JP3670946B2 - インクリボン積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックなどからなる種々の基材表面にインクや樹脂液などの塗布液から成る塗布層が形成されて成るインクリボンのようなフィルム状積層体を製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラスチックや紙などから成る基材表面に樹脂液やインク液などを塗布し、塗布層を形成する方法には種々のものが考案されており、これらのうちグラビア印刷法は、基材表面の平均膜厚が均一な塗布層を形成することができることから、近年盛んに用いられている。
【0003】
図14(a)の符号121は長尺状の基材を示している。この基材121の表面にはグラビア印刷法によりインクからなる塗布層122が形成されており、その表面にはグラビア印刷のパターンが反映された凹凸125が形成されている。
【0004】
その塗布層122表面を平坦化させるためには、先ず、スムーザーであるナイフ155を用意し、基材121をそのナイフ155の先端から所定間隔離した位置に配置する。
【0005】
この状態で基材121をナイフ155の刃に対して垂直に走行させると、塗布層122の凹凸125が形成された表面が連続してナイフ155に接触し、結果、その凹凸125の凸部がナイフ155によって削り取られる(図14(b))。
【0006】
ナイフ155によって削り取られた凸部は、その凸部に隣接して配置された凹部に流れ込み、結果、凸部によって凹部が充填され、塗布層122表面が平坦化される。
次いで、全体を乾燥すれば、基材121と塗布層122からなる積層構造のフィルム120を得ることができる(図14(c))。
【0007】
しかしながら、上記のような方法では、ナイフ155によって擦り取られた凸部がナイフ155の刃の幅方向に広がらず、走行方向下流側に溜まってしまうので、凸部に隣接した凹部が十分に充填されず、塗布層122表面が十分に平坦化されない。
【0008】
また、カーボンブラックのように、用いる溶剤の種類によっては塗布層組成物中で溶解されない顔料が添加されている塗布層では、その顔料が粒子の状態で塗布層中に存しており、このような塗布層を上記のようなナイフを用いて均した場合には、顔料粒子が必要以上に擦り取られ、その部分に窪みが形成されてしまう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は表面が平滑な塗布層を精度良く形成する技術を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、グラビアローラの表面に形成された複数の凹部にインク塗布液を充填し、前記グラビアローラの表面に基材を接触させ、前記各凹部に充填された前記インク塗布液を前記基材上に転写させ、インク塗布層を形成した後、前記基材上に配置された前記インク塗布層を平滑化し、前記基材と前記インク塗布層とを有するフィルム状積層体を製造するインクリボン積層体の製造方法であって、筐体と、前記筐体内部に配置され、少なくとも一部が露出するようにされた棒状の本体と、前記棒状の本体の側面に互いに平行配置された凸条とを有するスムーザーの、前記筐体内部に設けられた加熱装置により前記凸条を加熱した状態で、前記凸条を前記インク塗布層に接触させながら、前記基材を走行させるインクリボン積層体の製造方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクリボン積層体の製造方法であって、前記基材の走行は、前記基材を前記凸条に対して斜めに走行させ、前記インク塗布層を前記凸条で堰き止め、前記インク塗布層の前記凸条で堰き止められた部分を前記凸条間の溝部内で移動させるインクリボン積層体の製造方法である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のインクリボン積層体の製造方法であって、前記インク塗布液は顔料とワックスとを含有し、前記インク塗布層は加熱によって軟化するように構成されたインクリボン積層体の製造方法である。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のインクリボン積層体の製造方法であって、前記凸条を通過し、平滑化された後の前記インク塗布層を加熱するインクリボン積層体の製造方法である。
【0011】
本発明は上記のように構成されており、本発明のスムーザーの接触部には、複数の凸条と、隣接した凸条間から成る溝部が配置されているので、処理対象物である塗布層表面にこのスムーザーの接触部に接触した状態で、塗布層22を一方向に移動させると、塗布層の凸条に接触した部分は削り取られる。このとき、塗布層内に顔料粒子が添加されている場合は、顔料粒子は削り取られた部分と共に、溝部を通過するので、顔料粒子がスムーザーによって必要以上に削り取られず、膜厚の精度や平滑度が高い塗布層を得ることができる。
【0012】
また、凸条をスムーザー本体の中心軸線に対して斜めに配置し、この中心軸線と略直交する方向に塗布層を移動させれば、凸条と溝部が塗布層の走行方向に対して斜めに配置されるので、凸条によって削り取られた部分は溝部を通って、スムーザーの中心軸線に対して斜め方向に移動する。従って、削り取られた部分は塗布層の幅方向にも移動するので、得られる塗布層の平滑度がより高くなる。
【0013】
また、その塗布層内に顔料粒子が分散されている場合も、顔料粒子が削り取られた部分とともに溝部を移動するので、顔料粒子が必要以上に削り取られず、精度の良い塗布層を得ることができる。
【0014】
本発明のスムーザーを用いて平坦化を行った後、塗布層全体を加熱すれば、塗布層全体の粘度が低くなるので、スムーザーを通過した直後の塗布層表面が十分に平滑化されていない場合でも塗布層自身の表面張力によってその表面がより平滑化される。
【0015】
また、スムーザーの接触部を加熱して塗布層の平坦化を行えば、スムーザーによって削り取られる部分がスムーザーとの接触によって加熱されて軟化し、流動性が高くなるので、削り取られた部分の移動性が増し、より平坦な塗布層を得ることができる。
【0016】
スムーザーの本体と凸条とを一体成形すれば、本体にワイヤーを巻いて構成したスムーザーに比べ、清掃が容易なだけでは無く、スムーザー全体を加熱した場合に、熱膨張によって本体と凸条の部分に余計な間隙が生じないので、均し工程に悪影響を与えない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第一例のスムーザーを、そのスムーザーを用いてフィルム状積層体を作成する方法と共に詳細に説明する。
図1の符号10は連続塗布装置の一例を示しており、この連続塗布装置10は巻き出し軸15と、塗布装置30と、テンションローラー18と、スムーザー50(本発明第一例のスムーザー)と、加熱乾燥装置40と、巻き取り軸25とを有している。
【0018】
この連続塗布装置10を用いてフィルム状積層体を作成するには、先ず、巻き出し軸15の表面にロール16を装着する。このロール16は巻き芯17と、巻き芯17周囲にロール状に巻き取られた基材21から成り、その巻き芯17が巻き出し軸15の表面に密着した状態で装着される。ここでは基材21として、厚さ5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
【0019】
次いで、このロール16から塗布装置30に向かって基材21の端部を繰り出す。この塗布装置30は共に水平に配置された円筒状のグラビアローラー35、バックアップローラー36を有しており、ロール16から繰り出された基材21の端部を、先ず、グラビアローラー35とバックアップローラー36との間を通過させる。
【0020】
更に、その基材21端部を塗布装置30からテンションローラー18に掛渡し、スムーザー50の近傍を通し、加熱乾燥装置40内を挿通させる。巻き取り軸25の表面には、新たな巻き芯27が密着して配置されており、加熱乾燥装置40を挿通された基材21端部をこの巻き芯27の表面に貼着する。
【0021】
図1はこの状態の連続巻き取り装置10と基材21とを示している。次に、塗布装置30のバックアップローラー36をグラビアローラー35の側面上方に押し当て、バックアップローラー36とグラビアローラー35とで基材21を挟んだ状態にする。次いで、巻き取り軸25を回転させるとロール16から基材21が繰り出され、基材21がバックアップローラー36とグラビアローラー35とに挟まれた状態でスムーザー50に向かって走行する。ここでは、350m/分の速度で基材21を走行させた。
【0022】
この基材21はグラビアローラー35とバックアップローラー36とで挟まれているので、その走行によってグラビアローラー35とバックアップローラー36とが回転する。
【0023】
このグラビアローラー35の下方には塗布液38が蓄えられた塗布液槽32が配置されており、グラビアローラー35の側面の下方部分はこの塗布液38中に浸漬されている。ここではトルエン85重量%に対して、ワックス12重量%、顔料(ここではカーボンブラックを用いた)と分散剤との混合物を2.25重量%、エチレン‐酢酸ビニル共重合体0.75重量部とを混合して得たインクを塗布液として用いた。
【0024】
このグラビアローラー35の側面には複数の凹部が形成されており、塗布液38中に浸漬される部分に配置された凹部はこの塗布液38によって充填されるので、このグラビアローラー35が回転すると、その回転によって、凹部に充填された塗布液38が塗布液槽32からグラビアローラー35上方に位置する基材21へ運ばれる。
【0025】
このとき、バックアップローラー36が基材21を介してグラビアローラー35上方に押し当てられているので、基材21表面がグラビアローラー35の上方側面に接触し、その側面の凹部に充填された塗布液38が基材21表面に転写される(グラビア印刷法)。
【0026】
図7(a)はその状態の基材21を示した断面図であり、基材21の表面には転写された塗布液38からなる塗布層22が形成されている。この塗布層22表面にはグラビアローラー35側面の凹部のパターンが反映され、凹凸25が形成されている。この塗布層22内にはカーボンブラックから成る顔料粒子26が分散されている。
【0027】
図2は塗布装置30を通過した基材21と、塗布装置30下流側に配置されたテンションローラー18、及びスムーザー50とを示した斜視図である。
塗布装置30から送られる基材21はテンションローラー18で走行方向を曲げられ、塗布層22がスムーザー50に面する向きで、スムーザー50の近傍に送られる。
【0028】
このスムーザー50は筐体51と、棒状の本体55とを有している。図3はそのスムーザー50を示した拡大斜視図である。同図の符号49は棒状の本体55の筐体51から露出した一側面であって、基材21に接触される接触部を示している。
【0029】
棒状の本体55の周囲には、図4に示すように、断面円形の金属ワイヤ58が、互いに密着した状態で螺旋状に巻かれており、棒状の本体55の周囲には、金属ワイヤ58の表面部分から成る凸条54と、その凸条54間に位置する溝部57が配置されている。このスムーザー50は、金属ワイヤ58の表面と基材21の表面との間隔が、塗布層22の厚みよりも小さくなるような位置に配置されている。
【0030】
また、棒状の本体55の中心軸線59は基材21の走行方向に対して垂直を成す方向に配置されている。従って、塗布層22が形成された基材21が棒状の本体55と対向する位置まで走行されてくると、塗布層22表面は金属ワイヤ58の表面と接触する。
【0031】
金属ワイヤ58は螺旋状に巻かれているので、凸条54と溝部57は基材21の走行方向に対して斜め方向に延びており、塗布層22が凸条54によって堰き止められると、堰き止められた部分は基材21の走行する力によって凸条54の隣の溝部57に送られ、溝部57内で基材21の幅方向に移動し、塗布層22の凹部内に充填される。
【0032】
図8はその状態の接触部56を上流側から観察した場合の模式的な断面図を示しており、ここでは、接触部56の凸条54が塗布層22表面の凹凸25のうち、凸部に所定の深さだけ潜り込んだ状態になっている。同図の符号28はその凸条54によって塗布層22の凸部が堰きとめられた部分を示している。
【0033】
他方、図9は接触部56を下流側から観察した場合の模式的な断面図を示しており、塗布層22表面の凹凸25のうち凹部は、上記接触部56の凸条54にせき止められた部分28によって充填されている。
【0034】
図7(b)は基材21がスムーザー50近傍を通過した後の状態を示している。塗布層22表面に形成されていた凹凸25は均され、塗布層22内には、顔料粒子26が均一に分散されている。この状態の塗布層22表面には、スムーザー50の接触部56の凸条54のパターンが反映された溝29が形成されている。この状態の基材21は塗布層22と共に、更に加熱乾燥装置40内へ送られ、基材21が塗布層22と共に加熱乾燥装置40内で加熱される。
【0035】
塗布層22は加熱され、粘度が低下するので、塗布層22自身の表面張力により、塗布層22の表面の溝29が均され、塗布層22表面が平滑化される。それとともに、塗布層22中に含まれる溶剤が蒸発し、塗布層22が固化される。ここでは、加熱乾燥炉40内で基材21を反鉛直方向に走行させ、温度100℃、給気量20m3/分、排気量32m3/分の条件で加熱乾燥を行った。
【0036】
図7(c)の符号20は上記の工程で作成されたフィルム状積層体を示している。このフィルム状積層体20は基材21と硬化された塗布層22とから成り、その塗布層22の表面が平滑化されている。
【0037】
このフィルム状積層体20が加熱乾燥装置40から巻き取り軸25に送られ、巻き取り軸25周囲にロール状に巻き取られると、巻き取り軸25周囲にフィルム状積層体20から成るロールが形成される。
【0038】
このフィルム状積層体20を実施例1とし、この実施例1のフィルム状積層体20を下記に示す「グロス測定」、「剥離試験」、「動摩擦係数測定」の各試験に用いた。
【0039】
〔グロス測定〕
フィルム状積層体20の塗布層22について、デジタル変角光沢度計であるスガ試験機(株)社製の商品名「UGV−5D」を用いて、その表面の光沢度(グロス)を測定した。
【0040】
〔剥離試験〕
フィルム状積層体20塗布層22の表面に幅の大きさが25mmの片面粘着テープ(住友スリーエム(株)社製の商品番号NO.56)の粘着層が形成された面を貼りつけた後、この片面粘着テープをフィルム状積層体20、20aから剥がす際に要する力(N/25mm)をロードセルであるエヌ・エム・ビー(株)社製の商品名「UT−1K」を用いて測定した。
【0041】
〔動摩擦係数測定〕
フィルム状積層体20から一辺63.5mmの大きさの正方形の試験片を切り出し、これらの試験片を同じ面積の被摩擦サンプル(リンテック(株)社製の商品名「PETWH50」)を各試験片の塗布層22、22a表面とをそれぞれ面接触した状態で配置した後、摩擦係数測定器である新東科学(株)社製の商品名「HEIDON−14D・ANL」を用いて、荷重200g、移動速度150mm/分の条件で動摩擦係数を測定した。
これら「グロス測定」、「剥離試験」、「動摩擦係数測定」の各試験結果を下記表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
尚、実施例1に用いた第一例のスムーザー50の溝部57の深さ(金属ワイヤ58の断面半径)r、溝部57のピッチ(金属ワイヤ58の断面直径)Rと、これらR、rの値を下記式(1)に代入して得られる溝部57の断面積s1とを下記表2に記載する。
式(1):s1=(R×r)−(π×r2)/2
【0044】
【表2】
【0045】
一般に、グロス試験の測定値と動摩擦係数試験の測定値は値が高い方が平滑度が高く、剥離試験の測定値は値が低い方が平滑度が高い。上記表1から、実施例1のフィルム状積層体20は「グロス測定」、「動摩擦係数測定」の値はそれぞれ十分に高く、また、「剥離試験」の値は十分に低くなっている。従って、実施例1のフィルム状積層体20では塗布層22表面が十分に平滑化されていることが確認された。
【0046】
尚、スムーザー50の筐体51内には加熱装置53が設けられており、この加熱装置53に通電すると、棒状の本体55と金属ワイヤ58とが加熱されるように構成されている。
従って、予め、加熱装置53に通電して発熱させ、棒状の本体55と金属ワイヤ58とを昇温させておくと、金属ワイヤ58表面の凸条54によって塗布層22表面が削り取られるとき、その部分が加熱され、軟化し、溝部57に送られやすくなる。
【0047】
以下に本発明の第二例のスムーザーについて説明する。
図5は本発明第二例のスムーザーに用いる断面円形の棒状の本体の側面図である。この棒状の本体65の側面には螺旋状に切り込みが形成されており、この切り込み自身によって溝部67が、溝部67間に存する棒状の本体65の側面によって凸条64が構成されている。この溝部67の断面は台形状であり、その底面(上底)の幅w1よりも開口(下底)の幅w2が大きくされている。
【0048】
同図の符号69はその本体65の中心軸線を示しており、凸条64は螺旋状に形成された切り込みから成る溝部67と同方向に配置されているので、溝部67と凸条64はその中心軸線69に対して斜め方向に位置されている。
【0049】
図10は本発明の第二例のスムーザーを用いて実施例1と同じ塗布層22を平滑化させる場合に、その塗布層22と接触するスムーザーの接触部66を示した断面図である。
【0050】
本発明第二例のスムーザーの凸条64の断面は矩形状なので、基材21を中心軸線に対して垂直方向に移動させると、塗布層22表面の凹凸25のうち、この凸条64に接触した部分は矩形状に削り取られる。
【0051】
この凸条64及び溝部67も中心軸線に対して斜めに配置されているので、削り取られた部分が基材21の幅方向に移動し、塗布層22表面が平坦化される。塗布層22の平坦化後、上記実施例1に用いたものと同じ加熱装置で全体を乾燥すると、フィルム状積層体が得られる。
【0052】
このフィルム状積層体を実施例2とし、実施例1と同じ条件で「グロス測定」、「剥離試験」、「動摩擦係数測定」の各試験を行った。これらの結果を下記表3に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
尚、上記第二例のスムーザーの溝部67の底面(上底)の幅w1と開口(下底)のw2、切り込みの深さ(溝部67の深さ)hと、これらの数値を下記式(2)に代入して得られる溝部57の断面積s2と、溝部67のピッチpとをそれぞれ下記表4に示す。
式(2):s2=(w1+w2)/2×h
【0055】
【表4】
【0056】
上記表3から、実施例2のフィルム状積層体は、実施例1と同様に、「グロス測定」、「動摩擦係数測定」の値はそれぞれ十分に高く、また、「剥離試験」の値は十分に低くなっているので、実施例2のフィルム状積層体では塗布層22表面が十分に平滑化されていることが確認された。
【0057】
上記表1、表3を比較すると、実施例2の方が実施例1よりも「グロス測定」、「動摩擦係数測定」の測定値が低く、また、「剥離試験」の測定値が高くなっている。
【0058】
表2、4から実施例1、2の溝部57、67の棒状の本体55、65の長手方向の単位長さ当たりの断面積を求めると、実施例1では8.58×10-3mm2/mm、実施例2では8.1×10-3mm2/mmとほぼ等しくなっている。
従って、表1、3の結果の差は、単位長さ当たりの断面積ではなくて、溝部の形状の相違に起因するものと推定される。
【0059】
尚、本発明第一例のスムーザー50と同様に、本発明第二例のスムーザーを用いて塗布層22の平坦化を行う場合でも、加熱手段によって棒状の本体65を予め昇温させておいても良い。
【0060】
以上は棒状の本体の側面に凸条と溝部とがそれぞれ螺旋状に形成された場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
図6は上記第一例、第二例とは異なる第三例のスムーザーの棒状の本体96の側面を示している。この棒状の本体96の側面には、その中心軸線99とは略直交する方向に複数の切り込みが形成されており、その切り込み自身によって溝部98が構成されている。また、各溝部98の間の側面によって凸条97が構成されている。
【0061】
上記のような第三例のスムーザーを用いて塗布層22の表面を平坦化させるには、先ず、棒状本体96を、その中心軸線99が基材21の走行方向に対して略直交するように配置する。この状態では、棒状の本体96の溝部98と凸条97とは基材21の走行方向に沿って配置される。
【0062】
次いで、基材21を走行させ、その表面の塗布層22を棒状の本体96側面に連続して接触させると、棒状の本体96の凸条97に接触し、堰き止められた部分が溝部97を通って基材21の走行方向に沿って移動する。
【0063】
この棒状の本体96の接触部を通過した直後では、図7(b)に示したように、塗布層22表面に溝29が形成されるが、基材21を塗布層22と共に、図1に示したような加熱乾燥装置40を通過させれば、塗布層22表面は加熱によって平坦化される。
【0064】
これとは別に、その中心軸線99が基材21の走行方向に対して斜めになるように棒状の本体96を配置すれば、上記第一例、第二例のスムーザーを用いた場合と同様に、棒状の本体96の溝部98と凸条97も基材21の走行方向に対して斜めに位置し、削り取られた塗布層22が基材21の幅方向にも移動するので、塗布層22の表面をより平坦化させることが可能である。
【0065】
また、本発明に用いられる棒状の本体は、その断面が円形の場合のものに限定されず、種々の形状のものを用いることができる。
図11は、上記第一例〜第三例のとは異なる断面形状を有する第四例のスムーザーの棒状の本体75を示している。
【0066】
この棒状の本体75の中心軸線とは直交する断面は半楕円形状になっており、その楕円部分の側面が塗布層22に当接される接触部74にされている。その接触部74には不図示の凸条及び溝部が基材21の走行方向79に沿って配置されている。
【0067】
その接触部74の曲率半径は、塗布層22が接触部74に入り込む上流側よりも、塗布層22が接触部74から離れる下流側の方が大きくなっている。同図の符号Aは、接触部74と塗布層22の成す角度のうち、塗布層22が入り込む位置の入力角であり、符号Bは、塗布層22が離れる位置の出力角である。
【0068】
ここではA>Bにされており、このような出力角Bは上記第一例〜第三例のスムーザーの場合の出力角に比べても小さいので、第四例のスムーザーの接触部74を通過した直後の塗布層22表面は第一例〜第三例のスムーザーを用いた場合に比べ、より平坦なものになる。
【0069】
このようなスムーザーは、特に、塗布層22を構成する塗布液の粘度が比較的低い場合に特に有効であり、また、これとは逆に、粘度の高い塗布液を用いる場合には、入力角Aに比べ、出力角Bを大きくすれば良い。
【0070】
また、上記第一例〜第四例のスムーザーでは、接触部となる棒状の本体の側面が曲面の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
図12は本発明第五例のスムーザーの棒状の本体85を示している。この棒状の本体85の中心軸線と直交する断面は、斜面部分83が外部に膨出した台形形状である。同図の符号84はその台形形状の平坦な上底であり、塗布層22表面と接触する接触部を示している。
【0071】
この接触部84の基材21の走行方向79に対する長さは、接触部が曲面にある本発明第一〜第四例のスムーザーの接触部に比較して大きくされている。また、この接触部84には不図示の凸条と溝部とがそれぞれ基材21の走行方向79に沿って配置されている。
【0072】
第五例のスムーザーでは、塗布層22がその接触部84を通過する時間が長いので、塗布層22が接触部84の凸条に堰き止められ、溝部を通過する際に基材21の幅方向へ移動する距離が長くなる。従って、このようなスムーザーは、特に、棒状の本体85を加熱し、熱溶解性の塗料で構成された塗布層22を平坦化させる場合に有効である。
【0073】
また、本発明のスムーザーの棒状の本体の接触部は上述したような曲面や平面に限られない。
図13は本発明第六例のスムーザーの棒状の本体95を示している。第四例のスムーザーと同様に、この棒状の本体95の中心軸線と直交する断面も半楕円形状であるが、第六例のスムーザーでは、その平面91が塗布層22表面に対して垂直に位置し、楕円状の側面93は基材21の走行方向79の上流側に向けられ配置されている。従って、塗布層22と接触する接触部94に位置する棒状の本体95の側面は鋭角の先端部分になる。
【0074】
この棒状の本体95の塗布層22表面と接触する接触部94には、不図示の凸条及び溝部が基材21の走行方向79に沿って形成されている。
このようなスムーザーは塗布層22表面を平坦化させるよりも、余分な塗布液を掻き落とす効果が高く、特に、塗布液中に金属粒子などの硬質粒子が存する場合に有効である。
【0075】
【発明の効果】
本発明のスムーザーを用いれば、表面が平坦な塗布層を形成することが可能である。また、スムーザーの棒状の本体の向きや、その溝部や凸条の形状を変化させれば、種々の目的に応じて塗布層表面を均すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスムーザーを用いた連続塗布装置の一例を説明するための図
【図2】本発明のスムーザーを、テンションローラー、塗布装置と共に示した斜視図
【図3】本発明のスムーザーの斜視図
【図4】本発明の第一例のスムーザーを説明するための側面図
【図5】本発明の第二例のスムーザーを説明するための側面図
【図6】本発明の第三例のスムーザーを説明するための側面図
【図7】(a)〜(c):本発明の第一例のスムーザーを用いて塗布層を平坦化する工程を説明するための断面図
【図8】本発明の第一例のスムーザーを上流側から観察した場合の模式的な断面図
【図9】本発明の第一例のスムーザーを下流側から観察した場合の模式的な断面図
【図10】本発明の第二例のスムーザーを用いて塗布層を平坦化する工程を説明するための断面図
【図11】本発明の第四例のスムーザーを説明するための断面図
【図12】本発明の第五例のスムーザーを説明するための断面図
【図13】本発明の第六例のスムーザーを説明するための断面図
【図14】(a)〜(c)従来技術のスムーザーを用いて塗布層を平坦化させる工程を説明するための図
【符号の説明】
20……フィルム状積層体
22……処理対象物(塗布層)
53……加熱手段(加熱装置)
50……スムーザー
56、66、74、84、94……接触部
55、65、75、85、95、96……棒状の本体
54、64、97……凸条
57、67、98……溝部
58……金属ワイヤ
Claims (4)
- グラビアローラの表面に形成された複数の凹部にインク塗布液を充填し、前記グラビアローラの表面に基材を接触させ、前記各凹部に充填された前記インク塗布液を前記基材上に転写させ、インク塗布層を形成した後、前記基材上に配置された前記インク塗布層を平滑化し、前記基材と前記インク塗布層とを有するフィルム状積層体を製造するインクリボン積層体の製造方法であって、
筐体と、前記筐体内部に配置され、少なくとも一部が露出するようにされた棒状の本体と、前記棒状の本体の側面に互いに平行配置された凸条とを有するスムーザーの、
前記筐体内部に設けられた加熱装置により前記凸条を加熱した状態で、前記凸条を前記インク塗布層に接触させながら、前記基材を走行させるインクリボン積層体の製造方法。 - 前記基材の走行は、前記基材を前記凸条に対して斜めに走行させ、前記インク塗布層を前記凸条で堰き止め、前記インク塗布層の前記凸条で堰き止められた部分を前記凸条間の溝部内で移動させる請求項1記載のインクリボン積層体の製造方法。
- 前記インク塗布液は顔料とワックスとを含有し、
前記インク塗布層は加熱によって軟化するように構成された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のインクリボン積層体の製造方法。 - 前記凸条を通過し、平滑化された後の前記インク塗布層を加熱する請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のインクリボン積層体の製造方法。
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