JP3668869B2 - 地下貯水槽用積上げ部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下貯水槽の水溜め空間内に縦方向及び横方向に並べられ且つ上下に段積みされて装填される地下貯水槽用積上げ部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平4−26648号公報には、水溜め空間に積上げ部材を装填した地下貯水槽が記載されている。この地下貯水槽の水溜め空間に装填される積上げ部材1は、図16に示したように、方形の底板部11と、この底板部11の4つの辺部から端拡がり状に立ち上がった傾斜側板12と、この傾斜側板12の上下方向での一端縁部と他端縁部とにそれぞれ張出状に設けられた鍔部13,14とを有しており、上記底板部11や傾斜側板12には多数の通水孔15が開設されている。
【0003】
この積上げ部材1を地下貯水槽の水溜め空間に上下に段積みして装填するときの段積み形態として、たとえば図15に示した段積み形態が採用される。同図の段積み形態は、上下に段積みされた2つの積上げ部材1,1の相互間において、その2つの積上げ部材1,1を上下逆向きにして重ね合わせたものである。そのため、多数の上記積上げ部材1…を上記水溜め空間の内部に縦方向および横方向に並べかつ上下に段積みして装填し、その上部に上記水溜め空間を覆う被覆層を配設した場合、その被覆層に加わる荷重は、多数の上記積上げ部材1…の集合体によって受け止められ、そのときには、図15のように段積みされた個々の積上げ部材1の傾斜側板12が上記荷重に抗するように作用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上下に段積みされている個々の積上げ部材1の傾斜側板12は、上述したように端拡がり状に傾斜しているので、上記被覆層に加わる荷重を多数の上記積上げ部材1…の集合体によって受け止めさせると、個々の積上げ部材1の端拡がり状の傾斜側板12にはそれを押し拡げる方向(すなわち傾斜側板12を折り曲げる方向)に大きな力が加わるので、その傾斜側板12に座屈が生じやすく、その傾斜側板12に部分的な亀裂が生じているようなときには、その傾斜側板12に加わる荷重がそれほど大きくなくてもその傾斜側板12がその亀裂箇所を起点として容易に座屈してしまうおそれがある。とりわけ、この積上げ部材1が合成樹脂で一体成形されており、かつ上記傾斜側板12をある程度薄肉にしてこの積上げ部材1の軽量化を図っているような場合には、上記のように座屈を生じやすい。そして、積上げ部材1の傾斜側板が座屈を起こすと、その座屈の影響が、上記水溜め空間に装填されている多数の積上げ部材の全体に及び、縦方向および横方向に並びかつ上下に段積みされた多数の積上げ部材の相互間で位置ずれが生じて多数の積上げ部材の全体的な配置上のバランスが崩れやすくなり、早期に地下貯水槽の改修を余儀なくされるという問題がある。
【0005】
また、図17に示したように、上記集合体を形成している最上部の上記積上げ部材1は、その底板部11が上になるように倒立させて配置し、その上に被覆層を配設しなければならない。ところが、そのようにすると、縦方向または横方向で隣接する上記最上部の積上げ部材1,1同士の間に空隙Sが必然的に生じる。この空隙Sは何らかの方法で埋めておかねばならないが、仮にその空隙Sに砂利を詰めて埋めるという手段を採用すると、被覆層に加わる荷重がその砂利層を介して積上げ部材1の傾斜側板12を折り曲げる方向に加わり、傾斜側板12がきわめて座屈しやすい状況に置かれるようになるので好ましくない。他の手段として、その空隙Sを埋める楔形部材を設けると、被覆層に加わる荷重でその楔形部材が下方に押圧されたときに、その楔形部材が縦方向または横方向で隣接している積上げ部材1,1の間隔を押し拡げようとして上記集合体の全体の形が崩れやすくなるので好ましくない。
【0006】
以上の問題に鑑み、本発明は、地下貯水槽の水溜め空間に装填される積上げ部材であって、該水溜め空間を覆う被覆層に加わる荷重によって座屈が生じ難く、装填された積上げ部材全体の形が崩れるおそれの少ない地下貯水槽用積上げ部材を提供することを主たる目的としている。
【0007】
そして、本発明は、図15や図16で説明した積上げ部材に比べて、より大きな空間率を持たせることのできる地下貯水槽用積上げ部材を提供すること、更には、図15や図16で説明した積上げ部材よりも軽量化しやすい地下貯水槽用積上げ部材を提供することをも目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る合成樹脂製の地下貯水槽用積上げ部材は、縦寸法及び横寸法が30〜80cmの方形に形成された連結骨の4つのコーナー部のそれぞれに、互いに平行な長さ20〜80cm、外径2〜15cmの中空筒の脚杆が連結骨と直角に一体に設けられた積上げ部材であって、連結骨の対角方向に延びるリブが設けられ、各脚杆の一端に嵌合部が設けられ、この嵌合部に嵌合可能な被嵌合部が各脚杆の他端に設けられている、というものである。
【0009】
このような地下貯水槽用積上げ部材は、地下貯水槽の水溜め空間に縦方向及び横方向に並べられると共に上下に段積みされ、上下の積上げ部材の脚杆同士が垂直に連結された状態で水溜め空間に装填される。そして、装填された積上げ部材の上部には被覆層が設けられる。このようにして施工された地下貯水槽の被覆層の上を人が歩いたり自動車が走行したりすると、そのとき被覆層に加わる荷重は個々の積上げ部材の脚杆を垂直方向に圧縮する方向に主に作用し、その脚杆を折り曲げる方向にはそれほど大きな力が加わらない。そのため、積上げ部材が脚杆のところで座屈する恐れは殆どない。しかも、隣接する積上げ部材の連結骨同士が互いに突き合わせ状態で、縦方向にも横方向にも位置ずれし難いため、水溜め空間に装填された積上げ部材全体の形が崩れる恐れも殆どない。
【0010】
また、この積上げ部材は、方形に形成された連結骨と4本の脚杆よりなる骨組み構造を有しているので、上記のように水溜め空間に装填したときの空間率が大きく、多量の水を蓄えることができる。その上、積上げ部材が上記の骨組み構造を有していることにより軽量化も達成しやすい。
【0011】
なお、水溜め空間に装填された最上部の積上げ部材の連結骨より立ち上がる脚杆の上端には、板状枠でなる蓋体を取付け、その上に上記被覆層を設けることが好ましい。このようにすると、最上部の積上げ部材の相互間に空隙が形成されないため、被覆層に加わる荷重で積上げ部材が押し拡げられることがない。
【0014】
上記請求項1の地下貯水槽用積上げ部材は、各脚杆の一端に嵌合部が設けられ、この嵌合部に嵌合可能な被嵌合部が各脚杆の他端に設けられているので、上下に段積みするとき、上下いずれか一方の積上げ部材の各脚杆の嵌合部に他方の積上げ部材の各脚杆の被嵌合部を嵌合させることによって、上下の積上げ部材の脚杆がずれたり外れたりしないように確実に脚杆を垂直に連結することができる。
【0016】
また、上記請求項1に係る地下貯水槽用積上げ部材のように、各脚杆が中空筒であると、各脚杆に大きな曲げ強度が付与されるので、その座屈が一層生じ難くなり、軽量化も更に容易となる。
【0018】
また、上記の請求項1の積上げ部材において、各脚杆と連結骨との間に亘って補強用ブラケットが一体に設けられていると、脚杆と連結骨との結合部分が補強ブラケットで補強されるので、脚杆が根元で折れたり、脚杆と連結骨との直角度が損なわれるといった自体が生じ難くなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0021】
図1は本発明の地下貯水層用積上げ部材を用いて施工した地下貯水槽を概略的に示す縦断面図、図2は本発明の一実施形態に係る地下貯水槽用積上げ部材を斜め上から見たときの概略斜視図、図3は同積上げ部材を倒立させて斜め上から見たときの概略斜視図、図4は同積上げ部材の平面図、図5は同積上げ部材の底面図、図6は同積上げ部材を倒立させた状態の側面図、図7は図4のVII−VII線に沿う断面図、図8は同積上げ部材を上下に段積みした状態を示す部分側面図、図9は同積上げ部材を縦方向および横方向に並べた状態を示す概略平面図、図10は縦方向および横方向に並ぶ積上げ部材の脚杆を連結具で連結した状態を示す部分概略平面図である。
【0022】
図1に示す地下貯水槽Aは、地面を掘り下げることによって地中に凹入状に形成された水溜め空間3を有し、この水溜め空間3の内部に、縦方向および横方向に並べられかつ上下に段積みされた本発明の多数の積上げ部材2からなる集合体Bが装填されている。そして、この集合体Bの上部に被覆層5が配設され、この被覆層5に加わる荷重が集合体Bによって受け止められるようになっている。なお、集合体Bの最上部の積上げ部材2の上に被覆層5を配設するための構成についてはさらに後述する。
【0023】
図例の被覆層5は砂利や栗石などを敷き詰めて透水層52を形成したものであり、その被覆層5の表面には芝生53などを植生してある。また、被覆層5の表面に散策路や自動車の駐車場を造ることも可能である。この被覆層5は透水性を備えているため、水溜め空間3には被覆層5を浸透した水が入る。この水溜め空間3には集水用の側溝31と排水用の側溝32とが設けられている。そして、集水用の側溝31と水溜め空間3との間にトラップ33が介在されており、上記側溝31に流入した雨水がトラップ33を経て水溜め空間3に流入するようになっている。このため、側溝31に流入する雨水中に土や砂などの固形物が混ざっていると、その固形物が上記トラップ33によって取り除かれる。他方、排水用の側溝32と水溜め空間3との間には、溢流堰34が設置されている。このため、水溜め空間3の水位が溢流堰34を越えて上昇しようとすると、水が溢流堰34を越流して側溝32に流出する。この側溝32には、水を地中に浸透させるための水浸透設備35が接続されている。また、この側溝32には河川などに通じる排水管36なども接続されている。そのほか、上記被覆層5を貫通して水溜め空間3の底部に達するマンホール37が設けられている。
【0024】
このような地下貯水槽Aは、集中豪雨などに見舞われたときに河川の水位が急激に上昇して氾濫を起こすといった事態を回避することに利用することができる。たとえば、河川の水位がその集中豪雨によって上昇している間は、地表を流れて河川に流れ込もうとする雨水の一部を、この地下貯水槽Aの水溜め空間3に流入させて一時貯留しておき、集中豪雨が治まって河川の水位が下がったときにその水溜め空間3の貯留水を河川に放流するようにすると、河川の水位の急激な上昇による氾濫を回避することができる。また、火災などの緊急を要する場合には、上記マンホール37から消防用ホースや汲み上げ管38を水溜め空間3に挿入し、その汲み上げ管38などを通して水溜め空間3の貯留水を汲み上げ、防火用水などに用いることもできる。通常は、水溜め空間3の水を植物の灌水などに使用することができるのであり、そのためには、別途、水汲み口を水溜め空間3から導き出しておくことが好ましい。
【0025】
上記地下貯水槽Aにおいて、水溜め空間3を形成している壁39は、粘土やコンクリートや遮水シートなどの不透水層であっても、あるいは砂利や栗石や透水性シートを敷き詰めた透水層であってもよく、透水層にしておくと、水溜め空間3の水を徐々に地中に逃がすことができる。
【0026】
上記地下貯水槽Aの水溜め空間3内に装填されている本発明の地下貯水槽用積上げ部材2は、図2〜図7に示すように、方形環状に形成された連結骨21の4つのコーナ部22…のそれぞれに、中空筒でなる等長の脚杆23が一体に設けられている。これら4本の脚杆23…は互いに平行に配備されており、連結骨21と直角に設けられている。中空筒の脚杆23には、中空単筒の脚杆のほか、中空二重筒や中空三重筒などの中空多重筒の脚杆も勿論含まれる。上記の連結骨21には、対角方向に延びるリブ27…が設けられており、また、それぞれの脚杆23と連結骨21との間に亘って補強用ブラケット26が設けられている。この補強用ブラケット26は、脚杆23に加わる荷重でその脚杆23と連結骨21との直角度が損なわれることを防ぐことに役立つ。
【0027】
それぞれの脚杆23の一端部には嵌合部24が設けられ、その脚杆23の他端部には、上記嵌合部24に嵌合可能な形状および寸法の被嵌合部25が設けられている。この実施形態では、被嵌合部25に上記嵌合部24を内嵌合できるようにその被嵌合部25の形状および寸法が定められているけれども、その逆に、被嵌合部25に上記嵌合部24を外嵌合できるようにその被嵌合部25の形状および寸法を定めておいてもよい。また、この実施形態では、連結骨21を板状枠によって形成し、脚杆23における被嵌合部25だけがこの板状枠の片面側に突出し、脚杆23におけるその被嵌合部25を除く部分はこの板状枠の他面側に突出するようにしてある。
【0028】
なお、上記積上げ部材2において、脚杆23の長さは20〜80cm、好ましくは25〜50cmが適切であり、また、上記脚杆23の外径は2〜15cmが適切である。この脚杆23の長さが長すぎたり外径が小さすぎたりすると脚杆23の耐曲げ強度が低くなりすぎるので好ましくない。また、連結骨21の縦寸法および横寸法はいずれも30〜80cmが適切である。これから判るように、積上げ部材2は全体として立方体がそれに近い形状に作っておくことが好ましく、そのようにしておくと、上記水溜め空間3に縦方向および横方向に並べて配置したり上下に段積みしたりするときの作業性が良好になる。
【0029】
以上説明した積上げ部材2はポリプロピレン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂で一体成形されている。
【0030】
上記した積上げ部材2は、図1で説明した水溜め空間3の内部において、縦方向および横方向に並べられる共に上下に段積みされ、集合体Bを構成して水溜め空間3に装填されている。この積上げ部材2が上下に段積みされている形態が図8に示されている。すなわち、上下に段積みされた2つの積上げ部材2,2の相互間においては、図8で判るように、一方段の積上げ部材2の4本の脚杆23…の各嵌合部24…が、他方段の積上げ部材2の4本の脚杆23…の各被嵌合部25…に各別に嵌合されている。従って、集合体Bを構成しているそれぞれの積上げ部材2…の脚杆23は、互いにずれたり外れたりしないように垂直に連結されて立ち上がっている。
【0031】
また、この積上げ部材2が縦方向および横方向に並べられている形態が図9に示されている。すなわち、縦方向および横方向に並べられた積上げ部材2…においては、それらの連結骨21…同士が縦方向および横方向で互いに突き合わされている。そして、図10に示したように、縦方向および横方向に並んで隣接している4つの積上げ部材2…の相互間においては、相隣接する4本の脚杆23…が、それらの脚杆23…の相対位置を一定に保つ連結具6により連結されている。この連結具6は、上記脚杆23…に径方向から嵌脱可能なクランプ部61を有しており、このクランプ部61を上記脚杆23…に嵌合するだけで、図10に示した4本の脚杆23…の相対位置を一定に保つ機能を発揮する。
【0032】
以上説明した実施形態の積上げ部材2は、連結骨21が方形に形成されているけれども、連結骨21を直角二等辺三角形に形成してもよい。
【0033】
図11は連結骨21を直角二等辺三角形の環状に形成した本発明の他の実施形態に係る積上げ部材2の斜視図、図12は同積上げ部材を二個一組として連結骨の斜辺部分を合わせて方形に組み合わせた状態を示す平面図である。
【0034】
この図11に示す積上げ部材2は、連結骨21が上記のように直角二等辺三角形の環状に形成され、この連結骨21の3つのコーナ部に互いに平行な3本の脚杆23が連結骨21と直角に一体に設けられている。その他の構成は前述した実施形態の積上げ部材と実質的に同様であるので、図11,図12において同一部材に同一符号を付し、説明を省略する。
【0035】
このような積上げ部材は、図12に示すように、二個一組として連結骨21の斜辺部分を合わせて方形に組み合わされ、これを縦方向および横方向に並べると共に上下に段積みすることによって、上下の積上げ部材の脚杆23同士が垂直に連結された状態で水溜め空間3に装填される。
【0036】
図13は、前記二つの実施形態の積上げ部材2において、その脚杆23をH形とした事例を示している。このようなH形の脚杆23を採用した場合、その脚杆23の一端部の嵌合部24がH形になるので、その脚杆24の他端部の被嵌合部25(図13には別の積上げ部材2の被嵌合部25を示してある)に、上記嵌合部24の形状と同じH形の凹入部を形成しておくか、あるいは図示していない方形の凹入部を形成しておき、その方形の凹入部に上記H形の嵌合部24が嵌合し得るようにしておくとよい。
【0037】
図1について既述したように、本発明の積上げ部材2を用いて施工される地下貯水槽Aは、地面を掘り下げることによって地中に凹入状に形成された水溜め空間3を有し、この水溜め空間3の内部に、縦方向および横方向に並べられかつ上下に段積みされた多数の積上げ部材2からなる集合体Bが装填され、この集合体Bの上部に被覆層5が配設され、この被覆層5に加わる荷重が上記集合体Bの積上げ部材2によって受け止められるようになっている。
【0038】
ところで、図8のように積上げ部材2を段積みすると、集合体Bの最上部(最上段)では、個々の積上げ部材2…の脚杆23…が上方に突き出る。このようなときには、その脚杆23…の端部に設けられている嵌合部24を利用して蓋体を取り付けることが望ましい。この蓋体としては、方形の板状枠の片面に、前述の被嵌合部25と同じ形状・寸法の取付部を設けたものの使用が可能であり、このような蓋体は、図2などに示した積上げ部材2の被嵌合部25と連結骨21とを残してその脚杆23を切断除去することにより容易に作ることができる。こうして作った蓋体は、その取付部(上記被嵌合部25が相当する)を、上方に突き出ている脚杆23の嵌合部24に嵌合することにより集合体Bの最上部に取り付けられる。なお、このような蓋体には、合成樹脂の成形体を用いることも可能である。こうして蓋体を集合体Bの最上部に取り付けた場合には、その蓋体の上に、たとえば透水性シートと不織布とを敷き、その上に前述の被覆層5を配設しておけばよい。なお、図1には、上記蓋体の配置位置を符号51で示してある。
【0039】
この地下貯水槽Aにおいて、被覆層5の上を人が歩いたり自動車が駐車したりしたときにその被覆層5に加わる荷重は、上記集合体Bを構成している本発明の積上げ部材2の垂直な脚杆23を垂直方向に圧縮する方向に主に作用するようになる。このため、その脚杆23を折り曲げる方向にはそれほど大きな力が加わらなくなるので、その脚杆23が折れ曲がったり座屈を起こしたりするおそれは少ない。また、上記集合体Bを構成している本発明の積上げ部材2はすべて複数本の脚杆23と連結骨21とにより形成された骨組み構造を有しているので、水溜め空間内3での上記集合体Bの占める体積が小さく抑えられる。その結果、水溜め空間3の空間率が大きくなるので、その水溜め空間3に多量の水を蓄えることができるようになる。その上、個々の積上げ部材2が上記した骨組み構造を有していることにより、積上げ部材の軽量化も達成しやすい。
【0040】
また、縦方向および横方向に並べられた積上げ部材2の連結骨21同士が縦方向および横方向で互いに突き合わされているので、それらの積上げ部材21が縦方向および横方向に位置ずれしにくい状態になっている。それに加え、縦方向および横方向に並んだ相隣接する積上げ部材2の脚杆23同士が連結具6によって連結されているので、それらの積上げ部材21が縦方向および横方向にいっそう位置ずれしにくい状態になっている。従って、多数の積上げ部材2からなる集合体Bは、上方からの荷重を受けて崩れるようなことはない。
【0041】
また、本発明の積上げ部材2を用いて施工される図1の地下貯水槽Aは、既述したように集水用の側溝31と水溜め空間3との間にトラップ33を介在させ、上記側溝31に流入した雨水がトラップ33を経て水溜め空間3に流入するように構成されており、このようなものは、テニスコートの地表面やアスファルト舗装面のように枯葉や土砂のない表面水を側溝31に流入させるような場合に有効である。しかし、公園などのように、雨水に枯葉や有機物が混入する場所に集水用の側溝を設ける場合は、図14のように、側溝31にスクリーン31aを設け、そのスクリーン31aで枯葉や有機物を取り除いた後の雨水が水溜め空間3に流入するようにしておくことが望ましい。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る地下貯水槽用積上げ部材は、これを水溜め空間3内に縦横に並べると共に上下に段積みしてその上に被覆層を設けることにより地下貯水槽を容易に施工でき、被覆層の上を人が歩いたり自動車が駐車したりしたとき被覆層に加わる荷重によって、各積上げ部材の脚杆が座屈を起こし難く、また、積上げ部材全体の崩壊も生じ難いものであり、それ故、図15や図16で説明した従来の積上げ部材に比べて地下貯水槽の耐荷重強度や耐久性能を向上させることが可能になるといった効果を奏する。しかも、本発明の積上げ部材は、連結骨と脚杆とからなる空間率の大きい骨組み構造を有しているため、多量の水を蓄えることができ、軽量化も達成しやすいといった効果を奏する。また、本発明の積上げ部材は合成樹脂製で切断可能なものであるから、例えば脚杆を切断するなどして脚杆の長さを調節すれば、段積みされる積上げ部材の全体高さを調節してその最上部のレベルを水溜め空間の周囲のグランドレベル(地表面)に合わせることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の地下貯水層用積上げ部材を用いて施工した地下貯水槽を概略的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る地下貯水槽用積上げ部材を斜め上から見たときの概略斜視図である。
【図3】同積上げ部材を倒立させて斜め上から見たときの概略斜視図である。
【図4】同積上げ部材の平面図である。
【図5】同積上げ部材の底面図である。
【図6】同積上げ部材を倒立させた状態の側面図である。
【図7】図4のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】同積上げ部材を上下に段積みした状態を示す部分側面図である。
【図9】図9は同積上げ部材を縦方向および横方向に並べた状態を示す概略平面図である。
【図10】縦方向および横方向に並ぶ積上げ部材の脚杆を連結具で連結した状態を示す部分概略平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る積上げ部材の斜視図である。
【図12】同積上げ部材を二個一組として連結骨の斜辺部分を合わせて方形に組み合わせた状態を示す平面図である。
【図13】脚杆の嵌合部および被嵌合部の変形例を示す概略部分斜視図である。
【図14】本発明の地下貯水層用積上げ部材を用いて施工される地下貯水槽の側溝の変形例を示す縦断面図である。
【図15】従来の地下貯水槽に用いられている従来の積上げ部材の概略斜視図である。
【図16】従来の積上げ部材の段積み状態を示す部分側面図である。
【図17】従来の積上げ部材を段積みした最上部の形態を示す説明図である。
【符号の説明】
A 地下貯水槽
B 集合体
2 地下貯水槽用積上げ部材
3 水溜め空間
5 被覆層
6 連結具
21 連結骨
23 脚杆
24 嵌合部
25 被嵌合部
26 補強用ブラケット
51 蓋体の配置位置
Claims (1)
- 縦寸法及び横寸法が30〜80cmの方形に形成された連結骨の4つのコーナー部のそれぞれに、互いに平行な長さ20〜80cm、外径2〜15cmの中空筒の脚杆が連結骨と直角に一体に設けられた積上げ部材であって、連結骨の対角方向に延びるリブが設けられ、各脚杆の一端に嵌合部が設けられ、この嵌合部に嵌合可能な被嵌合部が各脚杆の他端に設けられている合成樹脂製の地下貯水槽用積上げ部材。
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