JP3656290B2 - モノパルスレーダ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子を備え、各アンテナ素子を用いて所定電波を送受信させ、各アンテナ素子にて得られた受信信号に基づき、外部に存在する物標の方位等を検出する、モノパルスレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の衝突を未然に防ぐために運転者の視覚を補助する手段として、電波を伝送媒体とした障害物検出レーダの実現が期待されている。またこの種のレーダ装置において、前を走行する車両等,障害物の水平方向の位置を判別することは、衝突の可能性予測にきわめて重要な技術である。このため、こうした自動車用のレーダ装置としては、例えば特開昭61−167890に開示されているようなモノパルスレーダ装置が有効であると考えられる。
【0003】
つまり、モノパルスレーダ装置は、一般に、航空機追尾用レーダとして用いられているが、水平或は垂直方向の位置を判別するのに優れたレーダ装置であることから、自動車の走行環境のような多くの障害物が存在する状況において、きわめて有効に機能すると考えられるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうしたモノパルスレーダ装置を利用した衝突防止システムが普及し、これを搭載した車両が増加すると、各システム間の送受信電波の電波干渉は避けられないものとなり、障害物等の物標検知能力が低下することが予想される。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、電波を発生する他の通信装置との間で生じる電波の相互干渉を抑圧して、常に良好な物標検知能力が得られるモノパルスレーダ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、円偏波の電波を送受信可能であって放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子と、前記各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換える偏波切換手段と、所定周期で周波数が変化する周波数変調信号を送信信号として発生する信号発生手段と、該信号発生手段からの送信信号を各アンテナ素子に入力して各アンテナ素子から電波を放射させると共に、各アンテナ素子にて受信された受信信号を各々取り出す信号入出力手段と、前記信号入出力手段を介して得られた各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号と混合して、各受信信号を中間周波信号に変換する周波数変換手段と、該周波数変換手段による変換後の前記各中間周波信号に基づいて外部の物標を検出する物標検出手段と、を備えたモノパルスレーダ装置において、前記周波数変換手段が、前記各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号を用いて各々周波数変換する複数の周波数変換部と、該複数の周波数変換部にて周波数変換された中間周波信号を順次選択して前記物標検出手段に出力する出力スイッチ手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このように構成された請求項1に記載のモノパルスレーダ装置においては、信号入出力手段が、信号発生手段から発生する送信信号(周波数変調信号)を、放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子の各々に入力して、各アンテナ素子から電波を放射させると共に、各アンテナ素子にて受信された受信信号を各々取り出し、周波数変換手段が、その取り出された受信信号を送信信号と混合して中間周波信号に変換する。そして物標検出手段が、その変換後の各中間周波信号に基づいて外部の物標を検出する。この装置では、各アンテナ素子に、円偏波の電波を送受信可能な円偏波用アンテナ素子が使用され、偏波切換手段が、各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換える。
そして特に、この装置では、周波数変換手段が、複数の周波数変換部と、出力スイッチ手段とを備えている。周波数変換部は、各アンテナ素子からの受信信号を上記送信信号を用いて周波数変換し、出力スイッチ手段は、複数の周波数変換部にて周波数変換された中間周波信号を順次選択して物標検出手段に出力する。
【0008】
つまり、モノパルスレーダ装置は、放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子から電波を放射させ、その放射電波が外部の物標に当たって反射してきた反射波を各アンテナ素子にて受信することにより、各アンテナ素子にて得られた受信信号の振幅又は位相の差から物標の方位を検出するものであるが、当該装置近傍に、同一規格の他のモノパルスレーダ装置が存在したり、当該装置が送受信する電波と略同じ周波数帯の信号を送信或は受信する通信装置が存在すると、これら他の装置との間で電波干渉が発生して、その干渉波により物標の検知能力が低下してしまう。
そこで請求項1に記載のモノパルスレーダ装置では、各アンテナ素子に、円偏波の電波を送受信可能な円偏波用アンテナ素子を使用し、偏波切換手段にて各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換えることにより、干渉波による検知能力の低下を、各アンテナ素子が有する偏波識別によって防止するようにしている。
【0009】
更に、上記構成のモノパルスレーダ装置は、従来より一般に知られているモノパルスレーダ装置に、アンテナ素子から周波数が連続的に上昇又は下降する送信信号を放射させ、アンテナ素子にて受信された受信信号と現在送信している送信信号とをミキサ回路等からなる周波数変換手段を用いて混合して、受信信号を、受信信号の周波数と送信信号の周波数との偏差に対応した周波数の中間周波信号に周波数変換することにより、その中間周波信号の周波数から、アンテナ素子から放射した送信信号が物標に当たってアンテナ素子に戻ってくるまでの時間、延いてはアンテナ素子から物標までの距離を検出するFM−CWレーダの技術を適用したものである。
そして、このFM−CW方式のモノパルスレーダ装置を実現するに当たって、周波数変換部にて周波数変換された中間周波信号を、出力スイッチ手段により、時分割で物標検出手段に順次入力しているのである。
【0010】
この結果、請求項1に記載のモノパルスレーダ装置によれば、例えば車両に搭載して障害物等を検出するシステムに適用したとしても、他の装置からの送信電波に影響されることなく障害物等の物標を正確に検出できるようになり、物標検知能力を高めて車両の走行安全性を向上することが可能になる。
しかも、周波数変換手段にて中間周波信号に変換された各アンテナ素子からの受信信号を受ける物標検出手段側で、これら各受信信号(中間周波信号)から物標の方位及び物標までの距離を容易に且つ正確に求めることができるため、障害物の方位及び障害物までの距離を正確に検出して、車両の障害物への衝突の危険性を車両運転者に速やかに報知し、車両走行時の安全性を向上することができる。
更に、出力スイッチ手段を備えたことにより、物標検出手段において、各アンテナ素子に対応した中間周波信号から物標の方位及び距離を正確に求めるために、入力された中間周波信号を増幅したり波形整形するための信号処理回路を、各アンテナ素子に対応して複数設ける必要がなく、装置構成を簡素化することができる。
【0011】
なお、各アンテナ素子の円偏波の旋回方向を切り換える偏波切換手段としては、例えば、各アンテナ素子から電波を送信させて物標の検出を行う物標検出動作を1回或は複数回行う度に、円偏波の旋回方向を交互に切り換えるようにしてもよいし、また例えば、通常は任意の旋回方向の円偏波を用いて物標検出動作を行い、各アンテナ素子にて得られた受信信号が通常有り得ない信号レベルとなったときに、円偏波の旋回方向を切り換えるようにしてもよい。
【0012】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様、複数のアンテナ素子と、偏波切換手段と、信号発生手段と、信号入出力手段と、周波数変換手段と、物標検出手段とを備えたモノパルスレーダ装置である。
【0013】
そして、請求項2に記載のモノパルスレーダ装置では、周波数変換手段が、各アンテナ素子から入力される受信信号を順次選択して取り込む入力スイッチ手段と、該入力スイッチ手段から順次入力される受信信号を上記送信信号を用いて順次周波数変換して物標検出手段に出力する一つの周波数変換部とを備えている。
【0014】
即ち、この請求項2に記載のモノパルスレーダ装置では、信号入出力手段を介して入力される各アンテナ素子からの受信信号を、入力スイッチ手段により、時分割にて取り込み、その取り込んだ受信信号を周波数変換部にて中間周波信号に変換するのである。
【0015】
このため、請求項2に記載のモノパルスレーダ装置によれば、請求項1に記載の装置と同様、障害物の方位及び障害物までの距離を正確に検出して、車両の障害物への衝突の危険性を車両運転者に速やかに報知し、車両走行時の安全性を向上することができるのに加え、物標検出手段に信号処理回路を複数設ける必要がなく、装置構成を簡素化できる。しかも請求項2のモノパルスレーダ装置は、周波数変換手段において受信信号を中間周波数に変換する周波数変換部についても、アンテナ素子に対応して複数設ける必要がないため、装置構成をより簡素化することができる。
【0016】
また、周波数変換部において受信信号を中間周波信号に変換するには、信号発生手段から出力された送信信号を、各アンテナ素子に対応した信号入出力手段だけでなく、周波数変換部にも分配する必要があるが、請求項2に記載の装置では、この周波数変換部をアンテナ素子の個数に関係なく、1つにすることができるので、周波数変換部を各アンテナ素子に対応して複数設けた場合に比べて、送信信号の分配に伴う送信信号の電力低下を抑制でき、信号発生手段の出力電力を小さくすることができる。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明は、円偏波の電波を送受信可能であって放射パターンの一部が重なるように配設された少なくとも3個以上のアンテナ素子を備えるほか、請求項1に記載の発明と同様、偏波切換手段と、信号発生手段と、信号入出力手段と、周波数変換手段と、物標検出手段とを備えたモノパルスレーダ装置である。
【0018】
そして、請求項3に記載のモノパルスレーダ装置では、周波数変換手段が、アンテナ素子に対応して、各アンテナ素子からの受信信号を上記送信信号を用いて各々周波数変換する3個以上の周波数変換部を備えると共に、該各周波数変換部から出力される中間周波信号の中から一対の中間周波信号を選択して物標検出手段に出力する信号選択手段を備え、該信号選択手段が選択する中間周波信号の変更により、物標検出に使用するアンテナ素子の間隔を調整可能に構成してなることを特徴とする。
【0019】
つまり、モノパルスレーダ装置は、基本的には、2個のアンテナ素子を放射パターンの一部が重なるように各アンテナ素子を所定間隔で配置し、各アンテナ素子にて得られた受信信号の振幅又は位相の差から物標の方位を検出するものであるため、2個のアンテナ素子を備えていれば、FM−CW方式のモノパルスレーダ装置を実現できる。しかし、単に2個のアンテナ素子のみで物標の方位及び距離をしようとすると、例えば、アンテナ素子の間隔が狭いと、物標までの距離が短い場合には、各アンテナ素子の受信信号の振幅又は位相の差から物標の位置を良好に検出できるものの、物標までの距離が長い場合には、各アンテナ素子にて得られた受信信号の振幅や位相の差が極めて小さくなって、物標の位置を良好に検出できなくなるといったことがある。
【0020】
そこで、請求項3に記載のモノパルスレーダ装置では、アンテナ素子を少なくとも3個以上設けて、周波数変換部にて中間周波信号に変換した各アンテナ素子からの受信信号の中から、信号選択手段を用いて任意の2つを選択できるように構成することにより、物標の検出に使用するアンテナ素子の間隔を調整(切換)できるようにしているのである。
【0021】
この結果、請求項3に記載のモノパルスレーダ装置によれば、例えば当該装置から物標までの距離や、物標の検出状態等に応じて、信号選択手段が選択する中間周波信号を切り換えることにより、物標検出に用いるアンテナ素子の間隔を、物標を最も良好に検出可能な値に切り換えることができるようになり、物標(特にその方位)の検出精度をより向上して、角度測定分解能に優れたレーダ装置を実現することが可能になる。
【0022】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のモノパルスレーダ装置であって、物標検出手段は、当該モノパルスレーダ装置から外部の物標までの距離を検出できるよう構成されており、更に、選択制御手段が、物標検出手段により検出された距離に基づき、該距離が長いほど、前記一対の中間周波信号に対応した一対のアンテナ素子の間隔が広くなるように信号選択手段を制御する。
【0023】
このように構成された請求項4に記載のモノパルスレーダ装置によれば、例えば物標までの距離が所定の設定距離以上の場合はアンテナの間隔を広くし、設定距離以上でなければアンテナの間隔を狭くするというように、物標までの距離に応じて一対の中間周波信号を切り換える(換言すれば、一対のアンテナを切り換える)ことができるため、当該モノパルスレーダ装置から物標までの距離に影響されることなく、物標を正確に検出できるようになる。
【0024】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4いずれか記載のモノパルスレーダ装置であって、物標検出手段が物標の検出を行う毎に乱数を発生する乱数発生手段と、物標検出手段が物標の検出を行う毎に乱数発生手段が発生した乱数に基づいて偏波切換手段を動作させる切換制御手段とを備えたことを特徴とする。即ち、物標検出手段が物標の検出を行う毎に、円偏波の旋回方向をランダムに切り換えるのであり、例えば、発生した乱数が偶数ならば右旋円偏波、奇数ならば左旋円偏波とするようにすることができる。
【0025】
従って、請求項5に記載のモノパルスレーダ装置によれば、当該装置と同様のモノパルスレーダ装置等との間で電波干渉が発生しても、その干渉波による影響を受けることなく物標を検出することが可能となり、物標の検出精度を向上できる。
【0026】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5いずれか記載のモノパルスレーダ装置において、前記各アンテナ素子は、2端子給電型の円偏波用アンテナ素子からなり、前記信号入出力手段は、前記各アンテナ素子毎に設けられ、前記送信信号を位相差90度の送信信号に分配してアンテナ素子の2つの給電端子に出力すると共に、アンテナ素子の各給電端子から入力される一対の受信信号のうち、前記分配した送信信号とは逆方向に90度の位相差を有する受信信号を合成して装置内に取り込む、複数の90度ハイブリッド回路からなり、前記偏波切換手段は、前記90度ハイブリッド回路とアンテナ素子の給電端子とを接続する一対の信号経路の一方に設けられ、位相変化量を0度及び180度のいずれかに切り換え可能な位相変化量可変型の移相器からなることを特徴とする。
【0027】
即ち、90度ハイブリッド回路は、入力端子に入力された信号を位相差90度の信号に分配して一対の入出力端子から出力し、入出力端子に信号出力時とは逆方向の位相差(−90度)を有する信号が入力されたときに、その信号を合成して出力端子から出力するものであるため、請求項2に記載のモノパルスレーダ装置では、各アンテナ素子に、位相差90度の信号を受けて所定旋回方向の円偏波を送信する2端子給電型の円偏波用アンテナ素子を用い、各アンテナ素子の一対の給電端子と、90度ハイブリッド回路の一対の入出力端子とを各々接続して、90度ハイブリッド回路の入力端子に信号発生手段からの送信信号を入力することにより、各アンテナ素子の一対の給電端子に位相差90度の送信信号を給電して、各アンテナ素子から所定旋回方向の円偏波の電波を放射させるのである。
【0028】
そして、このように各アンテナ素子から所定旋回方向の円偏波の電波を放射させ、その放射電波が外部の物標に当たって反射すると、反射波の旋回方向が送信時とは逆方向になって、各アンテナ素子に入射し、各アンテナ素子の一対の給電端子には、送信時とは逆方向の位相差(−90度)を有する信号が誘起されるため、各アンテナ素子にて物標からの反射波が受信された場合には、その受信信号が90度ハイブリッド回路にて合成されて、その出力端子から物標検出手段に出力されることになり、各アンテナ素子の偏波識別により、物標に当たって反射してきた電波のみを受信して物標検出を行うことができる。
【0029】
また、90度ハイブリッド回路とアンテナ素子の給電端子とを接続する一対の信号経路の一方には、位相変化量を0度又は180度のいずれかに切換可能な移相器が設けられているため、この移相器の位相変化量を切り換えることにより、アンテナ素子の給電端子に入力する送信信号の位相差を90度及び−90度のいずれかに切り換え、アンテナ素子から放射させる電波の旋回方向を右旋回及び左旋回のいずれかに切り換えることができる。
【0030】
従って、請求項6に記載のモノパルスレーダ装置によれば、請求項1〜請求項5いずれか記載のモノパルスレーダ装置を、比較的簡単な構成にて実現でき、また電波の旋回方向の切り換えも簡単に行うことができる。
つまり、請求項1〜請求項5いずれか記載のモノパルスレーダ装置は、例えば、各アンテナ素子を導波管円偏波アンテナとこのアンテナへの供給電力に定められた方向の磁界を与えて電波を旋回させるポラライザとから構成し、信号入出力手段をサーキュレータにより構成し、偏波切換手段をポラライザが発生する磁界の方向を切り換えて円偏波の旋回方向を切り換えるように構成しても実現できるが、この場合、フェライト回路であるサーキュレータ等を使用するので装置が大型化し、また装置構成も複雑になってしまう。
【0031】
これに対して、請求項6に記載のモノパルスレーダ装置によれば、アンテナ素子,信号入出力手段及び偏波切換手段からなる高周波回路部を、2端子給電型円偏波用アンテナ素子,90度ハイブリッド回路及び位相変化量可変型移相器から構成しているため、これら各部をフェライト回路を用いることなく実現でき、装置構成を簡素化して小型化を図ることができるようになるのである。
【0032】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のモノパルスレーダ装置において、前記アンテナ素子,90度ハイブリッド回路,及び移相器からなる送受信用の高周波回路部が、所定の基板上に導電パターンにて形成した平面回路からなることを特徴とする。
【0033】
このように、請求項7に記載のモノパルスレーダ装置では、高周波回路部を、所定の基板上に導電パターン(マイクロストリップライン)からなる平面回路にて構成しているので、モノパルスレーダ装置をより小型化することができ、装置の利用範囲を拡大できる。
【0034】
なお、高周波回路部を平面回路にて構成するには、例えば、90度ハイブリッド回路を、ラットレース電力合成回路,ウィルキンソン電力合成回路等のマイクロストリップラインにて構成可能なハイブリッド回路にて構成するようにすればよい。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に本発明が適用された実施例の車両用障害物検出装置について説明する。(第1実施例)
図1は第1実施例の車両用障害物検出装置の構成を表わすブロック図である。
【0036】
図1に示す如く、本実施例の車両用障害物検出装置は、複数(本実施例では3個)の2端子給電型円偏波用アンテナ素子(以下単にアンテナセルという)2a,2b,2cと誘電体レンズ4とからなるマルチビーム誘電体レンズアンテナ(以下単にアンテナ装置という)6、アンテナ装置6の各アンテナセル2a〜2cから所定旋回方向の円偏波の電波を放射させると共に、各アンテナセル2a〜2cからの受信信号に基づき誘電体レンズ4の前方に存在する障害物の位置を検出し、車両が障害物に衝突する虞がある場合には警報装置12を動作させて、車両運転者にその旨を報知する電子制御装置(以下単にECUという)10、及び、ECU10からの出力信号に応じて各アンテナセル2a〜2cから円偏波の電波を放射させると共に、各アンテナセル2a〜2cにて得られた受信信号を処理してECU10に入力する送受信回路20、を備えている。
【0037】
ここで、アンテナ装置6において、各アンテナセル2a〜2cは水平方向に所定間隔で配設されており、各アンテナセル2a〜2cの放射パターン(指向性)は、誘電体レンズ4によって、図2(a)〜(c)に示す如く、水平方向に各々異なり、しかも一部が重なり合った放射パターンとなるようにされている。
【0038】
つまり、3個のアンテナセル2a〜2cの内、中央のアンテナセル2bは、図2(b)に示す如く、図に点線で示す誘電体レンズ4の中心軸に沿って略左右対称となる放射パターンとなり、左右のアンテナセル2a,2cは、図2(a),(c)に示す如く、図に点線で示す誘電体レンズ4の中心軸に対して右又は左側に偏った放射パターンとなるようにされている。
【0039】
なお、アンテナ装置6全体の放射パターン(指向性)は、これら各アンテナセル2a〜2cの放射パターンを合成した図2(d)に示す放射パターンとなる。次に、送受信回路20には、ECU10から出力される電圧制御された制御信号に応じて、所定周波数の送信用高周波信号(送信信号)を発生する電圧制御型の周波数可変発振器(以下単に発振器という)22と、発振器22からの送信信号を、各アンテナセル2a〜2cに供給するための給電用信号と各アンテナセル2a〜2cにて得られた受信信号を周波数変換するための3つのローカル信号とに4分配する第1電力分配器24と、第1電力分配器24にて給電用信号として分配された送信信号を、各アンテナセル2a〜2cに各々供給するための給電用信号として更に3分配する第2電力分配器26とが備えられている。
【0040】
そして、第2電力分配器26にて分配された各アンテナセル2a〜2cに対する送信信号は、各アンテナセル2a〜2cに対応して設けられた90度ハイブリッド回路28a〜28cの入力端子Bに夫々入力される。
90度ハイブリッド回路28a〜28cは、入力端子Bに入力された送信信号を、90度の位相差で夫々半分づつに振り分けて一対の入出力端子C,Dから出力し、逆に、入出力端子C,Dに送信信号とは逆位相(位相差−90度)の信号を受けると、この信号を合成して出力端子Aから出力する周知のものであり、一対の入出力端子C,Dの内、一方の入出力端子Cは、対応するアンテナセル2a〜2cの一方の給電端子Hに直接接続され、他方の入出力端子Dは、対応するアンテナセル2a〜2cの他方の給電端子Vに、位相変化量Φを0度又は180度に切換可能な位相変化量可変型移相器(以下単に移相器という)30a〜30cを介して接続されている。
【0041】
従って、第2電力分配器26から90度ハイブリッド回路28a〜28cに入力された送信信号は、90度の位相差を有する送信信号として、各アンテナセル2a〜2cの一対の給電端子に夫々供給され、各アンテナセル2a〜2cからは、夫々、所定旋回方向の円偏波の電波が放射されることになる。
【0042】
また、各アンテナセル2a〜2cに放射電波とは逆旋回の円偏波電波が受信されると、各アンテナセル2a〜2cの給電端子に、送信時とは逆方向に90度の位相差(−90度)を有する受信電力が発生するため、90度ハイブリッド回路28a〜28cにおいては、各アンテナセル2a〜2cにて送信電波と逆旋回の電波が受信されたとき(換言すれば送信電波が外部の物標に当たって反射してくる反射電波が受信されたとき)に、その受信信号が合成され、出力端子Aからその合成した受信信号が出力されることになる。
【0043】
また、90度ハイブリッド回路28a〜28cの一方の入出力端子Dとアンテナセル2a〜2cの一方の給電端子Vとの間には、夫々、移相器30a〜30cが設けられているが、この移相器30a〜30cは、位相変化量Φを0度又は180度に切り換え可能であるため、この移相器30a〜30cの位相変化量Φを切り換えることにより、アンテナセル2a〜2cを介して送受信可能な円偏波の旋回方向を切り換えることができる。なお、この移相器30a〜30cの位相変化量Φは、ECU10により切り換えられる。
【0044】
次に、90度ハイブリッド回路28a〜28cの出力端子Aは、夫々、ミキサ回路32a〜32cに接続されており、ミキサ回路32a〜32cには、第1電力分配器24によりローカル信号として3つに分配された送信信号が夫々入力されている。つまり、本実施例では、ミキサ回路32a〜32cにて、90度ハイブリッド回路28a〜28cの出力端子Aから出力される受信信号と、発振器22からの送信信号とを混合することにより、受信信号を、送信信号をローカル信号として、これら各信号の周波数の差の周波数を有する中間周波信号(IF信号)に変換するのである。
【0045】
そして、これら各ミキサ回路32a〜32cからの出力信号(IF信号)は、IF回路34a〜34cに夫々入力され、各IF回路34a〜34cにおいて、増幅・波形整形された後、ECU10に夫々入力される。
次に、ECU10は、CPU,ROM,RAM等を中心とする周知のマイクロコンピュータにより構成されており、障害物の検出を行う測定モードにあるときには、所定の測定周期毎に、FM−CWレーダとしての送信制御を行う。即ち、発振器22に出力する制御信号の電圧を所定の測定周期毎に、所定の下限電圧から上限電圧まで除々に変化させることにより、発振器22から出力される送信信号の周波数を予め設定された下限周波数から上限周波数まで除々に変化させる、送信制御を実行するのである。
【0046】
この結果、各アンテナセル2a〜2cからは、順次周波数が変化する送信信号(周波数変調信号)が、移相器30a〜30cの位相変化量Φ(0度又は180度)に対応した旋回方向の円偏波の電波として、所定の測定周期毎に繰返し放射されることになる。
【0047】
また、ECU10は、この送信制御の実行中、IF回路34a〜34cからの出力信号(IF信号)を、図示しないA/D変換器を介して各々取り込み、その取り込んだ各IF信号の振幅又は位相或はその両方を比較することにより、アンテナ装置6の外部に存在する障害物の位置(方位)を検出すると共に、I/F信号を周波数分析することにより障害物までの距離及び相対速度を検出する、障害物検出処理を実行する。
【0048】
そして、このように、送信制御の実行中に、障害物検出処理にて、障害物の方位,障害物までの距離,及び障害物との相対速度が検出されると、次に送信制御を開始するまでの間に、その検出結果から、車両が障害物に衝突する危険な状況にあるかどうかを判断し、衝突の危険性が高いと判断すると、警報装置12を動作させて、車両運転者にその旨を報知する、衝突警報処理を実行する。
【0049】
つまり、各アンテナセル2a〜2cから放射した電波が障害物に当たって反射すると、その電波の旋回方向は送信時とは逆旋回となり、障害物からの反射電波がアンテナセル2a〜2cにて受信された場合には、90度ハイブリッド回路28a〜28c,ミキサ回路32a〜32c,及びIF回路34a〜34cを介して、IF信号として、ECU10に入力されるため、ECU10においては、これら各部を介して各アンテナセル2a〜2cから入力される受信信号(IF信号)に基づき、障害物の有・無、並びに障害物の方位,障害物までの距離,障害物との相対速度等を検出して、車両が障害物に衝突する危険な状況にある場合には、車両運転者にその旨を報知し、車両走行時の安全性を向上するのである。
【0050】
ところで、本実施例においては、各アンテナセル2a〜2cに円偏波用アンテナ素子を用いているため、各アンテナセル2a〜2cによる偏波識別により、自己が送信した電波が障害物に当たって反射してくる反射波のみを比較的良好に受信して障害物の検出を行うことができるようになるが、こうしたモノパルスレーダ装置を適用した車両用障害物検出装置が普及し、この装置を搭載した車両が多くなると、各車両間にて障害物検出用電波の電波干渉が発生し易くなり、この電波干渉によって、障害物の検出精度が低下するおそれがある。
【0051】
そこで、本実施例では、ECU10において、図3又は図4に示す如き偏波切換処理を実行することにより、他の装置との電波干渉によって障害物の検出精度が低下するのを防止するようにされている。
即ち、図3に示す偏波切換処理では、S100(S:ステップを表わす)にて、当該装置が障害物の検出動作を行う測定モードを終了しているか否か(測定終了?)を判断し、測定モードを終了していれば、そのまま当該処理を終了し、測定モードを終了していなければ、S110に移行して、上記送信制御及び障害物検出処理を実行する1測定ターンが終了するのを待つ。
【0052】
そして、この1測定ターンが終了すると、S120に移行して、CPUに組込まれたランダム関数の演算回路に乱数Ran#を発生させて、その値Ran#を読み込み、続くS130にて、乱数Ran#が偶数か否かを判断し、乱数Ran#が奇数であり偶数でなければ、S140にて、移相器30a〜30cの位相変化量Φを0度に設定して、S100に移行し、逆に乱数Ran#が偶数であれば、S150にて、移相器30a〜30cの位相変化量Φを180度に設定して、S100に移行する。
【0053】
つまり、図3に示す偏波切換処理では、上述の送信制御及び障害物検出処理の実行後、次にこの制御を開始するまでの間に、乱数Ran#を発生させて、その乱数Ran#が偶数か奇数かによって、移相器30a〜30cの位相変化量Φを0度又は180度にランダムに切り換えるのである。
【0054】
この結果、例えば、S140にて、移相器30a〜30cの位相変化量Φを0度に設定した場合に、他の装置からの送信電波又はその反射電波波がアンテナセル2a〜2cにて受信され、その受信信号が、90度ハイブリッド回路28a〜28c,ミキサ回路32a〜32c,及びIF回路34a〜34cを通って、ECU10に入力され、ECU10において各IF信号に基づき障害物を検出できなくなった場合であっても、その後、S150にて移相器30a〜30cの位相変化量Φが180度に切り換えられると、当該装置にて送受信可能な円偏波の旋回方向が右旋回から左旋回(或はその逆)に変化するため、他の装置からの電波がアンテナセル2a〜2cにて受信されても、その受信信号は、90度ハイブリッド回路28a〜28cにてカットされ、ECU10には各アンテナセル2a〜2cから放射した電波の反射電波に対応した受信信号のIF信号のみが入力されることになり、ECU10側では、このとき入力される各IF信号に基づき、障害物を正確に検出できるようになる。
【0055】
一方、図4に示す偏波切換処理では、図3に示した処理と同様、S100にて、当該装置が障害物の測定を終了するかどうかを判断し、測定を終了する場合には、そのまま当該処理を終了し、測定を継続する場合には、S110にて1測定ターンが終了するのを待つ。
【0056】
そして、この1測定ターンが終了すると、S220に移行して、1測定ターンの間に取り込んだ各IF信号の振幅に基づき、その間に受信した受信信号の中に、予め設定された設定レベルよりも高い受信電力のピークがある受信信号が存在するかどうかを判断し、設定レベルよりも高い受信電力のピークがある受信信号が存在する場合には、その受信信号は何等かの電波干渉の影響を受けていると判断して、S230に移行し、移相器30a〜30cの位相変化量Φを、現時点の位相変化量から反転して、S100に移行し、そうでなければ、そのままS100に移行する。
【0057】
つまり、図4に示す偏波切換処理では、上述の送信制御及び障害物検出処理の実行後、この制御を実行中に取り込んだIF信号に基づき、設定レベルよりも高い受信電力のピークがある受信信号が存在したかどうかを判断することにより、今まで受信した受信信号は他の装置からの電波の影響を受けているかどうかを判定し、受信電力が異常に大きい場合には、何等かの電波干渉の影響を受けているものとして、各移相器30a〜30cの位相変化量Φを今までの位相変化量(0度又は180度)から180度反転させた位相変化量(180度又は0度)に切り換えるのである。この結果、図3に示した偏波切換処理と同様、障害物を、他の装置からの送信電波に影響されることなく、正確に検出できるようになる。
【0058】
以上説明したように、本実施例の車両用障害物検出装置によれば、アンテナ装置6を構成するアンテナセル2a〜2cに、2端子給電型の円偏波用アンテナ素子を用いると共に、各アンテナセル2a〜2c毎に送信信号の供給及び受信信号の取り出しを行う信号入出力回路に、90度ハイブリッド回路28a〜28cを用いることにより、各アンテナセル2a〜2cから所定旋回方向の円偏波の電波を送信させ、各アンテナセル2a〜2cにて、送信時とは異なる旋回方向の電波が受信された場合にのみ、その受信信号を取り込むように構成され、しかも、その送受信時の電波の旋回方向を、移相器30a〜30cを用いて切り換えるようにされている。
【0059】
従って、本実施例によれば、当該装置と同様の車両用障害物検出装置を搭載した車両や当該装置とは異なる他の通信装置との間で、電波干渉が発生しても、その干渉波による影響を受けることなく、障害物を検出することが可能になり、障害物の検出精度を向上することができる。そして、このように障害物の検出精度を向上できるため、車両の障害物への衝突の危険性を極めて正確に予測して、車両運転者に警報を与えることができ、車両の走行安全性を高めることができる。
【0060】
また、本実施例の車両用障害物検出装置は、モノパルスレーダ装置に、FM−CWレーダの技術を適用して、障害物の方位,障害物との距離,及び障害物との相対速度を検出するようにされているため、車両が障害物に衝突する危険性を正確且つ速やかに検出することができ、これによっても車両の走行安全性を高めることができる。
【0061】
また、90度ハイブリッド回路28a〜28cを、例えば、ラットレース電力合成回路,ウィルキンソン電力合成回路等にて構成すれば、90度ハイブリッド回路28a〜28cを、アンテナセル2a〜2c及び移相器30a〜30cと共に、所定の基板状にマイクロストリップラインにて構成して、これら各部を、所謂平面アンテナとして実現することができるため、装置の小型・軽量化を図ることもできる。
【0062】
なお、本実施例では、90度ハイブリッド回路28a〜28cの入出力端子D側に移相器30a〜30cを設けるものとして説明したが、この移相器30a〜30cは、90度ハイブリッド回路28a〜28cの入出力端子C,Dのいずれに設けてもよい。
【0063】
また、本実施例では、アンテナ装置6に3個のアンテナセル2a〜2cを設けた車両用障害物検出装置について説明したが、モノパルスレーダ装置では、最低2個のアンテナ素子を備えていれば、外部の物標を検出することができるため、アンテナセルを2個備えたアンテナ装置を使用してもよい。また、アンテナセルを更に増やして、隣接するアンテナセルにて得られた受信信号の振幅や位相等から各々障害物の方位や距離を各々検出し、その検出結果から、障害物の位置を特定するようにしてもよく、この場合には、障害物の位置をより高精度に検出することが可能になる。
(第2実施例)
ここで、上記実施例では、ミキサ回路32a〜32cにて周波数変換された各アンテナセル2a〜2cの受信信号の中間周波信号(IF信号)を、夫々、IF回路34a〜34cを用いて信号処理し、ECU10に入力するように構成したが、例えば、図5に示す第2実施例の車両用障害物検出装置のように、各ミキサ回路32a〜32cから出力される3種のIF信号の中から一つのIF信号を選択して出力する出力スイッチ回路36を設け、この出力スイッチ回路36が選択するIF信号をECU10側にて高速に切り換えるように構成してもよい。つまり、3種のIF信号を時分割にて高速に取り込むようにしてもよい。
【0064】
そして、このようにすれば、IF信号を信号処理するIF回路34及びECU10内にてIF信号をA/D変換するA/D変換器を、アンテナセルの個数に関係なく1個にすることができ、第1実施例の装置に比べて、装置構成をより簡素化して、装置の小型・軽量化を図ることができる。
(第3実施例)
また、例えば、図6に示す第3実施例の車両用障害物検出装置のように、各90度ハイブリッド回路28a〜28cの出力端子Aと、ミキサ回路32との間に、各90度ハイブリッド回路28a〜28cからの出力信号(つまり各アンテナセル2a〜2cによる受信信号)の中から、受信信号を一つ選択して取り込む入力スイッチ回路38を設け、この入力スイッチ回路38が選択する受信信号をECU10側にて高速に切り換えるように構成してもよい。つまり、90度ハイブリッド回路28a〜28cを介して得られる各アンテナセル2a〜2cからの受信信号を、時分割にて高速に取り込むようにしてもよい。
そして、このようにすれば、IF回路34及びA/D変換器のみならず、ミキサ回路32をも、アンテナセルの個数に関係なく1個にすることができ、第2実施例の装置よりも更に装置構成を簡素化することができ、装置の小型・軽量化を図ることができる。また、この場合、第1電力分配器24では、発振器22からの送信信号を、第2電力分配器26側とミキサ32側とに2分配すればよく、第1電力分配器24を通過する各送信信号の減衰量を少なくすることができる。従って、発振器22からの送信信号の出力電力を低減することもできる。
【0065】
なお、この場合、受信信号が選択されない(換言すればミキサ回路32に接続されない)90度ハイブリッド回路において、出力端子Aに出力された受信信号が入出力端子C,D側に反射することのないように、入力スイッチ回路38には、各90度ハイブリッド回路28a〜28cの出力端子Aを、所定の回路インピーダンスにて終端する終端抵抗Ra〜Rcを設け、出力端子Aをミキサ回路32に接続しない90度ハイブリッド回路の出力端子Aは、対応する終端抵抗Ra〜Rcにて終端できるようにする必要はある。
(第4実施例)
また次に、上記各実施例では、90度ハイブリッド回路28a〜28cを介して得られた各アンテナセル2a〜2cからの受信信号を中間周波信号(IF信号)に周波数変換し、これを同時に或は時分割にてECU10に各々入力して、ECU10側で、これら3種のIF信号を用いて、障害物の位置(方位,距離等)を検出するように構成したが、例えば、図7に示す第4実施例の車両用障害物検出装置のように、ミキサ回路32a〜32cにて中間周波信号に周波数変換された各アンテナセル2a〜2cからの受信信号(IF信号)の中から、任意の一対のIF信号を選択する受信信号選択回路40を設け、この受信信号選択回路40にて選択された一対のIF信号を、夫々、一対のIF回路34-1,34-2を用いて信号処理し、ECU10に入力するように構成し、更に、ECU10側にて、受信信号選択回路40が選択するIF信号を変更することにより、障害物検出に使用するアンテナセルの間隔を切り換えるようにしてもよい。
【0066】
つまり、モノパルスレーダ装置は、基本的には、一対のアンテナ素子にて得られた受信信号の振幅又は位相の差から物標の方位を検出するものであるため、2個のアンテナ素子を備えていれば、本発明のモノパルスレーダ装置を実現できるが、単に2個のアンテナ素子のみで物標の方位及び距離をしようとすると、例えば、図8(a)に示す如く、一対のアンテナ素子a,bの間隔D1が狭いと、物標Xまでの距離Lが短い場合には、各アンテナ素子a,bと物標Xとを結ぶ直線にて形成される角度θ1が比較的大きくなって、受信信号の振幅又は位相の差から物標の位置を良好に検出できるものの、物標Xまでの距離Lが長い場合には、上記角度θ1が小さくなり、各アンテナ素子a,bにて得られた受信信号の振幅や位相の差(図に示す△L1に対応する)も小さくなるため、物標Xの位置を良好に検出できなくなる。しかし、例えば、図8(b)に示す如く、物標Xの検出に使用する使用するアンテナ素子を、間隔D1の狭いa,bから、間隔D2の広いa,cに切り換えれば、物標Xまでの距離Lが長い場合でも、各アンテナ素子a,cと物標Xとを結ぶ直線にて形成される角度θ2が比較的大きくなって、各アンテナ素子a,cにて得られる受信信号の振幅や位相の差(図に示す△L2に対応する)を大きくすることができ、物標の位置を良好に検出できるようになる。
【0067】
そこで、本実施例では、受信信号選択回路40により、ミキサ回路32a〜32cにて周波数変換した3種のIF信号の中から任意の一対のIF信号を選択して、ECU10に入力できるようにし、ECU10側にて、受信信号選択回路40が選択するIF信号,延いては障害物検出に使用するアンテナセルの間隔を切り換えることにより、ECU10において、障害物の位置を常に良好に検出できるようにしているのである。
【0068】
なお、ECU10において、受信信号選択回路40が選択するIF信号を実際に切り換える場合には、例えば、図9に示す如き受信信号切換処理を実行するようにすればよい。
即ち、図9に示す受信信号切換処理においては、前述の図3及び図4に示した偏波切換処理と同様、S100にて、当該装置が障害物の測定を終了するかどうかを判断し、測定を終了する場合には、そのまま当該処理を終了し、測定を継続する場合には、S110にて1測定ターンが終了するのを待つ。そして、この1測定ターンが終了すると、S320に移行して、1測定ターンの間に取り込んだIF信号の周波数が非常に大きく、予め設定された設定距離以上の点に物標(障害物)が存在するか否かを判定し、障害物が設定距離以上の点に存在する場合(つまり障害物までの距離が長い場合)には、S330に移行して、受信信号を取り込むアンテナの間隔を広くするために、受信信号選択回路40の一方のスイッチSW1をアンテナセル2aに対応したミキサ32a側に、他方のスイッチSW2をアンテナセル2cに対応したミキサ32c側に、夫々切り換えて、S100に移行し、逆に、障害物が設定距離以上の点に存在しない場合(つまり障害物までの距離が短いか、障害物を検出できていない場合)には、受信信号を取り込むアンテナの間隔を狭くするために、受信信号選択回路40の一方のスイッチSW1をアンテナセル2aに対応したミキサ32a側に、他方のスイッチSW2をアンテナセル2bに対応したミキサ32b側に、夫々切り換えて、S100に移行する。
【0069】
この結果、本実施例によれば、当該装置から障害物までの距離に影響されることなく、障害物の方位を常に正確に検出できるようになり、角度測定分解能に優れた障害物検出装置を実現できる。
以上、本発明を、第1〜第4実施例を挙げて具体的に説明したが、本発明は、こうした実施例に限定されるものではなく、種々の態様をとることができる。例えば、上記各実施例では、車両に搭載されて障害物の検出を行う車両用障害物検出装置について説明したが、本発明は、こうした障害物検出用のレーダ装置以外にも、例えば、車両を他の車両や目標物に追従させて自動走行させる無人搬送車誘導用のレーダ装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の車両用障害物検出装置の構成を表わすブロック図である。
【図2】 アンテナ装置の指向特性を説明する説明図である。
【図3】 ECUにおいて実行される偏波切換処理の一例を表わすフローチャートである。
【図4】 同じくECUにおいて実行される偏波切換処理の他の例を表わすフローチャートである。
【図5】 第2実施例の車両用障害物検出装置の構成を表わすブロック図である。
【図6】 第3実施例の車両用障害物検出装置の構成を表わすブロック図である。
【図7】 第4実施例の車両用障害物検出装置の構成を表わすブロック図である。
【図8】 アンテナ素子の間隔と物標の検出精度との関係を説明する説明図である。
【図9】 第4実施例のECUにおいて実行される受信信号切換処理を表わすフローチャートである。
【符号の説明】
2a〜2c…アンテナセル(2端子給電型円偏波用アンテナ素子)
4…誘電体レンズ 6…アンテナ装置(マルチビーム誘電体レンズアンテナ) 10…ECU(電子制御装置) 12…警報装置 20…送受信回路
22…発振器 24…第1電力分配器 26…第2電力分配器
28a〜28c…90度ハイブリッド回路
30a〜30c…移相器(位相変化量可変型移相器)
32,32a〜30c…ミキサ回路 34,34a〜34c…IF回路
36…出力スイッチ回路 38…入力スイッチ回路
40…受信信号選択回路

Claims (7)

  1. 円偏波の電波を送受信可能であって放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子と、
    前記各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換える偏波切換手段と、
    所定周期で周波数が変化する周波数変調信号を送信信号として発生する信号発生手段と、
    該信号発生手段からの送信信号を各アンテナ素子に入力して各アンテナ素子から電波を放射させると共に、各アンテナ素子にて受信された受信信号を各々取り出す信号入出力手段と、
    前記信号入出力手段を介して得られた各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号と混合して、各受信信号を中間周波信号に変換する周波数変換手段と、
    該周波数変換手段による変換後の前記各中間周波信号に基づいて外部の物標を検出する物標検出手段と、
    を備えたモノパルスレーダ装置において、
    前記周波数変換手段は、
    前記各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号を用いて各々周波数変換する複数の周波数変換部と、
    該複数の周波数変換部にて周波数変換された中間周波信号を順次選択して前記物標検出手段に出力する出力スイッチ手段と、
    を備えたことを特徴とするモノパルスレーダ装置。
  2. 円偏波の電波を送受信可能であって放射パターンの一部が重なるように配設された複数のアンテナ素子と、
    前記各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換える偏波切換手段と、
    所定周期で周波数が変化する周波数変調信号を送信信号として発生する信号発生手段と、
    該信号発生手段からの送信信号を各アンテナ素子に入力して各アンテナ素子から電波を放射させると共に、各アンテナ素子にて受信された受信信号を各々取り出す信号入出力手段と、
    前記信号入出力手段を介して得られた各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号と混合して、各受信信号を中間周波信号に変換する周波数変換手段と、
    該周波数変換手段による変換後の前記各中間周波信号に基づいて外部の物標を検出する物標検出手段と、
    を備えたモノパルスレーダ装置において、
    前記周波数変換手段は、
    前記各アンテナ素子から入力される受信信号を順次選択して取り込む入力スイッチ手段と、
    該入力スイッチ手段から順次入力される受信信号を前記送信信号を用いて順次周波数変換し、前記物標検出手段に出力する一つの周波数変換部と、
    を備えたことを特徴とするモノパルスレーダ装置。
  3. 円偏波の電波を送受信可能であって放射パターンの一部が重なるように配設された少なくとも3個以上のアンテナ素子と、
    前記各アンテナ素子が送受信する円偏波の旋回方向を切り換える偏波切換手段と、
    所定周期で周波数が変化する周波数変調信号を送信信号として発生する信号発生手段と、
    該信号発生手段からの送信信号を各アンテナ素子に入力して各アンテナ素子から電波を放射させると共に、各アンテナ素子にて受信された受信信号を各々取り出す信号入出力手段と、
    前記信号入出力手段を介して得られた各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号と混合して、各受信信号を中間周波信号に変換する周波数変換手段と、
    該周波数変換手段による変換後の前記各中間周波信号に基づいて外部の物標を検出する物標検出手段と、
    を備えたモノパルスレーダ装置において、
    前記周波数変換手段は、
    前記アンテナ素子に対応して、各アンテナ素子からの受信信号を前記送信信号を用いて各々周波数変換する3個以上の周波数変換部を備えると共に、
    該各周波数変換部から出力される中間周波信号の中から一対の中間周波信号を選択して前記物標検出手段に出力する信号選択手段を備え、
    該信号選択手段が選択する中間周波信号の変更により、物標検出に使用するアンテナ素子の間隔を調整可能に構成してなる
    ことを特徴とするモノパルスレーダ装置。
  4. 前記物標検出手段は、当該モノパルスレーダ装置から外部の物標までの距離を検出できるよう構成されており、
    更に、前記物標検出手段により検出された前記距離に基づき、該距離が長いほど、前記一対の中間周波信号に対応した一対の前記アンテナ素子の間隔が広くなるように前記信号選択手段を制御する選択制御手段を備えたこと
    を特徴とする請求項3に記載のモノパルスレーダ装置。
  5. 前記物標検出手段が前記物標の検出を行う毎に乱数を発生する乱数発生手段と、
    前記物標検出手段が前記物標の検出を行う毎に、前記乱数発生手段が発生した乱数に基づいて前記偏波切換手段を動作させる切換制御手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれか記載のモノパルスレーダ装置。
  6. 前記各アンテナ素子は、2端子給電型の円偏波用アンテナ素子からなり、
    前記信号入出力手段は、前記各アンテナ素子毎に設けられ、前記送信信号を位相差90度の送信信号に分配してアンテナ素子の2つの給電端子に出力すると共に、アンテナ素子の各給電端子から入力される一対の受信信号のうち、前記分配した送信信号とは逆方向に90度の位相差を有する受信信号を合成して装置内に取り込む、複数の90度ハイブリッド回路からなり、
    前記偏波切換手段は、前記90度ハイブリッド回路とアンテナ素子の給電端子とを接続する一対の信号経路の一方に設けられ、位相変化量を0度及び180度のいずれかに切り換え可能な位相変化量可変型の移相器からなる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれか記載のモノパルスレーダ装置。
  7. 前記アンテナ素子,90度ハイブリッド回路,及び移相器からなる送受信用の高周波回路部が、所定の基板上に導電パターンにて形成した平面回路からなることを特徴とする請求項6に記載のモノパルスレーダ装置。
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