JP3659094B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両などに採用される無段変速機の変速制御装置の改良に関し、特に、PID制御等のフィードバック制御によって変速制御を行うものに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の無段変速機としては、トロイダル型やVベルト式等が知られており、例えば、特開平8−326887号公報、特開平9−14415号公報、特開平11−13877号公報等に開示されるものがある。
【0003】
これらは、運転状態に応じて算出した目標変速比と実変速比の偏差に応じて、PIないしPID(比例、積分、微分)制御によるフィードバックを行って、アクチュエータを駆動し、変速比の変更を行っている。
【0004】
アクチュエータの駆動は、目標変速比に応じた指令によって行うが、変速機構の寸法のバラツキや、アクチュエータの取り付け位置のバラツキ等によって、実変速比とアクチュエータの指令値が一致しない場合が多いが、目標変速比と実変速比の偏差に応じたフィードバック制御により、変速比の偏差を補償して実変速比を目標変速比に一致させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、PIないしPID(比例、積分、微分)制御によるフィードバックにより算出された目標変速比が変化して、アクチュエータが油圧制御装置を駆動することにより変速機構を作動させているが、アクチュエータの作動開始から、油圧制御装置及び変速機構まで作動するには応答遅れがあるため、変速指令に対して、実際の変速は多少の遅れをもって応答することになる。
【0006】
この変速の応答遅れは、定常状態から変速指令が急変する場合、例えば、踏み込みダウンシフト、足戻しアップシフトまたはマニュアルモードでの変速等では、目標変速比と実際の変速比の偏差が急増するため、特に変速の応答遅れが顕著になってしまう。
【0007】
このような急変速時で変速の応答遅れが生じると、変速比の偏差によってフィードバック制御が行われるが、PID制御ないしPI制御の積分分は足し込まれてしまい、この積分分が大きくなると、実際の変速が開始されたときには、急変速を生じる可能性があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、目標変速比と実変速比の偏差が急増したときに、急変速が行われるのを防いで、運転性を向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、アクチュエータに駆動される変速機構を介して変速比を連続的に変更する無段変速機と、運転状態に応じて前記無段変速機の到達変速比を演算する到達変速比演算手段と、この到達変速比から運転状態に応じた目標変速比を演算する目標変速比演算手段と、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を含んで、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、
前記フィードバック制御手段は、前記到達変速比と目標変速比または実変速比の偏差に基づいて、急変速の開始を判定する手段を有し、急変速の開始が判定されたときには、運転状態の違いに応じて予め設定した時間だけ、前記積分手段の値を保持させる。
【0010】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記積分手段の値を保持させる時間を、変速方向に応じて変更する。
【0011】
また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記到達変速比演算手段は、少なくとも車両の運転状態に応じて変速比を変更する自動変速モードと、運転者の操作に応じて変速比を変更する第2の変速モードとを選択する運転モード選択手段を備え、この運転モードに応じて、前記積分手段の値を保持させる時間を変更する。
【0012】
【発明の効果】
したがって、第1の発明は、到達変速比と目標変速比または実変速比の偏差が拡大することなどによって、急変速の開始が判定されたときには、予め設定した時間だけ、フィードバック制御の積分分を保持するようにしたため、前記従来例のように、急変速の開始時に、アクチュエータから変速機構までの応答遅れによって上記変速比偏差が大きくなっても、予め設定した時間を経過するまでは、積分分が不正に蓄積されて増大するのを防止することが可能となって、実際の変速開始時に変速が過大となることがなくなり、積分制御を含んでフィードバック補償を行う無段変速機を備えた車両の変速制御の精度を確保することができるのである。
【0013】
また、第2の発明は、変速方向によってフィードバック制御の積分分を保持する時間を変更するようにしたため、無段変速機の変速特性に応じて、積分分の不正な蓄積を抑制することができ、特に、入力トルクの変動によってトルクシフトが生じるトロイダル型の無段変速機において、制御精度を確保することができる。
【0014】
また、第3の発明は、運転者の操作に応じて変速比を変更する第2の変速モードと自動変速モードでフィードバック制御の積分分を保持する時間を変更するようにしたため、それぞれの運転モードと無段変速機の変速特性に応じて、積分分の不正な蓄積を抑制することができ、特に、トロイダル型無段変速機の自動変速モードでは、入力トルクの変動によるトルクシフトを確実に抑制しながら急変速時の制御精度を確保することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、無段変速機にトロイダル型を用いた変速制御装置へ本発明を適用した場合の一例を示しており、トロイダル型の無段変速機10にはロックアップクラッチL/Uを備えたトルクコンバータ11を介してエンジン12が連結され、変速制御コントローラ20の指令値ASTPに応動するアクチュエータとしてのステップモータ50が、図示しない変速制御弁等の油圧制御装置を介して変速比を連続的に制御するものである。
【0017】
変速制御コントローラ20は、運転者のアクセルペダル(図示せず)操作に応じたアクセル踏み込み量APSをアクセル開度センサ31から、運転者のシフト操作に応じた運転モードMODEをセレクトスイッチ37から、エンジン回転数Neをクランク角センサ34からそれぞれ読み込むとともに、トロイダル型無段変速機10の入力軸回転センサ32が検出した入力軸回転数Ntと、出力軸回転センサ33が検出した出力軸回転数No及び車速センサ30が検出した車速VSPをそれぞれ読み込んで、運転状態に応じた到達変速比(最終的な目標値)DRatioを求める。
【0018】
この到達変速比DRatioに、運転状態に応じた所定の時定数を用いて演算した目標変速比(制御周期毎の目標値)Ratio0と、実変速比Ratioの偏差に対して、PID(比例、積分、微分)制御によるフィードバック制御を行い、ステップモータ50の駆動により変速を行うものである。
【0019】
また、変速制御コントローラ20は、フィードバック制御のゲインを決定するために、変速機構の油圧制御回路に油温センサ35と油圧センサ36を設けて、作動油の油温Tempとライン圧PLを読み込んでいる。
【0020】
さらに、変速制御コントローラ20は、通常の走行に用いる自動変速モードであるDレンジに加えて、運転者のシフト操作に応じた変速段を任意に変更可能なマニュアルモード(第2変速モード)を備えており、自動変速モードでは運転状態に応じた変速比となるように目標変速比を設定する一方、マニュアルモードでは、運転者が設定した変速段となるように変速比を制御する。
【0021】
このため、変速制御コントローラ20は、シフトレバー38に応動するセレクトスイッチ37から、運転者が設定した運転モードMODEを読み込んで、運転モードMODEが図1の「D」レンジまたは「R」レンジにある場合は、自動変速モードと判定して、アクセル開度センサ31が検出したアクセルペダル操作量APSと、車速センサ30が検出した車速VSPに基づいて、図9のように予め設定した変速マップに従って無段変速機10の変速比を変更する。
【0022】
一方、シフトレバー38が、図1の「+」、「−」で示したマニュアルスイッチ39側へ操作されている場合、変速制御コントローラ20はマニュアルモードと判定して、シフトレバー38がマニュアルスイッチ39の「+」へ操作されるとアップシフトを指令する一方、同じく「−」へ操作されるとダウンシフトを指令して、予め設定した変速段に順次設定する。
【0023】
この場合のシフト操作は、いわゆるシーケンシャルシフトと呼ばれており、例えば、1速から3速へアップシフトする場合、シフトレバー38を2回「+」側へ操作して、一旦2速へシフトした後に、3速へシフトされることになる。
【0024】
次に、変速制御コントローラ20は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、車速VSPとアクセル踏み込み量APSに基づいて、最終的な目標値である到達変速比DRatioを求め、運転状態に応じた一次遅れの時定数により、所定の制御周期毎の目標値である目標変速比Ratio0を演算する。
【0025】
そして、PID制御により目標変速比Ratio0のフィードバック補償を行って、ステップモータ50へ指令値ASTPを送出して変速を行う。このとき、運転状態が急激に変化した場合、例えば、定常状態から踏み込みダウンシフトや足戻しアップシフトなどへ変化した場合では、所定時間だけ、積分分の新たな蓄積を禁止して、その後の、変速開始時に急変速が応答遅れが生じるのを防いでいる。
【0026】
上記変速制御を、図2〜図8のフローチャートに示し、以下に詳述する。なお、これらのフローチャートは、所定時間毎、例えば10msec毎にそれぞれ実行されるもので、図2は変速制御のメインルーチンを、図3〜図6は各サブルーチンを、図7はタイマー設定のメインルーチンを、図8は、タイマーカウントのメインルーチンを示す。
【0027】
まず、図2のステップS1では、アクセル踏み込み量APS、エンジン回転数Ne、入力軸回転数Nt、出力軸回転数No、車速VSP及び運転モードMODEを上記各センサの出力を運転状態として読み込んで、車速VSPとアクセル踏み込み量APSに基づいて、図9に示す変速マップから、エンジン回転数Neの目標値である目標入力軸回転数DsrREVを求める。そして、目標入力軸回転数DsrREVを出力軸回転数Noで除して到達変速比DRatioを求める。
【0028】
ステップS2では、アクセル操作量APSの変化に応じて時定数の設定を行ってから、到達変速比DRtaioに、一次遅れの時定数またはフィルタによって制御周期毎の目標値である目標変速比Ratio0を演算する。
【0029】
この時定数の設定は、アクセル操作量APSの変化量に応じて決定された時定数算出モードによって行われ、2〜3制御周期前のアクセル操作量APSoldと現在の値APSとを比較し、その差(APS−APSold)が正であれば、時定数算出モードは踏み込み状態または急踏み込み(キックダウン)状態に設定されて、ダウンシフトを行うために予め設定された時定数をセットする。
【0030】
また、上記差(APS−APSold)が負であれば、時定数算出モードは、足戻し状態または急足戻しの状態であり、アップシフトを行うために予め設定された時定数にセットする。なお、上記時定数は、踏み込みに比して足戻しの方が小さく設定されており、足戻しを行う場合には、変速比がLo側でエンジン回転数Neが高い場合が多く、このような変速では踏み込み時に比して変速速度が大きいためである。
【0031】
さらに、自動変速モードとマニュアルモードでは、自動変速モードの時定数の方が小さく設定されており、これは、自動変速モードでは入力トルクの変化に応じたトルクシフトを補償するために変速速度が大きく設定されるためである。
【0032】
次のステップS3では、後述する図3のように、エンジントルクTeから入力トルクTinを求め、目標変速比Ratio0の前回値よりトルクシフト補償変速比TSrtoを演算する。
【0033】
このトルクシフト補償変速比TSrtoの演算は、図3に示すように、ステップS11で、検出したエンジン回転数Neとアクセル操作量APSより、予め設定した図示しないマップを用いてエンジントルクTeを求める。
【0034】
次に、ステップS12では、エンジン回転数Neと入力軸回転数Ntより、トルクコンバータ11のトルク比tを、予め設定したマップないしテーブルに基づいて演算し、ステップS13では、ステップS11で求めたエンジントルクTeに、このトルク比tを乗じて無段変速機10の入力トルクTinを求める。なお、ロックアップクラッチL/Uの締結時では、トルク比t=1となる。
【0035】
そして、ステップS14では、この入力トルクTinと目標変速比Ratio0の前回値より、図10に示すように、予め設定したマップに基づいて、トルクシフト補償変速比TSrtoを演算してサブルーチンを終了する。
【0036】
次に、図2のステップS4では、上記ステップS2で求めた目標変速比Ratio0と、入力軸回転数Ntと出力軸回転数Noの比(Nt/No)から求めた実変速比Ratioの偏差と、運転状態に応じたフィードバックゲインに応じて、PID制御によってフィードバック補償変速比FBrtoを、図4のサブルーチンのように演算する。
【0037】
フィードバック補償変速比FBrtoの演算は、図4において、まず、ステップS21で、変速比偏差RtoERRを求めてから、ステップS22において、PID制御に用いるフィードバックゲインを、運転状態に基づいて演算する。
【0038】
まず、変速比偏差RtoERRの演算は、図5のサブルーチンに示すように、上記目標変速比Ratio0と実変速比Ratioを読み込んで(ステップS41、S42)、これらの差を変速比偏差RtoERRとし、
RtoERR=Ratio0−Ratio
より求める(ステップS43)。
【0039】
そして、この変速比偏差RtoERRと、前回の変速比偏差RtoERR-1から、
DRtoERR=RtoERR−RtoERR-1
変速比偏差の差分DRtoERRを求めて(ステップS44)サブルーチンを終了する。
【0040】
次に、図4のステップS22で行われるフィードバックゲインの演算は、図6のフローチャートに示すように行われ、まず、ステップS51で、入力軸回転数Ntと車速VSPを読み込んでから、ステップS52で、第1フィードバックゲインを、予め設定したテーブルSRFBT1に基づいて演算する。
【0041】
この第1フィードバックゲインは、比例分fbpdata1、積分分fbidata1、微分分fbddata1から構成され、上記テーブルSRFBT1は、図示はしないが、入力軸回転数Ntと車速VSPの2次元マップで構成されており、検出した入力軸回転数Ntと車速VSPから第1フィードバックゲインの比例分、積分分、微分分をそれぞれ演算する。
【0042】
そして、ステップS53では、無段変速機10の作動油の油温Tempとライン圧PLを読み込んでから、ステップS54で第2フィードバックゲインを、予め設定したテーブルSRFBT2に基づいて演算する。
【0043】
この第2フィードバックゲインは、比例分fbpdata2、積分分fbidata2、微分分fbddata2から構成され、上記テーブルSRFBT2は、図示はしないが、油温Tempと油圧PLの2次元マップで構成されており、検出した油温Tempと油圧PLから第2フィードバックゲインの比例分、積分分、微分分をそれぞれ演算する。
【0044】
こうして、第1及び第2フィードバックゲインを求めてから、ステップS55では、フィードバック補償変速比FBrtoを演算するためのフィードバックゲインを、第1フィードバックゲインと第2フィードバックゲインを乗じて演算する。
【0045】
つまり、比例分のフィードバックゲインFbpDATAは、
FbpDATA=fbpdata1×fbpdata2
より求められ、積分分のフィードバックゲインFbiDATAは、
FbiDATA=fbidata1×fbidata2
となり、同様に、微分分のフィードバックゲインFbdDATAは、
FbdDATA=fbddata1×fbddata2
として演算し、図4へ復帰する。
【0046】
次に、図4のステップS23では、車両が停車中であるか否かを、車速VSP=0または入力軸回転数Nt=0より判定し、停車中であればステップS24へ進んで、フィードバック補償変速比の積分分IntgRと、フィードバック補償変速比FBrtoを0にリセットして図2のメインルーチンへ復帰する。
【0047】
一方、ステップS23で、走行中と判定された場合には、ステップS25へ進んで、現在の変速状態が急変速であるか否かを判定し、急変速であればステップS26へ進む一方、通常の変速状態であればステップS28へ進む。
【0048】
なお、この急変速の判定は、上記ステップS2で求めた時定数の判定結果を読み込んで行われ、定常状態からアクセルペダルの踏み込みまたは足戻しを行う場合、あるいはキックダウンや足戻しアップシフトの場合などで、到達変速比DRatioと目標変速比Ratio0(または実変速比Ratio)の偏差が大きくなるときに急変速と判定される。
【0049】
変速状態が急変速と判定された場合のステップS26では、後述するタイマTimerの値が0になったか否かを判定して、0でなければ、ステップS27で、フィードバック補償変速比の積分分IntgRの変化量DIntgRを0に設定して、前回の値を保持するように設定し、積分分IntgRが不正に蓄積されるのを防止してから、ステップS29へ進む。なお、タイマTimerの演算は、後述するように、図7のフローチャートに基づいて設定されて、図8のフローチャートに基づいて演算される。
【0050】
また、ステップS26の判定で、タイマTimerの値が0であれば、通常の変速制御へ復帰するためステップS28に進む。
【0051】
一方、変速状態が通常変速と判定された場合のステップS28では、PID制御による通常のフィードバック補償を行うため、上記ステップS43で求めた変速比偏差RtoERRに、上記ステップS5で求めた積分分のフィードバックゲインFbiDATAを乗じて、フィードバック補償変速比の積分分の変化量DIntgRを演算する。
【0052】
そして、ステップS27またはS28で設定した積分分の変化量DIntgRに基づいて、ステップS29では、フィードバック補償変速比の積分分IntgRの演算を次式により行う。
【0053】
IntgR=IntgR-1+DIntgR
ただし、IntgR-1は、前回の積分分である。
【0054】
こうして、ステップS30では、上記フィードバックゲインの比例分FbpDATA、微分分FbdDATA、変速比偏差RtoERR、変速比偏差の差分DRtoERR、積分分IntgRより、次式からフィードバック補償変速比FBrtoを求める。
【0055】
Figure 0003659094
フィードバック補償変速比FBrtoを求めた後には、図2のメインルーチンのステップS5へ進む。
【0056】
図2のステップS5では、ステップS2で求めた目標変速比Ratio0、ステップS3で求めるトルクシフト補償変速比TSrto、ステップS4で求めたフィードバック補償変速比FBrtoから、補償後目標変速比DsrRTOを、
DsrRTO=Ratio0+TSrto+FBrto
として演算する。
【0057】
次に、ステップS6では、図示しない変速比とステップ数のマップから、ステップモータ50の目標ステップ数DsrSTPを演算する。
【0058】
このとき、上記ステップS25の判定で、指令値ASTPが作動可能範囲を超えている場合には、目標ステップ数DsrSTPが、上記作動可能範囲となるように規制する。
【0059】
ステップS7では、この目標ステップ数DsrSTPと、作動油の油温Tempに基づいて、ステップモータ50の駆動速度を決定する。なお、この駆動速度は、油温Tempが所定の範囲にない場合、例えば、低温時などでステップモータ50の応答速度が低下する状態では、駆動速度を抑制し、油温Tempが所定の範囲にあれば、目標ステップ数DsrSTP、すなわち、駆動量に応じて駆動速度を設定するものである。
【0060】
そして、ステップS7では、駆動速度に応じてステップモータ50への指令値ASTPを演算してから、ステップS8でステップモータ50の駆動を行う。
【0061】
次に、変速状態の急変時に設定されて、積分分の増大を規制するタイマTimerの設定及び演算について説明する。
【0062】
まず、タイマTimerの設定は、図7のフローチャートに基づいて行われ、この処理は、上記と同様の所定時間毎、例えば、10msec毎に行われる。
【0063】
まず、ステップS71では、上記ステップS2の時定数演算で求めた時定数算出モードが、アクセルペダルの踏み込み状態または急踏み込み状態であれば、ステップS72へ進み、アクセルペダルの足戻し状態または急戻し状態であればステップS76へ進み、その他の場合(例えば、アクセル操作量APSが一定)では、そのまま処理を終了する。
【0064】
アクセルペダルの踏み込み状態または急踏み込み状態と判定されたステップS72では、前回の時定数算出モードが、アクセルペダルの踏み込み状態以外であるか、すなわち、運転状態がアクセルペダルの踏み込み状態に変化した直後であるか否かを判定する。
【0065】
運転状態がアクセルペダルの踏み込み状態へ変化した直後であれば、ステップS73へ進んで変速モードの判定を行う一方、同一の運転状態(前回も踏み込み状態)の場合には、タイマTimerの値がすでに設定されているため、そのまま処理を終了する。
【0066】
なお、アクセルペダルの踏み込み状態へ変化した運転状態は、例えば、アクセル操作量APSが一定の状態から踏み込んだ場合や、アクセルペダルを解放側へ戻した後に踏み込んだ場合である。
【0067】
ステップS73では、現在の変速モードが、自動変速モードのDレンジとマニュアルモード(またはスイッチ変速モード)のいずれにあるかを判定し、自動変速モードであれば、ステップS74へ進んで、タイマTimerの値をDICLRTIMDに設定する一方、マニュアルモード(図中SW変速)であればステップS75へ進んで、タイマTimerの値をSDICLRTIMDに設定して処理を終了する。
【0068】
ここで、ダウンシフトとなる時定数算出の踏み込みモードでは、通常走行の自動変速モードの方がマニュアルモードよりも変速速度が大きいため、タイマTimerの値は、
DICLRTIMD<SDICLRTIMD
となって、自動変速モードのタイマTimerの値の方が小さく設定される。
【0069】
一方、アクセルペダルの足戻し状態または急足戻し状態と判定されたステップS76では、前回の時定数算出モードが、アクセルペダルの足戻し状態以外であるか、すなわち、運転状態がアクセルペダルの足戻し状態に変化した直後であるか否かを判定する。
【0070】
なお、アクセルペダルの戻し状態へ変化した運転状態とは、例えば、アクセル操作量APSが一定の状態から解放した場合や、アクセルペダルを踏み込んだ後に解放側へ戻した場合である。
【0071】
運転状態がアクセルペダルの足戻し状態に変化した直後であれば、ステップS77へ進んで変速モードの判定を行う一方、同一の運転状態の場合には、タイマTimerの値がすでに設定されているため、そのまま処理を終了する。
【0072】
ステップS77では、現在の変速モードが、自動変速モードとマニュアルモード(またはスイッチ変速モード)のいずれにあるかを判定し、自動変速モードであれば、ステップS78へ進んで、タイマTimerの値をDICLRTIMUに設定する一方、マニュアルモード(図中SW変速)であればステップS79へ進んで、タイマTimerの値をSDICLRTIMUに設定して処理を終了する。
【0073】
ここで、アップシフトとなる時定数算出の足戻しモードでは、通常走行の自動変速モードの方がマニュアルモードよりも変速速度が大きいため、タイマTimerの値は、
DICLRTIMU<SDICLRTIMU
となって、自動変速モードのタイマTimerの値の方が小さく設定される。
【0074】
また、足戻しと踏み込みモードでは、足戻し時のタイマTimerの値の方が小さく設定され、
DICLRTIMU<DICLRTIMD
SDICLRTIMU<SDICLRTIMD
となる。
【0075】
このように、上記ステップS71〜S78で設定された、タイマTimerの値は、図8のステップS81、S82に示すように、所定の制御周期、例えば、10msec毎に、タイマTimerの値が0となるまで、所定値(ここでは、1)ずつ減算される。
【0076】
以上の制御によって、目標変速比Ratio0と実変速比Ratioの偏差RtoERRが生じ、目標変速比Ratio0を演算するための時定数算出モードが変化した直後、換言すれば、急変速の開始時点では、到達変速比DRatioと目標変速比Ratio0の偏差あるいは到達変速比DRatioと実変速比Ratioの偏差が急増するが、上記ステップS74、S75ないしS78、S79でタイマTimerの値が変速モードに応じてセットされ、その後、所定の制御周期毎に減算される(ステップS82)。
【0077】
同時に、上記図4で行われるフィードバック補償変速比FBrtoの演算において、急変速が判定され、かつ、タイマTimerの値が0でないときには、ステップS27において、フィードバック補償変速比の積分分変化量DIntgRを0に規制することで、前回の積分分IntgRを保持するようにしたため、前記従来例のように、急変速の開始時に変速の応答遅れによって上記変速比偏差が大きくなっても、タイマTimerの値が0となるまで、積分分IntgRが不正に蓄積されて増大するのを防止し、実際の変速開始時に変速が過大となるのを防止でき、PID制御ないしPI制御によってフィードバック補償を行う無段変速機を備えた車両の変速制御の精度を確保することができるのである。
【0078】
また、急変速の開始時点で減算を開始するタイマTimerの値を、急変速の方向(アップシフトまたはダウンシフト)や変速モード(自動変速モードまたはマニュアルモード)等の運転条件の違いに応じて変更するようにしたため、無段変速機10の変速特性に応じて、積分分の不正な蓄積を抑制することができるのである。
【0079】
なお、上記実施形態では、無段変速機10として、トロイダル型を示したが、Vベルト式などで構成しても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、フィードバック制御をPID制御で行ったが、PI制御で行うこともできる。
【0081】
また、上記実施形態では、運転者の操作に応じて変速比を変更する運転モード(第2変速モード)として、マニュアルモードを採用した場合について述べたが、自動変速モードよりも最Hi側の変速比を高めに規制する、スポーツモードなどを採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、無段変速機の変速制御装置の概略構成図。
【図2】変速制御の一例を示すフローチャートで、変速制御のメインルーチンを示す。
【図3】トルクシフト補償変速比演算処理のサブルーチンを示す。
【図4】フィードバック補償変速比演算処理のサブルーチンを示す。
【図5】変速比偏差演算処理のサブルーチンを示す。
【図6】フィードバックゲイン演算処理のサブルーチンを示す。
【図7】タイマーセット処理のメインルーチンを示す。
【図8】タイマーカウント処理のメインルーチンを示す。
【図9】車速VSPとアクセル操作量APSに応じた目標入力軸回転数を示す変速マップ。
【図10】入力トルクと変速比に応じたトルクシフト補償変速比のマップ。
【符号の説明】
10 無段変速機
12 エンジン
20 変速制御コントローラ
50 ステップモータ
30 車速センサ
31 アクセル開度センサ
32 入力軸回転センサ
33 出力軸回転センサ
34 クランク角センサ
35 油温センサ
36 油圧センサ
37 セレクトスイッチ
39 マニュアルスイッチ

Claims (3)

  1. アクチュエータに駆動される変速機構を介して変速比を連続的に変更する無段変速機と、
    運転状態に応じて前記無段変速機の到達変速比を演算する到達変速比演算手段と、
    この到達変速比から運転状態に応じた目標変速比を演算する目標変速比演算手段と、
    実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を含んで、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた無段変速機の変速制御装置において、
    前記フィードバック制御手段は、
    前記到達変速比と目標変速比または実変速比の偏差に基づいて、急変速の開始を判定する手段を有し、急変速の開始が判定されたときには、運転状態の違いに応じて予め設定した時間だけ、前記積分手段の値を保持させることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 前記積分手段の値を保持させる時間を、変速方向に応じて変更することを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
  3. 前記到達変速比演算手段は、少なくとも車両の運転状態に応じて変速比を変更する自動変速モードと、運転者の操作に応じて変速比を変更する第2の変速モードとを選択する運転モード選択手段を備え、この運転モードに応じて、前記積分手段の値を保持させる時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の無段変速機の変速制御装置。
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