JP3659198B2 - カードエッジコネクタ及び端子金具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カードエッジコネクタ及び端子金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カードエッジコネクタとしては、特開昭56−136480号公報に開示されているものがある。これは、ハウジング内のキャビティに端子金具を挿入するとともに、ハウジング内に相手側コネクタの回路基板を差し込み、その回路基板の表裏両面又は表裏いずれかの面に端子金具の弾性接触片を弾性接触させるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカードエッジコネクタでは、端子金具とキャビティの寸法公差を考慮して、キャビティと端子金具との間にはクリアランスが設けられていることから、端子金具がキャビティ内において回路基板に対して接近又は離間する方向へ遊動する虞がある。もし、端子金具が遊動した場合、端子金具の弾性接触片の弾性撓み量が不適正となって、接触信頼性の低下を来すことになる。
【0004】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、回路基板と端子金具との間の接触信頼性を確保することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、相手側コネクタの回路基板が差し込まれるようになっているハウジングと、前記回路基板に対し弾性接触可能な弾性接触片を有し、前記ハウジングに収容される端子金具とを備えてなり、前記端子金具には、前記回路基板に当接することで、その端子金具が前記回路基板に対して接近・離間する方向へ遊動することを規制可能な遊動規制手段が設けられているカードエッジコネクタにおいて、前記遊動規制手段が、前記弾性接触片と、前記回路基板における前記弾性接触片の弾接面とは反対側の面に係止される係止部とから構成され、
前記係止部が、前記端子金具の左右両側壁のうちいずれか一方の側壁からほぼ面一状に延出する形態とされている構成とした。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記端子金具は、前記回路基板の表面側と裏面側に分かれ、且つ前記係止部の延出方向が互いに反対向きとなるような姿勢で対向するように対をなして配されている構成とした。
【0007】
請求項3の発明は、ハウジングに収容され、そのハウジングに差し込まれた相手側コネクタの回路基板に対し弾性接触片を弾性接触させるようになっており、前記回路基板に当接可能な遊動規制手段が設けられており、その遊動規制手段を前記回路基板に当接させることでその回路基板に対する接近・離間方向への遊動が規制されるようになっている端子金具において、前記遊動規制手段が、前記弾性接触片と、前記回路基板における前記弾性接触片の弾接面とは反対側の面に係止される係止部とから構成され、前記係止部が、左右両側壁のうちいずれか一方の側壁からほぼ面一状に延出する形態とされている構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記ハウジング内においては、前記回路基板の表面側と裏面側に分かれ、且つ前記係止部の延出方向が互いに反対向きとなるような姿勢で対向するように対をなして配される構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1及び請求項3の発明]
端子金具と回路基板との位置関係は遊動規制手段によって一定に保たれるので、弾性接触片の弾性撓み量が適正となり、端子金具と回路基板との間の接触信頼性が確保される。
【0010】
また、端子金具は、回路基板に対する係止部の係止作用によって回路基板から離間する方向への遊動を規制されるとともに、回路基板に弾接する弾性接触片の弾力によって回路基板に接近する方向への遊動が規制される。回路基板の板厚にバラツキがあっても、そのバラツキは弾性接触片の弾性撓み量の変化によって吸収され、回路基板と端子金具との位置関係は、常に、係止部が回路基板に係止する状態に保たれる。また、遊動規制手段として弾性接触片を利用しているので、弾性接触片とは別に専用の遊動規制手段を設ける場合に比べると、端子金具の形状の簡素化が可能となっている。
【0011】
[請求項2及び請求項4の発明]
端子金具は1種類で済むので、係止部の形態が異なる複数種類の端子金具を用いる場合に比べると、コスト低減が可能である。また、回路基板を挟んで対をなす端子金具同士の係止部は、相手側の端子金具側へ回り込むようにして回路基板に係止されるのであるが、双方の端子金具の係止部の位置は互いに左右逆になるので、係止部が相手側の端子金具と干渉することはない。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。
本実施形態のカードエッジコネクタAは、合成樹脂製のハウジング10と、複数の端子金具20とを備えて構成され、相手側コネクタ40と嵌合される。相手側コネクタ40は、合成樹脂製のハウジング41に回路基板42を組み付けたものであり、回路基板42の端縁部(カードエッジ)がハウジング10のフード部43内において前方へ突出している。
【0013】
カードエッジコネクタAのハウジング10内には、その前後両端面に開口する複数のキャビティ11が上下二段に分かれ且つ各段において左右方向に並列するように形成されている。上段側のキャビティ11には、その上面壁に沿うように前方へ片持ち状に延出することで弾性撓みを可能とされたランス12が形成されており、下段側のキャビティ11には、その下面壁に沿うように前方へ片持ち状に延出することで弾性撓みを可能とされたランス12が形成されている。かかるキャビティ11及びランス12は上下対称であり、上下で対応するキャビティ11同士は左右方向において互いに同じ位置に配置されている。また、ハウジング10内には、その前端面に横長のスリット状に開口し、上下両段のキャビティ11の中間の高さに位置すると共に上下両段のキャビティ11に連通する形態の差込空間13が形成されている。また、上下に対応するキャビティ11同士の間には、後述する端子金具20の係止部27を進入させるための逃がし空間14が、キャビティ11及び差込空間13と連通する形態で形成されている。
【0014】
端子金具20は、後方からキャビティ11に挿入されるようになっており、所定形状に打ち抜いた金属板材を曲げ加工することにより、全体として前後方向に細長い形状に成形されている。端子金具20は、略前半部分が回路基板42との接続部21とされ、この接続部21に連なる略後半部分が電線圧着部22とされており、電線圧着部22には電線23が圧着により接続されている。
下段のキャビティ11に挿入される端子金具20の接続部21は、前後方向に細長い底壁24と、この底壁24の前端から後方へ折り返された略U字形をなす弾性接触片25と、底壁24の左右両側縁から上方へ立ち上げた左右一対の側壁26L,26Rと、左側壁26Lに形成した係止部27とを備えている。尚、本実施形態において、左右方向については、図1〜4、図7における手前側を左側とする。したがって、端子金具20を正面から見た図5及び図6においては、左右反対の向きとなる。底壁24には、ランス12と係止するランス孔33が形成されている。弾性接触片25は、両側壁26L,26Rよりも上方へ突出しており、この突出部分が回路基板42との接触部25Aとされている。
【0015】
係止部27は、左側壁26Lの上端縁における後端部から、左側壁26Lに対して面一状に連続するように略L字形に立ち上がった形態とされている。この係止部27は、左側壁26Lに連なる方形の立上り部27Aと、この立上り部27Aの前縁上端から前方へ突出する当接部27Bとからなる。この立上り部27Aと当接部27Bと左側壁26Lとによって前方へ開放された溝部28が形成され、ここに回路基板42が進入する。そして、この係止部27と弾性接触片25とは、回路基板42に当接することで、端子金具20が回路基板42に対して接近・離間する方向(上下方向)へ遊動することを規制するための遊動規制手段29を構成している。尚、立上り部27Aは、その後縁の略下半分及び左側壁26Lの上縁に連なる方形の左補強壁30Lと、右側壁26Rの上縁から左補強壁30Lと対応するように立ち上がる右補強壁30Rと、この左右両補強壁30L,30Rの上端から内側へ延出して上下に重なり合う二重天井壁31とによって、左右に倒れないように補強されている。
【0016】
尚、上段側のキャビティ11に挿入される端子金具20は、上記下段側の端子金具20と同一の部品であって、上下反転した状態でキャビティ11内に収容されるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態のカードエッジコネクタAは、次の手順によって組み付けられる。まず、電線23が圧着された端子金具20を、その左側壁26Lからの係止部27の延出方向(上方又は下方)が互いに反対向きとなるような姿勢にした状態(図4を参照)から、互いに接近させて組み付ける。組付け状態では、図3に示すように、双方の係止部27の後縁が、夫々、相手側の端子金具20の右補強壁30Rの前縁及び二重天井壁31の前縁左端部に当接し、もって両端子金具20が前後方向への遊動を規制されて位置決めされた状態となる。尚、両端子金具20の位置関係については、各係止部27と相手側の端子金具20の右側壁26Rとが干渉せずに近接するようにしておく。
【0017】
このように組み付けた上下一対の端子金具20は、組付け状態を保ったままで後方から各キャビティ11内に挿入される。挿入途中では、各ランス12が端子金具20の底壁24と干渉して端子金具20の挿入経路(キャビティ11)の外へ退避するように弾性撓みする。そして、図2に示すように、両端子金具20が正規挿入位置に達すると、ランス12が弾性復帰してランス孔33に係止し、もって両端子金具20が抜止め状態に保持される。尚、端子金具20はハウジング10に組み付けたリテーナ34によっても抜止め状態とされる。端子金具20をハウジング10に挿入した状態では、各端子金具20の弾性接触片25の接触部25Aが左右両側壁26L,26Rから突出して差込空間13内に進出して回路基板42との接続に備えて待機する。以上により、本実施形態のカードエッジコネクタAの組付けが完了する。
【0018】
この後、カードエッジコネクタAは、相手側コネクタ40に組み付けられる。組付けに際しては、ハウジング10を相手側コネクタ40のフード部43内に嵌合させる。すると、回路基板42の端縁部がハウジング10の差込空間13内に進入し、上下両段の弾性接触片25の間に割り込んでその両弾性接触片25を弾性撓みさせる。これにより、弾性接触片25が、その弾性復元力による所定の接触圧で回路基板42に対してその上下両面(表裏両面)に弾接し、その回路基板42の図示しない回路に接続される。
【0019】
また、下段の端子金具20は、回路基板42の下面に弾接する弾性接触片25の弾力により係止部27の当接部27Bの下縁を回路基板42の上面に当接させている。つまり、この下段の端子金具20は、回路基板42に対する係止部27の係止作用によって回路基板42から離間する下方への遊動を規制されているとともに、回路基板42に弾接する弾性接触片25の弾力により回路基板42に接近する上方への遊動が規制されている。同様に、上段の端子金具20も、回路基板42の上面に弾接する弾性接触片25の弾力により係止部27の当接部27Bの上縁を回路基板42の下面に当接させており、回路基板42に対する係止部27の係止作用によって回路基板42から離間する上方への遊動を規制されているとともに、弾性接触片25の弾力により回路基板42に接近する下方への遊動が規制されている。
【0020】
このように、本実施形態においては、キャビティ11内に端子金具20を上下に遊動させ得るようなクリアランスがあっても、端子金具20と回路基板42との位置関係が遊動規制手段29である係止部27と弾性接触片25とによって一定に保たれているので、弾性接触片25の弾性撓み量が適正となり、端子金具20と回路基板42との間の接触信頼性が確保されている。
また、回路基板42を両側から挟む遊動規制手段29のうち一方を、回路基板42に対して弾性撓みしつつ当接する弾性接触片25としたので、回路基板42の板厚にバラツキがあっても、そのバラツキは弾性接触片25の弾性撓み量の変化によって吸収され、回路基板42と端子金具20との位置関係は、常に、係止部27が回路基板42に係止する状態に保たれるようになっている。
【0021】
また、端子金具20と回路基板42との間の電気的接導通の手段である弾性接触片25を、遊動規制手段29として兼用しているので、弾性接触片25とは別に専用の遊動規制手段29を設ける場合に比べると、端子金具20の形状の簡素化が実現されている。
また、端子金具20を、回路基板42の上面側と下面側とに分かれ且つ係止部27の左側壁26Lからの延出方向が互いに上下反対の向きとなるような姿勢で対向するように対をなして配したので、端子金具20は1種類で済んでいる。したがって、上段側と下段側とで係止部の形態が異なる2種類の端子金具を用いる場合に比べると、コスト低減が可能となっている。
【0022】
しかも、回路基板42を挟んで対をなす端子金具20同士は、その係止部27を相手側の端子金具20側へ回り込むようにして回路基板42に係止されるのであるが、係止部27を端子金具20の左側壁26Lからほぼ面一状に延出する形態としているので、上下で対をなす両端子金具20の係止部27の位置は互いに左右逆となる。したがって、1種類の端子金具20を互いに反対向きにして対向配置していても、係止部27は相手側の端子金具20と干渉しない。
【0023】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では回路基板に対してその表裏両面側に端子金具を配した場合について説明したが、本発明は、回路基板の表裏いずれか一方の面側のみに端子金具が配されている場合にも適用することができる。
【0024】
(2)上記実施形態では遊動規制手段としての係止部が端子金具の左側壁のみから立ち上がる形態としたが、本発明によれば、係止部が右側の側壁のみから立ち上がる形態としてもよい。
【0026】
(3)上記実施形態では回路基板を挟んで対向する上段側の端子金具と下段側の端子金具とを同一種類のものとしたが、本発明によれば、上段側と下段側とで互いに異なる形状の端子金具を配してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1のカードエッジコネクタと相手側コネクタとを嵌合した状態をあらわす断面図
【図2】相手側コネクタとカードエッジコネクタとを分離した状態をあらわす断面図
【図3】ハウジングから端子金具を外した状態をあらわす断面図
【図4】ハウジングから外した端子金具同士を分離した状態をあらわす断面図
【図5】回路基板に対して遊動規制手段が当接した状態をあらわす断面図
【図6】端子金具の正面図
【図7】端子金具の一部切欠側面図
【符号の説明】
A…カードエッジコネクタ
10…ハウジング
20…端子金具
25…弾性接触片
26L…左側壁
27…係止部
29…遊動規制手段
40…相手側コネクタ
42…回路基板
Claims (4)
- 相手側コネクタの回路基板が差し込まれるようになっているハウジングと、
前記回路基板に対し弾性接触可能な弾性接触片を有し、前記ハウジングに収容される端子金具とを備えてなり、
前記端子金具には、前記回路基板に当接することで、その端子金具が前記回路基板に対して接近・離間する方向へ遊動することを規制可能な遊動規制手段が設けられているカードエッジコネクタにおいて、
前記遊動規制手段が、前記弾性接触片と、前記回路基板における前記弾性接触片の弾接面とは反対側の面に係止される係止部とから構成され、
前記係止部が、前記端子金具の左右両側壁のうちいずれか一方の側壁からほぼ面一状に延出する形態とされていることを特徴とするカードエッジコネクタ。 - 前記端子金具は、前記回路基板の表面側と裏面側に分かれ、且つ前記係止部の延出方向が互いに反対向きとなるような姿勢で対向するように対をなして配されていることを特徴とする請求項1記載のカードエッジコネクタ。
- ハウジングに収容され、そのハウジングに差し込まれた相手側コネクタの回路基板に対し弾性接触片を弾性接触させるようになっており、
前記回路基板に当接可能な遊動規制手段が設けられており、その遊動規制手段を前記回路基板に当接させることでその回路基板に対する接近・離間方向への遊動が規制されるようになっている端子金具において、
前記遊動規制手段が、前記弾性接触片と、前記回路基板における前記弾性接触片の弾接面とは反対側の面に係止される係止部とから構成され、
前記係止部が、左右両側壁のうちいずれか一方の側壁からほぼ面一状に延出する形態とされていることを特徴とする端子金具。 - 前記ハウジング内においては、前記回路基板の表面側と裏面側に分かれ、且つ前記係止部の延出方向が互いに反対向きとなるような姿勢で対向するように対をなして配される構成としたことを特徴とする請求項3記載の端子金具。
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