JP3853021B2 - 強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材、とくに輸送機器の構造体として好適に使用されるAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車その他の輸送機器の構造体に要求される性能としては、1)強度、2)耐食性、3)破壊力学特性( 耐疲労亀裂伝播、破壊靱性など) などが挙げられ、最近の材料の開発動向としては、強度だけでなく、材料の製造から部材の組立、運用も含めた総合的な評価が行われている。
【0003】
高強度アルミニウム合金としては、従来からAl−Cu−Mg系(2000系) あるいはAl−Zn−Mg−Cu系(7000系) のアルミニウム合金が知られているが、これらの合金は強度面では優れているものの加工性、耐食性が必ずしも十分ではない。また、押出性が劣り、押出時に熱間割れが生じるため押出速度を、例えば1m/min以下にしなければならず、製造原価を増大させる原因となっている。また、ポートホールダイスやスパイダダイスを用いて中空形状に押し出す場合には、さらに押出性がわるく、押出圧力の低い実機押出機による押出成形は困難であり、そのためソリッド形状のものを組合わせて中空状の構造材とするなど、適用範囲が限定されている。
【0004】
一方、Al−Mg−Si系(6000系) のアルミニウム合金は、一般的に、強度面では上記高強度アルミニウム合金に劣るが、耐食性や押出加工性の面で優れており、速い速度での押出加工が可能で、製造原価も低減でき、ポートホールダイスやスパイダダイスを用いて中空形状に押出加工することも一般的に行われている。このことから6000系合金と同等の押出加工性をそなえた高強度アルミニウム合金を得るために、6000系アルミニウム合金の強度特性を改良して2000系、7000系合金と同等の強度を得ようとする試みが行われており、従来の6061合金より高強度が得られる6013合金、6056合金、6082合金などが開発されている。
【0005】
自動車、車両、航空機などの輸送機器の構造体は、優れた強度特性を要求されることは勿論であるが、使用中に厳しい腐食環境に曝されることがあるため耐食性に優れ腐食環境下で疲労破壊などを生じないものでなければならない。従って構造体用材料は、これらの特性をバランス良く具備していることが必要である。また、これらの特性については、技術の高度化により僅かの差異でも無視できない重要性を持つ場合もあり、いずれかの特性が少しでも劣ると材料としての総合的な評価が得られない。このような観点から上記の6000系アルミニウム合金をみた場合、とくに輸送機器用構造体の材料として適用する場合、必ずしも満足すべき性能をそなえているとはいえない。
【0006】
発明者の1人は、本発明の発明者以外の発明者と共同で、先に、6000系アルミニウム合金の特性の改良を目的として、Si:0.5〜1.5 %、Mg:0.9〜1.5 %、Cu:1.2〜2.4 %で、条件式、3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Cu%/2≦Mg%≦(Cu%/2)+0.6 を満足するSi、MgおよびCuを含有し、さらにCr:0.02 〜0.4 %を含み、且つ不純物としてのMnを0.05%以下に制限し、残部アルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有し、輸送機器の外板や構造材として好適な耐食性に優れた高強度アルミニウム合金を提案した。( 特開平8-269608号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記提案された高強度アルミニウム合金の押出特性について実験、検討を加えた結果、当該アルミニウム合金の成分組成をさらに特定し、好ましくは特定の押出条件を適用することにより、2000系合金、7000系合金では困難であった中空押出材の製造を容易に行うことができることを見出したことに基づいてなされたものであり、その目的は、2000系合金、7000系合金と同等の強度をそなえ、6000系合金と同等の耐食性を有し、実機ベース、実生産ベースの速度での製造を安定して行うことができる強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法においては、Si:0.5〜1.5 %、Mg:0.9〜1.6 %、Cu:1.2〜2.5 %で、条件式、3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Mg%+Si%≦2.7 、2 ≦Si%+Cu%≦3.5 、Cu%/2≦Mg%≦(Cu%/2)+0.6 を満足するSi、MgおよびCuを含有し、さらにCr:0.02 〜0.4 %を含み、且つ不純物としてのMnを0.05%以下に制限し、残部アルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金を適用する。上記のアルミニウム合金は、さらにZn :0.03 〜 2.0 %を含有することもできる。
【0009】
請求項1による強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法は、上記の組成を有するアルミニウム合金のビレットを、500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、押出時のビレット温度をT( ℃) 、押出速度をV(m/min) とした場合、押出時のビレット温度Tが350 〜550 ℃の範囲において、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60の条件を満足する押出速度で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形を行うことを特徴とし、請求項2による強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法は、前記熱間押出成形後、5 ℃/s以上の昇温速度で500 〜580 ℃の温度域に加熱、保持する溶体化処理を行い、ついで10℃/s以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特徴とする。
【0010】
また、請求項3による強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法は、上記の組成を有するアルミニウム合金のビレットを500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、押出時のビレット温度をT( ℃) 、押出速度をV(m/min) とした場合、押出時のビレット温度Tを350 〜550 ℃の温度範囲として、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60の条件を満足する押出速度で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形し、押出し直後の押出材を10℃/s以上の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特徴とする。
【0011】
本発明のアルミニウム合金における各成分添加の意義および限定理由について説明すると、SiはMgと共存して微細な金属間化合物Mg2Siを形成して合金の強度を高める。Siの含有量が0.5 %未満では十分な強度が得られず、1.5 %を越えて含有すると合金の耐食性が低下する。従ってSiの含有範囲は0.5 〜1.5 %が好ましい。より好ましくは0.7 〜1.2 %の範囲とする。
【0012】
MgはSiと共存してMg2Siを析出させ、またCuと共存して化合物CuMgAl2を微細析出させることにより合金の強度を向上させる。Mgの含有量が0.9 %未満では十分な効果が得られず、1.6 %を越えると耐食性が低下する。従ってMgの含有範囲は0.9 〜1.6 %が好ましい。より好ましくは1.0 〜1.2 %の範囲とする。
【0013】
CuはSi、Mgと同様、合金の強度向上に寄与する元素である。含有量が1.2 %未満では効果が十分でなく、2.5 %を越えて含有すると合金の耐食性が低下し、押出時の変形抵抗が高くなり中空押出において押し詰まりが生じ易い。従ってCuの含有範囲は1.2 〜2.5 %が好ましい。より好ましくは1.5 〜2.0 %の範囲とする。Crは、合金の組織を微細化して成形性を向上させるとともに、耐食性向上に寄与する。好ましい含有範囲は0.02〜0.4 %で、0.02%未満ではその効果が十分でなく、0.4 %を越えると粗大な金属間化合物が形成し易くなり成形性が低下する。
【0014】
Mnは、結晶粒を微細にして合金強度を向上させるが、Mn系の金属間化合物が生成し、このMn系化合物が孔食の起点となって腐食を促進するから、本発明においては、Mnを0.05%以下、好ましくは0.02%以下、さらに好ましくは0.01%以下に制限することが重要である。
【0015】
本発明のアルミニウム合金は、上記のように、Si、Mg、Cuを必須成分として含有するものであるが、これらの成分については、条件式、3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦4 、Mg%≦1.7 ×Si%、Mg%+Si%≦2.7 、2 ≦Si%+Cu%≦3.5 、Cu%/2≦Mg%≦(Cu%/2)+0.6 を満足することが必須の要件となり、この条件で合金材料の耐食性を低下させることなく、合金に強度、中空押出材の製造を可能とする押出成形性を与える金属間化合物の好ましい分散状態が得られる。Si、Mg、Cuの合計含有量が3 %未満では化合物の好ましい分散が得難く、4 %を越えると合金の耐食性を劣化させる。また、MgとSiの量的関係をMg%≦1.7 ×Si%、Mg%+Si%≦2.7 、SiとCuの量的関係を2 ≦Si%+Cu%≦3.5 、MgとCuの量的関係をCu%/2≦Mg≦(Cu%/2) +0.6 とすることによって、金属間化合物の生成量、分布状態が制御され、合金にバランスの良い強度特性、押出加工性、耐食性を与えることができる。
【0016】
選択成分として添加するZnは、金属間化合物を形成して、合金の結晶粒度を微細にするとともに合金の強度を向上させる。好ましい添加量は0.03〜2.0 %である。Znの添加量が下限未満ではその効果が小さく、上限をこえて添加されると、粗大な金属間化合物の生成が増加し、成形性、耐食性が劣化する。なお、本発明においては、通常のアルミニウム合金と同様、鋳造組織を微細化して鋳塊割れを防ぎ、成形性を向上させるために、0.005 〜0.1 %のTi、1 〜50ppm のBを添加しても、本発明の特性に影響することはない。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のアルミニウム合金中空押出材の好ましい製造方法について説明すると、上記組成のアルミニウム合金の溶湯を、例えば半連続鋳造により造塊し、得られた押出用ビレットを500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理する。均質化処理温度が500 ℃未満では、鋳塊偏析の除去が十分でなく、強度に寄与するMg2Si化合物やCuの固溶が不十分となり、強度および伸びが低くなる。
【0018】
ついで、押出時のビレット温度T( ℃) を350 〜550 ℃として、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60(但し、V:押出速度(m/min)) の条件を満足する押出速度で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形を行う。押出速度が上記の条件を満足しない場合は、押出機の圧力限界に達して押し詰まりが生じたり、押出材に割れが生じ易くなる。
【0019】
熱間押出成形後、5 ℃/s以上の昇温速度で500 〜580 ℃の温度域に加熱、保持する溶体化処理を行い、ついで10℃/s以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施す。溶体化処理における昇温速度が5 ℃/s未満では結晶粒が粗大化し易くT6処理後の伸びが低下する。保持温度が500 ℃未満では、析出物の固溶が不十分となり強度および伸びが低くなる。580 ℃を越えると、局部的な共晶融解により伸びが低下する。焼入れ処理時の冷却速度が10℃/s未満では、化合物が望ましくない分布状態に析出して延性が低下し、耐食性、強度、伸びを害する。
【0020】
本発明のアルミニウム合金材料は、焼入れ後室温時効した状態(T4調質)でも優れた伸びをそなえているが、好ましくは、焼入れ後に引張矯正を行い、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施す。熱処理温度が170 ℃未満では、所望の性能を得るために長時間の熱処理が必要となるから工業生産上好ましくなく、200 ℃を越える温度での熱処理は強度を低下させる。熱処理時間が2h未満では十分な強度が得られず、24hを越えると強度が低下し始める。
【0021】
本発明においては、また、上記の組成を有するアルミニウム合金のビレットを500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、押出時のビレット温度T(℃)を350 〜550 ℃の範囲の温度とし、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60の条件を満足する押出速度(m/min)で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形し、ダイクエンチを適用して押出し直後の中空押出材を10℃/s以上の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことによっても本発明所期の特性を有する中空押出材を得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
実施例1
半連続鋳造により表1に示すアルミニウム合金のビレット( 径:254mm) を製造し、このビレットを525 ℃の温度で8hの均質化処理した後、ビレットの加熱温度を480 ℃、押出速度を3m/minとして、ポートホールダイスを用いて中空断面形状に熱間押出成形( 押出時の最高荷重26MN、押出比55) を行った。押出断面の形状は、断面「日」字形とし、幅140mm 、高さ75mm、肉厚2mm 、2つの中空部の内側寸法はそれぞれ幅67mm×高さ71mm、コーナー部のRは2mm のものとした。この中空押出材には、上記2つの角筒状中空部の各壁部の中央部(それぞれ4か所)に形成される。
【0023】
ついで、中空押出材を530 ℃の温度で10分の溶体化処理後、水冷により焼入処理し、さらに180 ℃で6hの焼戻しのための熱処理を行いT6調質材とした。得られた中空押出材について、引張試験を行って引張性能( 引張強さ( σB) 、耐力( σ0.2)、伸び( δ) )を測定し、粒界腐食試験を行った。粒界腐食試験はJIS W 1103に従い、中空押出材を洗浄後、NaCl57g と30%H2O2を水で1lに調整した30℃の試験液に6 時間浸漬した後、腐食減量を測定した。試験結果を表2に示す。
【0024】
表2にみられるように、本発明に従う試験材はいずれも、優れた引張性能および耐食性を示す。中空断面内の溶着部(前記角筒状中空部の各壁部)には溶着線が観察されず良好な溶着状態を示していた。溶着部について押出方向と直角方向の引張試験を行ったが、溶着部で破断することがなく、溶着部は材料の強度より高い優れた強度を有していた。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
比較例1
実施例1と同一の工程、条件に従い、均質化処理後、ポートホールダイスを用い、2024合金、2014合金および7075合金について中空断面形状への熱間押出を行ったが、押し詰まりが生じ、中空押出材を得ることができなかった。
【0028】
比較例2
実施例1と同一の工程、条件に従い、表3に示す組成のアルミニウム合金について中空押出材を製造し、実施例1と同様にして引張試験および粒界腐食試験を行った。結果を表4に示す。なお、表3において、本発明の条件を外れるものには下線を付した。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
表4にみられるように、本発明の合金組成の限界および条件式を外れるものは、強度、成形性、あるいは耐食性が劣っている。試験材No.5は、Si、Mg、Cuの合計量が4 を越えるため、耐食性がわるい。試験材No.6はSi、Mg、Cuの合計量が3 未満のため強度が低い。試験材No.8〜9 はMgとCuとの関係式を満足しないため耐食性が劣る。試験材No.11 はCr量が少なく、試験材No.10 はMn量が限界値を越え、試験材No.12 はZnを多く含有するため、いずれも耐食性が劣っている。
【0032】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、強度、耐食性に優れ、実機ベースでの製造が可能なAl−Cu−Mg−Si系のアルミニウム合金中空押出材およびその製造方法が提供される。この中空押出材は、自動車など輸送機器の構造体として有用である。
Claims (4)
- 重量%(以下同じ)で、Si :0.5 〜 1.5 %、Mg :0.9 〜 1.6 %、Cu :1.2 〜 2.5 %で、条件式、 3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦ 4 、Mg%≦ 1.7 ×Si%、Mg%+Si%≦ 2.7 、 2 ≦Si%+Cu%≦ 3.5 、Cu% /2 ≦Mg%≦(Cu% /2 )+ 0.6 を満足するSi、MgおよびCuを含有し、さらにCr :0.02 〜 0.4 %を含み、且つ不純物としてのMnを 0.05 %以下に制限し、残部アルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金のビレットを500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、押出時のビレット温度をT( ℃) 、押出速度をV(m/min) とした場合、押出時のビレット温度Tが350 〜550 ℃の範囲において、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60の条件を満足する押出速度で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形を行うことを特徴とする強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法。
- 前記熱間押出成形後、5 ℃/s以上の昇温速度で500 〜580 ℃の温度域に加熱、保持する溶体化処理を行い、ついで10℃/s以上の冷却速度で100℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法。
- Si :0.5 〜 1.5 %、Mg :0.9 〜 1.6 %、Cu :1.2 〜 2.5 %で、条件式、 3 ≦Si%+Mg%+Cu%≦ 4 、Mg%≦ 1.7 ×Si%、Mg%+Si%≦ 2.7 、 2 ≦Si%+Cu%≦ 3.5 、Cu% /2 ≦Mg%≦(Cu% /2 )+ 0.6 を満足するSi、MgおよびCuを含有し、さらにCr :0.02 〜 0.4 %を含み、且つ不純物としてのMnを 0.05 %以下に制限し、残部アルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金のビレットを500 ℃以上融点未満の温度で均質化処理した後、押出時のビレット温度をT( ℃) 、押出速度をV(m/min) とした場合、押出時のビレット温度Tを350 〜550 ℃の温度範囲として、V≦(1/12)×T−31およびV≦-(1/9)×T+60の条件を満足する押出速度で、ポートホールダイスまたはスパイダダイスを用いて中空断面に熱間押出成形し、押出し直後の押出材を10℃/s以上の冷却速度で100 ℃以下の温度まで冷却する焼入処理を行った後、170 〜200 ℃で2 〜24h の熱処理を施すことを特徴とする強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法。
- 前記アルミニウム合金が、さらにZn:0.03 〜2.0 %を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の強度と耐食性に優れたAl−Cu−Mg−Si系合金中空押出材の製造方法。
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