JP3657479B2 - スピーカーフレーム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃強度、耐熱性及び制振性等の諸性能に優れるスピーカーフレーム及びその製造方法、さらにスピーカーフレーム用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属製スピーカーフレームが広く使用されているが、設計自由度が大きく、しかも組立性及び軽量性の向上が可能であることから、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(PBT)、耐熱アクリロニトリル系樹脂(AS)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE)、ポリカーボネート樹脂等をベース樹脂としてガラス繊維等の強化材を含有させた組成物からなる樹脂製スピーカーフレームの採用が増加しつつある。これら組成物を用いたスピーカーフレームの強度、耐熱性は良好であり要求性能を満足するものである。
しかしながら、かかるスピーカフレームは金属製フレームに比して弾性率がはるかに低いため、固有振動数が低周波数となって制振性が低下し、可聴範囲の音響振動と共振して音質が低下する問題があった。
以上の問題を解決するために、高制振性を有するポリプロピレン系樹脂を用い、さらに強度、靭性、耐熱変形性を高めるためにカット長10mm程度以上のガラス繊維で強化した樹脂組成物を用いることが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が鋭意検討した結果、かかるガラス繊維を用いた場合には効率的にフレームが成形できず、しかもガラス繊維を配合したことによる補強効果が十分に得られないことが判明した。すなわち、ガラス繊維を破断させることなく樹脂中に均一分散させるためには低圧縮比スクリューを有する特殊な射出成形機が必要となるため費用、設備等の点で非効率であり、しかも該射出成形機を用いたとしても、ガラス長繊維が組成物内部で互いに絡み合って分散不良が生じることから、結局、ガラス繊維本来の補強効果が十分に奏されず、しかも外観が不良になってしまう。
本発明の目的は、耐衝撃強度、耐熱剛性、制振性等の諸性能に優れるスピーカーフレーム及びその効率的な製造方法、さらにスピーカーフレーム用樹脂組成物を提案することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂、ガラス繊維及び直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有する樹脂組成物であって、かつ該ガラス繊維は該樹脂組成物を溶融混練することにより平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損されたものである樹脂組成物を用いてなるスピーカーフレームである。また本発明は、ポリプロピレン系樹脂、ガラス繊維及び直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有する樹脂組成物であって、かつ該ガラス繊維は該樹脂組成物を溶融混練することにより平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損されたものであるスピーカーフレーム用樹脂組成物である。さらに本発明は、平均繊維長5mm以上25mm以下のガラス繊維を含有するプロピレン系樹脂と直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを混合し、次いで熱溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損させた後に賦形するスピーカーフレームの製造方法である。さらに本発明は、平均繊維長5mm以上25mm以下のガラス繊維を含有するプロピレン系樹脂と直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有するプロピレン系樹脂を混合し、次いで熱溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損させた後に賦形するスピーカーフレームの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、スピーカーフレームを構成する樹脂組成物として特定の組成物を用いることにより、耐衝撃強度、耐熱剛性、制振性等の諸性能に優れるスピーカーフレームが得られることを見出したものである。一般に樹脂組成物の耐衝撃性を高めるためにはガラス長繊維を使用することが好ましいとされていたが、本発明はむしろ繊維長の比較的短いガラス短繊維を均一に分散させることにより顕著な効果が得られることを見出したものである。繊維長の比較的短い繊維を均一に分散させることは通常困難であるが、後述の方法によれば本発明のスピーカーフレーム及び樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0006】
スピーカーフレームを構成する樹脂組成物中のガラス繊維の平均繊維長は、補強効果の点から0.8mm以上、特に1mm以上、さらに1.5mm以上であるのが好ましく、分散不良及び外観不良を抑制する点からは5mm以下、特に3mm以下であるのが好ましい。また補強効果、均一分散性の点からはガラス繊維の直径は5〜30μm、特に8〜20μmであるのが好ましい。
樹脂組成物中に占めるガラス繊維の割合は特に限定されないが、制振性、耐熱剛性、耐衝撃性の点から1重量%以上、特に3重量%以上、さらに5重量%以上とするのが好ましく、均一分散性等の点からは30重量%以下、特に25重量%以下とするのが好ましい。
【0007】
また本発明においては、無機フィラーを併用する必要がある。かかる無機フィラーを用いることにより、所望の長さのガラス繊維をマトリックス中に実質的に均一に分散させ得るとともに、樹脂組成物の耐熱剛性を高めることができる。ガラス繊維との絡み合いを保持して所定の長さに破断させる点、さらに均一分散性、耐熱剛性等の点から無機フィラーの直径(最大径)は35μm以上、さらに600μm以下、特に300μm以下であるのが好ましく、アスぺクト比は30以上である板状無機フィラーが好ましい。使用する無機フィラーの構成は特に種類されず、例えばマイカ、タルク、ガラスフレーク等が使用できる。剛性が高く高アスペクト比のものを工業的に容易に生産できることから、少なくともマイカを用いるのが好ましい。樹脂組成物中に占める板状無機フィラーの割合は特に限定されないが、制振性、耐熱剛性、耐衝撃性の点、さらにガラス繊維に適度な剪断力を加える点から5重量%以上、特に10重量%以上とするのが好ましく、均一分散性等の点からは50重量%以下、特に30重量%以下とするのが好ましい。
【0008】
本発明の樹脂組成物を構成する樹脂としては、少なくともポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は制振性に優れることから好適なスピーカーフレームを得ることができる。本発明の効果を損わない範囲であればポリプロピレン系樹脂以外の樹脂を併用してもかまわないが、該樹脂組成物を構成する樹脂の30重量%以上、特に50重量%以上、さらに80重量%以上をポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。
使用するポリプロピレン系樹脂の構成は特に限定されないが、耐熱剛性、制振性等の点からは少なくともホモポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、また機械的性能、耐熱老化性、成形性等の点からは該ポリプロピレン系樹脂の少なくとも一部として、酸変性ポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、その使用目的に合わせて該樹脂組成を設計することができる。
【0009】
以下に本発明のスピーカーフレームを得る好適な方法を詳細に説明する。
本発明においては平均繊維長5mm以上25mm以下のガラス繊維を含有するプロピレン系樹脂と無機フィラーを混合し、次いで溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損させた後に賦形する方法を採用するのが好ましい。本発明は平均繊維長0.8mm以上5mm以下のガラス繊維により補強された樹脂組成物を用いるものであるが、予めかかる平均繊維長を有するガラス繊維を用いると、混練時、賦形時等に破断して平均繊維長が短くなりすぎる可能性があり、また破断しにくい温和な条件を採用した場合にはマトリックス中に均一に分散させるのが困難となる。しかしながら、上記の方法を採用した場合には、混練時、成形時等により生じる剪断力によりガラス繊維を所望の長さに容易に破断させることができ、しかも予めガラス繊維を分散させた樹脂として
該ポリプロピレン系樹脂粒(A)(以下樹脂粒(A)とする。)、例えばペレット、チップ等を用いれば良い。これにより一般には均一分散しにくい長さを有する繊維をマトリックス中に均一に分散させることができる。
【0010】
かかる樹脂粒(A)中のガラス繊維の平均繊維長は、賦形後のガラス繊維の平均繊維長を所望の範囲にするとともに十分な補強効果を得る点から、5mm以上とするのが好ましく、均一分散性等の点からは25mm以下、さらに15mm以下、特に10mm以下とするのがより好ましい。
また剪断力により破断しても繊維径は実質的に変化しないことから、樹脂粒(A)中のガラス繊維の直径は5〜30μm、特に8〜20μmであるのが好ましい。
【0011】
また樹脂粒(A)中のガラス繊維の含有割合は特に限定されないが、ガラス繊維を所望の長さに破断させるとともに均一分散させる点から、30重量%以上、特に40重量%以上、さらに50重量%以上とするのが好ましく、80重量%以下とするのが好ましい。また同理由から樹脂粒(A)を構成する樹脂組成物のMFRは1〜20g/分であるのが好ましい。
該樹脂粒(A)を構成する樹脂としては、前記のように少なくともポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。該ポリプロピレン系樹脂は制振性に優れることから好適なスピーカーフレームが得られる。また本発明の効果を損わない範囲であればポリプロピレン系樹脂以外のポリプロピレン系樹脂と相溶性の良い樹脂を併用してもかまわないが、樹脂粒(A)を構成する樹脂の30重量%以上、特に50重量%以上、さらに80重量%以上をポリプロピレン系樹脂とするのが好ましい。使用するポリプロピレン系樹脂の構成は特に限定されないが、前記のように耐熱剛性、制振性等の点からは少なくともホモポリプロピレン樹脂を用いるのが好ましい。
【0012】
また一方前記のように機械的性能、耐熱老化性、成形性等の点からは一部として、酸変性ポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、該樹脂粒(A)を構成する樹脂の0.1〜20重量%を該酸変性ポリプロピレン系樹脂とするのが好ましく、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部の変性剤を用いて変性させたものがより好ましい。
変性剤としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等のジカルボン酸無水物が挙げられる。なかでも無水マレイン酸が最も好ましい。
該変性剤の配合量が5重量部より多すぎると未反応の無水カルボン酸がポリプロピレン樹脂内に多量に残留してしまい好ましくない。
【0013】
なお本発明における樹脂粒とは、球形、円柱形、角柱等に造粒された成形材料を示し、本発明の効果が得られる範囲であればその大きさ、形態、その製造法は特に限定されない。また複数種の樹脂粒を併用することも可能である。
【0014】
かかる樹脂粒(A)と無機フィラーを混合し、次いで熱溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を所望の長さに破損させた後に賦形すればよい。無機フィラーとしては上記に挙げた無機フィラーが好適に使用できる。
ガラス繊維を均一に分散させる点からはポリプロピレン系樹脂が溶融しない条件で樹脂粒(A)と無機フィラーを十分に混合するのが好ましい。
しかしながら、ガラス繊維の破損状態をコントロールし、かつ良好に均一分散させる点からは、無機フィラーを、無機フィラー含有ポリプロピレン系樹脂粒(B)の形態で添加するのが好ましい。
該樹脂粒(B)を構成する樹脂組成物中に無機フィラーを均一分散するためにその含有量は30重量%以上、さらに40重量%以上であるのが好ましく、80重量%以下であるのが好ましい。またガラス繊維の長さが必要以上に短くなるのを抑制して適度な長さに破断する点からは、樹脂粒(B)を構成する樹脂組成物のMFRが1g/分以上であるのが好ましく、またスピーカーフレームの耐衝撃性を高める点からは50g/分以下であるのが好ましい。また本発明の効果を効率的に得る点からは、樹脂粒(B)としては実質的にガラス繊維が含まれていないものが好ましく、ガラス繊維含有量は1重量%以下、特に0〜0.5重量%であるのがより好ましい。
【0015】
該樹脂粒(B)を構成する樹脂としては、少なくともポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましい。ポリプロピレン系樹脂は制振性に優れることから好適なスピーカーフレームが得られる。本発明の効果を損わない範囲であればポリプロピレン系樹脂以外の樹脂を併用してもかまわないが、該樹脂粒(B)を構成する樹脂の30重量%以上、特に50重量%以上、さらに80重量%以上をポリプロピレン系樹脂とするのが好ましい。機械的性能、耐熱老化性、成形性等の点からは樹脂粒(B)を構成するポリプロピレン系樹脂の少なくとも一部として、酸変性ポリプロピレン系樹脂を用いるのが好ましく、樹脂粒(B)を構成する樹脂の0.1〜20重量%を該酸変性ポリプロピレン系樹脂とするのが好ましく、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部の変性剤を用いて変性させたものがより好ましい。また複数種の樹脂粒(B)を併用することも可能である。
【0016】
上記のような樹脂粒(A)及び樹脂粒(B)を溶融混練することにより、樹脂粒(A)中のガラス繊維が適度な長さに破断するとともに樹脂中に均一分散されて顕著な効果が得られる。一般に繊維長の短いガラス繊維は均一分散が困難である問題があるが、かかる方法によれば所望の長さのガラス繊維が均一分散したスピーカーフレームを得ることができる。
樹脂粒(A)及び樹脂粒(B)の混合比は、A中のガラス繊維含有率等の諸条件により適宜設定すればよいが、2:1〜1:5程度(重量比)とするのが好ましい。
本発明の効果を損わない範囲であれば、他の素材が配合されていてもかまわない。例えば他の無機充填材(例えば炭酸カルシウム、ワラストナイト、二酸化チタン、カーボンブラック、黒鉛など)、有機質充填材(例えば木粉、パルプ、合成繊維、天然繊維など)、添加剤(着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、造核剤等)、他の樹脂(樹脂粒等を包含する)などの1種以上を添加することができる。
【0017】
スピーカーフレームを構成する樹脂組成物の耐震性、耐熱剛性等をより一層高めるとともに、ガラス繊維をより均一に分散させる点からは、樹脂粒(A)、もしくは樹脂粒(A)及び樹脂粒(B)とは別に、さらに少なくともポリプロピレン系樹脂(C)を添加するのが好ましい。特にホモポリプロピレン樹脂を添加するのが好ましい。
樹脂(C)としては実質的にガラス繊維及び無機フィラーが含まれていないものが好ましく、ガラス繊維含有量は1重量%以下、特に0〜0.5重量%であるのがより好ましく、無機フィラー含有量は1重量%以下、特に0〜0.5重量%であるのがより好ましい。
樹脂(C)の添加量は適宜設定すればよいが、(樹脂粒(A)+樹脂粒(B)):樹脂(C)が30:70〜70:30(重量比)となるように添加混合するのが好ましい。
【0018】
ガラス繊維を均一に分散させる点からはポリプロピレン系樹脂が溶融しない条件で樹脂粒(A)と無機フィラーまたは無機フィラーを含む樹脂粒(B)を十分に混合するのが好ましい。各添加成分がペレットの場合にはより均一に混合可能であるためより優れた結果が得られる。
これらの溶融混練方法は特に限定されず、例えば単軸押出機、二軸押出機を使用して製造すればよい。具体的にはタンブラー、ブレンダー等を用いて均一に混合する。次いで熱可塑性樹脂に対して一般に採用されている成形方法、例えば射出成形法、押出成形法、プレス成形法などを用いて賦形すればよい。なかでもガラス繊維の分散効果を大きく生産性の優れる射出成形法を用いて成形するのがより好ましい。成形条件は適宜設定すればよいが、例えば射出成形を行う場合、シリンダー温度230〜280℃程度、射出速度30〜70%、背圧29〜80×104Pa−Gauge、金型温度30〜50℃等の条件を採用すればよい。
成形体の構造、形状、大きさは特に限定されず、目的に応じたものとすればよい。また得られた成形体と他の素材をさらに併用してスピーカーフレームを製造してもかまわない。
本発明によれば、例えば損失係数0.08以下、熱変形温度150℃以上、アイゾット衝撃強度290N・cm/cm2以上の諸性能に優れた板状物を製造でき、よって制振性、耐熱剛性、耐衝撃性等の諸性能に優れたスピーカーフレームが得られる。
【0019】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例により何等限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
[ガラス繊維の平均繊維長 mm]
樹脂組成物の樹脂成分を焼成除去し、回収したガラス繊維300本以上の長さを光学顕微鏡で測定し、その平均繊維長を求めた。
【0021】
[無機フィラーの直径 μm、アスペクト比]
無機フィラーを各種目開きの標準ふるいを用いて湿式分級を行い、その結果をRosin−Rammlar線図にプロットして測定に供した無機フィラーの50重量%が通過するふるい目開きL50を求め、(√2)×L50により求めた。
またアスペクト比は、上記の方法で測定した重量平均径を重量平均フレ−ク厚さで除して求めた。なお重量平均フレ−ク厚さは、C.E.Capesらの報告による水面単粒子膜法により測定されるフレ−クの水面での占有面積をS、フレ−クの重量をW、フレ−クの比重をρ、フレ−クが水面上で最密充填状態をとった場合の占有率を1−εとしたとき、W/{ρ(1−ε)S}により算出される値である。
【0022】
[MFR g/分]
JIS K7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)に準じて測定した。
【0023】
[損失係数]
JIS K7198(プラスチックの非共振振動法による動的粘弾性の温度依存性に関する試験方法)に準じて測定した。
【0024】
[熱変形温度 ℃]
JIS K7207(硬質プラスチックの荷重たわみ試験)に準じて測定した。
【0025】
[アイゾット衝撃強度 N・cm/cm2]
JIS K7110(硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法)に準じて測定した。
【0026】
[実施例1]
平均繊維長8mm、直径10μmのガラス繊維を65重量%含有するポリプロピレン系樹脂ペレット(A)(グランドポリマー製ホモポリプロピレン系樹脂「J107W」使用)35重量部と、直径200μm、重量平均アスペクト比70のマイカ30重量%、グランドポリマー製ホモポリプロピレン樹脂「J107W」50重量%、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン樹脂100重量部に対して無水マレイン酸2重量部を反応させたもの)20重量%からなるポリプロピレン系樹脂ペレット(B)65重量部をタンブラーで均一に混合し、次いで日精製射出成形機「FS―80」に供給し、シリンダー温度260℃、射出速度50%、背圧49×104Pa−Gauge、金型温度40℃、の条件で成形サイクル40秒で試験片を成形した。
得られた成形品中のガラス繊維の平均繊維長は1.0mmであり、損失係数0.05、熱変形温度154℃、アイゾット衝撃強度300N・cm/cm2のように制振性、耐熱剛性、耐衝撃性等の諸性能に優れた成形体が得られた。該樹脂組成物を用いることにより優れたスピーカーフレームを得ることができる。
【0027】
[実施例2]
上記実施例1で使用した樹脂ペレット(A):15重量部と直径200μm、重量平均アスペクト比70のマイカ50重量%、グランドポリマー製ホモポリプロピレン樹脂「J107W」30重量%、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン樹脂100重量部に対して無水マレイン酸2重量部を反応させたもの)20重量%からなるポリプロピレン系樹脂ペレット(B):40重量部に、さらにホモポリプロピレン樹脂ペレット(C)(グランドポリマー社製「J107W」):45重量部を添加してタンブラーで均一に混合し、次いで実施例1と同様にして試験片を成形した。
得られた成形品中のガラス繊維の平均繊維長は2.1mmであり、損失係数0.05、熱変形温度155℃、アイゾット衝撃強度340N・cm/cm2のように制振性、耐熱剛性、耐衝撃性等の諸性能に優れた成形体が得られた。該樹脂組成物を用いることにより優れたスピーカーフレームを得ることができる。
【0028】
[比較例1]
平均繊維長2mm、直径10μmのガラス繊維を30重量%含有するポリプロピレン樹脂ペレット(A)(グランドポリマー製ホモポリプロピレン系樹脂「J107W」使用):33重量部;直径200μm、重量平均アスペクト比70のマイカ50重量%、グランドポリマー製ホモポリプロピレン系樹脂「J107W」30重量%、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン樹脂100重量部に対して無水マレイン酸2重量部を反応させたもの)20重量%からなるポリプロピレン系樹脂ペレット(B):MFR=10g/分):40重量部;ホモポリプロピレン樹脂ペレット(C)(グランドポリマー製ホモポリプロピレン系樹脂「J107W」)27重量部をタンブラーで均一に混合し、実施例1と同様に試験片を成形した。
該成形品中のガラス繊維の平均繊維長は0.45mmであり、損失係数は0.05であるものの、熱変形温度149℃、アイゾット衝撃強度255N・cm/cm2と耐熱剛性、耐衝撃性等の劣るものであった。
Claims (5)
- ポリプロピレン系樹脂、ガラス繊維及び直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有する樹脂組成物であって、かつ該ガラス繊維は該樹脂組成物を溶融混練することにより平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損されたものである樹脂組成物を用いてなるスピーカーフレーム。
- 板状無機フィラーがマイカである請求項1に記載のスピーカーフレーム。
- ポリプロピレン系樹脂、ガラス繊維及び直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有する樹脂組成物であって、かつ該ガラス繊維は該樹脂組成物を溶融混練することにより平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損されたものであるスピーカーフレーム用樹脂組成物。
- 平均繊維長5mm以上25mm以下のガラス繊維を含有するプロピレン系樹脂と直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを混合し、次いで熱溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損させた後に賦形するスピーカーフレームの製造方法。
- 平均繊維長5mm以上25mm以下のガラス繊維を含有するプロピレン系樹脂と直径35〜600μmでアスペクト比が30以上の板状無機フィラーを含有するプロピレン系樹脂を混合し、次いで熱溶融させるとともに剪断力を加えて該ガラス繊維を平均繊維長0.8mm以上5mm以下に破損させた後に賦形するスピーカーフレームの製造方法。
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