JP3672036B2 - 無機リン酸、ピロリン酸及び核酸の検出方法並びにdnaのsnp配列をタイピングする方法 - Google Patents

無機リン酸、ピロリン酸及び核酸の検出方法並びにdnaのsnp配列をタイピングする方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、無機リン酸もしくはピロリン酸を検出する方法に関する。さらに、前記検出により、試料中の目的核酸を簡易かつ高感度で検出する方法、特にSNPを判別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遺伝子情報に関する技術が盛んに開発されている。医療分野では、疾患関連遺伝子を解析することにより、疾患の分子レベルでの治療が可能となってきている。また、遺伝子診断により、患者個人ごとに対応したテーラーメード医療も可能となってきている。製薬分野においては、遺伝子情報を使用して、抗体やホルモンなどのタンパク分子を特定し、薬品として利用している。農業や食品分野などにおいても、多くの遺伝子情報を利用した製品が作り出されている。
【0003】
これらの遺伝子情報の中でも、遺伝子多型は特に重要である。我々の顔や体型などが様々であるように、一人一人の遺伝子情報もかなりの部分で異なっている。これらの遺伝情報の違いのうち、塩基配列の変化が人口の1%以上の頻度で存在するものを遺伝子多型と呼んでいる。これらの遺伝子多型が、個人の顔かたちだけでなく、様々な遺伝子疾患の原因や、体質、薬剤応答性、薬剤の副作用などに関連していると言われ、現在この遺伝子多型と疾患などとの関連が急速に調べられている。
【0004】
この遺伝子多型の中で、近年、特に注目されているのがSNP(Single nucleotide polymorphism)である。SNPは、遺伝子情報の塩基配列の中で、一塩基のみが異なっている遺伝子多型のことを指す。SNPはヒトゲノムDNA内に2〜3百万あると言われており、遺伝子多型のマーカーとして利用しやすく、臨床への応用が期待されている。現在では、SNP関連技術として、ゲノム中のSNPの位置同定およびSNPsと疾患との関連性等の研究とともに、SNP部位の塩基を判別するSNPsタイピング技術の開発が行われている。
【0005】
一般的にDNAの塩基配列の違いを判別する手段としては、サンガー(ダイデオキシ)法、DNAチップ法などが用いられている。サンガー法は、ヒトの遺伝子の解析したい領域をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法で増幅したのち、所望の部位の塩基配列を読み取ってシーケンスを行い、塩基配列を直接決定してSNPタイピングを行う。DNAチップ法は、cDNAのPCR産物もしくは15〜20塩基程度のオリゴヌクレオチドプローブを基板上に固定し、そこに蛍光標識した試料DNAをハイブリダイゼーションさせるものである。温度等のハイブリダイゼーション条件を厳しく制御することで、SNPをプローブと試料DNAの親和性の差、つまり蛍光強度の差によって検出するものである。
【0006】
さらに、大量のSNPタイピングを可能にするために、特表平10−510982号(TaqManPCR法)(特許文献1)や特表2001−518805号(Invader法)(特許文献2)などが開示されている。特表平10−510982号に示されている方法の概略図を図1に示す。特表平10−510982号では、蛍光分子および該蛍光分子の蛍光を消光できる消光分子を含むオリゴヌクレオチドプローブが提供されている。標的ポリヌクレオチドの「下流領域」(すなわち、プライマー結合部位の伸長方向)に特異的にアニールされる報知分子−消光分子対を含むオリゴヌクレオチドプローブを用いる。この消光分子および報知分子は互いに十分接近して配置され、それによって報知分子が励起されると、常にこの励起状態エネルギーは消光分子に非放射性に伝えられ、該エネルギーは非放射性に消失するか、または報知分子の発光周波数と異なる周波数で放出される。DNAポリメラーゼによって鎖が伸長している間プローブは鋳型とアニールし、このプローブはポリメラーゼの5’→3’エクソヌクレアーゼ活性によって消化される。プローブが消化される結果、この報知分子は効果的に消光分子から分離され、それによって消光分子はもはや報知分子の蛍光を消光できるほど十分に報知分子に接近することができない。したがって、増幅時にプローブが消化されればされるほど、溶液中の報知分子数は増加し、結果として非消光報知分子数が増す結果となり蛍光シグナルはますます強くなる。
【0007】
特表2001−518805号では、標的核酸分子の存在を検出する方法が示されている。この方法の概略図を図2に示す。構造特異的ヌクレアーゼ、第1標的核酸の源(ただし、第1標的核酸は第1領域、第2領域および第3領域を有し、第1領域は第2領域に隣接してその下流に位置し、第2領域は第3領域に隣接してその下流に位置する)、5’部分と3’部分を有する第1オリゴヌクレオチド(ただし、第1オリゴヌクレオチドの5’部分は第1標的核酸の第2領域に相補的な配列を含み、第1オリゴヌクレオチドの3’部分は第1標的核酸の第3領域に相補的な配列を含む)、5’部分と3’部分を有する第2オリゴヌクレオチド(ただし、第2オリゴヌクレオチドの5’部分は第1標的核酸の第1領域に相補的な配列を含み、第2オリゴヌクレオチドの3’部分は第1標的核酸の第2領域に相補的な配列を含む)、第2標的核酸の源(ただし、第2標的核酸は第1領域、第2領域および第3領域を有し、第1領域は第2領域に隣接してその下流に位置し、第2領域は第3領域に隣接してその下流に位置する)、5’部分と3’部分を有する第3オリゴヌクレオチド(ただし、第3オリゴヌクレオチドの5’部分は第2標的核酸の第2領域に相補的な配列を含み、第3オリゴヌクレオチドの3’部分は第2標的核酸の第3領域に相補的な配列を含む)を用意し、第1オリゴヌクレオチドの少なくとも3’部分が第1標的核酸にアニーリングし、かつ第2オリゴヌクレオチドの少なくとも5’部分が第1標的核酸にアニーリングしている第1開裂構造体を形成し、第1開裂構造体の開裂を構造特異的ヌクレアーゼにより起こすことにより第1オリゴヌクレオチドを開裂して第4オリゴヌクレオチドを生成させ、この第4オリゴヌクレオチドは5’部分と3’部分を有し、第4オリゴヌクレオチドの5’部分が第2標的核酸の第1領域に相補的な配列を含み、第4オリゴヌクレオチドの3’部分が第2標的核酸の第2領域に相補的な配列を含むものであり、第3オリゴヌクレオチドの少なくとも3’部分が第2標的核酸にアニーリングし、かつ第4オリゴヌクレオチドの少なくとも5’部分が第2標的核酸にアニーリングしている第2開裂構造体を形成し、第2開裂構造体の開裂を起こして第5オリゴヌクレオチドを生成させ、この第5オリゴヌクレオチドは3’−ヒドロキシル基を有するものであり、そして上記第5オリゴヌクレオチドを検出することを含んでなる方法を開示している。
【0008】
しかしながら、これらの方法はいずれも、プローブに蛍光標識を用いているため、試薬などが大変高価であり、かつ蛍光検出にレーザ照射等の光源が必要となるため測定装置も大型となってしまい、医療機関で臨床用途として使用することを考えた場合、多くの問題点が残っている。
【0009】
一方、新たなDNA塩基配列の決定方法として、特表2001−506864号(特許文献3)では、DNAの伸長反応に伴って生成されるピロリン酸をATP(アデノシン三リン酸)に変換し、ATPを基質として、ルシフェラーゼの作用によるルシフェリンの発光を検出する方式が開示されている。この方法の概略図を図3に示す。標的位置のすぐ隣で試料DNAにハイブリダイズする伸長プライマーを用意し、試料DNAおよび伸長プライマーを、デオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの存在下でポリメラーゼ反応に供し、それによりデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを、それが標的位置の塩基と相補的である場合にのみ、取り込まれてピロリン酸(PPi)を放出するようにし、PPi放出を酵素的に検出し、異なるデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドを、試料−プライマー混合物の別個のアリコートに、または同じ試料−プライマー混合物のアリコートに連続的に添加して、ポリメラーゼ反応に供し、どのデオキシヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドが取り込まれたかを示す方法であって、PPi検出酵素がポリメラーゼ反応工程に包含されること、およびデオキシアデノシントリホスフェート(dATP)またはジデオキシアデノシントリホスフェート(ddATP)の代わりに、ポリメラーゼの基質として作用することができるが前記PPi検出酵素の基質としては作用することができないdATPまたはddATPアナログを用いることを特徴とする方法を提供する。特表2001−506864号においては、有利にも、大規模の非電気泳動的固相DNA配列決定を可能にし、それにより時間に伴う重合反応の進行の連続的決定が可能になる方法が開示されている。
【0010】
しかしながら、この方法においても、ルシフェラーゼの発光を検出する等、大がかりな装置が必要であり、病院のベッドサイドや薬剤供給の際の簡易型システムとしては、適したものではなかった。
【0011】
特開昭63−49100号(特許文献4)には、無機リン酸の測定方法が開示されている。この方法では、無機リン酸が関わる3段階の反応を利用しており、最終的に、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)が還元されてNADHとなり、又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)が還元されてNADPHとなり、生成したNAD(P)Hの量を紫外線吸収法等により測定する。この方法では3段階の反応を用いているため、反応の素過程が多く、全素過程が進行する反応条件を設定することは煩雑な上、必ずしも効率良い条件にできるとは限らない。さらに、分光高度計などの比較的大がかりな測定装置を用いる必要があり、簡便性に欠けるという問題点があった。
【0012】
また、上記特開昭63−49100号に記載されている方法と同様に、目的試料の反応に伴って補酵素NAD(P)+が還元されることを利用して、目的試料を検出する方法が国際公開パンフレットWO00/04378号(特許文献5)に記載されている。しかしながら、ここでの検出目的試料はL−フェニルアラニンであるため、かかる方法を標的核酸分子の存在の検出に適用することはできない。
【特許文献1】
特表平10−510982号
【特許文献2】
特表2001−518805号
【特許文献3】
特表2001−506864号
【特許文献4】
特開昭63−49100号
【特許文献5】
国際公開パンフレットWO00/04378号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とするものであり、迅速、簡便な方法で、かつ高感度の検出が可能な無機リン酸、ピロリン酸及び核酸の検出方法を提供する。また、大量のSNPタイピングを、高感度かつ安価に実現できるSNPタイピング法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、無機リン酸を検出する方法を提供する。本方法は、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む測定系に試料を供する工程;および上記測定系において電流値を測定する工程を包含し、ここで、上記電流値が、上記試料中の無機リン酸の濃度を示す。
【0015】
1つの実施形態では、上記電子メディエータは、フェリシアン化物、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ジメチルベンゾキノン、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムサルフェート、メチレンブルー、ガロシアニン、チオニン、フェナジンメトサルフェート、およびメルドラブルーからなる群より選択される少なくとも一種である。
【0016】
1つの実施形態では、上記測定系はジアホラーゼをさらに含む。
【0017】
1つの実施形態では、上記測定系はアデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼをさらに含む。
【0018】
さらに、本発明は、ピロリン酸を検出する方法を提供する。本方法は、試料中のピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;上記試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;および上記測定系において電流値を測定する工程を包含し、ここで、上記電流値が、上記試料中のピロリン酸の濃度を示す。
【0019】
1つの実施形態では、上記ピロリン酸の無機リン酸への変換が、ピロフォスファターゼを用いて行われる。
【0020】
さらに、本発明は、核酸を検出する方法を提供する。本方法は、上記核酸の配列に相補的な配列を持つDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料を供し、上記DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸が上記DNAプローブの伸長反応に伴って生成される工程;試料中の生成されたピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;上記試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;および上記測定系において電流値を測定する工程を包含し、ここで、上記電流値が、上記試料中の特定配列を有する核酸の濃度を示す。
【0021】
1つの実施形態では、上記DNAプローブの伸長反応はPCR反応である。
【0022】
さらに、本発明は、DNAのSNP配列をタイピングする方法を提供する。本方法は、上記DNAの配列に相補的な配列を持ち、かつSNP部位を有するDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料を供し、上記DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸が上記DNAプローブの伸長反応に伴って生成される工程;試料中の生成されたピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;上記試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;および上記測定系において電流値を測定する工程を包含し、ここで、上記電流値が、上記試料中の特定配列を有するDNAの存在を示す。
【0023】
1つの実施形態では、上記DNAプローブの伸長反応はPCR反応である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電気化学的手法を用いる試料中の無機リン酸の高感度、高速、かつ定量的な検出が提供される。さらに、ピロリン酸を無機リン酸に変換することにより、ピロリン酸の高感度、高速、かつ定量的な測定が提供される。また、本発明によれば、核酸の伸長反応に伴って生成されるピロリン酸を測定することによって、目的の核酸の有無を定量的に測定することが出来る。さらには、目的の核酸のSNP部位における塩基判定を、高感度かつ高速に測定することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、酵素反応を用いて簡便な無機リン酸の定量的検出を行う。本発明の実施の形態1は、無機リン酸を検出する方法に関し、この方法は、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む測定系に試料を供する工程;およびこの測定系において電流値を測定する工程を包含する。本明細書中では、「測定系」は、無機リン酸の検出に関する機構に関与する一連の反応全体、およびこのような一連の反応が実施される場をいう。「測定系」には、一連の反応が実施されるのに必要な成分が存在する。「測定系」は、通常、上記成分が適切な溶媒(例えば、Tris−HCl緩衝液のような緩衝液)中に溶解された溶液の形態で提供され得る。グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼとは、NAD又はNADPを補酵素とし、グリセルアルデヒド−3−リン酸を酸化的にリン酸化する酵素であり、本明細書においては、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼとも示す。
【0027】
本発明の実施の形態1について反応式(I)〜反応式(IV)を用いて説明する。
【0028】
まず、反応式(I)に示すように、無機リン酸は、グリセルアルデヒド−3−リン酸とともに、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼとNAD(P)の触媒作用を受け、1,3−ビスホスホグリセリン酸に変換される。このとき、NAD(P)はNAD(P)Hに還元される。
【0029】
【化1】
Figure 0003672036
次に、反応式(I)の反応において生成されたNAD(P)Hからの電子移動により、反応式(II)に示すように、電子メディエータの酸化体(反応式(II)中Med(Ox))が還元され還元体(反応式(II)中Med(Re))となる。このときNAD(P)HはNAD(P)に酸化される。
【0030】
【化2】
Figure 0003672036
この反応は、適切な電子メディエータを用いた場合、自発的に進行する。適切な電子メディエータとは、その酸化体がNAD(P)Hとともに酸化還元反応を起こし、かつそれにより生成された還元体が一定以上の電位が印加された作用極において電気化学的に酸化される電子メディエータである。本実施の形態において用いる電子メディエータとしては、フェリシアン化カリウム、チオニン、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルサルフェート、2,6−ジメチル−P−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸カリウム、メルドラブルー、ガロシアニン、メチレンブルー、インジゴカーミン、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸、サフラニンなどが挙げられる。しかし、その酸化体がNAD(P)Hとともに酸化還元反応を起こし、かつそれにより生成された還元体が一定以上の電位が印加された作用極において電気化学的に酸化される電子メディエータであれば、上記に限定されない。反応式(II)に示される反応を触媒する酵素もまた、反応の進行を促進するために使用され得る。このような酵素としては、ジアホラーゼが挙げられる。
【0031】
最後に、反応式(III)に示すように、反応式(II)の反応の結果生成された電子メディエータの還元体が、一定以上の電位が印加された作用極において電気化学的に酸化される。
【0032】
【化3】
Figure 0003672036
この酸化により、電子が放出され、このような電子の放出は、電流値として示され得る。このような電流の測定は、一般の電気化学的検出器を用いてなされ得る。
【0033】
より具体的には、電気化学的酸化の測定は、図9に示す測定装置系を用いて行われ得る。本測定装置系は、以下のように構成されている。図中、6はガラスセルであり、内部に攪拌子7を入れ、スタラーマシン13上に固定されている。ガラスセル6には、電極固定器具8により、測定極9、対極10、および参照極11がセットされている。測定極9は金電極で、また対極10は白金線でそれぞれ構成されている。参照極11は、銀/塩化銀電極で構成され、表面に塩化銀がコートされた銀線と飽和KCl溶液が多孔性ガラスを介してガラスセルに接続されている。これらの電極は、それぞれポテンショスタット、ファンクションジェネレータなどが一体化された電気化学測定システム14に接続されており、パソコン15により制御およびデータの記録を行っている。
【0034】
上記ガラスセル6中には、反応溶液12が満たされており、反応溶液12は攪拌子7によって攪拌される。電気化学測定システム14を用いて、参照極11に対して一定以上の電位を測定極9に印加すると、反応溶液中のメディエータが酸化し、この酸化による電子の放出により測定極9と対極10との間に電流が流れる。上記電位は、メディエータ種によって異なる。そのメディエータ種の酸化還元電位よりも高い電位が測定極9に加えられ得る。例えば、メディエータとしてフェリシアン化カリウムを用いた場合、参照極11に対して+500mV程度の電位が測定極9に加えられる。このときの電流値が、電気化学測定システム14を用いて測定され得る。
【0035】
電流値は、最初の無機リン酸の存在に依存するので、この酸化電流値をもとにして無機リン酸が検出され得る。
【0036】
尚、反応式(II)において、電子メディエータが還元されることによってNAD(P)Hが消費され、NAD(P)が生成される。従って、反応式(I)の反応は、1,3−ホスホグリセリン酸及びNAD(P)Hが生成される方向に促進される。すなわち、本実施の形態において、電子メディエータは、酸化されることにより、無機リン酸の濃度に対応した電流値の測定に寄与するのみならず、無機リン酸の濃度を高感度に検出することに寄与する。
【0037】
また、上記の通り、本実施の形態において、無機リン酸が関わる反応の素過程は、反応式(I)に示す一過程のみである。したがって、かかる素過程が効率良く進行するよう制御することは容易である。
【0038】
以上に示される反応式(I)〜反応式(III)の一連の反応を用いた検出方法は、電気化学的な手法による無機リン酸の定性検出を可能にする。また、その結果得られる電流値は最初の無機リン酸の量に依存するため、その検出は定量的なものである。
【0039】
本実施の形態においては、反応式(I)に示されるように、無機リン酸とグリセルアルデヒド−3−リン酸とNAD(P)とがまず反応し、その結果1,3−ビスホスホグリセリン酸およびNAD(P)Hが生成する。この反応は吸エルゴン反応である。一方、反応式(IV)に示すように、1,3−ビスホスホグリセリン酸をアデノシン二リン酸(ADP)とともにホスホグリセレートキナーゼの触媒作用により反応させ、3−ホスホグリセリン酸およびアデノシン三リン酸(ATP)を生成する反応がある。この反応を進行させるために、Mg2+もまた添加され得る。Mg2+は、これが反応系中で反応に関与できる状態で存在し得る限り、いかなる形態でも添加され得る。塩化マグネシウムが好ましく用いられ得る。添加される濃度は、各反応基質が1mMで添加される場合、10mMであり得る。この反応は発エルゴン反応である。従って、本実施の形態において、この反応式(IV)の反応を共役させることで、反応式(I)の反応の平衡を1,3−ビスホスホグリセリン酸およびNAD(P)Hが生成される方向に傾けてもよい。
【0040】
【化4】
Figure 0003672036
上記の通り、本実施の形態においては、被験試料中の無機リン酸が検出されるためには、測定系は、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、および電子メディエータを含む必要がある。この測定系は、ジアホラーゼもまた含み得、これにより反応式(II)の反応を促進し得る。この測定系はまた、必要に応じて、アデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼを含み得る。アデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼは、本測定系において、反応式(IV)に示されるように作用し、無機リン酸の検出を促進し得る。
【0041】
測定系は、上述した成分のそれぞれを適切な濃度で含む反応溶液であり得る。反応式(I)〜反応式(IV)から明らかなように、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、および電子メディエータ、ならびにアデノシン二リン酸が含まれる場合、アデノシン二リン酸は、それらの終濃度が実質的に同一の濃度となるように、この反応溶液中に含まれ得る。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、およびホスホグリセレートキナーゼのような酵素は、反応を進行させるのに適切な濃度で含まれ得る。このような濃度は、例えば、各反応物質を約1mMの終濃度で添加する場合、0.5〜1,000unit/mlであり得、好ましくは、1〜100unit/ml、最も好ましくは、5〜50unit/mlであり得る。無機リン酸を定量的に検出するために、試料を上記反応溶液に添加して反応式(I)〜反応式(III)(および反応式(IV))に示されるような反応を生じさせ、そしてこの反応により生成される電流値を測定し得る。
【0042】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、酵素反応を用いた簡便なピロリン酸の定量的検出を行う。
【0043】
本発明の実施の形態2について反応式(V)を用いて説明する。
【0044】
まず、反応式(V)に示すようにピロリン酸(反応式(V)中のPPi)を加水分解して無機リン酸(反応式(V)中のPi)にする。
【0045】
【化5】
Figure 0003672036
この加水分解反応は、反応温度を高温にして行っても構わないし、この反応を触媒する酵素であるピロフォスファターゼを用いて行っても構わない。
【0046】
次に、反応式(V)の反応により生成された無機リン酸を、実施の形態1と同様に検出することにより、定量的にピロリン酸を検出することが可能である。
【0047】
本実施の形態において、反応式(V)の反応は、実施の形態1に示した無機リン酸の検出における反応と別個に行う必要はない。従って、被験試料中のピロリン酸を検出するために、上記実施の形態1で説明したような無機リン酸を検出するための測定系に、さらにピロフォスファターゼを含ませ得る。例えば、被験試料中のピロリン酸を検出するために、無機リン酸の検出のための測定系に含まれる上述の成分のそれぞれに加えて、ピロフォスファターゼを適切な濃度で含む反応溶液が使用され得る。このピロフォスファターゼもまた、反応を進行させるのに適切な濃度で含まれ得る。このピロフォスファターゼの濃度は、例えば、各反応物質を約1mMの終濃度で添加する場合、0.001〜1,000unit/mlであり得、好ましくは、0.01〜100unit/ml、最も好ましくは、0.1〜1unit/mlであり得る。ピロリン酸を定量的に検出するために、試料を上記反応溶液に添加して反応式(V)ならびに反応式(I)〜反応式(III)(および反応式(IV))に示されるような反応を生じさせ、そしてこの反応により生成される電流値を測定し得る。
【0048】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、特定配列を持つDNAを高感度に検出する方法が実施される。
【0049】
本実施の形態においては、まず、目的とするDNAの配列に相補的な配列を持つDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料が供せられる。ここで「反応系」とは、以下に説明するような一連の核酸伸長反応およびこのような反応が実施される場をいう。「反応系」には、一連の反応が実施されるのに必要な成分が存在する。「反応系」は、通常、上記成分が適切な溶媒(例えば、Tris−HCl緩衝液、核酸伸長反応または核酸増幅反応で通常使用され得るいずれもの緩衝液(市販による入手可能なキット中の緩衝液を含む))中に溶解された溶液の形態で提供され得る。DNAポリメラーゼは、市販により入手可能な、または当業者により調製可能な、任意のDNAポリメラーゼであり得る。好ましくは、Taqポリメラーゼが使用され得るが、これに限定されない。デオキシヌクレオチドは、各デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPとも称される:デオキシシトシン三リン酸、デオキシグアニン三リン酸、デオキシアデニン三リン酸、およびデオキシチミジン三リン酸を含む)であり得、通常、DNA合成の直接の前駆物質として使用され得る物質である。これにより、DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸がこのDNAプローブの伸長反応に伴って生成される。この反応について、反応式(VI)を用いて説明する。
【0050】
このDNAプローブは目的のDNAとハイブリダイズすると、反応系中に存在するDNAポリメラーゼによって、反応系中の1つのデオキシヌクレオチド(反応式(VI)中のdNTP)を取り込んで伸長され、ピロリン酸が1つ生成される。
【0051】
【化6】
Figure 0003672036
反応式(VI)中、添え字のn及びn+1はDNAプローブの塩基数を示す。したがって、反応式(VI)は、この反応によってnベースのDNAプローブがn+1ベースに伸長したことを示す。このようにして生成したピロリン酸を、実施の形態2と同様に無機リン酸へと分解し、次いで無機リン酸を実施の形態1と同様に検出することにより、試料中の特定配列を持つDNAを検出することが可能となる。
【0052】
本実施の形態で使用されるDNAプローブは、検出を目的とされるDNAの配列に対して相補的な配列を有するように設計される。このDNAプローブは、検出を目的とされるDNAの配列とハイブリダイズした場合に、当該DNAプローブの伸長のためのプライマーとして働く。したがって、DNAプローブの長さは、伸長反応のためのプライマーとして働くのに十分な長さである。例えば、少なくとも10塩基、少なくとも12塩基、少なくとも15塩基、少なくとも20塩基、少なくとも30塩基、少なくとも40塩基、少なくとも50塩基の長さであり得る。ハイブリダイゼーションおよびプライマー伸長を十分に行い得、かつその調製の容易さを考慮すると、15〜50塩基の長さが好ましい。本発明の方法で使用されるDNAプローブは、検出を目的とされるDNAに特異的にハイブリダイズし、かつ当該DNAプローブの伸長のためのプライマーとして働く限り、いずれの長さでもあり得る。
【0053】
DNAプローブは、試料中の目的のDNAと特異的にハイブリダイズし、かつプライマーとして働くため、検出しようとする配列が既知である場合、この配列に対して完全に相補的である、すなわち、配列中の塩基に対して正確に対応する(A−TまたはC−Gペア)配列を有するように設計され得る。試料中に目的の特定配列を有するDNAが存在しない場合、当然のことながらDNAプローブとのハイブリダイズは起こらない。したがって、本反応系を使用することにより、検出しようとする配列が既知または未知であるに関わらず、このDNAプローブに完全に相補的である配列の存在を検出し得る。
【0054】
ハイブリダイゼーションおよび伸長反応は、好ましくは以下の実施例4と本質的に同様の条件下で行われ得るが、DNAのハイブリダイゼーション、ならびにDNAポリメラーゼの作用によるプライマーおよびデオキシヌクレオチドによるDNAの伸長反応が行われる任意の条件下で実施され得る。DNAプローブと目的DNAとのハイブリダイゼーションは、例えば、Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第1〜3巻、Cold Spring Harbor Laboratoryなどの実験書に記載される方法によって行なわれ、本方法は当業者に公知である。代表的には、ハイブリダイゼーション条件は、通常AとTとのペアが2℃、GとCとのペアが4℃としてその合計に2℃を加えた値をTm値としてとり、そこから5℃下げたくらいの温度条件を設定し得る。本発明の実施の形態では特異性が高いことが望ましいので、ハイブリダイゼーションは、50〜60℃約1秒間で行い得る。ポリメラーゼによる伸長反応は、この酵素が最適に反応する条件を考慮して条件が設定され得る。Taqポリメラーゼが使用される場合、70〜74℃で実施され得る。反応時間は、10秒〜3分程度であり得る。
【0055】
反応系中に含み得るDNAプローブ、ポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドの量は、当業者によって適宜決定され得る。
【0056】
また、反応式(VI)に示すように、デオキシヌクレオチドが1つ伸長する度にピロリン酸が1つ生成されるので、目的の特定配列を持つDNAおよびDNAプローブの両方の長さ(ベース)が既知であれば、目的の特定配列を持つDNAを定量的に検出することが可能である。
【0057】
さらに、反応式(VI)の反応をPCR等の核酸増幅反応と置き換えることにより、試料中の目的の特定配列を持つDNAの量を飛躍的に増加させることができる。PCR増幅の方法は、当該分野で周知である(PCR Technology: Principles and Applications for DNA Amplification、HA Erlich編、Freeman Press、NewYork、NY(1992);PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Innis、Gelfland、Snisky、およびWhite編、Academic Press、San Diego、CA(1990);Mattilaら(1991) Nucleic Acids Res. 19: 4967;Eckert、K.A.およびKunkel、T.A.(1991)PCR Methods and Applications 1: 17;PCR、McPherson、Quirkes、およびTaylor、IRL Press、Oxford)。PCR等の核酸増幅反応を用いることにより、極微量のDNAの検出も可能である。
【0058】
尚、本実施の形態では、特定配列をもつDNAを高感度に検出する方法を示したが、特定配列をもつRNAについても同様の方法により検出することが可能である。
【0059】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、測定系のDNAのSNPを高速にタイピングする方法が実施される。
【0060】
本発明の実施の形態4について図4および図5を用いて説明する。図4は、検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致した場合の反応系を示し、図5は、検出を目的とするDNAとDNAプローブとにおいてSNP部位が一致しない場合の反応系を示す。図4および図5中、1はDNAプローブ、2は目的の特定配列を持つDNA、3aは一致したSNP部位、3bは一致しないSNP部位、4はDNAポリメラーゼ、そして5はdNTPを表す。
【0061】
本実施の形態においては、まず、目的とするDNAの配列に相補的な配列を持ち、かつ3’末端がSNP部位であるDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料が供せられる。これにより、DNAプローブが伸長され、ここでピロリン酸が、このDNAプローブの伸長反応に伴って生成される。
【0062】
本実施の形態で使用されるDNAプローブは、目的の配列に相補的であり、かつ3’末端がSNP部位であるように設計される。本実施の形態において、DNAプローブは、3’末端がSNP部位であることを除いては、上述の実施の形態3と同様に設計され得る。本実施の形態において使用されるDNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオチドは、上述の実施の形態3と同様であり得る。本実施の形態におけるハイブリダイゼーションおよび伸長の条件もまた、上述の実施の形態3と同様であり得る。
【0063】
試料中の目的のDNAおよびDNAプローブの塩基配列が、SNP部位も含めて完全に相補する場合、当該DNAプローブは目的のDNAにハイブリダイズし、かつ当該プローブのさらなる伸長のためのプライマーとして働く。この場合、図4に示されるように、反応系中に存在するDNAポリメラーゼによって、DNAプローブにデオキシヌクレオチドが1つ伸長されて、ピロリン酸が1つ生成される。一方、試料中の目的のDNAおよびDNAプローブの塩基配列が、SNP部位において相補的でない場合(たとえ他の部分において相補的であったとしても)、DNAプローブは、目的のDNAとハイブリダイズは行い得るが、DNAプローブの3’末端がミスマッチとなるため、当該プローブの伸長のためのプライマーとして働かない。この場合、図5に示されるように、反応系中にDNAポリメラーゼおよび必要なデオキシヌクレオチドが存在しても、反応式(VI)の反応は起こらず、ピロリン酸は生成されない。
【0064】
よって、核酸の伸長反応後の試料中のピロリン酸を、実施の形態2と同様に無機リン酸へと分解し、次いで無機リン酸を実施の形態1と同様に検出することにより、試料中の目的の特定配列を持つDNAおよびDNAプローブは、SNP部位も含め完全に一致していると判別できる。SNP部位における塩基の種類が異なる多くとも4種類のプローブを用いれば、試料中の特定配列を持つDNAのSNPを4種類の塩基についてタイピングすることが可能である。
【0065】
なお、SNP部位における塩基の種類が既知の場合、そのタイピングに必ずしも4種類のプローブが必要でないことは言うまでもない。
【0066】
本実施の形態においては、3’末端がSNP部位であるDNAプローブを用いたが、3’末端でない塩基にSNP部位を有するDNAプローブを用いてもDNAのSNPをタイピングすることは可能である。
【0067】
本発明で使用される「試料」とは、最終的に無機リン酸を含み得るいずれの試料をもいう。実施の形態2においては、無機リン酸に変換されるピロリン酸を含み得る試料であり、実施の形態3および4においては、伸長反応により、無機リン酸に変換されるピロリン酸が生成するためのDNAを含み得る試料である。特にDNAの検出に関する方法(実施の形態3または4)においては、「試料」は、目的とするDNAを含み得る任意の被分析物に由来し得る。このような被分析物は、目的とするDNAが疾患と関連し得る場合、疾患によって罹患された細胞、組織、器官、または血液であり得る。もちろん、本発明の方法は、臨床用途に限定されることなく、あらゆる分野において使用され得、従って、このような被分析物は、目的とするDNAが発現しているかまたはその存在が確認されている細胞、組織、器官、または血液であり得る。DNAは、このような被分析物から、フェノール抽出法およびアルコール沈殿のような常法を用いて抽出され得る。DNAの純度は反応の効率に影響を与え得、DNAの精製の手順もまた当業者に公知である。
【0068】
以上説明したように、本発明によれば、測定系にグリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼおよび、電子メディエータ、必要に応じてジアホラーゼを含むことにより、試料中の無機リン酸を高感度かつ定量的に、電気化学的手法を用いて検出することが可能である。さらに、上記測定系にアデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼを含むことより、より高速に測定することが可能となる。
【0069】
また、ピロフォスファターゼを用いてピロリン酸を無機リン酸に分解することにより、上記の手法を用いてピロリン酸の高感度、高速、かつ定量的な測定が可能となる。
【0070】
また、本発明によれば、核酸の伸長反応に伴って生成されるピロリン酸を測定することによって、目的の核酸の有無を定量的に測定することが出来る。さらには、目的の核酸のSNP部位における塩基判定を、高感度かつ高速に測定することが出来る。
【0071】
このように、本発明によれば、試料中の目的核酸を標識することなく、簡便かつ迅速に目的の核酸のSNPをタイピングすることが可能になる。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の無機リン酸の検出、ピロリン酸の検出、DNAの検出、およびSNPのタイピングについてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。実施例で使用した材料、試薬などは、他に特定のない限り、商業的な供給源から入手可能である。
【0073】
(実施例1)
以下の手順で反応溶液を作製した。282mMグリセルアルデヒド−3−リン酸1.8μl(終濃度1mM)、50mM酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド10μl(終濃度1mM)、1unit/μlグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ10μl(終濃度20unit/ml)、1unit/μlジアホラーゼ10μl(終濃度20unit/ml)および50mMフェリシアン化カリウム10μl(終濃度1mM)を100mM Tris−HCl緩衝液に溶解し、pH7.5に調整して総量を500μlとした。この反応溶液に、50mMリン酸を1μl加えた(終濃度0.1mM)。この反応溶液を図9に示すように構成した測定装置系中に供した。本測定装置系は、次のような構成である。ガラスセル6を、内部に攪拌子7を入れて、スタラーマシン13上に固定した。ガラスセル6に、電極固定器具8により、測定極9、対極10、および参照極11をセットした。測定極9は金電極で、また対極10は白金線でそれぞれ構成した。参照極11は、銀/塩化銀電極で構成し、表面に塩化銀がコートされた銀線と飽和KCl溶液とを多孔性ガラスを介してガラスセルに接続した。これらの電極を、それぞれ電気化学測定システム(北斗電工製;図中、14で示される)に接続して、パソコン15で制御およびデータの記録を行った。上記ガラスセル6中に、上記の反応溶液を満たした。この反応溶液を攪拌子7によって攪拌した。電気化学測定システムを用いて、参照極11に対して+500mVの電位を測定極9に印加した。これにより、反応溶液中のメディーエータが酸化し、この酸化による電子の放出により測定極9と対極10との間に電流が流れた。流れた電流値を電気化学測定システムを用いて測定した。この電流値の変化を図6に示す。図6中、縦軸に電流I(μA)および横軸に時間t(秒)を示す。図6より、この反応は約100秒で定常値に達していることが分かった。次にリン酸の量を変化させたときの100秒後の電流値を図7に示す。図7中、縦軸に電流値の絶対値(μA)および横軸にリン酸濃度(μM)を示し、各リン酸濃度における電流値を黒丸で示す。図7に示すように、100秒後の電流値は、加えたリン酸の量に対して良好な直線関係を示した。
【0074】
(実施例2)
以下の手順で反応溶液を作製した。282mMグリセルアルデヒド−3−リン酸1.8μl(終濃度1mM)、50mM酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド10μl(終濃度1mM)、1unit/μlグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ10μl(終濃度20unit/ml)、50mMアデノシン二リン酸10μl(終濃度1mM)および1unit/μlホスホグリセレートキナーゼ10μl(終濃度20unit/ml)、1unit/μlジアホラーゼ10μl(終濃度20unit/ml)、50mMフェリシアン化カリウム10μl(終濃度1mM)および50mM塩化マグネシウム10μl(終濃度10mM)を100mM Tris−HCl緩衝液に溶解し、pH7.5に調整して総量を500μlとした。このようにして作製した反応溶液に50mMリン酸を1μl(終濃度0.1mM)を加え、実施例1と同様に電流値を測定した。本実施例では、約60秒で定常値に達した。このように、アデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼを加えることによって、反応が促進されることが確認された。
【0075】
(実施例3)
以下の手順で反応溶液を作製した。1unit/μlピロフォスファターゼ10μl(終濃度20unit/ml)、282mMグリセルアルデヒド−3−リン酸1.8μl(終濃度1mM)、50mM酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド10μl(終濃度1mM)、1unit/μlグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ 10μl(終濃度20unit/ml)、1unit/μlジアホラーゼ10μl(終濃度20unit/ml)および50mMフェリシアン化カリウム10μl(終濃度1mM)を100mM Tris−HCl緩衝液に溶解し、pH7.5に調整して総量を500μlとした。このようにして作製した反応溶液に50mMピロリン酸を1μl(終濃度0.1mM)加え、実施例1と同様に100秒後の電流値を測定した(結果は示さず)。ピロリン酸の量を変化させたときの100秒後の電流値を図8に示す。図8中、縦軸に電流値の絶対値(μA)および横軸にピロリン酸濃度(μM)を示し、各ピロリン酸濃度における電流値を黒丸で示す。図8に示すように、電流値は、加えたピロリン酸の濃度に対して良好な直線関係を示した。
【0076】
(実施例4)
測定系にControl Template(λDNA)(寶酒造製)を加えた試料を試料1、加えなかった試料を試料2とし、PCR反応を行った。テンプレートとしてλDNAを用い、プライマーとしてTaKaRa PCR Amplification Kit(寳酒造製)のControl Primer1(5’−GATGAGTTCGTGTCCGTACAACT−3’(配列番号:1))およびPrimer3(5’−GGTTATCGAAATCAGCCACAGCGCC−3’(配列番号:2))を用いて実験を行った(500bp増幅用)。2.5unit/μl TaKaRa Z−TaqTM 0.5μl、10×Z−TaqTMBuffer5μl、2.5mM各dNTP Mixture 4μl、20pmol/μl Primer1およびPrimer3各0.5μlをそれぞれ試料1および試料2に加えた後、試料1にのみ1μg/ml λDNA1μlを加え、次いで試料1および試料2にそれぞれ蒸留水を加えて総量を50μlとした。PCR反応は、98℃1秒、55℃1秒、72℃10秒を30サイクル行った。PCR反応が終了した溶液1μlを、実施例3で作製した反応溶液(ピロリン酸添加前)に加え、実施例1と同様に100秒後の電流値を測定した結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
Figure 0003672036
テンプレートとしてλDNAを加えた試料1では、PCR反応の進行によって生成されたピロリン酸を発端とした酵素反応の進行により、フェロシアン化カリウムの酸化電流が観察されたが、試料2においてはPCR反応が進行せず、よって電流は観察されなかった。
【0078】
(実施例5)
測定系にControl Template(λDNA)(同上)を加えてPCR反応を行った。テンプレートとしてλDNAを用い、プライマーとしてTaKaRa PCR Amplification Kit(寳酒造製)のControl Primer1(5’−GATGAGTTCGTGTCCGTACAACT−3’(配列番号:1))およびPrimer3(5’−GGTTATCGAAATCAGCCACAGCGCC−3’(配列番号:2))を用いた試料を試料1、改変Primer1’(5’−GATGAGTTCGTGTCCGTACAACA−3’(配列番号:3))およびPrimer3を用いた試料を試料2として実験を行った(500bp増幅用)。2.5unit/μl TaKaRa Z−TaqTM 0.5μl、10×Z−TaqTMBuffer5μl、2.5mM each dNTP Mixture 4μlおよび試料1には20pmol/μl Primer1およびPrimer3各0.5μl、試料2には20pmol/μl Primer1’およびPrimer3各0.5μlをそれぞれ加えた後、それぞれ1μg/ml λDNA1μlおよび蒸留水を加えて総量を50μlとした。PCR反応は、98℃1秒、55℃1秒、72℃10秒を30サイクル行った。PCR反応が終了した溶液1μlを、実施例3で作製した反応溶液(ピロリン酸添加前)に加え、実施例1と同様に100秒後の電流値を測定した結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
Figure 0003672036
プライマーとして鋳型であるλDNAの塩基配列と完全に相補的なPrimer1およびPrimer3を用いた試料1では、PCR反応の進行によって生成されたピロリン酸を発端とした酵素反応の進行により、フェロシアン化カリウムの酸化電流が観察されたが、試料2においては、Primer1’の3’末端側が、鋳型であるλDNAの塩基配列と相補的でないため、テンプレートλDNAを鋳型としたPrimer3による伸長反応が行われただけで、PCRによる増幅反応は進行せず、よって電流はほとんど観察されなかった。
【0080】
(実施例6)
以下の手順で反応溶液を作製した。1mMピロリン酸50μl(終濃度100μM)、30mMグリセルアルデヒド−3−リン酸17.5μl(終濃度1mM)、10mM酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド50μl(終濃度1mM)、10mMフェリシアン化カリウム50μl(終濃度1mM)、100mM塩化マグネシウム8.0μl(終濃度1.6mM)、1unit/μlジアホラーゼ5μl(終濃度10unit/ml)および0.2unit/μlピロフォスファターゼ1μl(終濃度0.4unit/ml)、を50mMTricine−NaOH緩衝液に溶解し、pH8.8に調整して総量を480μlとした。
【0081】
このようにして作製した反応溶液を実施例1と同様に電流値を測定しながら、測定開始から60秒後に0.8unit/μlグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ20μl(終濃度32unit/ml)を加えた。また、上記1mMピロリン酸を、それぞれ0.8mM(終濃度80μM)、0.6mM(終濃度60μM)、0.4mM(終濃度40μM)、0.2mM(終濃度20μM)としたときに観察される電流値をそれぞれ同様に測定した。この電流値の変化を図10に示す。図10中、縦軸に電流値I(μA)および横軸に時間t(秒)を示す。図10より、この反応は反応開始から約100秒(測定開始から約160秒後)で定常値に達していることが分かった。
【0082】
次にピロリン酸の量を変化させたときの反応開始100秒後の電流値を図11に示す。図11中、縦軸に電流値の絶対値(μA)および横軸にピロリン酸終濃度(μM)を示し、各ピロリン酸濃度における電流値を黒丸で示す。図11に示すように、加えたピロリン酸の量と反応開始100秒後の電流値は良好な相関関係を示した。
【0083】
尚、本実施例によって得られた図11のデータと、実施例3によって得られた図8のデータを比較すると、本実施例の方が、高感度にピロリン酸が検出されていることがわかる。したがって、本実施例で採用した条件の方が、実施例3で採用した条件より高感度でピロリン酸を検出することができる。
【0084】
本発明によれば、電気化学的手法を用いる試料中の無機リン酸の高感度、高速、かつ定量的な検出が提供される。さらに、ピロリン酸を無機リン酸に変換することにより、ピロリン酸の高感度、高速、かつ定量的な測定が提供される。また、本発明によれば、核酸の伸長反応に伴って生成されるピロリン酸を測定することによって、目的の核酸の有無を定量的に測定することが出来る。さらには、目的の核酸のSNP部位における塩基判定を、高感度かつ高速に測定することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明は、臨床用途、創薬用途、系統分類学への応用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】TaqManPCR法によるSNPタイピングの方法を示す概略図である。
【図2】Invader法によるSNPタイピングの方法を示す概略図である。
【図3】パイロシーケンシング法によるSNPタイピングの方法を示す概略図である。
【図4】SNP部位一致プローブの使用によるピロリン酸生成を示す模式図である。
【図5】SNP部位不一致プローブの使用による様子を示す模式図である。
【図6】実施例1におけるリン酸の検出反応時間を示すグラフである。
【図7】実施例1におけるリン酸濃度と電流値の関係を示すグラフである。
【図8】実施例3におけるピロリン酸濃度と電流値の関係を示すグラフである。
【図9】電流値を測定するための例示の測定装置系を示す模式図である。
【図10】実施例6におけるピロリン酸の検出反応時間を示すグラフである。
【図11】実施例6におけるピロリン酸濃度と電流値の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0087】
1 DNAプローブ
2 特定配列を持つDNA
4 DNAポリメラーゼ
5 dNTP
6 ガラスセル
9 測定極
10 対極
11 参照極
14 電気化学測定システム
【配列表のフリーテキスト】
【0088】
配列番号1の<223>:プライマー
配列番号2の<223>:プライマー
配列番号3の<223>:プライマー
【配列表】
Figure 0003672036
Figure 0003672036

Claims (9)

  1. 無機リン酸を検出する方法であって、
    グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、および電子メディエータを含む測定系に試料を供する工程;
    および該測定系において電流値を測定する工程を包含し、
    ここで、該電流値が、該試料中の無機リン酸の濃度を示
    前記測定系に試料を供してから100秒以内に無機リン酸が検出される、無機リン酸の検出方法。
  2. 前記電子メディエータが、フェリシアン化物、1,2−ナフトキノン−4−スルホン酸、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、ジメチルベンゾキノン、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムサルフェート、メチレンブルー、ガロシアニン、チオニン、フェナジンメトサルフェート、およびメルドラブルーからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の無機リン酸の検出方法。
  3. 前記測定系がアデノシン二リン酸およびホスホグリセレートキナーゼをさらに含む、請求項1に記載の無機リン酸の検出方法。
  4. ピロリン酸を検出する方法であって、
    試料中のピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;
    該試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;
    および該測定系において電流値を測定する工程を包含し、
    ここで、該電流値が、該試料中のピロリン酸の濃度を示
    前記測定系に試料を供してから100秒以内にピロリン酸が検出される、
    ピロリン酸の検出方法。
  5. 前記ピロリン酸の無機リン酸への変換が、ピロフォスファターゼを用いて行われる、請求項4に記載のピロリン酸の検出方法。
  6. 核酸を検出する方法であって、
    該核酸の配列に相補的な配列を持つDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料を供し、該DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸が該DNAプローブの伸長反応に伴って生成される工程;
    試料中の生成されたピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;
    該試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;
    および該測定系において電流値を測定する工程を包含し、ここで、該電流値が、該試料中の特定配列を有する核酸の濃度を示
    前記測定系に試料を供してから100秒以内に核酸が検出される、
    核酸の検出方法。
  7. 前記DNAプローブの伸長反応がPCR反応である、請求項6に記載の核酸の検出方法。
  8. DNAのSNP配列をタイピングする方法であって、
    該DNAの配列に相補的な配列を持ち、かつSNP部位を有するDNAプローブ、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチドを含む反応系に試料を供し、該DNAプローブを伸長させ、ここでピロリン酸が該DNAプローブの伸長反応に伴って生成される工程;
    試料中の生成されたピロリン酸を無機リン酸に変換する工程;
    該試料を、グリセルアルデヒド−3−リン酸、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又は酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、および電子メディエータを含む測定系に供する工程;
    および該測定系において電流値を測定する工程を包含し、
    ここで、該電流値が、該試料中の特定配列を有するDNAの存在を示
    前記測定系に試料を供してから100秒以内にDNAのSNP配列がタイピングされる、DNAのSNP配列をタイピングする方法。
  9. 前記DNAプローブの伸長反応がPCR反応である、請求項8に記載のDNAのSNP配列をタイピングする方法。
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