JP3649933B2 - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネトロンスパッタ装置に関し、さらに詳しくは、静止した矩形状の基板の表面に、該基板有効成膜面積よりも大きい矩形ターゲットを用いて、厚さや膜質の均一な薄膜を形成できるマグネトロンカソード電極を備えたマグネトロンスパッタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置製造用として大面積基板上に膜厚分布が均一でかつ均質な成膜が可能な装置が要求されている。その成膜装置としてマグネトロンスパッタ装置が多く使用されている。
【0003】
一般的なマグネトロンスパッタ装置の基本構成について、図14を用いて説明する。
【0004】
上記マグネトロンスパッタ装置は、真空室101内に成膜すべき基板102と、この基板102に対向して薄膜の母材であるターゲット103とが配置された構成となっている。
【0005】
上記ターゲット103は、冷却水等により冷却されたバッキングプレート104にインジウム等の低融点金属(ハンダ)(図示せず)で接合されており、このバッキングプレート104によりスパッタ時のイオン衝撃による温度上昇が抑制されている。
【0006】
上記バッキングプレート104の裏面側には、磁気回路105が設置され、ターゲット103の表面にトンネル状のポロイダル磁界を発生させるようになっている。
【0007】
上記磁気回路105によりトンネル状のポロイダル磁界が発生した状態で、ターゲット103に電源106により負電位が印加されると、ターゲット103表面がプラズマ中のイオンで衝撃される。このとき、γ作用により放出される二次電子がポロイダル磁界により捕捉されるので、トンネル状のポロイダル磁界に沿った閉じた環状(以下、レーストラック状と称する)の高密度プラズマが形成される。
【0008】
上記の高密度プラズマ中のイオンは、ターゲット103表面近傍に生成されるイオンシースの電界により該ターゲット103に向けて加速され、上記ターゲット103に衝突し、該ターゲット103を構成する物質を飛散させる。このとき、同時にγ作用により二次電子もターゲット103表面から放出される。
【0009】
上記ターゲット103の表面から飛散した粒子が該ターゲット103に対向する基板102の表面に付着、堆積することで薄膜が形成される。
【0010】
このマグネトロンスパッタ装置では、レーストラック状に局部的な高密度プラズマを発生することができるので高速成膜や基板の温度上昇の抑制が可能となっている。
【0011】
ところが、上記構成のマグネトロンスパッタ装置では、ターゲット103が局部的に消耗することを反映して、基板102に形成される薄膜の厚さや膜特性の面内分布が発生する。
【0012】
そこで、基板102上に形成される薄膜の厚さを均一にしたり、ターゲット103が均一に消耗して有効に利用されるための技術が種々提案されてきている。このような技術は、例えばスパッタによって膜を形成しようとする基板102が円形である場合と矩形である場合とに大別される。基本的には、どちらの技術においてもターゲット103を保持するバッキングプレート104裏面に配置される磁気回路105を意図的に移動させることでターゲット103を均一に消耗させ、かつ基板102上に形成される薄膜の膜厚や膜質の均一性を得ようとしている。
【0013】
つまり、基板102上に形成される薄膜の厚さを均一にしたり、ターゲット103が均一に消耗して有効に利用されるために、基板102が円形の場合には、磁気回路105をターゲット103表面にほぼ平行な面内で回転させればよく、また、基板102が矩形の場合には、磁気回路105をターゲット103表面にほぼ平行な面内で往復運動させればよい。
【0014】
ここで、膜を形成しようとする基板が矩形の場合に、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットを用いて基板表面に薄膜を形成するためのマグネトロンスパッタ装置について説明する。このマグネトロンスパッタ装置では、磁場発生手段である磁気回路をターゲット表面にほぼ平行な面内で往復運動させるようになっている。
【0015】
始めに、磁場発生手段である磁気回路ユニットが単一の磁気回路で構成されたマグネトロンスパッタ装置について、図15および図16を参照しながら以下に説明する。
【0016】
図15は、特開平6−10127号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置の成膜室要部断面図を示したものである。図16は、特開平9−31646号公報に開示されたマグネトロンスパッタ置の成膜室要部斜視図を示したものである。
【0017】
図15に示すマグネトロンスパッタ装置は、ターゲット112を表面に取り付けたバッキングプレート111の裏面側に一つの磁気回路で構成された磁気回路ユニットとしての磁石装置113が配設されている。この磁石装置113には、該磁石装置113をバッキングプレート111の裏面に沿って移動させる移動手段114が取り付けられている。
【0018】
このとき、磁石装置113は、高密度プラズマがターゲット112の一端部と他端部との間で各端部においてはみ出すようになるまで移動する。また、スパッタ時には、ターゲット112の各端部においてプラズマが不安定とならぬよう光照射による励起や熱電子供給が行われる。
【0019】
また、図16に示すマグネトロンスパッタ装置は、ターゲット(図示せず)が取り付けられたバッキングプレート215の裏面に矢印方向に移動可能な一つの磁気回路で構成された磁気回路ユニットとしての磁場発生手段211が配置されている点で、図15で示したマグネトロンスパッタ装置と同様の構成であるが、バッキングプレート215のターゲット取り付け面とは反対面にリブ215aを設け、これと機械的に干渉せぬように磁場発生手段211に逃げを設けている点で異なる。
【0020】
このように、バッキングプレート215にリブ215aが設けられていることで、該バッキングプレート215を厚く形成することなく、機械的強度を確保することができる。
【0021】
また、スパッタ対象となる基板の大型化に伴い、バッキングプレート215を大きくする場合、大気圧により該バッキングプレート215上のターゲットが変形するのを防止するために厚くする必要があるが、上述のようにリブ215aを設けることにより、該バッキングプレート215を厚くすることなく、大気圧によるターゲットの変形を抑制することができる。
【0022】
さらに、大気圧によるターゲットの変形を抑制するために、特開平5−132774号公報には、磁場発生手段を収容する空間を真空排気する手段を備えたマグネトロンスパッタ装置が開示されている。このマグネトロンスパッタ装置では、図17に示すように、ターゲット309を取り付けたバッキングプレート304を薄くすることで磁場発生手段305とターゲット309表面とを近づけ、該ターゲット309表面で強い磁界を得ようとしている。
【0023】
続いて、磁場発生手段である磁気回路ユニットが複数の磁気回路で構成されたマグネトロンスパッタ装置について、図18(a)〜(c)ないし図22(a)〜(c)を参照しながら以下に説明する。
【0024】
図18(a)〜(c)および図19(a)〜(c)は、特開平6−192833号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置についての説明図である。
【0025】
図18(a)は、一組のターゲット401とバッキングプレート402に対して、それぞれの磁界強度が同じである磁気回路403a…を複数配置した磁気回路ユニット403が設けられているマグネトロンスパッタ装置の概略断面図である。
【0026】
図18(b)は、ターゲット401の両側部分に対応する磁気回路413aにおける磁界強度が該ターゲット401の中央部分に対応する磁気回路413bにおける磁界強度よりも強くなるように構成された磁気回路ユニット413が設けられているマグネトロンスパッタ装置の概略断面図である。
【0027】
図18(c)は、図18(b)に示すマグネトロンスパッタ装置と同様に、ターゲット401の両側部分に対応する磁気回路423aにおける磁界強度が該ターゲット401の中央部分に対応する磁気回路423bにおける磁界強度よりも強くなるように構成された磁気回路ユニット423が設けられているマグネトロンスパッタ装置の概略断面図である。
【0028】
図19(a)は、複数の磁気回路433a…と、各磁気回路433a間およびその周囲に磁気シールド434,435が形成された磁気回路ユニット433の平面図である。
【0029】
図19(b)は、図19(a)に示す磁気回路ユニット433により浸食された状態の矩形状のターゲット431の平面図である。ここでは、上記磁気回路ユニット433を静止した状態で該ターゲット431を浸食した状態を示しており、浸食部分431aはレーストラック状になっている。この場合、上記磁気回路ユニット433の各磁気回路433aの磁気強度はどれも同じとする。
【0030】
図19(c)は、図19(b)に示すターゲット431の断面図である。この場合、上記磁気回路ユニット433における各磁気回路433aの磁気強度が同じであるので、ターゲット431の各浸食部分431aの深さは同じとなっている。
【0031】
ところで、上記のように磁気回路ユニット433を静止させた状態では、磁気回路433aに対応した部分のみが浸食されることになるので、磁気回路ユニット433を、図19(b)に示すように、ターゲット431の長手方向を示す矢印X・Y方向に移動させれば、図19(c)の一点鎖線で示す浸食部分431bのようにほぼ均一にターゲット431を浸食することが可能となる。
【0032】
図20(a)(b)は、特開平8−134640号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置の磁場発生手段を示したものである。同図(a)は単一の磁気回路501aからなる磁気回路ユニット501の斜視図、同図(b)は複数の磁
気回路511a…を組み合わせた磁気回路ユニット511の平面図である。
【0033】
上記公報のマグネトロンスパッタ装置では、例えば図20(b)に示すように、磁気回路ユニット511を図示しない矩形状のターゲットの長手方向である矢印X・Y方向に往復移動させて該ターゲットの不均一消耗と、それにより引き起こされる薄膜の厚さ分布とを所望の範囲内に収めようとするとき、各磁気回路511aの外周部を構成する磁石部分512に対応するターゲット表面の領域では磁界強度を弱くする必要がある。
【0034】
このため、図20(a)に示す磁気回路ユニット501では、磁気回路501aの外周部を構成する磁石部分502の高さを中央部にある磁石部分503よりも低くすることで、該磁気回路501aの外周部に対応するターゲット表面の領域での磁界強度を小さくしている。
【0035】
一方、図20(b)に示す磁気回路ユニット511では、磁気回路511aの外周部を構成する磁石部分512と、その中心にある中心磁石513との距離(GA,GB)を大きくして、該磁気回路511aの外周部に対応するターゲット表面の領域での磁界強度を小さくしている。
【0036】
図21(a)(b)は、特開平8−199354号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置の磁場発生手段の側面図を示したものである。同図(a)は磁気回路ユニット601の長手方向に垂直な面を含む要部断面図を示し、同図(b)は磁気回路ユニット601の短手方向に垂直な面を含む要部断面図を示している。
【0037】
上記磁気回路ユニット601は、図21(a)に示すように、複数の磁気回路601a…で構成されており、それぞれの磁気回路601a同士の間隔を独立に調整できるようになっていると同時に、図21(b)に示すように、その長辺方向に自在に傾斜させることができるようになっている。
【0038】
これにより、磁場発生手段である磁気回路ユニット601を往復運動させてターゲット602の不均一消耗とそれにより引き起こされる薄膜の厚さ分布を所望の範囲内に収めようとした場合に、調整しきれないプラズマの非対称性による薄膜の厚さの不均一性を、磁気回路ユニット601の往復運動と連動して磁気回路601aを傾斜運動させることでプラズマの非対称性を補償するようになっている。
【0039】
図22(a)〜(c)は、特開平9−125242号公報に開示されるマグネトロンスパッタ装置を示したものである。同図(a)はマグネトロンスパッタ装置の成膜室700の要部断面図、同図(b)は成膜室700内に配置されたマグネトロンスパッタ装置の磁場発生手段702の平面図、同図(c)は磁場発生手段702を構成する5つの磁石ユニット703の磁極面とターゲット701との距離を調整してターゲット701表面での磁界強度を調整し、ひいては基板704上に形成される薄膜の厚さ分布を調整する場合の各磁石ユニット703の配置を示す断面図である。
【0040】
上記構成のマグネトロンスパッタ装置には、上述した図18(a)〜(c)および図19(a)〜(c)に示した特開平6−192833号公報に開示さるような磁場発生手段を構成する複数の磁気回路ユニットの、両端の磁気回路によりターゲット表面に発生させる磁界強度を強くするための磁気回路構成に加えて、中心に位置する磁石ユニット703によりターゲット701表面に発生させる磁界強度を強くする構成と、それに伴うターゲット701の不均一消耗を抑制するための磁石ユニット703の端部の構成とが開示されている。
【0041】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の各従来の構成では、以下のような問題が生じる。
【0042】
(A)図15と図16に示されたマグネトロンスパッタ装置では、単一の磁石ユニットにより磁場発生手段が構成されているので、基板上に形成される薄膜の厚さの均一性を図るために、磁石ユニットをターゲットの全幅にわたって往復移動させる必要がある。
【0043】
また、成膜速度を増加させるために、プラズマを発生させるための投入電力を増加させる必要がある。しかしながら、投入電力を増加させすぎると、ターゲットを衝撃するイオン電流密度が大きくなりすぎて、スパッタ作用を起こさせるグロー放電(γ作用による二次電子放出が放電維持に必要な電子供給源)から、アーク放電(熱電子放出が放電維持に必要な電子供給源)へと放電形態が変化してしまう。即ち、投入電力密度を一定値以上に大きくできない。
【0044】
したがって、上記の投入電力の増加による弊害の発生と、先に述べた磁石ユニットをターゲット全幅にわたって往復運動させる必要性とから、磁石ユニットの幅に対してかなり大きなターゲットを用いた場合には単一の磁石ユニットで得られるレーストラック状高密度プラズマに極端に多くの電力を投入することができず、装置性能を向上させる目的で成膜速度を向上させるのにも限界がある。
【0045】
さらに、基板上に形成される薄膜の厚さ分布を均一にするために、磁石ユニットの往復運動の速度をターゲットとの相対位置によって制御する必要があり、複雑な制御系を必要とする。
【0046】
(B)図16に示されたマグネトロンスパッタ装置において、バッキングプレ−ト215にリブ215aを設ける点については、ターゲットをバッキングプレート215にインジウム等の低融点ハンダでボンディングする際に、以下の様な問題が発生する。
【0047】
通常、バッキングプレート215の材料には、スパッタリング中のターゲットヘのイオン衝撃によるターゲット温度の上昇を抑制するために熱伝導の良い銅系の材料が用いられる。ターゲットは、インジウム系の低温ハンダでバッキングプレート215にボンディングされ、その上で、バッキングプレート215を直接あるいは間接に冷却(通常は水冷)することにより冷却される。
【0048】
ターゲットは、バッキングプレート215とは異なる材料(基板上に形成したい薄膜材そのものか、あるいは、反応性スパッタで薄膜を形成するための材料)であるので、大なり小なり熱膨張に差がある。この状態でインジウム系の低温ハンダ(融点150℃程度)でターゲットとバッキングプレート215をボンディングすると、熱膨張の差のために全体として反りが発生してしまう。バッキングプレート215の材料をターゲットと同等の熱膨張であるものとし、一方で熱伝導を犠牲にしつつ反りを解消しようとする試みも見られるが、素材のコスト、加工のコストという観点から好ましくはない。
【0049】
また、図16に示されたマグネトロンスパッタ装置では、ターゲットのボンディングに伴う該バッキングプレート215の反りをも軽減できるが、実際にはボンディング時の熱履歴と熱膨張の差による熱応力はそのまま残るのでターゲット表面には大きな応力がかかった状態となってしまう。特に、ターゲットが銅系統の材料よりも熱膨張が小さいセラミック材料である場合には、ターゲット表面に大きな引っ張り側の応力が残る結果となりターゲットの機械的強度の為には好ましくない。
【0050】
尚、リブのない平板型のバッキングプレートを使用する場合には、ターゲットのボンディング工程の温度下降時に、適当な温度において積極的にバッキングプレートをたわませた形態をある時間維持することで、インジウムハンダの塑性流動を起こさせ、熱応力を緩和しつつターゲット全体としての反りを小さくするという処理を施すこともできる。しかしながら、上述のようにバッキングプレートにリブがあれば、この処理での自由度が減少してしまう。
【0051】
さらに、図16のマグネトロンスパッタ装置を開示した公報には、バッキングプレート215を薄くすることの目的としてその重量を軽くすることのみが記載されているにすぎず、ターゲット表面の磁界強度に関する記述はない。
【0052】
(C)図17に示されたマグネトロンスパッタ装置では、磁場発生手段305を収容する空間の圧力を規定しておらず、また磁場発生手段を収容する空間の外壁や磁場発生手段305あるいは磁場発生手段駆動機構の電位を規定していないので、ただ単に大気圧との圧力差を小さくするために磁場発生手段を収容する空間を排気してしまうと、その空間内での幾何学的配置と各部品の電位によってはバッキングプレート304と磁場発生手段305や磁場発生手段移動機構等との間で放電してしまい、スパッタリングのために投入された電力が損失するだけでなく、機構上の障害を誘発してしまう。
【0053】
ここで、「ただ単に」とは磁場発生手段305を収容する空間を排気するに際して、大気圧との圧力差によるバッキングプレート304の変形だけを考慮した場合の排気の程度という意味で使用している。したがって、上記の磁場発生手段305を収容する空間を排気するための排気ポンプは、油回転ポンプやあるいは油回転ポンプとメカニカルブースターポンプを組み合わせた様な数Pa程度まで排気できるものが用いられる。このようなポンプは、機器のコストや維持管理の観点からも好んで選択される。
【0054】
しかしながら、排気ポンプとしてこれらのものを使用した場合には、磁場発生手段305を収容する空間は数Pa程度の圧力にしかならず、磁場発生手段305や磁場発生手段駆動機構等の電位がターゲット309やバッキングプレート304と同一でなく、例えば接地されていたとすれば、スパッタするためにターゲット309がボンディングされたバッキングプレート304に高電圧が印加されたときには前記のようなターゲット309表面だけでない不要な放電が発生してしまう。
【0055】
これを回避するために、磁場発生手段を収容する空間を排気するに際して、その到達圧力が10-3Pa程度よりも低くなるような例えばターボ分子ポンプやクライオポンプを使用すると、コスト的に不利である。
【0056】
(D)図18(a)〜(c)ないし図22(a)〜(c)で示したマグネトロンスパッタ装置では、個々の具体的手段により得られる効果はそれぞれの公報に開示されるものが期待できる。しかしながら、磁場発生手段を構成する複数の磁石ユニットの寸法と磁場発生手段の往復運動の振幅とにおいて、「ターゲットの不均一消耗を抑制する」という目的に於いて未だ問題点を有している。
【0057】
図18(a)〜(c)および図19(a)〜(c)で説明した特開平6−192833号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置では、磁場発生手段の往復運動の振幅は一つの磁気回路ユニット403の短辺方向の幅とほぼ等しいとしている。また、往復運動は正弦波状に速度を変化させている。
【0058】
この時、図18(a)ないし(c)に示される磁気回路ユニット403を静止させた場合、ターゲット401は、例えば図23(a)に示される様な浸食状況になる。図において、凹状部分が浸食された部分を示す。
【0059】
そして、磁気回路ユニット403を往復運動させた場合の浸食状況は、図23(b)〜(e)のようになる。ここで、図23(b)〜(e)におけるP1からP4は、磁気回路ユニット403の往復運動した場合の振幅を示しており、徐々に振幅が大きくなっていることを示している。そして、図23(e)で示す振幅がP4のときに、磁気回路ユニット403の一つの磁気回路403aの短辺方向の幅とほぼ等しい状態となっている。即ち、ターゲット401は均一に浸食されるのでなく、浸食が進行する部分とさほど進行しない部分とが縦縞状に分布することになる。
【0060】
従って、ターゲット401の利用効率は最も浸食が進行する部分で定まってしまう。さらに、この状態に於いて基板上に形成される薄膜の厚さ分布はやはりターゲット401の浸食状況を反映して縦縞状の分布となる。
【0061】
(E)図20(a)(b)で説明した特開平8−134640号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置では、磁気回路ユニット511の往復運動の振幅が一つの磁気回路511aの短辺方向の幅の約半分に等しくなるように設定されている。また、磁気回路ユニット511の往復運動における速度は、正弦波状に変化させている。
【0062】
上記公報には、磁気回路ユニット511を静止させた時に得られるターゲットの浸食状況が開示されていないので、該磁気回路ユニット511を往復運動させて放電した場合のターゲット浸食状況は必ずしも明らかでないが、単一の磁気回路511aの寸法と各磁気回路511aの並ぴピッチが規定されていないことから、ターゲット浸食が均一に進行しているとは限らない。さらに、往復運動が正弦波状の速度変化を持つ分だけターゲットが高密度のプラズマに晒される時間に差があり、往復運動の振幅両端部分でターゲット浸食が進行しやすい。
【0063】
上記公報におけるターゲットの浸食状況の分布は、例えば図24に示すように、縦縞状の分布となっている。これは先に述べたターゲット利用効率と基板上に形成される薄膜の厚さ分布に関して程度は異なるものの同様の問題点を有していることになる。
【0064】
(F)図21(a)(b)で説明した特開平8−199354号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置では、磁気回路ユニット601の往復運動の振幅や速度変化について記載されていない。この公報では、複数の磁気回路601aが一体化された磁気回路ユニット601自体を往復運動させる機構に加えて、複数の磁気回路601aの互いの間隔を調整する機構、各磁気回路601aとバッキングプレート(ターゲット表面)との距離を調整する機構を備えた構成となっている。特に、後者については、各磁気回路601aの長辺方向で磁気回路ユニット601とバッキングプレート(ターゲット表面)との距離、即ち傾斜の程度を変化させられる構成としている。
【0065】
ところが、上記公報におけるマグネトロンスパッタ装置では、基板上に形成される薄膜の厚さ分布を調整する手段の一具体例を示しているにすぎず、装置構成として複雑になり、コストがかさむばかりでなく、可動部品が多くなってしまうので装置自体の信頼性を確保し難くなる。
【0066】
また、磁気回路ユニット601は、ほとんどの時間をバッキングプレート(ターゲット表面)に最も近づいた位置から離脱した位置で使用されることとなり、磁気回路ユニット601としての能力を十分に発揮できていない。
【0067】
(G)図22(a)〜(c)で説明した特開平6−192833号公報に開示されたマグネトロンスパッタ装置では、磁場発生手段702の往復運動の振幅は一つの磁石ユニット703の短辺方向の幅の約半分に等しいとしているが、特開平8−134640号公報と同じく、磁石ユニット703の並びピッチに関しては記述されていない。また、磁場発生手段702の往復運動の速度も開示の例では正弦波状となる。
【0068】
従って、必ずしもターゲット701の浸食が均一に進行するとは限らず、さらに、磁場発生手段702の往復運動が正弦波状の速度変化を持つ分だけターゲットが高密度のプラズマに晒される時間に差があり、往復運動の振幅両端部分でターゲット浸食が進行しやすい。
【0069】
本願発明は、上記の各問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、コスト的に有利な部品で構成された単純な機構を有し、投入される電力を有効にターゲットのスパッタに費やすことができて、なおかつターゲットの利用効率を高く保ち、基板上に形成される薄膜の厚さ分布を所定の範囲内に収めることが可能なマグネトロンスパッタ装置を提供することにある。
【0070】
【課題を解決するための手段】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、上記ターゲットに対してマグネトロン放電を行なうことにより、該ターゲットの表面に、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマを生成するプラズマ生成手段と、上記プラズマ生成手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、上記プラズマ生成手段は、上記ターゲットの表面に、該プラズマ生成手段の移動方向に沿って、それぞれ一つの閉じたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔と、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマにおけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔であって隣り合う異なるレーストラック状高密度プラズマに起因するライン同士の間隔とが略等しくなるようにレーストラック状高密度プラズマを生成し、上記駆動手段は、生成されたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔以下の大きさの振幅で上記プラズマ生成手段を等速で往復移動させることを特徴としている。
【0071】
上記の構成によれば、プラズマ生成手段が、上記ターゲットの表面に、該プラズマ生成手段の移動方向に沿って、それぞれ一つの閉じたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔と、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマにおけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔であって隣り合う異なるレーストラック状高密度プラズマに起因するライン同士の間隔とが略等しくなるようにレーストラック状高密度プラズマを生成するようになっている。これにより、プラズマ発生のために供給される電力が複数個のプラズマに分散されるので、電力密度を抑制することができ、アーク放電に至るような異常放電なく大電力供給が可能となって装置の性能としての成膜速度を増加させることができる。
【0072】
さらに、駆動手段が、レーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔以下の大きさの振幅で上記プラズマ生成手段を等速で往復移動させるようになっているので、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食が進行してしまうことをなくすことができる。
【0073】
したがって、上記構成のマグネトロンスパッタ装置によれば、コスト的に有利な部品で構成された単純な機構を有し、投入される電力を有効にターゲットのスパッタに費やすことができて、なおかつターゲットの利用効率を高く保ち、基板上に形成される薄膜の厚さ分布を所定の範囲内に収めることが可能となる。
【0074】
また、上記の構成によれば、レーストラック状高密度プラズマの間隔は、該レーストラック状高密度プラズマの最も密度の高い部分同士の距離であることで、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅が、上記のレーストラック状高密度プラズマの最も密度の高い部分同士の距離よりも小さく設定することができ、この結果、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食が進行してしまうことがない。
【0075】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、第1真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、上記ターゲットを支持するバッキングプレートの裏面側に配設され、該ターゲットの上記基板の対向面上に磁界を発生させる磁界発生手段と、上記磁界発生手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、上記磁界発生手段は、ターゲット表面に磁界を発生させる矩形状の磁石ユニットを、それぞれの長辺が互いに隣接するように、且つ同一極性を示すように複数個配置した複合磁気回路からなり、上記駆動手段は、上記一つの磁石ユニットによってターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインのピッチPに対して、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅SWが、SW≦Pの関係が成り立つように該複合磁気回路を移動させ、かつ、上記複合磁気回路における各磁石ユニットは、各磁石ユニットによって前記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインの間隔であって隣り合う異なる磁石ユニットに起因するライン同士の間隔が、上記ピッチPと等しくなるように配置されていることを特徴としている。
【0076】
上記の構成によれば、磁界発生手段が、ターゲット表面に磁界を発生させる矩形状の磁石ユニットを、それぞれの長辺が互いに隣接するように、且つ同一極性を示すように複数個配置した複合磁気回路からなることで、これらの複合磁気回路を発生源とするターゲットの表面上に、生成された磁界により収束された閉じたレーストラック状高密度プラズマを複数個得ることができる。
【0077】
これにより、プラズマ発生のために供給される電力が複数個のプラズマに分散されるので電力密度を抑制することができ、アーク放電に至るような異常放電なく大電力供給が可能となって装置の性能としての成膜速度を増加させることができる。
【0078】
さらに、駆動手段が、一つの磁石ユニットによってターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインのピッチPに対して、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅SWが、SW≦Pの関係が成り立つように設定されていることで、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食が進行してしまうことがない。
【0079】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁石ユニットは、ユニット中心に配置された中心磁石と、この中心磁石の周囲を囲むように、且つ中心磁石とは逆極性の磁極が対向するように配置された周辺磁石とで構成され、これら中心磁石と周辺磁石とにより上記ターゲット表面に発生させる磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行な部分のピッチPが、該磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるように形成されていることを特徴としている。
【0080】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁石ユニットは、ユニット中心に配置された中心磁石と、この中心磁石の周囲を囲むように、且つ中心磁石とは逆極性の磁極が対向するように配置された周辺磁石とで構成され、これら中心磁石と周辺磁石とにより上記ターゲット表面に発生させる磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行な部分のピッチPが、該磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるように形成されていることで、単一の磁石ユニットにより形成されるレーストラック状高密度プラズマのピッチもMW/2よりも大きくなる。
【0081】
したがって、隣接する磁石ユニットにおいて生成されるレーストラック状高密度プラズマとの距離を、個々の磁石ユニットにおいて生成される高密度プラズマのピッチ間隔と等しくなるように磁石ユニット間の隙間を調整して配置することができる。
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記複合磁気回路は、n個(n>1)の磁石ユニットからなり、各磁石ユニットは、
上記ターゲットの磁石ユニット並び方向の寸法をTWとしたときに、P=TW/(2×n+1)となるように設定されていることを特徴している。
【0082】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、複合磁気回路は、n個(n>1)の磁石ユニットからなり、各磁石ユニットが、各磁石ユニットによって前記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインの間隔であって隣り合う異なる磁石ユニットに起因するライン同士の間隔が、上記ピッチPと等しくなるように配置されていると共に、上記ターゲットの磁石ユニット並び方向の寸法をTWとしたときに、P=TW/(2×n+1)となるように設定されていることで、ターゲットをピッチP間隔で浸食させることが可能となる。
【0083】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁界発生手段は、上記ターゲットの基板対向面とは反対面側に設けられた第2真空室内に配置されていることを特徴としている。
【0084】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁界発生手段は、上記ターゲットの基板対向面とは反対面側に設けられた第2真空室内に配置されていることで、装置稼働状態においてターゲットがボンディングされたバッキングプレートはターゲット側の第1真空室(成膜空間側)とその裏面側の第2真空室(複合磁気回路側)の両面が真空排気状態となる。
【0085】
これにより、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートの両面には実質的に機械構造上影響を与えるような圧力差が無くなるので、バッキングプレートはターゲットとのボンディングや、装置へ取り付けるのに必要な機械的強度を持つ厚さでよく、大気圧に耐えるだけの強度を持たせる場合よりも薄くすることができる。
【0086】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記第2真空室内に配置された磁界発生手段および該磁界発生手段を駆動させる駆動手段と、該第2真空室自体とは、上記ターゲットおよび該ターゲットを支持するバッキングプレートと同電位に設定されていることを特徴としている。
【0087】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、第2真空室内に配置された磁界発生手段および該磁界発生手段を駆動させる駆動手段と、該第2真空室自体とは、上記ターゲットおよび該ターゲットを支持するバッキングプレートと同電位に設定されていることで、磁界発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた第2真空室の排気は油回転ポンプやあるいは油回転ポンプとメカニカルブースターポンプの組合のようないわゆる“粗引”程度であっても、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートに高電圧を印加してスパッタの為のマグネトロン放電を起こさせる際に、バッキングプレートと磁界発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた第2真空室あるいはその内容物との間で放電することがない。
【0088】
したがって、第2真空室を排気するためのポンプを前記のような粗引ポンプで済ますことができるので、高真空排気するための高価なポンプやそれを動作させるための各種バルブを含む排気系を必要としないので装置としてのコストを少なくできる。
【0089】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記複合磁気回路は、ターゲットの基板対向面の磁石ユニットの並び方向両端部が中央部に対して磁界が強く、上記磁石ユニットの並び方向に直交する方向両端部が中央部に対して磁界が弱くなるように調整されていることを特徴としている。
【0090】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、複合磁気回路は、ターゲットの基板対向面の磁石ユニットの並び方向両端部が中央部に対して磁界が強く、上記磁石ユニットの並び方向に直交する方向両端部が中央部に対して磁界が弱くなるように調整されていることで、ターゲットを均一に浸食させ、基板上の膜厚分布を補正することができる。
【0091】
したがって、磁石ユニットを、複合磁気回路に組み立てられた時に、ターゲット表面の磁石ユニット並び方向両端部で磁界が中央部に対して強くなるように調整することにより、ターゲット長辺に沿った部分のプラズマ密度を高め、磁界発生手段が往復移動を行う方向(ターゲット短辺方向)の膜厚分布を補正することができる。
【0092】
さらに、磁石ユニット並び直角方向端部で磁界を中央部に対して弱くすることにより、矩形状磁石ユニットの長辺方向端部(ターゲット短辺に沿った周辺部分)における高密度プラズマの密度を小さくし、磁界発生手段を往復移動した際にターゲット表面でのプラズマ滞在時間の差に基づくターゲット浸食進行速度を調整し、膜厚分布を補正することができる。
【0093】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに接着固定された磁石アッシーと、該磁石ユニットの全体のベースとなるベースヨークとで構成され、上記磁石アッシーは、上記磁石アッシーヨークに設けられた締結用穴を用いて、上記ベースヨークにボルトで締結され、上記締結用穴の直径は、上記ボルトの直径よりも大きくなるように形成されていることを特徴としている。
【0094】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに接着固定された磁石アッシーと、該磁石ユニットの全体のベースとなるベースヨークとで構成され、上記磁石アッシーは、上記磁石アッシーヨークに設けられた締結用穴を用いて、上記ベースヨークにボルトで締結されていることで、磁石ユニットにより発生する磁界のターゲット表面上での強度分布調整を、磁石アッシーとベースヨークとの間に補助ヨークを挿入した状態でのボルト締結により実現することができる。
【0095】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークの締結用穴は、上記磁石アッシーとベースヨークとを締結する際に、該磁石アッシーの位置がベースヨーク上で磁界発生手段の駆動方向に調整可能なように長穴に形成されていることを特徴としている。
【0096】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁石アッシーヨークの締結用穴は、上記磁石アッシーとベースヨークとを締結する際に、該磁石アッシーの位置がベースヨーク上で磁界発生手段の駆動方向に調整可能なように長穴に形成されていることで、複数の磁石ユニットを組み合わせた時において、レーストラック状高密度プラズマの磁石ユニット長辺方向に平行な部分の矩形短辺方向ピッチが等しくなるように微調整することができる。
【0097】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークとベースヨークの少なくとも一方は、磁石ユニットの長手方向端部が他の部分よりも薄く形成されていることを特徴としている。
【0098】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁石アッシーヨークとベースヨークの少なくとも一方は、磁石ユニットの長手方向端部が他の部分よりも薄く形成されていることで、磁石ユニット長手方向端部で磁界が中央部に対して特に弱くなるように調整することができる。
【0099】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、上記の課題を解決するために、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークとベースヨークとは、導電性の軟磁性材料で構成され、上記中心磁石と周辺磁石とは、導電性の磁石材料あるいは導電性材料を表面に被覆した磁石材料で構成され、上記磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに対して導電性接着剤で固定されていることを特徴としている。
【0100】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、磁石アッシーヨークとベースヨークとは、導電性の軟磁性材料で構成され、上記中心磁石と周辺磁石とは、導電性の磁石材料あるいは導電性材料を表面に被覆した磁石材料で構成され、上記磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに対して導電性接着剤で固定されていることで、磁界発生手段の支持を導電性物質で行い、必要な電気的接続を行うことにより複合磁気回路の磁石表面まで同電位とすることができる。
【0101】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について、図1ないし図13に基づいて説明すれば以下の通りである。
【0102】
本実施の形態に係るマグネトロンスパッタ装置は、図1に示すように、第1真空室を構成する成膜室1と、該成膜室1に隣接した第2真空室を構成するマグネット室2とを備えている。
【0103】
上記成膜室1には、表面に薄膜が成膜される基板3と、この基板3に対向し、該基板3表面に成膜される薄膜の母材となるターゲット4とが配されている。
【0104】
上記基板3は、成膜室1内に設けられた基板ホルダ5に膜形成面と反対面で装着されている。尚、基板3の基板ホルダ5への装着は、成膜室1内で行われる場合や前段階の真空室(図示せず)内で行われる場合、さらには、大気中で行われる場合等適宜選択されるものとする。
【0105】
上記ターゲット4は、成膜室1とマグネット室2との境界部分に配置されており、該成膜室1の底面を構成している。このターゲット4は、基板3との対向面と反対面側で上記マグネット室2の上面を構成しているバッキングプレート6に半田やインジウム等の低融点金属(図示せず)により接続されている。
【0106】
上記バッキングプレート6は、冷却水等により冷却される機構を有し、接続されたターゲット4がスパッタリング時に温度が上昇するのを抑えるようになっている。
【0107】
上記マグネット室2内には、上記バッキングプレート6に接続されているターゲット4の表面にトンネル状のポロイダル磁界を発生させるための磁界発生手段としての磁場発生機構7が配設されている。なお、磁場発生機構7の詳細な構成については、後述する。
【0108】
さらに、マグネット室2内には、磁場発生機構7を矢印A・B方向に等速で往復移動させる駆動装置8が設けられている。
【0109】
上記成膜室1は、上述したように第1真空室を構成していることから、図示しない排気ポンプにより、排気ダクト9を通して成膜室1の外部(図中矢印方向)に成膜室1内のガスを排気する機構と、成膜室1外部の図示しないガス供給源からガス配管10を通して該成膜室1内部にガスを導入する機構とを備えている。これらの機構により、成膜時に、成膜室1内は、0.01〜1Pa程度の圧力に設定される。
【0110】
また、マグネット室2は、図示しない排気ポンプにより、排気ダクト11を通してガスを該マグネット室2の外部(図中矢印)に排気する機構を備えている。この機構により、成膜時に、マグネット室2内も、連続排気され0.01〜1Pa程度の圧力に設定される。
【0111】
上記成膜室1およびマグネット室2は、上述のように0.01〜1Pa程度の圧力に設定すればよいことから、排気ポンプとして、メカニカルブースターポンプが使用される。
【0112】
例えば、上記成膜室1内の圧力は、成膜時(ガス導入時)、0.05〜1Pa程度の圧力に設定され、ガス導入がなければ、10-5〜10-4Pa程度の圧力に設定される。
【0113】
なお、上記マグネット室2は、大気圧が105 Pa程度であるので、ターゲット4の反り防止の為には100Pa程度の圧力で支障はない。
【0114】
上記構成のマグネトロンスパッタ装置において、上記マグネット室2と、駆動装置8と、磁場発生機構7と、バッキングプレート6とは電気的に同電位であるように接続されている一方、成膜室1は接地されているので、上記マグネット室2は電気的に短絡しないように絶縁材12・12を介して成膜室1に固定されている。
【0115】
さらに、上述の排気ダクト11は、絶縁フランジ13を介してマグネット室2に接続されている。
【0116】
また、上記成膜室1の両側部には、該成膜室1に隣接する図示しない他の機構と連結するためのバルブ14・14が設けられている。ここで、他の機構とは、例えば他の成膜室、ロードロック室、あるいは大気中の機構等である。したがって、成膜室1と該成膜室1にバルブ14により接続された他の機構との間では、該バルブ14の開閉により、同じ雰囲気にしたり、異なる雰囲気にしたりすることが可能となる。
【0117】
また、基板3の周縁部には、スパッタリング時にスパッタ薄膜が付着するのを防止するためのマスク15が設けられている。
【0118】
さらに、ターゲット4の周縁部には、スパッタリング時に該ターゲット4周囲の機構がプラズマにさらされるのを防ぐためのグラウンドシールド16が設けられている。
【0119】
また、バッキングプレート6には、負電位を印加するための電源17が接続されている。
【0120】
したがって、上記磁場発生機構7、バッキングプレート6および電源17により、ターゲット4表面に高密度のプラズマを生成するプラズマ生成手段を構成している。
【0121】
ここで、上記のマグネトロンスパッタ装置に備えられている磁場発生機構7について詳細に説明する。
【0122】
はじめに、磁場発生機構7の構成について簡単に説明する。
【0123】
上記磁場発生機構7は、図1に示すように、上記ターゲット4に対して平行な略平板状の支持部材7a上に複数の磁石ユニット30…が配設された複合磁気回路構造となっている。上記支持部材7aは、駆動装置8に固定されており、該駆動装置8によって矢印A・B方向に移動するようになっている。上記磁石ユニット30は、本マグネトロンスパッタ装置におけるマグネトロンカソード電極として用いられている。
【0124】
つまり、上記磁場発生機構7は、成膜時において、ターゲット4表面に、プラズマを収束させるプラズマ収束手段としての機能を有していることになる。
【0125】
上記の各磁石ユニット30は、上記磁場発生機構7の移動方向に直交する方向が長手方向となる矩形状をなしており、それぞれが略等間隔で上記支持部材7a上に配置されている。
【0126】
次に、上記磁石ユニット30を利用したマグネトロン放電について図2(a)〜(d)を参照しながら以下に説明する。なお、図2(a)〜(d)は、説明の便宜上、必要な部材のみを記載したものとなっている。
【0127】
上記磁石ユニット30は、矩形状をなし、図2(a)に示すように、中心磁石31と、該中心磁石31の周囲に略口状に形成された周辺磁石32と、上記中心磁石31と周辺磁石32とを固定するためのヨーク33とで構成されている。上記中心磁石31と周辺磁石32とは、上記ヨーク33に対して逆極性の磁極を対向させて固定されている。ここでは、中心磁石31はN極、周辺磁石32はS極がヨーク33に接した状態となっている。
【0128】
上記磁石ユニット30では、中心磁石31、周辺磁石32、およびヨーク33とで磁気回路を構成し、該磁石ユニット30の上方空間にポロイダル磁界を発生させている。つまり、磁石ユニット30では、図2(b)に示すように、磁力線34が周辺磁石32から中心磁石31に向かうポロイダル磁界を発生させている。
【0129】
なお、磁石ユニット30における磁力線34の形状や強さは、中心磁石31、周辺磁石32、ヨーク33の寸法や磁気特性で決定される。また、ヨーク33は、磁気飽和しないような寸法となっている。
【0130】
上記構成のマグネトロンスパッタ装置では、図2(c)に示すように、磁石ユニット30のヨーク33とは反対側の磁極面側にバッキングプレート6にボンディングされたターゲット4が配置されている。ここで、バッキングプレート6が銅のような強磁性体でない材料で製作され、また、ターゲット4も強磁性体でない材料からなるものであれば、磁石ユニット30は発生する磁力線34の形状を保ってターゲット4の表面に磁界を発生させる。
【0131】
また、磁石ユニット30は、図2(d)に示すように、ターゲット4の表面において長手方向のみならず短手方向にも磁力線34が形成される。そして、このときの磁力線34による磁界分布は、その形状から『トンネル状の磁界』あるいは『トンネル状のポロイダル磁界』と称される。つまり、磁石ユニット30は、ターゲット4の表面にトンネル状磁界を発生させることになる。
【0132】
ここで、上記マグネトロンスパッタ装置におけるスパッタリングについて以下に説明する。なお、ここではターゲット4が強磁性体でない場合について説明する。
【0133】
まず、図2(d)に示すように、ターゲット4表面にトンネル状の磁界が形成された状態で、該ターゲット4の表面側を真空排気し、Ar等の不活性ガスを導入して10-2〜10-1Pa程度の圧力で保持する。
【0134】
次いで、図2(c)に示すように、ターゲット4がボンディングされたバッキングプレート6に電源17より負電圧を印加して上記ターゲット4表面に向かう電界35を与えてグロー放電させる。
【0135】
このとき、ターゲット4表面がプラズマ中のイオンで衝撃され、このイオンの衝撃のγ作用により放出される二次電子がトンネル状の磁界に補足される。そして、ターゲット4表面上には、トンネル状の磁界に沿った細長い環状(以下、レーストラック状と称する)の高密度プラズマ36が形成される。
【0136】
続いて、プラズマ中のイオンはターゲット4表面近傍に生成されるイオンシースの電界により上記ターゲット4に向けて加速されて該ターゲット4に衝突し、ターゲット4を構成する物質を飛散させる。この時、同時にγ作用により二次電子もターゲット表面から放出される。ターゲット4表面から飛散した粒子が該ターゲット4に対向する基板3に付着、堆積することで薄膜が形成される。
【0137】
上記のレーストラック状の高密度プラズマ36は、ターゲット4の表面に磁界が平行な位置、すなわちターゲット4に垂直な磁界成分がゼロの位置で最も密度が高くなる。そして、この位置でターゲット4のスパッタリング作用による浸食が最も速く進行する。従って、ターゲット4上には、図2(d)に示すように、高密度プラズマ36に沿った形のレーストラック状の浸食領域37が生成されることになる。
【0138】
本発明のマグネトロンスパッタ装置に用いられる磁石ユニット30では、レーストラック状の浸食領域37の磁石ユニット30の短手方向の間隔が磁石ユニット30短辺方向の寸法MWの1/2以上となるように中心磁石31と周辺磁石32の寸法を決定している。
【0139】
従来の技術でも述べたように、単一の矩形状の磁石ユニット30をターゲット4に対して静止した状態でスパッタを継続すれば、ターゲット4が局部的に消耗されることを反映して、形成される薄膜の厚さや膜特性の基板3面内分布が発生する。そこで、基板3の上に形成される薄膜の厚さを均一にしたり、ターゲット4が均一に消耗して有効に利用することが必要となる。
【0140】
上記磁場発生機構7は、図3(a)(b)に示すように、ターゲット4表面上に複数のレーストラック状の高密度プラズマ36を生成するようになっている。ここで、磁場発生機構7は、7個の磁石ユニット30からなっているので、ターゲット4表面上に7個の高密度プラズマ36が形成される。
【0141】
それぞれの磁石ユニット30は、前記のようにレーストラック状の浸食領域37の間隔が該磁石ユニット30の短手方向の寸法MWの1/2以上となるように中心磁石31と周辺磁石32の寸法を決定してあるので、それぞれの磁石ユニット30の間にクリアランスCを保って磁石ユニット30を長辺が隣り合う形で並べ、隣り合う磁石ユニット30のそれぞれが形成するレーストラック状の高密度プラズマ36によって最もターゲット4の浸食が進行する部分、すなわち最もプラズマ密度が高い部分の間隔を、浸食領域37の磁石ユニット30の短手方向の間隔と等しくすることができる。以下の説明において、上記浸食領域37の磁石ユニット30の短手方向の間隔をピッチPとする。
【0142】
図3(a)に示す状態で、磁場発生機構7を静止させてマグネトロン放電を続ければ、ターゲット4は、高密度プラズマ36により形成されるレーストラック状の浸食領域37(図2(d))が等ピッチPで複数個並んだ状態に浸食される。
【0143】
しかしながら、上記構成のマグネトロンスパッタ装置では、磁場発生機構7をターゲット4に平行な面内で磁石ユニット30の短手方向に往復移動させる駆動装置8が設けられている。そこで、この駆動装置8により磁場発生機構7を等速で往復移動させ、さらにその振幅SWを高密度プラズマ36のピッチPと等しいかこれより小さく設定する。これにより、ターゲット4表面全体のレーストラック状の高密度プラズマ36にさらされる時間が平均化されるので、ターゲット4表面全体の浸食進行を均一化することができる。
【0144】
この時、磁場発生機構7が往復する方向のターゲット4の寸法TW(短手方向寸法)は少なくとも磁石ユニット30の数n(本実施の形態では、n=7)の2倍にピッチPを乗じたものより大でなければならない。実際には、ターゲット4の浸食が進行する部分は有限の幅を持つが、磁石ユニット30を静止させてマグネトロン放電を継続させても、磁石ユニット30自体の幅よりも外側におよぶことはないように、磁石ユニット30の中心磁石31と周辺磁石32の寸法が定められる。
【0145】
本発明の磁石ユニット30では、ピッチPが磁石ユニット30の短辺方向寸法MWの1/2以上となるように中心磁石31と周辺磁石32の寸法を決定してあるため、TW=P(2n+1)であるようにターゲット4の寸法TWを定めれば、往復移動方向の端部で浸食されない部分を大きくすることなくターゲット4を有効に使用することができる。
【0146】
さらに、上記磁場発生機構7の構成の詳細について、図4(a)(b)および図5(a)(b)を参照しながら以下に説明する。
【0147】
図4(a)は磁場発生機構7の平面図、図4(b)は同図(a)の磁場発生機構7の側面図である。また、図5(a)は図4(a)の要部40の拡大図、図5(b)は同図(a)の側面図である。
【0148】
磁場発生機構7は、図4(a)に示すように、7個の磁石ユニット30を配置した構成となっている。これら各磁石ユニット30は、図4(b)に示すように、該磁石ユニット30の長手方向端部側の中心磁石31および周辺磁石32の支持部材7aからの高さがそれ以外の中心磁石31および周辺磁石32よりも小さくなるように形成されている。
【0149】
上記中心磁石31および周辺磁石32は、複数のブロックに分割されている。例えば中心磁石31は、磁石ユニット30の長手方向端部の1ブロックのみを中心磁石31bとし、他のブロックを中心磁石31aと便宜上区別する。一方、周辺磁石32は、磁石ユニット30の長手方向端部において、長辺部分の1ブロッ
クを周辺磁石32b、短辺部分のブロックを周辺磁石32cと便宜上区別する。
【0150】
したがって、上記磁石ユニット30では、長手方向端部側の中心磁石31aと周辺磁石32bと周辺磁石32cとで構成される部分の厚みが、中心磁石31bと周辺磁石32aとで構成される部分の厚みよりも薄くなるように形成されている。この詳細な構成については、後述する。
【0151】
さらに、上記中心磁石31および周辺磁石32が取り付けられたヨーク33は、図5(b)に示すように、ベースヨーク41と、中心磁石31を取り付けるための中心磁石用磁石アッシーヨーク42と、周辺磁石32を取り付けるための周辺磁石用磁石アッシーヨーク43とで構成されている。
【0152】
上記中心磁石31が中心磁石用磁石アッシーヨーク42に接着固定され中心磁石用磁石アッシー44を構成し、上記周辺磁石32が周辺磁石用磁石アッシーヨーク43に接着固定され周辺磁石用磁石アッシー45を構成している。
【0153】
上記周辺磁石用磁石アッシー45には、ベースヨーク41に対してボルト46で締結するための締結用穴47が形成されている。つまり、周辺磁石用磁石アッシー45は、ベースヨーク41に対してボルト46で締結固定される。なお、中心磁石用磁石アッシー44は、図示されていないが、ベースヨーク41の裏面側から同じくボルトにより締結固定されている。
【0154】
また、周辺磁石用磁石アッシー45の締結用穴47は、上記ボルト46の直径よりも大きく、且つ該ボルト46で該周辺磁石用磁石アッシー45をベースヨーク41に固定する際に固定位置を微調整できるように長孔状に形成されている。つまり、複数の磁石ユニット30を組み合わせた時の、レーストラック状の高密度プラズマ36の磁石ユニット30の長手方向に平行な部分の矩形短手方向のピッチPがそれぞれ等しくなるように微調整することができる。
【0155】
さらに、中心磁石31と周辺磁石32は導電性の磁石材料であるか導電性の表面被覆(図示せず)が施され、かつ、磁石ユニット30の構成部材である中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45は、中心磁石31と周辺磁石32が中心磁石用磁石アッシーヨーク42および周辺磁石用磁石アッシーヨーク43に対して導電性接着材(図示せず)で固定される。これにより、中心磁石31と周辺磁石32の表面は電気的に中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45と同じ電位とするとができるので、磁石ユニット30までターゲット4がボンディングされたバッキングプレート6と同電位とすることができる。
【0156】
さらに、ベースヨーク41と、中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45は、磁石ユニット30長手方向端部で、いずれか、または双方が他の部分よりも薄くなるように形成されている。これにより、磁石ユニット30の長手方向端部での磁界が中央部に対して弱くなるように調整することができる。
【0157】
ここで、上記磁石ユニット30の長手方向端部と中央部との磁界強度を異ならせるための構成について、図6(a)〜(d)を参照しながら以下に説明する。図6(b)〜(d)は本発明のマグネトロンスパッタ装置のマグネトロンカソード電極に用いられる磁石ユニット30の各種の構成を該磁石ユニット30の長軸方向断面図である。また、図6(a)は磁石ユニット30の平面図である。
【0158】
磁石ユニット30は、前記のように中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45が磁石ユニット30の全体のベースとなるベースヨーク41に対して、ボルトで締結され、さらに、磁石ユニット30の構成部材でベースヨーク41と中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45が該磁石ユニット30長手方向端部30bで、いずれか、または双方が中央部30aよりも薄く形成されている。
【0159】
そして、磁石ユニット30により発生する磁界のターゲット4の表面上での強度分布を調整するためには、磁石ユニット30表面とターゲット4表面との距離を磁場発生機構7とバッキングプレート6との間隔により調整するようになっている。
【0160】
図6(b)に示す磁石ユニット30は、中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45の厚みは均一にし、ベースヨーク41の厚みを該磁石ユニット30の長手方向端部30bにおいて中央部30aよりも薄くなるように形成されている。これにより、磁石ユニット30表面とターゲット4表面との間で、磁石ユニット30の長手方向端部30bにおける距離を中央部30aにおける距離よりも長くなり、ターゲット4の表面における磁界強度が該磁石ユニット30の長手方向端部30bに対応する領域が中央部30aに対応する領域よりも小さくなる。すなわち、この磁石ユニット30は、該磁石ユニット30の長手方向端部30bで磁界強度を弱める構成となっている。
【0161】
また、図6(c)に示す磁石ユニット30は、図6(a)に示す磁石ユニット30と同様に、中心磁石用磁石アッシー44および周辺磁石用磁石アッシー45の厚みが均一となっている。この磁石ユニット30では、中央部30aの中央近傍を除く部分にベースヨーク41と周辺磁石用磁石アッシー45との間に補助ヨーク48が設けられている。なお、中心磁石用磁石アッシー44とベースヨーク41との間にも、図示しないが同じ厚みの補助ヨーク48が設けられている。これにより、磁石ユニット30の中央部分30aの中央近傍以外の領域の表面がターゲット4に近づくようになり、結果として、該ターゲット4の中央近傍の磁界強度がその両側部分よりも弱くなる。
【0162】
さらに、図6(d)に示す磁石ユニット30は、図6(b)に示す磁石ユニット30の中央部分30aの中央近傍にのみ上記補助ヨーク48が設けられている。これにより、磁石ユニット30の中央近傍表面のみがターゲット4に近づくようになり、結果として、該ターゲット4の中央近傍の磁界強度が他の領域に比べて強くなる。
【0163】
上記磁場発生機構7において、複合化する磁石ユニット30はすべて同じ寸法、同じ極性の磁極構成であっても良いが、通常全く同一の磁石ユニット30を複数個並べた場合には、磁場発生機構7より発生させられるターゲット4の表面上での磁界強度は磁石ユニット30の並び方向端部で弱くなるため、例えば両端の磁石ユニット30は中心磁石31と周辺磁石32の磁石ユニット30の並び方向寸法を増加させて磁界の均一性を得ることもできる。
【0164】
例えば図7に示すように、磁場発生機構7において、磁石ユニット30を複合化する際に、短手方向端部において、該磁場発生機構7の支持部材7aと磁石ユニット30との間に補助板49を設ければ、該磁場発生機構7によりターゲット4上に生成される磁界の、磁石ユニット30の並び方向端部において磁界強度を強めることができ、結果として、ターゲット4表面の磁界強度の均一化を図ることになる。なお、上記補助板49は、導電性材料であれば、軟磁性を有していなくても良い。
【0165】
ここで、図4(a)(b)で示した磁場発生機構7の実際の寸法について述べる。
【0166】
磁場発生機構7に適用されるターゲット4は、825mm×975mm×6mmの大きさであり、バッキングプレート6の厚さは19mmである。磁石ユニット30は7個(n=7)であるので、該磁場発生機構7の磁石ユニット30の並び方向の幅TW=825mmとなり、TW=(2×7+1)×Pより、ピッチP=55mmであるように各磁石ユニット30を配設した。
【0167】
また、磁石ユニット30を構成する中心磁石31と周辺磁石32は厚さ(磁化方向)が15mmのネオジウム系希土類永久磁石であり、残留磁束密度が1.35T程度のものである。両端の磁石ユニット30に属する中心磁石31と周辺磁石32は他の磁石ユニット30に属する中心磁石31と周辺磁石32よりも磁石ユニット30の並び方向寸法を増加させるように設計されている。
【0168】
これにより、7個の磁石ユニットが同一平面にある状態で磁石ユニット30の並び方向磁界強度分布を均一にすることができる。さらに、各磁石ユニット30の長辺方向端部では中心磁石用磁石アッシー44、周辺磁石用磁石アッシー45、ベースヨーク41ともに薄く形成した。
【0169】
以上のように、ターゲット4の浸食を略均一にするには、上述したように該ターゲット4表面の高密度プラズマ36のピッチPを磁場発生機構7において同じにする必要がある。
【0170】
上記磁場発生機構7において各磁石ユニット30同士のピッチPをそれぞれ同じにするには、上述したように、磁石ユニット30の短手方向の幅MWとピッチPとがP>MW/2の関係にあればよい。このことについて、図8(a)〜(c)および図9(a)〜(c)を参照しながら以下に説明する。図8(a)〜(c)は、P>MW/2の場合についての説明図、図9(a)〜(c)は、P<MW/2の場合についての説明図である。
【0171】
図8(a)に示すように、磁石ユニット30の短手方向の長さMWの1/2よりも、該磁石ユニット30が、図8(b)に示されるターゲット4の配置において、磁力線34がターゲット4の表面と平行になる位置同士の距離であるピッチPを大きく設定した場合、図8(b)に示すように、ターゲット4表面に形成される高密度プラズマ36の最もプラズマの高い部分同士の距離もピッチPとなる。
【0172】
したがって、P>MW/2に設定された磁石ユニット30を、長手方向で配置した場合、図8(c)に示すように、各磁石ユニット30間に隙間Cを設けることができる。この場合、上記隙間Cを調節することにより、隣接する磁石ユニット30同士の高密度プラズマ36間の距離を磁石ユニット30のピッチPと同じにすることができる。すなわち、磁石ユニット30を該磁石ユニット30の短手方向に並べた場合の高密度プラズマ36同士の間隔を全て同じにすることが可能となる。
【0173】
これに対して、図9(a)に示すように、磁石ユニット30’の短手方向の長さMWの1/2よりも、該磁石ユニット30’が、図9(b)に示されるターゲット4の配置において、磁力線34’がターゲット4の表面と平行になる位置同士の距離P’を小さく設定した場合、図9(b)に示すように、ターゲット4表面に形成される高密度プラズマ36’の最もを高い部分同士の距離もP’となる。ここで、MWを一定とすれば、P>P’の関係となっている。なお、上記磁石ユニット30’は、中心磁石31’、周辺磁石32’およびヨーク33’からなっている。
【0174】
したがって、各磁石ユニット30’の高密度プラズマ36’同士の距離を同じにしようとして、P’<MW/2に設定された磁石ユニット30’を、長手方向で配置しても、図9(c)に示すように、P’<MW/2となっていることから、各磁石ユニット30’を隙間無く配置しても磁石ユニット30’間の高密度プラズマ36’の距離P”は、距離P’よりも大きく(P’<P”)なり、磁石ユニット30’を該磁石ユニット30’の短手方向に並べた場合の高密度プラズマ36’同士の間隔を同じにすることができない。
【0175】
以上のことから、ターゲット4の浸食を均一にするには、磁石ユニット30の短手方向の幅MWとピッチPとがP>MW/2の関係にあればよいことが分かる。
【0176】
したがって、図10に示すように、ターゲット4の寸法のうち、複数個の磁石ユニット30を並べた方向の寸法TWと前記のレーストラック状の高密度プラズマ36の磁石ユニット30の長手方向に平行な部分の矩形短手方向のピッチPとが、P=TW/(2×n+1)となる関係を満たすように設計することができる。この状態で、磁場発生機構7が移動しないでスパッタリングを行った場合、ターゲット4は、図11(a)に示すように、ピッチPで並んだ部分が浸食されることになる。
【0177】
また、上記磁場発生機構7は、磁石ユニット30の並び方向に等速で往復移動するように構成されている。このときの磁場発生機構7の振幅SWは、レーストラック状の高密度プラズマ36の長辺部並びピッチPに対してSW≦Pなる関係とすることで、個々の高密度プラズマ36により浸食されるターゲット4表面部分が重なり合うことがないように設定されている。この場合、ターゲット4は、図11(b)に示すように、局所的にターゲット4の浸食が進行してしまうことがなく、略均一に浸食されている。
【0178】
以上のように、本願発明では、ターゲット4の浸食進行状況を完全に均一にすることが目的ではなく、あくまで基板3上に形成される薄膜の膜厚分布を所定の範囲内とし、かつターゲット4の利用効率を極力大きくすることが目的となっている。
【0179】
例えば、ターゲット4が無限大の大きさであれば、完全に均一に浸食進行させれば基板3上にも均一な厚さで薄膜が形成される。この場合、薄膜として基板3上に堆積するターゲット材料とターゲット4表面から取り去られたターゲット材料との比率はゼロとなる。これは、ターゲット4が無限大の大きさであるので、上記比率を示す分母が無限大となるためである。
【0180】
また、ターゲット4と基板3との面積が同じか小さければ、いくらターゲット4を均一に浸食進行させても基板3上に形成される薄膜の厚みは均一にならない。
【0181】
そこで、ターゲット4として、基板3の有効成膜面積よりもも若干大きなものを使用することが考えられる。この場合、ターゲット4は、基板3に対して辺の長さの比で1.2〜1.5倍の大きさ、好ましくは1.3〜1.4倍のものを使用する。
【0182】
この場合、ターゲット4の浸食進行をなるべく均一にするとともに、基板3に形成される薄膜を均一にするために該ターゲット4の周縁で浸食進行を中央部よりも速くするように磁場発生機構7が調整される。
【0183】
したがって、ターゲット4は、図11(c)に示すように、該ターゲット4の両端部の浸食進行がそれ以外の部分の浸食進行よりも進んでいるのが分かる。
【0184】
そして、磁場発生機構7を振幅SW≦Pにより磁石ユニット30の並び方向に往復移動させれば、ターゲット4は、図11(d)に示すように、周縁において若干浸食進行が進んでいるものの全体としてはほぼ均一に浸食されていることが分かる。
【0185】
このように、ターゲット4の大きさは有限であるので、薄膜として基板3上に堆積するターゲット材料と、該ターゲット4表面から取り去られたターゲット材料との比率はゼロとはならず、通常、ターゲット4表面から取り去れるターゲット材料の量の50%程度が基板3上に堆積することになる。
【0186】
さらに、ターゲット4の浸食される部分の体積の新品ターゲット母材体積に占める割合は20〜30%、多くても60%程度なので、実際に基板3表面に堆積されるターゲット材料は、新品のターゲット4そのものの多くとも30%程度にしかならない。
【0187】
このように、ターゲット4の浸食進行状況に重みをつけることにより、基板3に形成される薄膜の膜厚分布を調整することができ、且つターゲット4そのものの使用効率を高めることができる。
【0188】
具体的には、例えば磁石ユニット30が磁場発生機構7に組み込まれる時に、ターゲット4表面の磁石ユニット30の並び方向両端部で磁界が中央部に対して強く、磁石ユニット30の並び直角方向端部で磁界が中央部に対して弱くなるように、それぞれ中心磁石31・周辺磁石32・ヨーク33の寸法を調整する。これにより、ターゲット4を均一に浸食させることが可能となり、基板3上の薄膜の膜厚分布を補正することができる。
【0189】
例えば図12および図13に示す3次元グラフは、ターゲット4表面が均一に浸食されていくと仮定し、さらにスパッタ粒子の放出密度がターゲット4表面の法線方向に対してなす角度の余弦に比例する場合に、余弦則に基づいて基板3表面に形成される薄膜の膜厚分布シミュレーションを行った結果を示している。
【0190】
上記3次元グラフでは、ターゲット4は基板3に対して辺の長さで1.5倍の相似形とし、基板3は、短辺550mm、長辺650mmの大きさとした場合についての結果を示している。
【0191】
ここで、図12および図13の3次元グラフ横軸上の数値は、それぞれ基板3の各辺の中心からの距離を示している。つまり、基板3の短辺方向に対応する軸には−270mmから+270mmまで、長辺方向に対応する軸には−320mmから+310mmでの数値が記載されている。また、縦軸は、基板3表面に形成される薄膜の相対的な膜厚分布を示している。この縦軸上の数値は、( Tmax +Tmin)/2を中心膜厚(分布で0)とする基板3面内一での膜厚のずれを示している。また、上記縦軸の値Zを数式で示せば、以下のようになる。
【0192】
Z={Tlocal −( Tmax +Tmin)/2}/{(Tmax +Tmin )/2}×100
ここで、Tmax は面内最大膜厚、Tmin は面内最小膜厚、Tlocal を各位置での膜厚とする。
【0193】
通常、膜厚分布は、±(Tmax −Tmin )/(Tmax +Tmin )を百分率で表した数値で評価する。上記の数式において、Tlocal にTmax またはTmin を代入した値に相当する。
【0194】
基板3表面に形成される薄膜の膜厚分布の程度は該基板3とターゲット4との間隔にも依存するが、上述したように、基板3に対してターゲット4は無限に大きくはないことを反映して、図12に示す3次元グラフのように、基板3の周縁部、特に4角において膜厚が薄くなる。
【0195】
これを補正するために、ターゲット4の周縁部で浸食進行が速い(スパッタ粒子の放出密度が大きい)余弦則に基づいた膜厚分布シミュレーションを行った結果、図13に示す3次元グラフとなった。この3次元グラフから基板3の周縁部での膜厚の落ち込みが補正されていることが分かる。
【0196】
従って、磁石ユニット30を磁場発生機構7に組み込む時に、ターゲット4表面の磁石ユニット30の並び方向両端部で磁界が中央部に対して強くなるようにすることにより、ターゲット4の長辺に沿った部分のプラズマ密度を高め、該磁場発生機構7が往復移動を行う方向(ターゲット4の短辺方向)の膜厚分布を補正することができる。
【0197】
さらに、磁石ユニット30の並び直角方向端部で磁界を中央部に対して弱くすることにより、矩形状の磁石ユニット30の長辺方向端部(ターゲット4の短辺に沿った周辺部分)における高密度プラズマの密度を小さくし、磁場発生機構7が往復移動した際にターゲット4表面でのプラズマ滞在時間の差に基づく該ターゲット4の浸食進行速度を調整し、膜厚分布を補正することができる。
【0198】
以上のように、本発明に開示した構成にすることにより、静止した矩形基板の表面に、該基板有効成膜面積よりも大きい矩形ターゲットを用いて、厚さや膜質の均一な薄膜を形成できるマグネトロンカソード電極を備えたマグネトロンスパッタリング装置を、複雑な機構を設けることなく高速成膜が可能な形で構成することができる。
【0199】
具体的には、磁場発生手段が複数個の矩形状磁石ユニットを組み合わせたものであるので、レーストラック状の高密度プラズマを複数個得ることができる。これにより、プラズマ発生のために供給される電力が複数個のプラズマに分散されるので単一の磁石ユニットを用いる場合に比べて電力密度を抑制し易くなり、アーク放電に至るような異常放電なく大電力供給が可能となって、装置の性能としての成膜速度を増加させることができる。
【0200】
単一の磁石ユニットに関して、それによりターゲット表面に形成されるレーストラック状高密度プラズマの磁石ユニット長辺方向に平行な部分のピッチPを、磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるようにしたので、隣接する磁石ユニットにより形成されるレーストラック状高密度プラズマのピッチを個々の磁石ユニットにより形成されるレーストラック状高密度プラズマのピッチPと等しくなるように磁石ユニット間の隙間Cを確保して配置することができる。
【0201】
一方、磁場発生手段はターゲット裏面に設けられた真空室内に設置されるので、装置稼働状態においてターゲットがボンディングされたバッキングプレートはターゲット側(成膜空間側)とその裏面側(複合磁気回路側)の両面が真空排気状態となる。これにより、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートの両面には実質的に機械構造上影響を与えるような圧力差が無くなるので、バッキングプレートはターゲットとのボンディングや、装置へ取り付けるのに必要な機械的強度を持つ様な厚さでよく、大気圧に耐えるだけの強度を持たせる場合よりも薄くすることができる。
【0202】
しかも、磁場発生手段表面とターゲット表面間の距離を小さくすることができるので、同じ磁場発生手段を用いたときには、ターゲット表面での磁界強度を大きくすることができるため、より高密度のプラズマを発生させることができ、装置性能を向上させることができる。また、一定の磁界強度を得るのに必要な永久磁石の体積を小さくすることができるので、コスト的に有利となる。
【0203】
さらに、磁場発生手段、磁場発生手段の往復移動駆動系の主要部、真空室自体はターゲット及びバッキングプレートと同電位としているので、磁場発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた真空室の排気は油回転ポンプやあるいは油回転ポンプとメカニカルブースターポンプの組合のようないわゆる“粗引”程度であっても、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートに高電圧を印加してスパッタの為のマグネトロン放電を起こさせる際に、バッキングプレートと磁場発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた真空室あるいはその内容物との間で放電することがない。
【0204】
また、磁場発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた真空室を排気するためのポンプも前記のような粗引ポンプで済ますことができて、高真空排気するための高価なポンプやそれを動作させるための各種バルブを含む排気系を必要としないので装置としてのコストを低減できる。
【0205】
さらに、磁石ユニットは複合磁気回路に組み立てられる時に、ターゲット表面の磁石ユニット並び方向両端部で磁界が中央部に対して強く、磁石ユニット並び直角方向端部で磁界が中央部に対して弱くなるように、それぞれ中心磁石・周辺磁石・ヨーク寸法が調整されている。
【0206】
これにより、磁場発生手段をバッキングプレートの裏面側で各磁気回路の短辺方向に往復移動させてレーストラック状高密度プラズマのターゲット表面上での位置を変化させて均一にターゲット浸食を進行させて基板上にスパッタ薄膜を形成する場合に、成膜されるべき基板の大きさに対してターゲットが無限に大きくないような実際の装置構成において、ターゲットを完全に均一に浸食させた場合に生じる基板上の膜厚分布を補正することができる。
【0207】
さらに、磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石が磁石アッシーヨークに接着固定されて磁石アッシーを構成し、該磁石アッシーは磁石ユニットの全体のべースとなるべースヨークに対して、ボルトで締結されているので、磁石ユニットにより発生する磁界のターゲット表面上での強度分布調整を、磁石アッシーとベースヨークとの間に補助ヨークを挿入した状態でのボルト締結により、磁石表面とターゲット表面との間の距離を調整することで実現することができる。
【0208】
また、磁石アッシーの磁石アッシーヨークに設けられた締結用の穴は、磁石アッシーの位置がべースヨーク上で磁場発生手段駆動方向に調整可能であるように長穴であるので、中心磁石や周辺磁石の加工精度を極端に高く設定しなくても、複数の磁石ユニットを組み合わせた時の、レーストラック状高密度プラズマの磁石ユニット長辺方向に平行な部分の矩形短辺方向ピッチPが等しくなるように徴調整することができる。即ち、磁石のコストを低減することができるとともに、ヨークも含めた磁気特性のバラツキや接着精度等の組立バラツキを吸収して所望の磁場発生手段を容易に製作することができる。
【0209】
さらに、磁石ユニットの構成部材である磁石アッシーのべースヨークと磁石アッシーヨークは、ターゲット面上でのレーストラック状高密度プラズマが磁場発生手段駆動方向に平行に近くなる磁石ユニット長手方向端部において、べースヨークと磁石アッシーヨークのいずれか、または双方が他の部分よりも薄く形成されているので、磁石ユニット並び直角方向端部即ち磁石ユニット長手方向端部で磁界が中央部に対して特に弱くなるように調整することができる。
【0210】
また、べースヨークと磁石アッシーヨークは導電性の軟磁性材料であり、中心磁石と周辺磁石は導電性の磁石材料であるか導電性の表面被覆を施し、かつ、磁石ユニットの構成部材である磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石が磁石アッシーヨークに対して導電性接着材で固定されるので、磁場発生手段の支持を導電性物質で行い、必要な電気的接続を行うことにより複合磁気回路を構成する磁石まで同電位にすることができる。
【0211】
また、上述の中心磁石、周辺磁石を構成する永久磁石材料には、現存する最もエネルギー積の大きい磁石として、希土類系磁石(ネオジ−鉄系、サマリウム−コバルト系等)を用いる。但し、希土類系磁石は脆弱であり、耐食性に劣る欠点を有する。そこで、表面に導電性被覆を施すようにすれば、上記の短所を補い、磁石ユニット組立や複合磁気回路の組立に際して磁石の破損および腐食を防止することができる。
【0212】
【発明の効果】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、
上記ターゲットに対してマグネトロン放電を行なうことにより、該ターゲットの表面に、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマを生成するプラズマ生成手段と、
上記プラズマ生成手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、上記プラズマ生成手段は、上記ターゲットの表面に、該プラズマ生成手段の移動方向に沿って、それぞれ一つの閉じたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔と、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマにおけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔であって隣り合う異なるレーストラック状高密度プラズマに起因するライン同士の間隔とが略等しくなるようにレーストラック状高密度プラズマを生成し、上記駆動手段は、生成されたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔以下の大きさの振幅で上記プラズマ生成手段を等速で往復移動させる構成である。
【0213】
それゆえ、プラズマ生成手段が、上記ターゲットの表面に、該プラズマ生成手段の移動方向に沿って、それぞれのレーストラック状高密度プラズマの長軸方向直線領域での間隔と、隣り合うレーストラック状高密度プラズマの長軸方向直線領域での間隔とが略等しくなるようにレーストラック状高密度プラズマを生成するようになっている。
【0214】
これにより、プラズマ発生のために供給される電力が複数個のプラズマに分散されるので、電力密度を抑制することができ、アーク放電に至るような異常放電なく大電力供給が可能となって装置の性能としての成膜速度を増加させることができる。
【0215】
さらに、駆動手段が、生成されたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔以下の大きさの振幅で上記プラズマ生成手段を等速で往復移動させるようになっているので、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食が進行してしまうことをなくすことができる。
【0216】
したがって、上記構成のマグネトロンスパッタ装置によれば、コスト的に有利な部品で構成された単純な機構を有し、投入される電力を有効にターゲットのスパッタに費やすことができて、なおかつターゲットの利用効率を高く保ち、基板上に形成される薄膜の厚さ分布を所定の範囲内に収めることができるという効果を奏する。
【0217】
しかも、レーストラック状高密度プラズマの間隔は、該レーストラック状高密度プラズマの最も密度の高い部分同士の距離であることで、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅が、上記のレーストラック状高密度プラズマの最も密度の高い部分同士の距離よりも小さく設定することができ、この結果、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食の進行を抑制することができるという効果を奏する。
【0218】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、第1真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、上記ターゲットを支持するバッキングプレートの裏面側に配設され、該ターゲットの上記基板の対向面上に磁界を発生させる磁界発生手段と、上記磁界発生手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、上記磁界発生手段は、ターゲット表面に磁界を発生させる矩形状の磁石ユニットを、それぞれの長辺が互いに隣接するように、且つ同一極性を示すように複数個配置した複合磁気回路からなり、上記駆動手段は、上記一つの磁石ユニットによってターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインのピッチPに対して、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅SWが、SW≦Pの関係が成り立つように該複合磁気回路を移動させ、かつ、上記複合磁気回路における各磁石 ユニットは、各磁石ユニットによって前記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインの間隔であって隣り合う異なる磁石ユニットに起因するライン同士の間隔が、上記ピッチPと等しくなるように配置されている構成である。
【0219】
それゆえ、磁界発生手段が、ターゲット表面に磁界を発生させる矩形状の磁石ユニットを、それぞれの長辺が互いに隣接するように、且つ同一極性を示すように複数個配置した複合磁気回路からなることで、これらの複合磁気回路を発生源とするターゲットの表面上に、生成された磁界により収束された、閉じたレーストラック状高密度プラズマを複数個得ることができる。
【0220】
これにより、プラズマ発生のために供給される電力が複数個のプラズマに分散されるので、電力密度を抑制することができ、アーク放電に至るような異常放電なく大電力供給が可能となって装置の性能としての成膜速度を増加させることができる。
【0221】
さらに、駆動手段が、一つの磁石ユニットによってターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインのピッチPに対して、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅SWが、SW≦Pの関係が成り立つように設定されていることで、個々のレーストラック状高密度プラズマにより浸食されるターゲット表面部分が重なり合うことがなくなり、局所的にターゲットの浸食の進行を抑制することができるという効果を奏する。
【0222】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記磁石ユニットは、ユニット中心に配置された中心磁石と、この中心磁石の周囲を囲むように、且つ中心磁石とは逆極性の磁極が対向するように配置された周辺磁石とで構成され、これら中心磁石と周辺磁石とにより上記ターゲット表面に発生させた磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行な部分のピッチPが、該磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるように形成されている構成である。
【0223】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁石ユニットは、ユニット中心に配置された中心磁石と、この中心磁石の周囲を囲むように、且つ中心磁石とは逆極性の磁極が対向するように配置された周辺磁石とで構成され、これら中心磁石と周辺磁石とにより上記ターゲット表面に発生させた磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行な部分のピッチPが、該磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるように形成されていることで、単一の磁石ユニットにより形成されるレーストラック状高密度プラズマのピッチもMW/2よりも大きくなる。
【0224】
したがって、隣接する磁石ユニットにおいて生成されるレーストラック状高密度プラズマとの距離を、個々の磁石ユニットにおいて生成される高密度プラズマのピッチ間隔と等しくなるよう、磁石ユニット間の隙間を調整して配置することができるという効果を奏する。
【0225】
本発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記複合磁気回路は、n個(n>1)の磁石ユニットからなり、各磁石ユニットが、上記ターゲットの磁石ユニット並び方向の寸法をTWとしたときに、P=TW/(2×n+1)となるように設定されている構成である。
【0226】
上記の構成によれば、上記作用に加えて、複合磁気回路は、n個(n>1)の磁石ユニットからなり、各磁石ユニットが、各磁石ユニットによって前記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインの間隔であって隣り合う異なる磁石ユニットに起因するライン同士の間隔が、上記ピッチPと等しくなるように配置されていると共に、上記ターゲットの磁石ユニット並び方向の寸法をTWとしたときに、P=TW/(2×n+1)となるように設定されていることで、ターゲットをピッチPで並んだ浸食領域を磁界発生手段の移動幅SWで走査して均一にさせることができるという効果を奏する。
【0227】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記磁界発生手段は、上記ターゲットの基板対向面とは反対面側に設けられた第2真空室内に配置されている構成である。
【0228】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁界発生手段は、上記ターゲットの基板対向面とは反対面側に設けられた第2真空室内に配置されていることで、装置稼働状態においてターゲットがボンディングされたバッキングプレートはターゲット側の第1真空室(成膜空間側)とその裏面側の第2真空室(複合磁気回路側)の両面が真空排気状態となる。
【0229】
これにより、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートの両面には実質的に機械構造上影響を与えるような圧力差が無くなるので、バッキングプレートはターゲットとのボンディングや、装置へ取り付けるのに必要な機械的強度を持つ厚さでよく、大気圧に耐えるだけの強度を持たせる場合よりも薄くすることができるという効果を奏する。
【0230】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記第2真空室内に配置された磁界発生手段および該磁界発生手段を駆動させる駆動手段と、該第2真空室自体とは、上記ターゲットおよび該ターゲットを支持するバッキングプレートと同電位に設定されている構成である。
【0231】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、第2真空室内に配置された磁界発生手段および該磁界発生手段を駆動させる駆動手段と、該第2真空室自体とは、上記ターゲットおよび該ターゲットを支持するバッキングプレートと同電位に設定されていることで、磁界発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた第2真空室の排気は油回転ポンプやあるいは油回転ポンプとメカニカルブースターポンプの組合のようないわゆる“粗引”程度であっても、ターゲットがボンディングされたバッキングプレートに高電圧を印加してスパッタの為のマグネトロン放電を起こさせる際に、バッキングプレートと磁界発生手段が収められるターゲット裏面に設けられた第2真空室あるいはその内容物との間で放電することがない。
【0232】
したがって、第2真空室を排気するためのポンプを前記のような粗引ポンプで済ますことができるので、高真空排気するための高価なポンプやそれを動作させるための各種バルブを含む排気系を必要としないので装置としてのコストを少なくできるという効果を奏する。
【0233】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記複合磁気回路は、ターゲットの基板対向面の磁石ユニットの並び方向両端部が中央部に対して磁界が強く、上記磁石ユニットの並び方向に直交する方向両端部が中央部に対して磁界が弱くなるように調整されている構成である。
【0234】
それゆえ、上記の構成による効果に加えて、複合磁気回路は、ターゲットの基板対向面の磁石ユニットの並び方向両端部が中央部に対して磁界が強く、上記磁石ユニットの並び方向に直交する方向両端部が中央部に対して磁界が弱くなるように調整されていることで、ターゲットを均一に浸食させ、基板上の膜厚分布を補正することができる。
【0235】
したがって、磁石ユニットを、複合磁気回路に組み立てられた時に、ターゲット表面の磁石ユニット並び方向両端部で磁界が中央部に対して強くするように調整することにより、ターゲット長辺に沿った部分のプラズマ密度を高め、磁界発生手段が往復移動を行う方向(ターゲット短辺方向)の膜厚分布を補正することができる。
【0236】
さらに、磁石ユニット並び直角方向端部で磁界を中央部に対して弱くすることにより、矩形状磁石ユニットの長辺方向端部(ターゲット短辺に沿った周辺部分)における高密度プラズマの密度を小さくし、磁界発生手段を往復移動した際にターゲット表面でのプラズマ滞在時間の差に基づくターゲット浸食進行速度を調整し、膜厚分布を補正することができるという効果を奏する。
【0237】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、請上記構成に加えて、上記磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに接着固定された磁石アッシーと、該磁石ユニットの全体のベースとなるベースヨークとで構成され、上記磁石アッシーは、上記磁石アッシーヨークに設けられた締結用穴を用いて、上記ベースヨークにボルトで締結され、上記締結用穴の直径は、上記ボルトの直径よりも大きくなるように形成されている構成である。
【0238】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに接着固定された磁石アッシーと、該磁石ユニットの全体のベースとなるベースヨークとで構成され、上記磁石アッシーは、上記磁石アッシーヨークに設けられた締結用穴を用いて、上記ベースヨークにボルトで締結されていることで、磁石ユニットにより発生する磁界のターゲット表面上での強度分布調整を、磁石アッシーとベースヨークとの間に補助ヨークを挿入した状態でのボルト締結により実現することができるという効果を奏する。
【0239】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークの締結用穴は、上記磁石アッシーとベースヨークとを締結する際に、該磁石アッシーの位置がベースヨーク上で磁界発生手段の駆動方向に調整可能なように長穴に形成されている構成である。
【0240】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁石アッシーヨークの締結用穴は、上記磁石アッシーとベースヨークとを締結する際に、該磁石アッシーの位置がベースヨーク上で磁界発生手段の駆動方向に調整可能なように長穴に形成されていることで、複数の磁石ユニットを組み合わせた時の、レーストラック状高密度プラズマの磁石ユニット長辺方向に平行な部分の矩形短辺方向ピッチが等しくなるように微調整することができるという効果を奏する。
【0241】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークとベースヨークの少なくとも一方は、磁石ユニットの長手方向端部が他の部分よりも薄く形成されている構成である。
【0242】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁石アッシーヨークとベースヨークの少なくとも一方は、磁石ユニットの長手方向端部が他の部分よりも薄く形成されていることで、磁石ユニット長手方向端部で磁界が中央部に対して特に弱くなるように調整することができるという効果を奏する。
【0243】
発明のマグネトロンスパッタ装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記磁石アッシーヨークとベースヨークとは、導電性の軟磁性材料で構成され、上記中心磁石と周辺磁石とは、導電性の磁石材料あるいは導電性材料を表面に被覆した磁石材料で構成され、上記磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに対して導電性接着剤で固定されている構成である。
【0244】
それゆえ、上記構成による効果に加えて、磁石アッシーヨークとベースヨークとは、導電性の軟磁性材料で構成され、上記中心磁石と周辺磁石とは、導電性の磁石材料あるいは導電性材料を表面に被覆した磁石材料で構成され、上記磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに対して導電性接着剤で固定されていることで、磁界発生手段の支持を導電性物質で行い、必要な電気的接続を行うことにより複合磁気回路の磁石表面まで同電位とすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るマグネトロンスパッタ装置の概略構成図である。
【図2】 図1に示すマグネトロンスパッタ装置に備えられた磁場発生機構を構成する矩形状の磁石ユニットにおけるマグネトロン放電を説明する図であって、(a)は一つの磁石ユニットの斜視図、(b)は(a)で示した磁石ユニットの長手方向断面図、(c)は(a)で示した磁石ユニットにおいてターゲットと組み合わせてグロー放電させた場合の説明図、(d)は(c)の斜視図である。
【図3】 図1に示すマグネトロンスパッタ装置の磁場発生機構によるターゲット上での高密度プラズマの形成状態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)の磁場発生機構の長手方向断面図である。
【図4】 (a)は図1に示すマグネトロンスパッタ装置の磁場発生機構の平面図、(b)は(a)で示した磁場発生機構の側面図である。
【図5】 (a)は図4(a)で示した磁場発生機構の要部拡大図、(b)は(a)の断面図である。
【図6】 図1に示すマグネトロンスパッタ装置の磁場発生機構を構成する磁石ユニットの種々の構成例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は磁石ユニットの短手方向に垂直な断面図、(c)は長手方向の2箇所で補助板を挿入した磁石ユニットの短手方向に垂直な断面図、(d)は長手方向の中央部1箇所のみに補助板を挿入した磁石ユニットの短手方向に垂直な断面図である。
【図7】 本発明のマグネトロンスパッタ装置に備えられた磁場発生機構の他の例を示す概略構成図である。
【図8】 (a)〜(c)は磁場発生機構を構成する各磁石ユニット同士のピッチPと、磁石ユニットの短手方向の幅MWとの関係がP>MW/2の場合についての説明図である。
【図9】 (a)〜(c)は磁場発生機構を構成する各磁石ユニット同士のピッチPと、磁石ユニットの短手方向の幅MWとの関係がP<MW/2の場合についての説明図である。
【図10】 本発明の磁場発生機構によってターゲット上に高密度プラズマを発生させた場合のターゲット寸法のうち、複数個の磁石ユニットを並べた磁場発生機構の短手方向の寸法TWと高密度プラズマの磁石ユニットの長手方向に平行な部分のピッチPとが、P=TW/(2×n+1)なる関係を満たしている場合を示す説明図である。
【図11】 本発明の磁場発生機構から発生される高密度プラズマによりターゲットを浸食した状態を示す図であり、(a)はターゲットの全ての浸食位置で浸食進行速度が同じである場合に該磁場発生機構を静止させてマグネトロン放電を行ったときのターゲット浸食状況を示す説明図、(b)は(a)の場合で隣接するターゲットの浸食位置が重ならない振幅で磁場発生機構を往復移動させたときのターゲット浸食状況を示す説明図、(c)は両端の磁石ユニットに対応するターゲットの浸食位置で浸食速度が他よりも大きい場合で磁場発生機構を静止させてマグネトロン放電を行ったときのターゲットの浸食状況を示す説明図、(d)は(c)の場合で隣接するターゲットの浸食位置が重ならない振幅で磁場発生機構を往復移動させたときのターゲット浸食状況を示す説明図である。
【図12】 余弦則に基づく基板表面に形成された薄膜の膜厚分布シミュレーションの結果を示すグラフであって、膜厚分布がある場合の3次元グラフである。
【図13】 余弦則に基づく基板表面に形成された薄膜の膜厚分布シミュレーションの結果を示すグラフであって、膜厚分布を補正した場合の3次元グラフである。
【図14】 従来のマグネトロンスパッタ装置の概略構成断面図である。
【図15】 従来の他のマグネトロンスパッタ装置の成膜室要部断面図である。
【図16】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置の成膜室要部斜視図である。
【図17】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置の概略構成断面図である。
【図18】 (a)〜(c)は、従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置に備えられている磁気回路ユニットとターゲットとの配置関係を示す説明図である。
【図19】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置に備えられている磁気回路ユニットとターゲットの関係を示し、(a)は磁気回路ユニットの平面図、(b)はターゲットの平面図、(c)は(b)で示したターゲットが浸食された状態を示す断面図である。
【図20】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置に備えられた磁気回路ユニットを示し、(a)は一つの磁気回路で構成される磁気回路ユニットの斜視図、(b)は複数の磁気回路で構成される磁気回路ユニットの平面図である。
【図21】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置を示し、(a)はマグネトロンスパッタ装置に備えられた矩形状の磁気回路ユニットの長手方向概略断面図、(b)はマグネトロンスパッタ装置に備えられた矩形状の磁気回路ユニットの短手方向概略断面図である。
【図22】 従来のさらに他のマグネトロンスパッタ装置を示し、(a)はマグネトロンスパッタ装置の概略構成断面図、(b)は(a)で示したマグネトロンスパッタ装置に備えられた磁気回路ユニットの平面図、(c)は(a)で示したマグネトロンスパッタ装置に備えられた磁気回路ユニットおよびターゲットと、成膜対象となる基板との位置関係を示す説明図である。
【図23】 従来の複数の磁気回路で構成された磁気回路ユニットにより浸食される矩形状のターゲットの浸食状態を示す磁気回路ユニットの長手方向断面図であり、(a)は磁気回路ユニットが静止した状態でのターゲットの浸食状態を示す長手方向断面図、(b)は磁気回路ユニットがターゲットの長手方向に振幅P1だけ振幅した場合のターゲットの浸食状態を示す長手方向断面図、(c)は磁気回路ユニットがターゲットの長手方向に振幅P2だけ振幅した場合のターゲットの浸食状態を示す長手方向断面図、(d)は磁気回路ユニットがターゲットの長手方向に振幅P3だけ振幅した場合のターゲットの浸食状態を示す長手方向断面図、(e)は磁気回路ユニットがターゲットの長手方向に振幅P4だけ振幅した場合のターゲットの浸食状態を示す長手方向断面図である。
【図24】 従来のマグネトロンスパッタ装置によるターゲットの浸食状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 成膜室(第1真空室)
2 マグネット室(第2真空室)
3 基板
4 ターゲット
6 バッキングプレート(プラズマ生成手段)
7 磁場発生機構(プラズマ生成手段,磁界発生手段)
8 駆動装置(駆動手段)
17 電源(プラズマ生成手段)
30 磁石ユニット
31 中心磁石
32 周辺磁石
33 ヨーク
34 磁力線
35 電界
36 高密度プラズマ(レーストラック状高密度プラズマ)
41 ベースヨーク
42 中心磁石用磁石アッシーヨーク
43 周辺磁石用磁石アッシーヨーク
44 中心磁石用磁石アッシー
45 周辺磁石用磁石アッシー
46 ボルト
47 締結用穴

Claims (11)

  1. 真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、
    上記ターゲットに対してマグネトロン放電を行なうことにより、該ターゲットの表面に、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマを生成するプラズマ生成手段と、
    上記プラズマ生成手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、
    上記プラズマ生成手段は、上記ターゲットの表面に、該プラズマ生成手段の移動方向に沿って、それぞれ一つの閉じたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔と、複数の閉じたレーストラック状高密度プラズマにおけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔であって隣り合う異なるレーストラック状高密度プラズマに起因するライン同士の間隔とが略等しくなるようにレーストラック状高密度プラズマを生成し、
    上記駆動手段は、生成されたレーストラック状高密度プラズマ中におけるプラズマ密度が最も高い部分を結ぶラインのうち長軸に平行なラインの間隔以下の大きさの振幅で上記プラズマ生成手段を等速で往復移動させることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 第1真空室内で薄膜が形成される矩形状の基板に対向配置され、該基板の有効成膜面積よりも大きい矩形状のターゲットと、
    上記ターゲットを支持するバッキングプレートの裏面側に配設され、該ターゲットの上記基板の対向面上に磁界を発生させる磁界発生手段と、
    上記磁界発生手段を、上記ターゲットに対して、該ターゲットの長辺あるいは短辺の何れかに平行に往復移動させる駆動手段とを備え、
    上記磁界発生手段は、
    ターゲット表面に磁界を発生させる矩形状の磁石ユニットを、それぞれの長辺が互いに隣接するように、且つ同一極性を示すように複数個配置した複合磁気回路からなり、
    上記駆動手段は、
    上記一つの磁石ユニットによってターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインのピッチPに対して、上記複合磁気回路を上記各磁気ユニット並び方向に等速で往復移動させるときの振幅SWが、SW≦Pの関係が成り立つように該複合磁気回路を移動させ、
    かつ、上記複合磁気回路における各磁石ユニットは、各磁石ユニットによって前記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行なラインの間隔であって隣り合う異なる磁石ユニットに起因するライン同士の間隔が、上記ピッチPと等しくなるように配置されていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  3. 上記磁石ユニットは、該磁石ユニット中心に配置された中心磁石と、この中心磁石の周囲を囲むように、且つ中心磁石とは逆極性の磁極が対向するように配置された周辺磁石とで構成され、これら中心磁石と周辺磁石とにより上記ターゲット表面に発生された磁界の上記ターゲット表面に垂直な成分がゼロとなる点を結ぶラインのうち上記磁石ユニットの長辺に平行な部分のピッチPが、該磁石ユニットの短辺方向の寸法MWに対して、P>MW/2となるように形成されていることを特徴とする請求項2記載のマグネトロンスパッタ装置。
  4. 上記複合磁気回路は、n個(n>1)の磁石ユニットからなり、各磁石ユニットは、上 記ターゲットの磁石ユニット並び方向の寸法をTWとしたときに、P=TW/(2×n+1)となるように設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の記載のマグネトロンスパッタ装置。
  5. 上記磁界発生手段は、上記ターゲットの基板対向面とは反対面側に設けられた第2真空室内に配置されていることを特徴とする請求項2ないし4の何れかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  6. 上記第2真空室内に配置された磁界発生手段および該磁界発生手段を駆動させる駆動手段と、該第2真空室自体とは、上記ターゲットおよび該ターゲットを支持するバッキングプレートと同電位に設定されていることを特徴とする請求項5記載のマグネトロンスパッタ装置。
  7. 上記複合磁気回路は、ターゲットの基板対向面の磁石ユニットの並び方向両端部が中央部に対して磁界が強く、上記磁石ユニットの並び方向に直交する方向両端部が中央部に対して磁界が弱くなるように調整されていることを特徴とする請求項2ないし6の何れかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
  8. 上記磁石ユニットは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに接着固定された磁石アッシーと、該磁石ユニットの全体のベースとなるベースヨークとで構成され、
    上記磁石アッシーは、上記磁石アッシーヨークに設けられた締結用穴を用いて、上記ベースヨークにボルトで締結され、
    上記締結用穴の直径は、上記ボルトの直径よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項7記載のマグネトロンスパッタ装置。
  9. 上記磁石アッシーヨークの締結用穴は、上記磁石アッシーとベースヨークとを締結する際に、該磁石アッシーの位置がベースヨーク上で磁界発生手段の駆動方向に調整可能なように長穴に形成されていることを特徴とする請求項8記載のマグネトロンスパッタ装置。
  10. 上記磁石アッシーヨークとベースヨークの少なくとも一方は、磁石ユニットの長手方向端部が他の部分よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項8または9記載のマグネトロンスパッタ装置。
  11. 上記磁石アッシーヨークと上記ベースヨークとは、導電性の軟磁性材料で構成され、
    上記中心磁石と上記周辺磁石とは、導電性の磁石材料あるいは導電性材料を表面に被覆した磁石材料で構成され、
    上記磁石アッシーは、中心磁石と周辺磁石とが磁石アッシーヨークに対して導電性接着剤で固定されていることを特徴とする請求項8ないし10の何れかに記載のマグネトロンスパッタ装置。
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