JP3654623B2 - 豆腐の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ニガリ豆腐等の豆腐の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐の製造工程には、水を加えながらすり砕いた大豆を煮沸する工程と、この煮沸により得られたゴ液から豆乳を抽出する工程と、その後、この豆乳を凝固する凝固工程等がある。この凝固工程では、凝固剤を使用して豆乳を凝固するが、この凝固剤としては、無機金属塩系の凝固剤(塩化マグネシウム、塩化カルシウム等)、澄まし粉(硫酸カルシウム)、グルコノデルタラクトン(GDL)、乳酸カルシウム、有機酸(クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等)などの種類がある。
【0003】
しかし、ニガリ(無機金属塩系の凝固剤)は、豆乳との反応速度が非常に速いため、きめ細かく、舌触りや歯切れ、食味の良い高品質な豆腐を安定して作ることは非常に難しい。また、乳化剤を使わずに乳化安定性を保つことは非常に難しく、乳化凝固剤の保存は困難である。そこで、より安定した状態で保存可能な乳化凝固剤が市販され、この乳化凝固剤を上記凝固工程において加えることで、比較的簡単に高品質の豆腐の製造が可能になった。市販されている代表的な乳化凝固剤としては、マグネスファイン(花王株式会社製)などがある。
【0004】
また、例えば、特開平11−98970号公報や特開平10−57002号公報に示すものも既に開示されている。すなわち、上記特開平11−98970号公報には、油脂、乳化剤、水及び無機金属塩を含み、平均粒子系が0.5〜5μmである乳化凝固剤が開示され、特開平10−57002号公報には、無機塩系豆腐凝固剤とポリグリセリン脂肪酸エステルと油脂とを含有する豆腐用凝固組成剤が開示されている。なお、油脂は、塩化マグネシウム等の潮解性を抑え吸湿性を防止して流動性を保持させるために使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、市販されている乳化凝固製剤は、流通上の観点から、製剤を安定化する目的で、乳化剤が大量に使われているのが特徴である。しかし、従来の乳化凝固製剤は、通常のニガリに比べ高価で、上記乳化凝固製剤に対応した専用の凝固成型機が必要となる(特開平11−98970号公報等参照)。しかしながら、これでは、豆腐の製造の汎用性が失われてしまう。また、豆腐は使用する乳化凝固製剤によっても味が異なるが、上記乳化凝固製剤により凝固剤が限定されることは味(食味)のバリエーションも限定されてしまう。すなわち、豆腐や油揚げ等は地域的食品としての特性が高いものであるから、特定の種類の豆腐を作るためには、特定種類の乳化凝固剤を使用することは好ましいが、食味の点からは豊富なバリエーションが保てない問題を有している。さらに、市販の乳化凝固剤には、化学合成された食品添加物が大量に使用されることが多いという一部の消費者にとって好ましくない問題もある。
【0006】
そこで、この発明は、市販されている乳化剤の使用如何にかかわらず、従来の代表的な凝固剤と油脂のみを基本として使用して、原材料コストを軽減化するとともに、安価な汎用の凝固成型機でも、味のバリエーションの豊富な高品質な豆腐を容易に製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の豆腐の製造方法は、豆乳が豆乳温調タンクから凝固用容器に搬送パイプを介して送られるようになっており、この搬送パイプに、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液とを乳濁化させる機能を有する乳濁混合機と、凝固成型機とが連結され、この乳濁混合機は液体油が入れられる油脂貯蔵タンクと無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液が入れられる貯蔵タンクとを備える製造システムを使用して、豆乳に添加するまで、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液とを乳濁混合機により乳濁化させた製剤(乳化剤を含むものを除く)に保ち、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の分離時間を調整し、この乳濁化させた製剤を上記搬送パイプを介して豆乳の中に添加することを特徴とする。ここで、液体油と凝固剤水溶液を乳濁化させるに際しては、安価な汎用の乳濁混合機で乳濁化させれば良く、乳濁混合機の種類は特に限定されない。また、豆乳を凝固させるに際しては、安価な汎用の凝固成型機で凝固させれば良く、凝固成型機の種類は特に限定されない。なお、近年の乳化混合機や凝固成型機の発達は著しいものがあることから、これらの機器の汎用性のあるものを使用すれば足りる。さらに、豆乳の凝固工程中に加え得るものであれば、汎用の乳濁混合機で調製したものをそのまま使用しても良く、又、豆乳を凝固する凝固工程と並行して順次加えるものであっても良いが、「豆乳の凝固の直前」が好ましい。
【0008】
この請求項1の発明によれば、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の凝固剤を汎用の乳濁混合機で乳濁化させた製剤を調製する。この乳濁化させた製剤(液体)を使用すると、従来の乳化凝固剤を使用した場合よりも乳化状態は一時的である。しかし、凝固剤や液体油を自由に選択できることから、味のバリエーションが豊富になる。また、従来の「乳化凝固剤」に対応した専用の凝固成型機以外の汎用の凝固成型機を使用することができる。すなわち、本発明によれば、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の凝固剤水溶液を汎用の乳濁混合機で乳濁(乳化)させた場合、乳化終了後から時間の経過と共に、液体油と凝固剤水溶液は乳濁(乳化)する前の状態に戻ろうとするが、これを抑制するために、凝固の直前に乳濁(乳化)してすぐに使用するので何ら問題ない。むしろ、液体油と凝固剤水溶液は乳濁(乳化)する前の状態に戻ろうとする自然現象を時間的に利用することによって、豆乳の凝固反応をコントロールすることが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について参照しながら説明する。なお、この製造方法により製造される豆腐は、絹ごし豆腐、ソフト木綿豆腐、普通木綿豆腐、生揚げ生地、厚揚げ生地、油揚げ生地等が含まれる。
【0010】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の豆腐の製造方法は、豆乳を凝固する凝固工程において、液体油と無機金属塩系の凝固剤水溶液を乳濁混合機により混合させて乳濁化させた製剤として乳濁凝固製剤を作り、この乳濁化させた製剤を豆乳の凝固工程中に添加させる。凝固工程は、図1に示すような製造システムが採用されている。この製造システムは、豆乳温調タンク2からポンプPを介して凝固用容器5に送られるようになっており、この搬送パイプ1に汎用の乳濁(乳化)混合機3と凝固成型機4が連結配置されている。ここで、乳濁混合機3で調製した乳濁化させた製剤は、豆乳の凝固の直前に加え得るようになっているが、豆乳を凝固する凝固工程に使用するまでであっても、又、豆乳を凝固する凝固工程と並行して順次加えるものであっても良い。
【0011】
凝固用容器5の位置には、通電加熱装置6が配設されている。この通電加熱装置6は、凝固用容器5内に配される一対の電極板6a,6bと、一対の電極板6a,6bに電圧を印加する電源と、一対の電極板6a,6bを上下動させる駆動装置7とを備えている。また、通電加熱装置6は、周波数変換器によって交流周波数を高め得る構成となっている。
【0012】
本実施の形態では、塩化マグネシウムを主成分とする水溶液を使用するが、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等も使用でき、これらの水溶液、水分散液や他の溶媒(グリセリン、アルコール、プロピレングリコール等)の溶液や分散液を使用する形態でも良い。特に塩化マグネシウムを主体とするものが好ましい。昔ながらのニガリの風味を持ち、大豆の甘みがあり最高の豆腐とされているからである。また、有機酸系水溶液の凝固剤水溶液を使用しても良い。例えば、クエン酸、酢酸、乳酸、グルコン酸等である。これらは、豆腐のpHを低くすることによって、硬さや日持ちを向上させることができる。なお、好ましくは、液体油も凝固剤水溶液も、乳濁時に液状(スラリー状、ペースト状等の流動体も含む)になっていることが好ましい。乳濁時に液状になっていれば、乳濁化させた製剤を容易に調製することができるからである。
【0013】
本発明に用いる液体油(液体脂)としては、魚油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、ナタネ油、大豆油、コーン油等が挙げられる。このような液体油は、凝固剤と豆乳の反応を一時的に遮るために使用される。そして、乳濁時に液状になっていれば乳濁化させた製剤を容易に調製できるため、常温で液状の食用油脂(液体油)であることが好ましい。
【0014】
本発明の乳濁化させた製剤のエマルションは、食用油脂に凝固剤水溶液が分散しているエマルションであればW/O型エマルション(油中水滴型)、或いは、二重乳化型(O/W/O型)等の多相乳化型のいずれの状態でも良い。ただし、W/O型エマルション(油中水滴型)は汎用性があり、好ましい。本願発明が汎用性のある汎用の乳濁(乳化)混合機や凝固成型機を使用することと適合するからである。そして、界面活性作用のある製剤や食品素材を豆乳や乳濁化させた製剤、液体油等に少量加えると、豆乳と乳濁化させた製剤における液体油がなじみやすくなり、乳濁化させた製剤を均一に細かく豆乳に分散させることができ、自然現象として乳濁化させた製剤の乳化が壊れて分離して凝固が行われる。本発明は乳化安定性を目的としないため、エマルションの平均粒子径は、比較的大きい粒子であっても十分効果がある。例えば、エマルションの平均粒子が5μm以上であっても良い。
【0015】
次に、本実施の形態の製造工程について図1を用いて説明する。まず、液体油に無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の凝固剤を加えて、汎用の乳濁混合機3を使用して乳濁(乳化)して乳濁化させた製剤を作る。汎用の乳濁混合機3としては、ローターステーター型乳化機、ミル型乳化機、高圧ノズル型乳化機、高圧衝突型乳化機、超音波乳化機、膜乳化機、静止型乳濁混合機(スタティックミキサの等)があるが、何れを使用しても良い。
【0016】
そして、乳濁化させた製剤を豆乳の凝固工程中に加えて豆乳を凝固させる。ここで使用される凝固成型機4は汎用のもので足り、例えば、ワンツー式、スクリュー撹拌式、櫂(カイ)式、ぶち込み式など一般的に凝固成型機4として使用されるものは広く含まれる。また、上記の各種の乳濁(乳化)混合機3も使用できる。このようにして豆乳を凝固するが、これは従来の豆乳の凝固工程を広く使用することができる。つまり、既存の設備を活用し、従来の製品に加え、本発明の製法を適用でき、少ない設備投資で多品種の製品を生産することができるようになる。
【0017】
ところで、本実施の形態の製造方法は、多様な消費者ニーズに応えた高品質な豆腐又は大豆加工品を提供できる汎用性があり、高価な乳化凝固製剤や高価な専用凝固成形機や高価な乳化剤を大量に使うことなく、経費を抑えて高品質の豆腐を容易に作ることができる。また、豆乳の凝固工程をコントロールすることができる。これを詳述すると、液体油と豆乳はそれだけでは本来分離してしまい、混じり合わない。本発明のように、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の凝固剤を汎用の乳濁混合機で乳濁させた場合、乳濁終了後から時間の経過と共に、液体油と凝固剤は乳濁する前の状態に戻ろうとする。すなわち、自然現象として乳濁が壊れて分離する。しかし、本発明では、凝固工程中に乳濁化(乳化)してすぐに使用するので何ら問題ない。この分離するまでの時間は乳濁したときの粒子の細かさなどから影響されるが、むしろ本発明は、その自然現象をそのまま利用し、その分離時間を調整することによって、豆乳の凝固反応をコントロールすることが可能である。なお、上記コントロールは、上記の乳濁混合機3の回転数や流速を変化させても調整可能である。また、豆乳温度が乳濁化させた製剤の温度と温度変化による補助的効果も持ち合わせている。すなわち、その温度差が凝固剤と液体油の界面活性に影響を及ぼすため、凝固剤と豆乳との凝固反応を制御することができる。そして、上記液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の凝固剤水溶液は種類が限定されず組み合わせも自由である。このため、各地域の豆腐製造業者は、種々様々なオリジナルな乳濁化させた製剤を比較的安価に調製することができ、豆腐の味のバリエーションの幅が広くなり、経済的に商品の差別化を図ることができるようになる。
【0018】
(第2の実施の形態)
本実施の形態の豆腐の製造方法は、図2に示すように、乳濁混合機3Aは、液体油が入れられる油脂貯蔵タンク3aとミキサー3bが連結され循環される構成であると共に、上記油脂貯蔵タンク3aの上方には、ニガリ等の凝固剤が入れられたニガリ貯蔵タンク3cが配設されている。したがって、上記液体油の全量に対して上記凝固剤(ニガリ)を少しずつ加えるか、又は、上記液体油の全量に対して上記凝固剤(ニガリ)を間欠的に加えることができるようになっている。そして、第1の実施の形態の搬送パイプ1に送られるようになっている(図1参照)。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。なお、乳濁混合機3Aにより、調製した乳濁化させた製剤は、そのまま豆乳を凝固する凝固工程に使用しても良く、又、循環を停止させて数日後に凝固工程に使用しても良い。なお、油脂貯蔵タンク3aとミキサー3bを一体化させたような構成や搬送パイプ1への連結箇所等は、実施に応じて変更可能である。例えば、ニガリ貯蔵タンク3cのニガリはポンプPの近傍に連結されるものでも良い。
【0019】
本実施の形態によれば、乳化安定度が低い乳濁化させた製剤でも上記乳濁混合機3Aで循環・撹拌しておくことにより乳化状態を保つことができる。また、例えば、W/O型エマルション(油中水滴型)を安定して調製することができる。
【0020】
すなわち、豆乳が凝固剤を入れることによって凝固するのは、主に次の理由による。一つは、大豆タンパク質が電気的にマイナスに帯電しており、そこへマグネシウム、カルシウムイオン等のプラスイオンを加えることによって結合し、凝固(ゲル化)するからであり、一つは、大豆タンパク質の等電点近くまでpHを下げることによりタンパク質が電気的に中性となり、電気的に反発する力がなくなり凝固するからである。従来の凝固過程では凝固が早い場合はタンパク質同士が凝固するときのネットワークが豆腐全体として粗くなりやすく、高品質な豆腐を作ることは熟練が必要とされていた。ところが、本発明によれば、凝固反応を緩慢にコントロールすることによってネットワークを緻密にし、高品質な豆腐を作ることができる。なお、本実施の形態では、安定性をそれほど必要としないため、凝固剤水溶液と液体油の混合割合は、前記液体油に凝固剤水溶液が分散しているエマルション(乳濁液)であれば限定されない。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
にがり(海のめぐみ:株式会社高井製作所製、塩化マグネシウム33.2%W/W)、液体油(大豆白絞め油:豊年油製)を2:1の割合で、汎用の乳濁混合機3で乳化して乳濁化させた製剤を調製し、この乳濁化させた製剤を絹ごし用の豆乳1リットルあたり9.8ml添加し、スクリュー式凝固攪拌機で(株式会社高井製作所製;商品名「マルチカーディS型」)を使用し、豆乳温度90°Cで凝固し、30分熟成した。凝固後の熟成時間は15分とした。このようにして製造した豆腐は、型箱(凝固用容器5)から取り出し、直径20mm、高さ20mmの円柱状に切り出し、23mmのプランジャーを使いレオメータ(不動工業製)で硬さ(破断力)、歪み、歯切れ、食味を測定した。その結果を表1に示す。
【0022】
ここで、汎用の凝固成型機4の種類も換えて豆乳を凝固した。具体的には、スクリュー攪拌式、ワンツー式、櫂(カイ)式、ぶち込み式などである。その結果を表2に示す。
【0023】
(実施例2)
実施例1で使用したのと同様な絹ごし用の豆乳を75°Cに調整し、スクリュー式凝固攪拌機(株式会社高井製作所製;商品名「マルチカーディS型」)で上記実施例1の乳濁化させた製剤を使ってよく混合分散し、ニガリを細かく分散しておき、直ちに通電加熱装置6で通電し、85°Cまで加熱した。加熱後30分熟成し、型箱(凝固用容器5)より取り出し、成形し、実施例1と同様、硬さ、歪み、歯切れ、食味を測定した。ニガリ1に対して液体油1の割合で混合した乳濁化させた製剤を使用して、豆乳温度80°C弱で凝固した。その結果を表1に示す。
【0024】
(実施例3)
70°C以下の比較的低温の豆乳に乳濁化させた製剤を細かく分散しておき、通電加熱装置6により通電し、電圧や周波数を変化させることにより、乳濁化させた製剤の反応をコントロールした。その結果を表1に示す。
【0025】
(比較例1)
にがりは、海のめぐみ(株式会社高井製作所製)を使用し、通常の絹ごし豆腐に用いられる豆乳(濃度13%brix)を65°Cに調製し、スクリュー撹拌式凝固機(マルチカーディ)で凝固した。凝固後の熟成時間は50分常温で放置し、熟成後の円柱状に切り出し、硬さ、歪み、歯切れ、食味を測定した。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
表1から明らかなように、各実施例1〜3が比較例1よりも良い結果であることがわかる。また、実施例1のうちでも汎用の凝固成型機5をいくつかに分けて実施した結果を示すものが表2であるが、この表2の結果から、本発明の製造方法によれば、汎用の凝固成型機5に対応可能であることがわかる。
【0029】
また、表1から、通電加熱装置6により通電加熱を行った実施例2が最も良好であることがわかる。これは、通電することによって乳濁化させた製剤のエマルションの状態をコントロールすることによって、ニガリと豆乳をコントロールすることができるからである。また、反応後の熟成時に通電加熱することによって豆腐の物性を改良することができるからである。
【0030】
更に、上記各実施例は、ニガリ(無機金属塩系水溶液の凝固剤)を使用したが、本発明は、凝固剤を上記ニガリに限定しても、次のような効果を有する。まず、上記実験結果から、絹ごし豆腐の場合は、ニガリと液体油の割合は、1:1から3:1まで可変的であり、物性や味によって自在に変えることができた。
【0031】
次に、従来の凝固温度よりも広範囲に対応できた。すなわち、豆乳の凝固工程では、図3に示すようなシステムを採用して、凝固製剤として単にニガリを使う場合、60°C〜70°Cに豆乳温度を調整し、ニガリと豆乳を合わせる。ニガリと豆乳の反応は数秒で終了するために、その間にニガリが全体に分散するように、なおかつ、寄ってきたものを壊さないようにする必要がある。
【0032】
これに対して、本実施の形態の製造方法では、例えば、豆乳は木綿や絹ごし豆腐に用いられるものとした場合、凝固温度は0〜100°C程度まで広範囲に対応できる。特に、75°C〜85°Cとが汎用性があり好ましいが、高温でも低温でも広く対応でき、汎用性が高くなる。特に、80°C以上では、耐熱性芽胞菌以外の雑菌はほとんど死滅するので、衛生的な製法になる。
【0033】
以上、上記各実施例は、第1の実施の形態の製造方法によるものであるが、第2の実施の形態の製造方法によっても同様の実験結果が得られるものである。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の豆腐の製造方法によれば、市販されている乳化凝固製剤の使用の如何にかかわらず、従来の代表的な凝固剤と液体油のみを基本として使用して、非常に幅広い乳濁状態を作ることにより、安価な汎用の凝固成型機でも、味のバリエーションの豊富な高品質な豆腐を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の豆腐の製造方法の第1の実施の形態の製造装置を示す図である。
【図2】 本発明の第2の実施の形態の乳濁混合機を説明する図である。
【図3】 従来の豆乳の凝固工程を説明する図である。
【符号の説明】
1 搬送パイプ、
2 豆乳温調タンク、
3,3A 乳濁混合機、
4 凝固成型機、
5 凝固用容器、
6 通電加熱装置
Claims (1)
- 豆乳が豆乳温調タンクから凝固用容器に搬送パイプを介して送られるようになっており、この搬送パイプに、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液とを乳濁化させる機能を有する乳濁混合機と、凝固成型機とが連結され、この乳濁混合機は液体油が入れられる油脂貯蔵タンクと無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液が入れられる貯蔵タンクとを備える製造システムを使用して、豆乳に添加するまで、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液とを乳濁混合機により乳濁化させた製剤(乳化剤を含むものを除く)に保ち、液体油と無機金属塩系水溶液又は有機酸系水溶液の分離時間を調整し、この乳濁化させた製剤を上記搬送パイプを介して豆乳の中に添加することを特徴とする豆腐の製造方法。
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