JP3652937B2 - 強度と耐食性に優れるアルミニウム合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性および強度に優れるアルミニウム合金押出材に関するものであり、自動車、車両、航空機などの輸送機器の構造部材用アルミニウム合金押出材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車その他の輸送機器の構造体に要求される性能としては、1)強度、2)耐食性、3)破壊力学特性(耐疲労亀裂伝播、破壊靭性など)が挙げられ、最近の材料の開発動向としては、強度だけでなく、材料の構造から部材の組み立て、運用も含めた総合的な評価が行われている。
高強度アルミニウム合金としては、従来からAl−Cu−Mg系(2000系)あるいはAl−Zn−Mg−Cu系(7000系)のアルミニウム合金が知られているが、これらの合金は強度面では優れているものの加工性、耐食性が必ずしも十分でない。
一方、Al−Mg−Si系(6000系)のアルミニウム合金は、一般的に強度面では上記高強度アルミニウム合金に劣るが、耐食性や押し出し加工性の面でも優れており、速い速度での押し出し加工が可能で、製造原価も低減でき、ポートホールダイスやスパイラルダイスを用いて中空形状に押し出し加工する事も一般的に行われている。
この事から6000系合金と同等の押し出し加工性を備えた高強度アルミニウム合金の強度特性を改善して、2000系、7000系合金と同等の強度を得ようとする試みが行われており、従来の6061合金より高強度が得られる6063合金、6056合金、6082合金などが開発されている。
自動車、車両、航空機などの輸送機器の構造体は、優れた強度特性を要求されることは勿論であるが、使用中に厳しい腐食環境(湿気、塩分など)にさらされる事があるため耐食性に優れ腐食環境下で疲労破壊などを生じないものでなければならない。従って構造体用材料は、これらの特性をバランス良く具備していることが必要である。
またこれらの特性については、技術の高度化により僅かの差異でも無視できない重要性を持つ場合もあり、いずれかの特性が少しでも劣ると材料として総合的な評価が得られない。このような観点から上記の6000系アルミニウム合金を見た場合、特に輸送機器用構造体の材料として適応する場合、必ずしも満足すべき性能を備えているとはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、強度特性に優れるとともに、耐食性に優れた、輸送機器用構造体の材料として好適なアルミニウム合金押出材を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記のアルミニウム合金押出材を用いて製造した、強度特性および耐食性に優れた、輸送機器の構造体を提供することにある。
【0004】
【問題を解決するための手段】
本発明の上記課題は以下の手段により達成された。
すなわち本発明は、
(1)2.0wt%以上5.0wt%以下のSi、0.3wt%以上1.5wt%以下のFe、0.5wt%以上2.0wt%以下のCu、0.1wt%以上1.5wt%以下のMn、0.1wt%以上0.5wt%以下のMg、1.6wt%以上3.0wt%以下のZnを含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物とからなる強度および耐食性に優れるアルミニウム合金押出材、及び
(2)(1)項記載のアルミニウム合金押出材を用い成形加工してなることを特徴とする輸送機器用構造部材
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に成分範囲の限定理由について述べる。
Siはアルミニウム合金に固溶または単体Si及びMgと共存してMg2Siを析出させ合金の強度を高める効果を有する。Siが2.0wt%未満ではこの効果が小さい。Siが5.0wt%を越えると材料の変形抵抗が大きくなりすぎて材料製造を困難にしてしまう事と、粒界、粒内に析出するSiやMg2Siにより耐食性を損ねてしまう。従って本発明においてはSi量を2.0wt%以上5.0wt%以下のSiと規定する。
【0006】
Feは、アルミニウム合金に固溶またはAl3FeとSi、FeとAl−Si−Fe系化合物を析出し材料強度を高める効果を有する。Fe量が0.3wt%未満では、材料強度の効果が乏しく、1.5wt%を越えると析出したAl3Feにより材料の耐食性が損なわれてしまう。従って本発明において、Fe量を0.3wt%以上1.5wt%以下と規定する。
Cuはマトリックスに固溶する事で強度を高める効果を有する点と、材料成形性を高める効果を有する。Cu量が0.5wt%以下では材料強度の効果が不十分であり、2.0wt%を越えると、粒界にCuAl2を析出し粒界腐食を発生し素材の耐食性を損なってしまう。従って本発明において、Cu量を0.5wt%以上2.0wt%以下と規定する。
【0007】
MnはFe、Siと金属間化合物を形成し強度向上に寄与している事と、材料の変形抵抗を大きくする効果を有する、またAl3Feの様な金属間化合物の近傍を溶解するような金属間化合物を、粒内の電位と等しいAl−Mn−Fe化合物と置き換える事により耐食性を向上させる働きを有する。Mn量が0.1wt%未満では強度向上の効果が不十分であり、1.5wt%を越えると変形抵抗が大きくなり材料にコバ割れを生じ、製造上問題を生じる。従って、本発明ではMn添加量を0.1wt%以上1.5wt%以下と規定する。
MgはSiと金属間化合物を形成し強度向上に寄与している。Mg量が0.1wt%未満では強度向上の効果が小さく、0.5wt%を越えると、Mg2Siが多く析出し強度が向上するが粒界に析出したMg2Siにより耐食性が損なわれてしまう。従って本発明では、Mg添加量を0.1wt%以上0.5wt%以下と規定する。
【0008】
Znは本発明において重要な添加元素である。
本発明においてZnを添加する理由について述べる。
本発明に用いられる合金においては、Si、Fe、Cu、Mg等は強度向上の為に本発明範囲内の添加量が必要になってくる。一般的に述べられている場合においては、SiはMgとともに粒界にMg2Siを析出する事と粒内、粒界に単体Siを析出し粒界腐食を発生し耐食性を損ねてしまう事と、それに伴う機械的強度の減少が問題になってくる。
本発明においてZnを添加した理由は、Znは添加される事により粒内の電位を卑にする効果により粒界に析出し、粒内に対して選択的に溶解する金属間化合物の溶解を抑制する効果を有している。
これらの耐食性を改善する効果は、Zn量1.6wt%未満では効果がなく、3.0wt%以上では、添加したZn量が多すぎる為に粒内、粒界の溶解が激しくなり、耐食性を損ねてしまう。
従ってZnの添加量を1.6wt%以上、3.0wt%以下と規定する。
本発明において、Cr、Tiの量は特に規定していないが、Crは焼き入れ感受性を阻害しない程度0.1wt%未満ならば問題ない。また鋳塊の微細化材としてTiは0.1wt%以下、Bは0.02wt%以下が添加されているが問題はない。
本発明に用いられる合金は、通常の押出材の製造に必要な熱間加工又は冷間加工により、本発明の押出材を得ることができる。
本発明の材料の用途は特に制限はないが、好ましいのは、自動車、車両、航空機などの輸送機器の構造材であり、好ましくは自動車用である。自動車の中でも、ボディパネル、骨格材、スペースフレームなどに特に好適に用いられる。
【0009】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
【0012】
実施例1
表1に示す合金組成のビレットを半連続鋳造方法にて作製し、490℃の温度で4時間均質化処理を行い、均質化処理後空冷した。ついで押し出し温度450℃で、平板で2mmの形状に熱間押し出し加工を行った。その後180℃の温度で2時間の時効析出処理を行い、試験片(押出材)を作製した。
尚、従来例として6061合金を用いた。
(1)耐食性試験
この1mmの板を70×150mmの形状に切断し、JIS Z2371に準じる塩水噴霧試験を1000時間行い、試験後の最大孔食深さと腐食重量減少量を測定した。結果を表1に示す。
(2)機械的強度の測定
JIS5号試験片を切り出し、引っ張り速度10mm/minで機械的強度を測定した。結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
表1の結果に示される様に、比較例1、3、5、9、11はSi、Fe、Cu、Mn、Mg又はZnが本発明例の成分範囲を下回る為に、強度および耐食性を満たす事が出来なかった。比較例2、8ではSi又はMnの添加量が本発明例を越えるために材料が製造出来なかった。比較例4、6、8、10、12はFe、Cu、Mn、Mg又はZnが本発明例を越えるために、強度および耐食性を満たす事が出来なかった。従来例6061では強度が本発明例と同等であるが、耐食性では本発明例に比べて劣っていた。
これに対し本発明の実施例である本発明例1〜33は耐食性及び機械的強度のいずれも優れる。
【0015】
【発明の効果】
以上述べた様に、本発明によるアルミニウム合金押出材は、耐食性、機械的強度を満足し、自動車構造部材等の輸送機器用構造部材用などとして好適であるという、工業上に顕著な効果を有する。
Claims (2)
- 2.0wt%以上5.0wt%以下のSi、0.3wt%以上1.5wt%以下のFe、0.5wt%以上2.0wt%以下のCu、0.1wt%以上1.5wt%以下のMn、0.1wt%以上0.5wt%以下のMg、1.6wt%以上3.0wt%以下のZnを含有し、残部アルミニウムおよび不可避的不純物とからなる強度および耐食性に優れるアルミニウム合金押出材。
- 請求項1記載のアルミニウム合金押出材を用い成形加工してなることを特徴とする輸送機器用構造部材。
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JP29442899A JP3652937B2 (ja) | 1999-10-15 | 1999-10-15 | 強度と耐食性に優れるアルミニウム合金 |
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