JP3648905B2 - 水銀蒸気放電灯 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光化学反応などに利用される水銀蒸気放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水や容器の殺菌分野や、精密部品表面の洗浄分野、ゴム等樹脂の改質分野、半導体のエッチングレジストなどの灰化分野など様々な分野で、紫外線による処理技術が利用されており、この紫外線による処理技術分野での光源としては、低圧水銀ランプが用いられている。
【0003】
かかる低圧水銀ランプは、発光管材料として紫外線域において高透過率特性を有する殺菌灯ガラスを使用したものが最も一般的であるが、 254nmの紫外線の放射効率のアップや、更に短波長の紫外線( 185nm)を利用するため、殺菌灯ガラスよりも紫外線透過率特性の良い石英ガラスを用いたものが知られている。
【0004】
最近では、 180nmから 260nmの紫外線域で、普通の石英ガラス(原料は天然に産出される水晶)を使用した水銀ランプよりも放射効率の高い光源が要求されており、このような要求から 260nm以下の波長の紫外線域で、石英ガラスよりも透過率特性の高い合成石英ガラスが使用されるようになってきている。
【0005】
合成石英ガラスは、四塩化ケイ素を原料とし、これを蒸発させ、気相として酸水素炎中に導入し、火炎加水分解してスートと呼ばれるガラス微粒子を合成する。これを回転ターゲット上に溶融堆積して、透明な合成石英ガラスを得るようにしている。このように合成石英ガラスは、原料を気相で用い、また溶融に容器を必要としないので、得られるガラスは極めて高純度になる。合成石英ガラスは、天然の水晶を原料とする普通石英ガラスよりも、アルカリ金属や遷移金属の混入量が少ないため、短波長紫外線域での透過率特性がよい。
【0006】
このような製法で製造される合成石英ガラスは、原料中の塩素が完全に除去できないため、合成石英ガラス中には数十ppm 〜数千ppm の塩素が含有されている。合成石英ガラス中に含有される塩素は、Si −Cl の結合状態を持ち、その結合エネルギーは、約80Kcal/mol である。
【0007】
また、上記低圧水銀ランプの発光管の両端に設置されている電極には、通常エミッタと呼ばれる電子放出性物質が表面に塗布されている。エミッタは、タングステンよりも仕事関数が低いため電極の電子放出を容易にし、放電を安定化させる効果があり、ランプの立ち消えや不点の問題を抑制するために用いられている。エミッタとして一般的な物質には、酸化トリウム(ThO2 )に代表される希土類の酸化物やアルカリ土類金属の酸化物(BaO,CaO,SrOなど)、アルカリ土類金属とタングステンの複合酸化物(Ba2 CaWO6 ,Ba2 SrWO6 など)が知られている。これらの物質は、電子放出性に優れ、且つ耐熱性が高い特徴を有している。
【0008】
希土類酸化物は、精製に複雑な工程を要するため高価である欠点を持つ。また、トリウムに代表される放射性元素は、β崩壊により自ら電子を放出しランプの始動を容易にするが、取り扱い上並びに環境上の面から使用は避けるべき物質である。
【0009】
アルカリ土類金属,アルカリ土類金属とタングステンの複合酸化物は、仕事関数が低く電子を放出しやすく、上述した希土類のような欠点が無いため放電灯のエミッタとして実用的であり、多く用いられている。
【0010】
一方、上述した低圧水銀ランプの高ワット化も進んでいる。低圧水銀ランプは、点灯時の電力を増していくと、水銀の蒸気圧が上昇して効率が悪くなる特性がある。そこで、高ワットで点灯している発光管の中の水銀蒸気圧の上昇を抑制するために、発光管の一部を冷却したり、アマルガムの特性を利用して、短波長紫外線の放射効率を維持したまま高ワット化を達成した高出力型低圧水銀ランプ(壁面負荷 0.2〜10W/cm2 )が知られている。
【0011】
更に、0.13Pa 〜 1.3Pa の水銀蒸気圧の抑制手段を用いず、合成石英ガラス製の発光管を用い、発光管内の水銀蒸気圧を10Pa 以上とした高圧水銀ランプによる短波長紫外線の高出力化も検討されている。高圧水銀ランプの分光放射特性は、低圧水銀ランプほど輝線スペクトルを示さず、効率も高くはない欠点を有するが、短波長紫外線域での連続スペクトルも利用できることと、放射効率にほとんど影響なく高ワット化(壁面負荷5W/cm2 以上)が可能である利点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した低圧水銀ランプや高圧水銀ランプは、そのプラズマ中で 250nm以下の波長の短波長紫外線を多量に発生・放射する。そして、 250nm以下の波長の紫外線は高いエネルギーを持ち、例えば 185nmの紫外線は 154Kcal/mol , 250nmの紫外線は 114Kcal/mol のエネルギーをもつ。この大きなエネルギーのため、短波長の紫外線の光量子は合成石英ガラスに含まれるSi −Cl 結合に作用し、その結合を切断する。そして、結合が切断された塩素原子は電子を捕獲して塩素イオンとなり、両電極間に形成されている電界によって放電空間内に出てくる。そして、塩素原子が合成石英ガラス中で占めていた領域は、石英ガラスの網目構造の中で大きな空間として残り、更に深層の塩素イオンの放出を促すようになる。
【0013】
塩素はハロゲンの一種であり、電子を吸収しやすい特性を有するため、発光管内のプラズマ中に塩素が存在すると、電子を吸収して再点弧電圧を上昇させて、ランプを立ち消えさせたり、電極に塗布してあるアルカリ土類金属の酸化物からなる電子放出性物質と反応してこれを分解し、電極のエミッションを悪くして始動電圧を上昇させる。そのため、ランプの不点の問題が起こりやすくなる。更に塩素によって分解されたアルカリ土類金属は、発光管内面に堆積して石英ガラスと反応して失透(石英ガラスの結晶化)を起こし、紫外線出力の低下を引き起こす。このように、合成石英ガラスを使用した水銀ランプは、普通石英ガラスを使用した水銀ランプと比較して寿命が短いという問題点がある。更には、この合成石英ガラスを用いた水銀ランプを使用した紫外線処理装置ではメンテナンスが頻繁になり、ランニングコストを上げるという欠点があった。
【0014】
本発明は、従来の合成石英ガラスからなる発光管を用いた低圧水銀放電灯あるいは高圧水銀放電灯における上記問題点を解消するためになされたもので、寿命特性がよく短波長紫外線の放射効率の高い水銀蒸気放電灯を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、四塩化ケイ素を原料とする合成石英ガラスからなる発光管の両端に、アルカリ土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属とタングステンの複合酸化物を塗布してなる電極を備えてなる水銀蒸気放電灯において、前記発光管の内面に無塩素合成ガラス層を設けるものである。
【0016】
このように合成石英ガラスからなる発光管の内面に無塩素合成ガラス層を設けることにより、合成石英ガラス管の内部で発生した塩素イオンの発光管内への放出が抑制され、エミッタの分解消耗による不点や、再点弧電圧の上昇によるランプの立ち消え等の発生を防止し、寿命特性がよく放射効率の高い水銀蒸気放電灯を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、実施の形態について説明する。一般に、短波長紫外線を利用する光化学反応用水銀蒸気放電灯には、大別して二種類のものがある。すなわち点灯中の水銀蒸気圧が1Pa 程度の低圧水銀蒸気放電灯と、点灯中の水銀蒸気圧が10kPa 以上(実用上望ましくは10kPa 〜1000kPa )の高圧水銀蒸気放電灯である。両者とも構造はおおむね似ており、石英ガラス製の発光管の両端には電極が設置されており、電極にはエミッタと呼ばれる電子放出性物質が塗布されている。
【0018】
(第1の実施の形態)
まず第1の実施の形態として、本発明を高圧水銀ランプに適用したものを、図1に基づいて説明する。図1において、1は四塩化ケイ素を原料とする合成石英ガラスよりなる内径20mmの発光管であり、該発光管1の両端には、電極2がモリブデン箔3を介して発光長が 375mmとなるように封着されている。モリブデン箔3の他端には、外接リード線4が接続されている。発光管1の内面には、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素の無塩素合成ガラス層5が形成されている。そして、発光管1の内部には、2kPa のアルゴンガスと、 120mgの水銀が封入されている。
【0019】
次に、電極2の詳細な構成を図2の断面図に基づいて説明する。電極2には、1本あたり約3mgのタングステン酸バリウムカルシウムの粉末からなるエミッタ6が塗布されている。電極2は、直径 1.5mm,長さ20mmのタングステン棒2aに、直径 0.7mmのタングステンワイヤー2bがコイル状に数ターン巻き付けられている。タングステン酸バリウムカルシウムの粉末は、ニトロセルロースを溶かした酢酸ブチル溶液で懸濁液としてから、この懸濁液に電極を浸して上記タングステン棒2aとワイヤー2bの間に懸濁液をしみ込ませる。そして、乾燥させて酢酸ブチルを揮発させた後、真空中で1600℃の温度に加熱してニトロセルロースを分解し、タングステン酸バリウムカルシウムの粉末を電極に固着させる。
【0020】
次に、発光管1の内面に設ける無塩素合成ガラス層5の形成方法について説明する。無塩素合成ガラス層5は、次のような方法で発光管1の内表面に形成することができる。アルミニウムやケイ素の合成ガラスの製法としては、アルミニウム又はケイ素のアルコキシドの溶液をガラス表面に塗布し、乾燥、焼成する方法(金属アルコキシド法と呼ばれる)が知られている。
【0021】
次に、金属アルコキシド法による無塩素合成ガラスの形成方法について、具体的に説明する。原材料は、アルミニウム又はケイ素のアルコキシドをエタノールや酢酸エチルなどの有機溶剤に溶解したもので、本具体例においては、アルミニウムイソプロポキシド〔Al (OC3 7 3 〕やケイ素イソプロポキシド〔Si (OC3 7 4 〕のエタノール溶液(濃度 0.3 mol/ l)を使用した。その溶液を電極を配設する前の合成石英ガラス管の中に満たし、次いで液面が一定の速度で降下するようにして溶液を取り除く。そして、濡れた状態の合成石英ガラス管を80〜 100℃の温度で乾燥させ余分な溶媒を蒸発させる。次いで、酸化雰囲気中で 800℃以上の高温下で焼成(酸化分解)する。
【0022】
これにより、アルミニウム又はケイ素のイソプロポキシドは、分子中の炭素(C),酸素(O),水素(H)が、二酸化炭素(CO2 ),一酸化炭素(CO),水(H2 O)になって揮発分解され、最終的に酸化アルミニウムAl23 や酸化ケイ素SiO2 の層となって発光管の表面に残る。このような方法で形成される酸化アルミニウムAl23 や酸化ケイ素SiO2 は結晶構造をとらず、ガラス状の層を形成するが、化学的に純粋な物質を出発物質とするため、アルカリ金属や遷移金属の混入がなく短波長域での透過特性が高く、且つ原料に塩素,アルカリ土類金属,遷移金属を含まないため、網目構造の緻密なガラス層が得られる。また、アルミニウムイソプロポキシド〔Al (OC3 7 3 〕とケイ素イソプロポキシド〔Si (OC3 7 4 〕を混合してエタノール溶液とすることで、アルミニウムとケイ素の任意の成分比の無塩素合成ガラスを形成することができる。また、このようにして形成する無塩素合成ガラス層の膜厚は、液面の降下速度と溶液の濃度を変えることによって自由に変化させることができる。
【0023】
次に、上記構成の第1の実施の形態の高圧水銀ランプにおいて、無塩素合成ガラス層の層厚を変えたものを作成し、これらの試作ランプをランプ電力3kW,負荷80W/cmで点灯させて、寿命特性と 180〜 250nmの相対放射照度について調査したところ、表1に示すような結果が得られた。また、対比するために無塩素合成ガラス層を設けない合成石英ガラスからなる発光管、及び普通石英ガラスからなる発光管を用いた従来の高圧水銀ランプについても寿命特性と相対放射照度について調査し、その結果を表1に合わせて示した。なお、表1における相対放射照度は、従来の無塩素合成ガラス層を有しない合成石英ガラス製発光管を用いた高圧水銀ランプにおいて、発光管中心部の直下50mmの位置での照度を 100として測定した。また各発光管の電極のエミッタ材料は、いずれのランプにおいてもBa2 CaWO6 を用いている。
【0024】
【表1】
Figure 0003648905
【0025】
上記表1からわかるように、まず無塩素合成ガラス層が設けられていない合成石英ガラスからなる発光管を使用したランプは、180 〜 250nmの相対放射照度は、従来の普通石英ガラスからなる発光管を用いたランプに比較して高い特性を有するが、寿命特性が悪いという問題点がある。本発明に係わる酸化アルミニウムや酸化ケイ素の無塩素合成ガラス層を形成した合成石英ガラスからなる発光管を用いた水銀蒸気放電灯は、発光管材質に合成石英ガラスを使用していても、無塩素合成ガラス層のない合成石英ガラスからなる発光管を用いた従来の水銀蒸気放電灯より寿命特性がよく、且つ従来の普通石英ガラスからなる発光管を使用した水銀蒸気放電灯よりも、180 〜 250nmの相対放射照度が高い特性を持っていることが判る。
【0026】
図3において、実線は第1の実施の形態に係る水銀蒸気放電灯の紫外線出力の維持率特性を示し、破線は従来の無塩素合成ガラス層を設けていない合成石英ガラスを発光管として使用した水銀蒸気放電灯の紫外線出力維持率を示す。なお、表1において、無塩素合成ガラスの層厚を1nmとしたランプの寿命特性には△印が付されているが、このランプは寿命試験中に不点、立ち消えの問題は生じず、1500時間の末期になって発光管の失透現象が確認されたことを意味する。このときの失透は電極近傍の一部であり、層厚10nm以上の他の試作ランプと紫外線出力維持率の面では、同等の経時的変化を示した。この失透現象は、無塩素合成ガラスの層厚が薄いため塩素イオンの遮蔽効果が少なく、微量の塩素イオンの放出のためエミッタとの反応があったものと推定される。このような調査結果から無塩素合成ガラス層の層厚は、10nm以上とするのが望ましいと言える。また、金属アルコキシド法では1回の塗布作業で形成される無塩素合成ガラス層の層厚が1000nmを超えると、クラックを生じやすい問題があり、この問題を回避するため数回の塗布焼成を行うと、作業性及び生産性が悪くなるので、層厚は1000nm以下とすることが望ましい。
【0027】
以上の結果から、合成石英ガラス製発光管に無塩素合成ガラス層を設けた高圧水銀蒸気放電灯は、従来のランプに比べて寿命特性及び短波長紫外線放射効率に関して、優れた特性を有することが判明した。
【0028】
本実施の形態においては、高圧水銀蒸気放電灯の電極のエミッタ材料にタングステン酸バリウムカルシウム(Ba2 CaWO6 )を使用した例を示したが、同様の実験をSrO,BaO,CaOやBa2 SrWO6 などアルカリ土類金属を含有するエミッタを使用したランプについて行い調査したところ、同様な結果が得られた。
【0029】
なお、発光管を形成する上記四塩化ケイ素を含有する合成石英ガラスは、短波長域の紫外線透過率と化学分析により塩素濃度を調べることにより、普通石英ガラスと容易に判別することができる。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を図4に基づいて説明する。この実施の形態は本発明を低圧水銀蒸気放電灯に適用したもので、図4において、11は合成石英ガラスからなる内径17mmの発光管で、該発光管11の両端には発光長が 950mmとなるように電極12が設置されている。該電極12は、図5に示すようにバリウム,カルシウム,ストロンチウムの酸化物の混合物からなるエミッタ13が塗布されたタングステンフィラメント12aと、ニッケルなどの耐熱製金属からなる陽極12b,及びそれらを支えた支持柱12cとからなり、該支持柱12cの他端はモリブデンの箔14を介して外接リード線15に接続されている。そして、発光管11を構成する合成石英ガラスの内面には無塩素合成ガラス層16が形成されている。また、発光管11の内部には数十mg好ましくは50mgの水銀と、数百Pa 好ましくは 400Pa のアルゴンガスが封入されており、両電極12間に電圧を印加することによりフィラメント12aから熱電子を放出させ、水銀原子に電子を衝突させることで、水銀を励起させ放電させるようになっている。なお、エミッタ13の塗布量はフィラメント1本あたり約2mgである。
【0031】
この実施の形態の低圧水銀蒸気放電灯は、ランプ電力 120W,ランプ電流2Aで点灯され、その寿命は約 12000時間であり、 12000時間における残存率(不点灯とならない率)は約80%である。主な不点灯の原因は、フィラメントの断線やフィラメントに塗布してあるエミッタのスパッタによる消耗である。
【0032】
次に、無塩素合成ガラス層の層厚を変えた第2の実施の形態のランプを試作し、それらの寿命特性及び180 〜 190nmの相対放射照度について調査したところ、表2に示すような結果が得られた。また、対比するために無塩素合成ガラス層を設けないランプ及び普通石英ガラスからなる発光管を用いたランプについても、同様の調査を行い、その結果を表2に合わせて示した。なお、表2における相対放射照度は、従来の無塩素合成ガラス層を設けない合成石英ガラス製発光管を用いたランプについて、発光管中心部の直下50mmの位置での照度を 100として算出した。
【0033】
【表2】
Figure 0003648905
【0034】
表2の調査結果から、まず、無塩素合成ガラス層がない従来の合成石英ガラスを発光管として使用したランプは、180 〜 190nmの相対放射照度は、従来の普通石英ガラスを発光管として用いたランプに比較して高い特性を有するが、寿命特性が悪いという問題点があることがわかる。本実施の形態に係わる酸化アルミニウムや酸化ケイ素の無塩素合成ガラス層を有する合成石英ガラスからなる発光管を用いた水銀蒸気放電灯は、発光管材質に合成石英ガラスを使用していても、無塩素合成ガラス層のない合成石英ガラスからなる発光管を用いた従来の水銀蒸気放電灯より寿命特性がよく、且つ従来の普通石英ガラスからなる発光管を使用した水銀蒸気放電灯よりも、180 〜 190nmの相対放射照度が高い特性を持っていることが判る。
【0035】
図6における実線は、第2の実施の形態に係る水銀蒸気放電灯(表2中、無塩素合成ガラス層の成分としてAl23 を用い、その層厚を 100nmとした発光管を用いたランプ)の残存率曲線を示し、破線は無塩素合成ガラス層を設けない従来の合成石英ガラスを使用した水銀蒸気放電灯の残存率曲線を示す。
【0036】
以上の結果から、本実施の形態に係る合成石英ガラス製発光管に無塩素合成ガラス層を形成した低圧水銀蒸気放電灯は、従来のランプに比べて寿命特性及び短波長紫外線放射効率に関して優れた特性を有することが判明した。
【0037】
なお、本実施の形態においては、低圧水銀蒸気放電灯のエミッタ(電子放出性物質)にバリウム,カルシウム,ストロンチウムの酸化物の混合物を使用した例を示したが、これらの物質は単体でもよく、また第1の実施の形態で説明したようにタングステン酸バリウムカルシウムなどアルカリ土類金属を含有するエミッタを使用したランプについても調査したが、結果は同様であった。
【0038】
上記のように構成した各実施の形態に係る水銀蒸気放電灯においては、合成石英ガラス製の発光管の内表面に無塩素合成ガラス層が設けられており、この層は不純物を含まないため網目構造が緻密であり、そのため合成石英ガラスに含まれる塩素イオンの透過を抑制する作用がある。したがって、塩素がプラズマ中で電子温度を下げランプの立ち消えを起こしたり、エミッタと反応して電極表面のエミッタが分解消耗して不点になったりする問題を解消することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上実施の形態に基づいて説明したように、本発明による水銀蒸気放電灯は、四塩化ケイ素を原料とする合成石英ガラスからなる発光管の内面に無塩素合成ガラス層を設けているので、短波長紫外線によって発光管を構成する合成石英ガラスの内部で発生した塩素イオンの発光管内への放出を無塩素合成ガラス層が抑制し、したがって、従来の合成石英ガラスのみからなる発光管を有するランプのように、合成石英ガラスの内部で発生した塩素イオンが発光管内へ放出され、エミッタと反応して電極表面のエミッタが分解消耗して不点になったり、塩素がプラズマの電子温度を下げて立ち消えしたりする問題の発生を防止することができる。これにより寿命特性がよく短波長紫外線の放射効率の高い水銀蒸気放電灯を実現することができる。更には、ランプの寿命が延びるので、そのランプを用いる紫外線照射装置のメンテナンス性が良くなり、ランニングコストを下げる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる水銀蒸気放電灯の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1に示した第1の実施の形態における電極の拡大断面図である。
【図3】図1に示した第1の実施の形態に係わる高圧水銀蒸気放電灯の紫外線出力維持率特性を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図5】図4に示した第2の実施の形態における電極部分の拡大断面図である。
【図6】図4に示した第2の実施の形態に係わる低圧水銀蒸気放電灯の残存率特性を示す図である。
【符号の説明】
1 発光管
2 電極
2a タングステン棒
2b タングステンワイヤー
3 モリブデン箔
4 外接リード線
5 無塩素合成ガラス層
11 発光管
12 電極
12a タングステンフィラメント
12b 陽極
12c 支持柱
13 エミッタ
14 モリブデン箔
15 外接リード線
16 無塩素合成ガラス層

Claims (3)

  1. 四塩化ケイ素を原料とする合成石英ガラスからなる発光管の両端に、アルカリ土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属とタングステンの複合酸化物を塗布してなる電極を備えてなる水銀蒸気放電灯において、前記発光管の内面に無塩素合成ガラス層を設けていることを特徴とする水銀蒸気放電灯。
  2. 前記無塩素合成ガラス層は、酸化ケイ素,酸化アルミニウム又はそれらの混合物からなるガラス層であることを特徴とする請求項1記載の水銀蒸気放電灯。
  3. 前記無塩素合成ガラス層の層厚は、10nm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の水銀蒸気放電灯。
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