JP3660631B2 - 航空機用シートの取付構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機の床面に敷設したシート取付用レールにシートを取付ける航空機用シートの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機においては、客室の床面にシート取付用レールが敷設されており、このレールにシートをフィッティング装置を使って取付けることにより、シート間の間隔を変更等し得るようにしている。
【0003】
図5〜図8は従来の航空機用シートの取付構造の一例を示すもので、図5はフィッティング装置によってシート取付用レールに固定された航空機用シートの要部を示す側面図、図6は後脚側の取付構造の平面図、図7(a)、(b)は同フィッティング装置の側面図および背面図、図8(a)〜(c)は第1のフィッティング部材の平面図、側面図および背面図である。図5において、全体を符号1で示す航空機用のシートは、ボトムフレーム2,バックフレーム3、シートボトム4、シートバック5、前支持脚6、後支持脚7、取付金具8、連結バー9等を備え、前記前支持脚6および後支持脚7が航空機の客室の床面10に敷設したシート取付用レール11に前側および後側のフィッティング装置12,13によって着脱可能にかつ前後方向に移動可能に固定されている。
【0004】
図6および図8において、前記シート取付用レール11は、前記床面10に複数個のビスによって固定される前後方向に長い基板11Aと、この基板11Aの上面に逆L字状に形成されて互いに対向する左右一対の溝形成壁11B,11Cとからなり、これらの溝形成壁11B,11Cと前記基板11Aの上面中央とによって囲まれた空間が断面逆T字状の溝14を形成している。各溝形成壁11B,11Cは、基板11Aの上面に突設された垂直片11B−1,11C−1と、各垂直片11B−1,11C−1の上端に基板11Aの幅方向中央に向かって延設された水平片11B−2,11C−2とからなり、両水平片11B−2,11C−2の互いに対向する先端面が前記溝14の開口縁を形成し、これらの先端面間に係合凹部16と、狭幅部17が一定のピッチPで交互に形成されている。係合凹部16は、各水平片11B−2,11C−2の先端面にそれぞれ形成された半円形の凹部18によって円形に形成されている。狭幅部17は、隣り合う係合凹部16間であって、幅が水平片11B−2,11C−2の間隔と等しい。
【0005】
図5において、前方側のフィッティング装置12は、前支持脚6の下面に上下動自在に設けられたフィッティング部材19と、前記連結バー9に回転自在に設けられたナット20とで構成されている。フィッティング部材19は、前記ナット20が螺合される雄ねじ部19Aと、この雄ねじ部19Aの下端に一体に設けられた円板状の係合片19Bとからなり、この係合片19Bが前記シート取付用レール11の係合凹部16から溝14に挿入された後、前方または後方に係合凹部16の半ピッチ(P/2)だけ移動される。これにより前記係合片19Bは狭幅部17の位置に移動され、この状態でナット20を締め付けてフィッティング部材19を上昇させると、係合片19Bが前記水平板11B−2,11C−2の前記狭幅部17に対応する部分の下面に押し付けられる。その結果として、係合片19Bとナット20とで前記水平板11B−2,11C−2を挟持するため、前支持脚6はフィッティング装置12によってシート取付用レール11に固定され、前後および上下方向の移動が規制される。
【0006】
図5〜図8において、後方側のフィッティング装置13は、第1のフィッティング部材25と、この第1のフィッティング部材25に嵌合される第2のフィッティング部材26と、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合しシート取付用レール11にこれらを押し付けるボルト27とで構成されている。
【0007】
前記第1のフィッティング部材25は、板厚が前記シート取付用レール11の狭幅部17の幅より若干小さい垂直な板体からなり、その両側面の下端側に前記各水平片11B−2,11C−2の凹部18を通って溝14に挿入される平面視半円弧状の係合突起28(28A,28B,28C)がそれぞれ3個ずつ一体に突設されている。これらの係合突起28は、前記係合凹部16と同一のピッチPで突設されている。また、第1のフィッティング部材25の両側面には、それぞれ前後一対のスライドガイド29A,29Bが前記係合突起28A,28Cの上方に位置するように一体に突設されている。これらのスライドガイド29A,29Bは、前記水平板11B−2,11C−2の上面によって支持されることにより、第1のフィッティング部材25の移動を安定かつ容易にする。また、第1のフィッティング部材25の上面中央には、前記ボルト27が螺合するねじ孔30が形成されている。さらに、第1のフィッティング部材25の上面前端部には、両側面に貫通する水平なねじ孔31を有する取付部32が一体に突設されており、この取付部32に前記後支持脚7の下端に設けた連結金具33がボルト34およびナット35によって固定される。前記連結金具33は、2本のボルト36とナット37によって後支持脚7に固定されている。
【0008】
図7において、前記第2のフィッティング部材26は、正面視形状で下向きコ字状を呈し、左右両側板26a,26bと、これらの両側板26a,26bの上端を連結する連結板26cとからなり、左右両側板26a,26bの下端中央に係合凹部38が形成され、この係合凹部38の前後がそれぞれ脚部39を形成している。前後の脚部39の間隔は、前記係合凹部16のピッチPと等しい。脚部39は、前記シート取付用レール11の凹部18に上方から挿入され得るように、平面視形状が前記係合突起28と略等しい半円弧状に形成されている。第2のフィッティング部材26を前記第1のフィッティング部材25に上方から嵌入すると、係合凹部38に係合突起28Bが嵌挿され、前後の脚部39が前記係合突起28Bと前後の係合突起28A、28Cとの間に上方からそれぞれ嵌挿される。
【0009】
後方側の支持脚7をフィッティング装置13によってシート取付用レール11に固定するには、先ず図8(a)に示すように第1のフィッティング部材25の係合突起28をシート取付用レール11の係合凹部16に上方から挿入して溝14内に位置させる。そして、第1のフィッティング部材25を半ピッチだけ前方または後方にスライドさせる。第1のフィッティング部材25を半ピッチだけ前方または後方に移動させると、各係合突起28A,28B,28Cは、水平片11B−2,11C−2間の狭幅部17に対応する板部分の下方に位置し、第1のフィッティング部材25が溝14から上方に抜けないようになる。
【0010】
次に、第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25に上方から嵌合して前後の脚部39を係合凹部16から溝14に挿入する。次いで、ボルト27を第2のフィッティング部材26の上面に形成したボルト挿通孔より第1のフィッティング部材25のねじ孔30にねじ込み、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合する。ボルト27を締め付けていくと、第1のフィッティング部材25が上昇し、相対的に第2のフィッティング部材26が下降するため、第1のフィッティング部材25の係合突起28は水平片11B−2,11C−2の下面に押し付けられ、第2のフィッティング部材26の脚部29は基板11Aの上面に押し付けられ、フィッティング装置13がシート取付用レール11に固定される。そして、ボルト34とナット35によって、第1のフィッティング部材25を取付金具33に固定すると、後支持脚7はフィッティング装置13を介してシート取付用レール11に固定され、前後および上下方向の移動が規制される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来のシート1の取付構造、特に後支持脚7をシート取付用レール11に固定する取付構造は、フィッティング装置13として形状が全く異なる第1、第2のフィッティング部材25,26を必要とするため、これらのフィッティング部材25,26の金型製作が簡単ではなく、製造コストが嵩むという問題があった。
また、後支持脚7をシート取付用レール11に固定するときには、第1のフィッティング部材25の下端部を溝14に上方から挿入して前方または後方に半ピッチ移動させることにより係合突起28を狭幅部17に位置させた後、第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25に嵌着してその脚部39を前記係合凹部16から溝14に挿入しなければならず、反対に取り外すときは第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25から外した後、第1のフィッティング部材25を前方または後方に半ピッチ移動させて溝14から抜き出す必要があるため、第1、第2のフィッティング部材25,26の取付け、取外し作業に時間を要するという問題があった。
さらに、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合するためのボルト27と、第1のフィッティング部材25を後支持脚7に固定するためのボルト36を必要とするため、ボルトの本数も増加し、取付け、取外し作業が一層時間がかかり、また重量の増加の一因になるという問題もあった。
【0012】
加えて、係合突起28は狭幅部17において上面先端部が水平板11B−2,11C−2の下面先端部に圧接されるため、この圧接部分(図4(a)の斜線部)に応力が集中する。したがって、レール自体に強度が要求され、シート取付用レール11の耐荷重をシートの種類によって増大させた場合、レールを大型化する必要があり、フィッティング装置13の大型化に繋がる。
【0013】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品点数および製造コストを低減し、取付け、取外し作業を迅速に行い得るようにした航空機用シートの取付構造を提供することにある。
また、本発明は、シート取付用レールに加わる荷重を分散し、応力の集中を防止し得るようにした航空機用シートの取付構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、断面逆T字状の溝の互いに対向する開口縁に所定のピッチで交互に形成された複数個の係合凹部および狭幅部を有し機体の床面に敷設されたシート取付用レールと、垂直部と、この垂直部の下端に設けられた係止片と、前記垂直部の表面側に突設された係合凸部を一体に有する一対のフィッティング部材とを備え、前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに合わさるように向きを逆にして表面側にそれぞれ傾けることにより前記係止片を前記溝に上方から係入するとともに前記係合凸部を前記係合凹部に係合させ、前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに近接対向または密接するように回動、起立させて固定手段によりシートの支持脚に固定し、前記係止片を前記溝の天井面に押し付けるようにしたものである。
【0015】
第1の発明においては、同一形状からなる一対のフィッティング部材を用いているので、フィッティング部材の種類が1種類ですみ、安価に製作することができる。固定手段は一対のフィッティング部材を回動起立させて結合するとともに、シートの支持脚に固定する。すなわち、固定手段は、フィッティング部材どうしを結合する結合手段と、フィッティング部材を支持脚に固定する固定手段を兼用できるから、固定手段の数を削減できる。一対のフィッティング部材は、係合凸部と係合凹部が係合することで、前後方向の移動が規制され、回動起立して係止片が溝の天井面に圧接されることで、上下方向の移動が規制される。固定手段としては、通常ボルトおよびナットが用いられる。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、フィッティング部材の係止片を、垂直部の表面に対して鋭角になるように斜め上方を指向させているものである。
【0017】
第2の発明においては、係止片が斜め上方を指向しているので、係止片の板厚を溝の深さより薄くしても、フィッティング部材を回動起立させたとき、係止片を溝の天井面に確実に押し付けることができ、また溝へのフィッティング部材の係入を容易にする。
【0018】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、フィッティング部材の係止片を、垂直部の全長にわたって設けたものである。
【0019】
この発明においては、溝の天井面に当たる係止片が長く形成されているので、シート取付用レールに加わる荷重が分散され、応力の集中を緩和する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る航空機用シートの取付構造の一実施の形態を示す断面図、図2(a)、(b)は、フィッティング部材の表面側から見た斜視図および裏面側から見た斜視図、図3は一対のフィッティング部材をシート取付用レールの溝に係入した状態を示す斜視図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材と同一のものについては同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。また、本実施の形態においては、シートの後支持脚をシート取付用レールに固定するフィッティング装置に適用した例を示す。
【0021】
機体の床面に敷設されるシート取付用レール11は、図5に示した従来のレールと全く同一構造である。このため、シート取付用レール11は、前後方向に長い基板11Aと、この基板11Aの上面に突設された互いに対向する左右一対の溝形成壁11B,11Cとで構成されている。各溝形成壁11B,11Cは、逆L字状に形成されることにより、垂直片11B−1,11C−1と、各垂直片11B−1,11C−1の上端に互いに対向するように設けられた水平片11B−2,11C−2とからなり、前記基板11Aとともに断面逆T字状の溝14を形成している。また、左右の水平片11B−2,11C−2間には、係合凹部16と、狭幅部17が一定のピッチで交互に形成されている。係合凹部16は、各水平片11B−2,11C−2の互いに対向する先端面にそれぞれ形成された半円形の凹部18によって円形に形成されている。狭幅部17は、隣り合う係合凹部16間であって、幅が水平片11B−2,11C−2間の間隔と等しい。
【0022】
このようなシート取付用レール11に対してシートの後支持脚7を取付ける取付構造としては、全く同一形状からなる一対のフィッティング部材50と、これらのフィッティング部材50を互いに結合するとともに前記後支持脚7に左右一対の取付金具33a,33bを介して取付ける1本のボルト(固定手段)51およびナット52が用いられる。
【0023】
前記フィッティング部材50は、前後方向に長い矩形の板体からなる垂直部50Aと、この垂直部50Aの表面側の下端に設けられた係止片50Bと、この係止片50Bの上面に前記垂直部50Aの表面に沿って突設された前後一対の係合凸部50Cと、垂直部50Aの上面中央に突設された脚取付部50Dとで構成されている。
【0024】
前記垂直部50Aの下端部は、前記係止片50Bとともに前記シート取付用レール11の溝14に上方から挿入されるため、板厚が狭幅部17の幅より十分に小さく設定されている。溝14に挿入されない上方部分の板厚は、狭幅部17の幅より大きくてもよい。なお、垂直部50Aの裏面55は、平坦面に形成されている。
【0025】
前記係止片50Bは、垂直部50Aの表面に対して鋭角になるように斜め上方に指向しており、先端の高さHが前記溝14の深さWより若干(数mm程度)大きく設定されている。また、係止片50Bは、垂直部50Aの全長にわたって設けられている。
【0026】
前記2つの係合凸部50Cは、前記各水平片11B−2,11C−2の互いに対向する端面にそれぞれ形成した半円形の凹部18より若干小さい半円柱状の突起から、前記係合凹部16と同一のピッチで形成されている。前記脚取付部50Dは矩形の突起部からなり、前記ボルト51が貫通するボルト挿通孔54を有している。
【0027】
次に、後支持脚7をシート取付用レール11に取付ける手順について説明する。まず、図2に示すフィッティング部材50を2個用意する。次に、2つのフィッティング部材50,50の下端部をシート取付用レール11の溝14に係入する。溝14への係入は、図3に示すように2つのフィッティング部材50,50を前後方向を一致させて背中合わせにし、外側(表面側)にそれぞれ所要角度傾倒させた状態で、係止片50Bを溝14に上方から挿入する。このとき、シート取付用レール11の前後2つの係合凹部16に各フィッティング部材50,50の係合凸部50C,50Cを係入させる。図3は係合凹部16と係合凸部50Cが係合した状態を示す。この状態より2つのフィッティング部材50,50を図3に矢印で示すように回動起立させて垂直部50Bを互いに対向させ、係止片50Bの先端を溝14の天井面(水平板11B−2,11C−2の下面)に接触させる。そして、2つのフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54にボルト51を挿通し、これらのフィッティング部材50,50を後支持脚7の下端部に左右一対の取付金具33a,33bを介して取付ける。
【0028】
左右一対の取付金具33a,33bのうち、一方の取付金具33aは予め後支持脚7の一方の側面7aに溶接かボルト等によって固定されており、他方の取付金具33bは前記ボルト51によって後支持脚7の他方の側面7bに固定される。
【0029】
前記ボルト51は一方の取付金具33aの挿通孔60に挿通された後、2個のフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54に挿通され、さらに他方の取付金具33bの挿通孔60に挿通される。そして、その先端部にナット52を螺合して2つの取付金具33a,33bを締め付けると、2つのフィッティング部材50,50は垂直部50Aの下端を回動支点としてさらに回動起立されて裏面が略密接または近接対向する。このため、各フィッティング部材50,50の係止片50B,50Bの先端部は、図1に示すように溝14の天井面に圧接される。そして、他方の取付金具33bを後支持脚7にボルト等によって固定すると、後支持脚7はシート取付用レール11に固定され、前後方向および上下方向の移動が規制される。
【0030】
後支持脚7をシート取付用レール11から取り外すときは、上記とは反対にナット52をボルト51から外し、さらにボルト51を取付金具33a,33bの挿通孔60および2つのフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54から抜き取る。次に、2つのフィッティング部材50,50を図3に示すように外側に傾倒させて上方に持ち上げると、係止片50Bが溝14から抜け出し、係合凸部50Cが係合凹部16から離脱し、フィッティング部材50,50をシート取付用レール11から取り外すことができる。
【0031】
このようなシートの取付構造においては、1種類のフィッティング部材50を2個用いるだけでよいので、上記した従来の取付構造に比べてフィッティング部材の種類が1種類ですみ、フィッティング部材50の製造コストを低減することができる。また、ボルト51は、一対のフィッティング部材50,50を結合するとともに、これらのフィッティング部材50,50に後支持脚7を固定する固定手段を兼用しているので、ボルトの使用本数が少なく、部品点数を削減することができ、またフィッティング部材50の取付け、取外し作業も簡単かつ容易で短時間に行うことができる。
【0032】
また、フィッティング部材50は、係合凸部50Cが係合凹部16に係入されていることで、シートの前後方向の移動を確実に防止し、係止片50Bが溝14の天井面に圧接されていることで、シートの上下方向の移動を確実に防止する。
【0033】
ここで、上記した従来の取付構造においては、図4(a)に示すように、第1のフィッティング部材25の係合突起28が水平板11B−2,11C−2の下面に圧接する構造を採用しているため、その圧接箇所(斜線部)が局部的で接触面積が小さく、水平板11B−2,11C−2の先端部に応力が集中するきらいがあるのに対して、本発明においては水平板11B−2,11C−2に加わる応力をその長手方向に分散させることができる。すなわち、本発明においては、図4(b)に示すように係止片50Bの先端部が全長にわたって水平板11B−2,11C−2の下面に線状に圧接されるため、水平板11B−2,11C−2に加わる荷重がその長手方向に分散され、応力の集中を防止する。さらに、係止片50Bの先端部は、従来構造に比べて水平板11B−2,11C−2の下面でその基端部寄りにおいて圧接されるため、水平板11B−2,11C−2を上方に塑性変形させたりすることがなく、耐荷重をシートの種類によって増大させた場合でも、レール自体を大型化する必要がない。
【0034】
なお、上記した実施の形態においては、後支持脚7の取付構造として示したが、前支持脚6の取付構造としてもそのまま使用することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る航空機用シートの取付構造によれば、構造が簡単でフィッティング部材の種類を1種類とすることができ、フィッティング部材の製造コストを低減することができる。また、フィッティング部材の取付け、取外し作業が簡単で、短時間に行うことができる。また、フィッティング部材の係止片を斜め上方を指向させているので、フィッティング部材を回動起立させると、溝の天井面に確実に押し付けることができ、フィッティング部材をシート取付用レールに確実に固定することができる。さらに、レールに加わる荷重を長手方向に分散させることができ、レールに対する負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る航空機用シートの取付構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】 (a)、(b)はフィッティング部材の表面側から見た斜視図および裏面側から見た斜視図である。
【図3】 一対のフィッティング部材をシート取付用レールの溝に係入した状態を示す斜視図である
【図4】 (a)、(b)は本発明と従来構造との応力の加わり方の相違を説明するための図である。
【図5】 フィッティング装置によってシート取付用レールに固定された航空機用シートの要部を示す側面図である。
【図6】 後脚側の取付構造の平面図である。
【図7】 (a)、(b)は同フィッティング装置の側面図および背面図である。
【図8】 (a)〜(c)は第1のフィッティング部材の平面図、側面図および背面図である。
【符号の説明】
1…シート、6…前支持脚、7…後支持脚、10…床面、11…シート取付用レール、14…溝、16…係合凹部、17…狭幅部、50…フィッティング部材、50A…垂直部、50B…係止片、50C…係合凸部、50D…取付部、51…ボルト、54…ボルト挿通孔。
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機の床面に敷設したシート取付用レールにシートを取付ける航空機用シートの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機においては、客室の床面にシート取付用レールが敷設されており、このレールにシートをフィッティング装置を使って取付けることにより、シート間の間隔を変更等し得るようにしている。
【0003】
図5〜図8は従来の航空機用シートの取付構造の一例を示すもので、図5はフィッティング装置によってシート取付用レールに固定された航空機用シートの要部を示す側面図、図6は後脚側の取付構造の平面図、図7(a)、(b)は同フィッティング装置の側面図および背面図、図8(a)〜(c)は第1のフィッティング部材の平面図、側面図および背面図である。図5において、全体を符号1で示す航空機用のシートは、ボトムフレーム2,バックフレーム3、シートボトム4、シートバック5、前支持脚6、後支持脚7、取付金具8、連結バー9等を備え、前記前支持脚6および後支持脚7が航空機の客室の床面10に敷設したシート取付用レール11に前側および後側のフィッティング装置12,13によって着脱可能にかつ前後方向に移動可能に固定されている。
【0004】
図6および図8において、前記シート取付用レール11は、前記床面10に複数個のビスによって固定される前後方向に長い基板11Aと、この基板11Aの上面に逆L字状に形成されて互いに対向する左右一対の溝形成壁11B,11Cとからなり、これらの溝形成壁11B,11Cと前記基板11Aの上面中央とによって囲まれた空間が断面逆T字状の溝14を形成している。各溝形成壁11B,11Cは、基板11Aの上面に突設された垂直片11B−1,11C−1と、各垂直片11B−1,11C−1の上端に基板11Aの幅方向中央に向かって延設された水平片11B−2,11C−2とからなり、両水平片11B−2,11C−2の互いに対向する先端面が前記溝14の開口縁を形成し、これらの先端面間に係合凹部16と、狭幅部17が一定のピッチPで交互に形成されている。係合凹部16は、各水平片11B−2,11C−2の先端面にそれぞれ形成された半円形の凹部18によって円形に形成されている。狭幅部17は、隣り合う係合凹部16間であって、幅が水平片11B−2,11C−2の間隔と等しい。
【0005】
図5において、前方側のフィッティング装置12は、前支持脚6の下面に上下動自在に設けられたフィッティング部材19と、前記連結バー9に回転自在に設けられたナット20とで構成されている。フィッティング部材19は、前記ナット20が螺合される雄ねじ部19Aと、この雄ねじ部19Aの下端に一体に設けられた円板状の係合片19Bとからなり、この係合片19Bが前記シート取付用レール11の係合凹部16から溝14に挿入された後、前方または後方に係合凹部16の半ピッチ(P/2)だけ移動される。これにより前記係合片19Bは狭幅部17の位置に移動され、この状態でナット20を締め付けてフィッティング部材19を上昇させると、係合片19Bが前記水平板11B−2,11C−2の前記狭幅部17に対応する部分の下面に押し付けられる。その結果として、係合片19Bとナット20とで前記水平板11B−2,11C−2を挟持するため、前支持脚6はフィッティング装置12によってシート取付用レール11に固定され、前後および上下方向の移動が規制される。
【0006】
図5〜図8において、後方側のフィッティング装置13は、第1のフィッティング部材25と、この第1のフィッティング部材25に嵌合される第2のフィッティング部材26と、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合しシート取付用レール11にこれらを押し付けるボルト27とで構成されている。
【0007】
前記第1のフィッティング部材25は、板厚が前記シート取付用レール11の狭幅部17の幅より若干小さい垂直な板体からなり、その両側面の下端側に前記各水平片11B−2,11C−2の凹部18を通って溝14に挿入される平面視半円弧状の係合突起28(28A,28B,28C)がそれぞれ3個ずつ一体に突設されている。これらの係合突起28は、前記係合凹部16と同一のピッチPで突設されている。また、第1のフィッティング部材25の両側面には、それぞれ前後一対のスライドガイド29A,29Bが前記係合突起28A,28Cの上方に位置するように一体に突設されている。これらのスライドガイド29A,29Bは、前記水平板11B−2,11C−2の上面によって支持されることにより、第1のフィッティング部材25の移動を安定かつ容易にする。また、第1のフィッティング部材25の上面中央には、前記ボルト27が螺合するねじ孔30が形成されている。さらに、第1のフィッティング部材25の上面前端部には、両側面に貫通する水平なねじ孔31を有する取付部32が一体に突設されており、この取付部32に前記後支持脚7の下端に設けた連結金具33がボルト34およびナット35によって固定される。前記連結金具33は、2本のボルト36とナット37によって後支持脚7に固定されている。
【0008】
図7において、前記第2のフィッティング部材26は、正面視形状で下向きコ字状を呈し、左右両側板26a,26bと、これらの両側板26a,26bの上端を連結する連結板26cとからなり、左右両側板26a,26bの下端中央に係合凹部38が形成され、この係合凹部38の前後がそれぞれ脚部39を形成している。前後の脚部39の間隔は、前記係合凹部16のピッチPと等しい。脚部39は、前記シート取付用レール11の凹部18に上方から挿入され得るように、平面視形状が前記係合突起28と略等しい半円弧状に形成されている。第2のフィッティング部材26を前記第1のフィッティング部材25に上方から嵌入すると、係合凹部38に係合突起28Bが嵌挿され、前後の脚部39が前記係合突起28Bと前後の係合突起28A、28Cとの間に上方からそれぞれ嵌挿される。
【0009】
後方側の支持脚7をフィッティング装置13によってシート取付用レール11に固定するには、先ず図8(a)に示すように第1のフィッティング部材25の係合突起28をシート取付用レール11の係合凹部16に上方から挿入して溝14内に位置させる。そして、第1のフィッティング部材25を半ピッチだけ前方または後方にスライドさせる。第1のフィッティング部材25を半ピッチだけ前方または後方に移動させると、各係合突起28A,28B,28Cは、水平片11B−2,11C−2間の狭幅部17に対応する板部分の下方に位置し、第1のフィッティング部材25が溝14から上方に抜けないようになる。
【0010】
次に、第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25に上方から嵌合して前後の脚部39を係合凹部16から溝14に挿入する。次いで、ボルト27を第2のフィッティング部材26の上面に形成したボルト挿通孔より第1のフィッティング部材25のねじ孔30にねじ込み、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合する。ボルト27を締め付けていくと、第1のフィッティング部材25が上昇し、相対的に第2のフィッティング部材26が下降するため、第1のフィッティング部材25の係合突起28は水平片11B−2,11C−2の下面に押し付けられ、第2のフィッティング部材26の脚部29は基板11Aの上面に押し付けられ、フィッティング装置13がシート取付用レール11に固定される。そして、ボルト34とナット35によって、第1のフィッティング部材25を取付金具33に固定すると、後支持脚7はフィッティング装置13を介してシート取付用レール11に固定され、前後および上下方向の移動が規制される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように従来のシート1の取付構造、特に後支持脚7をシート取付用レール11に固定する取付構造は、フィッティング装置13として形状が全く異なる第1、第2のフィッティング部材25,26を必要とするため、これらのフィッティング部材25,26の金型製作が簡単ではなく、製造コストが嵩むという問題があった。
また、後支持脚7をシート取付用レール11に固定するときには、第1のフィッティング部材25の下端部を溝14に上方から挿入して前方または後方に半ピッチ移動させることにより係合突起28を狭幅部17に位置させた後、第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25に嵌着してその脚部39を前記係合凹部16から溝14に挿入しなければならず、反対に取り外すときは第2のフィッティング部材26を第1のフィッティング部材25から外した後、第1のフィッティング部材25を前方または後方に半ピッチ移動させて溝14から抜き出す必要があるため、第1、第2のフィッティング部材25,26の取付け、取外し作業に時間を要するという問題があった。
さらに、第1、第2のフィッティング部材25,26を結合するためのボルト27と、第1のフィッティング部材25を後支持脚7に固定するためのボルト36を必要とするため、ボルトの本数も増加し、取付け、取外し作業が一層時間がかかり、また重量の増加の一因になるという問題もあった。
【0012】
加えて、係合突起28は狭幅部17において上面先端部が水平板11B−2,11C−2の下面先端部に圧接されるため、この圧接部分(図4(a)の斜線部)に応力が集中する。したがって、レール自体に強度が要求され、シート取付用レール11の耐荷重をシートの種類によって増大させた場合、レールを大型化する必要があり、フィッティング装置13の大型化に繋がる。
【0013】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、部品点数および製造コストを低減し、取付け、取外し作業を迅速に行い得るようにした航空機用シートの取付構造を提供することにある。
また、本発明は、シート取付用レールに加わる荷重を分散し、応力の集中を防止し得るようにした航空機用シートの取付構造を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第1の発明は、断面逆T字状の溝の互いに対向する開口縁に所定のピッチで交互に形成された複数個の係合凹部および狭幅部を有し機体の床面に敷設されたシート取付用レールと、垂直部と、この垂直部の下端に設けられた係止片と、前記垂直部の表面側に突設された係合凸部を一体に有する一対のフィッティング部材とを備え、前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに合わさるように向きを逆にして表面側にそれぞれ傾けることにより前記係止片を前記溝に上方から係入するとともに前記係合凸部を前記係合凹部に係合させ、前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに近接対向または密接するように回動、起立させて固定手段によりシートの支持脚に固定し、前記係止片を前記溝の天井面に押し付けるようにしたものである。
【0015】
第1の発明においては、同一形状からなる一対のフィッティング部材を用いているので、フィッティング部材の種類が1種類ですみ、安価に製作することができる。固定手段は一対のフィッティング部材を回動起立させて結合するとともに、シートの支持脚に固定する。すなわち、固定手段は、フィッティング部材どうしを結合する結合手段と、フィッティング部材を支持脚に固定する固定手段を兼用できるから、固定手段の数を削減できる。一対のフィッティング部材は、係合凸部と係合凹部が係合することで、前後方向の移動が規制され、回動起立して係止片が溝の天井面に圧接されることで、上下方向の移動が規制される。固定手段としては、通常ボルトおよびナットが用いられる。
【0016】
第2の発明は、上記第1の発明において、フィッティング部材の係止片を、垂直部の表面に対して鋭角になるように斜め上方を指向させているものである。
【0017】
第2の発明においては、係止片が斜め上方を指向しているので、係止片の板厚を溝の深さより薄くしても、フィッティング部材を回動起立させたとき、係止片を溝の天井面に確実に押し付けることができ、また溝へのフィッティング部材の係入を容易にする。
【0018】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、フィッティング部材の係止片を、垂直部の全長にわたって設けたものである。
【0019】
この発明においては、溝の天井面に当たる係止片が長く形成されているので、シート取付用レールに加わる荷重が分散され、応力の集中を緩和する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る航空機用シートの取付構造の一実施の形態を示す断面図、図2(a)、(b)は、フィッティング部材の表面側から見た斜視図および裏面側から見た斜視図、図3は一対のフィッティング部材をシート取付用レールの溝に係入した状態を示す斜視図である。なお、従来技術の欄で示した構成部材と同一のものについては同一符号をもって示し、その説明を適宜省略する。また、本実施の形態においては、シートの後支持脚をシート取付用レールに固定するフィッティング装置に適用した例を示す。
【0021】
機体の床面に敷設されるシート取付用レール11は、図5に示した従来のレールと全く同一構造である。このため、シート取付用レール11は、前後方向に長い基板11Aと、この基板11Aの上面に突設された互いに対向する左右一対の溝形成壁11B,11Cとで構成されている。各溝形成壁11B,11Cは、逆L字状に形成されることにより、垂直片11B−1,11C−1と、各垂直片11B−1,11C−1の上端に互いに対向するように設けられた水平片11B−2,11C−2とからなり、前記基板11Aとともに断面逆T字状の溝14を形成している。また、左右の水平片11B−2,11C−2間には、係合凹部16と、狭幅部17が一定のピッチで交互に形成されている。係合凹部16は、各水平片11B−2,11C−2の互いに対向する先端面にそれぞれ形成された半円形の凹部18によって円形に形成されている。狭幅部17は、隣り合う係合凹部16間であって、幅が水平片11B−2,11C−2間の間隔と等しい。
【0022】
このようなシート取付用レール11に対してシートの後支持脚7を取付ける取付構造としては、全く同一形状からなる一対のフィッティング部材50と、これらのフィッティング部材50を互いに結合するとともに前記後支持脚7に左右一対の取付金具33a,33bを介して取付ける1本のボルト(固定手段)51およびナット52が用いられる。
【0023】
前記フィッティング部材50は、前後方向に長い矩形の板体からなる垂直部50Aと、この垂直部50Aの表面側の下端に設けられた係止片50Bと、この係止片50Bの上面に前記垂直部50Aの表面に沿って突設された前後一対の係合凸部50Cと、垂直部50Aの上面中央に突設された脚取付部50Dとで構成されている。
【0024】
前記垂直部50Aの下端部は、前記係止片50Bとともに前記シート取付用レール11の溝14に上方から挿入されるため、板厚が狭幅部17の幅より十分に小さく設定されている。溝14に挿入されない上方部分の板厚は、狭幅部17の幅より大きくてもよい。なお、垂直部50Aの裏面55は、平坦面に形成されている。
【0025】
前記係止片50Bは、垂直部50Aの表面に対して鋭角になるように斜め上方に指向しており、先端の高さHが前記溝14の深さWより若干(数mm程度)大きく設定されている。また、係止片50Bは、垂直部50Aの全長にわたって設けられている。
【0026】
前記2つの係合凸部50Cは、前記各水平片11B−2,11C−2の互いに対向する端面にそれぞれ形成した半円形の凹部18より若干小さい半円柱状の突起から、前記係合凹部16と同一のピッチで形成されている。前記脚取付部50Dは矩形の突起部からなり、前記ボルト51が貫通するボルト挿通孔54を有している。
【0027】
次に、後支持脚7をシート取付用レール11に取付ける手順について説明する。まず、図2に示すフィッティング部材50を2個用意する。次に、2つのフィッティング部材50,50の下端部をシート取付用レール11の溝14に係入する。溝14への係入は、図3に示すように2つのフィッティング部材50,50を前後方向を一致させて背中合わせにし、外側(表面側)にそれぞれ所要角度傾倒させた状態で、係止片50Bを溝14に上方から挿入する。このとき、シート取付用レール11の前後2つの係合凹部16に各フィッティング部材50,50の係合凸部50C,50Cを係入させる。図3は係合凹部16と係合凸部50Cが係合した状態を示す。この状態より2つのフィッティング部材50,50を図3に矢印で示すように回動起立させて垂直部50Bを互いに対向させ、係止片50Bの先端を溝14の天井面(水平板11B−2,11C−2の下面)に接触させる。そして、2つのフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54にボルト51を挿通し、これらのフィッティング部材50,50を後支持脚7の下端部に左右一対の取付金具33a,33bを介して取付ける。
【0028】
左右一対の取付金具33a,33bのうち、一方の取付金具33aは予め後支持脚7の一方の側面7aに溶接かボルト等によって固定されており、他方の取付金具33bは前記ボルト51によって後支持脚7の他方の側面7bに固定される。
【0029】
前記ボルト51は一方の取付金具33aの挿通孔60に挿通された後、2個のフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54に挿通され、さらに他方の取付金具33bの挿通孔60に挿通される。そして、その先端部にナット52を螺合して2つの取付金具33a,33bを締め付けると、2つのフィッティング部材50,50は垂直部50Aの下端を回動支点としてさらに回動起立されて裏面が略密接または近接対向する。このため、各フィッティング部材50,50の係止片50B,50Bの先端部は、図1に示すように溝14の天井面に圧接される。そして、他方の取付金具33bを後支持脚7にボルト等によって固定すると、後支持脚7はシート取付用レール11に固定され、前後方向および上下方向の移動が規制される。
【0030】
後支持脚7をシート取付用レール11から取り外すときは、上記とは反対にナット52をボルト51から外し、さらにボルト51を取付金具33a,33bの挿通孔60および2つのフィッティング部材50,50のボルト挿通孔54から抜き取る。次に、2つのフィッティング部材50,50を図3に示すように外側に傾倒させて上方に持ち上げると、係止片50Bが溝14から抜け出し、係合凸部50Cが係合凹部16から離脱し、フィッティング部材50,50をシート取付用レール11から取り外すことができる。
【0031】
このようなシートの取付構造においては、1種類のフィッティング部材50を2個用いるだけでよいので、上記した従来の取付構造に比べてフィッティング部材の種類が1種類ですみ、フィッティング部材50の製造コストを低減することができる。また、ボルト51は、一対のフィッティング部材50,50を結合するとともに、これらのフィッティング部材50,50に後支持脚7を固定する固定手段を兼用しているので、ボルトの使用本数が少なく、部品点数を削減することができ、またフィッティング部材50の取付け、取外し作業も簡単かつ容易で短時間に行うことができる。
【0032】
また、フィッティング部材50は、係合凸部50Cが係合凹部16に係入されていることで、シートの前後方向の移動を確実に防止し、係止片50Bが溝14の天井面に圧接されていることで、シートの上下方向の移動を確実に防止する。
【0033】
ここで、上記した従来の取付構造においては、図4(a)に示すように、第1のフィッティング部材25の係合突起28が水平板11B−2,11C−2の下面に圧接する構造を採用しているため、その圧接箇所(斜線部)が局部的で接触面積が小さく、水平板11B−2,11C−2の先端部に応力が集中するきらいがあるのに対して、本発明においては水平板11B−2,11C−2に加わる応力をその長手方向に分散させることができる。すなわち、本発明においては、図4(b)に示すように係止片50Bの先端部が全長にわたって水平板11B−2,11C−2の下面に線状に圧接されるため、水平板11B−2,11C−2に加わる荷重がその長手方向に分散され、応力の集中を防止する。さらに、係止片50Bの先端部は、従来構造に比べて水平板11B−2,11C−2の下面でその基端部寄りにおいて圧接されるため、水平板11B−2,11C−2を上方に塑性変形させたりすることがなく、耐荷重をシートの種類によって増大させた場合でも、レール自体を大型化する必要がない。
【0034】
なお、上記した実施の形態においては、後支持脚7の取付構造として示したが、前支持脚6の取付構造としてもそのまま使用することが可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る航空機用シートの取付構造によれば、構造が簡単でフィッティング部材の種類を1種類とすることができ、フィッティング部材の製造コストを低減することができる。また、フィッティング部材の取付け、取外し作業が簡単で、短時間に行うことができる。また、フィッティング部材の係止片を斜め上方を指向させているので、フィッティング部材を回動起立させると、溝の天井面に確実に押し付けることができ、フィッティング部材をシート取付用レールに確実に固定することができる。さらに、レールに加わる荷重を長手方向に分散させることができ、レールに対する負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る航空機用シートの取付構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】 (a)、(b)はフィッティング部材の表面側から見た斜視図および裏面側から見た斜視図である。
【図3】 一対のフィッティング部材をシート取付用レールの溝に係入した状態を示す斜視図である
【図4】 (a)、(b)は本発明と従来構造との応力の加わり方の相違を説明するための図である。
【図5】 フィッティング装置によってシート取付用レールに固定された航空機用シートの要部を示す側面図である。
【図6】 後脚側の取付構造の平面図である。
【図7】 (a)、(b)は同フィッティング装置の側面図および背面図である。
【図8】 (a)〜(c)は第1のフィッティング部材の平面図、側面図および背面図である。
【符号の説明】
1…シート、6…前支持脚、7…後支持脚、10…床面、11…シート取付用レール、14…溝、16…係合凹部、17…狭幅部、50…フィッティング部材、50A…垂直部、50B…係止片、50C…係合凸部、50D…取付部、51…ボルト、54…ボルト挿通孔。
Claims (3)
- 断面逆T字状の溝の互いに対向する開口縁に所定のピッチで交互に形成された複数個の係合凹部および狭幅部を有し機体の床面に敷設されたシート取付用レールと、
垂直部と、この垂直部の下端に設けられた係止片と、前記垂直部の表面側に突設された係合凸部を一体に有する一対のフィッティング部材とを備え、
前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに合わさるように向きを逆にして表面側にそれぞれ傾けることにより前記係止片を前記溝に上方から係入するとともに前記係合凸部を前記係合凹部に係合させ、前記一対のフィッティング部材を裏面側が互いに近接対向または密接するように回動、起立させて固定手段によりシートの支持脚に固定し、前記係止片を前記溝の天井面に押し付けるようにした航空機用シートの取付構造。 - 請求項1記載の航空機用シートの取付構造において、
フィッティング部材の係止片は、垂直部の表面に対して鋭角になるように斜め上方を指向している航空機用シートの取付構造。 - 請求項1または2記載の航空機用シートの取付構造において、
フィッティング部材の係止片は、垂直部の全長にわたって設けられている航空機用シートの取付構造。
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