JP3654752B2 - ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法 - Google Patents

ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、光沢性に優れた塗膜を得ることができるポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリビニルアセタール樹脂溶液は、ポリビニルアセタール樹脂を溶媒に溶解して製造される。
従来、ポリビニルアセタール樹脂の製造方法としては、沈殿法及び溶解法が広く知られている。
沈殿法では、ポリビニルアルコール水溶液に酸触媒を添加し、更に、アルデヒド化合物を加えて反応させ、ポリビニルアセタール樹脂を生成し、このポリビニルアセタール樹脂を析出させた後、水洗、乾燥等の工程を経てポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。
【0003】
また、溶解法では、ポリビニルアルコールを有機溶媒に分散させ、酸触媒を添加し、更に、アルデヒド化合物を加えて反応させた後、ポリビニルアセタール樹脂を析出させ、更に、水洗、乾燥等の工程を経てポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。
【0004】
上述の方法において、特に、アルデヒド化合物として芳香族アルデヒドを用いる場合には、沈殿法が好ましく用いられる(特開昭63−221077号公報等)。
これは、溶解法を用いた場合には、アルデヒド化合物である芳香族アルデヒドが有機溶媒に非常に溶解し易く、ポリビニルアルコールへの反応に関与しにくくなるため、アセタール化反応の進行が困難となるためと考えられている。
【0005】
従来、溶解法や沈殿法によりポリビニルアセタール樹脂を製造するときに用いられる酸触媒は、0.5〜4重量%の濃度となるように反応系に加えられている。従って、反応を終了させるために添加した中和剤により過剰の塩が生成し、乾燥ポリビニルアセタール樹脂を得るためには、生成した過剰の塩を水洗により充分に除去する工程が必要であった。
【0006】
ところで、ポリビニルアセタール樹脂溶液の製造は、上述した沈殿法や溶解法で得られた乾燥ポリビニルアセタール樹脂を、目的の溶媒に溶解することにより行われている。
【0007】
しかしながら、アセタール化度が10モル%以下のポリビニルアセタール樹脂の場合には、親水性が強いため、実際の工業的な製造においては、
▲1▼乾燥ポリビニルアセタール樹脂を得るための水洗工程において、ポリビニルアセタール樹脂が水とともに流出する
▲2▼水洗、乾燥した後、ポリビニルアセタール樹脂を目的の溶媒に溶解する間に、反応槽や水洗槽にポリビニルアセタール樹脂がかなりの量付着し、収率が低下する
等の問題があった。
【0008】
そこで、水洗、乾燥工程を実施せずにポリビニルアセタール樹脂が析出しているポリビニルアセタール樹脂溶液を、例えば、塗膜を形成するための溶液としてそのまま用いればよいと考えられる。この場合には、水洗によりポリビニルアセタール樹脂が水とともに流出したりすることがなく、かつ、反応槽や水洗槽へのポリビニルアセタール樹脂の付着量を低減することができる。
しかしながら、得られたポリビニルアセタール樹脂溶液では、上記酸触媒の中和により生成した過剰の塩が含まれているため、このポリビニルアセタール樹脂溶液で塗膜をひくと、塩の影響により塗膜が白く濁るという問題があった。
【0009】
また、ポリビニルアセタール樹脂溶液中のポリビニルアセタール樹脂の固形分が10重量%以下のものは、製造が比較的容易なものの、このポリビニルアセタール樹脂溶液で塗膜をひいた場合、乾燥後の膜厚が30μm以下である場合は特に問題はないが、30μmを超えると、揮発溶剤が多いため、乾燥に時間がかかり、また、乾燥スピードを速めると塗膜表面が波打ち、塗膜の光沢性が劣るという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、透明性、光沢性に優れた塗膜を形成することができるポリビニルアセタール樹脂溶液の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリビニルアセタール樹脂を水とアルコールとの混合溶媒に溶解してなるポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法であって、上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール水溶液中において、酸触媒を濃度0.005〜0.03重量%となるように添加して上記ポリビニルアルコールを芳香族アルデヒドを用いてアセタール化することにより得られるものであり、上記混合溶媒は、水:アルコールの重量比が、80:20〜20:80であり、上記ポリビニルアセタール樹脂溶液中のポリビニルアセタール樹脂の固形分が、10〜25重量%であるポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0012】
本発明のポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法は、ポリビニルアルコールを芳香族アルデヒドを用いてアセタール化することによりポリビニルアセタール樹脂を得、このポリビニルアセタール樹脂を水とアルコールとの混合溶媒に溶解するものである。
【0013】
上記ポリビニルアルコールは、重合度が200〜3500のものが好ましい。重合度が200未満であると、ポリビニルアルコールの合成が困難となることがあり、3500を超えると、これを水溶液としたときにその粘度が高くなりすぎることがある。
【0014】
上記ポリビニルアルコールは、ケン化度が75〜99.8モル%のものが好ましい。ケン化度が75モル%未満であると、水に対する溶解性が充分でないことがあり、99.8モル%を超えると、ポリビニルアルコールの合成が困難となることがある。
【0015】
本発明において、上記ポリビニルアルコールは2種以上の重合度の異なるポリビニルアルコールを混合して用いてもよい。その場合、見かけ上の重合度が上記範囲内にある2種以上の重合度の異なるポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0016】
上記芳香族アルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド等のアルキル置換ベンズアルデヒド;クロルベンズアルデヒド等のハロゲン置換ベンズアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等のフェニル置換アルキルアルデヒド;p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシル基が置換した芳香族アルデヒド;アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等の置換基を有する芳香族アルデヒド等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0017】
上記アセタール化は、ポリビニルアルコール水溶液中において酸触媒を濃度0.005〜0.03重量%となるように添加して行う。
上記酸触媒の濃度が0.005重量%未満であると、アセタール化反応が殆ど進まず、0.03重量%を超えると、後工程において酸触媒の中和により生成する塩の量が多くなり、ポリビニルアセタール樹脂溶液が濁ったり、この溶液を用いて塗膜を形成した場合等に塗膜が白く濁ったりするため、上記範囲に限定される。
【0018】
上記酸触媒としては特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、尿酸、バルビツール酸等の有機酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0019】
上記ポリビニルアルコール水溶液は、20℃での粘度が10000mPa・s以下が好ましい。10000mPa・sを超えると、高粘度となり合成が困難となる。
【0020】
上記ポリビニルアルコール水溶液の濃度としては、得られるポリビニルアセタール樹脂溶液の樹脂固形分が10〜25重量%の範囲となるものであれば特に限定されるものではない。
【0021】
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、例えば、溶解法、沈殿法、均一法等の従来公知の方法等が挙げられる。なかでも、本発明においては、透明性、収率に優れたポリビニルアセタール樹脂が得られることから、沈殿法が好適に用いられる。
【0022】
上記アセタール化は、芳香族アルデヒドの添加温度は、40〜60℃、その後、冷却スピード5〜30℃/時間で15〜35℃まで冷却し、反応時間は、3〜10時間程度で行われるのが好ましい。
上記芳香族アルデヒドの添加温度が40℃未満であると、酸触媒の濃度が非常に低いので目標のアセタール化度までなかなか進行しないことがあり、60℃を超えると、アセタール化反応が必要以上に進むため、不均一なアセタール化度のポリビニルアセタール樹脂が生成されることがある。
【0023】
上記冷却スピードが5℃/時間未満であると、反応系内でのポリビニルアルコール樹脂の固形分濃度が高いため、反応が速く進み、樹脂同士が合着し、不均一なアセタール化度のポリビニルアセタール樹脂が生成されることがあり、30℃/時間を超えると、急激に系内の温度が下がるため、酸触媒の濃度が非常に低いこの反応系においては、目標のアセタール化度までなかなか進行しない。
【0024】
上記反応温度が15℃未満であると、酸触媒濃度が非常に低いので目標のアセタール化度までなかなか進行しないことがあり、35℃を超えると、反応系内の温度が高過ぎるため樹脂同士が合着し、不均一なアセタール化度のポリビニルアセタール樹脂が生成されることがある。
上記反応時間が3時間未満であると、酸触媒濃度が非常に低いのでアセタール化反応が殆ど進行しないことがあり、10時間を超えると、反応が全て終了し、それ以上アセタール化反応が進行しないことが多い。
【0025】
本発明において上記アセタール化反応を停止させるためには、反応系に酸触媒を中和するための中和剤を添加する。
上記中和剤としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水酸化物;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0026】
上記中和剤の添加量としては、反応溶液のpHを6〜8とし得る限り特に限定されず、通常、酸触媒と等量の中和剤を添加する。
【0027】
本発明において用いられるポリビニルアセタール樹脂は、上記芳香族アルデヒドを単独で用いた場合であっても、混合して用いた場合であっても、上記芳香族アルデヒドによるアセタール化度は、10モル%以下が好ましい。10モル%を超えると、耐水性が比較的高くなり、従来法において水洗したとしても耐水性が高いため、水とともにポリビニルアセタール樹脂を流出させるのが困難となったり、水及びアルコールを後述の割合で含む混合溶媒にポリビニルアセタール樹脂が溶解し難くなる。
【0028】
上記アセタール化度10モル%以下のポリビニルアセタール樹脂は、単独では水には溶解せず、アルコール系の有機溶剤単独にも溶解しないが、親水性及び耐水性の双方を併せ持ったポリビニルアセタール樹脂である。
【0029】
本発明のポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法は、上述の製造方法により得られたポリビニルアセタール樹脂を、水:アルコールが重量比で80:20〜20:80であるアルコール水溶液に溶解するものである。
【0030】
本発明において用いられるアルコールとしては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上併用して用いてもよい。
【0031】
上記アルコールの添加量は、水とアルコールとの混合溶媒において、水の含有割合が80重量%を超えたり、20重量%未満であると、ポリビニルアセタール樹脂を溶解させることができなくなるため、上記範囲に限定される。
【0032】
本発明においては、上記アルコールは、アセタール化反応終了後の反応液に水とアルコールとの重量比が上記範囲内となるように添加することが好ましい。
【0033】
本発明により得られるポリビニルアセタール樹脂溶液中のポリビニルアセタール樹脂の固形分は、10〜25重量%である。10重量%未満であると、上記ポリビニルアセタール樹脂溶液を用いて塗膜等をひいた場合、乾燥後の膜厚が30μm以上であると、揮発成分が多いため、乾燥時に塗膜が波打ち、光沢性が乏しくなり、25重量%を超えると、反応時のポリビニルアルコール水溶液の粘度が高粘度となり、合成が困難となる。好ましくは、15〜20重量%である。
【0034】
(作用)
本発明の製造方法では、ポリビニルアルコール水溶液中の酸触媒の濃度を0.005〜0.03重量%と非常に低くしてアセタール化反応を行っているため、得られるポリビニルアセタール樹脂を水洗、乾燥する必要がない。従って、水洗、乾燥工程を経ることなく反応系にアルコールを添加してポリビニルアセタール樹脂溶液を得ることができるため、ポリビニルアセタール樹脂溶液の収率を高めることができ、且つ、中和により生成する塩が少なくなるので、ポリビニルアセタール樹脂溶液の透明性が高められる。従って、ポリビニルアセタール樹脂溶液を用いて塗膜等をひいた場合においても、透明性に優れた塗膜を得ることができる。
【0035】
また、ポリビニルアセタール樹脂溶液中の樹脂固形分が10〜25重量%と高いことから、乾燥後の塗膜の厚みが30μm以上のものにおいても乾燥効率が良く、光沢性に優れた塗膜を得ることができる。
【0036】
更に、本発明の製造方法では、水洗、乾燥工程を省略することができるので、アセタール化度が10モル%以下の親水性の高いポリビニルアセタール樹脂であるにもかかわらず、流出や反応槽への付着等による収率の低下も生じにくい。
【0037】
本発明において用いられるポリビニルアセタール樹脂は、単独では水に溶解せず、アルコール系の有機溶剤単独にも溶解しないが、親水性、耐水性、双方の性質を有したものである。
従って、本発明の製造方法により得られるポリビニルアセタール樹脂溶液は、紙やフィルム等の支持体上に塗工することにより、プリンタやX−Yプロッターの記録材に好適に用いられることができ、特に、インクジェット方式やペン方式等で記録するオーバーヘッドプロジェクター用として好適な透明記録材又はその他のスライドや液晶等のカラーディスプレイで用いられるカラーモザイクフィルター用の透明記録材として好適である。特に、インクジェット方式等においては、高解像度化に伴い、記録材の単位面積当たりのインク量が多くなってきており、膜厚を30μm以上の厚塗りにすることで対応可能となる。また、このような記録材以外にも、ビニルハウスの防曇材やストリッパブルペイント等にも好適に用いることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(実施例)
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
実施例1
重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール280gを、純水1500gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌しつつ溶解した。得られた溶液を50℃まで冷却し、濃度35重量%の塩酸0.3gを加え、更に、45℃まで冷却し、ベンズアルデヒド35gを加え、冷却スピード20℃/時間で25℃まで冷却し、25℃で5時間アセタール化反応を行った。その結果、溶液中にスポンジ状の沈殿物が生成した。
しかる後、液温が20℃となるように冷却し、攪拌下でイソプロピルアルコール450gを加え、スポンジ状の樹脂を完全に溶解し、しかる後、濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.2gを加え、15重量%のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピルアルコール(水とイソプロピルアルコールとの割合は重量比で7:3)透明溶液を得た。
【0040】
得られた透明溶液をポリエチレンフィルムに塗布し、乾燥した後、ポリエチレンフィルムから剥離し、透明フィルムを作製した。この透明フィルムを、DMSO−d6 (ジメチルスルホキシド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用い、アセタール化度を測定したところ、アセタール化度は6モル%であった。
上記塗膜の透明性、光沢性の評価、収率の算出を下記の方法により行った。結果を表1に示した。
【0041】
塗膜の透明性の評価
上記のようにして得られた透明溶液を厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した。このようにして形成されたフィルムの透明性を目視により観察した。この目視による観察結果については、以下の判定基準により3段階評価した。
○:濁りや曇りが全くなく、無色透明である。
△:一部が白っぽく曇っている。
×:全体がかなり曇っている。
【0042】
塗膜の光沢性の評価
上記のようにして得られた透明溶液を厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、110℃の乾燥機で10分間乾燥した。このようにして形成されたフィルムの光沢性を目視により観察した。この目視による観察結果については、以下の判定基準により3段階評価した。
○:光沢あり。
△:一部光沢のない部分がある。
×:全体的に光沢がない。
【0043】
収率
上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹脂溶液の量及びその固形分から実質的な樹脂量を算出し、その樹脂量と上記で測定したアセタール化度を用いて、反応したポリビニルアルコール量を算出した。このポリビニルアルコール量を、反応仕込み時に用いたポリビニルアルコール量で割り、この反応で得られたポリビニルアセタール樹脂の収率を求めた。
【0044】
実施例2〜6
ポリビニルアルコール、アルデヒド及びアルコールを表1に示したようにしたこと以外は実施例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製し、評価した。結果を表1に示した。
【0045】
比較例1
重合度2000、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール200gを、純水1500gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し、溶解した。得られた溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸50gを加え、更に、30℃まで冷却し、ベンズアルデヒド27gを1時間かけて滴下し、25℃で3時間アセタール化反応を行った。その結果、スポンジ状の沈殿物が得られた。
しかる後に、液温が20℃となるように冷却し、攪拌下でイソプロピルアルコールを720g加え、スポンジ状の樹脂を完全に溶解し、しかる後、濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加え、8重量%濃度のポリビニルアセタール樹脂溶液水−イソプロピルアルコール(水とイソプロピルアルコールとの割合は重量比で7:3)溶液を得た。この溶液は白濁していた。
上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹脂溶液の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0046】
比較例2、3
ポリビニルアルコール、アルデヒド及びアルコールを表1に示したようにしたこと以外は比較例1と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製し、評価した。結果を表1に示した。
【0047】
比較例4
比較例1と同様にしてスポンジ状の沈殿物を得た後、濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加え、中和した。次に、純水1000gをこれに加え、よく攪拌した後、デカンテーションにより水2000gを除去した。次に、純水2000gを加え、よく攪拌した後、デカンテーションにより水を除去する工程を合計3回繰り返した。しかる後、イソプロピルアルコールを加え、樹脂を完全に溶解し、透明な8重量%のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピルアルコール(水とイソプロピルアルコールとの割合は重量比で7:3)溶液を得た。
上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹脂溶液の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0048】
比較例5、6
ポリビニルアルコール、アルデヒド及びアルコールを表1に示したようにしたこと以外は比較例4と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製し、評価した。結果を表1に示した。
【0049】
比較例7
比較例4と同様にして反応させ、中和及びデカンテーションを行った後、ポリビニルアセタール樹脂を乾燥した。乾燥後、水−イソプロピルアルコール混合溶媒(水とイソプロピルアルコールとの割合は重量比で6:4)に乾燥されたポリビニルアセタール樹脂を加え、攪拌下で完全に溶解し、透明な15重量%の濃度のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピルアルコール(水とイソプロピルアルコールとの割合は重量比で6:4)溶液を得た。
上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹脂溶液の評価を実施例1と同様にして行った。結果を表1に示した。
【0050】
比較例8、9
ポリビニルアルコール、アルデヒド及びアルコールを表1に示したようにしたこと以外は比較例7と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製し、評価した。結果を表1に示した。
【0051】
比較例10
重合度2000、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール200gを純水1500gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌しつつ溶解した。得られた溶液を55℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸0.3gを加え、更に50℃まで冷却し、ベンズアルデヒド27gを1時間かけて滴下し、45℃で5時間アセタール化反応を行った。その結果、溶液中にスポンジ状の沈殿物が生成した。
しかる後、液温が20℃となるように冷却し、攪拌下でイソプロピルアルコール920gを加え、スポンジ状の樹脂を完全に溶解し、しかる後、濃度10重量%の水酸化ナトリウム水溶液1.2gを加え、8重量%のポリビニルアセタール樹脂の水−イソプロピルアルコール(水とイソプロピルアルコールの割合は、重量比で6:4)透明溶液を得た。
上記のようにして得られたポリビニルアセタール樹脂溶液を、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示した。
【0052】
比較例11、12
ポリビニルアルコール、アルデヒド及びアルコールを表1に示したようにしたこと以外は比較例10と同様にしてポリビニルアセタール樹脂溶液を作製し、評価した。結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
Figure 0003654752
【0054】
比較例1〜3では、酸触媒の濃度が1.0重量%と高いため、ポリビニルアセタール樹脂溶液は白濁しており、従って、フィルムの透明性も大きく損なわれていた。また、収率も96%に留まった。
比較例4〜6においても、同様に酸触媒の濃度が1.0重量%と高く、従って、水酸化ナトリウム水溶液を多量に用いて中和しており、多量の塩が発生したため、水洗工程を多数回実施しなければならなかった。そのため、収率が84%以下と低かった。
【0055】
比較例7〜9においても、酸触媒の濃度が1.0重量%と高く、従って、反応後に比較例4と同様に多量の水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和しており、多量の塩が発生したため、水洗工程を多数回実施しなければならなかった。そのため、収率が77%以下と低かった。
【0056】
比較例10〜12においては、酸触媒の濃度が0.01重量%と低く、従って、中和により生成した塩が少ないためか、本発明に従ってアルコールを加えて生成したポリビニルアセタール樹脂を溶解して得られたポリビニルアセタール樹脂溶液は透明であり、かつ、得られた塗膜の透明性も良好であった。しかし、樹脂固形分が8重量%と低いため光沢性は良くなかった。収率は98%と高かった。これに対し、実施例1〜6では、酸触媒の濃度が0.01重量%と低く、従って、中和により生成した塩が少ないためか、本発明に従ってアルコールを加えて生成したポリビニルアセタール樹脂を溶解して得られたポリビニルアセタール樹脂溶液は透明であり、かつ、得られた塗膜の透明性、光沢性いずれも良好であった。また、水洗及び乾燥工程を実施していないため、収率も98%と高かった。
【0057】
【発明の効果】
本発明のポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法は、上述の構成からなるものであるので、ポリビニルアセタール樹脂溶液を用いて塗膜をひいた場合等においても、透明性、光沢性に優れた塗膜を形成することができ、水洗、乾燥等の工程を含まず、高収率でポリビニルアセタール樹脂溶液を製造することができる。

Claims (3)

  1. ポリビニルアセタール樹脂を水とアルコールとの混合溶媒に溶解してなるポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法であって、
    前記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコール水溶液中において、酸触媒を濃度0.005〜0.03重量%となるように添加して前記ポリビニルアルコールを芳香族アルデヒドを用いてアセタール化することにより得られるものであり、
    前記混合溶媒は、水:アルコールの重量比が、80:20〜20:80であり、前記ポリビニルアセタール樹脂溶液中のポリビニルアセタール樹脂の固形分が、10〜25重量%である
    ことを特徴とするポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法。
  2. ポリビニルアルコールは、重合度が200〜2500であり、ケン化度が75〜99.8%である請求項1記載のポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法。
  3. ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、10モル%以下である請求項1又は2記載のポリビニルアセタール樹脂溶液の製造方法。
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