JP3647566B2 - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル樹脂組成物、該組成物を用いてなるフイルム、包材、積層体および容器に関する。より詳細には、本発明は、ヒートシール性、過酸化水素に対する耐性、フレーバーバリヤー性、伸度や強度などの機械的特性に優れるポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどに関するものであり、本発明のポリエステル樹脂組成物やフイルムなどは前記した特性を活かして、果汁飲料などの香気成分を含有する飲料容器の包材をはじめとして、種々の用途に有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
使用済みプラスチック容器の処理が大きな社会問題となっており、かかる点からプラスチック容器に比べて焼却処理や再生処理が比較的簡単に行える紙容器に対する要望が高まっている。このことはジュース用容器などの飲料用容器の分野でも例外ではなく、例えばジュースなどの容器では樹脂フイルムで内面を被覆した紙容器が一般に広く用いられている。その場合に紙容器の内面に被覆する樹脂フイルムとしては、オレフィン系樹脂が一般的に用いられているが、オレフィン系樹脂で内面を被覆した紙容器を果汁飲料などのような香気成分を含有する飲料容器に使用すると、香りが失われたり味が変化するなどの問題が生ずることがある。
【0003】
そこで、オレフィン系樹脂に代えて、紙容器の内面に共重合単位を5〜20モル%程度含有する変性ポリエチレンテレフタレート層を有するポリエステル樹脂積層体を被覆することが提案されている(特開平3−133638号公報)。この場合には、ポリエステル樹脂が本来有するガスバリヤー性、フレーバーバリヤー性などの特性によって紙容器に充填された飲料などの香りや味はある程度良好に保たれる。しかし、上記した変性ポリエステル樹脂積層体からなる被覆層は、紙容器の製造工程において広く採用されている過酸化水素による殺菌処理を行うと、膨潤したり、該ポリエステル樹脂積層体被覆層中に気泡が生じたり、紙基材との間に剥離が生ずるなどのトラブルを生じ易く、それに伴って紙容器製造時の加工性、工程通過性などが著しく不良になるという欠点がある。しかも、膨潤したポリエステル樹脂積層体中に含まれる過酸化水素が紙容器に充填された内容物中に移行し、食品の品質や安全性の低下を招く恐れがあるなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリエステル樹脂が本来有するガスバリヤー性やフレーバーバリヤー性などの特性を良好に保持しつつ、過酸化水素による殺菌処理を施したときにも、膨潤、気泡の発生、基材からの剥離などの問題が生じず、しかもヒートシール性に優れていて、紙などの基材に強固に且つ円滑に接着積層させることができ、伸度などの機械的特性にも優れていて取り扱い性に優れるフイルムなどを得ることのできるポリエステル樹脂組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、上記したポリエステル樹脂組成物からなるフイルムなどの成形品や包材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、オレフィン系重合体および相容化剤を特定の割合で含有し、且つ特定の要件を満足するようにしてそれらを溶融混合して得られるポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどが、ポリエステル樹脂本来の良好なガスバリヤー性やフレーバーバリヤー性を有し、しかも過酸化水素による膨潤、気泡の発生、基材からの剥離などの欠点がなく、その上ヒートシール性、伸度などの機械的特性に優れていること、したがって該ポリエステル樹脂組成物またはそれよりなるフイルムを紙容器などの内面被覆材として用いると、果汁飲料やその他の食品に用いるのに適する包材や容器などが得られることを見出して本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、(i)エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(A)、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびナフタレンジカルボン酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体並びに相容化剤を含有するポリエステル樹脂組成物であって;
(ii) ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を下記の数式(1)および数式(2):
A+B=100 (1)
0.25≦B/A≦4 (2)
[式中、AおよびBはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の含有量(重量部)を表す。]
を満足する割合で含有し;
(iii) オレフィン系重合体および相容化剤を下記の数式(3)および数式(4):
10≦X+Y≦100 (3)
1≦X/Y≦90 (4)
[式中、XおよびYはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計量(100重量部)に対するオレフィン系重合体および相容化剤の含有量(重量部)を表す。]
を満足する割合で含有し;かつ
(iv) 下記の数式(5):
E/F≦1 (5)
但し、E=(X+Y)(ηaA+ηbB)/(A+B)(ηxX+ηyY)
F=Dxy(ADb+BDa)/Dab(XDy+YDx
[式中、A、B、XおよびYは上記定義のとおりであり、ηa、ηb、ηxおよびηyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の溶融混合温度における溶融粘度(ポイズ)を表し、Da、Db、DxおよびDyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の25℃における密度を表す。]
を満足するように溶融混合して得たものである;
ことを特徴とするポリエステル樹脂組成物である。
【0007】
そして、本発明は、上記のポリエステル樹脂組成物から形成されたフイルムであり、本発明のフイルムは食品に対して好ましく用いられる。
さらに、本発明は、上記のポリエステル樹脂組成物を用いてなる包材、上記のポリエステル樹脂組成物層および紙層を有する積層体、並びに上記のポリエステル樹脂組成物で内面を被覆した紙容器を包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の主成分をなすポリエステル樹脂は、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(A)、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびナフタレンジカルボン酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(B)からなる。
【0009】
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)において、ガスバリヤー性およびフレーバーバリヤー性を良好なものとするために、テレフタル酸単位の割合はポリエステル樹脂の全構造単位の合計モル数に基づいて10〜50モル%であるのが好ましく、20〜50モル%であるのがより好ましい。また、エチレングリコール単位の割合は10〜50モル%であるのが好ましく、20〜50モル%であるのがより好ましい。同様の観点から、本発明で用いるポリエステル樹脂(B)において、ナフタレンジカルボン酸単位の割合はポリエステル樹脂の全構造単位の合計モル数に基づいて10〜50モル%であるのが好ましく、20〜50モル%であるのがより好ましい。また、エチレングリコール単位の割合は10〜50モル%であるのが好ましく、20〜50モル%であるのがより好ましい。
【0010】
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)は、ヒートシール性、ガスバリヤー性、フレーバーバリヤー性などの特性を損なわない範囲内で上記した以外の構造単位を有していてもよい。そのような他の構造単位としては、例えばジエチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量400〜30000)、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオールから誘導されるジオール単位;イソフタル酸、パラフェニレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体から誘導されるジカルボン酸単位を挙げることができ、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)は前記した他の構造単位の1種または2種以上を有することができる。一般に、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)中における上記した他の構造単位の割合は、全構造単位の合計モル数に基づいて、約10モル%以下であるのが好ましい。
【0011】
また本発明で用いるポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)としては、極限粘度(フェノール/テトラクロロエタンの等重量混合溶媒中30℃で測定)が0.60〜1.00のものを用いるのが、フイルム成形性とフイルム強度の点から好ましい。
【0012】
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、第3の成分としてオレフィン系重合体を含有する。オレフィン系重合体としては、フイルムの強伸度、過酸化水素による殺菌時のフイルムの膨潤抑制などの点からエチレン系重合体が好ましく用いられ、その例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。その中でも、高密度ポリエチレンがフイルム成形時の膜切れを抑制する点からより好ましく用いられる。また、限定されるものではないが、本発明ではオレフィン系重合体として、そのメルトフローレイト(MFR)が約1〜3g/10分のものを使用するのがフイルム成形時のネックインを抑制する点から好ましい。
【0013】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、第4の成分として、相容化剤を含有する。相容化剤は、ポリエステル樹脂組成物中で、マトリックス相を形成するポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)[以下、これらを総称してポリエステル樹脂ということがある。]中にオレフィン系重合体からなる分散相を微分散させ、且つポリエステル樹脂相とオレフィン系重合体相の界面接着性を向上させる目的で用いられる。相容化剤としては、ポリエステル樹脂に対して親和性を有する構造部分とオレフィン系重合体に対して親和性を有する構造部分を分子中に有する高分子物質が好ましく用いられ、例えば、ポリエステル樹脂に対して親和性を有する高分子部分とオレフィン系重合体に対して親和性を有する高分子部分を分子中に有するブロック共重合体やグラフト共重合体、ポリエステル樹脂中の末端水酸基および/または末端カルボキシル基と反応性の基を分子中に有し且つオレフィン系重合体との親和性の高い高分子物質が好ましく用いられる。
【0014】
その中でも、相容化剤としては、(イ)エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(ロ)エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋構造体(イオノマー)、(ハ)カルボキシル基またはその誘導体基を有するスチレン/エチレン/ブタジエン共重合体とスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、(ニ)カルボキシル基またはその誘導体基を有するオレフィン系重合体ブロックとスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体などの重合体が特に好ましく用いられ、本発明のポリエステル樹脂組成物はこれらの重合体相容化剤の1種または2種以上を含有することができる。
【0015】
相容化剤として挙げた上記(イ)のエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体としては、エチレン/アクリル酸共重合体が好ましく、その場合にはアクリル酸の共重合量が4〜15重量%であるのが、ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフイルムなどの機械的物性が良好になる点からより好ましい。アクリル酸の共重合量が4重量%未満であると、ポリエステル樹脂相およびオレフィン系重合体相の両方と十分な親和性を示さず、ポリエステル樹脂組成物およびそれから形成されるフイルムなどの機械的物性などが低下したものとなり易い。一方、エチレン/アクリル酸共重合体におけるアクリル酸の共重合量が15重量%を越えると、ポリエステル樹脂組成物中にゲル状物が発生する場合がある。
【0016】
また、相容化剤として挙げた上記(ロ)のエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋構造体(イオノマー)としては、エチレン/メタクリル酸共重合体のナトリウムイオン架橋構造体または亜鉛イオン架橋構造体が好ましく用いられ、その場合には該イオノマー中のメタクリル酸の共重合量が5〜15重量%であるのが、ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフイルムなどの機械的特性、ゲル状物の発生防止などの点から好ましい。
【0017】
また、相容化剤として挙げたカルボキシル基またはその誘導体基を有する(ハ)および(ニ)のブロック共重合体は、スチレン/エチレン/ブタジエン共重合体ブロックとスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体、またはオレフィン系重合体ブロックとスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体を、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸イミドなどのカルボン酸またはその誘導体を用いて変性したものであり、そのうちでも無水マレイン酸で変性した前記ブロック共重合体が好ましく用いられる。その場合に、ブロック共重合体における無水マレイン酸による変性量は、ブロック共重合体の全重量に基づいて0.5〜3重量%であるのが、ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフイルムなどの機械的物性、ゲル状物の発生防止などの点から好ましい。
【0018】
また、本発明で用いる上記したような重合体相容化剤は、メルトフローレイト(MFR)が約1〜3g/10分であるのがフイルム強度の点から好ましい。
【0019】
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を下記の数式(1)および数式(2)を満足する割合で含有することが必要である。
A+B=100 (1)
0.25≦B/A≦4 (2)
[式中、AおよびBはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の含有量(重量部)を表す。]
すなわち、本発明のポリエステル樹脂組成物においては、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計含有量(A+B)が100重量部であり、且つポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の含有量比(B/A)が0.25〜4の範囲内であることが必要である。ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の含有量比(B/A)が0.25未満の場合、または4を越える場合には本発明のポリエステル樹脂組成物から得られるフイルムにヒートシール性が発現されない。ヒートシール性を効果的に発現する点から、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)の含有量比(B/A)は0.5〜2の範囲内であるのがより好ましい。
【0020】
また本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したオレフィン系重合体および相容化剤を下記の数式(3)および数式(4)を満足する割合で含有することが必要である。
10≦X+Y≦100 (3)
1≦X/Y≦90 (4)
[式中、XおよびYはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計量(100重量部)に対するオレフィン系重合体および相容化剤の含有量(重量部)を表す。]
【0021】
ポリエステル樹脂組成物におけるオレフィン系重合体および相容化剤の合計含有量(X+Y)が、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計含有量(100重量部)に対して10重量部未満であって上記数式(3)から外れる場合には、過酸化水素に晒された時にポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどに過酸化水素が吸収されて、膨潤、気泡の発生、紙などの基材からの剥離などが生ずる。一方、ポリエステル樹脂組成物におけるオレフィン系重合体および相容化剤の合計含有量(X+Y)が、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計含有量(100重量部)に対して100重量部を越えていてやはり上記の数式(3)から外れる場合には、ポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどのガスバリヤー性、フレーバーバリヤー性が損なわれる。本発明のポリエステル樹脂組成物では、ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計含有量(100重量部)に対して、オレフィン系重合体および相容化剤の合計含有量が30〜70重量部であるのが、過酸化水素に対する耐性(以下「耐過酸化水素性」ということがある)を良好にして、膨潤、気泡の発生、基材からの剥離などを効果的に防止でき、且つガスバリヤー性およびフレーバーバリヤー性を一層良好なものにできる点からより好ましい。
【0022】
また、ポリエステル樹脂組成物におけるオレフィン系重合体と相容化剤の含有比率(X/Y)が上記数式(4)から外れて1未満であると、ポリエステル樹脂組成物中における相容化剤の含有量が高くなり過ぎてゲル状物を発生する。一方、ポリエステル樹脂組成物中におけるオレフィン系重合体と相容化剤の比率(X/Y)が数式(4)から外れて90よりも大きいと、ポリエステル樹脂組成物中における相容化剤の含有率が低くなり過ぎて、ポリエステル樹脂相とオレフィン系重合体相との間の相容化が達成されなくなり、ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフイルムなどの物性、例えば機械的強度、伸度などの機械的特性が損なわれる。本発明のポリエステル樹脂組成物では前記の比率(X/Y)が1〜40の範囲内であるのがより好ましい。
【0023】
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記した要件と共に、さらに、下記数式(5)を満足するように溶融混合して得たものであることが必要である。
E/F≦1 (5)
但し、E=(X+Y)(ηaA+ηbB)/(A+B)(ηxX+ηyY)
F=Dxy(ADb+BDa)/Dab(XDy+YDx
[式中、A、B、XおよびYは上記定義のとおりであり、ηa、ηb、ηxおよびηyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の溶融混合温度における溶融粘度(ポイズ)を表し、Da、Db、DxおよびDyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の25℃における密度を表す。]
【0024】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体、相容化剤および必要に応じて他の成分を溶融下に混合してポリエステル樹脂組成物を調製し、且つその際に上記の数式(5)が満たされるようにして溶融混合を行うことが必要である。そのためには、例えば、ポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の混合量の調整、適合する密度を有する前記4つの成分(重合体)の選択、実際に採用される溶融混合温度において上記の数式(5)を満たし得る粘度を示す各成分の選択、ポリエステル樹脂組成物を形成するための溶融混合温度などを適当なものとすることが必要であり、前記した点を考慮しながら適当な重合体の選択や溶融混合条件を採用することによって、上記の数式(5)を満たす本発明のポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
【0025】
上記したE/Fの値が1よりも大きくて数式(5)を満たしていないポリエステル樹脂組成物およびそれから得られるフイルムなどは、たとえポリエステル樹脂組成物が溶融混合により調製されたものであっても、フレーバーバリヤー性が低いものとなる。その理由は明確ではないが、E/Fの値が1よりも大きいとポリエステル樹脂組成物中でポリエステル樹脂がマトリックスを形成せず、オレフィン系重合体および/または相容化剤がマトリックスを形成することになってポリエステル樹脂が本来有しているフレーバーバリヤー性が発揮されないことによるものと推定される。ポリエステル樹脂組成物における上記したE/Fの値が小さいほど、ポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフイルムなどのフレーバーバリヤー性は良好になるが、一方でE/Fの値があまりに小さ過ぎると、耐過酸化水素性が低下するなどの問題が生ずる傾向にあるので、E/Fの値は0.1〜1であるのが好ましい。
【0026】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの汎用ポリエステル樹脂を製造するのに一般的に採用されている方法に準じて製造することができ、特に制限されない。例えば、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主体とするジカルボン酸またはその低級アルキルエステルからなるジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主体とするジオール成分とからなるポリエステル樹脂形成用原料を用いて、エステル化反応またはエステル交換反応させて低重合体を製造した後、この低重合体を溶融重縮合させてポリエステルを製造し、それをさらに所望により固相重合することによって、ポリエステル樹脂(A)またはポリエステル樹脂(B)を製造することができる。
【0027】
限定されるものではないが、ポリエステル樹脂を得るための好ましい方法をより具体的に説明すると、上記した低重合体をエステル化反応によって製造する場合は、上記したポリエステル樹脂形成用原料を、常圧または絶対圧3kg/cm2以下の加圧下に約230〜280℃の温度でエステル化反応させるとよい。その場合に、ジカルボン酸成分:ジオール成分の使用割合は1:1〜1:1.5のモル比とするのが好ましい。また、エステル交換反応によって低重合体を製造する場合には、上記したポリエステル樹脂形成用原料を常圧またはその付近の圧力条件下に約160〜230℃でエステル交換反応させるとよい。その場合のジカルボン酸成分:ジオール成分の使用割合は、1:1〜1:3のモル比とするのが好ましい。
【0028】
また、低重合体からポリエステルを得るための上記した溶融重縮合は、通常、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンなどの重縮合触媒の存在下に約260〜290℃の温度で行うことができる。その場合に、三酸化アンチモンを500〜3000ppmの範囲内の量で用いてこの重縮合反応を行うと、過酸化水素で処理したときに気泡の発生のないポリエステルを得ることができるので好ましい。また、上記の溶融重縮合反応を、リン酸、亜リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン化合物をリン原子換算で50〜100ppm程度添加して行うと、得られるポリエステルの熱分解による着色や溶融成形時の分子量低下を防止したり、耐過酸化水素性を向上させることができるので好ましい。このような溶融重縮合によって通常、極限粘度0.50〜1.50dl/gのポリエステルが得られる。
【0029】
また、上記したエステル化反応、エステル交換反応、重縮合反応は、必要に応じて、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどのジエチレングリコール副生抑制剤を添加して行ってもよい。
【0030】
上記の溶融重縮合反応により得られたポリエステルは、一般にチップやペレットの形状にし、所望により190℃以下の温度で予備結晶化した後、固相重合に付すことができる。固相重合は、好ましくは、通常減圧下または窒素ガスなどの不活性ガスの流通下にチップ(ペレット)同士が融着しないように流動させながら約190〜240℃に加熱して行われる。得られるポリエステル樹脂の機械的特性および溶融成形時の粘度などを考慮すると、最終的に得られるポリエステル樹脂の極限粘度(フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒中30℃で測定)が約0.85〜1.20dl/gの範囲内になるようにして固相重合を行うのが好ましい。
そして、上記した一連の工程を行うことによって、本発明において好ましく用いられるポリエステル樹脂を得ることができる。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂組成物において、ポリエステル樹脂として、水、水蒸気または水蒸気含有ガスと接触させてその含有量が好ましくは2000ppm以上、より好ましくは5000ppm以上になるように含水させた後、それを好ましくは80〜150℃、より好ましくは100〜130℃の温度で樹脂中の含水量が好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下になるように乾燥したポリエステル樹脂を用いると、ポリエステル樹脂組成物やそれからなるフイルムなどを過酸化水素で処理しても、気泡の形成や基材からの剥離などを一層円滑に抑制できるので望ましい。
【0032】
また、オレフィン系重合体および相容化剤としては、ポリエステル樹脂と所定の温度で溶融混合した時に、上記した数式(5)を満足するポリエステル樹脂組成物を与えるものを、市販されているものなどのうちから選んで使用するとよい。
【0033】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内で、その用途などに応じて従来公知の各種添加剤を含有してもよく、例えば、加水分解防止剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤などを挙げることができる。ただし、本発明のポリエステル樹脂組成物を食品用紙容器の内面被覆材のように食品と直接接触して用いる場合は、安全性を十分考慮して添加剤の種類を選択する必要がある。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂組成物の調法としては、得られるポリエステル樹脂組成物中でポリエステル樹脂相がマトリックスを形成し、そのマトリックス中にオレフィン系重合体相が相容化剤の相容化作用によって均一に且つ微細に分散しているようにするために、上記した数式(5)を満足するような条件下に上記した成分を溶融混合することが必要である。そして、そのための溶融混合方法としては、例えば、ポリエステル樹脂(A)を重合槽中で製造した後に、その重合槽内に別途製造したポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤を加えて溶融混合してもよいが、生産性や均一性などの点を考慮すると押出機などの混練装置を用いるのが好ましい。その際の溶融混練温度は、物性の良好なポリエステル樹脂組成物が得られる点から220〜300℃程度であるのが好ましく、240〜280℃の範囲内であるのがより好ましい。ポリエステル樹脂組成物を調製する際の溶融混合温度が220℃未満であると、相容化剤中の官能基とポリエステル樹脂の末端水酸基やカルボキシル基などとの反応が充分に行われなくなって、物性に優れるポリエステル樹脂組成物やフイルムなどが得られにくくなり、一方、300℃を越える場合には、重合体の熱分解が著しくなって、やはりポリエステル樹脂組成物やそれからなるフイルムなどの物性が低下し易くなる。本発明のポリエステル樹脂組成物の形態は特に制限されないが、ペレットやチップなどの形態にしておくと各種の成形に便利に使用することができる。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂組成物は加熱溶融して、例えば、フイルム、シート、板状体、管状体、中空成形品、型成形品、積層体などの種々の成形品にすることができる。その際の成形法としては熱可塑性樹脂の成形に用いられる成形法のいずれもが使用でき、例えば押出成形法、流延成形法、押出ブロー成形法、射出成形法、射出ブロー成形法、カレンダー成形法、プレス成形法、各種の積層成形法などが挙げられる。
【0036】
上記の成形品のうちでも、本発明のポリエステル樹脂組成物はその良好なガスバリヤー性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性、耐過酸化水素性、機械的特性などを活かして、包装用フイルムやシート、ボトルやその他の形状の包装容器などとして特に有効に使用することができ、特に食品包装用のフイルム、シート、容器などとして適している。本発明のポリエステル樹脂組成物からフイルムやシートを形成する場合は、その厚さは特に制限されず、用途などに応じて適宜設定できるが、一般に約0.005〜1mm程度の厚さにしておくのがよい。
【0037】
本発明のポリエステル樹脂組成物からフイルムまたはシートを形成する場合は、熱可塑性樹脂を用いる従来既知のフイルムまたはシートの製造法のいずれもが採用でき、例えばTダイによる押出成形法、環状ダイから押出された筒状体内に流体を導入しながら成形を行うインフレーション押出成形法、流延成形法、カレンダー成形法、プレス成形法などを挙げることができる。そのうちでも、フイルムを工業的に大量に製造するためには、成形が容易であること、製品ロスが少ないこと、製造コストが低いなどの理由から、押出成形法が好ましく用いられる。そして、インフレーション押出成形法によってフイルムを製造する場合に、環状ダイから押出された筒状体内に導入する流体の圧力や量、押出されたフイルムの引き取り速度などを調節することによって、必要に応じて、延伸されたフイルムをインフレーション押出成形と同時に得ることができる。
【0038】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物よりなるフイルムやシートは、他の基材と2層または3層以上の積層体の形態にしてもよく、その場合の他の基材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン類、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、上記した以外のポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのような熱可塑性共重合体、紙、布帛、金属箔などを挙げることができ、これらの基材の1種または2種以上を用いることができる。その場合に、積層体の製造法も特に制限されず、例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法、ウエットラミネート法、ホットメルトラミネート法などの従来既知の積層法を採用すればよい。
【0039】
特に、紙材上に本発明のポリエステル樹脂組成物よりなるフイルム層を積層してなる積層体は、果汁飲料やその他の飲料用の紙容器材料として有効に使用することができ、本発明のポリエステル樹脂組成物よりなるフイルム層を内面に有する紙容器は、過酸化水素で殺菌処理した場合にも、膨潤、ポリエステル樹脂組成物層中での気泡の発生、紙基材とポリエステル樹脂組成物層との間の剥離が生じず、しかも紙容器内に充填された飲料の香りや味を長期にわたって、安全に且つ良好に保つことができる。
【0040】
【実施例】
以下に本発明を実施例などにより具体的に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下の例において、ポリエステル樹脂の固有粘度、各重合体の溶融粘度、並びにポリエステル樹脂組成物より得られたフイルムの過酸化水素による膨潤性、ガスバリヤー性、ヒートシール性および伸度は次のようにして測定または評価した。
【0041】
1.ポリエステル樹脂の固有粘度
フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶媒中、30℃でウベローデ粘度計(林製作所製[HRK−3型])を用いて測定した。
【0042】
2.各重合体の溶融粘度
各重合体を280℃に加熱して溶融し、キャピログラフ(東洋精機製作所製[キャピログラフIC型])を用いて測定した。
【0043】
3.フイルムの過酸化水素による膨潤性
以下の実施例または比較例のポリエステル樹脂組成物を用いて、温度280℃、プレス圧力100kg/cm2の条件下にプレス成形して厚さ100μmのフイルムを製造し、そのフイルムから縦×横=100mm×100mmの寸法の試験片を切り取り、それを35%過酸化水素中に75℃の温度で10秒間浸漬した後、試験片の端部を切除して縦×横=90mm×90mmの寸法にし、それを温度25℃の蒸留水400ml中に1時間浸漬して、蒸留水中に溶出した過酸化水素の濃度を試験紙を用いて測定して、過酸化水素による膨潤性の指標とした。
【0044】
4.フイルムのフレーバーバリヤー性
以下の実施例または比較例のポリエステル樹脂組成物を用いて、温度280℃、プレス圧力100kg/cm2の条件下にプレス成形して厚さ500μmのフイルムを製造し、そのフイルムから縦×横=20mm×50mmの寸法の試験片を切り取り、それをオレンジジュース(愛媛みかん「POMストレートジュース」)50ml中に25℃の温度で12日間浸漬した後、オレンジジュースからフイルムを取り出し、オレンジジュース中に残存していたリモネン量を臭素化滴定法により定量してフレーバーバリヤー性の指標とした。
【0045】
5.フイルムのヒートシール性
以下の実施例または比較例のポリエステル樹脂組成物を用いて、温度280℃プレス圧力100kg/cm2の条件下にプレス成形して厚さ100μmのフイルムを製造し、そのフイルムから縦×横=50mm×50mmの寸法の試験片を2枚切り取り、シール圧1.2kg/cm2、シール時間1.4秒の条件下にYSS式ヒートシーラー(安田精機製作所製)を用いてヒートシールを行い、ヒートシールが可能な下限温度を求めることによって、ヒートシール性の指標とした。
【0046】
6.フイルムの伸度
以下の実施例または比較例のポリエステル樹脂組成物を用いて、温度280℃、プレス圧力100kg/cm2の条件下にプレス成形して厚さ100μmのフイルムを製造し、そのフイルムから縦×横=80mm×15mmの寸法の試験片を切り取り、ASTM D882に従ってその伸度を測定した。
【0047】
〈実施例1〉
(1)エチレングリコール71.2重量部、テレフタル酸ジメチルエステル100重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度にまで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.70dl/gのポリエチレンテレフタレート(以下、これをPETということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηa)および25℃における密度(Da)は下記の表1に示すとおりであった。
【0048】
(2)エチレングリコール57.2重量部、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度にまで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.65dl/gのポリエチレンナフタレート(以下、これをPENということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηb)および25℃における密度(Db)は下記の表1に示すとおりであった。
【0049】
(3)上記(1)、(2)とは別に、2軸押出機(φ=30mm;日本製鋼所製「TEX30SS CRW−2V」)に高密度ポリエチレン(東ソー社製「ニポロンハード5700」;メルトフローインデックス1g/10分)を45重量部、およびエチレン/アクリル酸共重合体(三菱化学製「ユカロンEAA A201K」;メルトフローインデックス5g/10分;アクリル酸含量7.0wt%)を5重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押出した後切断して、両重合体よりなるブレンドチップを製造した。
なお、ここで用いた高密度ポリエチレンおよびエチレン/アクリル酸共重合体の280℃における溶融粘度(ηx)、(ηy)および25℃における密度(Dx)、(Dy)を測定したところ、下記表1に示すとおりであった。
【0050】
(4)上記(3)で使用したのと同様の2軸押出機に、上記(1)で得られたPETを50重量部と上記(2)で得られたPENを50重量部と上記(3)で得られたブレンドチップを50重量部の割合で供給して、280℃で溶融混練した後押出し、切断し、PET、PEN、高密度ポリエチレンおよびエチレン/アクリル酸共重合体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(5)上記(4)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0051】
〈実施例2〉
(1)エチレングリコール65.2重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、これをCHDMと略記することがある)15.6重量部、テレフタル酸ジメチル100重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度まで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.73dl/gのCHDMを10モル%共重合したPET(以下、これをCHDM10モル%共重合PETということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηa)および25℃における密度(Da)は下記の表1に示すとおりであった。
【0052】
(2)エチレングリコール58.4重量部、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル91.9重量部、イソフタル酸ジメチルエステル8.1重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度にまで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.68dl/gのイソフタル酸を5モル%共重合したPEN(以下、これをIPA5モル%共重合PENということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηb)および25℃における密度(Db)は下記の表1に示すとおりであった。
【0053】
(3)上記(1)、(2)とは別に実施例1の(3)で使用したのと同じ2軸押出機に、低密度ポリエチレン(三井石油化学工業社製「ミラソンF9673P」;メルトフローインデックス1.1g/10分)を60重量部、および無水マレイン酸で変性したスチレン/エチレンブタジエン共重合体ブロックとスチレン重合体ブロックよりなるブロック共重合体(旭化成社製「タフテックM1913」;メルトフローインデックス1g/10分)を10重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、ここで用いた低密度ポリエチレンおよびブロック共重合体の280℃における溶融粘度(ηx)、(ηy)および25℃における密度(Dx)、(Dy)を測定したところ、下記表1に示すとおりであった。
【0054】
(4)上記(3)で使用したのと同様の2軸押出機に、上記(1)で得られたCHDM10モル%共重合PETを40重量部と上記(2)で得られたIPA5モル%共重合PENを60重量部と上記(4)で得られたブレンドチップを70重量部の割合で供給して、280℃で溶融混練した後押出し、切断し、CHDM10モル%共重合PET、IPA5モル%共重合PEN、低密度ポリエチレンおよび無水マレイン酸で変性したスチレン/エチレンブタジエン共重合体ブロックとスチレン重合体ブロックよりなるブロック共重合体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(5)上記(4)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0055】
〈実施例3〉
(1)エチレングリコール68.7重量部、ネオペンチルグリコール(以下、これをNPGと略記することがある)5.4重量部、テレフタル酸ジメチル100重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度まで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.69dl/gのNPGを5モル%共重合したPET(以下、これをNPG5モル%共重合PETということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηa)および25℃における密度(Da)は下記の表1に示すとおりであった。
【0056】
(2)エチレングリコール54.6重量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール6.0重量部、ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100重量部からなるスラリー(ジオール成分:ジカルボン酸エステル成分のモル比=2.25:1)を用いて、酢酸マンガン4水塩(触媒)250ppmの存在下に170℃の温度から220℃の温度にまで2時間30分かけて徐々に昇温してエステル交換反応を行って低重合体を製造した。次に、三酸化アンチモン(触媒)2000ppm、亜リン酸(安定剤)26.5ppm(リン原子換算で10ppm)を加えて絶対圧1トールの減圧下に280℃の温度で溶融重縮合させて、極限粘度0.65dl/gのCHDMを5モル%共重合したPEN(以下、これをCHDM5モル%共重合PENということがある)を調製し、このポリエステル樹脂をノズルからストランド状に冷水中に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、このポリエステル樹脂の280℃における溶融粘度(ηb)および25℃における密度(Db)は下記の表1に示すとおりであった。
【0057】
(3)上記(1)、(2)とは別に実施例1の(3)で使用したのと同じ2軸押出機に、直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学社製「出光ポリエチレン−L0134N」;メルトフローインデックス1g/10分)を35重量部、およびエチレン/メタクリル共重合体の亜鉛イオン架橋構造体(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン1705」;メルトフローインデックス5g/10分)を5重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
なお、ここで用いた直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン/メタクリル共重合体の亜鉛イオン架橋構造体の280℃における溶融粘度(ηx)、(ηy)および25℃における密度(Dx)、(Dy)を測定したところ、下記表1に示すとおりであった。
【0058】
(4)上記(3)で使用したのと同様の2軸押出機に、上記(1)で得られたNPG5モル%共重合PETを60重量部と上記(2)で得られたCHDM5モル%共重合PENを40重量部と上記(4)で得られたブレンドチップを40重量部の割合で供給して、280℃で溶融混練した後押出し、切断し、NPG5モル%共重合PET、CHDM5モル%共重合PEN、直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン/メタクリル共重合体の亜鉛イオン架橋構造体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(5)上記(4)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0059】
〈比較例1〉
(1)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、実施例1の(3)で使用したのと同じ高密度ポリエチレンを60重量部、および実施例1の(3)で使用したのと同じエチレン/アクリル酸共重合体を0.5重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
(2)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、実施例1の(1)で得られたのと同じポリエステル樹脂を95重量部と実施例1の(2)で得られたのと同じポリエステル樹脂を5重量部および上記(1)で得られたブレンドチップを60.5重量部の割合で供給し、280で溶融混練した後押出し、切断し、PET、PEN、高密度ポリエチレンおよびエチレン/アクリル酸共重合体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(3)上記(2)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0060】
〈比較例2〉
(1)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、直鎖状低密度ポリエチレン(出光石油化学社製「出光ポリエチレン−L 0134N」;メルトフローインデックス1g/10分)を4重量部、およびエチレン/メタクリル共重合体の亜鉛イオン架橋構造体(三井・デュポンポリケミカル社製「ハイミラン1705」;メルトフローインデックス5g/10分)を1重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
(2)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、実施例2の(1)で得られたのと同じポリエステル樹脂を5重量部と実施例2の(2)で得られたのと同じポリエステル樹脂を95重量部および上記(1)で得られたブレンドチップを5重量部の割合で供給し、280で溶融混練した後押出し、切断し、CHDM10モル%共重合PET、IPA5モル%共重合PEN、直鎖状低密度ポリエチレンおよびエチレン/メタクリル共重合体の亜鉛イオン架橋構造体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(3)上記(2)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0061】
〈比較例3〉
(1)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、低密度ポリエチレン(東ソー社製「ペトロセン204」;メルトフローインデックス7g/10分)を100重量部および実施例1の(3)で使用したのと同じエチレン/アクリル酸共重合体を10重量部の割合で供給して、200℃で溶融混練してストランド状に押し出し、切断して円柱状チップを製造した。
(2)実施例1で使用したのと同じ2軸押出機に、実施例1の(1)で得られたのと同じポリエステル樹脂を50重量部と実施例1の(2)で得られたのと同じポリエステル樹脂を50重量部および上記(1)で得られたブレンドチップを110重量部の割合で供給し、280で溶融混練した後押出し、切断し、PET、PEN、高密度ポリエチレンおよびエチレン/アクリル酸共重合体を含むポリエステル樹脂組成物のチップを製造した。
(3)上記(2)で得られたチップを90℃で16時間加熱乾燥した後に、それを用いて、上記した各試験法に従って、280℃でプレス成形して厚さが100μmおよび500μmのフイルムをそれぞれ製造し、それを用いて上記した方法でフイルムの過酸化水素による膨潤性、フレーバーバリヤー性、ヒートシール性および伸度の測定または評価を行ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0062】
【表1】
Figure 0003647566
【0063】
【表2】
Figure 0003647566
【0064】
上記の表1および表2の結果から、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位とテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂(A)、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位とナフタレンジカルボン酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエチレンナフタレート系ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体ならびに相容化剤を上記の数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(4)および数式(5)を満足するように含有し溶融混合して得られた実施例1〜3のポリエステル樹脂組成物から得られるフイルムは、耐過酸化水素性に優れていて、過酸化水素水中に浸漬しても膨潤(フイルム中への過酸化水素の取り込み)がなく、従って蒸留水中への過酸化水素の溶出が全くなく、安全性に優れていることがわかる。しかも、実施例1〜3のフイルムでは、オレンジジュースの香気成分の一種であるリモネンがフイルムに吸着または吸収されずにいつまでもオレンジジュース中に残存していて、オレンジジュースの香りが良好に保たれ、フレーバーバリヤー性が良好であること、適度なヒートシール温度を有し、取り扱い性およびヒートシール性に優れていることがわかる。
【0065】
これに対して、比較例1の結果から、上記した数式(2)におけるB/Aの値が0.25よりも小さくて本発明の範囲から外れる場合はヒートシールが不可能であり、また、上記した数式(4)におけるX/Yの値が90よりも大きくて本発明の範囲から外れる場合はフイルム伸度が著しく低いことがわかる。
また、比較例2の結果から、上記した数式(2)におけるB/Aの値が4よりも大きくて本発明の範囲から外れる場合はヒートシールが不可能であり、また、上記した数式(3)におけるX+Yの値が小さくて本発明の範囲から外れる場合は過酸化水素によって膨潤し(フイルム中への過酸化水素の取り込みが大きく)、安全性に劣っていることがわかる。
さらに、比較例3の結果から、上記した数式(5)におけるE/Fの値が1よりも大きくて本発明の範囲から外れる場合は、オレンジジュース中におけるリモネンの残存量が著しく低減しており、フレーバーバリヤー性に劣ることがわかる。
【0066】
〈実施例4〉
(1)実施例1の(4)で得られたポリエステル樹脂組成物のチップを用いて、温度280℃で溶融押出成形を行って厚さ20μmのフイルムを製造した。このフイルムを紙容器用の紙基材(厚さ200μm)に押出ラミネートにより積層して積層体を製造した。この積層体を用いてポリエステル樹脂組成物フイルム層が内側になるようにして、常法に従って容器への成形(折り曲げおよびヒートシール;ヒートシール温度190℃)を行ってジュース用紙容器(内容量200ml)を製造した。
(2)上記(1)で得られた紙容器に75℃の35%過酸化水素水を充填し、30秒間放置して殺菌処理を行った後、紙容器から過酸化水素水を除去し、精製水で3回洗浄した(1回につき精製水200ml)。
(3)上記(2)で得られた紙容器内に予め殺菌処理を施しておいたオレンジジュースを充填し(180ml/1紙容器)、口を密封した。
(4)上記(3)で得られた紙容器入りのオレンジジュースを常温下に1カ月保存した後、開封して試飲したところ、香りおよび味ともに良好であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどの製品は、過酸化水素に対する耐性に優れており、過酸化水素で処理した場合に膨潤、気泡の発生、基材からの剥離などが生じない。そのため、本発明のポリエステル樹脂組成物やそれよりなるフイルムなどを食品に直接接触する包材、包装容器などに用いて過酸化水素で殺菌処理しても、殺菌処理後に過酸化水素が食品中に溶け出すなどの心配が無く、安全性に優れており、食品容器などの製品を製造する際の工程通過性や操作性などに優れている。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物およびそれからなるフイルムなどの製品は、フレーバーバリヤー性やガスバリヤー性に優れているので、食品包材をはじめとして広範な分野で有効に使用することができる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物およびそれよりなるフイルムなどはヒートシール性、伸度や強度などの機械的特性に優れているので、取り扱い性、耐久性に優れている。

Claims (8)

  1. (i)エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびテレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(A)、エチレングリコール単位を主体とするジオール単位およびナフタレンジカルボン酸単位を主体とするジカルボン酸単位から主としてなるポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体並びに相容化剤を含有するポリエステル樹脂組成物であって;
    (ii) ポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)を下記の数式(1)および数式(2):
    A+B=100 (1)
    0.25≦B/A≦4 (2)
    [式中、AおよびBはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の含有量(重量部)を表す。]
    を満足する割合で含有し;
    (iii) オレフィン系重合体および相容化剤を下記の数式(3)および数式(4):
    10≦X+Y≦100 (3)
    1≦X/Y≦90 (4)
    [式中、XおよびYはそれぞれポリエステル樹脂(A)およびポリエステル樹脂(B)の合計量(100重量部)に対するオレフィン系重合体および相容化剤の含有量(重量部)を表す。]
    を満足する割合で含有し;かつ
    (iv) 下記の数式(5):
    E/F≦1 (5)
    但し、E=(X+Y)(ηaA+ηbB)/(A+B)(ηxX+ηyY)
    F=Dxy(ADb+BDa)/Dab(XDy+YDx
    [式中、A、B、XおよびYは上記定義のとおりであり、ηa、ηb、ηxおよびηyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の溶融混合温度における溶融粘度(ポイズ)を表し、Da、Db、DxおよびDyはそれぞれポリエステル樹脂(A)、ポリエステル樹脂(B)、オレフィン系重合体および相容化剤の25℃における密度を表す。]
    を満足するように溶融混合して得たものである;
    ことを特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 相容化剤が、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体;エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋構造体;カルボキシル基またはその誘導体基を有するスチレン/エチレン/ブタジエン共重合体ブロックとスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体;およびカルボキシル基またはその誘導体基を有するオレフィン系重合体ブロックとスチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体から選ばれる1種または2種以上の重合体である請求項1のポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1または2のポリエステル樹脂組成物から形成されたフイルム。
  4. 食品用である請求項3のフイルム。
  5. 請求項1または2のポリエステル樹脂組成物を用いてなる包材。
  6. 食品用である請求項5の包材。
  7. 請求項1または2のポリエステル樹脂組成物層および紙層を有する積層体。
  8. 請求項1または2のポリエステル樹脂組成物で内面を被覆した紙容器。
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