JP3664058B2 - トラクションドライブ用転動体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や産業機械などの動力伝達装置において、入力側からの回転をトラクションドライブにより無段で変速して出力側に伝達するのに利用されるトラクションドライブ型無段変速機に関するものであり、さらに詳しくは、トラクションオイルを介在させて用いられるトラクションドライブ用転動体に関し、トラクション特性に優れた転動面の表面性状を有するトラクションドライブ用転動体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無段変速機は、動力伝達性に優れ、また、変速ショックがないことから、多方面で研究されている。この中で、大きな動力を伝達する目的で、トラクションオイルを介して転動面同士で動力を伝達する方式(トラクションドライブ方式:転がり方式)のものが研究されている。
【0003】
このトラクションオイルを介して転動面同士で動力を伝達するトラクションドライブ方式は、高出力エンジンに対応できる機構を有している。トラクションドライブ無段変速機1の基本構成は、例えば図1に示すように、トラクションオイルを介して接触する金属製転動体、すなわち、2枚のディスク(入力軸2に固定した入力ディスク3および出力軸4に固定した出力ディスク5)に挟まれたパワーローラ6のローラ軸の傾きを変化させ、パワーローラ6を介してディスク3,5の接触半径を変えて変速させることにより動力を無段変速で伝達する仕組みになっている。
【0004】
このトラクションドライブ方式の無段変速機の一例として、ハーフトロイダル型無段変速機やフルトロイダル型無段変速機がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなトラクションドライブ方式に用いられる転動体(入力ディスク3,出力ディスク5,パワーローラ6)は、高温高面圧下において優れたトラクション特性と高い転動疲労寿命特性を有していることが要求される。また、将来の環境への負荷を考え、さらなる燃費向上のため、車両重量を軽くする必要があり、このためには、ユニットサイズを小型化し、かつまた、同じサイズのユニットでは伝達できる動力を大きくする必要があるという課題があった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の課題に鑑みて成されたものであって、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わるトラクションドライブ用転動体は、請求項1に記載しているように、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、転動体の転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を有し、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)、油溜り深さ率が0.9〜2.0であることを特徴としている。
【0009】
そして、請求項2に記載しているように、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%としたことを特徴としている。
【0010】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項3に記載しているように、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四方あたりに10個〜30個であることを特徴としている。
【0011】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項4に記載しているように、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmであることを特徴としている。
【0012】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項5に記載しているように、転動面の表面硬さが、850Hv以上であることを特徴としている。
【0013】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項6に記載しているように、転動面が、ショットピーニングにより形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとしたことを特徴としている。
【0014】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項7に記載しているように、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝と平坦部の組合わせとし、より望ましくは転がり方向と平行に存在する連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが0.1μm〜1.0μmであることを特徴としている。
【0015】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項8に記載しているように、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さで0.2μm〜0.9μmであることを特徴としている。
【0016】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項9に記載しているように、転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長径の半分との比が0.08以下であることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体は、請求項10に記載しているように、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、表面粗さ計により測定される断面曲線が凹部と凸部を交互に配列した形状であると共に、断面曲線の中心線よりも上側の凸部の形状が、台形状、角が丸みを帯びた台形状、角に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいずれかであることを特徴としている。
【0018】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項11に記載しているように、凹部と凸部の高低差が0.5〜2.5μmであることを特徴としている。
【0019】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項12に記載しているように、凹部と凸部の高低差が2.5〜2.5μmであることを特徴としている。
【0020】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項13に記載しているように、凹部と凸部の高低差が0.8〜1.2μmであることを特徴としている。
【0021】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項14に記載しているように、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が15〜60%であることを特徴としている。
【0022】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項15に記載しているように、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が25〜40%であることを特徴としている。
【0023】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項16に記載しているように、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が27〜35%であることを特徴としている。
【0024】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項17に記載しているように、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が30〜57%であることを特徴としている。
【0025】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項18に記載しているように、凹部のピッチが10〜150μmであることを特徴としている。
【0026】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項19に記載しているように、凹部のピッチが40〜120μmであることを特徴としている。
【0027】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項20に記載しているように、凸部の頂上部の表面粗さがRz100nm以下であることを特徴としている。
【0028】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項21に記載しているように、凸部の頂上部の表面粗さがRz40nm以下であることを特徴としている。
【0029】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項22に記載しているように、断面曲線の中心線において、凹部の長さが10〜40μmであることを特徴としている。
【0030】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項23に記載しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する直径に対し、凹部のピッチが1.2〜9%であることを特徴としている。
【0031】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項24に記載しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する直径に対し、凹部のピッチが2.4〜6%であることを特徴としている。
【0032】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項25に記載しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する直径に対し、凹部の長さが0.6〜2%であることを特徴としている。
【0033】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項26に記載しているように、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向と平行な直径に対し、凹部の長さが0.8〜3.2%であることを特徴としている。
【0034】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項27に記載しているように、凹部が当該転動体の転動方向とほぼ平行に形成した溝であることを特徴としている。
【0035】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項28に記載しているように、凹部が当該転動体の転動方向に沿って螺旋状に形成してあることを特徴としている。
【0036】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項29に記載しているように、凹部が少なくともヘルツ接触楕円の短径の長さよりも長く連続していることを特徴としている。
【0037】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項30に記載しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.1mm以上であることを特徴としている。
【0038】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項31に記載しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜170mmであることを特徴としている。
【0039】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項32に記載しているように、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜10mmであることを特徴としている。
【0040】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項33に記載しているように、駆動側および従動側の一方の転動体の転動面が、請求項10〜24のいずれかに記載の凹部と凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転動面が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下であることを特徴としている。
【0041】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項34に記載しているように、材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されることを特徴としている。
【0042】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の実施態様においては、請求項35に記載しているように、転動体は、円環凹面形状を成す転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロイダル型無段変速機の構成要素となることを特徴としている。
【0043】
さらに、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項36に記載しているように、請求項10〜35のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動面に深さ10μm以下の凹部を等間隔で形成して凹部と凸部を交互に形成したのち、凹凸の高低差が0.5〜2.5μmになるまで凸部を除去加工することを特徴としている。
【0044】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項37に記載しているように、請求項10〜36のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動面を表面粗さRz100nm以下となる状態に形成したのち、深さ0.5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成して凹部および凸部を交互に形成することを特徴としている。
【0045】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項38に記載しているように、切削加工、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工の少なくとも1つの加工により凹部を形成し、超仕上げ加工、ラッピング加工、切削加工、研削加工および電解研磨加工の少なくとも1つの加工により凸部を形成することを特徴としている。
【0046】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項39に記載しているように、ショットピーニング、研削加工および切削加工の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面に形成することを特徴としている。
【0047】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項40に記載しているように、先端が単一R、台形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する形状であり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる初期工具形状を有する工具を用いて凹部を形成することを特徴としている。
【0048】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項41に記載しているように、先端形状がR0.2mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工により凹部を形成することを特徴としている。なお、工具としては、切削用あるいは研削用の工具が用いられ、CBN工具、ダイヤモンド工具、TiN等の被覆を施したコーティング工具などを用いることができる。
【0049】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項42に記載しているように、請求項10〜35のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、凹部と凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形成することを特徴としている。
【0050】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項43に記載しているように、平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工することを特徴としている。なお、固定砥粒工具としては、砥石やラッピングフィルムなどを用いることができる。
【0051】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項44に記載しているように、平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石を用いて凸部を加工することを特徴としている。なお、弾性砥石としては、ゴムと砥粒とを結合したものや、エポキシ、フェノールおよびPVA等の樹脂と砥粒とを結合したものなどが用いられる。
【0052】
同じく、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法は、請求項45に記載しているように、転動体を中心軸回りに回転させると共に、転動体と工具とを転動体の中心軸方向、中心軸に直交する方向、中心軸方向とこれに直交する方向とで構成される面における円弧方向の少なくとも1つの方向に相対的に移動させて転動体の転動面に凹部を螺旋状に形成することを特徴としている。
【0053】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体における動力伝達用の転動面に、駆動側と従動側の転動体の回転により形成される弾性流体潤滑(EHL;Elasto−Hydrodynamic Lubrication)状態の油膜厚さに比べて有意な大きさの凹凸を形成し、これにより、駆動側の転動体と従動側の転動体の間で発生するトラクション係数の向上を図ったものである。この凹凸を転動面に形成したことによりトラクション係数が向上するメカニズムは以下の2つと考えられる。
【0054】
(1)凹凸の凸部において局部的に油膜が薄くなり、剪断率γが増加する。この剪断率γは、駆動側の転動体の周速(m/s)をU1、従動側の転動体の周速(m/s)をU2、弾性流体潤滑における中央油膜厚さ(μm)をhcとしたとき、γ=(U1−U2)/hcで表される。
【0055】
つまり、剪断率γは、油膜厚さの逆数に比例するため、転動面に凹凸を形成することにより、平均的な剪断率が増加する。この剪断率の増加に伴ってトラクションオイルの粘性摩擦力が増加することによりトラクション係数が向上する。
【0056】
(2)転動面に凹凸を形成することにより、弾性流体潤滑油膜の内部で圧力の不均一が生じる(凸部の圧力が高くなる)。オイルの粘性ηは、αを圧力粘度指数、ηoを大気圧下の粘度、Pを接触部の圧力として、η=ηo・exp(α・P)のように表される。つまり、圧力Pの指数関数に比例することになるため、凹凸を形成することにより、平均的なオイルの粘度が増加することによりトラクション係数が向上する。
【0057】
そして、本発明の請求項1に係わるトラクションドライブ用転動体では、上記した構成を有するものであり、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)、油溜り深さ率が0.9〜2.0であるものとしたので、金属接触を小さく留めながら、大きなトラクション力を発生することが可能になり、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることとなる。
【0058】
なお、油溜り量Voおよび油溜り深さ率Kは、RVKを油溜り深さ(μm)、Mr2を負荷長さ率(油溜り負荷率:%)、RKを有効負荷粗さとして、以下の式で定義される(DIN EN ISO 13565−2による)。
Vo=(100−Mr2)×RVK/200000(mm3/mm2)
K=RVK/RK
【0059】
本発明の請求項2に係わるトラクションドライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%としたので、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることとなる。この場合、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率を5%よりも大きくすることにより、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、同面積率を40%よりも小さくすると金属接触の生じる確率が下がり、耐久性がより向上する。
【0060】
本発明の請求項3に係わるトラクションドライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四方あたりに10個〜30個であるものとすることにより、トラクション特性がより安定した優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることとなる。この場合、ディンプルの個数を100μm四方あたりで10個よりも多くすると、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、同個数を100μm四方あたりで30個よりも少なくすると金属接触の発生率が下がり、耐久性が向上する。
【0061】
本発明の請求項4に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmであるものとすることにより、トラクション特性により安定的に優れ、また、対摩耗性が良好になるため、長期にわたってトラクション特性に優れたものとなる。この場合、中心線平均粗さが0.07μmよりも大きい、あるいは最大高さが0.4μmよりも大きいと、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となる。また、中心線平均粗さが0.15μmよりも小さい、あるいは最大高さが1.0μmよりも小さい方が、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性も飛躍的に向上する。
【0062】
本発明の請求項5に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面の表面硬さが、850Hv以上であるものとすることにより、対摩耗性が良好になるため、長期にわたってトラクション特性に優れたものとなる。
【0063】
本発明の請求項6に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面が、ショットピーニングにより形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとしたものとすることにより、対摩耗性が良好でかつまたトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を容易に製造し得ることとなる。
【0064】
本発明の請求項7に係わるトラクションドライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが0.1μm〜1.0μmであるものとしたので、大きな動力の伝達が可能であり、トラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体が提供される。
【0065】
本発明の請求項8に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さで0.2μm〜0.9μmであるものとしたので、トラクション特性により安定的に優れ、また、対摩耗性が良好になるため、長期にわたってトラクション特性に優れたものとなる。この場合、中心線平均粗さが0.03μmよりも大きい、あるいは最大高さが0.2μmよりも大きいと、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となる。また、中心線平均粗さが0.13μmよりも小さい、あるいは最大高さが0.9μmよりも小さい方が、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0066】
本発明の請求項9に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長径の半分との比が0.08以下であるものとしたので、トラクション特性により一層優れるトラクションドライブ用転動体が提供されることとなる。
【0067】
本発明の請求項10に係わるトラクションドライブ用転動体では、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、表面粗さ計により測定される断面曲線(フィルターを通していないもの)が凹部と凸部を交互に配列した形状であって、断面曲線の中心線すなわち断面曲線を長さ方向に積分した平均的な高さに引かれる線よりも上側の凸部の形状が、台形状、角が丸みを帯びた台形状、角に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいずれかであるものとしたので、金属接触を小さく留めながら、大きなトラクション力を発生することが可能になり、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0068】
本発明の請求項11に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が0.5〜2.5μmであるものとしたので、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体が提供される。この場合、凹部と凸部の高低差が0.5μmよりも大きいと、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、凹部と凸部の高低差が2.5μmよりも小さい方が、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0069】
本発明の請求項12に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が2.0〜2.5μmであるものとしたので、高いトラクション特性がより安定した状態で得られることとなる。
【0070】
本発明の請求項13に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部と凸部の高低差が0.8〜1.2μmであるものとしたので、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低くして、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0071】
本発明の請求項14に係わるトラクションドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が15〜60%であるもの、すなわち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さを分子とした比が5.7から0.6であるものとしたので、大きなトラクション係数をより安定して発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凹部の割合を15%よりも大きくすると、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、凹部の割合を60%よりも小さくすると、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0072】
本発明の請求項15に係わるトラクションドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が25〜40%であるもの、すなわち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さを分子とした比が3.0から1.5であるものとしたので、高いトラクション特性がより安定した状態で得られることとなる。
【0073】
本発明の請求項16に係わるトラクションドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が27〜35%であるもの、すなわち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さを分子とした比が2.7から1.8であるものとしたので、高いトラクション特性がより一層安定した状態で得られることとなる。
【0074】
本発明の請求項17に係わるトラクションドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が30〜57%であるもの、すなわち中心線上での凹部の長さを分母とし且つ凸部の長さを分子とした比が2.3から0.8であるものとしたので、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低くして、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0075】
本発明の請求項18に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部のピッチが10〜150μmであるものとしたので、トラクション特性がより安定的で優れたものとなる。この場合、凹部のピッチを150μmよりも小さくすると、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、凹部のピッチを10μmよりも大きくすると、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0076】
本発明の請求項19に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部のピッチが40〜120μmであるものとしたので、高いトラクション特性がより一層安定した状態に得られることとなる。
【0077】
本発明の請求項20に係わるトラクションドライブ用転動体では、凸部の頂上部の表面粗さ(原子力間顕微鏡で測定した表面粗さ)がRz100nm以下であるものとしたので、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、表面粗さがRz100nmよりも小さいと、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0078】
本発明の請求項21に係わるトラクションドライブ用転動体では、凸部の頂上部の表面粗さがRz40nm以下であるものとしたので、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低くして、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0079】
本発明の請求項22に係わるトラクションドライブ用転動体では、断面曲線の中心線において、凹部の長さ(幅)が10〜40μmであるものとしたので、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凹部の長さを10μmよりも大きくすると、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となり、凹部の長さを40μmよりも小さくすると、金属接触が生じる確率が下がり、耐久性が飛躍的に向上する。
【0080】
本発明の請求項23に係わるトラクションドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが1.2〜9%であるものとしたので、大きなトラクション係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0081】
本発明の請求項24に係わるトラクションドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが2.4〜6%であるものとしたので、高いトラクション特性がより安定した状態で得られることとなる。
【0082】
本発明の請求項25に係わるトラクションドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部の長さが0.6〜2%であるものとしたので、大きなトラクション係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0083】
本発明の請求項26に係わるトラクションドライブ用転動体では、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向と平行な方向の直径に対し、凹部の長さが0.8〜3.2%であるものとしたので、大きなトラクション係数が安定的に発揮され、且つ金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0084】
本発明の請求項27に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部を当該転動体の転動方向とほぼ平行に形成した溝としたので、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凹部の方向を転動体の転動方向とほぼ平行にすることにより、トラクション特性が飛躍的に向上する結果となる。
【0085】
本発明の請求項28に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部が当該転動体の転動方向に沿って螺旋状に形成してあるものとしたので、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供され、また、凹部を連続的に形成することができるので、短時間で効率良く製造することが可能になる。
【0086】
本発明の請求項29に係わるトラクションドライブ用転動体では、凹部が少なくともヘルツ接触楕円の短径の長さよりも長く連続しているので、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凹部がヘルツ接触楕円の短径の長さよりも短いと、トラクション特性がさほど向上しない結果となる。
【0087】
本発明の請求項30に係わるトラクションドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.1mm以上であるものとしたので、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凸部の頂上部の曲率半径が0.1mmよりも小さいと、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りが懸念される。
【0088】
本発明の請求項31に係わるトラクションドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜170mmであるものとしたので、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低減して、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凸部の頂上部の曲率半径が170mmよりも大きいと、トラクション特性がさほど向上しない結果となる。
【0089】
本発明の請求項32に係わるトラクションドライブ用転動体では、表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜10mmであるものとしたので、金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念をより一層低減して、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。この場合、凸部の頂上部の曲率半径を10mm以下に限定することにより、トラクション特性が一層優れたトラクションドライブ転動体を提供することが可能となる。
【0090】
本発明の請求項33に係わるトラクションドライブ用転動体では、駆動側および従動側の一方の転動体の転動面が、請求項10〜24のいずれかに記載の凹部と凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転動面が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下であるものとしたので、大きなトラクション係数がより安定的に発揮され、且つ金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動体が提供されることになる。
【0091】
本発明の請求項34に係わるトラクションドライブ用転動体では、材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されるものとすることにより、対摩耗性が良好でかつまたトラクション特性にも優れていて、大きな動力の伝達が長期にわたって可能であるトラクションドライブ用転動体が提供されることとなる。
【0092】
本発明の請求項35に係わるトラクションドライブ用転動体では、転動体は、円環凹面形状を成す転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロイダル型無段変速機の構成要素となるものとすることにより、大きな動力の伝達が可能であり、しかも、ユニットサイズの小型化および軽量化ないしは単位容積および単位重量あたりの高出力化が可能であるハーフトロイダル型無段変速機またはフルトロイダル型無段変速機が提供されることとなる。
【0093】
本発明の請求項36に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、転動面に深さ10μm以下の凹部を等間隔で形成したのち、凹凸の高低差が0.5〜2.5μmになるまで凸部を除去加工することにより、請求項10〜27のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体となるように、凸部の形状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、中心線上での凹部のピッチおよび凸部の表面粗さ等が所定の値に形成される。
【0094】
本発明の請求項37に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、転動面を表面粗さRz100nm以下となる状態に形成したのち、深さ0.5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成するので、先に転動面形成した段階で未形成の凸部の頂部の表面粗さがRz100nm以下に形成されたことになり、その後の凹部の形成により、請求項10〜27のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体となるように、凸部の形状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、および中心線上での凹部のピッチ等が所定の値に形成される。
【0095】
本発明の請求項38に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、切削加工、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工の少なくとも1つの加工により凹部を形成し、超仕上げ加工、ラッピング加工、切削加工、研削加工および電解研磨加工の少なくとも1つの加工により凸部を形成することにより、凸部の形状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、中心線上での凹部のピッチおよび凸部の表面粗さ等が所定の値に形成され、凹凸の微細断面形状を高精度に形成し得ることとなる。
【0096】
本発明の請求項39に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、ショットピーニング、研削加工および切削加工の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面に形成することにより、凸部の形状、凹凸の高低差、中心線上での凹部の割合、中心線上での凹部のピッチおよび凸部の表面粗さ等が所定の値に形成され、凹凸の微細断面形状を高精度に且つ短時間で形成し得ることとなる。
【0097】
本発明の請求項40に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、先端が単一R、台形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する形状であり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる初期工具形状を有する工具を用いて凹部を形成することにより、とくに凹部が所定の値で高精度に形成される。
【0098】
本発明の請求項41に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、先端形状がR0.2mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工で凹部を形成することにより、とくに凹部が所定の値で高精度に形成される。
【0099】
本発明の請求項42に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、凹部と凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形成するので、1つの工具を使用して高低差が0.5〜2.5μmの凹部と凸部を短時間に形成し得ることとなる。
【0100】
本発明の請求項43に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工することにより、凸部の頂部の表面粗さがRz100nm以下、あるいはRz40nm以下に形成される。
【0101】
本発明の請求項44に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石を用いて凸部を加工することにより、凸部の頂部の表面粗さがRz100nm以下、あるいはRz40nm以下に形成される。
【0102】
本発明の請求項45に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法では、転動体を中心軸回りに回転させると共に、転動体と工具とを転動体の中心軸方向、中心軸に直交する方向、中心軸方向とこれに直交する方向とで構成される面における円弧方向の少なくとも1つの方向に相対的に移動させて転動体の転動面に凹部を螺旋状に形成することにより、凹部が転動方向に沿って連続的に且つ短時間で形成されることとなり、また、凹部形成後に研削を行う場合には、螺旋状の凹部により、砥粒や切り屑等の排出がスムーズに行われる。
【0103】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を設けたことにより、大きなトラクション力を発生することが可能になり、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができ、とくに、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)、油溜り深さ率が0.9〜2.0であるものとしたから、金属接触を小さく留めながら、大きなトラクション力を発生することが可能になり、転動疲労寿命を悪化させることなく、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0105】
本発明の請求項2に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1と同様の効果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%とするものとしたから、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0106】
本発明の請求項3に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1および2と同様の効果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四方あたりに10個〜30個であるものとすることによって、トラクション特性がより一層優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0107】
本発明の請求項4に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができ、とくに、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmであるものとすることにより、トラクション特性がより一層優れ、また、長期にわたってトラクション特性に優れるトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0108】
本発明の請求項5に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜4と同様の効果を得ることができ、とくに、転動面の表面硬さが、850Hv以上であるものとすることにより、対摩耗性が良好なものとなり、長期にわたってトラクション特性に優れるトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0109】
本発明の請求項6に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜5と同様の効果を得ることができ、とくに、転動面が、ショットピーニングにより形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとしたものとすることにより、対摩耗性が良好でかつまたトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を容易に大量生産することができるという優れた効果がもたらされる。
【0110】
本発明の請求項7に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1と同様の効果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが0.1μm〜1.0μmであるものとしたから、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0111】
本発明の請求項8に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項7と同様の効果を得ることができ、とくに、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さで0.2μm〜0.9μmであるものとしたから、トラクション特性がより一層優れ、また、長期にわたってトラクション特性に優れるトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0112】
本発明の請求項9に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜8と同様の効果を得ることができ、とくに、転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長径の半分との比が0.08以下であるものとしたので、トラクション特性により一層優れるトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0113】
本発明の請求項10に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1と同様の効果をえることができるうえに、とくに、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、表面粗さ計により測定される断面曲線を凹部と凸部を交互に配列した形状にし、断面曲線の中心線よりも上側の凸部の形状を、台形状、角が丸みを帯びた台形状、角に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいずれかとしたことにより、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0114】
本発明の請求項11に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を0.5〜2.5μmとしたことにより、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0115】
本発明の請求項12に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を2.0〜2.5μmとしたことにより、トラクション特性の低下をより確実に防止して、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0116】
本発明の請求項13に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部と凸部の高低差を0.8〜1.2μmとしたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0117】
本発明の請求項14に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項11〜13と同様の効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において全体に対する凹部の割合を15〜60%としたことにより、大きなトラクション係数をより安定して発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0118】
本発明の請求項15に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項11〜14と同様の効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において全体に対する凹部の割合を25〜40%としたことにより、高いトラクション特性をより安定した状態で得ることができる。
【0119】
本発明の請求項16に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項15と同様の効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において全体に対する凹部の割合を27〜35%としたことにより、高いトラクション特性をより一層安定した状態で得ることができる。
【0120】
本発明の請求項17に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜14と同様の効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において全体に対する凹部の割合が30〜57%としたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0121】
本発明の請求項18に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜16と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部のピッチを10〜150μmとしたことにより、トラクション特性がより安定的で優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0122】
本発明の請求項19に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項18と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部のピッチを40〜120μmとしたことにより、高いトラクション特性をより一層安定した状態で得ることができる。
【0123】
本発明の請求項20に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜19と同様の効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の表面粗さをRz100nm以下としたことにより、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0124】
本発明の請求項21に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜20と同様の効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の表面粗さをRz40nm以下としたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0125】
本発明の請求項22に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜21と同様の効果を得ることができ、とくに、断面曲線の中心線において凹部の長さを10〜40μmとしたことにより、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0126】
本発明の請求項23に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜22と同様の効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチを1.2〜9%としたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0127】
本発明の請求項24に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜22と同様の効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチを2.4〜6%としたことにより、高いトラクション特性をより一層安定した状態で得ることができる。
【0128】
本発明の請求項25に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜24と同様の効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部の長さを0.6〜2%としたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0129】
本発明の請求項26に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜25と同様の効果を得ることができ、とくに、最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向と平行な方向の直径に対し、凹部の長さを0.8〜3.2%としたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、トラクション特性により優れたトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0130】
本発明の請求項27に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜18と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部を当該転動体の転動方向とほぼ平行な溝に形成したことにより、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0131】
本発明の請求項28に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項19と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部を当該転動体の転動方向に沿って螺旋状に形成したことにより、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができると共に、凹部および凸部を短時間で効率良く製造することができる。
【0132】
本発明の請求項29に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜20と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部を少なくともヘルツ接触楕円の短径の長さよりも長く連続させたことにより、大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0133】
本発明の請求項30に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜21と同様の効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半径を0.1mm以上としたことにより、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0134】
本発明の請求項31に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜21と同様の効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半径を0.8〜170mmとしたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0135】
本発明の請求項32に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜21と同様の効果を得ることができ、とくに、凸部の頂上部の曲率半径を0.8〜10mmとしたことにより、金属接触が生じることによる耐久性の低下をより確実に防止して、より大きなトラクション係数を発揮できるトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0136】
本発明の請求項33に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項10〜24と同様の効果を得ることができ、とくに、駆動側および従動側の一方の転動体の転動面を請求項10〜24のいずれかに記載の凹部と凸部から成る表面形状とし、他方の転動体の転動面を、中心線平均粗さでRa0.06μm以下としたことにより、大きなトラクション係数をより安定的に発揮することができ、且つ金属接触が生じることによる耐久性への跳ね返りの懸念が少ないトラクションドライブ用転動体を提供することができる。
【0137】
本発明の請求項34に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜33と同様の効果を得ることができ、とくに、材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されるものとすることにより、対摩耗性が良好でかつまたトラクション特性にも優れていて、大きな動力の伝達が長期にわたって可能であるトラクションドライブ用転動体を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0138】
本発明の請求項35に係わるトラクションドライブ用転動体によれば、請求項1〜34と同様の効果を得ることができ、とくに、転動体は、円環凹面形状を成す転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロイダル型無段変速機の構成要素となるものとすることにより、大きな動力の伝達が可能であり、しかも、ユニットサイズの小型化および軽量化ないしは単位容積および単位重量あたりの高出力化が可能であるハーフトロイダル型無段変速機またはフルトロイダル型無段変速機を提供することができるという優れた効果がもたらされる。
【0139】
本発明の請求項36に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項10〜35のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、表面の凹凸の微細断面形状を高精度に且つ簡単に形成することができる。
【0140】
本発明の請求項37に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項10〜36のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、表面の凹凸の微細断面形状を高精度に且つ簡単に形成することができる。
【0141】
本発明の請求項38に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36および37と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部の加工手段および凸部の加工手段を各々選択することにより、表面の凹凸の様々な設定に応じて高精度な微細断面形状を形成することができる。
【0142】
本発明の請求項39に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36および37と同様の効果を得ることができ、とくに、ショットピーニング、研削加工および切削加工の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面に形成することにより、ラッピングや鏡面研磨を行う場合に比べて加工時間の短縮が可能になり、低コスト化等を実現することができると共に、加工時の表面に生じた圧縮残留応力と加工硬化により耐久性の向上を図ることができ、さらに、例えばラッピングによる平坦部の加工に比べて平坦部の角が丸く形成されるので、エッジによる相手面への攻撃性が大幅に緩和され、耐久性のさらなる向上を実現することができる。
【0143】
本発明の請求項40に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36〜38と同様の効果を得ることができ、とくに、先端が単一R、台形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する形状であり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる初期工具形状を有する工具を用いて凹部を形成することにより、とくに凹部を所定の値で高精度に形成することができる。
【0144】
本発明の請求項41に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36〜40と同様の効果を得ることができ、とくに、先端形状がR0.2mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工で凹部を形成することにより、とくに凹部を所定の値で高精度に形成することができる。
【0145】
本発明の請求項42に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項10〜35のいずれかに記載の転動体を製造するに際し、凹部と凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形成することから、1つの工具を使用して高低差が0.5〜2.5μmの凹部と凸部を高精度に且つ短時間で効率良く形成することができる。
【0146】
本発明の請求項43に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36〜42と同様の効果を得ることができ、とくに、平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工することから、凸部の頂部の表面粗さをRz100nm以下あるいはRz40nm以下とする高精度な加工を行うことができる。
【0147】
本発明の請求項44に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36〜42と同様の効果を得ることができ、とくに、平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石を用いて凸部を加工することから、凸部の頂部の表面粗さをRz100nm以下あるいはRz40nm以下とする高精度な加工を行うことができる。
【0148】
本発明の請求項45に係わるトラクションドライブ用転動体の製造方法によれば、請求項36〜44と同様の効果を得ることができ、とくに、凹部および凸部を転動方向に沿って連続的に且つ短時間で効率良く形成することができると共に、凹部の形成後に研削を行う場合には、砥粒や切り屑等の排出をスムーズにして、常に切れ味の良い状態での研削を可能にし、仕上げ加工を効率良く行うことができる。
【0149】
【実施例】
以下、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体について、実施例および比較例により、さらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
【0150】
この実施例では、図2に示す2円筒転がり試験機を用いて転動体(試験片)の転がりすべり試験を実施した。図2に示す2円筒転がり試験機21は、一方の転動体(試験片)24を支える従軸25と、他方の転動体(試験片)22を支える主軸23を備え、主軸23にはトルクセンサ26が設けられていると共に、サーボモータ27のモータ軸27aとの間に主軸タイミングベルト28を掛け渡したものとなっている。
【0151】
また、従軸25は軸受29を介して軸方向と直交する方向に移動するスライドベース34に固定されていると共に、サーボモータ30のモータ軸30aとの間に従軸タイミングベルト31を掛け渡し、これらもスライドベース34に固定されていて、このスライドベース34をエアシリンダ32で加圧することにより両転動体(試験片)24,22が接触して転動するようになっている。
【0152】
そして、他方の転動体(試験片)22側の動力伝達系(主軸23)に設けたトルクセンサ26によって、主軸23に発生するトルクを測定することによりトラクション係数を算出することができるものとしている。
【0153】
また、この実施例での試験は、スリップ率:0〜5%、平均回転速度:5.2m/s、平均軸回転数:500rpm(主軸23と従軸25の回転数の和が1000rpm)とし、主軸23と従軸25に均等に差動を与えて回転速度を一定にした。
【0154】
さらに、一方の転動体(試験片)24および他方の転動体(試験片)22の転動は、100℃に設定したトラクションオイル(日産純正エクストロイドCVTオイルKTF−1)のオイルバス(油浴)33中で行い、エアシリンダ32の加圧により発生する垂直荷重を147Nとした。この実施例では、スリップ率:5%でのトラクション係数を算出した。
【0155】
以下、実施例1〜10および比較例1について説明する。
【0156】
(実施例1)
一方の転動体(試験片)24については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、外周の転動面がフラットな円筒形状とした。この転動体(試験片)24には、転動面に研削および超仕上げを行ってから、空気圧ショットピーニング機において、硬さ750Hv、平均粒径0.05mmの鋼球を投射材とし、エア圧0.5MPaにて転動面にショットピーニングを施した。この際、転動面全体に対してほぼ均一の投射量となるように、転動体(試験片)24を回転させながら、投射ノズルを転動体(試験片)24の回転軸の方向に揺動させた。なお、投射時間は20secとした。このショットピーニングによって転動面にランダムな凹凸形状を形成した。このショットピーニング処理の後、転動面にテープラップを施すことにより、凹凸の凸部を削り落とし、表面微細形状を『ディンプルと平坦部の組合わせ』とした。そして、転動面の表面を測定した結果、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は38%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は28個であった。また、転動面の中心線平均粗さRaは0.121μmであり、最大高さRyは0.780μmであった。
【0157】
他方の転動体(試験片)22については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=700mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さRaを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに仕上げた。
【0158】
上記の一方の転動体(試験片)24と他方の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験機21に取付けて転がりすべり試験を行い、スリップ率5%での実施例1のトラクション係数を算出した。このときのヘルツ接触楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が0.18mm、転動方向と垂直な方向の長さ(長径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPaである。
【0159】
(実施例2)
両転動体(試験片)24,22は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は27%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は22個である。また、中心線平均粗さRaは0.087μmであり、最大高さRyは0.507μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.012μmであり、最大高さRyは0.093μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例2のトラクション係数を算出した。
【0160】
(実施例3)
両転動体(試験片)24,22は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は18%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は16個である。また、中心線平均粗さRaは0.093μmであり、最大高さRyは0.502μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.015μmであり、最大高さRyは0.100μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例3のトラクション係数を算出した。
【0161】
(実施例4)
両転動体(試験片)24,22は、製造方法は実施例1と同じであるが、製造条件を変更した結果、実施例1とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は6%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は11個である。また、中心線平均粗さRaは0.076μmであり、最大高さRyは0.406μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.016μmであり、最大高さRyは0.118μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例4のトラクション係数を算出した。
【0162】
(実施例5)
一方の転動体(試験片)24については、実施例2におけるテープラップ工程をラッピングに変更した。狙い値は実施例2と同じである。また、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例2と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は22%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は19個である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmであり、最大高さRyは0.552μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.014μmであり、最大高さRyは0.110μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例5のトラクション係数を算出した。
【0163】
(実施例6)
一方の転動体(試験片)24については、実施例2におけるテープラップ工程を鏡面研磨に変更した。狙い値は実施例2と同じである。また、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例2と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は25%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は20個である。また、中心線平均粗さRaは0.081μmであり、最大高さRyは0.473μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.013μmであり、最大高さRyは0.095μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例6のトラクション係数を算出した。
【0164】
(実施例7)
一方の転動体(試験片)24については、実施例2における浸炭焼入れ焼戻しの熱処理を浸炭窒化焼入れ焼戻しに変更した他は実施例2と同じ狙い値である。また、他方の転動体(試験片)22の材料および製造方法は実施例2と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は20%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は17個である。また、中心線平均粗さRaは0.088μmであり、最大高さRyは0.522μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.018μmであり、最大高さRyは0.099μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例7のトラクション係数を算出した。
【0165】
(実施例8)
一方の転動体(試験片)24については、実施例2におけるJIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材および熱処理の組合わせをJIS SUJ2焼入れ焼戻しに変更した他は実施例2と同じ狙い値である。また、他方の転動体(試験片)22の材料および製造方法は実施例2と同じである。そして、実施例2とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は23%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は22個である。また、中心線平均粗さRaは0.073μmであり、最大高さRyは0.472μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.017μmであり、最大高さRyは0.104μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例8のトラクション係数を算出した。
【0166】
(実施例9)
一方の転動体(試験片)24については、実施例8における熱処理を浸炭窒化焼入れ焼戻しに変更した他は実施例8と同じ狙い値である。また、他方の転動体(試験片)22の製造方法は実施例1と同じである。そして、実施例8とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は27%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は27個である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmであり、最大高さRyは0.634μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.018μmであり、最大高さRyは0.110μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例9のトラクション係数を算出した。
【0167】
(実施例10)
一方の転動体(試験片)24については、材料、製造方法および狙い値は実施例2と同じである。他方の転動体(試験片)22についても、一方の転動体(試験片)24と同様の材料、製造方法および狙い値とし、転動面をディンプルと平坦部の組合わせとした。そして、実施例1とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は21%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は22個である。また、中心線平均粗さRaは0.095μmであり、最大高さRyは0.487μmである。他方の転動体(試験片)22の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は22%であり、ディンプルの100μm四方あたりの個数は20個である。また、中心線平均粗さRaは0.087μmであり、最大高さRyは0.514μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、実施例10のトラクション係数を算出した。
【0168】
(比較例1)
各実施例とは異なり、両転動体(試験片)24,22の転動面を共に平滑な超仕上げとし、ディンプルは形成しなかった。一方の転動体(試験片)24の転動面における中心線平均粗さRaは0.018μmであり、最大高さRyは0.102μmである。他方の転動体(試験片)22における転動面の中心線平均粗さRaは0.021μmであり、最大高さRyは0.120μmである。その他は実施例1と同様にして試験を行い、比較例1のトラクション係数を算出した。
【0169】
(評価例)
上記の実施例1〜10および比較例1のフラット試験片の仕様を表1に、クラウニング試験片の仕様を表2にまとめて示すと共に、これらの実施例および比較例で得られたスリップ率5%におけるトラクション係数より、それぞれの実施例のトラクション係数の比較例に対する比を表3に示す。
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
【表3】
【0173】
表3に示した結果から明らかなように、実施例1〜10においては、転動体24,22の両方もしくは一方について、転動面の表面微細形状を『ディンプルと平坦部の組合わせ』とし、そのディンプルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%とし、ディンプルを転動面全体にわたってほぼ均一となるように分布させ、且つ転動面のディンプルは互いに独立し且つ平坦部は連続しているようにし、また、転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が100μm四方あたりに10個〜30個の範囲にあるようにし、さらに、転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmであるようにしたため、良好なトラクション係数を示した。
【0174】
これに対して比較例1では、両方の転動体の転動面が平坦な面となるように超仕上げを施していたため、実施例1〜10のいずれよりも低いトラクション係数を示した。
【0175】
次に、実施例11〜17および比較例2〜6について説明する。
【0176】
(実施例11)
一方の転動体(試験片)24については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、外周の転動面がフラットな円筒形状とした。この転動体(試験片)24には、転動面に研削および超仕上げを行ってから、空気圧ショットピーニング機において、硬さ750Hv、平均粒径0.05mmの鋼球を投射材とし、エア圧5kg/cm2にて転動面にショットピーニングを施した。この際、転動面全体に対してほぼ均一の投射量となるように、転動体(試験片)24を回転させながら、投射ノズルを転動体(試験片)24の回転軸の方向に揺動させた。なお、投射時間は20secとした。このショットピーニングによって転動面にランダムな凹凸形状を形成した。このショットピーニング処理の後、転動面にテープラップを施すことにより、凹凸の凸部を削り落とし、表面微細形状を『ディンプルと平坦部の組合わせ』とした。そして、転動面の表面を触針式の粗さ計を用いて、カットオフ0.08、測定長さ0.4mmで測定した。また、ディンプルの面積率は画像解析により求めた。その結果、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は38%であり、中心線平均粗さRaは0.121μmであり、最大高さRyは0.780μmであった。
【0177】
他方の転動体(試験片)22については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=700mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さRaを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに仕上げた。
【0178】
上記の一方の転動体(試験片)24と他方の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験機21に取付けて、実施例1のときと同じ試験条件で転がりすべり試験を行い、オイルはKFT−1を100℃であり、スリップ率5%での実施例11のトラクション係数および油膜形成率を算出した。このときのヘルツ楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が0.18mm、転動方向に垂直な長さ(長径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPaである。
【0179】
(実施例12)
両転動体(試験片)24,22は、製造方法は実施例11と同じであるが、製造条件を変更した結果、実施例11とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルが占める面積率は30%であり、中心線平均粗さRaは0.087μmであり、最大高さRyは0.507μmである。他方の転動体(試験片)22は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、実施例12のトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0180】
(実施例13)
一方の転動体(試験片)24については、研削仕上げ工程までは実施例11と同様であり、その後、先端Rが200μmの焼結体立方晶窒化ホウ素(c−BN)工具を用いて、切削速度250m/min、送り0.05mm/rev、片肉切込み量0.003mmの条件で超精密切削を行った。その後、テープラップを施すことにより表面粗さの凸部を削り落とし、表面微細形状を『連続溝と平坦部の組合わせ』とした。このように作製した転動体(試験片)24の転動面において、連続溝の面積率は25%であり、中心線平均粗さRaは0.034μmであり、最大高さRyは0.241μmである。他方の転動体(試験片)22は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、実施例13のトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0181】
(実施例14)
両転動体(試験片)24,22は、製造方法は実施例13と同じであるが、テープラップ条件を変更した結果、実施例11とは次の点が異なるものとなった。一方の転動体(試験片)24の転動面において、連続溝の面積率は10%であり、中心線平均粗さRaは0.084μmであり、最大高さRyは0.880μmである。他方の転動体(試験片)22は、実施例11と同様のものを用いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、実施例14のトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0182】
(実施例15〜17および比較例2,4〜6)
一方の転動体(試験片)24は、実施例11における超仕上げで加工を終了した。なお、研削工程における研削傷を超仕上げ加工により取り除くが、その超仕上げ加工条件(主に時間)を制御することにより実施例12と同じになる。そして、実施例12と異なる点は、実施例15において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.026μmであり、最大高さRyは0.180μmである。実施例16において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.020μmであり、最大高さRyは0.134μmである。実施例17において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.033μmであり、最大高さRyは0.313μmである。また、比較例2において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.017μmであり、最大高さRyは0.102μmである。比較例4において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.033μmであり、最大高さRyは0.275μmである。比較例5において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.068μmであり、最大高さRyは0.203μmである。比較例6において、一方の転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.054μmであり、最大高さRyは0.313μmである。
【0183】
他方の転動体(試験片)22は、実施例11と同じものを用いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、実施例15〜17および比較例2,4〜6のそれぞれのトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0184】
(比較例3)
一方の転動体(試験片)24は、実施例11におけるショットピーニング工程で終了したものを使用した。このように作製した転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaは0.125μmであり、最大高さRyは0.686μmである。他方の転動体(試験片)22は、実施例11と同じものを用いた。その他は実施例11と同様にして試験を行い、比較例3のトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0185】
(評価例)
上記の実施例11〜17および比較例2〜6のフラット試験片の仕様を表4に、クラウニング試験片の仕様を表5にまとめて示す。
【0186】
【表4】
【0187】
【表5】
【0188】
表4から明らかなように、実施例11〜17は、転動面の表面微細形状における表面形状パラメータ(DIN4776特殊負荷曲線パラメータ)記載の油溜り量Voが7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)の範囲であり、油溜り深さ率Kが0.9〜2.0の範囲であって、良好なトラクション係数を示した。
【0189】
また、実施例11〜14から明らかなように、転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせあるいは連続溝と平坦部の組合わせとしたことにより、金属接触を小さく留めながらトラクション係数を向上できることが判明した。
さらに、実施例13および14から明らかなように、DIN4776特殊負荷曲線パラメータ記載の凹凸の平均間隔Smと接触楕円長径の半分aとの比Sm/aを0.08以下とすることにより、さらにトラクション係数が向上することが判明した。
【0190】
これらに対して、比較例2〜6は、油溜り量Voが7×10−6(mm3/mm2)未満であり、油溜り深さ率Kが0.9未満であって、実施例11〜17よりも低いトラクション係数を示した。
【0191】
次に、実施例18〜24および比較例7について説明する。
【0192】
(実施例18〜24)
一方の転動体(試験片)24については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、外周の転動面がフラットな円筒形状とした。この転動体(試験片)24には、転動面に研削および超仕上げを行った後、先端Rが200μmの焼結体立方晶窒化ホウ素(c−BN)工具を用いて、切削速度250m/min、送り0,01〜0.03mm/rev、半径切込み量0.003mmの条件で超精密切削を行った。その後、テープラップを施すことにより表面粗さの凸部を削り落とし、表面微細形状を『転がり方向と平行な連続溝と平坦部の組合わせ』とした。このように作製した転動体(試験片)24の転動面において、連続溝の面積率、中心線平均粗さRaおよび最大高さRyは表6に示す通りである。
【0193】
他方の転動体(試験片)22については、JIS SCM420H鋼の浸炭焼入れ焼戻し材を使用し、直径40mm、厚さ20mmで、転動面がR=700mmのクラウニング形状を成すようにし、転動面に研削および超仕上げを行って、転動面の中心線平均粗さRaを0.021μm、最大高さRyを0.155μmに仕上げた。
【0194】
上記の一方の転動体(試験片)24と他方の転動体(試験片)22を図2に示す2円筒転がり試験機21に取付けて、実施例1と同じ試験条件にて転がりすべり試験を行い、スリップ率5%での実施例18〜24のトラクション係数および油膜形成率を算出した。このときのヘルツ楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が0.18mm、転動方向に垂直な長さ(長径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPaである。
【0195】
(比較例7)
一方の転動体(試験片)24は、実施例18における超仕上げ加工で加工を終了した。この転動体(試験片)24の転動面の中心線平均粗さRaおよび最大高さRyは表7に示す通りである。他方の転動体(試験片)22は、実施例18と同一のものを用いた。その他は実施例18〜24と同様にして試験を行い、比較例7のトラクション係数および油膜形成率を算出した。
【0196】
【表6】
【0197】
【表7】
【0198】
表6に示した結果から明らかなように、実施例18〜24は、転動面の表面微細形状を転がり方向と平行に存在する連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅を2μm〜10μm、溝間隔を10μm〜30μm、溝深さを0.1μm〜1.0μmとしたことにより、油溜り量Voが7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)の範囲であり、油溜り深さ率Kが0.9〜2.0の範囲であって、良好なトラクション係数を示した。
【0199】
また、転動面の表面粗さをJIS B0601−1994記載の中心線平均粗さRaで0.03μm〜0.13μmとし、あるいは最大高さRyで0.2μm〜0.9μmとしたことにより、さらにトラクション係数が向上すると共に、効果が時持続するということが明らかになった。
【0200】
これに対して、比較例7は、転動面の表面微細形状が不連続な溝であり、且つ表7に示すように油溜り量Voが7×10−6(mm3/mm2)未満であると共に、油溜り深さ率Kが0.9未満であって、実施例18〜24よりも低いトラクション係数を示した。
【0201】
(実施例25〜35,比較例8〜11)
この実施例では、図2に示す2円筒転がり試験機を用いて転動体(試験片)の転がりすべり試験を実施した。なお、2円筒転がり試験機21の構造は、先述の通りであり、詳細な説明は省略する。また、この実施例での試験は、スリップ率:0〜5%、平均回転速度:1.1,5.2m/s、平均軸回転数:500rpm,2500rpm(主軸23と従軸25の回転数の和が1000rpm,5000rpm)とし、主軸23と従軸25に均等に差動を与えて回転速度を一定にした。
【0202】
さらに、両転動体(試験片)22,24の転動は、100℃に設定したトラクションオイルのオイルバス(油浴)33中で行い、エアシリンダ32の加圧により発生する垂直荷重を150Nとした。そして、この実施例では、スリップ率:5%でのトラクション係数を算出した。
【0203】
一方の転動体(試験片)24は、直径40mm、厚さ20mmであり、転動面がフラットな円筒形状とした。素材として、SCr420鋼、SCM420鋼を浸炭焼入れ焼戻ししたもの、浸炭窒化焼入れ焼戻ししたもの、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたもの、浸炭窒化焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削したのち、多結晶CBN工具を用いて凹部を切削加工し、この際、凹部を等間隔で且つ転動方向に沿って形成し、その後、テープラップにて凸部を削り落として所望の形状を得た。
【0204】
他方の転動体(試験片)22は、直径40mm、厚さ20mmであると共に、転動面がR700mmのクラウニング形状を成すようにした。素材として、JIS−SUJ2鋼の焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削したのち、テープラップによって転動面の中心線平均粗さを0.01μm、最大高さをRy0.1μmに仕上げた。
【0205】
一方の転動体24について、実施例25〜35の粗さ断面曲線を図3〜図13に示し、比較例8〜11の粗さ断面曲線を図14〜図17に示す。また、実施例25〜35および比較例8〜11に用いた他方の転動体22の粗さ断面曲線を図18に示す。
【0206】
(比較例12)
一方の転動体24は、直径40mm、厚さ20mmであり、転動面がフラットな円筒形状とした。素材として、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削したのち、超仕上げを施した。この粗さ断面曲線を図19に示す。
他方の転動体22は、直径40mm、厚さ20mmであると共に、転動面がR700mmのクラウニング形状を成すようにした。素材として、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削したのち、超仕上げを施した。この粗さ断面曲線を図20に示す。
【0207】
(評価例)
表8〜表10に、実施例25〜35および比較例8〜12の仕様、ならびに各例で得られたスリップ率5%におけるトラクション係数を示す。なお、ヘルツ楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が0.18mm、転動方向に垂直な長さ(長径)が2.8mm、ヘルツの最大面圧が0.53GPaである。
【0208】
【表8】
【0209】
【表9】
【0210】
【表10】
【0211】
表10から明らかなように、実施例25〜35では、良好なトラクション係数が得られた。これに対して、比較例8〜12では、実施例25〜35よりも低いトラクション係数であることが判明した。
【0212】
(実施例36〜39)
この実施例では、図32に示す4円筒転がり試験機を用いて転動体の転がりすべり試験を実施した。図示の4円筒転がり試験機は、回転軸51に支持された従動側転動体52の外周面に、互いに平行な3本の回転軸53a〜53cで個別に支持された3個の駆動側転動体54a〜54cを接触させ、3本の回転軸53a〜53cのうちの1本(53a)に加圧機構により負荷を加えることで、従動側転動体52の外周面に各駆動側転動体54a〜54cを圧接させる構造になっている。加圧機構は、3本の加圧用アーム55a〜55cをT型に配置して、各アーム55a〜55cを上下方向に揺動自在に保持し、直線状に配置した横2本のアーム55a,55bの外側の端部にウエイト56を吊り下げると共に、両アーム55a,55bの内側の端部同士を上下に重合させている。また、残る縦1本のアーム55cは、一端部を横のアーム55a,55bの重合部分の上側に重合すると共に、他端部を先の駆動側転動体54aの回転軸53aに設けた加圧部57に当接させている。
【0213】
4円筒転がり試験機は、加圧機構において、左右のウエイト56の重量を各アーム55a〜55cを介して加圧部57に作用させ、従動側転動体52の外周面に各駆動側転動体54a〜54cを圧接させるものとなっており、従動側転動体54の回転軸51に発生するトルクを測定することにより、トラクション係数を算出することができる。この実施例の試験では、回転速度:30m/s、軸回転数:10000rpm、スリップ率:0〜3%とし、従動側に作動を与えた。ヘルツ接触の最大面圧は2.82GPaであり、ヘルツ接触楕円の大きさは、転動方向と平行な長さ(短径)が1.3mm、転動方向と垂直な長さ(長径)が2.1mmであり、供給油温度150℃にて試験を行った。オイルは日産純正エクストロイドCVT用オイルKTF−1を用いた。
【0214】
従動側転動体52については、直径60mm、厚さ10mmで、外周の転動面がフラットな円筒形状とした。先の実施例25〜35と同様に、素材として、SCr420鋼、SCM鋼を浸炭焼入れ焼戻ししたもの、SCr420鋼、SCM鋼浸炭窒化焼入れ焼戻ししたもの、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたもの、SUJ2鋼を浸炭窒化焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削した後、多結晶C−BN工具を用いて凹部を切削加工し、テープラップにて凸部を削り落として所望の形状を得た。これらの実施例における転動面の粗さ断面曲線を図33〜図36に示す。
【0215】
駆動側転動体54a〜54cについては、直径60mm、厚さ10mmであると共に、転動面がR30mmのクラウニング形状を成すようにした。素材は、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削した後、テープラップによって転動面の中心線平均粗さRaを0.01μmに仕上げた。その粗さ断面曲線の一例を図37に示す。
【0216】
(実施例40および41)
従動側転動体52については、実施例39と同一の工程にて同一の形状を狙い、多結晶C−BN工具を用いて凹部を切削加工し、テープラップにて凸部を削り落した。その転動面の粗さ断面曲線の一例を図40に示す。また、駆動側転動体54a〜54cは、転動面を研削した後、超仕上げを施した。その転動面の粗さ断面曲線の一例を図41に示す。
【0217】
(比較例13)
従動側転動体52については、直径60mm、厚さ10mmで、外周の転動面がフラット円筒形状とした。素材は、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削した後、超仕上げを施した。その粗さ断面曲線の一例を図38に示す。また、駆動側転動体54a〜54cについては、直径60mm、厚さ10mmであると共に、転動面がR30mmのクラウニング形状を成すようにした。素材は、SUJ2鋼を焼入れ焼戻ししたものを用い、転動面を研削した後、超仕上げを施した。その粗さ断面曲線の一例を図39に示す。
【0218】
(評価例)
表11〜表13に実施例36〜41および比較例13の仕様ならびに各例で得られたすべり率1%および3%におけるトラクション係数を示す。
【0219】
【表11】
【0220】
【表12】
【0221】
【表13】
【0222】
表11〜表13から明らかなように、実施例36〜41では良好なトラクション係数が得られた。これに対して比較例13では、実施例36〜41よりも低いトラクション係数であることが判明した。
【0223】
(実施例42)
従動側転動体52については、転動面をスーパーフィニッシュで中心線平均粗さRaが0.8となるように加工し、転動面がフラットであるものとした。駆動側転動体54a〜54cについては、転動面をスーパーフィニッシュで中心線平均粗さRaが0.1〜0.12の範囲となるように加工した後、転動面にローラバーニッシュを施し、途中で何度か粗さを調べながらローラバーニッシュを繰り返して中心線平均粗さRaが0.02となるまで加工することにより、転動面がR5のクラウニング形状を成すものとした。
【0224】
そして、図32に示す4円筒転がり試験機を用いて上記転動体52,54a〜54cの転がりすべり試験を実施した。なお、試験条件として、平均面圧を0.71GPaとし、油温を150℃とし、周速を30m/sとし、すべり率を3%とした。その結果、従動側転動体52のトラクション係数は0.059であるのに対して、ローラバーニッシュを施した駆動側転動体54a〜54cのトラクション係数は0.08であり、ローラバーニッシュを施して転動面を滑らかに形成することでトラクション係数が向上することを確認した。
【0225】
また、上記転動体52,54a〜54cについて、図32に示す4円筒転がり試験機を用いて耐久試験を実施した。耐久状態として、平均面圧を3.51GPaとし、油温を120℃とし、周速を30m/sとし、すべり率を3%とした。その結果、スーパーフィニッシュのみとした従動側転動体の寿命に対して、ローラバーニッシュを施した駆動側転動体54a〜54cの寿命は1.4倍であることを確認した。
【0226】
図21〜図23は、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法の一実施例を説明する図である。
【0227】
図示の転動体11は、外周面を転動面とする円柱体である。この実施例では、図23(a)に示すように、転動体11の転動面に、深さDが10μm以下の凹部12を等間隔で形成することで、凹部12と凸部13を交互に形成する。すなわち、図21に示すように、転動体11の一端部を主軸台21のチャック21Aで回転可能に保持すると共に、転動体11の他端部を心押し台22のセンタ22で回転自在に保持する。そして、転動体11を中心軸回りに回転させると共に、切削用あるいは研削用の工具23を中心軸方向に一定速度で送ることにより、転動体11の外周面に凹部12を螺旋状に形成し、これにより凹部12と凸部13を等間隔で交互に形成する。この際、工具23には、鋭利な刃先先端(例えばR50μm)を有する多結晶CBN工具、ダイヤモンド工具あるいはTiN等の被覆を施したコーティング工具が用いられる。なお、図21では、凹部12および凸部13を大きく示しているが、実際には微細な凹凸形状である。また、図23中の破線は前加工面を示す。
【0228】
その後、転動体11には、図23(b)に示すように、凹凸の高低差Hが0.5〜2.5μm、より望ましくは0.8〜1.2μmもしくは2.0〜2.5μmとなるまで凸部13の除去加工が行われる。すなわち、図22に示すように、一対の送りローラ24,25の間に、粒径3μmの酸化アルミニウム粒子を有するラッピングフィルム26を張り渡し、このラッピングフィルム26に転動体11の外周面を接触させると共に、バックシュー27によりラッピングフィルム26を転動体11に押し付ける状態にする。そして、図中の矢印で示す如く、送りローラ24,25でラッピングフィルム26を一方向に送ると共に、転動体11を中心軸回りに回転させることにより、転動体11の表面における凸部13を研削する。
【0229】
このラッピングフィルム26による研削では、凸部13の頂上部を平坦に形成したり、凸部13の片側にクラウニング形状を形成したりすることができ、必要に応じてラッピングフィルム26の送り方向あるいは転動体11の回転方向を逆にすれば、凸部13のクラウニング形状などを適宜調整することができる。
【0230】
このようにして得られた転動体11は、凹部12および凸部13が当該転動体の転動方向、つまり円周方向に沿って連続的に形成されていて、表面に、高低差0.5〜2.5μmの凹部12と凸部13が等間隔で交互に形成されると共に、断面曲線の中心線すなわち断面曲線を長さ方向に積分した平均的な高さに引かれる線において、凹部12の割合が15〜60%の範囲となるように形成されている。さらに、凹部12のピッチPが10〜150μmとなるように形成され、中心線上での凹部12の長さ(幅)Wが10〜40μmとなるように形成され、凸部13の頂部の表面粗さがRz100nm以下、より望ましくはRz40nm以下となるように形成されている。これにより、転動体11は、従来の転動体つまり超仕上げ等により表面に加工痕をランダムに有する状態に形成された転動体に比べて、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたものとなっている。
【0231】
また、この実施例の場合には、先に凹部12が螺旋状に形成してあるので、後の研削の際に、砥粒の破砕や脱落、切り屑の排出がスムーズに行われ、常に切れ味の良い状態が確保されて効率良く加工を行うことができ、さらに、凹部の間隔の大小に左右されることなく、角に面取りを有する台形状の凸部13やクラウニング形状の凸部13などを精度良く形成することができる。
【0232】
図24および図25は、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法の他の実施例を説明する図である。
【0233】
この実施例では、図24に示すように、電解研磨加工により、転動体11の表面をその粗さがRz100nm以下、より望ましくはRz40nm以下となるように形成する。すなわち、主軸台21のチャック21Aと心押し台22のセンタ22Aにより回転可能に保持した転動体11を陽極側とし、砥石28を備えた陰極側の電解液供給部29から転動体11の外周面に電解液30を供給して、転動体11の外周面を鏡面加工する。この場合、転動体11の表面粗さは原子力間顕微鏡により測定される。このように、転動体11の外周面を形成することにより、この時点では未形成の凸部13の頂部が表面粗さRz100μm以下あるいはRz40nm以下に形成されることになる。
【0234】
その後、転動体11には、図25に示すように凹部12が形成される。すなわち、主軸台21のチャック21Aと心押し台22のセンタ22Aにより転動体11を回転軸回りに回転させながら、例えば刃先断面の両側に中心が異なる円弧形状を有する薄刃砥石31を用いて、凹部12と凸部13が所定の寸法関係となるように凹部12を等間隔に形成する。なお、図25においては、転動体11の周方向に連続する凹部12を中心軸方向に等間隔で形成する場合を示したが、凹部12を螺旋状に形成しても良い。このようにして、この実施例の場合も先の実施例と同様に、トラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体11が得られることになる。
【0235】
図26は、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法のさらに他の実施例を説明する図である。
【0236】
この実施例では、凹部12と凸部13に各々対応する切刃32A,32Bを有し且つ双方の切刃32A,32Bの段差Sが0.5〜2.5μmである工具32を用い、主軸台21のチャック21Aと心押し台22のセンタ22Aにより転動体11を回転軸回りに回転させながら、転動体11の外周面に凹部12と凸部13を同時に螺旋状に形成する。すなわち、この実施例の場合には、先の実施例と同様に、トラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体11が得られるうえに、所定の寸法関係を有する凹部12と凸部13を短時間で効率良く形成し得ることとなる。
【0237】
図27および図28は、本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法のさらに他の実施例を説明する図である。
【0238】
この実施例における転動体11は、周方向にわたって断面凹状の転動面を有するものであって、図27に示すように、一対の保持手段33,34により両側を回転可能に保持し、転動体11を回転軸回りに回転させながら、切削用あるいは研削用の工具35を用いて転動体11の転動面に凹部12を螺旋状に形成する。こののち、図28に示すように、同じく一対の保持手段33,34で転動体11を回転軸回りに回転させながら、平均砥粒径が12μmのフェノール系結合材を含む弾性砥石36で凸部13を超仕上げ加工する。この実施例にあっても先の各実施例と同様に、トラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体11が得られることとなる。
【0239】
なお、上記実施例以外に、凹部12は、ブラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工によっても形成することができると共に、凸部13は、切削加工や研削加工によっても形成することかでき、とくに、凸部13にあっては、平均砥粒径が9μm以下の砥石もしくはラッピングフィルムなどの固定砥粒工具を用いて加工することが可能であると共に、平均砥粒径が30μm以下で且つゴムで結合した弾性砥石あるいはエポキシやPVA等の樹脂で結合した弾性砥石を用いて加工することも可能である。
【0240】
さらに、図29〜図31は、転動体11の転動面に形成した凹部12および凸部13の形状例を示す図である。すなわち、各図において断面曲線の中心線Cよりも上側の凸部13の形状としては、図29(a)に示す台形状、図29(b)に示す角に丸みを帯びた台形状、図29(c)に示す楕円弧状または正弦波状、図30(a)に示す頂上部が丸みを帯びた三角形状にすることができる。なお、凹部12の底部の形状がとくに限定されることはなく、図30(b)に示すように微細な凹凸を有するものであっても何ら問題は無い。また、凸部13の形状としては、図31(a)に示す角に面取りを施した台形状、図31(b)に示すクラウニング形状にすることができ、図31(c)に示すように、ラッピングによって片側がクラウニング形状を成すものにすることもできる。
【0241】
そして、上記の凹凸形状において、凹12と凸部13の高低差Hを0.5〜2.5μmとし、望ましくは0.8〜1.2μmもしくは2.0〜2.5μmとし、中心線Cにおける凹部12の割合を15〜60%とし、望ましくは27〜35%とし、凹部12のピッチPを10〜150μmとし、凸部13の頂上部の表面粗さをRz100nm以下とし、望ましくは40nm以下とし、中心線Cでの凹部の長さ(幅)Wを10〜40μmとすることにより、大きな動力の伝達が可能であるトラクション特性に優れたトラクションドライブ用転動体11が得られることとなる。
【0242】
図42はトロイダル型無段変速機の全体構成を概略的に示す説明図である。図中の符号101は変速機入力軸、102はこれに同軸相対回転可能に設けた変速機出力軸を夫々示す。入力軸101に流体継手103を介して矢印a方向のエンジン動力を供給し、入力軸101上にこれと一体回転するよう前進入力ギア104および後進入力ギア105を設ける。
【0243】
入力軸101に対し平行な共通軸線上に配して2個の隣接する入力ディスク106,107と、出力ディスク108,109と、入力ディスク106,107間に介在させたドライブプレート110とを設ける。両出力ディスク108,109を軸111により一体結合し、この軸111上に回転自在に嵌合した中空軸112により両入力ディスク106,107を駆動結合する。ドライブプレート110は中空軸112上に回転自在に支持し、前進入力ギア104を噛み合うギア113を一体に有するものとする。ドライブプレート110と入力ディスク106,107との間を夫々周知にローディングカム114,115により駆動結合し、これらローディングカム114,115はギア104,113からドライブプレート110に達したエンジン動力を入力ディスク106,107に伝達し、これらディスクを中空軸112と共に矢印b方向に回転させる他、伝達トルクに応じたスラストを入力ディスク106,107に反する方向へ付与するものとする。
【0244】
対向するディスク106,108間および107,109間に夫々2個のパワーローラ116,117を介在させ、一方のパワーローラ116は入力ディスク106に付与された上記スラストによりディスク106,108間に狭圧して夫々の対向転動面106a,108aに摩擦係合させ、他方のパワーローラ117は入力ディスク107に付与された上記スラストによりディスク107,109間に狭圧して夫々の対向転動面107a,109aに摩擦係合させる。これにより、一方のパワーローラ116は軸線116aの周りに回転して入力ディスク106から出力ディスク108へ矢印cの如くに動力を伝達することができ、他方のパワーローラ117は軸線117aの周りに回転して入力ディスク107から出力ディスク109へ矢印cの如くに動力を伝達することができる。
【0245】
変速にあたっては、パワーローラ116,117を同期させて夫々の回転軸線116a,117aと直交する軸線116b,117bの周りに矢印で示す如く首振りさせるが、この首振りは特開昭58−160663号公報に示された如き変速装置により各パワーローラ116,117を首振り軸線116b,117bの方向へオフセットして行わせるものとする。
【0246】
出力ディスク108の軸111から遠い側に逆転防止機構としてのワンウェイクラッチ118を設け、これにより出力ディスク108、したがって出力ディスク109および軸111の矢印cで示す方向とは逆方向の回転を禁止する。また、出力ディスク109の軸111から遠い側にファイナルドライブシャフト119を同軸に配設し、このシャフトに後進入力ギア105と噛み合うギア120を回転自在に支持する。そして、ファイナルドライブシャフト119を出力ディスク109に直結する前進クラッチ121を設けると共に、ファイナルドライブシャフト119をギア120に駆動結合する後進クラッチ122を設け、これらクラッチで前後進切換機構123を構成する。さらに、ファイナルドライブシャフト119はチェーン伝動機構124を介して出力軸102に駆動連結する。
【0247】
上記の構成を備えたトロイダル方無段変速機において、入力ディスク106,107,出力ディスク108,109、およびパワーローラ116,117がトラクションドライブ用転動体に該当し、これらの転動体106〜109,116,117に本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法を適用することにより、転動面におけるトラクション係数や耐久性が向上し、トロイダル方無段変速機の性能が飛躍的に高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トラクションドライブ型無段変速機の基本構成を示す断面説明図である。
【図2】転動体の転動面の表面性状を調査するために用いた2円筒転がり試験機の概要を示す説明図である。
【図3】実施例25の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図4】実施例26の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図5】実施例27の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図6】実施例28の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図7】実施例29の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図8】実施例30の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図9】実施例31の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図10】実施例32の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図11】実施例33の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図12】実施例34の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図13】実施例35の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図14】比較例8の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図15】比較例9の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図16】比較例10の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図17】比較例11の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図18】実施例25〜35および比較例8〜11の他方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図19】比較例12の一方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図20】比較例12の他方の転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図21】本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法の一実施例において、転動体に凹部を形成する装置を説明する側面図である。
【図22】転動体の凸部を除去加工する装置を説明する側面図(b)である。
【図23】図21に示す装置で形成した凹凸形状を示す断面説明図(a)、図22に示す装置で形成した凹凸形状を示す断面説明図(b)である。
【図24】本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法の他の実施例において、転動体に電解研磨加工を行う装置を説明する側面図である。
【図25】図24に続いて転動体に凹部を形成する装置を説明する側面図である。
【図26】本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法のさらに他の実施例において、転動体に凹部と凸部を同時に形成する装置を説明する側面図(a)、および工具の刃先部分を拡大した側面図(b)である。
【図27】本発明に係わるトラクションドライブ用転動体およびその製造方法のさらに他の実施例において、転動体に凹部を形成する装置を説明する側面図である。
【図28】図27に続いて凸部を除去加工する装置を説明する側面図である。
【図29】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面説明図(a)〜(c)である。
【図30】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面説明図(a),(c)である。
【図31】転動体の転動面の異なる表面形状を示す断面説明図(a)〜(c)である。
【図32】転動体の転動面の表面性状を調査するために用いた4円筒転がり試験機の概要を示す説明図である。
【図33】実施例36の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図34】実施例37の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図35】実施例38の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図36】実施例39の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図37】実施例36〜39の駆動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図38】比較例13の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図39】比較例13の駆動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図40】実施例40および41の従動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図41】実施例40および41の駆動側転動体の転動面の粗さ断面曲線を示すグラフである。
【図42】トロイダル型無段変速機の全体構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 トラクションドライブ型無段変速機
3 106 107 入力ディスク(転動体)
5 108 109 出力ディスク(転動体)
6 116 117 パワーローラ(転動体)
11 転動体
12 凹部
13 凸部
21 2円筒転がり試験機
22 他方の転動体(クラウニング形状の試験片)
24 一方の転動体(フラット形状の試験片)
52 従動側転動体
54a〜54c 駆動側転動体
Claims (45)
- 転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、転動体の転動面に油膜厚さよりも深い凹凸を有し、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、油溜り量が7×10−6(mm3/mm2)〜3×10−4(mm3/mm2)、油溜り深さ率が0.9〜2.0であることを特徴とするトラクションドライブ用転動体。
- 駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、ディンプルの中で、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのものが占める面積率を5%〜40%としたことを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとし、直径が5μm〜30μm、深さが0.1μm〜1.0μmのディンプルの個数が、100μm四方あたりに10個〜30個であることを特徴とする請求項1または2に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.07μm〜0.15μmであり、あるいは最大高さで0.4μm〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面の表面硬さが、850Hv以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面が、ショットピーニングにより形成した凹凸に、ラッピング、鏡面研磨、超仕上加工、切削加工および研削加工のいずれかを行って凸部を取ることにより表面微細形状をディンプルと平坦部の組合わせとしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状を連続溝と平坦部の組合わせとし、連続溝の溝幅が2μm〜10μm、溝間隔が10μm〜30μm、溝深さが0.1μm〜1.0μmであることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面の表面粗さが、中心線平均粗さで0.03μm〜0.13μmであり、あるいは最大高さで0.2μm〜0.9μmであることを特徴とする請求項7に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面の凹凸の平均間隔と接触楕円長径の半分との比が0.08以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動面間でトラクションオイルを介在して動力を伝達するトラクションドライブ用転動体において、駆動側および従動側の少なくとも一方の転動体の動力を伝達する転動面の表面微細形状に関して、表面粗さ計により測定される断面曲線が凹部と凸部を交互に配列した形状であると共に、断面曲線の中心線よりも上側の凸部の形状が、台形状、角が丸みを帯びた台形状、角に面取りを施した台形状、クラウニング形状、楕円弧状、正弦波状、頂点が丸みを帯びた三角形状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部と凸部の高低差が0.5〜2.5μmであることを特徴とする請求項10に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部と凸部の高低差が2.0〜2.5μmであることを特徴とする請求項11に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部と凸部の高低差が0.8〜1.2μmであることを特徴とする請求項10に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が15〜60%であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が25〜40%であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が27〜35%であることを特徴とする請求項15に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 断面曲線の中心線において、全体に対する凹部の割合が30〜57%であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部のピッチが10〜150μmであることを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部のピッチが40〜120μmであることを特徴とする請求項18に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凸部の頂上部の表面粗さがRz100nm以下であることを特徴とする請求項10〜19のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凸部の頂上部の表面粗さがRz40nm以下であることを特徴とする請求項10〜20のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 断面曲線の中心線において、凹部の長さが10〜40μmであることを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが1.2〜9%であることを特徴とする請求項10〜22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部のピッチが2.4〜6%であることを特徴とする請求項10〜22のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向に直交する方向の直径に対し、凹部の長さが0.6〜2%であることを特徴とする請求項10〜24のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 最大荷重におけるヘルツ接触楕円の転動方向と平行な方向の直径に対し、凹部の長さが0.8〜3.2%であることを特徴とする請求項10〜25のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部が当該転動体の転動方向とほぼ平行に形成した溝であることを特徴とする請求項10〜18のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部が当該転動体の転動方向に沿って螺旋状に形成してあることを特徴とする請求項19に記載のトラクションドライブ用転動体。
- 凹部が少なくともヘルツ接触楕円の短径の長さよりも長く連続していることを特徴とする請求項10〜20のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.1mm以上であることを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜170mmであることを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 表面粗さ計の縦倍率と横倍率を等しくして計測した断面曲線における凸部の頂上部の曲率半径が0.8〜10mmであることを特徴とする請求項10〜21のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 駆動側および従動側の一方の転動体の転動面が、請求項10〜24のいずれかに記載の凹部と凸部から成る表面形状を有し、他方の転動体の転動面が、中心線平均粗さでRa0.06μm以下であることを特徴とする請求項10〜24のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 材料および熱処理が、肌焼き鋼の浸炭焼入れ焼戻し、肌焼き鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻し、軸受け鋼の焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭焼入れ焼戻し、軸受け鋼の浸炭窒化焼入れ焼戻しのうちから選択されることを特徴とする請求項1〜33のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 転動体は、円環凹面形状を成す転動面をそれぞれ備えた入力ディスクおよび出力ディスクと、対向して配置した入力ディスクおよび出力ディスクの円環凹面形状の転動面に挟まれて円環凹面形状の転動面と相互に転動する円環凸面形状をなす転動面を備え且つローラ軸を傾動可能としたパワーローラとの組合わせから成り、ハーフトロイダル型無段変速機もしくはフルトロイダル型無段変速機の構成要素となることを特徴とする請求項1〜34のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体。
- 請求項10〜35のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動面に深さ10μm以下の凹部を等間隔で形成して凹部と凸部を交互に形成したのち、凹凸の高低差が0.5〜2.5μmになるまで凸部を除去加工することを特徴とするトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 請求項10〜36のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、転動面を表面粗さRz100nm以下となる状態に形成したのち、深さ0.5〜2.5μmの凹部を等間隔で形成して凹部および凸部を交互に形成することを特徴とするトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 切削加工、研削加工、ブラスト加工、レーザ加工およびエッチング加工の少なくとも1つの加工により凹部を形成し、超仕上げ加工、ラッピング加工、切削加工、研削加工および電解研磨加工の少なくとも1つの加工により凸部を形成することを特徴とする請求項36または37に記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- ショットピーニング、研削加工および切削加工の少なくとも1つの加工により転動面に凹凸を形成し、ローラバーニッシュにより凸部を滑らかな平面に形成することを特徴とする請求項36または37に記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 先端が単一R、台形、V字および複合Rの少なくとも1つを有する形状であり且つ先端から0.5〜2.5μmの位置の幅が4〜150μmとなる初期工具形状を有する工具を用いて凹部を形成することを特徴とする請求項36〜38のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 先端形状がR0.2mm以下の形状を有する工具を用いた旋削加工により凹部を形成することを特徴とする請求項36〜40のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 請求項10〜35のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体を製造するに際し、凹部と凸部に各々対応する切刃を有し且つ双方の切刃の段差が0.5〜2.5μmである工具を用いて凹部と凸部を同時に形成することを特徴とするトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 平均砥粒径が9μm以下の固定砥粒工具を用いて凸部を加工することを特徴とする請求項36〜42のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 平均砥粒径が30μm以下の弾性砥石を用いて凸部を加工することを特徴とする請求項36〜42のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
- 転動体を中心軸回りに回転させると共に、転動体と工具とを転動体の中心軸方向、中心軸に直交する方向、中心軸方向とこれに直交する方向とで構成される面における円弧方向の少なくとも1つの方向に相対的に移動させて転動体の転動面に凹部を螺旋状に形成することを特徴とする請求項36〜44のいずれかに記載のトラクションドライブ用転動体の製造方法。
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