JP3659202B2 - 発光素子用積層構造体、その製造方法、発光素子、ランプ及び光源 - Google Patents

発光素子用積層構造体、その製造方法、発光素子、ランプ及び光源 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リン化硼素(BP)系半導体層と窒化ガリウム・インジウム(GaInN)系半導体層とを利用して発光素子用積層構造体を構成するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、珪素(Si)単結晶基板上に設けた窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)を発光層として利用して(特公昭55−3834号公報参照)、青色帯発光ダイオード(LED)を構成する技術が知られている(Elctron.Lett.,Vol.33,No.23(1997)、1986〜1987頁参照)。Si単結晶を基板とする従来の窒化ガリウム系LEDにあって、発光層には、より禁止帯幅を大とする窒化アルミニウム・ガリウム(AlYGa1-YN:0≦Y≦1)をヘテロ(異種:hetero)接合させる構成となっている(Appl.Phys.Lett.,72(4)(1998)、415〜417頁参照)。また、pn接合型ダブルヘテロ(DH)構造をなす発光層と障壁(クラッド)層は、六方晶(hexagonal)のGaYIn1-YN層とAlYGa1-YN層から構成されているのがもっぱらである(「III族窒化物半導体」(1999年12月8日、(株)培風館発行初版)、241〜252頁参照)。
【0003】
窒化ガリウム(GaN)系半導体は、構成元素である窒素(N)の高温での揮散に因って発生する窒素の空孔(vacancy)がドナー(donor)として働くとされ、元来、n形の伝導層と成り易いとされる(特開昭54−71589号公報参照)。加えて、六方晶ウルツ鉱型(Wurzite)の窒化ガリウム系結晶では、価電子帯の縮帯が開放されていないため(生駒 俊明、生駒 英明共著、「化合物半導体の基礎物性入門」(1991年9月10日、(株)培風館発行初版、14〜17頁参照))、p形の低抵抗層を得るのが難しいとされる。このため、従来では、p形不純物を添加した窒化ガリウム系半導体層を一旦、気相成長させた後、熱処理或いは電子線照射処理等の後工程を付して低抵抗のp形伝導層となす措置がとられている(「III−V族化合物半導体」(1994年5月20日、(株)培風館発行初版)、343頁参照)。
【0004】
また、Si単結晶基板上に、リン化硼素(BP)系半導体からなる緩衝層を介して設けたGaYIn1-YN(0≦Y≦1)発光層を利用して構成したLEDが開示されている(▲1▼米国特許6,069,021号公報、▲2▼特開平11−266006号公報、及び▲3▼特開2000−22211号公報参照)。
【0005】
シリコン基板上にリン化硼素(BP)系単結晶層を形成する技術手段として、従来より、例えば、ジボラン(B26)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)反応系有機金属熱分解気相成長(MOCVD)法がある(Inst.Phys.Conf.Ser.,No.129(IOP Publishing Ltd.,1993)、Chapter 3、157〜162頁参照)。また、三塩化硼素(BCl3)/三塩化リン(PCl3)/水素(H2)系ハロゲン気相成長手段が知られている(「日本結晶成長学会誌」、Vol.24、No.2(1997)、150頁参照)。
【0006】
従来のMOCVD法では、例えば、面指数を(100)とするシリコン基板の表面上には、基板表面と同一の面指数を(100)とするリン化硼素単結晶層が形成される(Jpn.J.Appl.Phys.,13(3)(1974)、411〜416頁にあって、特に、413頁参照)。また、例えば、ハロゲン(halogen)気相成長法であっても、面指数を(111)とするシリコン基板上には、同じく面指数を(111)とするリン化硼素(BP)単結晶層が形成されている(J.Crystal Growth.13/14(1972)、346頁参照)。即ち、リン化硼素(BP)単結晶層を構成する結晶面の面指数は成長手段に依らず基板の表面をなす結晶面の面指数と同一であるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
n形GaYIn1-YN(0≦Y≦1)発光層に対し、p形の障壁層を六方晶のAlYGa1-YN(0≦Y≦1)から構成する従来技術では、p形クラッド層をなすに好適となる低抵抗のp形伝導層を得るに煩雑な工程を要する(特開平5−183189号(日本国特許第254791号)各公報参照)。一方、リン化硼素(BP)は、立方晶閃亜鉛鉱型の結晶であり、価電子帯は縮帯構造となっている(上記の「化合物半導体の基礎物性入門」、14〜17頁参照)。しかも、イオン結合度が0.006と低い(PHILLIPS著、「半導体結合論」((株)吉岡書店、1985年7月25日発行、第3刷)、49〜51頁参照)。このため、低抵抗のp形伝導層を形成するのが容易である特徴がある。
【0008】
しかし、単結晶のBP層が形成される温度は、1020℃〜1070℃と高々、50℃の極めて狭い範囲に限定されている(西永 頌、「応用物理」、第45巻第9号(1976)、891〜897頁参照)。このため、単結晶のリン化硼素系半導体層から障壁層を安定して構成するに支障を来しているのが現状である。単結晶のBP層を帰結できる温度範囲は、リン化硼素(格子定数≒4.54Å)の(111)結晶面間の面間隔(≒3.21Å)との差異を小とする六方晶(hexagonal)炭化珪素(a軸格子定数≒3.08Å)を基板とすれば、1050℃〜1150℃となり、範囲は100℃に拡幅できると報告されている(J.Appl.Phys.,42(1)(1971)、420〜424頁参照)。しかし、この様な高温環境下では、p形伝導層を得るために添加したZn或いはMg等のp形不純物の熱拡散が顕著となるため、障壁層として用いるに好適な所望の導電性のp形リン化硼素系層半導体を安定して得るに至っていない。
【0009】
また、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)は約620℃から分解することが知られている(日本産業技術振興協会新材料技術委員会編著、「化合物半導体デバイス」(1973年9月15日、(財)日本産業技術振興協会発行)、397頁参照)。このため、GaYIn1-YN発光層上に1000℃を越える高温で単結晶のリン化硼素系半導体層を障壁層として積層させようとすると、昇華によりGaYIn1-YN発光層が損失される場合がある。依って、GaYIn1-YN発光層とリン化硼素系半導体層とからなるヘテロ接合構造からなる発光部を安定して形成できないのが問題となっている。
【0010】
本発明は上記の従来技術の問題点を克服すべくなされたもので、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)発光層へ例えば、熱的な損傷を及ぼすことなく、当該発光層上に都合良くリン化硼素系半導体層からなる障壁層を積層させた積層構造体およびその製造方法を提供する。また、その積層構造体からなる発光素子、ランプ(lamp)、及び光源を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、珪素単結晶(シリコン)からなる基板と、基板表面上に設けられた非晶質または多結晶のリン化硼素系半導体からなる緩衝層と、緩衝層を介して設けられたリン化硼素系半導体からなる第1の障壁層と、第1の障壁層上に設けられた窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層とを備えている発光素子用積層構造体であって、次の(1)項に記載の構成を有することを基本とする。
(1)窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層上に、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を備えていることを特徴とする発光素子用積層構造体。
【0012】
特に本発明は、次の(2)乃至(4)項に記載の特徴を有する発光層を備えた発光素子用積層構造体を提供する。
(2)リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、インジウム組成比(=1−Y)を相違する複数の相(phase)からなる多相構造のGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体から構成したことを特徴とする前記(1)に記載の発光素子用積層構造体。
(3)リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、立方晶のGaYIn1-YN(0≦Y≦1)結晶を含む窒化ガリウム・インジウム結晶層から構成したことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の発光素子用積層構造体。
(4)リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、リン(P)を含むGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体から構成したことを特徴とする前記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
【0013】
また本発明は、次の(5)乃至(9)項に記載の特徴を有する第2の障壁層を備えた発光素子用積層構造体を提供する。
(5)第2の障壁層を、リン化硼素系半導体(BXIII1-XP;記号IIIは硼素(B)以外のIII族元素を表し、0≦X≦1である。)から構成したことを特徴とする前記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
(6)第2の障壁層を、室温での禁止帯幅を3.0±0.2eVとする単量体のリン化硼素を基材として構成した、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体からなる発光層よりも高い禁止帯幅を有する、BXIII1-XP(0≦X≦1)から構成したことを特徴とする前記(5)に記載の発光素子用積層構造体。
(7)第2の障壁層を、第1の障壁層と同一のリン化硼素系半導体から構成したことを特徴とする前記(5)または(6)に記載の発光素子用積層構造体。
(8)第2の障壁層を、リン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP;0≦X≦1)から構成したことを特徴とする前記(5)乃至(7)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
(9)第2の障壁層を、リン化硼素・インジウム(BXIn1-XP;0≦X≦1)から構成したことを特徴とする前記(5)乃至(7)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
【0014】
また本発明は、次の(10)乃至(14)に記載の発光素子用積層構造体の好適な製造方法を提供する。
(10)珪素単結晶基板表面に設けた緩衝層上に、リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層を介して、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体からなる発光層を積層した後、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層上に、第1の障壁層の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を積層することを特徴とする前記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
(11)珪素単結晶基板表面に設けた緩衝層上に、リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層を介して、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体からなる発光層を積層した後、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層上に、発光層の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を積層することを特徴とする前記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
(12)GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層上に設ける第2の障壁層を、250℃以上で750℃以下の温度で形成することを特徴とする前記(10)または(11)に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
(13)GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層を形成した後、窒素(N)を含む雰囲気内で単結晶基板の温度を250℃以上750℃以下の温度に降温し、その後、第2の障壁層を形成することを特徴とする前記(10)乃至(12)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
(14)GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層を、結合価を1価とするシクロペンタジエニルインジウム(C55In)をインジウム(In)源とする気相成長手段により形成することを特徴とする前記(10)乃至(13)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
【0015】
また本発明は、
(15)前記(1)乃至(9)の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体を用いて構成した発光素子。
(16)リン化硼素系半導体からなる第2の障壁層上に表面電極を設け、単結晶基板の裏面に裏面電極を設けたことを特徴とする前記(15)に記載の発光素子。
(17)前記(15)または(16)に記載の発光素子を用いて構成したランプ。
(18)前記(17)に記載のランプを用いて構成した光源。
を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態に係わる発光素子用積層構造体1Aの断面構造を図1に模式的に示す。基板101には、導電性のn形またはp形シリコンを使用する。基板101とするシリコンの表面の結晶面の面方位は、不問であるが、{100}、{110}、或いは{111}等のミラー(Miller)指数(「電子線回折と初等結晶学」(1997年7月10日、共立出版(株)発行初版1刷)、36〜39頁参照)の小さな低次の指数面であると、[110]方向の劈開により簡便に発光素子を形成でき利便である。また、導電性のシリコンを基板とすれば、基板裏面に正負、何れかの極性のオーミック(Ohmic)電極を敷設できるため、発光素子を得るための電極を形成する工程を簡略化できる。特に、抵抗率を10ミリオーム(mΩ)以下、更に望ましくは1mΩ以下とする低い比抵抗(抵抗率)のシリコン基板は、順方向電圧(所謂、Vf)を低く抑えたLEDをもたらすに有効である。また、LDにあって、閾値電圧(所謂、Vth)の低減に貢献できる。また、導電性シリコンを基板とすれば、良好な放熱性(熱伝導率≒1.4Wcm-1・K-1:「III−V族化合物半導体」(1994年5月20日、(株)培風館発行初版、148頁参照)により、動作に伴う発熱に因る発光素子の徒な温度上昇を回避するに有効となる。
【0017】
シリコン基板101の表面上に設ける非晶質または多結晶の緩衝層102は、例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δAsδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0≦δ<1)で表記されるリン化硼素(BP)系半導体から構成できる。また、例えば、一般式BαAlβGaγIn1- α - β - γ1- δδ(0<α≦1、0≦β<1、0≦γ<1、0<α+β+γ≦1、0<δ<1)で表記される窒素(N)を含むリン化硼素系半導体から構成できる。好ましくは、構成元素数が少なく、簡便に構成できる2元結晶或いは3元混晶から構成する。例えば、単量体リン化硼素(BP)、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1、α+β=1)、リン化硼素・ガリウム混晶(BαGaδP:0<α≦1、α+δ=1)、或いはリン化硼素・インジウム混晶(BαIn1- αP:0<α≦1)などから構成する。非晶質或いは多結晶からなる緩衝層は、基板と積層構造体の一構成層との格子不整合性を緩和して、ミスフィット(misfit)転位等の結晶欠陥密度が小さく結晶性に優れる構成層をもたらす作用を有する。
【0018】
また、シリコン(格子定数≒5.431Å)基板101に格子整合するリン化硼素系半導体材料から緩衝層102を構成すると、上記の作用に加えて、基板からの積層構造体の構成層の剥離を防止するに効果を挙げられる。緩衝層102を構成するに好適な材料として例えば、B0.02Ga0.98P或いはB0.32In0.62Pを例示できる(特開2000−22211号公報参照)。シリコン基板101との格子の整合性の有無に拘わらず、格子リン化硼素系半導体からなる緩衝層102は、上層としてリン化硼素系半導体層からなる第1の障壁層103を設けるに際し、均等な成長を促す「成長核」(西永 頌編著、「結晶成長の基礎」(1997年6月23日、(株)培風館発行初版)、38〜39頁参照)を提供し、上層の成膜を円滑に進行させる作用を有する。
【0019】
リン化硼素系半導体からなる緩衝層102は、MOCVD法(上記のInst.Phys.Conf.Ser.,No.129参照)、分子線エピタキシャル(MBE)法(J.Solid State Chem.,133(1997)、269〜272頁参照)、ハライド(halide)法(▲1▼上記の「日本結晶成長学会誌」、Vol.24(1997)、及び▲2▼J.Appl.Phys.,42(1)(1971)、420〜424頁参照)、及びハイドライド(hydride)法(Jpn.J.Appl.Phys.,13(3)(1974)、411〜416頁参照)等の気相成長手段に依り形成できる。特に、MOCVD手段は、数ナノメータ(nm)の薄膜層の層厚制御性、また混晶の組成の制御性に優れるため、リン化硼素系半導体層を得る好適な気体成長手段である。MOCVD法に利用できる気相反応系としてトリエチル硼素((C253B)/ボラン(BH3)またはジボラン(B26)/ホスフィン(PH3)またはターシャリィブチル(tert.−buthyl)ホスフィン等の有機リン化合物反応系を例示できる(Jpn.J.Appl.Phys.,13(3)(1974)、411〜416頁参照)。
【0020】
特に、非晶質或いは多結晶からなる緩衝層102は、上記の気相成長手段において、形成温度を250℃〜700℃とすることで形成できる。低い成膜温度とする程、非晶質を主体とするリン化硼素系緩衝層が得られ易くなる。250℃以下では成膜用原料の分解が充分に進行しないため、成膜は不安定で不都合である。約450℃を越える成膜温度では、多結晶を主体とするリン化硼素系緩衝層が帰結され易くなる。700℃を越える温度では充分な格子不整合の緩和効果を発揮できかねる単結晶層が得られ易くとなり不都合である。緩衝層が非晶質層或いは多結晶層であるかは一般的なX線回折法や電子線回折法等に依り解析できる。基板材料との格子の整合性の有無に拘わらず、緩衝層の層厚は大凡、1nm以上で100nm以下、更には、2nm以上で50nm以下とするのが望ましい。
【0021】
緩衝層102上に設ける第1の障壁層103は、例えば、リン化アルミニウム・硼素混晶(BαAlβP:0<α≦1、α+β=1)、リン化硼素・ガリウム混晶(BαGaδP:0<α≦1、α+δ=1)、或いはリン化硼素・インジウム混晶(BαIn1- αP:0<α≦1)などから構成する。特に、成長速度と原料の供給比(所謂、V/III比率)を好適な範囲として形成した室温での禁止帯幅(室温禁止帯幅)を3.0±0.2eVとする単量体リン化硼素を基材とした禁止帯幅を大とするリン化硼素系半導体層からは、第1の障壁層を好適に構成できる。例えば、室温禁止帯幅を3.1eVとするBPからは、波長を約459nmとする青色帯光を出射する室温禁止帯幅を約2.7eVとする窒化ガリウム・インジウム混晶からなる発光層に対し、「キャリアの閉じ込め」効果を発揮するに充分に大きな障壁差(barrier height)を保持する第1の障壁層103を構成できる。また、室温禁止帯幅を3.0eVとするBPとリン化ガリウム(化学式GaP;室温禁止帯幅≒2.3eV)との混晶化により、例えば、室温禁止帯幅を約2.8eVとするB0.70Ga0.30P混晶を形成できる。B0.70Ga0.30P混晶からは、発光中心波長を620nmとする赤色帯光を出射する室温禁止帯を約2eVとする窒化ガリウム・インジウム混晶発光層に対して、充分に大きな障壁差を有する第1の障壁層103を構成できる。
【0022】
第1の障壁層103上には、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層104を設ける。本発明の第2の実施形態では、インジウム組成比(=1−Y)を相違する複数の相(phase)または塊(domain)からなる多相構造のGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体から構成すると、高い強度の発光をもたらす発光層104を構成できる(▲1▼日本国特許第3090057号、及び▲2▼日本国特許第3090063号各公報参照)。多相構造の発光層104を得るに最も効果的な手段は、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体発光層104を形成した後に於ける発光層104が経由する加熱或いは冷却過程での昇温速度或いは降温速度を規定された範囲内に収納させることにある(▲1▼日本国特許第3097597号公報、及び▲2▼米国特許6,110,757号公報参照)。
【0023】
本発明の第3の実施形態では、リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層103上に設ける発光層104を、立方晶のGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系結晶層から構成する(上記の特開平11−266006号参照)。本発明では、第1の障壁層103を立方晶閃亜鉛鉱結晶型のリン化硼素系半導体から構成しているため、それを下地層として立方晶の窒化ガリウム・インジウム結晶層を成長させ易い積層構成としている。立方晶の窒化ガリウム・インジウムでは、縮帯した価電子帯バンド構造により(上記の「化合物半導体の基礎物性入門」、14〜17頁参照)、p形伝導性の結晶層が得られ易い利点がある。また、立方晶閃亜鉛鉱型結晶では、[110]方向の明瞭な劈開性により、窒化ガリウム・インジウムからなる発光層104の例えば、長手方向に対向する端面104a、104bを{110}劈開結晶面から構成することができ、{110}劈開面を共振面とするLDを簡易に構成することができる。
【0024】
特に、本発明の第4の実施形態では、リン(P)を含むGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体から発光層104を構成する。例えば、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体層を形成する際に、ホスフィン(PH3)等のリン含有化合物を添加源として、リン(P)をドーピングして形成する。リン(P)を添加することにより、立方晶の窒化ガリウム・インジウム結晶層の形成が促進される。砒素(As)も同様に立方晶の窒化ガリウム・インジウム結晶の成長を促進させる作用を有する。しかし、砒化ガリウム(化学式GaAs:標準生成エネルギー(ΔH0)≒−19.5kcal)より窒化ガリウム(GaN)の生成エネルギーは低く(ΔH0≒−26.2kcal)(特開平10−53487号公報参照)、GaAsよりもGaNが優先的に形成され易くなるため、砒素(As)組成比或いは砒素含有量の安定した窒化ガリウム・インジウム発光層を得るに至らない。一方、リン化ガリウム(GaP)の標準生成エネルギー(=ΔH0)は、GaNよりも低く−29.2kcalであるため(上記の特開平10−53487号参照)、砒素(As)よりも容易にGaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体層に添加させられる利点がある。
【0025】
本発明の第5の実施形態では、第2の障壁層105を、リン化硼素系半導体(BXIII1-XP;記号IIIは硼素(B)以外のIII族元素を表し、0≦X≦1である。)から構成する。特に、本発明の第8の実施形態では、第2の障壁層105を、リン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP:0≦X≦1)から構成する。また、特に、本発明の第9の実施形態では、リン化硼素・インジウム(BXIn1-XP:0≦X≦1)から構成する。BXGa1-XP(0≦X≦1)またはBXIn1-XP(0≦X≦1)は、低融点のガリウム(融点≒30.2℃)及びインジウム(融点≒155℃)を、硼素(B)以外のIII族構成元素として含有しているため、GaYIn1ーYN(0≦Y≦1)発光層との良好な「ぬれ性」に依り((社)応用物理学会薄膜・表面物理分科会編集、「薄膜作製ハンドブック」(1991年3月25日、共立出版(株)発行初版1刷)、73〜74頁参照)、第2の障壁層105を構成するに好適な非晶質の連続膜を構成できる。
【0026】
室温での禁止帯幅を3.0±0.2eVとする単量体のリン化硼素を基材として構成した、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系半導体発光層104よりも高い禁止帯幅のBXIII1-XP(0≦X≦1)は、第2の障壁層105に加えて、発光層104からの発光を外部視野方向に取り出すに好都合な発光透過層(窓(window)層)を構成するに好適となる。禁止帯幅を2.0eVとする従来のBPからは、2.0eV以上で、最高でもGaPの禁止帯幅に相当する2.3eVと低く、且つ狭い範囲のリン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP:0≦X≦1)混晶がもたらされるのみであった。これに対し、本発明に依れば、2.3eV以上で3.0±0.2eVの広範囲に亘る、高い禁止帯幅のBXGa1-XP混晶をもたらすことができる。本発明の第6の実施形態の好例として、室温での禁止帯幅を3.0eVとする単量体のリン化硼素(BP)を混晶材料として形成された室温での禁止帯幅を約2.9eVとするB0.80Ga0.20P混晶が例示できる。また、室温での禁止帯幅を約2.8eVとするB0.90In0.10Pを例示できる。
【0027】
室温での禁止帯幅を3.0±0.2eV以下とするリン化硼素(BP)は、特に、成長速度と原料の供給比率の双方を規程された範囲内に設定することにより形成できる。成長速度は、好ましくは、毎分20Å以上で300Å以下とする。成長速度を20Å/min未満の遅い速度とすると、成長層表面からのリン(P)構成元素或いはその化合物が脱離、揮発が充分に抑止されず、成膜が果たせない場合がある。300Å/minを越える速い成長速度に設定すると、得られる禁止帯幅の値が不安定となり好ましくはない。また、成長速度を徒に速くすると多結晶の結晶層となり易い傾向にあり、単結晶層を得るには不都合となる。
【0028】
また、成長速度と併せて、原料の供給比率を好ましくは15以上で60以下の範囲に規定する。BP層を形成する場合にあって、原料の供給比率とは、成長反応系への硼素(B)源の供給量に対するリン(P)源の供給量の比率である。また、BP系混晶を形成する場合にあっては、硼素(B)を含むIII族源の合計の供給量に対する、リン(P)を含むV族源の合計の供給量の比率である。リン化硼素・インジウム(BXIn1-XP:0≦X≦1)混晶を形成する場合を例にすれば、成長反応系に供給するガリウム(Ga)源とインジウム(In)源の総量に対する、リン(P)源の供給量の比率である。即ち、所謂、V/III比率である。V/III比率を15未満と小とすると、成長層表面が乱雑となり望ましくはない。また、III/V比率を60を越えて極端に大とすると、化学量論的に観てリン(P)が富裕な状態である成長層が形成され易くなる。過剰なリン(P)は、結晶格子で硼素(B)が占有すべき位置に入り込み、ドナー(donor)として働くとされる(庄野 克房著、「超LSI時代の半導体技術100集〔5〕」((株)オーム社、昭和59年5月1日発行、電子雑誌エレクトロニクス第29巻第5号(昭和59年5月号)付録、121頁参照)。化学量論的組成がリン(P)の富裕側に移行してしまえば、低抵抗のp形非晶質層から第2の障壁層105を形成する際に支障となる。
【0029】
本発明の第7の実施形態では、第2の障壁層105を、第1の障壁層103と同一のリン化硼素系半導体材料から構成する。好ましい例として、第1及び第2の障壁層103、105を共にリン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP:0≦X≦1)から構成する例を挙げられる。第1及び第2の障壁層103、105を同一の材料から構成すれば、発光層104に不均衡な熱的或いは機械的な歪の印可を回避でき、発光層104への歪の導入に因る発光層104の不均等な機械的変形や結晶的変質を防止するに効果が奏される。特に好適となるのは、第1の障壁層103を、基板101或いは緩衝層102と格子整合し、尚且つ、発光層104との格子整合をなす様に層厚の増加方向に硼素(B)組成比に勾配を付したリン化硼素・インジウム(BXIn1-XP:0≦X≦1)から構成し、また、第2の障壁層105を、同じくBXIn1-XP(0≦X≦1)から構成する場合である。この構成では、発光層104を、緩衝層102等との格子不整合を緩和する組成勾配を内包する第1の障壁層103上に設ける構成としているため、そもそも結晶性に優れる発光層104をもたらすことができる。また、第2の障壁層105は第1の障壁層103とは伝導形を逆とする結晶層から構成するものの、第2の障壁層105を、発光層104と接する第1の障壁層103の表面をなすBXIn1-XP(0≦X≦1)と同一の硼素(B)組成比(=X)を有する非晶質のBXIn1-XP(0≦X≦1)から構成すると殊更、発光層104への歪みを低減できる。
【0030】
積層構造体1Aを構成する結晶層にあって、第1の障壁層103は結晶性の良好な発光層104を得るために大凡、750℃を越え、1200℃以下の範囲内であって、特に、約800℃〜約1000℃の温度で形成するのを好適とする。発光層104の形成温度は第1の障壁層103と同温であるか、それよりも高温である。第2の障壁層105を、第1の障壁層103の形成温度以下の温度で積層する手段に依れば、発光層104を含め、第1の障壁層103等の積層構造体1Aを構成する結晶層の熱的変性を防止することができる。第1の障壁層103の熱変性を防止でき、しいては、例えば、閾値電圧(所謂、Vth)の安定した短波長LDをもたらすに貢献できる。従って、本発明の第10の実施形態では、発光層104を積層した後、第1の障壁層103の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層105を積層させる。本発明の第12の実施形態では、第2の障壁層105を、250℃以上で750℃以下の温度で形成するのを好適とする。
【0031】
非晶質を主体としてなる第2の障壁層105を、発光層104を形成するための温度以下の温度で形成すると、発光層104に印可される熱的歪みの低減に効果がある。また、導電性の第2の障壁層105を得るために添加されたn形或いはp形の不純物が発光層104へ拡散するのを抑制できる。即ち、発光層104の伝導形の反転やキャリア(担体)の濃度の変化が抑制され、例えば、順方向電圧(所謂、Vf)や逆方向電圧(所謂、Vr)の安定したLEDを提供できる。従って、本発明の第11の実施形態では、発光層104を積層した後、発光層104の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層105を積層させる。本発明の第12の実施形態では、第2の障壁層105を、250℃以上で750℃以下の温度で形成するのを好適とする。
【0032】
更に、第2の障壁層103を形成するに際し、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体発光層104を形成した後、窒素(N)を含む雰囲気内で単結晶基板の温度を250℃以上750℃以下の温度に降温すると、発光層104を構成する窒素(N)の揮散が抑制され、第2の障壁層105を形成するための良好な表面状態の下地層(発光層104)を提供できる。本発明の第13の実施形態にあって、窒素(N2)或いはアルゴン(Ar)等の不活性気体と窒素との混合ガスからなる雰囲気中での降温は好適である。窒素と水素との結合を含む例えば、アンモニア(NH3)或いはヒドラジン類(N24)を含む雰囲気も利用できる。
【0033】
窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体層は従来より、トリメチルインジウム((CH33In)をインジウム(In)源とし、アンモニア(NH3)を窒素源とするMOCVD法により形成されている。トリメチルインジウム((CH33In)等のトリアルキル(trialkyl)インジウム化合物は、電子受容体分子として働くルイス(Lewis)酸である(J.Crystal Growth、107(1990)、360〜364頁参照)。一方、アンモニア等の第V族元素の水素化物は電子供与体のルイス塩基である。ルイス酸性の(CH33Inのルイス塩基のアンモニア(NH3)とは、気相中で会合し、難解離性のポリマー(polymer)を形成し易い。この様なポリマーは、表面状態に優れる発光層104の形成を阻害する。ルイス塩基性を呈する結合価を1価とするシクロペンタジエニルインジウム(C55In)をインジウム源とすれば(特公平8−16170号参照)、同じくルイス塩基性のアンモニア(NH3)との気相会合は回避でき、表面状態に優れるインジウム(In)系III−V族化合物半導体層を提供できる(上記のJ.Crystal Growth、107(1990)参照)。従い、本発明の第14の実施形態では、シクロペンタジエニルインジウム(C55In)をインジウム(In)源として、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系発光層104を形成することとする。
【0034】
本発明の第15の実施形態では、例えば、第2の障壁層105上に正負何れかの極性の表面オーミック(Ohmic)電極106を設け、導電性の単結晶からなる基板101の裏面に、表面オーミック電極とは反対の極性の裏面オーミック電極107を設けてLED1Bを構成する。或いは第2の障壁層105上に設けた電極形成用のコンタクト(contact)層を介して表面電極106を設けてLED或いはLDを構成する。高いキャリア濃度のコンタクト層上に表面電極106を設けることにより、順方向電圧(Vf)の低いLED、或いは閾値電圧(Vth)の低いLDがもたらされる。リン化硼素系半導体層からなる第2の障壁層105上に設けるp形オーミック電極は、例えば、金・亜鉛(Au・Zn)合金等から構成できる。また、金・ゲルマニウム(Au・Ge)合金、金・インジウム(Au・In)合金、並びに金・錫(Au・Sn)合金などの金合金等からn形オーミック電極を形成できる。
【0035】
本発明に依る発光素子からは高輝度のランプを構成できる。例えば、本発明の第17の実施形態のランプ10は次の如くの工程をもって構成できる。図5に例示する如く、基板11上に本発明に係わる第2の障壁層12を備えたLED10を、台座15上の銀(Ag)或いはアルミニウム(Al)等の金属を鍍金した碗体16の中央部に導電性の接合材で固定する。これより、基板11の底面に設けた一極性の電極14を台座15に付属する一端子17に電気的に接続させる。また、第2の障壁層12上に設置した電極13を台座15に付属する他の一方の端子18に結線する。一般的な半導体封止用のエポキシ樹脂19で碗体16を囲繞する様に封止すればランプを構成できる。また、本発明に依れば、約200μm〜約300μm角の小型LEDも形成でき、従って、特に、設置容積を小とする表示器等として好適な小型の発光ダイオードランプ10を構成できる。
【0036】
また、LEDチップ或いは樹脂封止されたダイオードランプを集合させれば、光源を構成できる。例えば、複数のLEDを電気的に並列に接続させて、例えば、定電圧駆動型の光源を構成できる。また、電気的に直列にダイオードランプを接続して定電流駆動型の光源を構成できる。これらのLEDを利用する光源は、従来の白熱型のランプ光源とは異なり、点灯によりさほど放熱を伴わないため、冷光源として特に有用に利用できる。例えば、冷凍食品の展示用光源として利用できる。また、例えば、屋外表示器、交通信号を提示するための信号器、方向指示器或いは照明機器等に好適に用いられる光源を構成できる。
【0037】
【作用】
本発明に記載の非晶質から構成した第2の障壁層は、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系発光層にキャリアを「閉じ込める」作用を有する。加えて、低温で形成することとした非晶質の第2の障壁層は、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系発光層に印可される熱的な或いは機械的な歪みを低減して発光層の品質劣化を抑制する作用を有する。
【0038】
また、低温で形成することとしたリン化硼素系非晶質半導体層から構成される第2の障壁層は、GaYIn1-YN(0≦Y≦1)系発光層の伝導型の反転並びに発光層のキャリア密度の変化を抑制する作用を有する。
【0039】
【実施例】
(第1実施例)
非晶質のリン化硼素(BP)を第2の障壁層として具備した発光ダイオード(LED)を例にして本発明を具体的に説明する。本実施例に係わるLED3Bの平面模式図を図2に示す。また、図3には、図2に示す破線X−X’に沿ったのLED3Bの断面模式図を示す。
【0040】
本発明に係わる発光素子用積層構造体3Aは、硼素(B)ドープp形(111)−Si単結晶を基板101として構成した。基板101上には、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、350℃でリン化硼素(BP)緩衝層102を堆積した。緩衝層102の層厚は約5nmとした。
【0041】
緩衝層102の表面には、上記のMOCVD気相成長手段を利用して、850℃でマグネシウム(Mg)をドーピングしたp形BP層を下部クラッド(clad)層をなす第1の障壁層103として積層した。マグネシウムのドーピング源にはビス−シクロペンタジエニルマグネシウム(bis−(C542Mg)を用いた。第1の障壁層103をなすp形BP層のキャリア濃度は約8×1018cm-3とした。層厚は700nmとした。緩衝層102を下地層としたため、第1の障壁層103は、亀裂の無い連続性のあるBP層から構成されるものとなった。
【0042】
第1の障壁層103上には、BP(格子定数=4.538Å)に格子整合する立方晶を主体とするn形Ga0.94In0.06N層(格子定数=4.538Å)を発光層104として積層させた。発光層104は、トリメチルガリウム((CH33Ga)/トリメチルインジウム((CH33In)/アンモニア(NH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、850℃で堆積した。発光層104のn形のドーパントとしては珪素(Si)を用い、キャリア濃度は約3×1017cm-3とした。発光層104の層厚は約180nmとした。また、発光層104の形成時には、ホスフィン(PH3)200体積百万分率(vol.ppm)−水素(H2)混合ガスを利用して、リン(P)を添加した。発光層104の内部のリン(P)原子濃度は、一般的な2次イオン質量分析(SIMS)により、約1×1021原子/cm3と定量された。
【0043】
発光層104を形成した後、直ちに発光層104の構成元素源である(CH33Ga)と(CH33InのMOCVD反応系への供給を停止し、同反応系内を窒素(N2)とホスフィン(PH3)とを含む雰囲気とし、基板101の温度を850℃より降温した。n形Ga0.94In0.06N発光層104の表面上には、上記のMOCVD反応系により、上部クラッド層となす第2の障壁層105を積層した。第2の障壁層105は、第1の障壁層103及び発光層104の何れよりも低温の350℃で形成した非晶質を主体とするn形のリン化硼素(BP)から構成した。n形のドーパントとしては、珪素(Si)を用い、キャリア濃度は約8×1018cm-3とし、層厚は480nmとした。第2の障壁層105を構成するn形BP層は、形成速度を毎分20nmとし、V/III比率(=PH3/(C253B供給比率を40に設定して形成したため、室温の禁止帯幅は約3.1eVとなった。
【0044】
第2の障壁層105上には、直径を約130μmとする円形の表面オーミック電極106を配置した。n形表面電極106は、金(Au)合金真空蒸着膜から構成した。また、p形Si基板101の裏面の略全面には、p形の裏面オーミック電極107を配置してLED3Bを構成した。p形電極107はアルミニウム(Al)真空蒸着膜から構成した。Si単結晶101を[211]方向に平行及び垂直な方向に裁断して、一辺を約300μmとする正方形のLED3Bを得た。
【0045】
両電極106〜107間に順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通流したところ、LED3Bからは、中心波長を約410nmとする青色光が出射された。また、第2の障壁層105を構成する高い禁止帯幅のBP層の発光を透過できる作用に依って、一般的な積分球を利用して測定されるチップ(chip)状態での輝度は約6ミリカンデラ(mcd)となった。I−V特性から求めた順方向電圧(所謂、Vf)は約3.8V(順方向電流=20mA)となり、また、逆方向電圧は約8V(逆方向電流=10μA)となった。従って、本発明に依れば、高発光強度で高耐圧のLEDが提供された。
【0046】
(第2実施例)
多相構造の発光層と非晶質のリン化硼素を第2の障壁層として具備したLEDを例にして本発明を具体的に説明する。本実施例に係わるLED4Bの断面模式図を図4に示す。図4にあって、図3と同一の構成要素については、同一の符号を付してある。
【0047】
本第2実施例の積層構造体4Aは、リン(P)ドープn形(100)−Si単結晶を基板101として構成した。基板101上には、トリエチル硼素((C253B)/ホスフィン(PH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、350℃でリン化硼素・インジウム(B0.33In0.67P)混晶からなる緩衝層102を堆積した。緩衝層102の層厚は約5nmとした。
【0048】
緩衝層102の表面には、上記のMOCVD気相成長手段を利用して、850℃で珪素(Si)をドーピングしたn形BXIn1-XP組成勾配層を第1の障壁層103として積層した。BXIn1-XP組成勾配層の硼素(B)組成比(=X)は、緩衝層102との接合をなす表面で0.33とし、発光層104と接合をなす表面で0.99とした。第1の障壁層103をなすn形BXIn1-XP組成勾配層の平均的なキャリア濃度は約8×1018cm-3とした。層厚は700nmとした。緩衝層102を下地層としたため、第1の障壁層103は、亀裂の無い連続性のあるBP層から構成されるものとなった。
【0049】
第1の障壁層103上には、第1の障壁層103の発光層104側の表面を構成するB0.99In0.01P(格子定数=4.557Å)に格子整合する立方晶を主体とするn形Ga0.90In0.10N層(格子定数=4.557Å)を発光層104として積層させた。発光層104は、トリメチルガリウム((CH33Ga)/トリメチルインジウム((CH33In)/アンモニア(NH3)/水素(H2)系常圧MOCVD法により、850℃で堆積した。発光層104のn形のドーパントとしては珪素(Si)を用い、キャリア濃度は約3×1017cm-3とした。発光層104の層厚は約120nmとした。
【0050】
発光層104を形成した後、直ちに発光層104の構成元素源である(CH33Ga)と(CH33InのMOCVD反応系への供給を停止し、同反応系内を窒素(N2)を含む雰囲気とし、基板101の温度を850℃より400℃に降温した。850℃より650℃へは毎分15℃と一定の割合で降温させた。450℃からは自然冷却により室温へ冷却した。この冷却過程を利用して、n形Ga0.90In0.10N発光層104を、インジウム(In)組成を相違する複数の相(phaseまたはdomain)からなる多相構造となした(日本国特許第3097597号参照)。
【0051】
n形Ga0.90In0.10N発光層104の表面上には、上記のMOCVD反応系を利用して、第2の障壁層105を積層した。第2の障壁層105は、第1の障壁層103及び発光層104の何れよりも低温の450℃で形成したp形非晶質を主体とするp形のB0.99In0.01Pから構成した。p形のドーパントとしては、マグネシウム(Mg)を用い、キャリア濃度は約8×1016cm-3とし、層厚は300nmとした。第2の障壁層105を構成するB0.99In0.01P層は、形成速度を毎分25nmとし、V/III比率(=PH3/(C253B供給比率を30に設定して形成したため、室温の禁止帯幅は約3.0eVとなった。
【0052】
第2の障壁層105上には、直径を約110μmとする円形の表面オーミック電極106を配置した。p形表面電極106は、金(Au)・亜鉛(Zn)合金真空蒸着膜から構成した。また、n形Si基板101の裏面の略全面には、n形の裏面オーミック電極107を配置してLED4Bを構成した。n形電極107はアルミニウム(Al)真空蒸着膜から構成した。Si単結晶101を[110]方向に平行及び垂直な方向に裁断して、一辺を約250μmとする正方形のLED4Bを得た。
【0053】
両電極106〜107間に順方向に20ミリアンペア(mA)の動作電流を通流したところ、LED4Bからは、中心波長を約410nmとする青色光が出射された。また、第2の障壁層105を構成する高い禁止帯幅のB0.99In0,01P層の発光を透過できる作用に依って、一般的な積分球を利用して測定されるチップ(chip)状態での輝度は約6ミリカンデラ(mcd)となった。I−V特性から求めた順方向電圧(所謂、Vf)は約3.8V(順方向電流=20mA)となり、また、逆方向電圧は約8V(逆方向電流=10μA)となった。従って、本発明に依れば、高発光強度で高耐圧のLEDが提供された。
【0054】
【発明の効果】
本発明に依れば、第1の障壁層と共に、窒化ガリウム・インジウム(GaXIn1-XN:0≦X≦1)発光層に上部クラッド層として障壁作用を及ぼす第2の障壁層を、発光層、更には第1の障壁層の形成温度以下の低温で構成した、非晶質を主体としたリン化硼素系半導体層から構成することとしたので、発光層への熱的或いは機械的な歪みの印可を低減できるため、発光層の品質を良好に維持でき、従って、I−V特性に優れる、高い発光強度の発光素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる発光素子用積層構造体の断面構造を示す模式図である。
【図2】第1実施例に記載のLEDの平面模式図である。
【図3】図2のLEDの破線X−X’に沿った断面模式図である。
【図4】第2実施例に記載のLEDの断面模式図である。
【図5】本発明に係わるランプの断面構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1A、3A、4A 積層構造体
1B、3B、4B LED
10 ランプ
11 基板
12 第2の障壁層
13 表面側電極
14 基板裏面電極
15 台座
16 碗体
17、18 端子
19 封止樹脂
101 単結晶基板
102 緩衝層
103 第1の障壁層
104 発光層
105 第2の障壁層
106 表面オーミック電極
107 裏面オーミック電極

Claims (18)

  1. 珪素単結晶(シリコン)からなる基板と、基板表面上に設けられた非晶質または多結晶のリン化硼素(BP)系半導体からなる緩衝層と、緩衝層を介して設けられたリン化硼素系半導体からなる第1の障壁層と、第1の障壁層上に設けられた窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層とを備えている発光素子用積層構造体において、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層上に、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を備えていることを特徴とする発光素子用積層構造体。
  2. リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、インジウム組成比(=1−Y)を相違する複数の相(phase)からなる多相構造の窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体から構成したことを特徴とする請求項1に記載の発光素子用積層構造体。
  3. リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、立方晶の窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)結晶を含む窒化ガリウム・インジウム結晶層から構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子用積層構造体。
  4. リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層上に設ける発光層を、リン(P)を含む窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体から構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
  5. 第2の障壁層を、リン化硼素系半導体(BXIII1-XP;記号IIIは硼素(B)以外のIII族元素を表し、0X≦1である。)から構成したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
  6. 第2の障壁層を、室温での禁止帯幅を3.0±0.2エレクトロンボルト(eV)とする単量体のリン化硼素(boronmonophosphide)を基材として構成した、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層よりも高い禁止帯幅を有する、リン化硼素系半導体(BXIII1-XP;0X≦1)から構成したことを特徴とする請求項5に記載の発光素子用積層構造体。
  7. 第2の障壁層を、第1の障壁層と同一のリン化硼素系半導体から構成したことを特徴とする請求項5または6に記載の発光素子用積層構造体。
  8. 第2の障壁層を、リン化硼素・ガリウム(BXGa1-XP;0X≦1)から構成したことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
  9. 第2の障壁層を、リン化硼素・インジウム(BXIn1-XP;0X≦1)から構成したことを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体。
  10. 珪素単結晶基板表面に設けた緩衝層上に、リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層を介して、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層を積層した後、窒化ガリウム・インジウム発光層上に、第1の障壁層の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を積層することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
  11. 珪素単結晶基板表面に設けた緩衝層上に、リン化硼素系半導体からなる第1の障壁層を介して、窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層を積層した後、窒化ガリウム・インジウム発光層上に、発光層の形成温度以下の温度で、非晶質を主体とするリン化硼素系半導体からなる第2の障壁層を積層することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
  12. 窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層上に設ける第2の障壁層を、250℃以上で750℃以下の温度で形成することを特徴とする請求項10または11に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
  13. 窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系半導体からなる発光層を形成した後、窒素(N)を含む雰囲気内で単結晶基板の温度を250℃以上750℃以下の温度に降温し、その後、第2の障壁層を形成することを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
  14. 窒化ガリウム・インジウム(GaYIn1-YN:0≦Y≦1)系発光層を、結合価を1価とするシクロペンタジエニルインジウム(C55In)をインジウム源とする気相成長手段により形成することを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体の製造方法。
  15. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の発光素子用積層構造体を用いて構成した発光素子。
  16. リン化硼素系半導体からなる第2の障壁層上に表面電極を設け、単結晶基板の裏面に裏面電極を設けたことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
  17. 請求項15または16に記載の発光素子を用いて構成したランプ。
  18. 請求項17に記載のランプを用いて構成した光源。
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