JP3661230B2 - 印刷品質管理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は印刷物の品質を検査、管理する印刷品質管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物が顧客の指定する所定の色に仕上がっているか否かの判断は、専門の検査者により目視で行なわれていた。この判断は主観的であり、検査者により目視基準が異なるので、客観的な判断ができなかった。このため、大量に印刷された印刷物中に色のバラツキが生じることが避けられず、このバラツキが大きい場合には、顧客から苦情が寄せられ、印刷のやり直しという事態にもなる。
【0003】
そこで、計測器を利用して客観的に色を評価することも考えられている。
一例として、濃度計の利用が考えられる。しかし、濃度計は単に墨(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄(Y)の分光フィルタを介したベタ部分の濃度を測定するだけであり、これら4色の単色は正確に測定・評価できるが、各フィルタの帯域の間の分光反射率が異なっている色の組合せ部分は測定・評価できない。このため、印刷物中の絵柄の部分は殆ど測定・評価できない。
【0004】
第2の方法として、近年実用化されている測色計を用いることが考えられる。測色計によれば、微妙な色の違いも数値化して表現できる。このため、基準となる印刷物の所定の点の色彩値を基準値として記憶しておいて、実際の印刷物中の対応する点の色を測定し、測定値を基準値と比較することにより、各点毎の客観的な色の評価をすることができる。比較は、一般に、基準値と測定値との差がある一定の許容範囲内であるか否かにより行なわれる。
【0005】
しかし、このような方法によっても、基準値を測定するための基準印刷物のインキの乾燥状態と各印刷物のインキの乾燥状態が異なっていると、正しく評価できないという欠点がある。すなわち、一般に、印刷インキは乾燥するにつれて色濃度が低下する性質を有するので、印刷物は印刷直後のインキが未乾燥の状態と一定時間経過後のインキが乾燥した状態とでは色濃度が異なることが知られている。この現象をドライダウン現象と称する。そのため、顧客の校正が終了した校正刷りの色(ドライダウン後の色)を基準として色評価を行おうとすると、印刷直後のドライダウン前の印刷物は評価できず、印刷物がドライダウンするまで待たなければならない。そのため、評価が不可となった場合、評価までの間に印刷された大量の印刷物が無駄になってしまうという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の印刷品質管理装置はドライダウンによる濃度の低下を考慮していないので、顧客の校閲が終了した校正刷りの測色値に基づいて印刷直後の印刷物の測色値を評価をすることができないという欠点があった。
【0007】
本発明は上述した事情に対処すべくなされたもので、その目的はドライダウン後の印刷物を基準印刷物として選んだとしても、ドライダウン前の各印刷物の仕上がり状態を客観的に評価することができる印刷品質管理装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による印刷品質管理装置は、インキが乾燥したドライダウン後の印刷物の所定の点の測色値を基準値として記憶する手段と、インキが未乾燥のドライダウン前の印刷物の所定の点の測色値からドライダウン後の値を求め、求めたドライダウン後の値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する手段とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明による印刷品質管理装置は、インキが乾燥したドライダウン後の基準印刷物の所定の点の測色値からドライダウン前の値を求め、求めたドライダウン前の値を基準値として記憶する手段と、インキが未乾燥のドライダウン前の印刷物の所定の点の測色値と基準値との差が許容範囲内か否かを判定する手段とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】
本発明による印刷品質管理装置によれば、ドライダウン前の測色値、またはドライダウン後の測色値からドライダウン後の測色値、またはドライダウン前の測色値を求めることができるので、ドライダウン後の印刷物を基準印刷物として選び、ドライダウン前の各印刷物の仕上がり状態を客観的に評価することができるので、校正刷りの色に合わせて印刷物を仕上げることができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明による印刷品質管理装置の実施例を説明する。本発明による印刷品質管理装置は、分光反射率の自動測定機能とデータ管理機能とを有する測色システムであり、その概要は、色合わせが終了した印刷物(いわゆる基準サンプル)の絵柄中の数カ所を測色し測色値を基準値として記憶しておいて、その後、印刷中に適宜サンプリングした刷本の同一箇所を測定しながら基準値との比較を行い、比較結果としての色差を画面上に表示するものである。色差データはインキキーの制御の基礎データとして利用できる。
【0012】
図1は第1実施例の全体構成を示す概略図である。下端が手前側となるように鉛直面に対して多少傾けられ、印刷物10を載置するための原稿台12が設けられている。原稿台12の下端、左端には印刷物10を突当てて位置決めするための当て部材14、16が設けられている。当て部材14、16は原稿台12内に収納可能であり、必要な時のみ突出される。図示していないが、右側にも当て部材があり、図1では右側の当て部材は原稿台12内に収納されている。これは、枚葉印刷機で印刷された印刷物は表裏の一方が右揃え、他方が左揃えであるからである。すなわち、印刷物は咥針と同じ方向の当て部材に突当てて位置決めされる。図示していないが、印刷物10はエアー吸着により原稿台12に吸い寄せられ、固定される。
【0013】
原稿台12上にはX方向、Y方向に自在に移動可能なX−Yアーム18が設けられ、アーム18には刺激値直読式の色彩計、または分光測色式の分光測色計等の測色計20が取り付けられる。このため、測色計20は印刷物10上の任意の位置の色を測定可能である。なお、アーム18は制御信号に応じて自動的に移動可能であるとともに、手動によっても移動可能である。測色計20は印刷物10の色を各種の表色系で数値表現された色彩値として出力する。また、測色計20はZ方向に上下動可能であり、X−Yアーム18の移動中は上昇しており、X,Y位置が決まってから下降し印刷物10に接触される。このため、図示してはいないが、測色計20の下端面にはインキが付かないようにテフロンシートが貼られている。
【0014】
X−Yアーム18には測色計20以外にも印刷物10上のトンボを検出したり測色点を入力するための反射式のスポットセンサ22、印刷物上に測色点の位置を印すためのボールペン24、トンボ検出開始点指定や色彩値測定開始点指定のための入力ボタン26も取り付けられる。原稿台12の右横には種々の操作キーからなる操作パネル28が設けられる。操作パネル28に設けられるキーとしては、例えば、印刷物のセットや取り外しのために当て部材を収納・突出させるための当てキー、印刷物の真空吸着をオン・オフするための真空キー、X−Yアーム18を装置の原点位置に復帰させるDIGI/ADMキー、エアー吸着の真空の強弱を調整するエアー調整ダイヤル、緊急事態が発生し装置を即座に停止するときに押される非常停止ボタン等がある。非常停止は、例えば、X−Yアーム18の移動時に指を挟まれた場合、当て部材の収納・突出時に指を挟まれた場合、測定の間違いに気がついた場合等に必要となる。
【0015】
以上の要素から構成される本体30とは別にコントローラとしてのパーソナルコンピュータ32が別途設けられる。パーソナルコンピュータ32はモニタ34、キーボード36、プリンタ38も含む。
【0016】
次に、本実施例の動作を説明する。
先ず、本実施例が有する各種機能の概要を説明する。各機能はキーボード36のファンクションキーの操作により指定することができる。ファンクションキーの機能は次の通りである。
【0017】
f1(マシン1):印刷機1の設定に切り換えられる。本実施例は5台の印刷機を同時に管理できる。そのため、使用にあたっては、印刷機を切り換えてから測色する必要がある。
【0018】
f2(マシン2):印刷機2の設定に切り換えられる。
f3(マシン3):印刷機3の設定に切り換えられる。
f4(マシン4):印刷機4の設定に切り換えられる。
【0019】
f5(マシン5):印刷機5の設定に切り換えられる。
f6(設定):新規設定や読込み、変更等設定に関するすべての機能を呼び出す。
【0020】
f7(記録):ファイルの変更や表計算ソフトウェアのフォーマットでのファイル保存をする。
f8(プリント):画面の表示内容をプリンタに印刷する。
【0021】
f9(校正刷り):本実施例では印刷品質評価のための基準サンプルとしては、顧客の立ち会いの下で本機により印刷された印刷物が用いられるが、これ以外にも校正刷りを測色して比較したいときに使う機能である。なお、校正刷りは本機による印刷物とは面付けが異なるので、メッセージに従って校正刷りの測色点の指定も行う必要がある。
【0022】
f10(測色):現在設定されている条件で測色動作を行う。
f11(yes):メッセージ覧の応答でY(yes)と答える。
f12(no):メッセージ覧の応答でN(no)と答える。
【0023】
f13(集計):印刷物の生産管理のための1ロット集計等のグラフを表示するとともに、現在の設定において各サンプル間の変化を統計演算後、グラフィック表示する。
【0024】
f14(環境):プログラムに必要なパラメータを設定する。パラメータの一例は次のようなものがある。
(1) 用紙センターの決定方法(0=無視、1=トンボ、3=データ・イン)
(2) トンボ読取り後のポーズ(0=しない、1=する)
(3) 測定順序(0=測定番号順、1=偏差の大きい順)
1を指定すると、色の変化が大きい測色点から測色する。この場合は、通常は、測色時間は長くなる。
【0025】
(4) 測色計20の観察条件(0=2度視野、1=10度視野)
(5) ファイル管理最大数(20〜800)
ハードディスクに保存するファイル数の最大数を設定する。ハードディスクに保存されているファイル数がこの最大数を越えると、古いものから自動的に削除される。
【0026】
(6) ファイルソート(0=ファイル名、1=作成日付逆順)
(7) ボールペンマーキング(0=無し、1=基準のみ、2=基準&刷本)
2を選ぶと、全てのサンプルに測色点を丸で書込む。この場合、判定でNGとなった測色点は二重丸で書込む。
【0027】
(8) トンボ座標プリント(0=無し、1=する、2=基準座標マーク)
f15(削除):直前のサンプルデータを削除する。
また、ファンクションキー以外にも次のような3つのコマンドキーも定義されている。
【0028】
T:リスト表示の種類(1:ΔLab、2:Lab、3:Δ濃度、4:濃度、5:混合)を切換える。
C:格子状のチャートを測色する。最大100×100の格子を10個まで指定できる。
【0029】
L:1刷本の詳細なデータが必要な時に押され、1刷本の測色と濃度データをリスト印刷する。
次に、各機能の詳細を説明する。ファンクションキーf6(設定)が操作されると、画面には次の7項目からなるメニューが表示される。
【0030】
1.新規(測色点の新規設定)
2.読込み(ファイルに記録されたデータの読込み)
3.変更(測色点の変更、追加、削除)
4.基準値(基準値、すなわち基準サンプルの変更)
5.校正(測色計の校正)
6.表示(グラフィック表示のためのパラメータ変更)
7.トンボ(トンボ読取りパラメータの再設定)
以下、このメニュー内の各項目を説明する。
【0031】
1.新規
新たなサンプルで新たな測色点を設定する場合は、この機能を選択する。メッセージに従い、トンボ読取りパラメータ設定、面付けの有無、測色点の指示を行い、最後に基準サンプルの基準測色を行う。このデータはサンプル1に残され、途中で基準値を変更しても保存される。
【0032】
2.読込み
ハードディスクやフロッピーディスクにファイル記録されたデータを呼び出して使用する。ファイル名はスクロールで探す、直接指定のいずれかで指定することができる。呼び出したデータは継続モードか再版モードで使用することができる。継続モードとは、以前の測色データを生かしたまま、測色を継続するモードであり、再版モードとは、測色点と基準サンプルのデータのみ生かし、測色から行うモードである。
【0033】
3.変更
変更では1つの測色点を変更することができる。測色点の変更が終わると、基準サンプルの基準測色を行う。現在のサンプルまでの測色データは有効である。追加では任意の点数の測色点を追加できる。削除では1つの測色点を削除することができる。削除された測色点番号は欠番となる。
【0034】
4.基準値
基準サンプルを変更したいときに基準値の変更(入れ替え)を行う。任意のサンプルデータを基準値にすることができる。キーボードから手動で入力をすることもできる。
【0035】
5.校正
測色計の測定項目、観察条件、リセット、校正作業を行う。
6.表示
グラフィック表示のための次の6項目を変更できる。
【0036】
(1) 印刷品質判定のためのレベル(1:きつい、2:ふつう、3:ゆるい)
(2) リスト表示の種類(1:ΔLab、2:Lab、3:Δ濃度、4:濃度、5:混合)
(3) 濃度差表示の縦軸ΔD(0.1〜2.0)
(4) インキキーの数(10〜50)
(5) インキキーの幅(10.0〜50.0)
(6) 1ロット集計グラフの縦軸ΔE(0=max、1〜100=dE)
7.トンボ
トンボ読取りパラメータを再設定する。
【0037】
以上の各種機能を用いる本実施例の基本的な動作を図2、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップ#2で、測色計22が原稿台12の原点(左下)に復帰される。
【0038】
ステップ#4で、校正が行われる。校正は、1日の作業の開始時、チャート測定で測定項目、観察条件を変更した時等に実行する必要がある。校正は設定(f6)の校正を選び、メッセージに従って次の4項目を設定する。
【0039】
(1) 測定項目(Lab、Luv等)をセットアップするか否か
(2) 観察条件(光源(D50)、視野等)を再設定するか否か
(3) パワーオンリセットをするか否か
(4) キャリブレーション(白色校正)をするか否か
キャリブレーションをする場合は、この後、校正板を原稿台12の原点位置にセットする。
【0040】
次に、基準サンプル上で測色点を設定する。一般に、実際の印刷を行なう前に基準サンプルを印刷し、これを基準として実際の印刷の色を調整している。基準サンプルとしては、通常は顧客の立会いの下に実際の印刷を行い顧客の承認を得た印刷物、あるいは熟練した検査者が確認した印刷物等が用いられる。しかし、近年は、顧客が実際に印刷に立会うのではなく、校正刷りに基づいて印刷仕上がりを判断することが行われている。しかし、ここでは、前者の基準サンプルを用いた例を説明し、校正刷りを基準サンプルとする場合の動作は後述する。
【0041】
ステップ#6で、このような基準サンプルを原稿台12上に載置する。この時、基準サンプルにおける咥針(印刷時に使用された咥針)と同じ方向の左右いずれかの当て部材を突出させて、基準サンプルを当て部材に突当ててから、真空キーを押し、しわがでないように平らに吸着させる。エアー調整レバーで用紙の吸引力を調整する。これにより、基準サンプルを原稿台12に固定させる。用紙に対する絵柄の印刷位置が一定であれば、この当て部材14、16との当接により、原稿台12に対する印刷物の位置が決まる。
【0042】
ステップ#8で、ファンクションキーf1〜f5を用いて印刷機を切換え、基準サンプルを印刷した印刷機を指定する。
ステップ#10で、ファンクションキーf6を用いて設定(新規)を選ぶ。
【0043】
ステップ#12で、ファイル名設定パラメータを入力する。ファイル名の指定は自動と手動のいずれかを選択可能であり、自動を選ぶと、印刷機番号(1〜5)、年月日(西暦)、ジョブ番号(印刷機毎)等から自動的にファイル名が決定される。このため、自動の場合、ファイル名の重複によりデータの上書き(消去)が確実に防止される。
【0044】
ステップ#14で、トンボ読取りのためのパラメータを入力する。
(1) 突当て?(0=左、1=右):用紙を左右どちらの当てに突き当てたかを指示する。
【0045】
(2) 象限?(1、2、3、4):主たるトンボ(右突当ての時は右トンボ、左突当ての時は左トンボ)をどの象限からサーチ開始するかを指示する。
(3) 感度(0=低感度[ふつう]、1=高感度[特色、細かい]):通常は低感度を選択し、特色や細かいトンボで低感度では読めない時のみ高感度を選ぶ。
【0046】
(4) トンボ読取りオフセット?(1.0〜5.0mm):トンボ中心から短い方のトンボの長さの1/2程度を指定する。
ステップ#16で、トンボ座標を入力する。右突当ての場合は、右側トンボの中心、左側トンボの中心の順にスポットセンサ22のマーカを合わせて入力ボタン26を押す。左突当ての場合は、左側トンボの中心、右側トンボの中心の順に入力する。
【0047】
ここで、本実施例のトンボの読取り法について説明する。トンボは測色点の入力のために読取る必要がある。原稿台12(X−Yアーム18)は固有の座標系を有してはいるが、印刷物10が当て部材14、16に対してずれて、あるいは傾いて載置されている場合もあるので、原稿台12固有の座標系により指定点の座標を表すと、各印刷物において色を測定する点の位置がずれてしまい、測定値を基準値と比較することができなくなる。このため、測色点の座標は、各絵柄に対して所定の位置に予め印刷されている少なくとも2つのトンボ(位置決めマーク)の位置を基準として原稿台12固有の座標系を補正した座標系で表す。2つのトンボを用いることにより、絵柄の傾きを検出でき、各印刷物上で必ず同じ点の色を測定することができる。
【0048】
通常、トンボは十字形のマークからなり、十字の交点がトンボの位置を表わす。しかし、図4(a)〜(e)に示すように、トンボには種々の形状がある。ただし、少なくとも直交、あるいは延長線が直交する2つの線分からなる形状を有する。図4の小さい丸印がトンボの交点を示す。
【0049】
トンボの検出はトンボをイメージセンサにより取り込んでから画像処理を行い、形状を認識するものもあるが、本実施例では、X−Yアーム18に取り付けられた1つのスポットセンサ22でトンボ上を走査して、トンボを構成する2つの直交する線分を検出してその交点を計算することにより行なう。
【0050】
この走査は図5に示すように、指定された象限(この場合は、第3象限)において、トンボ交点からオフセット値Δだけ離れた走査開始点から所定の方向に所定の距離だけX、Y移動をして行われる。所定の方向とは、第3象限の場合はX、Yともに正の方向、第1象限の場合はX、Yともに負の方向、第2象限の場合はXが正、Yが負、第4象限の場合はXが負、Yが正である。所定の距離とはオフセット値よりわずかに大きい値(Δ+α)である。
【0051】
これにより、安価、小型の検出機構によりトンボを検出できる。しかも、この方法では印刷物中のどこにトンボがあっても容易にトンボ交点を検出することができ、また、トンボの印刷位置が印刷物毎に多少ずれていても確実に検出できる利点もある。
【0052】
2つのトンボの交点が求められると、それらを結ぶ線分の傾きから原稿台12に対する印刷物の傾きがわかる。これから原稿台12固有の座標系に対する印刷物の座標系のずれ、あるいは傾きがわかる。これを基に、X−Yアーム18の座標を修正することにより、常にトンボを基準とする同一の座標系における指定点の座標を得ることができる。
【0053】
なお、上述の説明では、トンボの交点、オフセット値、象限を入力し、交点とオフセット値とから走査開始点を計算し、オフセット値に応じた距離だけ走査していたが、走査距離を一定とし、走査距離を考慮して走査開始点と象限のみを入力してトンボを検出する形としても良い。すなわち、トンボの交点から走査距離以内の点を走査開始点として入力すれば、交点、オフセット値は入力する必要がない。
【0054】
また、トンボの形状が図4(c)に示す場合には、円周を検出しないように、走査開始点が外側の円の内側、または外側に位置するようにオフセット値を指定することが必要であり、図4(b)、(d)の場合には、走査開始点は第1象限に指定することが必要であり、図4(e)に示す場合には、他の交点を検出しないように走査開始点とオフセット値を指定する必要がある。
【0055】
なお、一般に、反射式のスポットセンサ22がトンボを横切ると、検出光量(測色計22出力:アナログ電圧)は図6のように変化する。トンボの無い部分は一定の低レベルであるが、トンボがある部分では出力はパルス的に増加する。この検出光量をある電圧しきい値と比較し、それ以上をトンボとして認識する。
【0056】
しかし、トンボの無い部分、トンボのある部分の反射率(または透過率)は印刷物によって一様ではなく、非常に異なっている。したがって、電圧しきい値を一定に固定すると、図7のような不具合が生じる。波形aを適正な状態とすると、波形b、cの場合は誤差が多く、波形d、eの場合は検出不能である。
【0057】
そのため、ここでは、印刷物上でトンボが確実に無いとされる部分で測色計22出力を取り込み、その部分を強制的に0Vにシフト(オートゼロ)した後に、実際のトンボの読取りを行なう。これにより、図7のような場合でも、図8のようになり、全ての場合に適切に検出が行える。さらに、回路上の電圧は最低レベルが必ず0Vとなるので、検出光量の最大値がアンプの出力の最大値になるように、検出光量を増幅することができ、トンボの無い部分の反射率が高い印刷物、あるいはトンボのコントラストが低い印刷物の場合でも、正しくトンボを検出できる。すなわち、アンプの増幅率出力には限界幅がある。図9に示すように、波形を単に2倍に増幅すれば、最低レベル(Vo×2)がかなり高い値になり最高レベル(Vp×2)が上限を越えてしまい、アンプの出力に不確実な部分が含まれてしまう。しかし、本実施例ではオートゼロ処理を行なうことにより、図10に示すように、Voを常に0Vとすることができ、Vpが上限を越えない範囲で有効に増幅でき、検出能力が増す。
【0058】
図11にオートゼロ回路の一例を示す。入力信号が第1の演算増幅器OP1の反転入力端子に供給される。出力信号は抵抗Rを介して反転入力端子にフィードバックされるとともに、第2の演算増幅器OP2の反転入力端子に供給される。第2の演算増幅器OP2の非反転入力端子は接地され、出力端子はアナログスイッチSWを介して第1の演算増幅器OP1の非反転入力端子に供給される。第1の演算増幅器OP1の非反転入力端子はキャパシタCを介して接地される。
【0059】
アナログスイッチSWがオンの時は、入力電圧のレベルに関係なく出力は強制的に0レベルになり、スイッチSWがオフすると、オフする直前の入力電圧レベルを0として入力電圧の変動に追従する出力が得られる。このため、入力電圧の変化(振幅)が高くても低くても出力電圧は常に0レベルから動作する。
【0060】
このようなトンボの座標入力が終了すると、トンボの位置を基準とする座標系が定まる。このため、各印刷物の測色点をこの座標系で表わせば、どのような印刷物に対しても、正確に対応する点を測色点として指定でき、測色値の比較が正しく行える。
【0061】
トンボの検出が終わると、基準サンプルにおいて測色点の座標を入力する。そして、基準サンプルの測色点の測定値と各印刷物の対応する測色点の測定値とを比較して、各印刷物が基準印刷物と同じ色に仕上がっているか否か判定する。ここで、印刷物には、1枚の印刷物中に同一の絵柄が規則的に複数面に配列されている多面付け印刷物もある。この場合は、基準サンプル中のある面の絵柄を基準としてこの基準絵柄面と他の印刷物の各面の対応する点の測色値を比較する。このため、多面付け印刷物の場合、各面の対応する点の座標が必要である。しかしながら、全部の面において同一の測色点の座標を逐一入力するのは不可能であるので、本実施例では、多面付け印刷物の場合、各面の測色点の座標は、各面において4隅等の位置精度が高い基準点を原点とする相対座標で表わすことにより、各面での測色点の入力を不要としている。すなわち、各面における同一の点(基準点)の座標と、基準面における基準点に対する測色点の相対的な座標とが分かれば、各点の測色点の座標が求められる。ここで、4隅等の各面の基準点の座標は逐一入力しても良いが、多面付け印刷物においては、面の配列は所定の規則に従っているので、ある面についてのみ基準点の座標を入力すれば、残りの面についての基準点の座標は面の配列の規則に従って演算により求めることができる。ただし、印刷の際の用紙のねじれの影響を考慮すると、複数面について基準点を入力する方がよい。
【0062】
そのため、本実施例では、図12に示すように、4×4の絵柄面の配列の四隅の内の3つの隅、ここでは左下、右下、右上の3つの面A,B,Cの左下隅の角(図中、○印)を基準点として座標入力する。絵柄の隅の角の点は検査者が正しく座標入力することができ、位置精度が高い点である。さらに、本実施例では、基準面Dの基準点も入力する。なお、X方向の配列数が1の場合(基準面Dと面B、Cが同一列にある場合)は、A面の基準点は入力する必要がない。同様に、Y方向の配列数が1の場合(基準面Dと面A、Bが同一行にある場合)は、C面の基準点は入力する必要がない。このような複数の面の基準点と配列の規則から他の面の基準点の座標を知ることができる。この後、基準面Dにおける測色点(図中、×印)の座標を入力すれば、各面の基準点に対する相対的な測色点の座標を得ることができる。
【0063】
なお、図13に示すような絵柄面がX、Y方向に整列されていない多面付け印刷物の場合は、全部の面の基準点を入力することが好ましい。
このため、ステップ#18で、印刷物が多面付け印刷物であるか否かを指示する。これは、面付け指定無し(非多面付け)を選ぶと、すぐにステップ#22が実行される。多面付け印刷物の場合は、ステップ#20でX,Y各々の方向の面付け数を入力する。とともに、基準点の座標を入力する。基準点A、B、C、Dとしては各面で必ず同じ位置を入力できる点を選ぶ。基準点の数は面付け数により決まる。例えば、X、Y方向ともに2面以上ある場合、左下の面の基準点A、右下の面の基準点B,右上の面の基準点Cの3点を入力する。X方向が1面の場合、最下行の面の基準点B、最上行の面の基準点Cの2点を入力する。Y方向が1面の場合、最左列の面の基準点A、最右列の面の基準点Bの2点を入力する。その後、基準面の基準点Dを入力する。
【0064】
ステップ#22で、測色点を指定(座標入力)する。面付け指定無しの場合は、最大50点まで任意の点を指定できる。面付け指定有りの場合は、50/面付け数まで指定できる。測色点の指定は印刷物全面にわたって複数の点を均等に指定してもよいし、特に慎重に色を合わせたい箇所(女性の肌等)に重点的に指定してもよい。測色計20の測色視野は4mmφの円であるので、できるだけ4mmφの円内の変化の少ない点を指定する。測色点の指定は測色計20に設けられている図示しないアパーチャにある十字交差線(トンボ)の交点を測色点に合わせ、入力ボタン26を押すことにより行なう。指定した点はボールペン24により印刷物10上に丸印として記されるとともに、図14に示すように、モニタ34の画面に印刷物のイメージ(輪郭)とともに表示される。画面上では、測色点が何番目の測色点であるかを示す序数も表示される。
【0065】
測色点の指定が終了したら、基準サンプルの測色が自動的に開始される。すなわち、測色点の座標に応じてX−Yアーム18が移動し、各点の測色値が入力される。測色値は測色点の座標とともにパーソナルコンピュータ32に入力される。多面付け印刷の場合は、基準面のみ測定し、他の面の測色点については測色値をコピーする。
【0066】
色を数値で表わす表色系としては次のような種々のものがある。国際照明委員会(CIE)が規定したL* a* b* 表色系(CIELAB系とも称する)、L* C* h表色系、ハンターLab表色系、XYZ(Yxy)表色系、色相(H)、明度(V)、彩度(C)からなるマンセル表色系がある。どの表色系を用いてもよいが、CIELab系が人間の見た目と良く合うし、最もポピュラーであるので、ここではこれを使用する。すなわち、各測色点のL* 値、a* 値、b* 値が各測色点の色彩値の基準値としてパーソナルコンピュータ32に入力される。CIELab系では、明度をL* 、色相と彩度を示す色度をa* 、b* で表わす。a* 、b* は色の方向を示し、a* は赤方向、−a* は緑方向、b* は黄方向、−b* は青方向を示す。数値が大きくなるに従って色が鮮やかになり、中心になるに従ってくすんだ色になる。なお、彩度は(a* 2 +b* 21/2 である。
【0067】
実際の印刷が開始され、安定した色の印刷物が得られるようになると、印刷物の抜取り検査を行なう。抜取り検査は、例えば1000部に1枚行なう。ステップ#24で原稿台12にサンプルシートをセットする。当て部材を原稿台12から突出させて、サンプルシートを基準サンプルの測色時に使った左右いずれかの当て部材に突き当てて、しわが出ないように平らに吸着させる。なお、印刷物が多面付け印刷物の場合は、基準サンプルの場合と同様に、サンプルシート内の数面の基準点の座標を入力する。これにより、各面の基準点の座標が求められ、各面の測色点の座標が求められる。
【0068】
ステップ#26で、印刷機の指定を行う。
ステップ#28で、測色実行(f10)が指示されると、基準サンプルと同様にトンボの読取りを行い、トンボの位置に応じて座標系を補正した後、サンプルシートの各測色点の色彩値を測定し、測色値と基準値との色差が所定の許容値以下であるか否かが判定され、判定結果に応じて色の評価が行なわれる。色差は次のように定義される。
【0069】
色差(ΔE)=(ΔL* 2 +Δa* 2 +Δb* 21/2
ここで、ΔL* は基準サンプルとサンプルシートとの明度差、Δa* 、Δb* は基準サンプルとサンプルシートとの色度差である。
【0070】
このように測色計20で測定した色差を用いて色評価することにより、実際の印刷物の色がどのくらい基準の色と離れているのかが、定量的に把握できる。
ここで、人間の目は全ての色に対して均等な感度を有するのではないので、同じ数値だけ色差が異なっても、色によって感じ方が異なる。すなわち、肌色、グレー等は僅かな色差も認識されるが、純色系の色、例えば黄色等は色差がかなり変わっても人間の目にとっては殆ど認識されない。
【0071】
このため、色によって色評価の基準となる許容範囲を異ならせるために、表色系の色座標をいくつかの領域に分けて、各領域毎に許容範囲を設けている。図15(a)、(b)に示すように、CIELAB空間のL* =50のa* b* 面上を彩度方向に3分割、色相方向に12分割して、計36の領域に分けた。この領域分割方式は実態に合うように変えることは可能である。許容範囲は各領域毎に色差(ΔE)を用い、人間の目に合うように数値を決めた。
【0072】
測定値と基準値との色差が測定値の含まれる領域に応じた許容範囲以下か否かに応じて、印刷物が良品であるか不良品であるかが客観的に評価できる。上述したように許容範囲を設定しているので、色が僅かに違うだけでも人間の目に違和感を感じる色(グレー、肌色等)は厳しく判定し、そうでない色(純色系)は緩く判定しているので、人間の判断基準に即した、しかも客観的な評価ができる。
【0073】
なお、評価結果は図14に示すようにパーソナルコンピュータ32のモニタ34上に表示される。画面の右半分に各測色点毎の色差(ここでは、ΔEのみならず、各インキ色成分毎の濃度差ΔC、ΔM、ΔYも)がリスト表示される。判定の欄には色差が当該領域に固有の許容範囲以下である場合は「OK」、許容範囲以下であるが許容範囲にほど近い場合には「!?」が、許容範囲以上の場合は「NG」が表示される。色差ΔEのみならず、各インキ色成分毎の濃度差ΔC、ΔM、ΔYも表示するのは、色が基準色と一致していない場合、各色のインキ量を調整して色を合わせ必要があるので、その際、濃度差表示があると、調整がしやすいからである。しかし、表示するデータの種類は図示のものに限定されず、種々変更可能である。
【0074】
表示する数値の例としては、「設定」の「表示」の「リスト表示」で設定できる以下のものがある。
(1) ΔL* ,Δa* ,Δb* ,ΔE表示
(2) L* ,a* ,b* 表示
(3) BK,C,M,Y表示
(4) ΔBK,ΔC,ΔM,ΔY表示
(5) ΔC,ΔM,ΔY,ΔE表示
モニタ画面の左半分の上側には各測色点の位置を示す表示が行なわれ、下側にはY,M,C,BKの濃度差をインキキー毎に示すバーグラフ表示が行なわれる。この表示に基づいてインキキーの開度を調整することにより、基準の色を忠実に再現することができる。すなわち、濃度差を示すバーが上側にある場合は濃度差が+であり開度を小さくする必要があり、下側にある場合は反対に開度を大きくする必要があることが分かる。なお、印刷物全面の濃度が下がっていたり、上がっている場合には、元ローラの回転数を調整することにより行なう。なお、バーグラフ表示の横軸は印刷機のインキキーの数、幅に応じて変化する。
【0075】
全測定点の測色が終了すると、ステップ#30で、測色データのファイルへの保存が行われる。なお、測色の終了はブザー、ランプ等により報知される。
ステップ#32で、1ロットの印刷が終了したか否か判定され、終了していない場合は、ステップ#24〜ステップ#30で次のサンプルシートの測色が行われる。
【0076】
1ロットの測色が終了、あるいはサンプル間の変化を見たい時、f13(集計)を押すと、ステップ#34で、統計計算が行われ、測色点毎の集計結果がグラフィック表示(横軸がサンプル、縦軸が色差を示す)される。縦軸の最大値は設定の表示にて変更可能である。
【0077】
ステップ#36で、f8(印刷)を押すことにより、各種の判定結果が印刷される。
以上が基本的な動作であるが、次に本実施例の特徴であるドライダウンに対処する場合の動作について説明する。上述の説明では、基準サンプルは顧客の立会いの下で本機により印刷された印刷物であるとしたため、基準サンプルとサンプルシートとはインキの乾燥状態は同じであった。しかし、基準サンプルとして校正刷りを用いる場合は次のような問題点がある。校正刷りを顧客が校閲する時は、印刷してから長時間経過しており、ドライダウン後の状態である。一方、印刷機の稼働中に抜き取ったサンプルシートはドライダウン前である。そのため、基準サンプルとして校正刷りを用いる場合は、基準サンプルの値とサンプルシートの値をそのまま比較することはできず、(i)サンプルシートの測色値(ドライダウン前の値)からドライダウン後の値を求めて、これを基準値(ドライダウン後の値)と比較するか、あるいは(ii)基準サンプルの測色値(ドライダウン後の値)からドライダウン前の値を求めて、これを測色値(ドライダウン前)と比較する必要がある。なお、校正刷りは本機による印刷物とは面付け指定が異なるので、測色点の座標は別途測定して入力する必要がある。このため、原稿台12上に校正刷りを吸着させた後、f9(校正刷り)を押してから、測色点の座標を入力した後、測色する。
【0078】
先ず、(i)ドライダウン前のサンプルシートの測色値からドライダウン後の測色値を求める動作を説明する。ドライダウンによる濃度の低下特性は各色毎に定まっているので、予め種々の色についてドライダウンの方向、量を測定しておく。そして、Lab空間を色相、彩度、明度を考慮してドライダウンによる色の変化の方向、量が同じである複数の領域に分割し、各領域毎に補正値、あるいは補正式をテーブルとして設定しておく。そして、サンプルシートの測色値をこの領域毎の補正値、または補正式を用いて補正する。補正値とは、(L値,a値、b値)に対して(+2,+2,−1)のように決められる。また、補正式は1次の場合は次のように決められる。
【0079】
L’=αL+β
a’=γa+δ
b’=εb+ζ
L’,a’,b’は補正後の値、L,a,bはサンプルの測色値、α,β,γ,δ,ε,ζは係数である。
【0080】
なお、ドライダウンの量、方向は色のみならず、紙の質、インキの種類等によっても異なる場合があるので、これらによっても補正値、補正式を変更してもよい。
【0081】
上述の補正はLab値で行ったが、網点面積率に基づいて行ってもよい。網点面積率と測色値との関係はノイゲバウア(Neugebauer)の式として知られている。すなわち、図16に示すように、単位面積内におけるシアン、マゼンタ、イエローの各色のインキの重なりを考えた場合、それぞれの網点面積率をc,m,yで表わすと、1次色(シアン、マゼンタ、イエロー)、2次色(赤、青、緑)および3次色(黒)により総合的に得られる3刺激値(3測色値)(ここでは、X,Y,Zとするが、他の表色値でも同様である)は網点面積率を用いて次のように表わされる。
【0082】
【数1】
Figure 0003661230
【0083】
ここで、Tijは紙の色部Wを含めた8色の3刺激値(i=X,Y,Z;j=W,C,M,Y,R,G,B,K)である。すなわち、網点面積率と再現色の3刺激値とが線形方程式で表わされる。
【0084】
そして、網点面積率はドライダウンの影響を受けないので、ドライダウン前のTij’とドライダウン後のTij”がそれぞれ既知であれば、一旦、ドライダウン前の測色値からノイゲバウアの式(Tij’により表わされる)を用いて網点面積率を求め、これからノイゲバウアの式(Tij”により表わされる)を用いてドライダウン後の測色値を求めることができる。
【0085】
上述したLabの各色毎に補正値、補正式を予め設定しておく方法では、全ての色について厳密にドライダウンによる測色値の変化を想定するためには、無限数の補正値、補正式が必要であるが、ノイゲバウアの式を用いる方法によれば、全部で16色分のTijさえ既知であれば、どの色に対してもドライダウンの影響を推定できる。さらに、白(W)についてはドライダウンの前後Tijが変化しないとすると、全部で15色分のTijさえ既知であれば、どの色に対してもドライダウンの影響を推定できる。
【0086】
(ii)ドライダウン後の基準サンプルの測色値からドライダウン前の測色値を求める動作は(i)の場合と同様(演算が逆である)であるので、詳細な説明は省略する。この場合は、ドライダウン後の基準サンプル(校正刷り)の測色値からドライダウン前の測色値を求め、これを基準値として、実際の印刷物を印刷終了後ドライダウンする前に測定することができ、印刷不良を迅速に検出することができる。(i)の方法では測定毎にドライダウン後の値を演算する必要が有るが、(ii)の方法では基準値のみをドライダウン前の値に変換するだけでよく、演算処理が少なくて済む。
【0087】
以上説明したように、本実施例によれば、トンボの位置を基準とした座標で測色点を指定し、基準サンプルとサンプルシートとの測色点の測色値を比較することにより、比較する点を正確に位置決めでき、絵柄のグラデーション部の正確な評価が可能である。また、トンボ付近をスポットセンサで走査することによりトンボを読取るので、安価、小型の検出機構によりトンボを検出できる。しかも、この方法では印刷物中のどこにどのような形状のトンボがあっても容易にトンボを検出することができ、またトンボの印刷位置が印刷物毎に多少ずれていても確実に検出できる利点もある。
【0088】
評価のための許容範囲を人間の評価基準と合うように色毎に設定することにより、印刷物の絵柄中のどの色に関しても人間の目に合った客観的な評価を行なうことができる。このため、少しでも色差が生じれば違和感を感じる色の範囲や、顧客の重視する色(イメージカラー)等については、許容範囲を狭くし、逆に違和感を感じにくい色については許容範囲を大きくすることにより、高品質と良好な生産性の両者の要求を満たすことができる。また、新規の絵柄であっても常に正しく評価できる。測色点毎に比較結果をインキの濃度差としてグラフィック表示するので、インキキーの調整が容易にできる。
【0089】
さらに、多面付け印刷物のいずれか1つの基準面において4隅のいずれか一隅等の位置精度が高い基準点の座標と評価のための測定点の座標を入力し、残りの面における基準点の座標はいくつかの面の基準点の座標と絵柄の配列規則とに基づいて求め、残りの面における測定点の座標は測定点の基準点に対する相対座標と各面の基準点の座標とに応じて求めるので、簡単な構成で多面付け印刷物において各面の同じ位置にある対応する点の印刷状態を精度良く測定することができる。
【0090】
そして、ドライダウンによる濃度の低下に対処することができるので、顧客の校閲が終了した校正刷りの測色値を基準とした評価を印刷直後のドライダウン前の印刷物の測色値を用いて行うことができる。
【0091】
本発明は上述した実施例に限定されず、種々変形して実施可能である。例えば、上述の説明では評価は色差に基づいて行なったが、明度、彩度、色相毎に比較してもよい。すなわち、領域毎に明度、彩度、色相毎に許容範囲を設ければ、さらに人間の目に合った評価を行なうことができる。一般に、基準の色との色差が同じであっても、明度、彩度のみが変わった場合には、人間の目にはそれほど違和感を感じないが、色相が変わると、非常に違和感を感じることがあるが、この方法ではこれに対応できる。
さらに、測色計の出力値としては表色系の数値以外にもY、M、C、BKの濃度値を用いてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ドライダウン後の印刷物を基準印刷物として選んだとしても、ドライダウン前に各印刷物の仕上がり状態を客観的に評価することができる印刷品質管理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による印刷品質管理装置の第1実施例の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の基本的な動作を示すフローチャート。
【図3】本発明の基本的な動作を示すフローチャート。
【図4】印刷物上に印刷される各種のトンボの形状を示す図。
【図5】単一のスポットセンサを走査してトンボを検出する原理を示す図。
【図6】トンボを検出する際のスポットセンサ22の出力波形を示す図。
【図7】印刷物の状態によるスポットセンサ22の出力波形の変化を示す図。
【図8】図7に示したスポットセンサ22の出力をオートゼロ処理した後の波形を示す図。
【図9】スポットセンサ22の出力を単に増幅した場合の波形図。
【図10】図9に示したスポットセンサ22の出力をオートゼロ処理した後に増幅した場合の波形図。
【図11】オートゼロ回路の回路図。
【図12】多面付け印刷物の一例を示す図。
【図13】多面付け印刷物の他の例を示す図。
【図14】表示画面の一例を示す図。
【図15】CIE表色系のLab色座標空間を複数の領域に分割する様子を示す図。
【図16】ノイゲバウアの式を説明するための図。
【符号の説明】
10…印刷物、12…原稿台、14,16…当て部材、18…X−Yアーム、20…測色計、22…スポットセンサ、24…ボールペン、26…入力ボタン、28…操作パネル、30…本体、32…パーソナルコンピュータ。

Claims (12)

  1. インキが乾燥したドライダウン後の基準印刷物の所定の点の測色値を基準値として記憶する手段と、
    インキが未乾燥のドライダウン前の印刷物の前記所定の点の測色値からドライダウン後の値を求め、求めたドライダウン後の値と前記基準値との差が許容範囲内か否かを判定する手段とを具備することを特徴とする印刷品質管理装置。
  2. 測色値は明度、彩度、色相からなる色座標空間内の一点の値として表わされ、前記判定手段は色座標空間がドライダウンによる色の変化が実質的に同一であるように分割されてなる複数の領域毎に所定の補正式に基づいてドライダウン前の値からドライダウン後の値を求めることを特徴とする請求項1に記載の印刷品質管理装置。
  3. 測色値は明度、彩度、色相からなる色座標空間内の一点の値として表わされ、前記判定手段は色座標空間がドライダウンによる色の変化が実質的に同一であるように分割されてなる複数の領域毎にドライダウン前の値に所定の補正値を用いてドライダウン後の値を求めることを特徴とする請求項1に記載の印刷品質管理装置。
  4. 測色値は3刺激値として表わされ、前記判定手段はノイゲバウアの式を用いてドライダウン前の測色値から網点面積率を求め、さらにノイゲバウアの式を用いて網点面積率からドライダウン後の測色値を求める手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の印刷品質管理装置。
  5. インキが乾燥したドライダウン後の基準印刷物の所定の点の測色値からドライダウン前の値を求め、求めたドライダウン前の値を基準値として記憶する手段と、
    インキが未乾燥のドライダウン前の印刷物の前記所定の点の測色値と前記基準値との差が許容範囲内か否かを判定する手段とを具備することを特徴とする印刷品質管理装置。
  6. 測色値は明度、彩度、色相からなる色座標空間内の一点の値として表わされ、前記記憶手段は色座標空間がドライダウンによる色の変化が実質的に同一であるように分割されてなる複数の領域毎に所定の補正式に基づいてドライダウン後の値からドライダウン前の値を求めることを特徴とする請求項5に記載の印刷品質管理装置。
  7. 測色値は明度、彩度、色相からなる色座標空間内の一点の値として表わされ、前記記憶手段は色座標空間がドライダウンによる色の変化が実質的に同一であるように分割されてなる複数の領域毎にドライダウン後の値に所定の補正値を用いてドライダウン前の値を求めることを特徴とする請求項5に記載の印刷品質管理装置。
  8. 測色値は3刺激値として表わされ、前記記憶手段はノイゲバウアの式を用いてドライダウン後の測色値から網点面積率を求め、さらにノイゲバウアの式を用いて網点面積率からドライダウン前の測色値を求める手段を具備することを特徴とする請求項5に記載の印刷品質管理装置。
  9. 測色値は明度、彩度、色相からなる色座標空間内の一点の値として表わされ、前記許容範囲は該色座標空間が分割されてなる複数の領域毎に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項5に記載の印刷品質管理装置。
  10. 前記許容範囲は明度、彩度、色相のそれぞれに関して設定されていることを特徴とする請求項9に記載の印刷品質管理装置。
  11. 基準印刷物上の任意の点を指定する手段と、
    印刷物の余白に印刷されている位置決めマークの位置を検出する手段と、
    前記検出手段で検出された位置決めマークの位置を基準とする前記指定手段により指定された点の位置を検出する手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の印刷品質管理装置。
  12. 前記所定の点の位置が示された印刷物のイメージ表示と、各点の判定結果を各点の位置に対応する印刷機のインキキー毎に示すグラフ表示との少なくとも一方を画面上に表示する手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の印刷品質管理装置。
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