JP3509256B2 - 紫外線殺菌用低圧水銀放電灯及びその製造方法 - Google Patents

紫外線殺菌用低圧水銀放電灯及びその製造方法

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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)
  • Vessels And Coating Films For Discharge Lamps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に254nmの紫外
線としての殺菌線を利用して包装材料などの表面殺菌に
利用する低圧水銀放電灯に関し、特に発光管の黒化防止
のために発光管の内表面に金属酸化物被膜を形成する低
圧水銀放電灯の寿命特性の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、低圧水銀蒸気放電灯において発
光管としてのガラス管の保護あるいは内面の黒化を防止
するために、発光管の内表面にアルミナ(Al23),
チタニア(TiO2)等の金属酸化物の保護被膜を形成
することが、特開平3−77258号公報に開示されて
いるような構成をもって行われている。
【0003】一方、包装容器等の表面殺菌や水の表面殺
菌などには、254nmの紫外線(殺菌線)を放射する
比較的電極間距離が長い(1m程度)低圧水銀放電灯が
用いられる。又、この種の放電灯の発光管としては殺菌
線の透過率特性のよい石英ガラス管が用いられている。
ところで、このような構成の低圧水銀放電灯において、
発光管に保護膜を設けない場合、発光管の黒化が生じる
が、発光管の黒化現象は次のような過程で起こることが
判明した。
【0004】一般的な低圧水銀放電灯の構成図である図
8において、21は石英ガラスからなる発光管で、22
は発光管の両端に配置されたタングステンフィラメント
と陽極からなる電極である。該発光管中に封入された水
銀は、フィラメントから放出された熱電子の衝突によっ
てエネルギーを受け取り励起する。励起した大部分の水
銀原子は、そのエネルギーを波長185nmや254n
mの光として放出するが、ごく一部の水銀原子は電離エ
ネルギーを得てイオン化し、発光管の電界中で加速され
て発光管を構成している石英ガラスの中にイオンの状態
で浸入し、石英ガラスの表層に分散する。又、この水銀
イオンは石英ガラス中で電子を受け取り中性化し固定さ
れる。そして、発光管内の水銀蒸気から放出された光は
石英ガラス中に固定された水銀により吸収され、そのエ
ネルギーは熱エネルギーとして石英ガラス中に発散され
てしまうため、石英ガラスの透過率が低下し、黒化した
放電灯の放射効率は低下するようになる。又、水銀原子
が石英ガラス中に分散されているために石英ガラスは黒
褐色に着色して見えることが判った。
【0005】また、前記公開公報に開示されているよう
に発光管の内表面にAl23,TiO2等の金属酸化物
の薄膜を形成し黒化を抑制することは良く知られてお
り、こうした被膜は石英ガラスに比べてその組成が密で
あるため、水銀イオンの衝突に対する耐性が高く、水銀
イオンの浸入による黒化速度が大幅に遅くなるために、
低圧水銀放電灯の寿命改善に大きく寄与するものであ
る。
【0006】そして、Al23やTiO2の金属酸化物
薄膜は、金属アルコキシドの溶液をディップ法により塗
布し、焼き付けることで容易に物体の表面に形成するこ
とができる。このように形成された金属酸化物膜の組成
は密で物理的、化学的に安定いており耐食性があるた
め、色々な物体の表面改質、改善などの用途で使われる
ことが多い。又、Al23,TiO2などの金属酸化物
の薄膜は金属アルコキシド溶液への塗布、焼付け方法
(ゾルゲル法)によっても容易に得られるが、溶液の濃
度、粘度あるいは引き上げ速度等を調整することで、膜
厚を通常0.1〜1μmの範囲でコントロールすること
が可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、低圧水銀放
電灯の黒化抑制を目的として薄膜を形成する場合、水銀
イオンの衝突、浸入する深さ(エネルギー)に対して十
分な膜厚がないと、黒化抑制の効果が十分に得られない
ことが以下の実験により明らかになった。実験を行った
ランプの主な仕様は次の通りである。図8において発光
管は全長約900mmの石英製発光管21からなり、そ
の両端にはタングステンフィラメントと陽極からなる電
極22が840mmの距離で設置されている。発光管端
部は電極に通電するためモリブデン箔を介して溶封され
ており、ランプ電力は400W、ランプ負荷は約5W/
cmの設計になっている。また、発光管の外側にはさら
に石英製の外管23がかぶさっており、外管と発光管の
間に温度が一定に保たれた純水24が流されて、水銀蒸
気圧をコントロールしている。発光管に封入されている
水銀は、フィラメントから放出された熱電子によりエネ
ルギーを受け取り励起し、そのエネルギーを185nm
や254nmの波長の光として放射する。電極から約2
0mmのところまでは負グロー領域及びファラデー暗部
領域であり、殺菌線は放射されない。両端の電極から2
0mmずつ内側の部分は陽光柱とよばれる領域で殺菌線
を効率よく放射する。そのため図8における放電灯では
陽光柱にあたる800mmを有効発光長としている。そ
して発光管の内面にゾルゲル法により発光管の有効発光
部に0.1〜0.3μmの厚さのAl23膜25を形成
した低圧水銀放電灯を試作し、2000時間の寿命試験
を行ったところ、発光管全体から放射される殺菌線(2
54nm)の維持率について表1のような結果が得られ
た。
【0008】
【表1】
【0009】表1に示すように、膜厚が0.15μm以
上で殺菌線維持率は90%以上の高水準を示すが、寿命
試験をした放電灯の発光管の各部位の様子を詳細に調査
したところ、図9に示されるように発光管の中央部付近
の黒化が最も大きく、両端に行くほど黒化は少なくなっ
ていた。又、両端部の黒化は電極から150mmのとこ
ろまではほとんどなく、そこから中央部に向かって黒化
が徐々に大きくなっている。更に、中央部の黒化の度合
は膜厚が薄いほど大きく、膜厚が0.15μm以下では
黒化の傾向は顕著であり、前記した殺菌線出力動程図に
示される通りである。一方、膜厚が0.15μm以上の
場合は黒化が少なく殺菌線照度の動程も安定している。
但し、これらの放電灯もその度合は少ないながら中央部
が黒化する傾向にあり、膜厚が0.20〜0.30μm
の範囲では2000時間における中央部の照度維持率は
約90%である。こうした局部的な黒化現象は、この種
放電灯の動作中の発光管内において生成される水銀イオ
ンのうち比較的高い運動エネルギーをもった水銀イオン
の密度が発光管の中央付近で高いためと推定される。
【0010】一方、Al23やTiO2の金属酸化物の
薄膜はゾルゲル法により、石英製の発光管の内面に形成
される。ゾルゲル法による薄膜形成における原材料は金
属(M)の有機化合物をエタノールや酢酸エチルなどの
有機溶媒に溶解させたものであり、その溶液を石英管の
中に満たし、液面が一定の速度で降下するように溶液を
取り除く。そして、濡れた状態の石英管を乾燥器にいれ
余分な溶媒を蒸発させゲル状の膜にする。通常、ゲル膜
は空気雰囲気中で焼成される。このとき炭素(C)や水
素(H)及び水酸基(−OH)は酸素と反応して炭酸ガ
スや水蒸気になって蒸発する。残った金属成分も酸化さ
れるが焼成条件下における蒸気圧が低いためガラスの表
面上に残ってゆく。そして金属酸化物(MO2)は隣合
う金属酸化物と結合しあい(−O−M−O−)、金属酸
化物の薄膜はポーラスな状態から密に結合しあう状態へ
移行する。
【0011】発光管の表面にこうした金属酸化物の薄膜
が形成された放電灯は前記の通り、高い殺菌線出力維持
率を示すが、有機物を含む材料を使用するため薄膜形成
時に未分解のガス成分(C,H,−OH)が薄膜中に閉
じ込められ、発光管に加工した後にランプが点灯するこ
とによって生じるプラズマによって薄膜自体が活性化さ
れ微量ではあるが閉じ込められたガス成分が不純ガスと
なって放出され、図10に示すようにランプの始動特性
を悪くする問題がある。
【0012】前記した問題点をまとめると、発光管の内
表面にAl23やTiO2の薄膜をゾルゲル法によって
形成した低圧水銀放電灯において、薄膜の厚さが0.1
5μmよりも小さいと発光管中央部の黒化現象が生じ
て、殺菌線出力の局部的な低下による発光管長手方向の
殺菌線出力が不均一となり、使用の際、発光管管軸の法
線と平行に包装材料(ワーク)を流し殺菌する場合には
部分的な未殺菌部を生じさせてしまう問題があり、逆に
膜厚が大き過ぎると薄膜から発生するガス成分により、
ランプの始動電圧が高くなって不点となりランプ寿命が
短くなるという欠点が生じ、紫外線殺菌装置のメンテナ
ンスやランニングコストの上昇のにつながるという問題
がある。
【0013】本発明は前記に鑑みてなされたもので、発
光管内表面に黒化現象を防止するために形成された金属
酸化物薄膜を形成した低圧水銀放電灯において、寿命期
間を通して良好な殺菌線出力特性を維持することができ
るばかりでなく、放電灯の寿命特性を改善することがで
き、紫外線殺菌装置に用いる放電灯として最適な低圧水
銀放電灯及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、両端に電極を
封着し内部に少なくとも水銀を封入してなる長尺状の発
光管の内表面にAl、TiOの薄膜を被着し、
該発光管中央部に形成する薄膜は、発光管の端部よりも
厚く形成することを特徴とする。又、前記発光管の内表
面の厚膜部が発光管両端の電極間距離である有効発光長
に対して1/3から1/2の長さで、前記厚膜部の膜厚
が0.2μm〜0.3μmであり、発光管端部の膜厚が
0.1μm〜0.15μmであることを特徴とする。
【0015】又、本発明に係わる低圧水銀放電灯の製造
方法は発光管の内表面にゾルゲル法により薄膜を形成す
るに際し、第一層目として管全体に膜を形成し、第二層
目を塗布乾燥させる焼成前に発光管中央部の膜厚部以外
の部分を有機溶剤に浸漬して溶解除去し、その後焼成す
ることにより前記膜厚部を形成することを特徴とする。
更に、本発明に係わる製造方法は発光管の内表面にゾル
ゲル法により薄膜を形成するに際し、第一層目として管
端部から中央部に対して発光管全長の約1/3から1/
4の長さの部分を残して膜を形成し、第二層目は発光管
を反転させて前記同様の操作を行い、0.1μm〜0.
15μmの膜を発光管中央部で重ねることにより前記膜
厚部を形成することを特徴とする。
【0016】
【作用】前記構成により、発光管の中央付近の膜厚が厚
くなっているので、中央付近での黒化による局部的な透
過率低下が抑制されるために殺菌線照度低下が少なく、
寿命末期においても有効発光長全体にわたってほぼ均一
な照度分布が得られ、紫外線殺菌装置における均整度の
低下を防止することができる。又、黒化による照度低下
の少ない部分には余分な厚さの膜を形成していないの
で、膜からのガス放出が少なくランプの始動性への影響
が少なく、安定した始動特性が得られる。更に、膜厚の
制御が容易なゾルゲル法を用いることにより、全長が長
い発光管の内面に数層の積層した金属酸化物薄膜を容易
に形成することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を図面に基づき説明する。図1
は、本発明に係わる低圧水銀放電灯用発光管に加工され
る前の石英管の断面を示す図である。長さ900mm、
内径15mmの石英管1にアルミニウムアルコキシド
(Al(OC373)のエタノール溶液(濃度0.1
2mol/l、以下ゾルゲル液という)を上端から30
0mmのところまで注ぎこみ、毎分100mlの速度で
下端から流し出す。その後、ゾルゲル液で濡れた石英管
を80〜100℃に加熱して溶媒を蒸発させゲル膜をと
し、石英管を空気中で600℃以上に加熱するとゲル膜
が酸化されて厚さ0.1μmのAl23膜2が形成され
る。この後、石英管の上下を反転させて前記と同様の操
作を繰り返せば図1に示されるような、全長900mm
の内、中央部の300mmが0.2μmで、両端の30
0mmが0.1μmの厚さのAl23膜が形成された石
英管が作成される。又、他の製造方法として、あらかじ
め発光管の内表面全体に薄膜を形成した後、2層目を塗
布乾燥して液膜をゲル化する。そして、石英管の両端か
ら300mmのゲル膜の内余分な部分を有機溶剤に浸漬
して除去し、焼成することにより前記と同様な発光管が
得られる。なお、作業性は前者の方が良い。
【0018】図2は、本発明の実施例である低圧水銀放
電灯の加工前の発光管の断面を示す図である。図中3は
前記したアルミナ膜2を形成した内径15mmの石英ガ
ラスからなる管入力400W用の発光管で、該発光管3
の両端には例えばBa,Ca,Srの炭酸塩を塗布した
タングステンフィラメント4a,4bがリード線を兼ね
たフィラメント支柱5a,5bによる支持され、該支柱
5a,5bはモリブデン箔6a,6bを介して発光管3
の外部リード線7a,7bに継線され、溶封されてい
る。又、フィラメント支柱5a,5bには陽極8a,8
bが溶接されており、フィラメント4a,4bと陽極8
a,8bとで、それぞれ電極を構成している。更に、こ
の実施例における発光管の電極間距離は840mmと
し、負グロー領域及びファラデー暗部は電極から約20
mmの部分までであり、従って有効発光部は両電極から
20mmずつ内側の領域であり、有効発光長は800m
mとなっている。
【0019】又、発光管3には電極のフィラメントの先
端から約20mmで有効発光部となる領域以外の位置に
排気管9が接続されている。なお、発光管3の内表面に
は前記したゾルゲル法によってアルミナ膜2が、端部で
0.1μm,中央部で0.2μmの膜厚により形成され
ている。まず、発光管3の有効発光部以外のいずれか一
方の部分に設けられた排気管9を介して真空ポンプを用
いて発光管内を真空にした後、タングステンフィラメン
ト4a,4bにリード線7a,7bを介して電流を流
し、抵抗加熱することによってタングステンフィラメン
トに塗布している炭酸塩を加熱分解して炭酸ガスを放出
させ、排気してタングステンフィラメント上に電子放出
性物質であるBa,Ca,Srの酸化物を生成させる。
次に、排気管9を通して始動用ガスであるアルゴンガス
を約1torr、水銀を約20mg封入した後、排気管
をチップオフ9aして真空ポンプから切り放す。これに
より、図3に示すような低圧水銀放電灯の発光管が得ら
れる。そして、本実施例では発光管のランプ電圧は約7
5Vで、ランプ電流を約6A通じてランプ電力400W
で点灯させる。この場合、発光管全体から放射される殺
菌線のエネルギーは初期で約60Wである。このように
して製作したランプの始動にあたっては両電極間に40
0Vの電圧をかけることにより点灯を開始させる設計に
なっている。
【0020】次に、このように構成した発光管からなる
低圧水銀放電灯を紫外線殺菌ランプ装置として使用する
場合は、図4(a)及びその断面を表す図4(b)に示
すように、発光管3は石英ガラス製の外管11内に間隔
をおいて収納し、外管11の両端には、発光管冷却用純
水の出入口となる継ぎ手12a,12bが接続され、発
光管1と外管11の間隙部には、ポンプ、クーラー、ヒ
ーター等で構成される水制御装置(図示せず)により約
40℃の温度に調整された純水13が循環されるように
なっている。又、発光管3を収納した外管11は発光管
から放射される殺菌線を有効に利用するために反射板1
4を備え、発光管の有効発光部以外はマスクするように
窓部15を設けた点灯ボックス16内に配置され、包装
材料などのワーク17に窓部を対向させて設置されるよ
うになっている。なお、発光管3の中心からワークの表
面までの距離は、通常数mmから数十mm程度である。
【0021】図5は発光管全体から放射される殺菌線の
出力維持率の動程を示す図で、曲線Aは本発明に係わる
発光管の特性図であり、曲線B,Cはそれぞれ発光管全
体に均一に0.1μm及び0.3μmのアルミナ膜を形
成した従来品の特性を示している。膜厚の薄いものとは
明らかに殺菌線出力維持率に差がみられ、厚いものと同
等の特性を示している。この差は特に透過率低下の大き
い発光管中央部に十分に厚いアルミナ膜を形成すること
により、イオン化した水銀の侵入による黒化を抑制した
ためである。
【0022】次に、図6は2000時間点灯後の発光管
の長手方向の初期値に対する殺菌線照度相対値の分布を
示す図である。曲線Aは本発明による低圧水銀放電灯の
特性を示し、曲線B,Cはそれぞれ発光管の有効発光部
全体に均一に0.1μm及び0.3μmのアルミナ膜を
形成した従来品の特性を示している。アルミナ膜の厚さ
が薄い場合には中央部における殺菌線照度相対値は約7
0%まで低下する。低圧水銀放電灯が包装材料の表面殺
菌に利用される場合、なるべく高い殺菌線照度を得て、
殺菌処理効率を上げるため、ワークは発光管から近距離
で使用される。そのため、図6の曲線Bのように照度む
らがあるとワークに未殺菌部を生じさせたり、殺菌線照
度の低い部分で殺菌に必要な照度を得るためにワークを
移動させる速度を低下させなければならなくなり、殺菌
装置全体の効率的な運転が出来なくなる。殺菌装置の高
速な処理速度を必要とすれば、早い時間での放電灯の交
換が要求され、結果的に放電灯の寿命が短くなってしま
う。これに対し、本発明に係わる放電灯は、有効発光部
における金属酸化物被膜は中央部の膜厚が厚くなってい
るため照度低下が少なく、発光管長手方向の殺菌線照度
分布は、図6の曲線Aで示すように均整度が良くなり、
それによる放電灯の寿命特性の改善効果は大きい。
【0023】更に、図7は点灯時間経過に伴う放電灯の
残存率を示す図である。曲線Aは本発明による低圧水銀
放電灯の特性を示し、曲線B,Cはそれぞれ発光管内表
面に均一に0.1μm及び0.3μmのアルミナ膜を形
成した従来品の特性を示している。膜厚が大きくなれ
ば、点灯時間に応じて水素、酸素、水蒸気及び炭酸ガス
のガス放出が多くなり、それら不純ガス濃度が高くなる
とランプの始動電圧が上昇していく。そして、始動電圧
が400Vに近づいて来るとランプが不点となる確率が
高くなり、放電灯の寿命は短くなる。
【0024】
【発明の効果】以上、実施例に基づいて説明したよう
に、本発明によれば、ランプの始動特性性にほとんど影
響することなく、寿命期間中にわたって発光管中央部の
黒化による照度低下と均斉度の低下が生じず、長寿命の
低圧水銀放電灯を実現することができる。そして、表面
殺菌等の紫外線殺菌装置用放電灯として最適な低圧水銀
放電灯を得ることができる。又、ゾルゲル法を用いるこ
とにより、長尺状の発光管内面に金属酸化物薄膜を強固
に形成することができ、加工性が良好な低圧水銀放電灯
の製造方法を得ることができ、その産業上の利用価値は
大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる低圧水銀放電灯用発光管に加工
される前の石英管の断面を示す図である。
【図2】本発明に係わる実施例の低圧水銀放電灯の発光
管を示す要部断面図である。
【図3】同じく低圧水銀蒸気放電灯の発光管を示す要部
断面図である。
【図4】同じく図3に示す発光管を用いた紫外線殺菌装
置の構成例を示す平面図及びその断面図である。
【図5】本発明及び従来の放電灯の発光管全体から放射
される殺菌線の出力維持率の動程を示す特性図である。
【図6】本発明及び従来の放電灯の2000時間点灯後
の発光管の長手方向の初期値に対する殺菌線照度相対値
の分布を示す特性図である。
【図7】本発明及び従来の放電灯の残存率を示す特性図
である。
【図8】従来の低圧水銀放電灯の発光管の構成例を示す
要部断面図である。
【図9】従来例の寿命試験における発光管各部位での殺
菌線出力維持率を示す特性図である。
【図10】従来例の寿命試験における始動電圧の経時的
変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 石英管 2 アルミナ膜 3 発光管 4a,4b タングステンフィラメント 5a,5b フィラメント支柱 6a,6b モリブデン箔 7a,7b リード線 8a,8b 陽極 9 排気管 11 外管 12a,12b 継手 13 純水 14 反射板 15 窓部 16 点灯ボックス 17 ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−77258(JP,A) 特開 平4−332456(JP,A) 特開 平5−151940(JP,A) 特開 平7−21989(JP,A) 特開 平7−65796(JP,A) 特開 平8−96754(JP,A) 特開 昭49−20972(JP,A) 特開 昭55−105944(JP,A) 特開 昭60−89033(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/35 H01J 9/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両端に電極を封着し内部に少なくとも水
    銀を封入してなる長尺状の発光管の内表面にAl
    、TiO の薄膜を被着し、該発光管中央部に形
    成する薄膜は、発光管の端部よりも厚く形成することを
    特徴とする紫外線殺菌用低圧水銀放電灯。
  2. 【請求項2】前記発光管の内表面の厚膜部が発光管両端
    の電極間距離である有効発光長に対して1/3から1/
    2の長さで、前記厚膜部の膜厚が0.2μm〜0.3μ
    mであり、発光管端部の膜厚が0.1μm〜0.15μ
    mであることを特徴とする請求項第1項記載の紫外線殺
    菌用低圧水銀放電灯。
  3. 【請求項3】発光管の内表面にゾルゲル法により薄膜を
    形成するに際し、第一層目として管全体に膜を形成し、
    第二層目を塗布乾燥させる焼成前に発光管中央部の膜厚
    部以外の部分を有機溶剤に浸漬して溶解除去し、その後
    焼成することにより前記膜厚部を形成することを特徴と
    する紫外線殺菌用低圧水銀放電灯の製造方法。
  4. 【請求項4】発光管の内表面にゾルゲル法により薄膜を
    形成するに際し、第一層目として管端部から中央部に対
    して発光管全長の約1/3から1/4の長さの部分を残
    して膜を形成し、第二層目は発光管を反転させて前記同
    様の操作を行い、0.1μm〜0.15μmの膜を発光
    管中央部で重ねることにより前期膜厚部を形成すること
    を特徴とする紫外線殺菌用低圧水銀放電灯の製造方法。
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