないが、光拡散状態にむらが生じないために真球状が特に好ましい。微粒子は透明、不透明どちらでも良いが、光拡散性を維持して光線透過率を上げるには透明の方が特に好ましい。安価であり、形状を容易に制御することが出来て、また、組成比によって屈折率、粒径の調整が容易に出来ることから、スチレン−アクリル系架橋重合体微粒子が特に好ましい。
【0017】
本発明で用いられる微粒子の着色は、可視波長領域においてほぼ一様な黒色の可視光線吸収材料だけに限らず、プロジェクションテレビで使用される赤、青、緑の三色の強度比や色純度向上の目的等により特定の波長領域を吸収するものや特定の波長のみ透過するものであっても良い。すなわち、視覚的な色として暗赤色系、暗青色系、暗緑色系もしくはこれらの中間色であっても良い。特に微粒子の色調の範囲については、JIS Z 8722に基づいて、標準のC光源における反射光の10度視野の色度座標のx10、y10を測定して、0.15≦x10≦0.50かつ0.15≦y10≦0.50のものが好ましい。x10、y10がともにこの範囲をはずれると、有彩色調が強くなり、スクリーンが微粒子によって色付いて見えてしまい、スクリーンとしての外観が好ましくない。
【0018】
さらに着色した微粒子の明度としては明度指数L*で表現して2以上、95以下が好ましい。5より小さいとスクリーン全体の輝度が低下するため好ましくない。逆に、95より大きくなると完全拡散反射面と同じ状態となりスクリーンが白く見えてしまい好ましくない。2から95の範囲にあると、スクリーンが白く見えることがない。
【0019】
また、このような着色剤としての材料としては無機系、有機系の区別なく、色素、染料、顔料、カーボン、金属塩、金属錯体等を用いることが出来る。また、用いる熱可塑性透明樹脂や微粒子に相溶する有機染料であればさらに好ましい。なお、上記の色度、明度を満たすものであれば着色剤は1種に限らず複数種であっても良い。
【0020】
また、熱可塑性透明樹脂との屈折率差が小さいもの、好ましくは屈折率差が0.001以上、0.1以下であるものが用いられる。屈折率差が0.001以下になると光源が透けて見え、またβ値が5°より小さくなり不適である。屈折率差が0.1以上になると光線透過率が極端に下がるため好ましくない。透明微粒子の平均粒径については、1μm以下ではβ値が5〜25°であっても光源が透けてしまう事があり好ましくない。20μmより大きくなると微粒子の形状が目立ち、スクリーンの風合いが良くない。さらに10μmより大きくなると極端に光学特性が表面状態に影響されるため、特に好ましくは1〜10μmである。
【0021】
また、本発明で用いる面積濃度については、微粒子の各拡散層における重量濃度と該拡散層の厚みの積で表す。すなわち、微粒子の重量濃度を5wt%で100μmの厚みにした拡散層(a)と微粒子の重量濃度を0. 05wt%で10000μmの厚みにした拡散層(b)という2つの拡散層はともに同じ面積濃度500wt%・μmで表すことが出来る。従って、拡散層(i)中の第1微粒子の重量濃度は拡散層(i)の厚みと関連するが、重量濃度としては、0.0001wt%以上20wt%以下であることが好ましい。0.0001wt%より少ないと、層の厚みを厚くする必要があり、層中を通る光路が長くなり、その間に光が拡散されて好ましくない。20wt%より多くすると層の厚みを薄くしても光拡散性が高く、透過率が低くなり画像が暗くなって好ましくない。好ましくは、粒子の分散の均一性から0.0001〜10wt%以内である。
【0022】
拡散層(i)の厚みについては、重量濃度を決めることで、一義的に決まるが、一般にスクリーンの厚みが1mmから10cmであるので、拡散層(i)の厚みは10cm以内であることが好ましい。このとき拡散層(i)の拡散層の面積濃度が1以上2500wt%・μm以下となるよう上記にある重量濃度と厚み範囲で選択するのが好ましい。面積濃度が1より小さいと光拡散性が少なく、光源が見えてしまい好ましくない。また、面積濃度が、2500wt%・μmより大きくなると拡散層(ii)が存在するので、光拡散性が大きくなりすぎ、同時に、平行光線の透過率が低くなりすぎて画像が暗くなり好ましくない。
【0023】
また、拡散層(ii)中の第2微粒子の重量濃度は、拡散層(i)と関係し、拡散層(i)と拡散層(ii)の面積濃度の和が、500以上、3000wt%・μm以下であることが好ましい。500wt%・μmより小さいと光拡散性が小さく、光源がぎらつき、プロジェクションテレビ用スクリーンとして好ましくない。3000wt%・μmより大きいと光線透過率が低くなり画像が暗くなって好ましくない。
【0024】
さらに、拡散層(ii)の重量濃度は該拡散層(ii)で光源からの像の結像を行い光拡散性を高めることから、高濃度が良く、5wt%から20wt%の範囲であることが好ましい。5wt%より小さいと画像の結像性が低く、また20wt%より大きくすると拡散層(i)の厚みを薄くしても光拡散性が高くなり、また、微粒子の分散も不均一となるので好ましくない。特に好ましいのは5〜15wt%である。
【0025】
また、拡散層(ii)の厚みは10μmより薄いと濃度を濃くしても光源がぎらつきやすく、また、250μmより厚くなると光透過率が低くなり、また、拡散層(ii)の光路が長くなり結像した画像がぼけて好ましくない。好ましいのは10から200μmである。
【0026】
最適な光線透過率と反射率との関係は全光線透過率が反射率の8倍以上であることが好ましい。8倍より小さいと外光反射量との比が、小さくなり、コントラストが悪く、好ましくない。さらに好ましいのは10倍以上である。光吸収剤のような暗色性の着色剤を熱可塑性透明樹脂に加え、外光反射を低減しコントラストを上げることが一般的に知られているが、この場合には、着色剤を加える前の画像光の透過率が低いと、暗色性の着色剤を加えても画像光の透過率がさらに下がってしまうため、コントラスト向上といった目標を達成することが出来ないので好ましくない。
【0027】
本発明におけるプロジェクションテレビに最適な視野角を示す1/3視野角の値(β値)は5から25°が好ましい。5°より小さいと指向性が狭く、好ましくない。25°より大きな視野角を持つ必要がなく、逆に平行光線が少なくなり、画像が暗くて好ましくない。さらに好ましくは5から18°である。
【0028】
本発明のスクリーン製造で行う多層の方法については、接着剤を用いたラミネート、熱溶着、振動溶着、共押出し等が挙げられるがこれらに限定されることはない。しかし、作業工程が少なく、また、積層界面の乱れが少なく、二次加工時に層剥離を生じる可能性のない共押出しが特に好ましい。
【0029】
共押出しは、通常の押出機を2台以上使う。基板部は40mmφ、60mm
φ、90mmφ等の押出機で、また積層部はそれよりも小さい20mmφ、30mmφ、45mmφの押出機を用いる。積層部に用いる微粒子分散樹脂組成物や帯電防止性樹脂組成物は前記する透明微粒子や帯電防止剤を予めブレンダー等を使って透明樹脂中に混練し、その後押出機でペレタイズしたものを用いる。
【0030】
本発明のプロジェクションテレビ用スクリーンは背面透過型及び正面投射型の両方に利用することができるが、特に背面透過型に有効である。
【0031】
本発明におけるプロジェクションテレビ用スクリーンの使用については平面のままで使用するほかに、例えば、片面または両面にレンチキュラーレンズ形状をつけて使用することも可能であり、この場合においては、入射光側にレンチキュラーレンズ形状をつけ、出射光側の平面にスクリーンを通る光が結像するための拡散層(ii)を設けることにより画像がシャープになり好ましく、出射光側の該拡散層(ii)もレンチキュラーレンズ形状にすることで光拡散性が向上するのでさらに好ましい。外光反射を低減するために光不出射部に光吸収剤をつけることも好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例、比較例で本発明を具体的に説明する。なお、各実施例、比較例で用いた評価及び試験方法は次の通りである。
【0033】
(1)1/3視野角の測定:
オプテック社製の3次元ゴニオフォトメーターGP−IIIを用いて評価した。3次元ゴニオフォトメーターの装置の概略図を図1に示す。白色光源(1)をサンプル(2)面に垂直に照射するように向け、光軸上、すなわち透過率が最大になる位置にフォトマル(3)を設置する。サンプルは微粒子の分散した層のある面を光源側に向けて設置する。このときの光強度をV(mV)とする。フォトマル(3)をサンプル(2)の中心を軸として回転して行き、光強度が1/3V(mV)となる1/3視野角(β°)を測定する。
【0034】
(2)スクリーンの外観の風合:
側面を一面開けた内部を反射性の低い黒色の塗料で塗った箱の開けた一面に作成したスクリーンを設置し、部屋の蛍光灯が直接映らない間接光のもと一般的にテレビを見る位置であるテレビから3mm離れたところでスクリーンを見てスクリーンの視覚的色調を確認し、白く見えたりぎらぎらして見えるたりするものの評価を×、白く見えないものの評価を○、として表現する。
【0035】
(3)着色した微粒子の色度測定:
JIS Z 8722に基づき色差計 東京電色 製カラーアナライザーTC−1800mKIIを用いて反射物体として測定する。測定するサンプルの作成方法は何種か考えられるが、ここでは着色した微粒子をすり鉢で粉体状にし、開口部の面積が4cm×4cm=16cm2深さ0.5mmのセルに詰めて軽くプレスして固定する。試料がセルに固定できない場合にはセルの底部に透明な両面テープを張り、粉体とした試料を下地が見えないよう一面にまぶすようにセルに詰め、軽くプレスして表面を平滑にし、この上から可視光領域において透明なシートを密着してサンプルを固定する。但し、この場合、セル及びフィルムの影響があるので、常用標準白色板にセル及び透明フィルムを密着したものを常用標準白色板として用いなければならない。これをサンプルとして色度、明度を測定する。さらに測定に際し、透明な微粒子の場合では特に、光が透過して正確に反射物体として測定することが出来ない。そこで、ここでは上記のようにして作成したサンプルの測定面の逆側に常用白色標準板を置いて測定することにする。標準白色面を標準C光源において分光立体角反射率が98.21%の硫酸バリウムを標準白色面に用いて、光源は標準C光源を用い、10度視野におけるx10、y10及び明度L*を測定する。
【0036】
(4)屈折率の測定:
ATAGOアッベ屈折率計type3を用いて測定した。
【0037】
(5)光透過性の測定:
JIS K−7105に準じて日本電色工業社製1001−DP型ヘーズメーターを用いて、試験片の全光線透過率を測定する。
【0038】
(6)視感反射率の測定:
JIS Z 8722に基づき、色差計 東京電色 製カラーアナライザーTC−1800mKIIを用い、光源を標準C光源を用い、10度視野における試験片の視感反射率Y値を求める。この場合には試験片の測定面の逆側には、光吸収のある黒色のライトトラップを設置して測定する。
【0039】
(7)画像の評価:
スクリーンの一方からプロジェクターで画像を写し、スクリーンのもう一方の面から画像を観察する。画像のフォーカスは画像が入射してくる側のスクリーン面上でシャープになるようにする。スクリーンを通した画像がシャープな場合には○、画像にぼけが生じたり、二重画像が生じたときには、スクリーン上で画像が結像出来ていなかったり、余分な迷光が出てきていて好ましくないので×として評価する。なお、拡散層(i)が片面の場合には拡散層(i)側から画像を入射させ、画像のフォーカスを拡散層(i)の表面で合わせることにする。プロジェクターはキャビン工業製 TWIN CABIN SUPERを用いる。
【0040】
【製造例】
微粒子の調整:
表1にある微粒子(A1〜3)を用いる。なお、A−1とA−2は微粒子に着色を行っているがこれは、スチレン−アクリル架橋重合体を合成する際に暗色系色調を持つ染料を添加して合成を行い着色する。屈折率については上記(4)にある方法を用いて測定した。平均粒径についてはこれらの粒子を界面活性剤水溶液中に超音波で分散させ、遠心式自動粒度分布測定装置(堀場製作所社製 CAPA−700型)を用いて、光透過型沈降粒度分布測定法により粒子径分布を測定する。更に、粒子の沈降速度の差を利用した沈降分級法と遠心力を利用した遠心分級法を組み合わせた方法で、粒子の分級を行ない表1にある平均粒径をもつ微粒子を得た。これを(3)の方法を用いて表1にある、色度座標x10、y10及び明度指数L*を持つ微粒子であることを確認した。
【0041】
【表1】
【0042】
スクリーン用原料の調整:
耐衝撃性アクリル樹脂(A)としてメチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合体からなる連続相中にブチルアクリレートを主成分としたアクリル酸エステルエラストマーを分散させたアクリル樹脂(シート材料用デルペットSR7175、旭化成工業製)を用い、上記(4)の測定方法を用いて屈折率が1.49であることを確認した。その後、表2、表3に従って、微粒子、着色剤として暗黒色系染料を用いて配合し、これらを混合し、タンブラーを用いて均質に混合後、ベント付き押出し機30mmφにて樹脂温度250℃で溶融混練し、ペレット化し原料(B−1〜4及びC−1〜2)を調整した。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例1〜5】
上記で調整した原料ペレット(B−1〜4及びC−1〜2)を表4に示される組み合わせで用いて拡散層部原料とし、直径20mmL/D=32の押出機を用い、メチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合体からなる連続相中にブチルアクリレートを主成分としたアクリル酸エステルエラストマーを分散させた耐衝撃性アクリル樹脂(商品名 シート材料用デルペットSR7175、旭化成工業製)と着色剤として暗色系染料を用い、これを基材層部として用い、これらを直径40mm、L/D=32の押出機を用いて共押出しを行なう。ポリッシングロールの温度は、上、中、下ロールとも70℃にしてダイスは2種2層のフィードブロック式、リップ開度は3.0mmで押出し、押出機温度は265℃で行った。多層シートの厚みはポリッシングロールのクリアランスで板の厚みを2.0mmを目標に調整し、拡散層部は基材層の片面に多層する事にし、拡散層部の厚みは押出機の押出し量で調整を行なう。なおここで用いる耐衝撃性アクリル樹脂の屈折率は(4)の方法で測定して1.49であることを確認する。
【0046】
【比較例1、2】
表2に示されるB−3、B−4を原料として表4に示されるような構成で単層板を押出成形で成形した。押出機は一台で行い、ダイスは1層のT型ダイス、ポリッシングロールその他の条件は実施例と同様にして行なう。
【0047】
【表4】
【0048】
このようにして得られた試験片で上記(1)(2)(5)(6)(7)を評価したところ表5に示す結果が得られた。
【0049】
【表5】
【0050】
実施例1〜5は共に暗色性色調でありパネルが白くは感じられず、部屋においても違和感のない色調である。また、視感反射率も低く、全光線透過率と視感反射率の比も大きい。さらに、スクリーンの視野角(β値)についてもプロジェクションテレビ用スクリーンに最適な5〜18°にある。そして、実施例1については板の厚さが3mmに変化しても同様に、パネルの風合がよく、1/3視野角が最適な範囲にある。また、画像の評価については実施例1〜5は拡散層(i)側から画像を入射する場合、拡散層1で画像がはっきりと写し出されるので画像がシャープに見える。一方、比較例1、2は、スクリーンの外観については白く見えて好ましくない。視感反射率が高く、全光線透過率と視感反射率との比も小さい。従って、プロジェクションテレビ用スクリーンとしては好ましくない。また、1/3視野角も比較例2は5〜25°内にはなくプロジェクションテレビ用スクリーンとして好ましくない。画像の評価については比較例1はスクリーン上で結像した光がスクリーンで散乱され迷光となるので、画像がぼやけて好ましくない。また、比較例2ではスクリーン上での結像が弱いため像が2重像になって好ましくない。
【0051】
【発明の効果】
本発明のプロジェクションテレビ用スクリーンは外光反射量の低下と、電源を消した際のスクリーンの外観の色調の風具合いの良さと、透過光強度を低下させずに指向性の良い光拡散性をもち、光源からの光の結像を容易にする事を同時に満足したプロジェクションテレビ用スクリーンとしてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】1/3視野角の測定方法の説明図。
【符号の説明】
1 拡散層(i)
2 拡散層(ii)
3 白色光源
4 フォトマル
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂に着色した第1微粒子を分散した拡散層(i)に、熱可塑性樹脂に該第1微粒子と同一もしくは異なる着色をした第2微粒子を分散した拡散層(ii)を、片面もしくは両面に積層させたことを特徴とするプロジェクションテレビ用スクリーンであって、該第2微粒子の重量濃度が該第1微粒子の重量濃度より高いことを特徴とするプロジェクションテレビ用スクリーン。
- 第1及びまたは第2微粒子がJIS−Z−8722により光源を標準C光源を用いて、10度視野で反射物体として測定したとき、該微粒子の色度座標x10、y10および明度指数L*が、下記式(I)、(II)及び(III)を同時に満たす色調に着色されたことを特徴とする請求項1記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
0.15≦x10≦0.50 …………………………(I)
0.15≦y10≦0.50 …………………………(II)
2≦L*≦95 …………………………(III) - 第1微粒子の面積濃度F1が下記式(IV)を満たすことを特徴とする請求項1または2記載のプロジェクションテレビ用スクリーン
1wt%・μm≦F1≦2500wt%・μm ……(IV) - 第1微粒子の面積濃度F1及び該拡散層(ii)の微粒子の面積濃度F2と、該拡散層(ii)の重量濃度C2及び該拡散層(ii)の総厚みL2が下記式(V)、(VI)及び(VII)を同時に満たすことを特徴とする請求項1〜3記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
500wt%・μm≦F1+F2≦3000wt%・μm …(V)
5wt%≦C2≦20wt% ………………………………(VI)
10μm≦L2≦250μm …………………………………(VII) - 第1及び第2微粒子が、下記式(VIII)、(IX)を同時に満足することを特徴とする、請求項1〜4記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
0.001≦|Nm−Nd|≦0.1 ……………………(VIII)
(Nmは熱可塑性透明樹脂の屈折率、Ndは微粒子の屈折率を示す。)
1μm≦Dd≦20μm ……………………(IX)
(Ddは微粒子の重量平均粒径を示す。) - 該拡散層(i)と該拡散層(ii)の積層によって、1/3視野角(β値)が5°以上、25°以下であることを特徴とする請求項1〜5記載のプロジェクションテレビ用スクリーン。
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