JP3658718B2 - シーム溶接機の被溶接物把持装置 - Google Patents
シーム溶接機の被溶接物把持装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被溶接物、例えば自動車等の燃料タンクのように、アッパー部材とロアー部材とを重ね合わせ、重ね合わせたアッパー部材とロアー部材のフランジ部を上部電極と下部電極とにより挟持し、フランジ部の溶接線に沿って通電加圧してシーム溶接を行うシーム溶接機の被溶接物把持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置の概要を図4に基づいて説明する。図おいて、符号1で示すものはシーム溶接機本体であり、符号2で示すものはシーム溶接機本体1に装着した被溶接物誘導装置である。また、シーム溶接機本体1の両側には、図5に示すように、一対の支持ブラケット4が固着しており、この一対の支持ブラケット4の先端側には、一側3aがジョイント4a等により保持されて水平回動可能に、他側3bが支持ブラケット4に出入自在に、かつ、摺動可能にガイドレール3が支持されている。
【0003】
また、被溶接物誘導装置2にはシーム溶接機の被溶接物把持装置5が設けられている。この被溶接物把持装置5の回転基板6の回転中心には、被溶接物誘導装置2の先端部に設けたケーシング2′に回転自在に垂直に支持された回転支持軸6′が固着している。これによって、回転基板6はケーシング2′上を水平に回転する。また、回転基板6の上面適所に被溶接物受け7が複数個固着している。
【0004】
また、被溶接物誘導装置2の適所には上方に伸びた支持アーム8が固着されており、支持アーム8の上部上端には中空ブラケット9が鉛直方向に固着支持されている。中空ブラケット9には、回転基板6の回転支持軸6′と同軸となるように摺動自在にガイドシャフト10が嵌合している。
【0005】
また、中空ブラケット9の頂部にはクランプシリンダ11が固着しており、このクランプシリンダ11のピストンロッド11′はガイドシャフト10の上部に連結されている。さらに、ガイドシャフト10の下端部にはベアリング12が装着されており、ベアリング12はベアリングホルダ13に回転自在に保持されている。ベアリングホルダ13にはクランプアーム14が放射状に固着されており、クランプアーム14にはクランパ15が取り付けられている。クランパ15のそれぞれの先端にはクランプ部材15′が装着されている。
【0006】
回転基板6の下面にはカムピン16が取り付けられている。カムピン16はガイドレール3と適宜係合して、被溶接物誘導装置2により被溶接物、すなわち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの円弧部と直線部とからなる溶接線のある溶接部を案内する。
【0007】
つまり、カムピン16はアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線の円弧部の数だけ、円弧部の円弧中心に装着されて、溶接部が円弧部のときは回転基板6を回転支持軸6′を中心に回転させ、すなわち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを円弧状の溶接線に沿わせて回転させるようにし、溶接部が直線部のときは回転基板6を直進させるようにしている。なお、図4において、符号17はシーム溶接機本体1の上部電極を示し、符号18はシーム溶接機本体1の下部電極を各々示している。
【0008】
以上のように構成した従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5の作用を説明する。まず、シーム溶接機本体1の上部電極17は、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが短縮して上昇位置にあり、ガイドレール3の他側3bは、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを被溶接物受け7に載置するため、シーム溶接機本体1から摺動離反し、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接開始側にあるカムピン16はガイドレール3に係合し、ガイドレール3はジョイント4aを中心にして開いた状態にある。
【0009】
さらに、シーム溶接機の被溶接物把持装置5は、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15は上昇して開いた状態にある。そこで、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置すると、ガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1側に移動し、所定位置に位置決めされる。
【0010】
ガイドレール3が位置決めされると、被溶接物把持装置5のクランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸長してクランパ15が下降し、クランパ15のクランプ部材15′と、回転基板6の被溶接物受け7とによって、アッパーパネルWaとロアーパネルWbが挟持され、被溶接物把持装置5に把持される。
【0011】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbが把持されると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが伸長して上部電極17を下降させ、図4に示すように、上部電極17と下部電極18とによりアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線のある溶接部を挟持して、電極加圧力をかけた状態で、両電極17,18を回転させながら通電し、連続的にシーム溶接が行われる。アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接中は、ガイドレール3にカムピン16が適宜係合して、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを溶接線に沿って案内する。
【0012】
所定のシーム溶接が終了すると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが短縮して上部電極17を上昇させ、上部電極17と下部電極18とによるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の挟持を解除する。
【0013】
溶接部の挟持が解除されると、ガイドレール3の他側3bがシーム溶接機本体1から離反し、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15を上昇させ、クランプ部材15′によるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbへのクランプを解除する。クランプが解除されると、被溶接物受け7からシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbを取り出してシーム溶接の1サイクルは終了する。
【0014】
しかしながら、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5は、上述したように、クランプシリンダ11のピストンロッド11′を伸縮してクランプアーム14及びクランパ15を昇降させ、アッパーパネルWaとロアーパネルWbのクランプ及びアンクランプを行うようにしているので、クランパ15が昇降する際、ベアリング12の連結部において、クランプアーム14やクランパ15が水平方向に旋回してしまう問題があった。クランパ15等が旋回すると、クランパ15による押え位置がずれ、アッパーパネルWaの上面に段差や凹凸があった場合は、適切な押え位置でクランプすることができなくなり、シーム溶接不良が発生する問題があった。
【0015】
そこで、クランプアーム14やクランパ15の回転を防止する手段として、図6及び図7に示すシーム溶接機の被溶接物把持装置20が考案された。この装置の概要について説明する。なお、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5と同じ機能を有するものに付いては同一符号を付けて説明を省略する。
【0016】
このクランパ15は、昇降距離を短くし、回転角度をより小さくするため、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5のものよりも長尺に形成されている。
【0017】
また、支持アーム8の下部適所には取付座21が固着されており、取付座21には、図7に示すように、支持ブラケット22が固着されている。支持ブラケット22には円錐状の開口部23′を下方に向けた位置決め管23が固着支持されている。位置決め管23にはクランプアーム14に取付けた略U字状の位置決めピン24の先端直線部24′が係合している。
【0018】
このシーム溶接機の被溶接物把持装置20の作用に付いて説明する。まず、図7に示すように、位置決めピン24はその先端直線部24′が位置決め管23に係合し、クランパ15は上昇端において元位置に位置決めされる。
【0019】
そこで、被溶接物であるアッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置し、クランプシリンダ11を作動させると、ピストンロッド11′が伸長してクランプアーム14と共に、クランパ15が下降し、クランプ部材15′によりアッパーパネルWaとロアーパネルWbを上方より押圧してクランプする。一方、位置決めピン24はクランプアーム14及びクランパ15の下降に伴って下降し、位置決め管23との係合が解除される。
【0020】
また、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランプアーム14と共に、クランパ15が上昇すると、位置決めピン24も上昇する。このとき、クランプアーム14と共に、クランパ15が多少回転していたとしても位置決めピン24はその先端直線部24′が位置決め管23の円錐状の開口部23′に係合してそのまま上昇し、位置決め管23により所定位置に位置決めされる。即ち、クランパ15は上昇端において元位置に確実に位置決めされる。なお、その他の部分は図4に示したシーム溶接機の被溶接物把持装置5と略同じであるので説明を省略する。
【0021】
上述のように構成されたシーム溶接機の被溶接物把持装置20はクランパ15の昇降距離が短いときは、クランプアーム14及びクランパ15の回転角度も小さく、上昇時、位置決めピン24が位置決め管23に係合し、クランパ15は確実に元位置に位置決めされるので、良好なシーム溶接を行うことができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来技術においては、長尺のクランパ15であっても、クランパ15の昇降距離がさらに長くなると、クランパ15の回転角度も大きくなり、上昇時、位置決めピン24の先端直線部24′が位置決め管23の円錐状の開口部23′に係合しなくなり、クランパ15は元位置に位置決めされず、シーム溶接不良が生じるという問題が発生した。
【0023】
さらに、被溶接物によってクランプ高さが異なる場合や、又は被溶接物のクランプ面に段差や凹凸がある場合は、当然、クランプアーム14やクランパ15の位置決め精度が要求されるが、どのように改良してもクランパ15は回転してしまい、適用は困難であるという問題が生じた。
【0024】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、極めて簡単な構成で、しかも確実、かつ、適切なクランプ位置で被溶接物をクランプすることができるシーム溶接機の被溶接物把持装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シーム溶接機本体の被溶接物把持装置に被溶接物受けを設けた回転基板を回転自在に支持し、
該回転基板の上方に配設した基盤に前記回転基板の回転支持軸と同軸に支持軸を固着し、該支持軸に、該支持軸と同軸に外周面に元位置溝を形成した回転円盤を回転自在に装着し、
該回転円盤の外周面に係合可能な元位置ローラを前記基盤に揺動可能に支持すると共に、前記元位置ローラを前記回転円盤の外周面に常時付勢する弾発付勢手段を設け、
前記回転円盤に把持部材を連結支持すると共に、前記基盤を昇降させる昇降手段を設けたことを特徴とするものである。
【0026】
このように構成したので、例えば、上面に段差のある被溶接物を回転基板の被溶接物受けに載置すると、被溶接物把持装置の昇降手段が作動して把持部材を下降させる。このとき、把持部材は、元位置ローラが弾発付勢手段の弾発力で回転円盤の元位置溝に係合しているので、回転せず、所定の姿勢を維持して下降し、把持部材で被溶接物の段差のあるクランプ面の所定クランプ位置を上方より正確に押圧し、確実にクランプする。
【0027】
これにより被溶接物は回転基板の被溶接物受けと、把持部材とにより挟持されて被溶接物把持装置に把持される。被溶接物が把持されると、被溶接物の溶接線に沿ってシーム溶接が行われる。
【0028】
このようにしてシーム溶接が行われると、被溶接物は溶接線に沿って案内されるので、溶接線の円弧部においては被溶接物は溶接線に沿って回転する。シーム溶接する際の電極による被溶接物の回転力は、把持部材を介して回転円盤へと伝達され、回転円盤は、弾発付勢手段の弾発力に抗して回転し、元位置ローラは回転円盤の元位置溝との係合が解除され、回転円盤の外周面を回動する。
【0029】
被溶接物の溶接線の溶接部の全周のシーム溶接が完了すると、電極によるシーム溶接後の被溶接物の溶接部の挟持が解除される。
【0030】
溶接部の挟持が解除されると、シーム溶接後の被溶接物は再び溶接開始位置に誘導される。すると、回転円盤の外周面を回動していた元位置ローラは、弾発付勢手段の弾発力により、回転円盤の元位置溝と係合し、把持部材は位置決めされる。
【0031】
この状態において、昇降手段が作動して把持部材を上昇させ、把持部材によるシーム溶接後の被溶接物のクランプを解除する。把持部材は、元位置ローラが回転円盤の元位置溝と係合しているので、所定の姿勢を保ちながら上昇するので、被溶接物受けよりシーム溶接後の被溶接物を取出す。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を主に図1乃至図3に基づいて説明する。なお、従来技術と同じ機能を有するものに付いては、同一符号を付して説明を省略する。図において、符号30で示すものは、被溶接物誘導装置2(図4参照)に設けたシーム溶接機の被溶接物把持装置30であり、符号31は被溶接物把持装置30の支持アーム8の先端に固着支持されたマウントブラケットである。マウントブラケット31には昇降手段であるクランプシリンダ11が取り付けられている。
【0033】
クランプシリンダ11のピストンロッド11′の下端部には基盤32が、回転基板6(図4参照)の上方になるように固着支持されている。したがって、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸縮すると、基盤32が昇降する。また、クランプシリンダ11の両側(図1においては左右位置)において、マウントブラケット31には一対のガイドホルダ33が固着しており、ガイドホルダ33には一端が基盤32に固着した一対のガイドシャフト34が摺動自在に嵌合している。
【0034】
また、基盤32には、回転基板6(図4参照)の回転支持軸6′と同軸に支持軸35が固着している。この支持軸35の先端部には、図示しないベアリングが固設されており、ベアリングはベアリングケース36に回転自在に内装されている。したがって、ベアリングケース36の方が回転することになる。ベアリングケース36の下部には一対のガイド溝36′が形成されており、ガイド溝36′にはクランパ取付金具37の上部に形成された一対のガイドレール37′が係合している。クランパ取付金具37にはクランプアーム14が放射状に固着しており、クランプアーム14の先端部には把持部材であるクランパ15と、クランプ部材15′とが装着されている。
【0035】
なお、把持部材であるクランパ15は被溶接物であるアッパーパネルWaとロアーパネルWbとのクランプ位置の高さにより長さを違えてクランプアーム14に取付けられている(図1参照)。
【0036】
また、クランパ取付金具37は、その一対のガイドレール37′をベアリングケース36の一対のガイド溝36′に一側(図2においては右側)から係合させて押し入れ、ベアリングケース36のガイド溝36′の他側に固着したストッパ38に当接させて、ボルトにてベアリングケース36に固定されている。したがって、被溶接物の種類の変更に対して、極めて容易にクランプアーム14及びクランパ15を変更させることができる構造になっている。
【0037】
ベアリングケース36の上部には支持軸35と同軸に回転円盤39が固着されている。回転円盤39の外周面適所には元位置溝39′(図3をも参照)が形成されている。したがって、回転円盤39は支持軸35に回転自在に装着されており、クランパ15は回転円盤39に連結支持されていることになる。
【0038】
また、図2に示すように基盤32の上部にはマウントブロック40が固着しており、マウントブロック40にはヒンジピン42によりローラ支持アーム41の基端部が回転自在に連結している。このローラ支持アーム41の先端部には元位置ローラ43が回転円盤39の外周面に係合可能に回転自在に装着されている。したがって、元位置ローラ43は基盤32に、回転円盤39の外周面に係合可能に揺動支持されている。
【0039】
ローラ支持アーム41の中央部には貫通孔41′が穿設されており、この貫通孔41′を挿通して基盤32に基端部を固着させたボルト44が設けられている。ボルト44にはスプリング留45が螺合しており、このスプリング留45とローラ支持アーム41と間にはボルト44を囲繞して弾発付勢手段であるスプリング46が介装されている。スプリング46は元位置ローラ43を回転円盤39側に弾発付勢している。なお、符号47で示すものは、スプリング留45をボルト44に固定するロックナットである。
【0040】
また、図1に示すように、支持アーム8の下部適所には取付座21が固着されており、この取付座21には開口部を下方に向けたガイド溝48′を有する、略U字形の元位置ガイド48が固着している。この元位置ガイド48のガイド溝48′にはクランプアーム14が係合してクランパ15の水平方向の位置決めをするようになっている。
【0041】
このように構成した本発明の実施の形態の作用を説明する。まず、図4の従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5と同様に、図1のシーム溶接機本体1の上部電極17は、加圧シリンダ(図示省略)のピストンロッドが短縮して上昇位置にある。また、図5に示したガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1から離反し、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接開始側にあるカムピン16はガイドレール3に係合した状態にある。
【0042】
また、シーム溶接機の被溶接物把持装置30のクランプアーム14及びクランパ15は、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮して上昇位置にあると共に、元位置ローラ43(図2及び図3参照)が回転円盤39の元位置溝39′に係合し、且つ、クランプアーム14が元位置ガイド48のガイド溝48′に係合して元位置に位置決めされている。
【0043】
そこで、上面に段差のあるアッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置すると、ガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1側に移動し、所定位置に位置決めされる。
【0044】
ガイドレール3が所定位置に位置決めされると、シーム溶接機の被溶接物把持装置30のクランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸長してクランパ15を下降させる。この時、クランパ15は、元位置ローラ43がスプリング46の弾発力で回転円盤39の元位置溝39′に係合しているので、回転せず、所定の姿勢を維持して下降し、クランパ15のクランプ部材15′でアッパーパネルWaとロアーパネルWbの段差のあるクランプ面の所定クランプ位置を上方より正確に押圧し、確実にクランプする。
【0045】
即ち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbは回転基板6の被溶接物受け7(図4参照)と、クランパ15のクランプ部材15′とにより挟持されてシーム溶接機の被溶接物把持装置30に把持される。
【0046】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbが把持されると、図示しない、加圧シリンダのピストンロッドが伸長して上部電極17を下降させ、図4に示すように、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部を上部電極17と下部電極18とにより挟持して通電加圧しながら、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の溶接線に沿ってシーム溶接が行われる。
【0047】
このようにしてシーム溶接が行われると、アッパーパネルWaとロアーパネルWbは、被溶接物誘導装置2により溶接線に沿って案内されるので、溶接線の円弧部においては溶接線に沿って回転する。
【0048】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbの回転力は、クランパ15、クランプアーム14、クランパ取付金具37及びベアリングケース36を介して回転円盤39へと伝達され、回転円盤39は、スプリング46の弾発力に抗して回転し、元位置ローラ43(図2参照)は回転円盤39の元位置溝39′との係合が解除され、回転円盤39の外周面を回動する。
【0049】
このようにして、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線の溶接部の全周のシーム溶接が完了すると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドを短縮させて上部電極17を上昇させ、上部電極17と下部電極18とによるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の挟持を解除する。
【0050】
溶接部の挟持が解除されると、シーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbは被溶接物誘導装置2により再び溶接開始位置に誘導される。すると、回転円盤39の外周面を回動していた元位置ローラ43は、スプリング46の弾発力により、回転円盤39の元位置溝39′と係合し、クランパ15は位置決めされる。
【0051】
すると、ガイドレール3の他側3aはシーム溶接機本体1から離反し、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15を上昇させ、クランプ部材15′によるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbのクランプを解除する。
【0052】
クランパ15は、元位置ローラ43が回転円盤39の元位置溝39′と係合しているので、所定の姿勢を保ちながら上昇し、クランプアーム14が元位置ガイド48のガイド溝48′に係合してクランパ15の位置決めをする。なお、元位置ガイド48は、クランプアーム14及びクランパ15が上昇して元位置に位置決めされる際、クランパ15に過度の応力が負荷された場合、元位置ローラ43が回転円盤39の元位置溝39′から逸脱し、クランプアーム14及びクランパ15の位置決めが解除されるのを防止するものである。
【0053】
シーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbへのクランプが解除されると、被溶接物受け7よりシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbを取出してシーム溶接の1サイクルは終了する。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、把持部材であるクランパが昇降する際、元位置ローラが回転円盤の元位置溝に係合してクランパの姿勢を確実に保持するように構成したので、クランパは回転することなく昇降し、被溶接物の所望する把持位置を正確に把持することができ、被溶接物の把持面に段差や凹凸があっても正確に被溶接物を把持することができ、良好なシーム溶接を行うことができる、
【0055】
把持部材であるクランパが昇降する際、元位置ローラが回転円盤の元位置溝に係合してクランパの姿勢を確実に保持するように構成したので、種類の異なる被溶接物であっても、正確に被溶接物を把持することができ、シーム溶接機の汎用性を拡大させることができる、さらに、構造が簡素であるので、製作費用を廉価にすることができる等の効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すシーム溶接機の被溶接物把持装置の正面図である。
【図2】図1に示すものの拡大B矢視図である。
【図3】図2に示すもののC−C線に沿う断面図である。
【図4】シーム溶接機の被溶接物把持装置を説明するための側面図である。
【図5】図4に示すものの支持ブラケットに取付けたガイドレールと、回転基板との上面図である。
【図6】従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置の他のものの正面図である。
【図7】図6に示すもののA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 シーム溶接機本体
6 回転基板
6′回転支持軸
7 被溶接物受け
11 クランプシリンダ
15 クランパ
30 被溶接物把持装置
32 基盤
35 支持軸
39 回転円盤
39′元位置溝
43 元位置ローラ
46 スプリング
【発明の属する技術分野】
本発明は、被溶接物、例えば自動車等の燃料タンクのように、アッパー部材とロアー部材とを重ね合わせ、重ね合わせたアッパー部材とロアー部材のフランジ部を上部電極と下部電極とにより挟持し、フランジ部の溶接線に沿って通電加圧してシーム溶接を行うシーム溶接機の被溶接物把持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置の概要を図4に基づいて説明する。図おいて、符号1で示すものはシーム溶接機本体であり、符号2で示すものはシーム溶接機本体1に装着した被溶接物誘導装置である。また、シーム溶接機本体1の両側には、図5に示すように、一対の支持ブラケット4が固着しており、この一対の支持ブラケット4の先端側には、一側3aがジョイント4a等により保持されて水平回動可能に、他側3bが支持ブラケット4に出入自在に、かつ、摺動可能にガイドレール3が支持されている。
【0003】
また、被溶接物誘導装置2にはシーム溶接機の被溶接物把持装置5が設けられている。この被溶接物把持装置5の回転基板6の回転中心には、被溶接物誘導装置2の先端部に設けたケーシング2′に回転自在に垂直に支持された回転支持軸6′が固着している。これによって、回転基板6はケーシング2′上を水平に回転する。また、回転基板6の上面適所に被溶接物受け7が複数個固着している。
【0004】
また、被溶接物誘導装置2の適所には上方に伸びた支持アーム8が固着されており、支持アーム8の上部上端には中空ブラケット9が鉛直方向に固着支持されている。中空ブラケット9には、回転基板6の回転支持軸6′と同軸となるように摺動自在にガイドシャフト10が嵌合している。
【0005】
また、中空ブラケット9の頂部にはクランプシリンダ11が固着しており、このクランプシリンダ11のピストンロッド11′はガイドシャフト10の上部に連結されている。さらに、ガイドシャフト10の下端部にはベアリング12が装着されており、ベアリング12はベアリングホルダ13に回転自在に保持されている。ベアリングホルダ13にはクランプアーム14が放射状に固着されており、クランプアーム14にはクランパ15が取り付けられている。クランパ15のそれぞれの先端にはクランプ部材15′が装着されている。
【0006】
回転基板6の下面にはカムピン16が取り付けられている。カムピン16はガイドレール3と適宜係合して、被溶接物誘導装置2により被溶接物、すなわち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの円弧部と直線部とからなる溶接線のある溶接部を案内する。
【0007】
つまり、カムピン16はアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線の円弧部の数だけ、円弧部の円弧中心に装着されて、溶接部が円弧部のときは回転基板6を回転支持軸6′を中心に回転させ、すなわち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを円弧状の溶接線に沿わせて回転させるようにし、溶接部が直線部のときは回転基板6を直進させるようにしている。なお、図4において、符号17はシーム溶接機本体1の上部電極を示し、符号18はシーム溶接機本体1の下部電極を各々示している。
【0008】
以上のように構成した従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5の作用を説明する。まず、シーム溶接機本体1の上部電極17は、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが短縮して上昇位置にあり、ガイドレール3の他側3bは、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを被溶接物受け7に載置するため、シーム溶接機本体1から摺動離反し、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接開始側にあるカムピン16はガイドレール3に係合し、ガイドレール3はジョイント4aを中心にして開いた状態にある。
【0009】
さらに、シーム溶接機の被溶接物把持装置5は、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15は上昇して開いた状態にある。そこで、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置すると、ガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1側に移動し、所定位置に位置決めされる。
【0010】
ガイドレール3が位置決めされると、被溶接物把持装置5のクランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸長してクランパ15が下降し、クランパ15のクランプ部材15′と、回転基板6の被溶接物受け7とによって、アッパーパネルWaとロアーパネルWbが挟持され、被溶接物把持装置5に把持される。
【0011】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbが把持されると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが伸長して上部電極17を下降させ、図4に示すように、上部電極17と下部電極18とによりアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線のある溶接部を挟持して、電極加圧力をかけた状態で、両電極17,18を回転させながら通電し、連続的にシーム溶接が行われる。アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接中は、ガイドレール3にカムピン16が適宜係合して、アッパーパネルWaとロアーパネルWbを溶接線に沿って案内する。
【0012】
所定のシーム溶接が終了すると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドが短縮して上部電極17を上昇させ、上部電極17と下部電極18とによるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の挟持を解除する。
【0013】
溶接部の挟持が解除されると、ガイドレール3の他側3bがシーム溶接機本体1から離反し、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15を上昇させ、クランプ部材15′によるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbへのクランプを解除する。クランプが解除されると、被溶接物受け7からシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbを取り出してシーム溶接の1サイクルは終了する。
【0014】
しかしながら、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5は、上述したように、クランプシリンダ11のピストンロッド11′を伸縮してクランプアーム14及びクランパ15を昇降させ、アッパーパネルWaとロアーパネルWbのクランプ及びアンクランプを行うようにしているので、クランパ15が昇降する際、ベアリング12の連結部において、クランプアーム14やクランパ15が水平方向に旋回してしまう問題があった。クランパ15等が旋回すると、クランパ15による押え位置がずれ、アッパーパネルWaの上面に段差や凹凸があった場合は、適切な押え位置でクランプすることができなくなり、シーム溶接不良が発生する問題があった。
【0015】
そこで、クランプアーム14やクランパ15の回転を防止する手段として、図6及び図7に示すシーム溶接機の被溶接物把持装置20が考案された。この装置の概要について説明する。なお、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5と同じ機能を有するものに付いては同一符号を付けて説明を省略する。
【0016】
このクランパ15は、昇降距離を短くし、回転角度をより小さくするため、従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5のものよりも長尺に形成されている。
【0017】
また、支持アーム8の下部適所には取付座21が固着されており、取付座21には、図7に示すように、支持ブラケット22が固着されている。支持ブラケット22には円錐状の開口部23′を下方に向けた位置決め管23が固着支持されている。位置決め管23にはクランプアーム14に取付けた略U字状の位置決めピン24の先端直線部24′が係合している。
【0018】
このシーム溶接機の被溶接物把持装置20の作用に付いて説明する。まず、図7に示すように、位置決めピン24はその先端直線部24′が位置決め管23に係合し、クランパ15は上昇端において元位置に位置決めされる。
【0019】
そこで、被溶接物であるアッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置し、クランプシリンダ11を作動させると、ピストンロッド11′が伸長してクランプアーム14と共に、クランパ15が下降し、クランプ部材15′によりアッパーパネルWaとロアーパネルWbを上方より押圧してクランプする。一方、位置決めピン24はクランプアーム14及びクランパ15の下降に伴って下降し、位置決め管23との係合が解除される。
【0020】
また、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランプアーム14と共に、クランパ15が上昇すると、位置決めピン24も上昇する。このとき、クランプアーム14と共に、クランパ15が多少回転していたとしても位置決めピン24はその先端直線部24′が位置決め管23の円錐状の開口部23′に係合してそのまま上昇し、位置決め管23により所定位置に位置決めされる。即ち、クランパ15は上昇端において元位置に確実に位置決めされる。なお、その他の部分は図4に示したシーム溶接機の被溶接物把持装置5と略同じであるので説明を省略する。
【0021】
上述のように構成されたシーム溶接機の被溶接物把持装置20はクランパ15の昇降距離が短いときは、クランプアーム14及びクランパ15の回転角度も小さく、上昇時、位置決めピン24が位置決め管23に係合し、クランパ15は確実に元位置に位置決めされるので、良好なシーム溶接を行うことができる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した従来技術においては、長尺のクランパ15であっても、クランパ15の昇降距離がさらに長くなると、クランパ15の回転角度も大きくなり、上昇時、位置決めピン24の先端直線部24′が位置決め管23の円錐状の開口部23′に係合しなくなり、クランパ15は元位置に位置決めされず、シーム溶接不良が生じるという問題が発生した。
【0023】
さらに、被溶接物によってクランプ高さが異なる場合や、又は被溶接物のクランプ面に段差や凹凸がある場合は、当然、クランプアーム14やクランパ15の位置決め精度が要求されるが、どのように改良してもクランパ15は回転してしまい、適用は困難であるという問題が生じた。
【0024】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、極めて簡単な構成で、しかも確実、かつ、適切なクランプ位置で被溶接物をクランプすることができるシーム溶接機の被溶接物把持装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シーム溶接機本体の被溶接物把持装置に被溶接物受けを設けた回転基板を回転自在に支持し、
該回転基板の上方に配設した基盤に前記回転基板の回転支持軸と同軸に支持軸を固着し、該支持軸に、該支持軸と同軸に外周面に元位置溝を形成した回転円盤を回転自在に装着し、
該回転円盤の外周面に係合可能な元位置ローラを前記基盤に揺動可能に支持すると共に、前記元位置ローラを前記回転円盤の外周面に常時付勢する弾発付勢手段を設け、
前記回転円盤に把持部材を連結支持すると共に、前記基盤を昇降させる昇降手段を設けたことを特徴とするものである。
【0026】
このように構成したので、例えば、上面に段差のある被溶接物を回転基板の被溶接物受けに載置すると、被溶接物把持装置の昇降手段が作動して把持部材を下降させる。このとき、把持部材は、元位置ローラが弾発付勢手段の弾発力で回転円盤の元位置溝に係合しているので、回転せず、所定の姿勢を維持して下降し、把持部材で被溶接物の段差のあるクランプ面の所定クランプ位置を上方より正確に押圧し、確実にクランプする。
【0027】
これにより被溶接物は回転基板の被溶接物受けと、把持部材とにより挟持されて被溶接物把持装置に把持される。被溶接物が把持されると、被溶接物の溶接線に沿ってシーム溶接が行われる。
【0028】
このようにしてシーム溶接が行われると、被溶接物は溶接線に沿って案内されるので、溶接線の円弧部においては被溶接物は溶接線に沿って回転する。シーム溶接する際の電極による被溶接物の回転力は、把持部材を介して回転円盤へと伝達され、回転円盤は、弾発付勢手段の弾発力に抗して回転し、元位置ローラは回転円盤の元位置溝との係合が解除され、回転円盤の外周面を回動する。
【0029】
被溶接物の溶接線の溶接部の全周のシーム溶接が完了すると、電極によるシーム溶接後の被溶接物の溶接部の挟持が解除される。
【0030】
溶接部の挟持が解除されると、シーム溶接後の被溶接物は再び溶接開始位置に誘導される。すると、回転円盤の外周面を回動していた元位置ローラは、弾発付勢手段の弾発力により、回転円盤の元位置溝と係合し、把持部材は位置決めされる。
【0031】
この状態において、昇降手段が作動して把持部材を上昇させ、把持部材によるシーム溶接後の被溶接物のクランプを解除する。把持部材は、元位置ローラが回転円盤の元位置溝と係合しているので、所定の姿勢を保ちながら上昇するので、被溶接物受けよりシーム溶接後の被溶接物を取出す。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の一例を主に図1乃至図3に基づいて説明する。なお、従来技術と同じ機能を有するものに付いては、同一符号を付して説明を省略する。図において、符号30で示すものは、被溶接物誘導装置2(図4参照)に設けたシーム溶接機の被溶接物把持装置30であり、符号31は被溶接物把持装置30の支持アーム8の先端に固着支持されたマウントブラケットである。マウントブラケット31には昇降手段であるクランプシリンダ11が取り付けられている。
【0033】
クランプシリンダ11のピストンロッド11′の下端部には基盤32が、回転基板6(図4参照)の上方になるように固着支持されている。したがって、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸縮すると、基盤32が昇降する。また、クランプシリンダ11の両側(図1においては左右位置)において、マウントブラケット31には一対のガイドホルダ33が固着しており、ガイドホルダ33には一端が基盤32に固着した一対のガイドシャフト34が摺動自在に嵌合している。
【0034】
また、基盤32には、回転基板6(図4参照)の回転支持軸6′と同軸に支持軸35が固着している。この支持軸35の先端部には、図示しないベアリングが固設されており、ベアリングはベアリングケース36に回転自在に内装されている。したがって、ベアリングケース36の方が回転することになる。ベアリングケース36の下部には一対のガイド溝36′が形成されており、ガイド溝36′にはクランパ取付金具37の上部に形成された一対のガイドレール37′が係合している。クランパ取付金具37にはクランプアーム14が放射状に固着しており、クランプアーム14の先端部には把持部材であるクランパ15と、クランプ部材15′とが装着されている。
【0035】
なお、把持部材であるクランパ15は被溶接物であるアッパーパネルWaとロアーパネルWbとのクランプ位置の高さにより長さを違えてクランプアーム14に取付けられている(図1参照)。
【0036】
また、クランパ取付金具37は、その一対のガイドレール37′をベアリングケース36の一対のガイド溝36′に一側(図2においては右側)から係合させて押し入れ、ベアリングケース36のガイド溝36′の他側に固着したストッパ38に当接させて、ボルトにてベアリングケース36に固定されている。したがって、被溶接物の種類の変更に対して、極めて容易にクランプアーム14及びクランパ15を変更させることができる構造になっている。
【0037】
ベアリングケース36の上部には支持軸35と同軸に回転円盤39が固着されている。回転円盤39の外周面適所には元位置溝39′(図3をも参照)が形成されている。したがって、回転円盤39は支持軸35に回転自在に装着されており、クランパ15は回転円盤39に連結支持されていることになる。
【0038】
また、図2に示すように基盤32の上部にはマウントブロック40が固着しており、マウントブロック40にはヒンジピン42によりローラ支持アーム41の基端部が回転自在に連結している。このローラ支持アーム41の先端部には元位置ローラ43が回転円盤39の外周面に係合可能に回転自在に装着されている。したがって、元位置ローラ43は基盤32に、回転円盤39の外周面に係合可能に揺動支持されている。
【0039】
ローラ支持アーム41の中央部には貫通孔41′が穿設されており、この貫通孔41′を挿通して基盤32に基端部を固着させたボルト44が設けられている。ボルト44にはスプリング留45が螺合しており、このスプリング留45とローラ支持アーム41と間にはボルト44を囲繞して弾発付勢手段であるスプリング46が介装されている。スプリング46は元位置ローラ43を回転円盤39側に弾発付勢している。なお、符号47で示すものは、スプリング留45をボルト44に固定するロックナットである。
【0040】
また、図1に示すように、支持アーム8の下部適所には取付座21が固着されており、この取付座21には開口部を下方に向けたガイド溝48′を有する、略U字形の元位置ガイド48が固着している。この元位置ガイド48のガイド溝48′にはクランプアーム14が係合してクランパ15の水平方向の位置決めをするようになっている。
【0041】
このように構成した本発明の実施の形態の作用を説明する。まず、図4の従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置5と同様に、図1のシーム溶接機本体1の上部電極17は、加圧シリンダ(図示省略)のピストンロッドが短縮して上昇位置にある。また、図5に示したガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1から離反し、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接開始側にあるカムピン16はガイドレール3に係合した状態にある。
【0042】
また、シーム溶接機の被溶接物把持装置30のクランプアーム14及びクランパ15は、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮して上昇位置にあると共に、元位置ローラ43(図2及び図3参照)が回転円盤39の元位置溝39′に係合し、且つ、クランプアーム14が元位置ガイド48のガイド溝48′に係合して元位置に位置決めされている。
【0043】
そこで、上面に段差のあるアッパーパネルWaとロアーパネルWbを回転基板6の被溶接物受け7に載置すると、ガイドレール3の他側3bはシーム溶接機本体1側に移動し、所定位置に位置決めされる。
【0044】
ガイドレール3が所定位置に位置決めされると、シーム溶接機の被溶接物把持装置30のクランプシリンダ11のピストンロッド11′が伸長してクランパ15を下降させる。この時、クランパ15は、元位置ローラ43がスプリング46の弾発力で回転円盤39の元位置溝39′に係合しているので、回転せず、所定の姿勢を維持して下降し、クランパ15のクランプ部材15′でアッパーパネルWaとロアーパネルWbの段差のあるクランプ面の所定クランプ位置を上方より正確に押圧し、確実にクランプする。
【0045】
即ち、アッパーパネルWaとロアーパネルWbは回転基板6の被溶接物受け7(図4参照)と、クランパ15のクランプ部材15′とにより挟持されてシーム溶接機の被溶接物把持装置30に把持される。
【0046】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbが把持されると、図示しない、加圧シリンダのピストンロッドが伸長して上部電極17を下降させ、図4に示すように、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部を上部電極17と下部電極18とにより挟持して通電加圧しながら、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の溶接線に沿ってシーム溶接が行われる。
【0047】
このようにしてシーム溶接が行われると、アッパーパネルWaとロアーパネルWbは、被溶接物誘導装置2により溶接線に沿って案内されるので、溶接線の円弧部においては溶接線に沿って回転する。
【0048】
アッパーパネルWaとロアーパネルWbの回転力は、クランパ15、クランプアーム14、クランパ取付金具37及びベアリングケース36を介して回転円盤39へと伝達され、回転円盤39は、スプリング46の弾発力に抗して回転し、元位置ローラ43(図2参照)は回転円盤39の元位置溝39′との係合が解除され、回転円盤39の外周面を回動する。
【0049】
このようにして、アッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接線の溶接部の全周のシーム溶接が完了すると、図示しない加圧シリンダのピストンロッドを短縮させて上部電極17を上昇させ、上部電極17と下部電極18とによるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbの溶接部の挟持を解除する。
【0050】
溶接部の挟持が解除されると、シーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbは被溶接物誘導装置2により再び溶接開始位置に誘導される。すると、回転円盤39の外周面を回動していた元位置ローラ43は、スプリング46の弾発力により、回転円盤39の元位置溝39′と係合し、クランパ15は位置決めされる。
【0051】
すると、ガイドレール3の他側3aはシーム溶接機本体1から離反し、クランプシリンダ11のピストンロッド11′が短縮してクランパ15を上昇させ、クランプ部材15′によるシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbのクランプを解除する。
【0052】
クランパ15は、元位置ローラ43が回転円盤39の元位置溝39′と係合しているので、所定の姿勢を保ちながら上昇し、クランプアーム14が元位置ガイド48のガイド溝48′に係合してクランパ15の位置決めをする。なお、元位置ガイド48は、クランプアーム14及びクランパ15が上昇して元位置に位置決めされる際、クランパ15に過度の応力が負荷された場合、元位置ローラ43が回転円盤39の元位置溝39′から逸脱し、クランプアーム14及びクランパ15の位置決めが解除されるのを防止するものである。
【0053】
シーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbへのクランプが解除されると、被溶接物受け7よりシーム溶接後のアッパーパネルWaとロアーパネルWbを取出してシーム溶接の1サイクルは終了する。
【0054】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、把持部材であるクランパが昇降する際、元位置ローラが回転円盤の元位置溝に係合してクランパの姿勢を確実に保持するように構成したので、クランパは回転することなく昇降し、被溶接物の所望する把持位置を正確に把持することができ、被溶接物の把持面に段差や凹凸があっても正確に被溶接物を把持することができ、良好なシーム溶接を行うことができる、
【0055】
把持部材であるクランパが昇降する際、元位置ローラが回転円盤の元位置溝に係合してクランパの姿勢を確実に保持するように構成したので、種類の異なる被溶接物であっても、正確に被溶接物を把持することができ、シーム溶接機の汎用性を拡大させることができる、さらに、構造が簡素であるので、製作費用を廉価にすることができる等の効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すシーム溶接機の被溶接物把持装置の正面図である。
【図2】図1に示すものの拡大B矢視図である。
【図3】図2に示すもののC−C線に沿う断面図である。
【図4】シーム溶接機の被溶接物把持装置を説明するための側面図である。
【図5】図4に示すものの支持ブラケットに取付けたガイドレールと、回転基板との上面図である。
【図6】従来のシーム溶接機の被溶接物把持装置の他のものの正面図である。
【図7】図6に示すもののA−A線に沿う断面図である。
【符号の説明】
1 シーム溶接機本体
6 回転基板
6′回転支持軸
7 被溶接物受け
11 クランプシリンダ
15 クランパ
30 被溶接物把持装置
32 基盤
35 支持軸
39 回転円盤
39′元位置溝
43 元位置ローラ
46 スプリング
Claims (1)
- シーム溶接機本体の被溶接物把持装置に被溶接物受けを設けた回転基板を回転自在に支持し、
該回転基板の上方に配設した基盤に前記回転基板の回転支持軸と同軸に支持軸を固着し、該支持軸に、該支持軸と同軸に外周面に元位置溝を形成した回転円盤を回転自在に装着し、
該回転円盤の外周面に係合可能な元位置ローラを前記基盤に揺動可能に支持すると共に、前記元位置ローラを前記回転円盤の外周面に常時付勢する弾発付勢手段を設け、
前記回転円盤に把持部材を連結支持すると共に、前記基盤を昇降させる昇降手段を設けたことを特徴とするシーム溶接機の被溶接物把持装置。
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