JP3671016B2 - 鉄道車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
通勤型電車と称されるような鉄道車両においては、車両定員を容易に確保する等の目的により、先端部を切り落としたような先頭部形状が一般的に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような先端部を切り落としたような先頭部形状を用いた場合、当該先頭部形状を有する鉄道車両により構成された列車がプラットホームを通過する際に、プラットホーム上にて発生する列車風(列車の走行に伴って発生する空気の流れ)が強くなるという問題点を有していることが判明した。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、プラットホーム上において発生する列車風を低減することが可能な鉄道車両を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
先端部を切り落としたような先頭部形状を有する鉄道車両における上述の問題点は、車両側面の境界層剥離の形成が原因で発生する。本発明者等は、前方からの空気の流れが車体側面に流れていくのを少なくすることで車両側面における剥離発生を抑制することができるではないかと考え、鋭意調査研究の結果、本発明に至った。
【0006】
本発明に係る鉄道車両は、外妻面を有する鉄道車両であって、外妻面の両側部に、車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制する空気流抑制手段が設けられており、空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が「く」の字形状を呈している板状部材であることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る鉄道車両では、外妻面の両側部に空気流抑制手段を設けることで、車両走行時の車体側方における空気流の発生が抑制されることになる。これにより、プラットホーム上において発生する列車風が低減される。特に、空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が「く」の字形状を呈している板状部材であるので、前方から来る空気の流れが車体の上方及び下方に分離してスムースに導かれることになる。この結果、車両走行時の車体側方における空気流の発生を適切に抑制することができる。また、板状部材が、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲していることから、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。また、空気流抑制手段は上述した形状を有する板状部材であることから、板状部材を外妻面の両側部に設けるという極めて簡易な構成によりプラットホーム上において発生する列車風を低減することができ、車体構造自体を変更する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0008】
本発明に係る鉄道車両は、外妻面を有する鉄道車両であって、外妻面の両側部に、車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制する空気流抑制手段が設けられており、空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が車体前方に最大突出した位置から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置から斜め下方に傾斜して形成された板状部材であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る鉄道車両では、外妻面の両側部に空気流抑制手段を設けることで、車両走行時の車体側方における空気流の発生が抑制されることになる。これにより、プラットホーム上において発生する列車風が低減される。特に、空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が車体前方に最大突出した位置から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置から斜め下方に傾斜して形成された板状部材であるので、前方から来る空気の流れが車体の上方及び下方に分離してスムースに導かれることになる。この結果、車両走行時の車体側方における空気流の発生を適切に抑制することができる。また、板状部材が、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲していることから、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。また、空気流抑制手段は上述した形状を有する板状部材であることから、板状部材を外妻面の両側部に設けるという極めて簡易な構成によりプラットホーム上において発生する列車風を低減することができ、車体構造自体を変更する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0010】
なお、カースタイリング別冊/おもしろ自動車空力学(株式会社三栄書房発行)118頁〜119頁にわたって、バス等のCD低減の目的で前面にフローヴェーンを設けることが開示されている。このフローヴェーンの効果は、フローヴェーンの内側に気流がよどむことにより、あたかもその前方に車体表面が存在するような役目を果たすものである。しかしながら、カースタイリング別冊/おもしろ自動車空力学に開示されたフローヴェーンは、バス前面の下方及び上方に設けられるものであり、車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制する旨の記載はない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る鉄道車両について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
まず、図1〜図8に基づいて、第1実施形態に係る鉄道車両について説明する。図1は、第1実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図であり、図2は同じく側面図、図3は同じく正面図、図4は同じく平面図である。また、図5は、第1実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の側面図であり、図6は同じく正面図、図7は図6中VII−VII線に沿った断面図であり、図8は、運転席から車両前方を見たときの図である。
【0013】
この鉄道車両1は、複数の車両を連結したものであり、各車両は基本的には略直方体形状をなしている。たとえば、先頭車両10は、先頭端面であるほぼ平面形状の外妻面11と、同様にほぼ平面の側面13と、屋根面15と、車台上の床面17とを有している。この先頭車両10の外妻面11側の端部には運転席(図示せず)が設けられており、外妻面11は窓19を有している。側面13には、乗務員乗降用のドア21の後方に窓23と乗客乗降用のドア25が複数設けられている。
【0014】
外妻面11の両側部(側面13との境界近傍)には、板状部材30(空気流抑制手段)が設けられている。この板状部材30は、図5〜図8に示されるように、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が「く」の字形状を呈している。すなわち、板状部材30は、図2及び図5から分かるように、車体側方から見て前側端部31が車体前方に最大突出した位置33から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置33から斜め下方に傾斜して形成されている。板状部材30の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼等を用いることができる。
【0015】
なお、板状部材30における車体前方に最大突出した位置33は、板状部材30の一方の端部(外妻面11に設けられた状態での下端部)から170mmであり、板状部材30の他方の端部(外妻面11に設けられた状態での上端部)から2093.5mmである。板状部材30における車体前方に最大突出した位置33は、床上面とほぼ同じ高さに設定されている。なお、板状部材30の全長は2263.5mmである。また、車体側方から見たときの外妻面11から車体前方への最大突出量は、264.6mmである。板状部材30の一方の端部における車体側方から見たときの外妻面11からの突出量は84mmである。
【0016】
板状部材30は、図7に示されるように、取り付け部35が隅柱37に複数箇所においてボルト止めされることにより、外妻面11に設けられる。また、板状部材30は、外妻面11に設けられたステップ39との干渉を避けるための切り欠き部41がステップの位置に対応して形成されている。
【0017】
板状部材30においては、取り付け部35と当該取り付け部35から連続して略前方に延びる湾曲部43とが補強部材45にて連結されている。これにより、板状部材30の強度が確保されることとなる。
【0018】
以上のように、本第1実施形態においては、外妻面11の両側部に空気流抑制手段としての板状部材30を設けることにより、車両走行時の車体側方における空気流の発生が抑制されることになる。この結果、プラットホーム上において発生する列車風が低減される。
【0019】
また、板状部材30は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が「く」の字形状を呈している。また、板状部材30は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が車体前方に最大突出した位置33から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置33から斜め下方に傾斜して形成されてもいる。これにより、前方から来る空気の流れが車体の上方及び下方に分離してスムースに導かれることになる。このとき、板状部材30の間に形成された外妻面11前方の空間において気流がよどむことにより、あたかも車両の前方に車体側方から見たときの板状部材30の前側端部31と同等の形状の車体表面が存在する状態になっているものと思われる。この結果、車両走行時の車体側方における空気流の発生を適切に抑制することができる。
【0020】
また、板状部材30が、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲していることから、車両10の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、板状部材30を外妻面11の両側部に設けるという極めて簡易な構成によりプラットホーム上において発生する列車風を低減することができ、車体構造自体を変更する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0022】
また、板状部材30は外妻面11の両側部に設けられるので、図8に示されるように、乗務員の視界を大きく妨げるようなことはない。
【0023】
(第2実施形態)
続いて、図9〜図16に基づいて、第2実施形態に係る鉄道車両について説明する。図9は、第2実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図であり、図10は同じく側面図、図11は同じく正面図、図12は同じく平面図である。また、図13は、第2実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の側面図であり、図14は同じく正面図、図15は図14中XV−XV線に沿った断面図であり、図16は、運転席から車両前方を見たときの図である。第2実施形態は、板状部材の形状が異なる点で第1実施形態と相違する。
【0024】
本第2実施形態に係る鉄道車両1においても、板状部材30は、図9〜図12に示されるように、外妻面11の両側部に設けられている。この板状部材30は、第1実施形態の板状部材30と同様に、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が「く」の字形状を呈している。すなわち、板状部材30は、図10及び図13から分かるように、車体側方から見て前側端部31が車体前方に最大突出した位置33から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置33から斜め下方に傾斜して形成されている。
【0025】
なお、板状部材30における車体前方に最大突出した位置33は、板状部材30の一方の端部(外妻面11に設けられた状態での下端部)から875mmであり、板状部材30の他方の端部(外妻面11に設けられた状態での上端部)から1322.4mmである。板状部材30における車体前方に最大突出した位置33は、床上面から約700mmの高さに設定されている。なお、板状部材30の全長は2197.4mmである。また、車体側方から見たときの外妻面11から車両前方への最大突出量は、240mmである。板状部材30の一方の端部における車体側方から見たときの外妻面11からの突出量は161.4mmであり、板状部材30の他方の端部における車体側方から見たときの外妻面11からの突出量は153.6mmである。
【0026】
以上のように、本第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、外妻面11の両側部に板状部材30を設けることにより、車両走行時の車体側方における空気流の発生が抑制されることになる。この結果、プラットホーム上において発生する列車風が低減される。
【0027】
また、板状部材30は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が「く」の字形状を呈している。また、板状部材30は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部31が車体前方に最大突出した位置33から斜め上方に傾斜すると共に車体前方に最大突出した位置33から斜め下方に傾斜して形成されてもいる。これにより、前方から来る空気の流れが車体の上方及び下方に分離してスムースに導かれることになり、車両走行時の車体側方における空気流の発生を適切に抑制することができる。
【0028】
また、板状部材30が、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲していることから、車両10の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。
【0029】
また、板状部材30を外妻面11の両側部に設けるという極めて簡易な構成によりプラットホーム上において発生する列車風を低減することができ、車体構造自体を変更する必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【0030】
また、板状部材30は外妻面11の両側部に設けられるので、図16に示されるように、乗務員の視界を大きく妨げるようなことはない。
【0031】
(第3実施形態)
続いて、図17〜図20に基づいて、第3実施形態に係る鉄道車両について説明する。図17は、第3実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図であり、図18は同じく側面図、図19は同じく正面図、図20は同じく平面図である。第3実施形態は、板状部材30の上部形状が異なる点で第2実施形態と相違する。
【0032】
本第3実施形態に係る鉄道車両1において、板状部材30は、屋根まで延びる上部47を含んでおり、この上部47は屋根面の端部の形状に沿って湾曲して形成されている。
【0033】
以上のように、本第3実施形態においては、第1及び第2実施形態と同様に、外妻面11の両側部に板状部材30を設けることにより、車両走行時の車体側方における空気流の発生が抑制されることになる。この結果、プラットホーム上において発生する列車風が低減される。
【0034】
本発明者等は、空気流抑制手段(板状部材30)によるプラットホーム上において発生する列車風の低減効果を確認するための試験を行ったので、以下、その試験結果について説明する。
【0035】
図21及び図22は、比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルM1を示す図である。車体モデル51は、先頭車両1両をモデル化した。側構体、屋根、屋根上のクーラーは設計図面通りとし、床下については前面の排障器及び台車を近似形状でモデル化した。車体モデル寸法は、全長19500mm、路盤上面からの屋根上面高さ3760mm、モデル化した台車と路盤間距離303mm、プラットホームと車体間距離165mmに設定した。
【0036】
試験においては、解析条件として、車体モデル51を固定し、周辺のインフラ部(構内掲示板及び壁55、天井57、路盤59、プラットホーム60等)及び構内の空気を通過速度で動かす条件を採用した。なお、プラットホーム60の車両に面した端部の下方には、空間が形成されている。インフラ部の全長を30mに設定し、車体モデル51の前方に所定の空間を設定している。また、列車通過速度を88km/h(≒24.444m/s)に設定した。なお、図21においては、天井57の一部の図示を省略している。
【0037】
以上のことから、図21及び図22に示された解析モデルM1に対して、以下を付与した。
▲1▼車体モデル51は全く動かない壁として定義した。
▲2▼インフラ部には、88km/hの速度を定義した。
▲3▼解析モデルM1の入口(図22紙面表面側)から出口(図22紙面裏面側)へ向けて、88km/hの空気の流れを定義した。
【0038】
プラットホーム60上で乗客が列車から受ける風(列車風)の方向は一定ではなく前後(z)・左右(x)・上下(y)の3方向成分からなる。したがって、風速Vmagnitudeは、この3方向の速度成分を考慮した、下記(1)式で定義される値とした。
Vmagnitude=(Vx2+Vy2+(Vz−24.444)2)1/2 … (1)
【0039】
(1)式の第3項(Vz−24.444)2において、速度のZ成分から24.444を差し引いているのは、プラットホーム60上の乗客を基準とした相対速度を得るためである。解析モデルM1では、車体モデル51を固定しインフラ部を88km/h(≒24.444m/s)で移動させているため、プラットホーム60上に立つ乗客も88km/h(≒24.444m/s)で移動する条件となっている。したがって、乗客が受ける風を評価するためには解析から得られる速度から乗客の計算上の移動速度を減算する必要がある。インフラ部を移動させる方向は前後(z)方向だけであり、左右(x)・上下(y)の2方向には解析上も速度を与えていないため、Vmagnitudeの算出にはそのままの速度成分を用いている。
【0040】
以下、図23〜図25に基づいて、比較試験結果について説明する。図23〜図25は、風速分布を示したグラフ(線図)であり、横軸が解析モデルM1の出口端からの距離を、縦軸はその位置における風速を示している。図23は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ170cm(プラットホーム60に立つ乗客の頭部付近を想定)での風速分布を示している。また、図24は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ110cm(プラットホーム60に立つ乗客の胴部付近を想定)での風速分布を示している。また、図25は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ50cm(プラットホーム60に立つ乗客の膝付近を想定)での風速分布を示している。なお、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置には、通常、点字ブロックが敷設される。
【0041】
図23〜図25に示された試験結果において、実施例1は、上述した第1実施形態に係る鉄道車両を車体モデル51に設定したものである。実施例2は、上述した第2実施形態に係る鉄道車両を車体モデル51に設定したものである。実施例3は、上述した第3実施形態に係る鉄道車両を車体モデル51に設定したものである。比較例1は、上述した第1実施形態に係る鉄道車両から板状部材30を除いたものを車体モデル51に設定したものである。
【0042】
図23〜図25から分かるように、実施例1〜3は、プラットホーム60上面からの高さ170cm、110cm、50cmのすべてにわたって、比較例1に対して風速が低減されている。これは、実施例1〜3において、車体先頭部からの剥離の発生が抑制されたためであると考えられる。以上の比較試験結果から、空気流抑制手段(板状部材30)を設けて車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制することでプラットホーム60上において発生する列車風を低減する本発明の効果を確認することができた。なお、実施例3が実施例1,2に比して風速が高くなっているのは、屋根まで延びて屋根面の端部に形状に沿って湾曲して形成された上部47により屋根上へ抜ける空気の流れが妨げられたためであると考えられる。
【0043】
図26は、新たな比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルM2を示す図である。図26に示した解析モデルM2は、プラットホーム60の車両に面した端部の下方に空間が形成されていない点で、図21及び図22に示した解析モデルM1と相違する。この点以外の解析モデルM2の構成及び解析条件は解析モデルM1と同じとし、上述した第2実施形態に係る鉄道車両を車体モデル51に設定したもの(対策車両)と、上述した第1実施形態に係る鉄道車両から板状部材30を除いたものを車体モデル51に設定したもの(非対策車両)とについて、シミュレーション解析試験を行なった。
【0044】
図21及び図22に示した解析モデルと図26に示した解析モデルとの試験結果を図27に示す。図27から分かるように、解析モデルM1よりも解析モデルM2の方が、列車風が大きくなっている。これは、解析モデルM2では車体前面で受けた風がプラットホーム60の車両に面した端部の下方に形成された空間に逃げ込むことができずに、プラットホーム60上に流れてしまうことによるものと考える。また、解析モデルM1及び解析モデルM2において、対策車両の方が列車風が低く、80〜90%に抑えられている。これにより、駅構内の構成が解析モデルM1及び解析モデルM2のいずれの場合においても、対策車両では列車風低減効果を発揮することが確認されたと考える。
【0045】
続いて、本発明者等は、空気流抑制手段(板状部材30)によるプラットホーム上において発生する列車風の低減効果を確認するための実測試験を行ったので、以下、その実測試験結果について説明する。
【0046】
図28は、実測試験を行なった駅構内の概略構成を示す模式図である。プラットホーム71に階段室73,75(プラットホーム71への下り階段室)が設けられた構造となっている。図28において、矢印は鉄道車両77進行方向を示し、「×」は風速測定点を示している。風速測定点Aは、階段室75の側方における白線79の位置である。風速測定点Bは、階段室75の側壁端部から車両進行方向とは反対方向に8.5m離れた位置であり、白線79から1.35mホーム内側となる位置である。風速測定点A,Bの高さは、プラットホーム71上面から1.5mに設定されている。
【0047】
図29及び図30は、風速測定点Aにおける測定結果を示す線図であり、列車の通過速度と測定された風速の関係を示している。また、図31及び図32は、風速測定点Bにおける測定結果を示す線図であり、鉄道車両の通過速度と測定された風速の関係を示している。図29及び図31に示された測定結果と、図30及び図32に示された測定結果とにおいては、測定日が異なる。図29〜図32において、「◇」は空気流抑制手段(板状部材30)を備えない従来型の鉄道車両の測定結果を示し、「△」は空気流抑制手段(板状部材30)を備えた鉄道車両の測定結果を示している。実線は、従来型の鉄道車両の測定結果による近似直線である。
【0048】
図29〜図32から分かるように、風速の通過速度に対する速度依存性を考慮して見ると、空気流抑制手段(板状部材30)を備えた鉄道車両の方が従来型の鉄道車両よりも概ね列車風が低減されていることが確認された。
【0049】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、板状部材30の形状、寸法、材質等は適宜変更可能である。板状部材30の外妻面11への固定もボルト止め以外に溶接等により固定するようにしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、プラットホーム上において発生する列車風を低減することが可能な鉄道車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両を示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両を示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の正面図である。
【図7】図6中VII−VII線に沿った断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両において、運転席から車両前方を見たときの図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両を示す側面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両を示す正面図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両を示す平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の側面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両に含まれる板状部材の正面図である。
【図15】図14中XV−XV線に沿った断面図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係る鉄道車両において、運転席から車両前方を見たときの図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る鉄道車両を示す側面図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る鉄道車両を示す正面図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る鉄道車両を示す平面図である。
【図21】比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルM1を示す図である。
【図22】比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルM1を示す図である。
【図23】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図24】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図25】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図26】比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルM2を示す図である。
【図27】比較試験により得られた結果を示す線図である。
【図28】実測試験を行なった駅構内の概略構成を示す模式図である。
【図29】風速測定点Aにおける測定結果を示す線図であり、列車の通過速度と測定された風速の関係を示している。
【図30】風速測定点Aにおける測定結果を示す線図であり、列車の通過速度と測定された風速の関係を示している。
【図31】風速測定点Bにおける測定結果を示す線図であり、鉄道車両の通過速度と測定された風速の関係を示している。
【図32】風速測定点Bにおける測定結果を示す線図であり、鉄道車両の通過速度と測定された風速の関係を示している。
【符号の説明】
1…鉄道車両、10…先頭車両、11…外妻面、13…側面、15…屋根面、30…板状部材、31…前側端部、33…車体前方に最大突出した位置、43…湾曲部、45…補強部材、47…上部、51…車体モデル、55…構内掲示板及び壁、57…天井、59…路盤、60…プラットホーム。
Claims (2)
- 外妻面を有する鉄道車両であって、
前記外妻面の両側部に、車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制する空気流抑制手段が設けられており、
前記空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が「く」の字形状を呈している板状部材であることを特徴とする鉄道車両。 - 外妻面を有する鉄道車両であって、
前記外妻面の両側部に、車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制する空気流抑制手段が設けられており、
前記空気流抑制手段は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、車体側方から見て前側端部が車体前方に最大突出した位置から斜め上方に傾斜すると共に前記車体前方に最大突出した位置から斜め下方に傾斜して形成された板状部材であることを特徴とする鉄道車両。
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