JP3671403B2 - プロスタグランジンd受容体、その製造方法、その受容体をコードするdna、そのdnaからなるベクターおよびそのベクターで形質転換された宿主細胞 - Google Patents

プロスタグランジンd受容体、その製造方法、その受容体をコードするdna、そのdnaからなるベクターおよびそのベクターで形質転換された宿主細胞 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、哺乳動物のプロスタグランジンD受容体、その製造方法、その該受容体をコードするDNA、そのDNAからなる複製または発現ベクターおよびそのベクターで形質転換された宿主細胞に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロスタグランジン(PG)、トロンボキサン(TX)およびロイコトリエン(LT)ようなプロスタノイドは、アラキドン酸の酸化代謝物のひとつのファミリーであり、生体内で局所ホメオスタシスを維持するために種々の生理作用を発揮している(Annu. Rev. Biochem. 47, 997 (1978)、The Pharmacological Basis of Therapeutics (Gilman, A. G., Good-man, L. S., Rall, T. W., and Murad, F., eds) 7th Ed., pp 660, Macmillan Publishing Co., New York (1985) および Annu. Rev. Pharm. Tox.,10, 213 (1989) 参照のこと)。それらの生理作用はそれぞれのプロスタノイドに特有の細胞膜受容体によって制御されている(Comprehensive Medicinal Chemistry (Hansch, C., Sammes, P. G., Taylor, J. B. and Emmett, J. C. eds), 3 ,643, Pergamon, Oxford (1990) 参照のこと)。
【0003】
プロスタノイドの一員であるプロスタグランジンD2 (PGD2 )は、哺乳動物の多くの組織や細胞中で、種々の生理学的刺激および病理学的刺激によって、アラキドン酸から合成され(Arch. Biochem. Biophys., 260, 521-531 (1988))、それらの機能を調節するために種々の生理活性を発揮している(Prostaglandins, 35, 277-300 (1988))。例えば、PGD2 は血小板凝集時に生成され、ネガティブフィードバックモジュレータとして作用している(Prostaglandins, 16, 373-388 (1978))。また血管、胃および子宮の平滑筋を弛緩し(Brit. J. Pharmacol.,85 ,367-375 (1985), Circulation Res., 71, 1305-1313 (1992), Eur. J. Pharmacol., 81, 141-143 (1982))、白血球の活性化を抑制し(Brit. J. Pharmacol., 108, 1051-1054 (1993))、自律神経または知覚神経の伝達を調節するために末梢神経に作用する(Am. J. Physiol., 260, G904-G910 (1991), Brit. J. Pharmacol., 108, 185-190 (1993))。さらにPGD2 は免疫反応で重要な役割を果たすために、肥満細胞やマクロファージ系細胞によって放出される(J. Immunol., 129, 1627-1631 (1982), J. Immunol., 143, 2982-2989 (1989))。中枢神経系においては、PGD2 は、睡眠を生理学的にコントロールしているのではないかと考えられている(FASEB J., 5 ,2575-2581 (1991) )。
【0004】
このように、PGD2 の生理学的作用については大いに注目されているが、PGD2 の受容体を同定し、解析するための薬理学的、生化学的研究は遅れている。その理由としては、PGD2 は比較的高濃度(10nMから1μM)でその作用を発揮すること(Prostaglandins, 16, 373-388 (1978))、他のプロスタグランジン類(PGs)と同様に、他のプロスタノイドの受容体とクロスリアクションすること(Prostaglandins, 35, 277-300 (1988), Comprehensive Medicinal Chemistry, 3, 643-714 (1989))、およびその顕著な生理作用にもかかわらず組織中の受容体の数が少ないことが挙げられる。従って、PGD受容体の性質、分布、局在化については現在まで不明である。
【0005】
【発明の目的】
最近、多数のプロスタノイド受容体のcDNAが単離され、それらの一次構造が明らかになった。具体的には、TXA2 (Nature, 349, 617-620 (1991), Biochem. Biophys. Res. Commun., 184, 1197-1203 (1992))、PGE受容体のEP1、EP2およびEP3サブタイプ(J. Biol. Chem., 267 ,6463-6466 (1992), J. Biol. Chem., 268, 7759-7762 (1993), J. Biol. Chem., 268 , 20175-20178 (1993))、PGI (J. Biol. Chem., (1994))、およびPGF(J. Biol. Chem., 269 , 1356-1360 (1994))の各受容体である。さらに、ヒトTXA2 受容体の遺伝子構造も明らかにされた(J. Biol. Chem., 268 , 25253-25259 (1993))。これらの研究によって、プロスタノイドの受容体は、ロドプシンタイプG−プロテイン共役受容体スーパーファミリーのサブファミリーを構成していることが判明した(Annu. Rev. Neurosci., 12, 67-83 (1989))。これらの研究で得られた情報をもとに、本発明者等は、リバーストランスクリプション−ポリメラーゼチェインリアクション(Reverse Transcription-Polymerase Chain Reaction, RT-PCR )法によってマウスPGD受容体をコードするcDNAを単離することに成功した。さらに単離されたクローンのシークエンスを解析し、またCHO細胞で発現させて分析した結果、それがマウスPGD受容体をコードしていることを明らかにして本発明を完成した。
【0006】
スイスプロット(Swiss Prot Release 2.0)に登録されている既知のポリペプチドのアミノ酸配列を調査したが、本発明のポリペプチドと同一の配列を有しているものはまったく無かった。さらに、ジーンバンク(GenBank Release 70.0)に登録されているヌクレオチド配列も調査したが、本発明のポリペプチドをコードするcDNAと同一の配列は見つからなかった。従って、本発明のポリペプチドはまったく新規なものであることが確認された。
【0007】
【発明の構成】
本発明は、実質的に純粋な形である哺乳動物のPGD受容体に関する。ここでPGDとは、PGD1 、PGD2 等のPGD類似体が挙げられるが、好ましくは、PGD2 である。また、哺乳動物としては、ヒト、マウス、ラット等が挙げられる。本発明の一態様としては、マウスのPGD受容体に関する。具体的には、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、そのホモローグ、その配列のフラグメント、およびそのホモローグに関する。本発明はさらにそれらのポリペプチドをコードするDNAに関する。より具体的には、配列番号2または3で示される塩基配列を有するDNA、および配列番号2または3で示される塩基配列に選択的にハイブリダイズするフラグメントを有するDNAに関する。
【0008】
特に、本発明は、
(1)配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
(2)前記(1)に記載したポリペプチドをコードするDNA、
(3)配列番号2で示される塩基配列を有するDNA、および
(4)配列番号3で示される塩基配列を有するDNA
に関する。
【0009】
配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドとは、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドだけでなく、そのポリペプチドのN末端および/またはC末端に、配列番号1で示されるアミノ酸数の20%、より好ましくは5%以内の別個のポリペプチドを付加したポリペプチドを意味する。
【0010】
実質的に純粋な形である配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドとは、一般に、生産時のポリペプチドの90%以上、例えば95、98または99%が配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドであることを意味する。
【0011】
配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドのホモローグとは、一般に少なくとも50個、好ましくは少なくとも100個、例えば150、200または250個の連続したアミノ酸領域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは95%以上相同性のあるものであり、そのようなホモローグは、以後本発明ポリペプチドとして記載される。
【0012】
さらに、配列番号1で示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドのフラグメント、またはそれらのホモローグのフラグメントとは、少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも15アミノ酸、例えば20、25、30、40、50または60アミノ酸部分を意味する。
【0013】
配列番号2または3で示される塩基配列を有するDNAに選択的にハイブリダイズするDNAとは、一般に、少なくとも50個、好ましくは少なくとも100個、例えば150、200または250個の連続した塩基配列領域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80または90%、より好ましくは95%以上の相同性のあるものであり、そのようなDNAは、以後本発明のDNAとして記載される。
【0014】
配列番号2または3で示される塩基配列を有するDNAのフラグメントとは、少なくとも10塩基、好ましくは少なくとも15塩基、例えば20、25、30または40塩基部分を意味し、そのようなフラグメントも本発明のDNAに含まれる。
【0015】
本発明のDNAは、遺伝子組換え法、合成法あるいは当業者に公知の方法によって取得することができる。
【0016】
さらに、本発明には、本発明のDNAからなる複製または発現ベクターが含まれる。ベクターとしては、例えば、ori領域と、必要により上記DNAの発現のためのプロモーター、プロモーターの制御因子などからなるプラスミド、ウィルスまたはファージベクターが挙げられる。ベクターはひとつまたはそれ以上の選択的マーカー遺伝子、例えばアンピシリン耐性遺伝子を含んでいてもよい。
【0017】
さらに、本発明には、配列番号2または3で示される塩基配列、またはそれらのオープンリーディングフレームを有するDNAを含む本発明のDNAを複製または発現させるためのベクターで形質転換された宿主細胞も含まれる。細胞としては、例えば細菌、酵母、昆虫細胞または哺乳動物細胞が挙げられる。
【0018】
さらに、本発明には、本発明のポリペプチドを発現させるための条件下で、本発明の宿主細胞を培養することからなる本発明のポリペプチドの製造方法も含まれる。
【0019】
本発明のポリペプチドとしては、配列番号1で示されたアミノ酸配列を有するもの以外に、その一部が欠損したもの(例えば、成熟蛋白中、生物活性の発現に必須な部分だけからなるポリペプチド)、その一部が他のアミノ酸と置換したもの(例えば、物性の類似したアミノ酸に置換したもの)、およびその一部に他のアミノ酸が付加または挿入されたものも含まれる。
【0020】
よく知られているように、ひとつのアミノ酸をコードするコドンは1〜6種類(例えば、メチオニン(Met)は1種類、ロイシン(Leu)は6種類)知られている。従って、ポリペプチドのアミノ酸配列を変えることなくDNAの塩基配列を変えることができる。
【0021】
(2)で特定される本発明のDNAには、それぞれ配列番号1で示されるポリペプチドをコードするすべての塩基配列群が含まれる。塩基配列を変えることによって、ポリペプチドの生産性が向上することがある。
【0022】
(3)で特定されるDNAは、(2)で示されるDNAの一態様であり、天然型配列を表わす。
【0023】
(4)に示されるDNAは、(3)で特定されるDNAに天然の非翻訳部分を加えた配列を示す。
【0024】
配列番号3で示される塩基配列を有するDNAの作製は、以下の方法に従って行なわれる。
すなわち、
(i) 本発明のポリペプチドが産生される細胞からmRNAを分離し、
(ii) 該mRNAからファーストストランド(1本鎖DNA)、次いでセカンドストランド(2本鎖DNA)を合成し(cDNAの作製)、
(iii) 該cDNAを適当なプラスミドベクターに組み込み、
(iv) 得られた組換えベクターで宿主細胞を形質転換し(cDNAライブラリーの作製)、
(v) 得られたcDNAライブラリーより、ハイブリダイゼーション法により目的とするDNA含有プラスミドを単離し、
(vi) 目的とするDNAの塩基配列を決定することによって作製することができる。
【0025】
より詳細に説明すると、工程(i) は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ等)の組織中、PGD受容体を発現していると考えられる組織、好ましくは、肺、血管、白血球等の組織細胞より、Okayama, H. 等の方法(Method in Enzymology, 154 , 3(1987) に記載)、Chirgwin, J. M. 等の方法(Biochem., 18, 5294 (1979) に記載)等の方法に従って行なわれる。(ii)、(iii) および(iv)の工程はcDNAライブラリー作製の工程であり、改変した Gubler & Hoffman法(Gene, 25, 263(1983) に記載)に準じて行なわれる。(iii) の工程で用いられるプラスミドベクターとしては大腸菌内で機能するもの(例えば、pBR322)や枯草菌内で機能するもの(例えば、pUB110)が多数知られているが、好適には、大腸菌内で機能するλ−ZAPIIが用いられる。(iv)の工程で用いられる宿主細胞は既に多くのものが知られており、いずれを用いてもよいが、好ましくはDH5のコンピテントセル(Gene, 96, 23(1990)記載の方法により調製される。)である。最近では、各動物の種々の組織のcDNAライブラリーが既に市販されている。これらの市販のcDNAライブラリーも好適に用いられる。工程(v) は、それ自体公知であり、例えば、プラークハイブリダイゼーション法、コロニーハイブリダイゼーション法(Gene, 10, 63 (1980) に記載)等によって行われる。また、適当なプローブとしては、異種動物のPGD受容体のDNAまたはそのフラグメントまたは該DNAとホモロジーを有するDNAが用いられる。工程(vi)はそれ自体公知であり、例えばジデオキシ・ターミネーター(dideoxy terminator)法やマキサム・ギルバート(Maxam-Gilbert )法により行なわれる。
【0026】
配列番号2または3で示される塩基配列が、一旦確定されると、その後は、化学合成によって、またはPCR(polymerase chain reaction )法によって、あるいは該塩基配列の断片をプローブとしたハイブリダイズ法によって、本発明のDNAを得ることができる。さらに、本DNAを含有するベクターDNAを適当な宿主に導入し、これを増殖させることによって、目的とする本発明DNAを必要量得ることができる。
もちろん、本発明のDNAは、以下の実施例に記載した方法によっても製造することができる。
【0027】
本発明のポリペプチド(配列番号1)を取得する方法としては、
(1)生体または培養細胞から精製単離する方法、
(2)ペプチド合成する方法、または
(3)遺伝子組換え技術を用いて生産する方法、
などが挙げられるが、工業的には(3)に記載した方法が好ましい。
【0028】
遺伝子組換え技術を用いてポリペプチドを生産するための発現系(宿主−ベクター系)としては、例えば、細菌、酵母、昆虫細胞および哺乳動物細胞の発現系が挙げられる。
【0029】
例えば、大腸菌で発現させる場合には、蛋白部分をコードするDNA(例えば、配列番号2で示される塩基配列をコードするDNA)を、適当なプロモーター(例えば、trpプロモーター、lacプロモーター、λPLプロモーター、T7プロモーター等)の下流に接続し、大腸菌内で機能するベクター(例えば、pBR322、pUC18、pUC19等)に挿入して発現ベクターを作製する。次に、この発現ベクターで形質転換した大腸菌(例えば、E.coli DH1、E.coli JM109、E.coli HB101株等)を適当な培地で培養して、その菌体より目的とするポリペプチドを得ることができる。また、バクテリアのシグナルペプチド(例えば、pelBのシグナルペプチド)を利用すれば、ペリプラズム中に目的とするポリペプチドを分泌することもできる。さらに、他のポリペプチドとのヒュージョンプロテイン(fusion protein)を生産することもできる。
【0030】
また、哺乳動物細胞で発現させる場合には、例えば、配列番号3で示される塩基配列をコードするDNAを適当なベクター(例えば、レトロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、SV40系ベクター等)中の適当なプロモーター(例えば、SV40プロモーター、LTRプロモーター、メタロチオネインプロモーター等)の下流に挿入して発現ベクターを作製する。次に、得られた発現ベクターで適当な哺乳動物細胞(例えば、サルCOS−7細胞、チャイニーズハムスターCHO細胞、マウスL細胞等)を形質転換し、形質転換体を適当な培地で培養することによって、その培養液中に目的とするポリペプチドが分泌される。以上のようにして得られたポリペプチドは、一般的な生化学的方法によって単離精製することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明のポリペプチドは、それ自体、PGD、とりわけPGD2 と特異的に結合するのでPGD2 の過剰産生によって生ずる疾患の予防あるいは治療剤、例えば、免疫賦活剤、出血傾向の抑制剤等として用いることができる。また、PGD2 のアゴニストまたはアンタゴニスト活性を有する物質のスクリーニングに用いられる。
【0032】
さらに、該ポリペプチドのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を用いて、生体における該ポリペプチドの定量が行なえ、これによって該ポリペプチドと疾患との関係の研究あるいは疾患の診断等に利用することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は該ポリペプチドあるいはその断片を抗原として用いて常法により作製することができる。
【0033】
本発明のDNAは、多大な有用性が期待される本発明のポリペプチドを生産する際の重要かつ必須の鋳型となるだけでなく、遺伝病の診断や治療に利用できる。また、本発明のDNAをプローブとしてジェノミック(genomic )DNAを分離できる。同様にして、本発明DNAと相同性の高いヒトの関連ポリペプチドの遺伝子、またヒト以外の生物における本発明ポリペプチドと相同性の高いポリペプチドの遺伝子を分離することも可能である。
【0034】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
【0035】
実施例1:マウスPGD受容体のcDNAクローニング
(1)RT−PCR法による、種々のプロスタノイド受容体と相同性を示すマウス胸腺cDNAフラグメントの増幅
一本鎖cDNAをマウス胸腺由来全RNAから、ランダムヘキサヌクレオチドをプライマーとして用いて合成した。PCRのプライマーとしては、種々のプロスタノイド受容体で高度に保存されているアミノ酸配列に相当するオリゴヌクレオチドを合成して用いた。すなわち、2番目の細胞外ループ領域中のGlyThrTrpCysPhe(Ile/Leu)および7番目の膜貫通領域中のAspProTrpIle(Tyr/Phe)(Ile/Leu)に相当する、それぞれ以下に示す合成ヌクレオチドを用いた。
【0036】
【化1】
5´-GG(A/G/C/T)AC(A/G/C/T)TGGTG(C/T)TT(C/T)(A/T)T-3´ および
5´-A(T/G)(A/G)(A/T)A(A/G/T)ATCCA(A/G/C/T)GG(A/G)TC-3´
【0037】
増幅は、95℃で1分間、38℃で1分間そして70℃、1分間で35回行なった。増幅されたcDNAフラグメントは、pBluescript SK II (+) (Stratagene 社製) ベクターにサブクローニングした。ランダムにピックアップしたクローンについてシークエンシングした結果、フラグメントPG25は、他のプロスタノイド受容体の5番目と6番目の膜貫通領域と高い相同性を有するシークエンスを含んでいた。
【0038】
(2)ハイブリダイゼーションによるマウスジェノミックライブラリーのスクリーニング
マウスジェノミックライブラリー、λFIXII(Stratagene社製)中の2×105 のクローンを、32PでラベルしたPG25フラグメントをプローブとしてプラークハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。ハイブリダイゼーションは、5×Denhardt´s溶液(0.1 % Ficoll 、0.1 %ポリビニルピロリドン( polyvinylpyrrolidone )および0.1 %ウシ血清アルブミン)と0.5 %SDS(sodium dodecyl sulfate)を含有する6×SSC(900mM NaCl,90mMクエン酸ナトリウム)中、58℃で15時間行ない、ハイブリダイゼーション後、フィルターは、65℃で30分間、1%SDS含有 0.2×SSCで2回洗浄した。4個のポジティブクローンが単離された。最長クローンのインサートは13kbであった。サザンブロットハイブリダイゼーションにより、ふたつのXbaIフラグメント( 3.3kbpおよび6kbp)がプローブにハイブリダイズすることが見出された。これらのフラグメントはそれぞれサブクローニングし、塩基配列を決定した。核酸の塩基配列は、ジデオキシ塩基配列決定法(dideoxy chain termination method)により行なった。
【0039】
(3)オープンリーディングフレームの構築
前記(1)および(2)より、PG25は、ふたつのエクソンにまたがっていることが判った。そこで、PG25の5′上流と3′下流の配列を得るために、マウス肺由来のcDNAライブラリー(Clontech社製)から、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、PCRを行った。
【0040】
【化2】
5´-GGAGTGCTGGCTGTCTCT-3´および
5´-CTTCAGTGCTGATCCCTC-3´
【0041】
増幅は、95℃で1分間、38℃で1分間そして70℃、1分間で35回行なった。増幅されたcDNAフラグメントを、pBluescript SK II (+) (Stratagene 社製)ベクターにサブクローニングし、塩基配列を決定した。得られたクローン(PGc1)は、824bpからなり、ジェノミッククローンのエクソンに相当することが判った。PGc1をNarIで消化し、消化したフラグメントの3’部分をジェノミッククローンのPstI−NarIフラグメントにライゲーションし、 1.2kbpのフラグメント、PGc9を構築した。ジェノミッククローン、RT−PCR生成物、PG25、PGc1およびPGc9の関係を図1に示す(オープンリーディングフレームは斜線で示される。)。このようにして、完全長cDNAに相当するクローンを得た。全長の塩基配列を配列番号3に、また、オープンリーディングフレームの塩基配列を配列番号2に示す。さらに、オープンリーディングフレームより推定されるアミノ酸配列を配列番号1に示す。
【0042】
実施例2:CHO細胞によるマウスPGD受容体の発現と各種リガンドとのバインディングアッセイ
マウスジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子(Biochem. Biophys. Res. Commun., 164 , 39 (1989) )をセレクションマーカーとして含む、真核細胞発現ベクター、pdKCR−dhfrにPGc9をサブクローンし、得られたプラスミドDNA、pdKCR−dhfr−PGc9をJ. Biol. Chem., 267 , 2437 (1992) に記載の方法に従って、ジヒドロ葉酸還元酵素活性の欠損したCHO細胞(CHO−dhfr- )(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4216 (1980) に記載)に形質転換した。ジヒドロ葉酸還元酵素を発現する細胞群は、10%透析ウシ胎児血清を含有するα−MEM(−)培地(Cell Culture Laboratories 社製)中で培養し、選択した。特異的な[ 3H]PGD2結合活性を示すクローンがいくつか単離された。それらのクローンのうちの一つ、CHO−Jを以下の実験に供した。
【0043】
CHO−J細胞を、10%ウシ胎児血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するα−MEM(−)培地で培養した後、ホスフェートバッファーセーラインで一度洗浄し、培養プレートから回収した後、800×gで15分間遠心分離して沈降させた。得られたセルペレットを10倍量のホモジネート用バッファー(25mM HEPES・NaOH(pH7.4 )、1mM EDTA、5mM MgCl2 、250mM d−マンニトール、2mM β−メルカプトエタノール、1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、1mM ベンズアミジン塩酸塩からなる)中に懸濁させ、超音波処理してホモジネートした。得られたホモジネートを、標識しない各リガンドの存在下または非存在下、10nM[ 3H]PGD2 と4℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、氷冷した洗浄用バッファー(25mM HEPES・NaOH(pH7.4 )、1mM EDTA、5mM MgCl2 、140mM NaCl、5mM KClよりなる)を加えて反応を停止し、素早くワットマン(Whatman )GF/C グラスファイバーフィルターで濾過した。フィルターを氷冷した洗浄用バッファーで4回洗浄した後、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。標識していないPGD2 を200倍以上存在させた時の、フィルターに結合した放射活性をもって非特異的な結合とした。
【0044】
このアッセイの結果、PGD2受容体に対するリガンドである[ 3H]PGD2 は、PGc9を発現したCHO細胞の細胞膜に特異的に結合することが判った。この結合のスキャッチャード(Scatchard )分析の結果は、図2に示す。さらに、[ 3H]PGD2の特異的結合に対する種々のプロスタノイドの阻害活性を図2に示す。種々のプロスタノイドによる結合阻害は、PGD2 >>BW245C=BWA868C>STA2 であり、Iloprost、PGE2 およびPGF2αには結合しなかった。
【0045】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:357
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
Figure 0003671403
Figure 0003671403
【0046】
配列番号:2
配列の長さ:1071
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
Figure 0003671403
【0047】
配列番号:3
配列の長さ:1240
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
Figure 0003671403
【0048】
配列番号:4
配列の長さ:1240
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA to mRNA
起源
生物名:mouse
組織の種類:肺
配列の特徴
特徴を表わす記号:CDP
存在位置:37..1110
特徴を決定した方法:P
Figure 0003671403
Figure 0003671403
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【図面の簡単な説明】
【図1】 ジェノミッククローン、RT−PCR生成物、PG25、PGc1およびPGc9の関係を示す図である。オープンリーディングフレームは斜線で示される。
【図2】 [ 3H]PGD2 の、PGc9をトランスフェクトした細胞膜への結合に対する種々のリガンドの阻害活性を示すグラフである。また、図中の図は、[ 3H]PGD2 のスキャッチャード(Scatchard )分析の結果を示す。

Claims (12)

  1. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、もしくは配列番号1で示されるアミノ酸配列中1もしくは数個のアミノ酸が欠損、置換、付加または挿入された配列からなるポリペプチドであって、PGDと特異的に結合する作用を有するポリペプチド。
  2. 配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる請求項1記載のポリペプチド。
  3. 配列番号1で示されるアミノ酸配列中1もしくは数個のアミノ酸が欠損、置換、付加または挿入された配列からなるポリペプチドであって、PGDと特異的に結合する作用を有する請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 配列番号1で示されるアミノ酸配列中1個のアミノ酸が欠損、置換、付加または挿入された配列からなるポリペプチドであって、PGDと特異的に結合する作用を有する請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの項に記載されたポリペプチドをコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA。
  6. 配列番号2で示される塩基配列を有する請求項5記載のDNA。
  7. 配列番号3で示される塩基配列を有する請求項5記載のDNA。
  8. 請求項5から7のいずれかの項に記載のDNAからなる複製または発現ベクター。
  9. 請求項8記載の複製または発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  10. 請求項1乃至4のいずれかの項に記載されたポリペプチドを発現させるための条件下で、請求項9記載の宿主細胞を培養することからなるそのポリペプチドの製造方法。
  11. 請求項1乃至4のいずれかの項に記載されたポリペプチドに対するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
  12. 請求項11記載の抗体を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載されたポリペプチドの定量方法。
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