JP3655435B2 - 卵黄レシチンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便な操作により乾燥卵黄からリン脂質の純度が60%以上の卵黄レシチンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リン脂質は、分子内に親水基と疎水基を有していることから、従来より、卵黄レシチンも含め純度60%以上のリン脂質は、食品、医薬品、化粧品分野で、広く乳化剤として使用されている。
特に、リン脂質の純度が60%以上の卵黄レシチンは、食品分野において、乳化剤以外の用途にも、近年、重用されるようになってきている。例えば、卵黄レシチン中のリン脂質には、ホスファチジルコリンが約80%と高濃度に含有し、大豆レシチン等の他の天然由来のリン脂質とは異なる物性及び生理学的性質を有していることから、その性質を利用して、ビタミンB12と組み合わせた健脳組成物(特開平4−94669)やチョコレートの口腔壁への粘着性低減剤(特開平8−294361)として利用されている。
また、卵黄レシチン中のリン脂質は、他の天然由来のリン脂質と比較し、構成脂肪酸にアラキドン酸やドコサヘキサエン酸等の高度不飽和脂肪酸を高濃度に含有していることから、調製粉乳の高度不飽和脂肪酸の供給源(特公平7−51043、特開平6−209703)としても利用されている。
それで、高純度の卵黄レシチンが食品分野で種々の用途に使用されるに伴い、安価で安全性の高く、しかも風味安定性に優れた卵黄レシチンが望まれるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、卵黄レシチンの製造方法はいくつか知られており、特公昭56−47915、特開昭61−74548、特開昭62−22556、特開昭62−93294、特公平5−60839、特開平7−26287、特公昭59−5263、特開平1−197492等が挙げられる。
【0004】
特公昭56−47915は、生卵黄からジメチルエーテルを抽出溶剤としてリン脂質、中性脂質及び水分を抽出分離し、脱溶剤後、脂質成分の水分を調整して高純度卵黄レシチンと中性脂質を分離する方法である。この方法では、抽出溶剤のジメチルエーテルが、常温常圧で強燃焼性の気体であるため、抽出溶剤として使用するには、耐圧容器等の特殊な装置を必要とし、爆発や火災防止のために細心の注意をし取り扱わなければならない等汎用性に乏しく、また装置に高コストを要する。
さらに、高純度卵黄レシチンは、水と一緒に回収されるため、その後脱水・乾燥をする必要があるが、レシチン中のリン脂質の品質劣化のおそれから品温を高くして行うことができず、高コストの凍結乾燥を強いられる等の問題を有する。
【0005】
特開昭61−74548は、生卵黄または乾燥卵黄からエタノール、クロロホルム、ジメチルエーテル等を抽出溶剤として卵黄脂質を抽出し、脱溶剤後、超臨界CO2 で卵黄脂質から中性脂質及びコレステロールを抽出分離することによる高純度卵黄レシチンの製造方法であり、また、特開昭62−22556は、乾燥卵黄に超臨界CO2 を接触させ、中性脂質とコレステロールを抽出後、抽出槽外に取り出し、残留成分に超臨界CO2 または液化CO2 のいずれかとエタノールとの混合溶剤を接触させて高純度卵黄レシチンを抽出する方法である。これらの方法は、いずれも超臨界CO2 を使用するため耐圧容器等の特殊な装置を必要とし、装置に高コストを要する。
【0006】
特開昭62−93294は、生卵黄または乾燥卵黄に1価アルコールを加えて攪拌した後、n−ヘキサンを加えて攪拌し、濾過でn−ヘキサン層を採取し、n−ヘキサンを除去して卵黄レシチンを得る方法である。この方法は、抽出溶剤にn−ヘキサンを使用しているため、食品分野に利用するには、安全性や風味安定性の観点からn−ヘキサンを完全に除去する必要がある。しかしながら、n−ヘキサンを一般的に使用している植物油脂の製造と異なりレシチンの場合は、品温を高くして抽出溶剤を除去するとレシチン中のリン脂質の品質劣化を招くおそれがあり、そのため、n−ヘキサンの除去は、低温で長時間行わなければならず、しかも完全除去は困難である。
また、この方法では、リン脂質の純度が低い卵黄レシチンしか得られないことより、リン脂質の純度が高い卵黄レシチンを得るためには、アセトン処理等の工程を付加する必要があり、工程が煩雑になる。
【0007】
特公平5−60839は、凍結卵黄からエタノール:n−ヘキサン=25:75〜15:85の混合溶剤を抽出溶剤として卵黄脂質を抽出し、1価の金属塩の水溶液を加えて水−エタノール層を分別除去し、n−ヘキサン層を限外濾過膜で処理して高純度卵黄レシチンを得る方法である。この方法は、前述と同様、n−ヘキサンを完全に除去することは困難であるため、食品分野に利用するには、安全性や風味安定性の点で問題となる。
【0008】
特開平7−26287は、生卵黄または乾燥卵黄からエタノールの濃度が80〜90容量%の含水エタノールを抽出溶剤として使用し、室温以下の温度で高純度卵黄レシチンを抽出する方法であり、また、特公昭59−5263は、乾燥卵黄からエタノールの濃度が約92〜96容量%の含水エタノールを抽出溶剤として使用し、約35℃以下の温度で高純度卵黄レシチンを抽出する方法である。これらの方法は、いずれも水を高含有したエタノールを使用しているため、卵黄レシチン中に水分が多く残存しやすく、また、卵黄中の水溶性成分の混入を回避できず、微生物の増殖や風味の劣化等が懸念される。
【0009】
特開平1−197492は、中性脂質含有リン脂質を酢酸エステルで常温で溶解した後、冷却して酢酸エステルに不溶性の高純度レシチンを抽出する方法である。この方法は、溶剤に酢酸エステルを使用しているため、安全性の点で食品分野での使用が制限され、また、酢酸エステルは、わずかな酸や塩基が触媒となって酢酸とアルコールに加水分解されることから、得られたレシチンが酢酸臭を帯びるおそれがある。
【0010】
以上のように、これまで知られた方法は、高コストであったり、安全性で問題であったり、工程が煩雑であったり、風味安定性で問題であったり等、まだ改善される余地があった。
本発明の目的は、従来の方法に比べ、より安全な抽出溶剤で簡便な操作により高純度の卵黄レシチンを得る方法であり、しかも得られたレシチンは風味安定性に優れた卵黄レシチンの製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、乾燥卵黄を、含水率が3容量%以下の低含水エタノールを抽出溶剤として、12℃以下の温度で抽出し、得られた抽出液から溶剤を除去することを特徴とする卵黄レシチンの製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において、別段に明示している場合を除き「%」はすべて「重量%」を意味する。
本発明において「卵黄レシチン」とは、食品添加物公定書第六版「レシチン」の純度試験「アセトン可溶物」において40%以下を示す、つまり、リン脂質含量が60%以上の高純度卵黄レシチンをいう。なお、本発明により得られる卵黄レシチンには、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、リゾホスファチジルコリン等のリン脂質やコレステロール、トリグリセリド等の中性脂質を含有している。
【0013】
また、本発明において「乾燥卵黄」とは、鶏卵等の家禽卵を割卵して、卵黄を卵白から分離し、適宜の乾燥方法によって乾燥させたものをいう。乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥(スプレードライ)、凍結乾燥(フリーズドライ)、真空乾燥、マイクロウェーブ乾燥等が挙げられ、これらの方法の内、大量生産が容易であることから、一般的には噴霧乾燥による方法が用いられている。
また、これらの乾燥方法により得られた乾燥卵黄は、水分量を10%以下、望ましくは4%以下まで乾燥させたものが良い。水分が10%より多いと、抽出工程に至るまでの保管方法によっては、腐敗を招くおそれがあったり、また、後述の含水エタノールにおいて、経済性の観点からエタノールの再利用を行う場合、通常の蒸留装置では、水分とエタノールを分別することは難しく、エタノールを再利用しにくい等種々の問題があり望ましくない。
【0014】
本発明において「エタノール」とは、エチルアルコールのことであり、一般的には、発酵法あるいは合成法で工業的に製造されているものを使用することができる。また、各種変性剤を添加した変性エタノールも使用してもよい。また、「含水率が3容量%以下の低含水エタノール」とは、ほぼ無水のエタノールをそのまま、あるいは精製水等の水分を加配し、含水率が3容量%以下となるように調整したものをいい、エタノールの吸湿性及び安定な品位の卵黄レシチンを得る観点から、含水率を0.5〜3容量%に調整することが好ましい。含水率が3容量%より多いと、得られた卵黄レシチン中に水分が多く残存しやすく、また、卵黄中の水溶性成分の混入を回避できず、微生物の増殖や風味の劣化等が懸念され好ましくない。
【0015】
本発明において「12℃以下の温度で抽出し」とは、低含水エタノール抽出に当たって抽出液と抽出残渣を分離させる際の温度が12℃以下となるように抽出することをいい、好ましくは約4℃以下の温度で抽出するほうが良い。12℃より高いと得られた卵黄レシチンのリン脂質の純度が60%より低くなり、好ましくない。また、抽出方法としては、例えば、低含水エタノールと乾燥卵黄を混合し、攪拌棒、攪拌機、ホモジナイザー等を使用して攪拌抽出し、減圧濾過、加圧濾過、フィルタープレス濾過あるいは遠心分離等を使用し抽出残渣より抽出液を採取する攪拌抽出法、あるいは乾燥卵黄をカラムに充填し、低含水エタノールをカラムに注入して、カラム出口から抽出液を採取するカラム抽出法等が挙げられるが、大量処理が可能である攪拌抽出法が望ましい。
【0016】
本発明の方法により得られる卵黄レシチンは、如何なる理由によりリン脂質の純度が高くなるのか、また、優れた風味安定性を有するかは定かでないが、乾燥卵黄から低含水エタノールを抽出溶剤として卵黄レシチンを抽出する場合、卵黄脂質中のリン脂質は、抽出温度が低くても低含水エタノールへの溶解度が維持されているいるのに対し、中性脂質は、抽出温度が低くなるにつれ低含水エタノールへの溶解度が低下し、その結果、得られた卵黄レシチンは、リン脂質を高純度含有したのではないかと推察される。
また、風味安定性については、含水率が低いエタノールを抽出溶剤として使用しているため、卵黄レシチンの抽出の際、卵黄中の水溶性成分、例えば、アミノ酸や糖等の卵黄レシチンへの混入が抑えられ、そのため保存中に風味の劣化を起こすようなことがなかったためではないかと推察される。
【0017】
以下に、本発明の代表的な製造方法を説明するが、特に、この製造方法に限定するものではない。
▲1▼乾燥卵黄の調製
鶏卵等の家禽卵を割卵し、卵白液から分離して得られた卵黄液を、噴霧乾燥(スプレードライ)、あるいは凍結乾燥(フリーズドライ)により水分量10%以下、好ましくは4%以下となるまで乾燥する。
【0018】
▲2▼乾燥卵黄からの抽出
上記の乾燥卵黄から乾燥卵黄1容量に対し2〜20容量倍、好ましくは3〜10容量倍の低含水エタノール(含水率3容量%以下)を使用し、抽出温度12℃以下で1〜5回、好ましくは2〜3回抽出し、抽出液を分離する。尚、低含水エタノールが2容量倍より少ないと、十分にリン脂質の抽出が行われなかったり、また、20容量倍より多い場合及び抽出回数が6回以上の場合は、その後の抽出液からの溶剤の除去に無駄な時間とエネルギーを費やし経済的でないので好ましくない。
続いて、抽出液から溶剤を減圧濃縮等により除去し、本発明の製造方法による卵黄レシチンを得る。
【0019】
次に、本発明を実施例・試験例に基づき、さらに詳細に説明する。
【実施例】
実施例1
▲1▼乾燥卵黄の調製
鶏卵を割卵して卵黄を採取し、この卵黄を20メッシュの篩で濾過した後、噴霧乾燥を行い乾燥卵黄を得た。この乾燥卵黄は、粗脂肪が60.1%、水分が3.7%であった。
▲2▼乾燥卵黄からの抽出
上記の乾燥卵黄10kgを、底部に濾過面を有するジャケット付き攪拌抽出装置に入れ、ジャケットに5℃の冷却水を通した。次いで、熱交換器で5℃に冷却した含水率2.0容量%の含水エタノール50L(リットル)をジャケット付き攪拌抽出装置に入れ、液温を5〜7℃に保ちながらプロペラ攪拌機で30分間攪拌抽出した。窒素ガスにより加圧濾過し、濾過液を採取し、濾過残渣を熱交換器で5℃に冷却した含水率2.0容量%の含水エタノール20Lで2回洗浄した。濾過液と洗浄液を合わせて抽出液とし、減圧蒸留装置で溶剤を除去し、卵黄レシチン2.5kgを得た。
得られた卵黄レシチンは、リン脂質が63.5%、水分が1.3%、ベンゼン不溶物が0.15%であった。また、卵黄レシチンをアルミ袋に充填し窒素置換後、35℃で1ヵ月保存したが、風味の劣化は殆ど無かった。
【0020】
実施例2
▲1▼乾燥卵黄の調製
鶏卵を割卵して卵黄を採取し、この卵黄を20メッシュの篩で濾過した後、この卵黄液5kgを凍結乾燥して約2kgの乾燥卵黄を得た。この乾燥卵黄は、粗脂肪が58.9%、水分が0.9%であった。
▲2▼乾燥卵黄からの抽出
上記の乾燥卵黄を全量、ジャケット付きの内径10cm、長さ50cmのガラス製カラムに充填し、ジャケットに3℃の冷却水を通した。次いで、このカラム上部より、約2℃に冷却した含水率2.5容量%の含水エタノール20L(リットル)を注入し、カラム下部より抽出液(抽出液−1)を採取した。引き続き、カラム上部より、約2℃に冷却した含水率2.5容量%の含水エタノール10Lを注入し、カラム下部より抽出液(抽出液−2)を採取した。尚、カラム下部より採取直後の抽出液−1及び抽出液−2の液温は3〜4℃であった。抽出液−1と抽出液−2を合わせ、減圧下ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、卵黄レシチン440gを得た。
得られた卵黄レシチンは、リン脂質が69.7%、水分が1.7%、ベンゼン不溶物が0.22%であった。また、卵黄レシチンをアルミ袋に充填し窒素置換後、35℃で1ヵ月保存したが、風味の劣化は殆ど無かった。
【0021】
実施例3
▲1▼乾燥卵黄の調製
鶏卵を割卵して卵黄を採取し、この卵黄を20メッシュの篩で濾過した後、噴霧乾燥を行い乾燥卵黄を得た。この乾燥卵黄は、粗脂肪が59.5%、水分が2.6%であった。
▲2▼乾燥卵黄からの抽出
上記の乾燥卵黄1kgを5L(リットル)容量のステンレス製カップに入れ、カップの周辺を氷水で冷やしながら0℃に冷却した含水率3.0容量%の含水エタノール2Lを注入し、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製:T.K.ホモミクサーM型)にて3000rpmで30分間攪拌抽出した。次に、チャンバー内を4℃に設定した冷却遠心分離機にて3000rpmで10分間遠心分離を行った後、上澄を採取し抽出液とした。さらに0℃に冷却した含水率3.0容量%の含水エタノール2Lを使用して同様な操作を2回繰り返し、計3回分の抽出液を合わせて、減圧下ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、卵黄レシチン275gを得た。
得られた卵黄レシチンは、リン脂質が69.0%、水分が1.9%、ベンゼン不溶物が0.27%であった。また、卵黄レシチンをアルミ袋に充填し窒素置換後、35℃で1ヵ月保存したが、風味の劣化は殆ど無かった。
【0022】
実施例4
実施例2において、凍結乾燥卵黄の代わりに、噴霧乾燥卵黄(粗脂肪58.0%、水分3.9%)を使用し、カラムに充填する前にケイソウ土300gと混合した以外は、実施例2と同様な方法で、卵黄レシチン485gを得た。
得られた卵黄レシチンは、リン脂質が69.2%、水分が1.0%、ベンゼン不溶物が0.07%であった。また、卵黄レシチンをアルミ袋に充填し窒素置換後、35℃で1ヵ月保存したが、風味の劣化は殆ど無かった。
【0023】
【試験例】
試験例1
(試験試料の調製)
噴霧乾燥卵黄(粗脂肪58.0%、水分3.8%)200gを、1L(リットル)ビーカーに採取し、含水率2.0容量%の含水エタノール600ml(ミリリットル)を抽出溶剤として、表1に示す温度で30分間攪拌抽出し、直ちに濾紙で減圧濾過して濾過液を採取した。さらに抽出の際の同含水率、同温度の含水エタノールで洗浄し、直ちに濾紙で減圧濾過して洗浄液を採取した。濾過液と洗浄液を合わせて抽出液とし、抽出液から減圧下ロータリーエバポレーターで溶剤を除去し、試験用の卵黄レシチンを得た。
(分析方法)
1)収率
乾燥卵黄からクロロホルムとメタノールの容量比が2:1の混合溶剤を抽出溶剤として、全卵黄脂質を抽出後、溶剤を除去し粗脂肪を求め、次式により卵黄レシチンの収率を計算した。
収率(%)=(卵黄レシチンの重量/粗脂肪の重量)×100 2)リン脂質の純度
卵黄レシチンのリン脂質の純度を次式により計算した。尚、「アセトン可溶物」は、食品添加物公定書第六版「レシチン」の純度試験に準じ求めた。
リン脂質の純度(%)=100−アセトン可溶物
【0024】
【表1】
Figure 0003655435
【0025】
表1より、含水率が3容量%以下の含水エタノールを抽出溶剤として使用した場合、抽出温度を12℃より高い温度で抽出すると、得られた卵黄レシチンは、リン脂質の純度が60%より低く、高純度の卵黄レシチンが得られないのに対して、抽出温度を12℃以下で抽出すると、得られた卵黄レシチンは、リン脂質の純度が60%以上と高純度の卵黄レシチンが得られることが理解される。特に、抽出温度が4℃以下とすると、さらに高純度の卵黄レシチンが得られることが理解される。
【0026】
試験例2
試験方法
(試験試料の調製)
試験例1の試験試料の調製において、抽出温度を4℃とし、含水エタノールの含水率を表2に示す濃度以外は、試験例1と同様な方法で、卵黄レシチンを調製した。
(分析方法)
1)収率
試験例1に準じ計算した。
2)リン脂質の純度
試験例1に準じ計算した。
3)ベンゼン不溶物
「ベンゼン不溶物」は、食品添加物公定書第六版「レシチン」の純度試験に準じ求めた。
4)水分
「水分」は、食品添加物公定書第六版「レシチン」に準じ求めた。
5)風味の劣化
卵黄レシチンをアルミ袋に充填し窒素置換後、35℃で1ヵ月保存し、風味の劣化を官能試験により確認した。
【0027】
【表2】
Figure 0003655435
【0028】
表2より、12℃以下の抽出温度で抽出した場合では、含水エタノールの含水率が異なっているにも係わらず得られた卵黄レシチンは、いずれもリン脂質の純度が60%以上と高純度の卵黄レシチンが得られていた。
しかしながら、含水率が3容量%より多い含水エタノールを抽出溶媒として使用した場合は、ベンゼン不溶物及び水分が高く、さらに風味が劣化していたのに対し、含水率が3容量%以下の含水エタノールでは、ベンゼン不溶物及び水分も低く、また風味の劣化も殆ど起きていなかった。
これより、含水率が3容量%以下の含水エタノールで抽出することにより、風味安定性に優れた好ましい品位を得られることが理解される。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は、従来の方法に比べ、より安全な抽出溶剤で簡便な操作により高純度の卵黄レシチンを得る方法であり、しかも得られたレシチンは風味安定性に優れていることより、食品分野は勿論のこと医薬・化粧品等の他の分野へも用途拡大が期待される。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1における抽出温度と得られた卵黄レシチン中のリン脂質の純度との関係を示すものである。
【図2】試験例2における抽出溶剤として使用した含水エタノールの含水率と得られた卵黄レシチン中のベンゼン不溶物との関係を示すものである。
【図3】試験例2における抽出溶媒として使用した含水エタノールの含水率と得られた卵黄レシチン中の水分との関係を示すものである。

Claims (1)

  1. 乾燥卵黄を、含水率が3容量%以下の低含水エタノールを抽出溶剤として12℃以下の温度で抽出し、得られた抽出液から溶剤を除去することを特徴とする卵黄レシチンの製造方法。
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