JP3652799B2 - 豆腐生揚げの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は豆腐生揚げの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
豆腐生揚げは、豆乳に凝固剤を添加して凝固させた豆腐生地をフライすることによって製造されるものである。
豆腐生揚げの豆腐生地としては、絹ごし豆腐状、木綿豆腐状、摺り豆腐状のいづれの生地も用いることができる。上記の生地の製造には、従来の公知・慣用技術が用いられる。
さて、豆乳に添加される凝固剤としては、ニガリ(塩化マグネシウム、塩化マグネシウム含有物)、グルコノデルタラクトン(GDL)、スマシ粉(硫酸カルシウム)等が一般的に用いられ、特にニガリを用いた豆腐生地をフライした豆腐生揚げは、適度の甘味を有し美味なものとされている。
また、豆腐生地をフライする工程においては、そのフライ前に生地表面に付着したり、内部に遊離している水分を十分に除去してからフライが行われる。フライの条件としては、180〜200℃で2〜4分が一般的である。
【0003】
しかし、従来の豆腐生揚げおよびその製造方法では、様々な問題があった。
例えば豆腐生揚げはフライ・冷却後包装し、スーパーに陳列されるまでに、かなりの離水(ドリップ)が生じ問題であった。このドリップによって豆腐生地から吐き出される「水」には、味の成分(糖質等の呈味成分)が多量に含まれている。このため、消費者から見れば「豆腐生揚げは味気がない」といわれることがしばしばあった。また、その包装パック内に分離水が溜まることによって、「(新しいのに)製造後の日数がたっていて、腐敗しているのではないか」という誤解を受けることもあり、イメージダウンを招いている。
【0004】
こうしたドリップ防止対策として、以下の技術が検討されている。
(1) 十分に水切りをする。
(2) 豆乳濃度を高くする。
(3) 添加物(デンプンや多糖類)を添加する(特開昭51-62853号公報、特開昭61-139356 号公報、、特開平4-166053号公報等)。
(4) パックの底に水分吸収シートを敷く。
(5) 絹生揚げを水や溶液と共に包装する(特開平2-265452号公報)
(6) 包装パックを2重底にする(特開昭56-6774 号公報、特開昭63-1761 号公報等)。
(7) パックの底形状を波形にする(特開平2-269654号公報)。
(8) 生地表面に添加物を付着させる(特開平7-170932号公報)。
【0005】
上記の技術の中でも、とりわけ(1) の水切りが最も一般的に行われている。具体的には、豆腐生揚げの製造方法において、前記の「ドリップ」を回避する目的で、フライ前に冷蔵庫で絹ごし豆腐生地を軽い重石で押さえながら、数時間から一夜「水切り作業」を行うものである。これは前記の「ドリップ」を回避するばかりではなく、豆腐生地に含まれる遊離した水分が原因とされる「揚げ肌が悪い」、「衣がつきにくい」「フライ中に形崩れしやすい」「調理時煮崩れしやすい」との問題も回避することができる。
しかし、この「水切り作業」の操作には比較的多くの労力と時間が費やされ、したがって自ずと生産量が制約され、製品コストにも限界があった。よって、上記の「水切り作業」が大幅に短縮することができれば、時間当たりの生産量が数倍になり、多大な合理化をもたらすことができるといわれていた。
【0006】
また、上記の「水切り作業」によって、豆腐生地から吐き出される「水」には、味の成分(糖質等の呈味成分)の他、ミネラル、イソフラボノイド、サポニンなど健康によい成分も多く含まれている。よってこれらの有効な成分を含む「水」を廃棄してしまうことは、製造された製品は味気の無いものとなるばかりか、健康食品の代表的存在でもある豆腐製品の利点を失うものでもある。
さらに、上記の「水」の排出により、豆腐生地組織の水分が不足し、その断面には、かなり多くの「す」が観られ、キメが粗く細かい粒の集まったような肌で光沢もない。またその食感もパサパサした感じで味気がないものであった。さらに組織の強度も弱くなり、フライ工程や調理中の「崩れ」が生じ易い。
【0007】
また、前述の「ドリップ」を回避する目的で豆乳濃度を高くする方法では、単位大豆当たりの豆乳収率は下がり、大豆固形分の抽出は一層悪くなるので、製品収量は極端に悪くなり、経済的効果が極端に低くなる。
その他の方法においても「ドリップ」を回避するために十分な効果を得られるものはなかった。
【0008】
さらに、別の問題点として、フライ工程において、大豆中に含まれる糖分が高温により褐変反応を生じ、揚げ色が赤黒くなる傾向が強かった。個人的な趣向にもより異なるが、近年は、食品全般として淡色のものが好まれる。このことから、このように揚げ色が赤黒くなる傾向は、多くの消費者の獲得のために不都合であった。
【0009】
また、従来は、豆腐生地の調製には豆腐用に適した大豆を使用することが常識であった。特にニガリ100%で凝固させる場合、大豆の選定は重要であった。また大豆は、収穫後、貯蔵中に油や蛋白質の酸化によって劣化する。それに応じて大豆の品質が変動してくる。しかも、機械により豆腐生地を作る場合には、その製造条件がシステム化されているため、原料大豆としても、常に安定した性質のものを供給しなければならない。しかし、大豆のような農作物は、気候や生産農家の経営方針にその供給量が変動しやすく、それにより価格の変動も大きく生じる。豆腐用に適した国産大豆においては、その影響が顕著であった。
また、原料大豆ばかりではなく、豆乳抽出用の水の水質も豆腐の品質に影響を与える。
【0010】
また、豆腐生地づくりにおいては豆乳の煮沸装置や煮沸方法が異なるとその豆腐生地の物性(硬さ・保水性など)や味が異なることが知られている。たとえば大豆の炊き方が若炊きだと保水性が小さく、凝固させた後にドリップ(水抜け)しやすい製品になる等の問題がある。したがって豆乳の品質によって凝固条件(凝固剤種類、凝固剤量、凝固温度、凝固攪拌等)などを大幅にしかも試行錯誤で調整する必要があった。
これには、かなりの熟練と労力が必要であり、しかも大量生産を目的とした機械化製造への適用は困難を究めた。
尚、タンパク質又はペプチド鎖内のグルタミン残基とリジン残基との間にε−(γ−Glu)−Lys架橋結合を形成させる酵素であるトランスグルタミナーゼを大豆加工品に利用する技術が近年報告されている。
例えば、豆乳にトランスグルタミナーゼ及び凝固剤を添加してレトルト豆腐、油揚げ、冷凍豆腐等を製造する方法が報告されている。(特開平2−69155号公報、特開平2−100647号公報、特開平6−217729号公報参照)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、豆腐生揚げの製造方法において、従来の上記問題点を解決することを目的とするものである。
具体的には、フライ・冷却後包装してからの離水がなく、比較的多くの労力と時間が費やされる「水切り作業」も不要で、出来上がる製品の味、外観、強度ともに問題がなく、広範囲の原材料・製造条件を適用することができるため、製造コストが低く、大量生産を目的とした機械化製造にも適用することができる、豆腐生揚げの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来の欠点は、下記の構成により解決される。即ち、本発明は、
(1)豆乳に凝固剤を添加し凝固させて豆腐生地を調製したあとにフライする豆腐生揚げの製造方法において、豆乳に少なくともトランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤を添加し、80℃以下の温度で凝固後、熟成させることを特徴とする豆腐生揚げの製造方法、及び、
(2)トランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤と共に、糖類を添加することを特徴とする前記(1)記載の豆腐生揚げの製造方法である。
【0013】
本発明を用いれば、大豆そのものの味と凝固剤の味を逃がさず、おいしいく、また揚げ肌、揚げ色等の外観も美しい豆腐生揚げをつくることができる。
これは、トランスグルタミナーゼの作用により、豆乳中の大豆タンパクが緻密な三次元(編み目)架橋を形成し、これにより豆腐生地の保水力が向上し、うま味成分を含んだ「水」のドリップが無くなるためと考えられる。
また全般的に、豆腐生揚げは、大豆中の糖分などをかなり抱き込んでいる生地であるため、フライ中の褐変反応が起きやすいはずである。しかし、本発明の方法により製造された豆腐生揚げは、トランスグルタミナーゼによって、糖分がきめ細かい編み目に抱き込まれた形で、反応しにくくなり、揚げ色が付きにくくなるものと考えられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に用いる添加剤を以下に述べる。
a)トランスグルタミナーゼ
トランスグルタミナーゼ単品のもの以外にトランスグルタミナーゼ(以下、単にTGともいう)を含み、その他、「デンプンやデキストリン等の糖質」や「塩化ナトリウム、リン酸塩、硫酸カルシウム、塩化マグネシウムなど無機塩類」や「大豆粉末や分離大豆蛋白質やカゼインナトリウムなどタンパク質」を含んでいる製剤も利用することができる。
【0015】
トランスグルタミナーゼとしてはカルシウム非依存性のものとカルシウム依存性のものがある。前者の例としては微生物由来のもの(例えば、特開平1-27471号公報参照)をあげることができる。後者の例としてはモルモット肝臓由来のもの(特公平1ー50382号公報参照)、動物血液由来のもの(FactorXII1とも呼ばれる)、魚由来のもの(例えば、関信夫ら、日本水産学会誌第56巻第1号、125〜132頁、1990年参照)をあげることができる。この他、遺伝子組み換えにより製造されるもの(特開平1−300889号公報、特開平5−199883号公報、特開平6−225775号公報参照)など、いずれのトランスグルタミナーゼでも用いることができ、起源および製法に限定されることはない。但し、機能性及び経済性の点から、好ましくはカルシウム非依存性のものがよい。例えば、上述の微生物由来のトランスグルタミナーゼ(特開平1-27471 号公報)などはいずれの条件を満足するものであり、現時点では最適といえる。
TGの添加量は、生地や製品品質に応じて、適宜変化させることが可能であるが、通常豆乳1リットル当たり0.1〜100U(ユニット)、好ましくは1〜10U(ユニット)である。
【0016】
・トランスグルタミナーゼの活性測定
尚、本発明でいうトランスグルタミナーゼの活性単位は、以下ようにして測定され、かつ定義される。
即ち、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行い、生成したヒドロキサム酸をトリクロル酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmの吸光度を測定し、ヒドロキサム酸の量を検量線より求め、活性を検出する(特開平1-27471 号公報参照)
【0017】
b) 糖類
糖類としては、グルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース等の単糖類、ショ糖、ラクトース、トレハロース等の二糖類、前記単糖類からなるオリゴ糖、セルロース、デンプン、デンプン加水分解物、サイクロデキストリン等の多糖類、糖アルコール(ソルビトール)等、保水性を有する糖類が使用できる。豆腐生揚げに適したものとしては、フライ時の着色(褐変反応)を起こし難いもの、甘味の低いものが選ばれる。ただし好みによって着色を起こしやすい糖をブレンドして赤みを帯びた製品にすることもできる。豆腐生地の保水性を発揮するための糖類添加量は、豆乳に対して1〜10%程度が好ましく、甘味が強いと豆腐の味、凝固剤の味を隠してしまうので甘味度の低いものが選ばれる。
従って、実用的には、オリゴ糖(スタキオース、ラフィノース、トレハロース)、デンプン加水分解物、糖アルコールが好ましく利用できる。
尚、デンブンの具体例としては、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、コーンスターチ、小麦デンプン等の生デンプンやα化デンプンそれらの加工(精製・加熱・分解処理等)デンプン等の食用デンプンを利用することができる。
【0018】
c)豆腐用凝固剤
本発明でいう豆腐用凝固剤とは、ニガリ(塩化マグネシウム、塩化マグネシウム含有物)、スマシ粉(硫酸カルシウム)、GDL(グルコノデルタラクトン)など豆腐製造に一般に使われる凝固剤を利用できる。特にGDLは絹生揚生地の硬さを補強するが、揚げ色が赤くなるので、従来利用しにくい点があった。しかし本発明によればTGによる弾力と硬さの補強作用によって、GDLを用いても揚げ上がりの白い、綺麗な絹生揚を作ることが可能になった。
尚、ニガリの適温が60〜70℃であるのに対し、GDLは80〜90℃であるので、従来ニガリとGDLとを同時に使用するときには、自ずとどちらかの条件に偏り、もう一方の効果が発揮できないという問題があった。一方、TGは豆乳中では70℃以下なら反応し、特に60〜65℃で良く反応するのでニガリとの相性が最もよい。また、一般的に80〜90℃付近の高温より60℃近辺の凝固温度を用いることが、美味しい豆腐づくりの基本である。従ってある意味では、TGはGDLより美味しい豆腐生地・生揚げづくりに適した「凝固剤」といえる。
豆腐用凝固剤の添加量は、生地や製品品質に応じて、従来の豆腐製造に適用されている量の範囲内で適宜変化させることが可能である。
【0019】
d) 「豆乳」
本発明の方法に使用される豆乳は、通常の豆腐用豆乳であれば特に問題がなく、事前に乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の消泡剤を含む)やpH調製剤(炭酸カルシウムなど)等の品質改良剤を含んでいてもよい。
豆乳の濃度としては、12.0〜14.0%brix(固形分で10.5〜12.5%)が好ましい。豆乳濃度が12.0%brix以下では、衣が剥がれやすく、ドリップが多くなるため好ましくない。また14.0%brixを越えると単位大豆当たりの豆乳収量が少なくなり、生産コストが悪くなる。
【0020】
豆乳の温度としては、TGおよび豆腐用添加剤を添加して凝固させる際に80℃以下であれば構わない。これは80℃以下の豆乳にTGおよび豆腐用添加剤を添加して凝固させるようにしてもよく、また、充填豆腐を作る際のように、低温の豆乳にTGおよび豆腐用添加剤を添加した後に80℃以下になるように加温することもできる。
豆乳にTGおよび豆腐用添加剤を添加して凝固させる際の温度は80℃を越えない範囲であれば構わない。低温では従来の豆腐用添加剤による凝固反応は起こり難いので、通常60℃以上の温度で凝固反応を行わせるのが良い。しかしTGは凍結しない状態であれば凝固反応が起こることは、当業者に周知のことであるので、かなりの低温(例えば5℃)での反応も可能である。
【0021】
d) 「寄せる技術」
「寄せ(凝固)」の工程で用いられる型箱、攪拌方法、熟成等は従来公知の手法が用いられる。ただし、熟成においては、熟成時間にもよるが始めはTGを反応させるため、やや低温の70℃以下にして、後段階でTGを失活させるためやや高温の70〜90℃の温度で行うことが好ましい。このようにしてTG酵素を失活させることで、製品の貯蔵・流通で品質変化を抑えることができる。
なお、熟成工程においてTG酵素の失活が十分に行われなくとも、熟成工程後に蒸気加熱、ボイル加熱、通電加熱、マイクロ波加熱等の加熱を行うか、次工程のフライ工程により酵素失活をさせることもできる。
なお、本発明の方法により豆腐生揚げを作る際の豆腐生地としては、絹ごし豆腐状、木綿豆腐状、摺り豆腐状のいづれの生地も用いることができる。
【0022】
e) 「フライ」
フライ工程においては、従来の慣用されている技術・条件を適用することができる。通常は80〜220℃の間の一定温度で、1〜30min.フライされている。しかし、前述の如くTG酵素を失活させることも目的とした場合は、生地の内部まで十分に熱を加えさせるため、2〜数段の温度帯または温度勾配を設定してフライするか(例えば110℃,15min.の後、180℃,2min.のフライ)、通常よりも低温で長時間フライする(例えば160℃,15min.)ことが好ましい。低温で長時間行う場合は、自動の連続フライ装置では設置面積を多くとるが、フライ温度を低くできると油の交換時期が長くなるというコストメリットもある。
なお、フライ前に豆腐生地表面の水気を落とす必要があることは、当業者に周知のことである。
【0023】
【実施例】
以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
《実施例1》
〔TG添加液の調製〕
水1リットルにTG製剤(TG1%含有)4g(豆乳に対してTG製剤0.02%、豆乳1リットルに対して2ユニットに相当)を入れ、良く撹拌し溶かした。
〔デンプン添加液の調製〕
前記のTG添加液に、デンプン製剤600g(豆乳に対して3%)を入れ、泡立て器などで良く分散させた。また、豆乳に添加する直前に、再度良く分散させた。
〔豆腐用凝固剤〕
ニガリ原液(塩化マグネシウム含有物)160g(豆乳に対して0.8%)を用いた。
【0024】
〔豆腐生地作成〕
型箱(平箱400×400×160)に 65℃の濃度13%brix (固形分で11.5%wt)の豆乳20リットルを計り採り、スクリュー撹拌を使った方法で攪拌しながら、先ずTG製剤とデンプンの混合液(直前に良く再分散)を添加し、 0〜120rpmで数秒間十分均一になるまで攪拌した(スクリュー撹拌を使った方法は、特願平7-158109号の明細書も参照し得る)。次にそのまま攪拌しつつ、前記ニガリ原液160gを添加し62℃で凝固させた後、62℃で45分間熟成した。熟成後は、80℃のボイル槽で20分間保温し、TGの失活を行った。
〔豆腐生地のフライ〕
TG失活後、豆腐生地を切断し、板の上にしばらく(数分間から数時間)置いて、表面の水気を十分に落とした後、180℃で揚げ色を見ながら2分間フライした。
【0025】
〔豆腐生揚げ品質の評価〕
この実施例1により得られた豆腐生揚げは、離水がないため大豆のうま味とニガリの程よい甘味をもち、揚げ色が淡く、揚げ肌、断面などの外観も良く、適度な弾力と食感を持つものであった。
【0026】
《実施例2》
ここでは低温の豆乳に、TG製剤および凝固剤を添加して、湯浴や蒸し器で加熱して凝固・熟成させ豆腐生地を作る、従来のいわゆる充填豆腐式で豆腐生地を作り、フライにした豆腐生揚げの例を示す。
〔TG添加液の調製〕
水400mlにTG製剤(TG1%含有)20g(豆乳に対してTG製剤0.02%、豆乳1リットルに対して2ユニットに相当)を入れ、良く撹拌し溶かした。
〔デンプン添加液の調製〕
水5リットルに、デンプン製剤3kg(豆乳に対して3%)を入れ、泡立て器などで良く分散させた。豆乳に添加する直前に、再度良く分散させた。
〔豆腐用凝固剤〕
ニガリ原液(塩化マグネシウム含有物)800g(豆乳に対して0.8%)を用いた。
【0027】
〔豆腐生地作成〕
濃度13%brix(固形分で11.5%wt)、15℃に冷却した豆乳(加熱済み)100リットルを適当なジャケット式タンクに計り採り、先ず前記TG添加液を添加し、均一に混合する。そのまま室温または恒温槽で攪拌しつつ放置し、豆乳にある程度の粘度が高まれば、前記デンプン添加液を添加し充分攪拌した。次に、ニガリ原液800gを添加し、十分攪拌した。これらの添加物を含む豆乳を、従来の充填豆腐式で充填包装し、ボイル槽温度65℃で凝固させた後に、同温度で60分間熟成した。この後85℃で30分間、TGの失活をかねて更に熟成した。熟成が終わったら、冷却し、出荷製品とした。
【0028】
本実施例の製品は、「家庭でフライできる豆腐生揚げ生地」という形で市販する事ができる。調理に際し、生地(豆腐)をパックから出し、適当に切断し、板の上にしばらく置いて、表面の水気を落とし、普通の揚げもの料理のように、160℃〜180℃で揚げ色を見ながらフライすることができる。このように家庭や飲食店などの業務用で、面倒な豆腐の水切りをせず、簡単に豆腐生揚げを作ることができ、しかも作りたて、揚げたての味を味わえることが可能になった。
《実施例3〜7》
糖類を用いず、豆乳濃度、凝固条件を表1の様にした以外は、実施例1と同様の方法で豆腐生揚げを製造した。その評価を同じく表1に示す。尚、表1の実施例3〜7において、豆乳1リットル当たりのTG量は、それぞれ0(実施例3)、1(実施例4)、1(実施例5)、5(実施例6)及び5(実施例7)ユニットである。
【0029】
【表1】
Figure 0003652799
【0030】
《実施例8〜12》
糖類を用いず、ニガリに変えてスマシ粉を用い、豆乳濃度、凝固条件を表2の様にした以外は、実施例1と同様の方法で豆腐生揚げを製造した。その評価を同じく表2に示す。尚、表2の実施例8〜12において、豆乳1リットル当たりのTG量は、それぞれ0(実施例8)、1(実施例9)、1(実施例10)、5(実施例11)及び5(実施例12)ユニットである。
【0031】
【表2】
Figure 0003652799
【0032】
《比較例及び実施例13〜15》
糖類として表3の様にデンプンを使用した以外は、実施例1と同様の方法で豆腐生揚げを製造した。そのドリップ比を同じく表3に示す。なお、コントロールとして、デンプンおよびTGを添加してないものをドリップ100として示す。
【0033】
【表3】
Figure 0003652799
【0034】
TGのみを使用した場合はドリップ比が62.7と減少した。更にTGと生デンプンを併用した場合は3.1に、TGと加工デンプンを併用した場合は0.4と大きく減少した。
【0035】
【発明の効果】
トランスグルタミナーゼの作用により、豆乳中の大豆タンパクが緻密な三次元(編み目)架橋を形成し、これにより豆腐生地の保水力が向上し、うま味成分を含んだ「水」のドリップが無くなった。これにより、従来は冷蔵庫で豆腐生地を軽い重石で押さえながら数時間から一夜おこなうことが必要とされていた「水切り作業」を不要とすることができる。したがって自ずと生産量が制約され、製品コストにも限界があった水切り作業が大幅に短縮さたことにより、時間当たりの生産量が数倍になり、多大な合理化をもたらすことができるようになる。
また、うま味成分の他、ミネラル、イソフラボノイド、サポニンなど健康によい成分も含んだ「水」のドリップが無いため、健康に良く美味しい豆腐生揚げを作ることができる。
【0036】
また、保水性が向上しドリップが無くなり豆腐生地中に、水分が保持されることにより、その切断面は、膨化しておらず、「す」がなく、キメが細かい粒の集まったような肌で、光沢のない切断面をしている。本発明の方法によれば組織が緻密なので、非常に滑らかで艶のある切断面になり、見栄えもよく商品価値が高い。
さらに、コリッとした食感を出すことが可能である。
【0037】
また、従来の豆腐生揚げではかなり「す」が入り、煮物にすると型くずれするのが早かったが、本願発明の方法によれば、酵素(トランスグルタミナーゼ)によって大豆タンパク中に共有結合が起こり、豆腐生地の組織をより強固なものにすることができた。これは、デンプンによる増粘効果、ゲル化効果が相乗的に働いていることにもよる。これにより、特に鍋料理、煮物などの調理で、相当煮込んでも煮崩れしにくい。従来の絹生揚げを使った調理が極めて簡単になり、調理アイテムが広がるという利点を生む。
この豆腐生地の物理的強度の向上は、コリッとした食感や調理中の煮崩れの防止のみではなく、豆腐製造作業者が生地を取り扱う上で、生地の取り扱いが楽になり、フライにおいても型くずれしにくく大幅にロスを少なくできるという別の利点を生む。これは、機械化生産する上で生地の損壊に気をあまり使わず、量産できる安価なシステムを構築することを可能にする。
【0038】
また、豆腐生地は、大豆中の糖分などをかなり抱き込んでいる生地のため、フライ中の褐変反応が起きやすいはずであるが、本発明の方法によって製造される豆腐生揚げはトランスグルタミナーゼによって、糖分がきめ細かい編み目に抱き込まれているので、反応しにくくなり、揚げ色が付き難くすることができる。
【0039】
さらに、従来は、一定した原料品質、製造条件でおこなうことが必要とされていたが、本発明の方法では、今までは適さなかった大豆種類を選定して遜色のない製品を製造することが可能になった。たとえば、甘味はあるが、硬さが出ない大豆(外国産大豆、秋田大豆、大袖振、タチナガハ等)を使っても、品質のよい絹生揚げを製造することが可能になった。また従来油脂含量が多く豆腐にはあまり向かないと思われていた、安価な大豆を使用しても、比較的安定して良い品質の豆腐生揚げを生産することが可能で、原料コストの軽減を図ることが可能になった。
また大豆は収穫後、貯蔵中に油や蛋白質の酸化によって劣化し、それに応じて豆腐の品質が低下してくるが、本発明の方法では多少劣化した大豆でも、遜色のない絹生揚げを造ることが可能である。年間通しての製品変動を軽減できるようになった。
また製造水水質によっては硬さのでない生地になることもあったが、本発明の方法による豆腐生揚げでは、水質による影響をある程度補うことも可能になった。
【0040】
豆腐づくりにおいては豆乳の煮沸装置や煮沸方法が異なるとその豆腐の物性(硬さ・保水性など)や味が異なることが知られていて、豆乳の品質によって凝固条件(凝固剤種類、凝固剤量、凝固温度、凝固攪拌等)などを大幅にしかも試行錯誤で調整する必要があった。しかし、本発明の方法によれば、品質がある程度の範囲にあれば、さほど条件調整せずとも、遜色のない絹生揚げを製造することが可能になった。たとえば炊き方が若炊きだと保水性が小さく、ドリップの出やすい製品になりやすいが、本発明の方法ではその保水性をトランスグルタミナーゼ又はトランスグルタミナーゼとデンプンで補うことができるようになった。
【0041】
近年の豆腐製品は食感や風味の良いことから、高濃度(豆乳固形分11〜12%wt)の豆乳を使用しており、豆腐生揚げの生地についても同様に高濃度指向で製造されていたが、豆乳濃度が高濃度になれば、大豆当たりの豆乳収率は下がり、大豆固形分の抽出は一層悪くなるので、製品収量は極端に悪くなっていた。しかし本発明の方法によれば、比較的低濃度(豆乳固形分11%wt以下)でも絹生揚げ生地を製造することができる。それによって大豆当たりの豆乳収率は上がり、経済的効果は絶大である。
【0042】
以上のことをまとめると、本発明の豆腐生揚げ製造方法により、フライ・冷却後包装してからの離水がなく、比較的多くの労力と時間が費やされる「水切り作業」も不要で、出来上がる製品の味、外観、強度ともに問題がなく、広範囲の原材料・製造条件を適用することができるため、製造コストが低く、大量生産を目的とした機械化製造にも適用することができる。

Claims (2)

  1. 豆乳に凝固剤を添加し凝固させて豆腐生地を調製したあとにフライする豆腐生揚げの製造方法において、豆乳に少なくともトランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤を添加し、80℃以下の温度で凝固後、熟成させることを特徴とする豆腐生揚げの製造方法。
  2. トランスグルタミナーゼおよび豆腐用凝固剤と共に、糖類を添加することを特徴とする請求項1記載の豆腐生揚げの製造方法。
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