JP3656180B2 - ボルト素形材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルト素形材の製造方法に関し、特に据え込み用金型におけるノックアウトピンの位置調整に熟練を必要とせず、しかも所望のメタルフローが均一に得られるようにした製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、ボルト素形材を製造する場合、コイル材を所定寸法に切断し、所定寸法のコイル材の一端側にボルト頭部を据え込み加工することが行われるが、据え込み比が大きい場合には一度でボルト頭部を据え込み加工できず、又据え込み比が小さい場合にもコイル材の倒れによる成形不良が懸念される。
【0003】
そこで、図4に示されるように、所定寸法に切断したコイル材にボルト頭部のための膨出部分T0 を金型40、41によって予備成形し(図4の(a) 参照)、該コイル材Tの膨出部分T0 を据え込み用金型50、51によって据え込んでボルトBの頭部素形状部分B0 を成形した後(図4の(b) 参照)、素形状部分B0 を六角形状にトリミングしてボルト素形材を製造する方法が採用されている。なお、図中、42、52はノックアウトピンである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の製造方法ではボルト頭部の所望のメタルフローを得る上で、据え込み用金型におけるノックアウトピン52の位置を調整するのが大変難しく、熟練を要するという問題があった。例えば、据え込み用金型のノックアウトピン52の下死点が前方、即ちパンチ50側に位置していると、予備成形されたコイル材Tの膨出部分T0 とダイ51上面との間に隙間ができ、膨出部分T0 が据え込み時にボルト軸部となる部分に対して圧縮された状態で据え込みが行われる結果、図5の(a) に示されるように、ボルト頭部のネック部分にメタルフローの鋭角な折れ曲がりが生じ、ボルト頭部に過大な荷重が作用した時にボルト頭部がネック部分で破断するおそれがある。
【0005】
他方、ノックアウトピン52の下死点が後方にあると、予備成形されたコイル材Tの下端とノックアウトピン52との間に隙間ができ、膨出部分T0 が据え込み時にボルト軸部に相当する部分に対して引っ張られた状態で据え込みが行われる結果、図5の(b) に示されるように、ボルト頭部全体のメタルフローが十分に湾曲せず、ボルト頭部の素形状部分B0 を六角形にトリミングした時にメタルフローが途切れ、ボルト頭部の割れが懸念される。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑み、据え込み用金型におけるノックアウトピンの位置調整に熟練を必要とせず、しかもボルト首下長さにかかわらず均一なメタルフローが得られるようにしたボルト素形材の製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は上述の課題を解決すべく鋭意研究したところ、据え込み比の大きいボルトの場合には上述の予備成形を必要とするが、据え込み比の小さいボルトの場合には予備成形を行うことなくコイル材の一端部分に直接据え込みを行うことによってボルト頭部に所望のメタルフローが得られることを知見するに至った。しかし、この場合、据え込み時におけるコイル材の倒れによる成形不良をどのように防止するかが問題となった。
【0008】
そこで、本発明に係るボルト素形材の製造方法は、軸部の一端に六角形状の頭部を有するボルト素形材を製造するにあたり、パンチ、ダイ及びノックアウトピンから構成され、ボルト頭部の素形状を成形するパンチの型面中央に位置決め用突起が形成されかつダイの挿入穴にボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行う部分が形成された据え込み用金型を用い、その軸線方向の少なくとも一端面がコイル材の中心軸線に対して直交する平坦面となるようにコイル材を丸刃のカッターを用いて規格の寸法に切断し、該切断したコイル材の一端面中央を上記パンチの位置決め突起で位置決めしつつ、上記切断したコイル材の他端側にボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行うとともに、一端側を据え込み用金型によって据え込んでボルト頭部の素形状部分を成形した後、トリミング用金型を用いて上記ボルト頭部の素形状部分を六角形状にトリミングするようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは規格寸法に切断したコイル材の一端部に対して直接据え込み加工を行ってボルト頭部の素形状部分を成形し、該素形状部分を六角形状にトリミングするようにした点にある。これにより、ボルト頭部には外周側がボルト軸線方向を指向しかつ全体にとして丸く折り曲がった所望のメタルフローが得られることとなる。この場合、ノックアウトピンの下死点が前方、即ちパンチ側に位置していると、ボルト頭部の素形状部分が大きく、後方に位置しているとボルト頭部の素形状部分が小さくなるだけであり、メタルフローにはなんら影響せず、良好なメタルフローが均一に得られる。
【0010】
但し、コイル材に対して直接据え込み加工を行う場合、コイル材としてC:0.48%以下の炭素鋼又はこれに相当する強度の合金鋼のコイル材を用い、ボルト頭部の素形状部分は据え込み比3以下で据え込みを行う場合に適用するのが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の特徴はコイル材の両端を高精度に切断してコイル材の倒れを防止するとともに、据え込み用金型のパンチ型面中央に位置決め用突起を設けてコイル材の一端面中央を位置決めし、更に据え込み用金型のダイにボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行う部分を形成してダイ内でコイル材がガタツクのを防止するようにした点にある。これにより、据え込み時のコイル材の倒れを阻止して成形不良を確実に防止できる。位置決め用突起はコイル材の一端面に喰い込みうる形状であればよく、例えば円錐状、多角錐状等を採用することができる。
【0012】
コイル材の倒れ防止に対する上で、ダイ内にボルトねし部とボルト軸部の両方の絞り加工を行う部分を設けると、ダイ内でのコイル材のガタツキをより確実に防止でき、成形性をよりアップさせることができる。
【0013】
【作用及び発明の効果】
本発明によれば、規格寸法のコイル材に対して直接据え込みを行ってボルト頭部の素形状部分を成形し、該素形状部分を六角形状にトリミングするようにしたので、ボルト頭部には外周側が縦方向を指向しかつ全体にとして折り曲がり部分が丸くなった所望のメタルフローが均一に得られ、従来の予備成形を行う場合のようにノックアウトピンの下死点の位置によってメタルフローが鋭角に折れ曲がったり、十分に湾曲しなかったりするということはない。
【0014】
また、丸刃カッターを用いてコイル材の両端を高精度に切断し、据え込み用金型のパンチ型面中央に位置決め用突起を設けてコイル材の一端面中央を位置決めし、更に据え込み用金型のダイにボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行う部分を設けてコイル材のガタツキを防止するようにしたので、コイル材をボルト頭部の素形状に据え込み加工する際にコイル材が倒れることがなく、成形不良を確実に防止できる。この場合、ノックアウトピンの下死点が前方、即ちパンチ側に位置していると、ボルト頭部の素形状部分が大きく、後方に位置しているとボルト頭部の素形状部分が小さくなるだけであり、該素形状部分は後工程で六角形状にトリミングするので問題はない。その結果、所望性能のボルト素形材を安定して製造できることとなる。
【0015】
さらに、ボルト素形材の製造工程が少なくなる結果、最終のトリミングに至るまでに必要なクランクの圧力が小さくでき、又製造装置全体がコンパクトになって必要な設置面積を小さくでき、更には金型点数が少なくなるので、金型の段取り替えに要する労力や時間を少なくでき、事故のおそれを軽減できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す具体例に基づいて説明する。図1及び図2は本発明に係るボルト素形材の製造方法の好ましい実施形態を模式式に示す。図において、10は円形穴の内周縁に円形の切刃が設けられ、コイル材Cをその中心軸線に対して直交する平坦面に高精度に切断しうる丸刃カッター、11はコイル材Cが挿通されるクイルであり、これらによって切断機構が構成されている。なお、クイル11側にも円形切刃を設けると、切断精度を更にアップできる。
【0017】
また、20はボルト頭部の素形状に成形する型面を有し、その型面の中央に位置決め用突起23が形成されたパンチ、21はボルトねじ部の絞り加工を行う部分24が形成され、規格寸法に切断されたコイル材Wが挿入されるダイ、22はダイ21の挿入穴にセットされたノックアウトピンであり、パンチ20、ダイ21及びノックアウトピン22によって据え込み用金型が構成されている。
【0018】
さらに、30はボルト頭部の素形状部分B0 を六角形状にトリミングするトリミングパンチ、31はボルト軸部を受けるトリマーダイ、32はノックアウトピンであり、これらによってトリミング金型が構成されている。
【0019】
ボルト素形材を製造する場合、図1の(a) に示されるように、0.48%C以下の炭素鋼又はこれに相当する合金鋼のコイル材Cを準備し、該コイル材Cを切断機構のクイル11内に挿通して丸刃カッター10でコイル材Cの一端をその軸線に対して直交する平坦面に高精度に切断した後、コイル材Cをボルト素形材に対応した長さだけ送り、丸刃カッター10で同様に高精度に切断し(図1の(b) 参照)、規格寸法のコイル材Wを製作する。
【0020】
この規格寸法のコイル材Wは図1の(c) に示されるように、その他端側から据え込み用金型のダイ21の挿入穴内に差し込み、パンチ20を所定の圧力で下降させ、図1の(d) に示されるように、コイル材Wにボルトねじ部の絞り加工を行うとともに、一端側をボルト頭部の素形状に据え込み加工する。
【0021】
この時、コイル材Wにボルトねじ部の絞り加工が行われることによりコイル材Wがダイ21内でガタツクのが阻止され、又コイル材Wの一端面にはパンチ20の型面中央の位置決め用突起23が喰い込んでコイル材Wを位置決めするので、コイル材Wの一端側が高精度に切断されていることと相まってコイル材Wの倒れが確実に防止される。
【0022】
こうして頭部素形状部分B0 を有するボルト素形材Bが成形されると、ノックアウトピン22で押し出し、トリマーダイ31にセットしてトリミングパンチ30によって頭部素形状部分B0 を六角形状にトリミングし、ノックアウトピン32で押し出すと、六角形状の頭部B1 を有する所望のボルト素形材Bが得られることとなる。
【0023】
ここで、ボルト素形材Bの頭部素形状部分B0 のメタルフローについては、従来の予備成形を行う場合のようにノックアウトピンの下死点の位置によってメタルフローが鋭角に折れ曲がったり、十分に湾曲しなかったりするということはなく、図3に示されるように、外周側が縦方向を指向しかつ全体として折り曲がり部分が丸くなった所望のメタルフローがボルト首下の長さにかかわらず均一に得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るボルト素形材の製造方法の好ましい実施形態における切断工程(a)(b)及び据え込み工程(c)(d)を模式的に示す図である。
【図2】 上記実施形態におけるトリミング工程を模式的に示す図である。
【図3】 上記実施形態における頭部素形状部分のメタルフローを示す図である。
【図4】 従来のボルト素形材の製造方法における予備成形工程(a) 及び据え込み工程(b) を模式的に示す図である。
【図5】 発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
【符号の説明】
10 丸刃カッター
20 据え込み用金型のパンチ
21 据え込み用金型のダイ
22 ノックアウトピン
23 位置決め用突起
24 ボルトねじ部の絞り加工を行う部分
C コイル材
W 規格寸法のコイル材
B ボルト素形材
B0 頭部素形状部分
B1 頭部
Claims (1)
- 軸部の一端に六角形状の頭部を有するボルト素形材を製造するにあたり、
パンチ、ダイ及びノックアウトピンから構成され、ボルト頭部の素形状を成形するパンチの型面中央に位置決め用突起が形成されかつダイの挿入穴にボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行う部分が形成された据え込み用金型を用い、
その軸線方向の少なくとも一端面がコイル材の中心軸線に対して直交する平坦面となるようにC:0.48%以下の炭素鋼又はこれに相当する強度の合金鋼のコイル材を丸刃のカッターを用いて規格の寸法に切断し、
該切断したコイル材の一端面中央を上記パンチの位置決め突起で位置決めしつつ、上記切断したコイル材の他端側にボルトねじ部又はボルト軸部の絞り加工を行うことにより据え込み時におけるコイル材の倒れによる成形不良を防止し、一端側を据え込み用金型によって据え込み比3以下で据え込んでボルト頭部の素形状部分を成形した後、
トリミング用金型を用いて上記ボルト頭部の素形状部分を六角形状にトリミングするようにしたことを特徴とするボルト素形材の製造方法。
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JP11415098A JP3656180B2 (ja) | 1998-04-08 | 1998-04-08 | ボルト素形材の製造方法 |
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JP11415098A JP3656180B2 (ja) | 1998-04-08 | 1998-04-08 | ボルト素形材の製造方法 |
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JPH11290985A JPH11290985A (ja) | 1999-10-26 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP11415098A Expired - Lifetime JP3656180B2 (ja) | 1998-04-08 | 1998-04-08 | ボルト素形材の製造方法 |
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1998
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