JP3653196B2 - 仮想現実感を利用した施工支援情報システム。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は仮想現実感を利用した施工支援情報システムに係り、特に建設工事において現実空間に重ね合わせて映し出された仮想立体映像を利用して対象とする現場に即した計測データの解析結果情報、施工管理情報等を提供し、施工の合理化を図るようにした仮想現実感を利用した施工支援情報システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のコンピュータ技術の発達により、リアルな仮想立体映像を現実空間に取り込んだ仮想現実感の提案がなされている。あらかじめ立体図形の動画として作成されたCG(コンピュータグラフィックス)を仮想立体映像として、観察者が装着したHMD(ヘッドマウンテッドディスプレイ)に投影し、観察者がゴーグルを通して見た現実空間と光学的に合成して観察者に視覚的な作業情報を提供し、現実空間内での作業者の行動支援を行うシミュレーションシステムが種々提案されている。このシミュレーションシステムはAR(オーグメンテッドリアリティ)システムと呼ばれている。このARシステムでは観察者の行う様々な作業を支援するために、適切な作業示唆の行える高精度のCG情報を提供することが求められている。
【0003】
このARシステムでは、ゴーグルを通して入射する外界からの光を透過させるように位置するハーフミラー上に、HMDに組み込まれた表示素子に表示されたCGによる仮想構造等の立体映像を、入射光と重ね合わせるようにして、光学系を介して投影させることができるシースルータイプのHMDが利用されている。このようにシースルータイプのHMD(以下、STHMDと記す。)を利用したARシステムでは、観察者が見ている現実空間にCG映像空間を光学的に精度よく重ね合わせることで現実空間と仮想立体空間との融合を図り、観察者の仮想現実感を実現することができる。このため、このARシステムではSTHMDを装着した観察者の視点の3次元位置を把握することが重要である。今のところ観察者がSTHMDを利用できる環境として室内の実験室レベルが現実的なものとされている。
【0004】
ところで、屋外での作業の多い土木工事では上述したような仮想現実感を作業効率化のために利用した事例は報告されていないが、原位置の風景写真等にCGによって作成した完成予想構造物をはめ込んで形状や色彩のシミュレーションを行う手法は従来から行われている。すなわち、土木、建築等の建設工事では構造物の建設位置を絶対座標で把握し、その絶対座標をもとに設計上の構造寸法を有する構造物を構築する。このため、現実空間上に所定寸法のCG映像による各種構造物をはめ込み、これを利用して各種の施工を行うことができれば、いわゆる熟練作業による成果と同等の品質の施工が可能となり、各工程での作業の効率化、精度向上を実現できることになる。
【0005】
また、実際の施工では、出来形管理のための計測等を行うとともに、施工の進行により変化する地盤状況や工事の影響による地山の変状等を計測し、そのデータをもとに変状に対する対策工を教唆したり、適切な施工を行うための各種の解析が行われている。これらの解析結果をもとにトンネル建設工事等において進行する切羽位置の地盤状況が刻々と変化するような場合、その地山変状をあらかじめ予測し、安全に施工を行うための必要な情報を得ることができる。
【0006】
トンネル掘削工事において、このような計測結果をもとにした解析例として以下の解析システムが出願人により開発されている。
▲1▼逆解析
事前にトンネル対象断面の解析モデルを作成し、各種計測データをもとに逆解析を行い、周辺地山の弾性係数、初期地圧、ポアソン比(逆解析によるアウトプット)を同定する。この同定値を用いて次段階掘削に伴う地山や支保部材の変位・応力予測を行う。
▲2▼3次元地質分析システム
トンネル切羽のディジタル画像を利用して地山のトンネル縦断方向における地質構造を分析し、切羽奥部における地質の変化をあらかじめ想定し、そのための事前対策工を行う。
▲3▼対策工選定ファジーエキスパートシステム
切羽画像データや切羽観察記録などの施工データベースを用いて、遭遇した破砕帯等に対して適切な対策工等を選定し、事前対策および応急対策などの施工に利用する。
▲4▼キーブロック解析
キーブロック解析は、空洞やトンネル掘削時において、潜在的に滑り出す危険性のある岩石ブロック(キーブロック)の位置、規模を推定するもので、このキーブロックに対して所定の対策工を行うことで、トンネル等の安定を図る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トンネル掘削工事を例にした土木建設工事においては、以下のような作業においてARシステムの導入によって以下に示している作業の効率化、高精度化の余地が見込まれる。
【0008】
(1)切羽での発破孔削孔や支保部材としてのロックボルト孔削孔、切羽前方の地盤支持のための先受け工法におけるフォアパイリング工においては、その削孔位置はレーザーマーカーや直接測量して割り出した位置をペイント等でマーキングし、その位置にドリルジャンボに搭載された削孔機のノミ位置をオペレータが操作盤を操作して位置合わせを行っていた。従って、作業上熟練が必要であった。
(2)支保工建て込みでは、レーザーマーカーにより支保工建て込み位置をマーキングし、吊り込み機械に把持された状態の支保工を重機オペレータの操作によりあらかじめ測量により位置決めされた箇所に吊り込むようにしてした。
(3)覆工コンクリートの配筋等は設計図面をもとに実測しながら行っていた。
(4)出来形管理の場合では、トンネルの2次覆工の完成後、計測担当者がトンネル内に所定間隔をあけて設定された測点での内空寸法等をスチールテープや測距装置を用いて実測していた。
【0009】
すなわち、従来のトンネル施工では、次のような点が問題点として指摘されている。また、上述の解析結果等を現場施工において、より効果的に利用するための方策が提案されている。
(1)切羽における発破孔やロックボルト孔、フォアパイリング孔の削孔では、レーザーマーカーにより岩盤面の削孔位置は確認できるが、岩盤内に延びる孔の方向を決定するためのノミ角度(差し角)の決定等は熟練した作業者の勘と経験とに頼った作業であった。適正な差し角での削孔が行えないと、トンネル周辺に余掘りや内空断面不足が生じる。
(2)重機オペレータは支保工を建て込む位置を直接見ることができないため、誘導を行う補助者を必要とするため、作業の効率化、作業者の安全確保が十分に果たせないおそれもある。
(3)出来形を検査する場合、測点での情報しかなく、測点間の情報は全く得られず、施工区間が長い場合には計測に多大な時間を要する上、計測箇所以外での出来形不良をカバーできないおそれもある。
(4)上述した解析システムによる解析結果は2次元ないし3次元表示等を用いた各種出力形式で出力され、さらに現場ではその解析結果に基づいた具体的な施工計画をたてる必要があった。
【0010】
しかし、それらの利用形態をさらに進めて、たとえば逆解析では解析結果により、周辺地山のひずみ分布や支保部材の応力を精度良く予測できるが、ある位置(領域)で得られた解析結果が所定管理値より大きな解析値が生じた場合、その位置で適正なロックボルトの長さ、耐力の妥当性が現場位置で視覚的に判断できることが望まれる。また、内空変位が実際の現場で視覚的に確認できれば、所定の内空を確保できないことが直観的に把握できる。具体的に仮想立体映像を利用することができれば、各解析において次のような利点がある。
【0011】
3次元地質分析システムによる分析結果は、3次元座標データとして蓄積されるため、ARシステム上に表示することが比較的容易であり、分析結果を実画像に重畳して表示することによって、その場で効果的に切羽前方地質を視覚的に把握でき、見えない次段階の掘削等に対する施工安全性を確認できる。
【0012】
さらにファジーエキスパートシステムによって選定された対策工を実際の現場での実画像に重畳して表示させることで、より容易に対策工の効果を確認することができる。逆にこれまでのデータベースを基に比較することで不適切な対策工による欠陥等も事前に知ることができ、若手技術者等による対策工の選択ミス等が激減する。
【0013】
上述したキーブロック解析では、地山内に想定され、実際には確認することができないキーブロックの形状や規模を、実際の地山に重畳して視覚的に確認できるとともに、崩落防止のための補強工の配置、方向、規模等の判断を容易に行うことができる。
【0014】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、CGにより作成された仮想立体映像情報を、作業者がSTHMDを介して見ている現実空間内にはめ込むようにして現実空間内で作業者が行う各種の作業に有用な解析結果情報、施工管理情報等を与え、作業の効率化、施工精度、安全性の向上を図ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は作業者の視点位置を得る視点位置検出手段と、作業者の視点姿勢を得る視点姿勢検出手段と、装着したゴーグルを介して観察対象となる外界の現実空間を視野内に捉えるために、前記外界からの入射光を透過する一方、装備された表示素子に表示された映像情報が、内蔵光学系を介して投影される半透過面を有する映像表示手段と、前記観察対象となる現実空間において、施工される工種あるいは工程に応じて想定される施工後の形状を、所定のメニューに対応したインデックスを付与して蓄積され、前記作業者が手元の映像切替手段の操作により前記インデックスを選択して前記映像表示手段に投影される映像情報を変更して得られる3次元形状データから生成した描画オブジェクトを蓄積した施工支援情報データベース蓄積部と、前記視点位置検出手段と視点姿勢検出手段とから求められた前記作業者の位置情報及び前記作業者の移動に伴って変化した位置情報に基づいて、前記観察対象となる現実空間の既定座標に前記描画オブジェクトを重畳させるために逐次前記描画オブジェクトを再構築する描画オブジェクト再構築部と、前記再構築された描画オブジェクトの画像データを前記映像表示手段に搭載された表示素子に表示可能な映像情報信号に変換する映像信号変換部と、前記映像表示手段に装備された映像信号受信部に前記映像情報信号を転送する映像信号転送部とから構成されたことを特徴とする。
【0016】
作業者の視点位置を得る視点位置検出手段と、作業者の視点姿勢を得る視点姿勢検出手段と、装着したゴーグルを介して観察対象となる外界の現実空間を視野内に捉えるために、前記外界からの入射光を透過する一方、装備された表示素子に表示された映像情報が、内蔵光学系を介して投影される半透過面を有する映像表示手段と、現場で収集され所定の通信手段で送信された計測データを入力値として用いて解析を行う解析部と、該解析部から返送された解析結果を加工し、前記視野内に投影可能な情報表示データとして生成されるとともに、施工される工種あるいは工程に応じて想定される施工後の形状を、所定のメニューに対応したインデックスを付与して蓄積され、前記作業者が手元の映像切替手段の操作により前記インデックスを選択して前記映像表示手段に投影される映像情報を変更して得られる3次元形状データから生成した描画オブジェクトを蓄積した施工支援情報データベース蓄積部と、前記視点位置検出手段と視点姿勢検出手段とから求められた前記作業者の位置情報及び前記作業者の移動に伴って変化した位置情報に基づいて、前記観察対象となる現実空間の既定座標に前記描画オブジェクトを重畳させるために逐次前記描画オブジェクトを再構築する描画オブジェクト再構築部と、前記再構築された描画オブジェクトの画像データを前記映像表示手段に搭載された表示素子に表示可能な映像情報信号に変換する映像信号変換部と、前記映像表示手段に装備された映像信号受信部に前記映像情報信号を転送する映像信号転送部とから構成されたことを特徴とする。
【0017】
前記施工支援情報データベース蓄積部は、前記描画オブジェクトが、所定のメニューに対応したインデックスを付与して蓄積され、前記作業者が手元の映像切替手段の操作により前記インデックスを選択して前記映像表示手段に投影される映像情報を変更することが好ましい。
【0018】
上記解析部は、逆解析システムであること、あるいは3次元地質分析システムであり、該システムの断面データを連続した画像データとして生成し、前記施工支援情報データベースに蓄積させたようにすること、または対策工選定ファジーエキスパートシステムであり、該システムに蓄積された所定の対策工情報が選択された段階で、画像データとして生成されるようにすること、さらにキーブロック解析システムであり、該システムで求められたキーブロックの形状及び/または規模が、画像データとして生成されるようにすることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の仮想現実感を利用した施工支援情報システムの一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の施工支援情報システムの一例を示したシステム構成図である。図1に示したように、たとえばトンネル内で施工機械を操作する作業者(オペレータ)は所定の安全装備以外に、立体映像による仮想現実感を体感するためにSTHMDを装着している。このSTHMDは、公知の光学的シースルー方式によって映像を投影可能なゴーグルタイプのディスプレイで、作業者Wの顔部に直接装着して使用する。
【0020】
STHMD10は外界からの入射光を透過を調整可能な液晶シャッター(図示せず)を備えたゴーグル11部分と、ゴーグル11内に収容されたハーフミラー(図示せず)に映像を投影可能な映像表示装置12とを備えている。映像表示装置12の表示素子としてはTFT液晶パネルが用いられている。この液晶パネルに表示された映像はゴーグル11側部に収容された複数枚のリレーレンズとミラーとで構成された光学系(図示せず)を介してハーフミラーに投影される。
【0021】
さらに図3に示したように、作業者Wがかぶった安全帽の一部には視点位置検出手段としての反射プリズム21が装着されている。この反射プリズム21は背後の所定位置に据え付けられたトータルステーション22から発射されたレーザー光を反射する。反射光はトータルステーション22側で再度受光されるので、作業者Wの頭頂部位置E0の位置が把握できる。また、トータルステーション22には自動追尾機能が備えられているので、移動する作業者Wの頭頂部位置E0を逐次把握し続けることができる。なお、作業者Wの頭頂部位置E0と視点位置E1(左右の瞳孔間中央位置)との位置補正も逐次行われているため、作業者Wの位置情報は視点位置E1として取り扱われる。なお、この視点位置E1は、後述する立体映像作成のために作業者に固有の左右の瞳孔位置(EL、ER)に換算されて取り扱われるが、以下では、説明の簡単化のために視点位置E1で代表して述べる。
【0022】
たとえばトンネル等の構造物では坑口の絶対座標が求められているので、坑口からの距離程を利用してトータルステーション22位置が設定できる。さらにトータルステーション22からの測距により作業者Wの視点位置E1を求めることができる。これに対して屋外工事においては、人工衛星Sを利用したDGPS(ディファレンシャル方式GPS)によるモニタリング機能によって作業者Wの視点位置E1を絶対座標で検出することができる。
【0023】
STHMD10を装着した状態での作業者Wの視点姿勢E2を検出する視点姿勢検出手段として、作業者Wの安全帽にはジャイロセンサー23が取り付けられている。本実施の形態で用いられているジャイロセンサー23は3軸のセンサーからなり、このセンサー出力によりセンサー中心に対しての姿勢(角度)データを獲得することができる。ジャイロセンサー23に代えてサーボ加速度計等を装着することによっても、視点姿勢E2を検出することが可能である。さらにソフトウェアを利用することにより、検知された作業者Wの瞳孔の動きから視点姿勢E2及び視点位置E1を追跡するようにしても良い。このようなデータを利用して作業者Wの視点位置E1、視点姿勢E2をデータとして獲得する。このデータは後に作業者Wの装着しているSTHMD10に表示される仮想立体映像の描画オブジェクトの更新のための情報として用いられる。
【0024】
ここで、作業者Wの頭頂部に装着されたジャイロセンサー23、反射プリズム21を用いて視点姿勢E2、視点位置E1を得るデータ処理について説明する。作業者Wの頭部に装着されたジャイロセンサー23からは作業者Wの頭(顔)が向いている方向がジャイロセンサー23の中心位置を原点としたXYZ軸周りの単位ベクトルE2(θx,θy,θz)として検出される。この単位ベクトルE2をもととして視点姿勢E2が得られる。
一方、後方の既知測点A(X,Y,Z)に据え付けられたトータルステーション22から発射されたレーザー光を再びトータルステーション22側で受光して得た反射光情報から反射プリズム21の位置、すなわち作業者Wの頭頂部位置の座標E0(X0,Y0,Z0)が得られる。このさらに作業者の左右眼の瞳孔間中心位置である視点位置E1(X1,Y1,Z1)に補正される。このようにして、作業者Wが各種の作業に伴って場所を変えた場合にもトータルステーション22の自動追尾機能により逐次その位置情報(視点位置E1)を検出することができる。
このとき作業者Wが視認している現実空間の位置座標は、あらかじめ測量によって既定座標として確定されていため、作業者Wの視線方向、距離と視認対象である現実空間とが一意に対応つけられて決定される。これにより作業者Wが見ている現実空間と完全に重ね合わされた仮想立体映像を作業者Wが装着しているSTHMD10に映し出すことができる。
【0025】
次に、現実空間に重畳して表示される仮想立体映像を構築するために用いられる各種の施工のための施工支援情報データベースについて説明する。
施工支援情報データベースは、仮想現実感を利用して施工支援を行う対象となる各種の仮設、本設構造物等の3次元の立体形状を、実際の設計図面等に基づいて所定の縮尺で作成した3次元形状の基本形状データ30をもとに視点情報としてその形状、消失点を適宜変更した形状として描画可能な描画オブジェクトとして生成され、図1に示した施工支援情報データベース蓄積部32に蓄積されている。
【0026】
基本形状データ30はワークステーション(WS)あるいはパーソナルコンピュータ(PC)上で稼働する3次元CADソフトウェア上で作成され、DXFファイル形式で保存されている。そして仮想立体映像構築ソフトで取り扱い可能なデータ形式に変換された描画オブジェクトとして施工支援情報データベース蓄積部32に蓄積される。施工支援情報データベース蓄積部32からは、実際の現場付近にいる作業者Wが携帯する画像切替コントローラ31(図1参照)の操作によって、付与されているインデックスをもとに対応した施工支援情報データとしての描画オブジェクトが適宜取り出され、表示できるようになっている。
表−1は、本実施の形態における施工支援情報データベース蓄積部32の一部を示した一覧表である。同表に示したように、施工支援情報データベース蓄積部32では各施工支援情報データとしての描画オブジェクトは、それぞれ工種、必要施工支援情報で区分されたマトリクスに対応させたテーブル形式で蓄積されている。このため、工種が異なる場合にも共通する施工支援情報は、施工支援情報データベース蓄積部32から繰り返し取り出されるようになっている。
【0027】
【表1】
【0028】
同表に示したように、一例としてトンネル建設工事、法面保護工、開削工事等における各施工段階で必要とされる多種の施工支援情報が細かい工種に対応したインデックスに対応して得られるようになっている。また、各施工支援情報には必須データ、オプションデータとしてのレベル付け(○、△で表示)がされており、作業者が状況に応じて必要とする描画オブジェクトを適宜選択することもできる。
【0029】
この施工支援情報データベース蓄積部32に蓄積される描画オブジェクトのもととなる基本形状データ30が、たとえばトンネル建設工事におけるロックボルト工のロックボルトの描画オブジェクトの生成情報であれば、直径、長さ、ロックボルトの打設方向、打設位置等のデータから構成される。また2次覆工のための配筋データ等における異形鉄筋の各種情報も同様な線材の情報として与えられる。鉄筋のような線材データは表示において適当な簡略化を行っても映像においてリアル感が損なわれないが、覆工コンクリートのように面形状で構成される立体データにおいては、骨格となるフレームデータに、質感を考慮した適当なテクスチャー要素の貼り付けを行った描画オブジェクトとして生成される。
【0030】
ところで、作業者Wの位置情報(視点位置E1、視点姿勢E2)を視点パラメータとして描画オブジェクトを生成する際、実際に作業者WがSTHMD10を通じて見ている現実空間の広がりと描画オブジェクトの表示スケール、消失点、立体視のための整合は厳密にはとられていない。そこで、この描画オブジェクトを現実空間内でのリアルな立体画像として生成するために、映像切替コントローラ31を介して位置情報(E1、E2)の初期化、微調整、表示スケールの調整、各作業者固有の身体情報(頭頂部E0と視点位置E1とのずれ、瞳孔間距離)による画像調整が行えるようになっている。これらの調整を行いながら、描画オブジェクト再構築部34で作業者Wの視点の移動に追従して変化する視点パラメータをもとに描画オブジェクトの立体形状等を変化させる。
【0031】
さらにこの描画オブジェクトは仮想立体映像として映像データ変換部40、映像信号転送部としてのHMDコントローラ43から作業者WのSTHMD10に搭載されている映像信号受信部15を介して映像表示装置12としての表示素子(図示せず)に表示される。
【0032】
ここで、図2を参照してノートPC31内で構築された描画オブジェクトを立体映像に変換するための映像データ変換部40の構成について説明する。
作業者Wが携帯するノートPC31のディスプレイは図2に模式的に示したように、4個の分割画面で構成されている。これら4個の分割画面のうち、上部画面には描画オブジェクトをSTHMD10で立体視するために、描画オブジェクトが作業者Wの左右の目で別々に見たときの視距、光路長差を考慮した左目、右目用の画像として生成して表示されている(以下、左目用画像をL画像、右目用画像をR画像と記す。)他の分割画面には作業者Wの位置情報(視点位置E1、視点姿勢E2)が上述した検出手段により作業者Wの動きに追従して逐次変化する数値情報として出力されている。
【0033】
上述のL画像、R画像を構成する描画オブジェクトは、この数値情報としての視点位置E1、視点姿勢E2をもとに高速レンダリングされ、最新の画像データに更新される。そして、この画像データ(L画像、R画像)はアナログRGB信号としてノートPC31から出力され、さらに図2に示したスキャンコンバータによってNTSC信号に変換され、HMDコントローラ43に出力される。
【0034】
図2に示したように、上述のアナログRGB信号は映像データ変換部40としてのスキャンコンバータでR画像データ及びL画像データの左右の2つの画像データに分離され、この画像データを交互にSTHMDに出力することにより立体映像信号を得ることができる。
ここで、ノートPC31上に逐次蓄えられている前述した作業者Wの位置情報(視点位置E1、視点姿勢E2)を考慮した描画オブジェクトから右目用の立体映像と左目用の立体映像を生成する手順について簡単に説明する。
まず、仮想立体映像構築ソフトによってノートPC31の画面上に表示されたR画像とL画像に対して作業者Wの位置情報が視点パラメータとして与えられる。そして与えられた視点パラメータに対応してそれぞれの画像において所定インターバルで高速レンダリングが行われる。
そして、再構築により更新された最新の画像データは映像データ変換部40の第1のスキャンコンバータ41に入力され、第1のスキャンコンバータ41で右目用のR画像データが取り出される。さらに第2のスキャンコンバータ42に出力信号がスルーアウトされ、次いで左目用のL画像データが取り出される。このR画像データとL画像データとは外部同期を取りながら、高速にスイッチングされて映像信号転送部としてのHMDコントローラ43に出力される。このとき画像信号はNTSC準拠信号に変換されている。このHMDコントローラ43を介して作業者Wが装着しているSTHMD10の映像信号受信部15に立体画像信号が送出され、STHMD10内の表示素子に仮想立体映像が表示される。このときHMDコントローラ43から作業者WのSTHMD10までのデータ伝送は無線または有線のいずれも可能である。
【0035】
次に、図1、図3に示した作業者の本システムの利用環境について簡単に説明する。
まず、作業者Wは作業対象となる位置近くでSTHMD10を装着する。このSTHMD10には付帯装置として作業者Wの視点の3次元の回転が計測できるジャイロセンサー23が装着されている。また、本実施の形態では作業者Wのかぶる安全帽の頂部に反射プリズム21が装着されている。この反射プリズム21に対して作業位置の後方の既知座標点に設定されたトータルステーション22等によりレーザー測距を逐次行うことにより、作業者Wの視点位置は自動追尾され、これにより作業者Wの位置情報が絶対座標で得られる。なお、屋外の場合は、DGPSにより直接、作業者Wの絶対座標を求めることができる。
【0036】
作業者Wは映像切替コントローラ31を操作して施工支援情報データベースのインデックスメニューによってこれからの作業に必要な施工支援情報を施工支援情報データベース蓄積部32内から選択する。このとき選択された施工支援情報の描画オブジェクトは、作業者Wの位置情報を視点とした最新の形状として再構築されて作業者WのSTHMD10の表示素子に転送される。表示映像はさらに内蔵光学系を介してあたかも作業者Wが観察している現実空間内に存在するかのようにSTHMD10の視野内のハーフミラーに映し出される。
映し出された仮想立体映像は作業者Wがこれから行う作業の完成形状であったり、作業をガイドする指標であったりする。このため作業者Wは手元の図面等の値を現場においてスケールアウトしたりすることなく、映し出された映像に従って直接、各作業を進めることができる。このとき作業者Wが移動したり、頭を動かした場合、その位置情報は逐次PC31に送られ、描画オブジェクトの形状や消失点の更新がなされる。これにより、移動後の作業者Wの視点情報に合わせて常に作業者Wは自分が見ている方向の現実空間内に仮想物体を現実空間上に重ね合わせることができ、作業者Wの連続した作業を確実にフォローしていくことができる。
【0037】
次に、このシステムを用いた実施例としてトンネル工事における各工程での作業を行う場合の適用例について説明する。
図4(a)は発破工法によるトンネル掘削時の切羽の発破孔の削孔に利用される仮想現実感を模式的に示した模式縦断面図である。同図には、説明のために削孔予定の発破孔が仮想線で表示されている。
一方、図4(b)は、作業者Wが実際に見ている切羽1を含む現実空間と、作業者Wが装着したSTHMD10のハーフミラーに投影された削孔予定の発破孔2の仮想映像とがその位置、方向が重畳された状態で映し出されている。作業者Wは現実空間の切羽面に映し出された仮想立体画像としての発破孔2位置および必要な削孔ロッド3の差し角に合わせてロックボルトジャンボ4に搭載された削岩機の削孔ロッド5の先端を3次元的に映し出された発破孔2の延長上に移動させ、削孔作業を行うことができる。
このとき仮想立体画像には切羽奥の地盤内での地盤状況も合わせて映し出されている。このため、切羽1で観察困難な弱部1aでの発破作業を慎重に行うようにすることもできる。
このように作業者Wが観察している実際の切羽1に削孔予定の発破孔2が3次元的に表示されるため、従来のように切羽にレーザーポインター等で削孔点を投影したり、スプレー等でマーキングした場合に対して、勘に頼らずに削孔ロッドの差し角等を正確に決定することができる。このため、トンネルの余掘りが大幅に減少する。また、削岩機の位置決めが迅速に行えるため全体の作業工程が短縮されるという利点もある。
【0038】
図5(a)は掘削に伴い、切羽後方で支保工を建て込む場合に利用される仮想現実感について説明した縦断面図である。作業者Wが支保工の組立位置からトンネルの切羽1側を観察したときに、作業者WのSTHMD10を通して見た視野内には、図5(b)に示したように所定サイズの鋼製支保工6が奥行き方向に所定のピッチで建て込まれた仮想立体映像が映し出されている。従って、この仮想立体映像中の支保工位置に重ね合せるように実際の支保工7を移動させ、支保工7を正確な位置に容易かつ迅速に建て込んで設置することができる。
【0039】
図6(a)は覆工コンクリート工事までの工程が完了し、2次覆工の出来形検査を行う検査員がトンネル内を移動している状態を示した縦断面である。図6(a)に示した完成状態において、正確な寸法形状に設定された2次覆工コンクリート8の仮想立体映像を現実の覆工コンクリート9と重畳させて観察すると、実際に打設された覆工コンクリート9とあらかじめ設計上設定されていた覆工コンクリート8との形状や覆工厚の施工誤差を確認することができる。このとき仮想立体映像の覆工形状と現実の覆工との重なり部分8aを比較することにより、この正規の設計覆工断面に対して過大厚となった部分、過小厚となった部分、トンネル軸線とのずれ等を直観して確認でき、出来形精度を迅速に確認することができる。また、この方法による出来形検査では、従来所定の距離程ごとにしか行っていなかった出来形検査をトンネル縦断方向に歩きながら全長にわたって実施することができるようになるという効果がある。
【0040】
次に、現場の計測データを収集し、その計測データをもとにして解析した結果を所定の仮想立体映像として生成し、この仮想立体映像を現場作業者WのSTHMDを介して実際に見える視野内の実像に重ねて表示し、現場位置での迅速な安全確認や地質構造推定等を行えるようにした実施の形態について図7を参照して説明する。
【0041】
本システムでは、図7のシステム構成図に示したように、前述した各種の解析を行うために種々の計測データを収集し、そのデータを加工して入力データとして解析部50で行った解析結果を、施工支援情報データベース32及び描画オブジェクト再構築部34に取り込み、所定の仮想立体映像として生成するようになっている。
【0042】
以下、前述の施工例と同様に、トンネル建設工事を例に説明する。
トンネル現場で収集される計測データとして代表的なものに以下がある。
(1)所定計測断面ごとに収集されるデータ
・内空変位量、天端沈下量、岩盤内の地中変位量、応力変化量、支保部材(H形鋼、吹付けコンクリート、ロックボルト、ロックアンカー)のひずみ、応力、軸力
・支保工の変状状況(H形鋼、ロックボルト、吹付けコンクリート)
(2)切羽面で収集されるデータ
・切羽観察記録(切羽の画像、岩質、風化変質程度、亀裂の頻度・形態、湧水状況など)
・岩盤の亀裂の走向・傾斜情報
これらのうち、長さデータは各種測距儀、精密写真測量、スチールテープ等により測定され、その他のデータはそれぞれ地中変位計、各種歪み計、応力計等の計測機器を用いた計測が行われ、データロッガの入力装置を利用して一定のフォーマットのデータとして記録媒体に収集される。
【0043】
さらにこれらの収集された各データは、公知の通信プロトコルに基づいて現場に近い事務所等のPC等のデータ処理部に連続ないし所定タイミングで送信される。このデータ処理部(プリプロセッサ部)において、計測データは対象となる解析システムの入力データあるいはデータベースの蓄積項目としてのデータフォーマットに加工される。また前述した精密写真測量において収集されたディジタル画像は所定の方法で画像処理を行うことで写真座標を取得することができる。この写真座標を仮想立体画像の基礎データとして有効である。
【0044】
特に、前述した「3次元地質分析システム」では図8に示したようにトンネル縦断方向に関して複数の断面データから連続した平面図、側面図が得られるが、さらに、これらの地質構造を、本発明の仮想立体映像として生成して実際の視野に重ね合わせることができる。これにより、切羽では平面的にしか確認できない破砕帯、断層等の規模、走向傾斜等を図9(a)、(b)に示したように、視認方向A,B(図8参照)のそれぞれの方向において、作業者Wはトンネル切羽より奥方の地質の変化を含めて立体的に把握することができる。これにより、切羽の進行に伴って適用される各種の補助工法の適切な選定に活用することができる。
【0045】
また、本実施の形態の逆解析システムでは、現場事務所に設置されたPCにインストール可能な程度の容量のシステムを想定している。このPC上の逆解析システムの入力データとして内空変位計測データを加工したものを用いている。通常、この種の逆解析システムでは対象断面の解析モデルをあらかじめ作成しておき、この解析モデルに計測データを入力し、解析を行う。この解析により周辺地山(岩盤)弾性係数、初期地圧、ポアソン比を同定して、この同定物性値を用いて次段階の掘削に伴う地山や支保部材の変位・応力予測が行える。したがって、トンネル天端、側壁の変位を仮想立体映像として生成し、実際の視野上に重ね合わせることにより、ビジュアルにトンネル内空変位を確認することができる。
【0046】
逆解析結果を用いた予測解析は、周辺地山のひずみ分布や支保部材の応力も精度良く予測できる。これらのひずみ分布や支保部材の応力分布と、所定の計測管理基準値(ひずみや応力度など)と比較し、計測管理基準値を超えた値が生じた領域等を映像として実現場の映像と重ね合わせることができる。図10は仮想立体映像として地山内に仮想の設計ロックボルトBを映し出し、そのときボルトBの支保作用が効いた状態でのトンネル地山側での支保部材の応力分布がコンター形状Cで模式表示されている。これにより、作業者Wは地山のどの部分が実際に許容値内にあるかどうか等を視覚的に判断することができる。
【0047】
また、対策工選定ファジーエキスパートシステムでは、現場から得られた地質、各種計測データ、切羽画像データや切羽観察記録をデータベース内の蓄積データと照合して必要に応じて適切な対策工を選定することができる。選定された対策工は、推奨された規模、範囲を実現場の座標、形状データに合わせて仮想空間映像として再構築させ、作業員が視認した現場の景色と重ね合わせることができ、視覚的にその対策工の規模等を確認できるとともに、施工時のガイドとして施工の迅速化、精度向上を図ることができる。
【0048】
さらに、キーブロック解析の結果、潜在的に滑り出す危険性をもっている岩石ブロック(キーブロック)の位置、規模が確認された場合でも、キーブロックは地盤内に存在しているため実際には見ることができない。そこでその位置、規模を仮想立体映像として再構築し、作業員の視認している範囲にその映像を重ね合わせてやることで、実施工では、きわめて特定しにくいキーブロックの位置や補強工の方向などが容易に判断することが可能になる。特に、ドーム状(半球状)空洞などの場合には通常のトンネルとは異なり、掘削の方向が常に変化するため、キーブロック位置が特定しにくい。このような場合にその効果は一層大きい。
【0049】
これらの逆解析、キーブロック解析の結果は従来、2次元ないし3次元出力結果として図化していた。本発明では、これらの解析結果データに作業者の視点座標データを盛り込み、仮想立体画像として生成している。これらの画像データはたとえば必要に応じて座標変換プログラムでDXFファイル等の画像ファイルに変換する。そして作業者の視点座標を取り込んだオブジェクトとして生成し、STHMDにシースルー表示させ、作業者の視野内に情報を重ね合わせる。
【0050】
表示映像は通常、3次元データとして立体的に表示されるが、所定地山断面での内空変位、歪み等はデータの簡略化を図り、2次元表示することで見やすくしてもよい。なお、3次元的な地質構造の表示に関しては、作業者が切羽を見た視野内の切羽前方だけでなく、トンネル全線にわたる表示も可能である。さらにファジーエキスパートシステムで選定された各種補助工法、たとえば増しボルト、増し吹付けコンクリート、鏡吹付けコンクリート、先受け工等は選定部材データ、施工ピッチ、施工範囲等を考慮した仮想映像を生成するようにし、現状地盤に補助工法を付加した状態を視覚的に確認することができる。
【0051】
以上の説明では、トンネル工事を例に挙げ、各工程において本発明のシステムを適用した施工例について説明したが、この他対象となる工事としては狭い場所での複雑な空間設定を行うものや、土工事における切土、盛土等の形状等を確認したり、また掘削仮設工事においてその掘削状態や支保工の組立情報等を与えることにより山留め工事を迅速に行うことも可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上に述べたように、建設工事において現実空間に重ね合わせて映し出された仮想立体映像を利用して、対象とする現場に即した計測データの解析結果情報、施工管理情報等を提供し、施工の迅速化、合理化、安全性の向上という効果を奏する。
【0053】
また、1次元線情報あるいは2次元面情報であった計測データ及び解析結果を、本発明において3次元化し、さらに作業者の視覚情報を重ね合わせた立体映像として可視化することによって、補強工法の範囲や縫返し区間等を具体的に判定しやすくなるという効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による仮想現実感を利用した施工支援情報システムの一実施の形態を示した概略システム構成図。
【図2】本発明の施工支援情報システムのうち、映像データ変換部の一実施の形態を示した概略システム構成図。
【図3】作業者の位置情報を得るためのシステム構成の一実施の形態を示した模式説明図。
【図4】本システムをトンネル建設工事における発破孔削孔作業に適用した実施の形態を示した模式状態図。
【図5】本システムをトンネル建設工事における支保工建て込み作業に適用した実施の形態を示した模式状態図。
【図6】本システムをトンネル建設工事における覆工出来形検査に適用した実施の形態を示した模式状態図。
【図7】本発明による仮想現実感を利用した施工支援情報システムの他の実施の形態を示した概略システム構成図。
【図8】3次元地質分析システムの解析結果例を示した模式説明図。
【図9】図8に示したデータをトンネル建設工事における切羽観察データとして適用した実施の形態を示した模式状態図。
【図10】設計ロックボルトによる地山内応力分布状態を示した模式状態図。
【符号の説明】
10 シースルーヘッドマウンテッドディスプレイ(STHMD)
11 ゴーグル
12 映像表示装置
15 映像信号受信部
21 視点位置検出手段
23 視点姿勢検出手段
31 映像切替コントローラ
32 施工支援情報データベース蓄積部
33 画像データ変換部
40 映像データ変換部
43 映像信号転送部
50 解析部
Claims (6)
- 作業者の視点位置を得る視点位置検出手段と、作業者の視点姿勢を得る視点姿勢検出手段と、装着したゴーグルを介して観察対象となる外界の現実空間を視野内に捉えるために、前記外界からの入射光を透過する一方、装備された表示素子に表示された映像情報が、内蔵光学系を介して投影される半透過面を有する映像表示手段と、前記観察対象となる現実空間において、施工される工種あるいは工程に応じて想定される施工後の形状を、所定のメニューに対応したインデックスを付与して蓄積され、前記作業者が手元の映像切替手段の操作により前記インデックスを選択して前記映像表示手段に投影される映像情報を変更して得られる3次元形状データから生成した描画オブジェクトを蓄積した施工支援情報データベース蓄積部と、前記視点位置検出手段と視点姿勢検出手段とから求められた前記作業者の位置情報及び前記作業者の移動に伴って変化した位置情報に基づいて、前記観察対象となる現実空間の既定座標に前記描画オブジェクトを重畳させるために逐次前記描画オブジェクトを再構築する描画オブジェクト再構築部と、前記再構築された描画オブジェクトの画像データを前記映像表示手段に搭載された表示素子に表示可能な映像情報信号に変換する映像信号変換部と、前記映像表示手段に装備された映像信号受信部に前記映像情報信号を転送する映像信号転送部とから構成されたことを特徴とする仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
- 作業者の視点位置を得る視点位置検出手段と、作業者の視点姿勢を得る視点姿勢検出手段と、装着したゴーグルを介して観察対象となる外界の現実空間を視野内に捉えるために、前記外界からの入射光を透過する一方、装備された表示素子に表示された映像情報が、内蔵光学系を介して投影される半透過面を有する映像表示手段と、現場で収集され所定の通信手段で送信された計測データを入力値として用いて解析を行う解析部と、該解析部から返送された解析結果を加工し、前記視野内に投影可能な情報表示データとして生成されるとともに、施工される工種あるいは工程に応じて想定される施工後の形状を、所定のメニューに対応したインデックスを付与して蓄積され、前記作業者が手元の映像切替手段の操作により前記インデックスを選択して前記映像表示手段に投影される映像情報を変更して得られる3次元形状データから生成した描画オブジェクトを蓄積した施工支援情報データベース蓄積部と、前記視点位置検出手段と視点姿勢検出手段とから求められた前記作業者の位置情報及び前記作業者の移動に伴って変化した位置情報に基づいて、前記観察対象となる現実空間の既定座標に前記描画オブジェクトを重畳させるために逐次前記描画オブジェクトを再構築する描画オブジェクト再構築部と、前記再構築された描画オブジェクトの画像データを前記映像表示手段に搭載された表示素子に表示可能な映像情報信号に変換する映像信号変換部と、前記映像表示手段に装備された映像信号受信部に前記映像情報信号を転送する映像信号転送部とから構成されたことを特徴とする仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
- 前記解析部は、逆解析システムであることを特徴とする請求項2記載の仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
- 前記解析部は、3次元地質分析システムであり、該システムの断面データを連続した画像データとして生成し、前記施工支援情報データベースに蓄積させたことを特徴とする請求項2記載の仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
- 前記解析部は、対策工選定エキスパートシステムであり、該システムに蓄積された所定の対策工情報が選択された段階で、画像データとして生成されるようにしたことを特徴とする請求項2記載の仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
- 前記解析部は、キーブロック解析システムであり、該システムで求められたキーブロックの形状及び/または規模が、画像データとして生成されるようにしたことを特徴とする請求項2記載の仮想現実感を利用した施工支援情報システム。
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