JP3646780B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機出力回転を車速情報として最適変速比を決める変速制御を行う無段変速機の変速制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無段変速機の変速制御装置としては、例えば、特開平5−126239号公報に記載のものが知られている。
【0003】
この公報には、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機構と、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサと、変速機入力部材の回転を検出する変速機入力回転センサと、変速機出力部材の回転を検出する変速機出力回転センサと、これらの回転センサからのセンサ信号を含む入力情報に基づいて目標変速比を算出し、算出された目標変速比が得られる駆動指令を変速アクチュエータに出力する変速制御手段とを備えた無段変速機の変速制御装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の無段変速機の変速制御装置にあっては、エンジン回転センサと変速機入力回転センサと変速機出力回転センサのいずれかが異常である場合、これらの回転センサからのセンサ信号を含む入力情報に基づいて目標変速比を算出する変速制御では、適切な目標変速比の算出がなされないため、異常が発生すると早期に回転センサ異常を判定し、フェールセーフ動作に入る必要がある。
【0005】
この回転センサ異常判定手法として、回転センサにより検出されたエンジン回転数と変速機入力回転数と変速機出力回転数の3つの検出値を比較し、変速機出力回転の検出値のみが、他の検出値と異なる値を示した場合、変速機出力回転センサ、つまり、車速センサが異常であると判定する手法が提案されている。例えば、ロックアップ状態で変速比が1の時に全てが正常であれば、理論的にエンジン回転数=変速機入力回転数=変速機出力回転数となることで、3つの検出値を互いに比較することで1つの検出値が検出誤差範囲を超える値であると認められる場合、その検出値を出力する回転センサが異常であるということができる。
【0006】
しかしながら、トロイダル型無段変速機において、変速アクチュエータであるステップモータの作動不良(脱調)やパワーローラの滑り等、無段変速機構を構成する部品が異常である場合、変速電子制御側から例えば変速比1を得る駆動指令が出力されているにもかかわらず、無段変速機構の異常により変速機入力回転数と変速機出力回転数の比(実変速比)が1とはならず、無段変速機構を経過して検出される回転数である変速機出力回転数が異常、つまり、車速センサが異常であると誤判定されることになる。
【0007】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、二種類の車速センサ異常判定手法を組み合わせることで、変速機入力回転センサと変速機出力回転センサとの間に介在される変速機構の異常を簡単に精度良く判定する無段変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明では、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機構と、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサと、変速機入力部材の回転を検出する変速機入力回転センサと、変速機出力部材の回転を検出する変速機出力回転センサと、これらの回転センサからのセンサ信号を含む入力情報に基づいて目標変速比を算出し、算出された目標変速比が得られる駆動指令を変速アクチュエータに出力する変速制御手段とを備えた無段変速機の変速制御装置において、
前記回転センサにより検出されたエンジン回転数と変速機入力回転数と変速機出力回転数の3つの検出値に基づいて、変速機出力回転の検出値のみが、他の検出値と異なる値を示した場合、変速機出力回転センサ(以下、車速センサという)が異常であると判定する車速センサ異常判定手段と、
前記車速センサ異常判定手段により車速センサが異常であると判定された場合、車速センサ信号とは異なる信号により算出された推定車体速が正常であり、かつ、車速センサ信号に基づき算出された車速センサ車速と推定車体速との差の絶対値が、設定されたしきい値以下かどうかを判断する車速差判断手段と、
車速差絶対値がしきい値以下という判断状態のまま設定時間を経過すると、回転数比較による車速センサ異常という上記判定結果は、無段変速機構の異常を原因とする判定結果とみなし、無段変速機構が異常であると判定する変速機構異常判定手段と、
前記変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、走行中において変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係を初期化するイニシャライズ処理を行うフェールセーフ制御手段と、を設け、
前記フェールセーフ制御手段は、変速機構異常判定時の走行中初期化指令情報を記憶し、この走行中初期化指令情報に基づき変速範囲を狭く設定した制限範囲内に指令値を制限する変速範囲制限手段を備えていることを特徴とする。
本発明のうち請求項2記載の発明では、請求項1記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、故障情報を記憶する故障履歴メモリに変速機構異常情報を保存する故障情報記憶手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明のうち請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、制動力制御装置や駆動力制御装置がいずれも非作動であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする。
【0010】
本発明のうち請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、ロックアップ中であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする。
【0011】
本発明のうち請求項5記載の発明では、請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置において、
前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、個別異常判定によりエンジン回転センサと変速機入力回転センサと車速センサのいずれのセンサも正常であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする。
【0016】
【発明の作用および効果】
本発明のうち請求項1記載の発明にあっては、変速制御手段において、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサと、変速機入力部材の回転を検出する変速機入力回転センサと、変速機出力部材の回転を検出する変速機出力回転センサからのセンサ信号を含む入力情報に基づいて目標変速比が算出され、算出された目標変速比が得られる駆動指令が、エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機構の変速アクチュエータに出力される。
【0017】
そして、車速センサ異常判定手段において、回転センサにより検出されたエンジン回転数と変速機入力回転数と変速機出力回転数の3つの検出値に基づいて、変速機出力回転の検出値のみが、他の検出値と異なる値を示した場合、車速センサが異常であると判定され、車速センサが異常であると判定された場合、車速差判断手段において、車速センサ信号とは異なる信号により算出された推定車体速が正常であり、かつ、車速センサ信号に基づき算出された車速センサ車速と推定車体速との差の絶対値が、設定されたしきい値以下かどうかが判断され、この車速差絶対値がしきい値以下という判断状態のまま設定時間を経過すると、変速機構異常判定手段において、回転数比較による車速センサ異常という上記判定結果は、無段変速機構の異常を原因とする判定結果とみなし、無段変速機構が異常であると判定される。
【0018】
すなわち、三種の回転センサ検出値比較による異常判定では、単純に車速センサ異常であると判定されるが、車速センサによる検出値は変速機構を経過した回転情報である以上、この異常判定には、変速機構正常で車速センサ異常の場合と、変速機構異常で車速センサ正常の場合と、変速機構も車速センサも異常の場合が含まれる。このうち、変速機構も車速センサも同時に異常であるというのは実際上きわめて起こりにくいことであるので、実質的には、変速機構正常で車速センサ異常、もしくは、変速機構異常で車速センサ正常のいずれかであるといえる。一方、加速スリップ(駆動スリップ)や減速スリップ(制動ロック)を生じていない限り、駆動輪速である車速センサ車速と従動輪速である推定車体速とはほぼ同じ値になることから、車速センサ車速と推定車体速との差の絶対値が、設定されたしきい値以下の正常な車速差範囲内の状態が設定時間継続することによって、車速センサ単体として正常と判定することができる。
【0019】
そこで、回転センサ検出値比較による異常判定に、車速センサ単体として別の異常判定手法を導入し、検出値比較による判定では異常と判定されても、車速センサ単体としては正常という判定がなされたら、検出値比較による異常判定は、変速機構の異常を原因とする判定結果とみなすことができるという考え方を導入して変速機構の異常が判定される。
【0020】
よって、二種類の車速センサ異常判定手法を組み合わせることで、変速機入力回転センサと変速機出力回転センサとの間に介在される変速機構の異常を簡単に精度良く判定することができる。
さらに、変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、フェールセーフ制御手段において、走行中において変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係を初期化するイニシャライズ処理が行われる。
すなわち、変速機構に異常が発生すると、変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係がずれているので、そのまま走行すると、アクチュエータ動作を規定するストッパ当たりが発生してしまう。
そこで、変速機構の異常が判定された場合、走行中に変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係を初期化するイニシャライズ(高車速イニシャライズという)が実施される。
よって、変速機構が異常のまま走行しても、変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係のずれが修正され、ストッパ当たりを防止することができる。
加えて、フェールセーフ制御手段の変速範囲制限手段において、変速機構異常判定時の走行中初期化指令情報が記憶され、この走行中初期化指令情報に基づき変速範囲を狭く設定した制限範囲内に指令値が制限される。
すなわち、走行中に変速機構の異常が判定されると、停車時に行われる通常のイニシャライズ処理での変速範囲(変速アクチュエータの機械的な作動限界位置に対応する範囲)より変速範囲を狭く設定した制限範囲内に指令値が制限される。
よって、走行中に行われるイニシャライズ処理での変速アクチュエータに対する駆動指令が、ストッパ当たりまで十分に余裕のある変速比範囲内に制限されることで、変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係のずれを修正しながら、ストッパ当たりが確実に防止される。
本発明のうち請求項2記載の発明にあっては、変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、故障情報記憶手段において、故障情報を記憶する故障履歴メモリに変速機構異常情報が保存される。
すなわち、変速機構に異常が発生した場合には、何らかの違和感を持つはずであり、点検修理のために車両をディラー等に入れる。このとき、故障履歴メモリに保存されている変速機構異常情報をディラー等において開くことにより、ディラー等では、変速機構が故障であると素早く検知され、変速機構を正常状態に修復する修理や部品交換等の対応を行うことができる。
【0021】
本発明のうち請求項3記載の発明にあっては、変速機構異常判定手段において、上記車速差条件に加え、制動力制御装置や駆動力制御装置がいずれも非作動であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定される。
【0022】
よって、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)、TCS(トラクション・コントロール・システム)、VDC(ビークル・ダイナミクス・コントロール)等の制動力制御装置や駆動力制御装置が作動時には、駆動スリップや制動ロック等の発生により、車速センサ異常の誤検知を回避することができないため、制駆動力制御装置の作動時には変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0023】
本発明のうち請求項4記載の発明にあっては、変速機構異常判定手段において、上記車速差条件に加え、ロックアップ中であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定される。
【0024】
よって、トルクコンバータのロックアップクラッチが解放されている時は、エンジン回転数と変速機入力回転数の関係がトルクコンバータによる流体滑り度合いにより変化し、正確な三種の回転センサの比較判定を行うことができないため、ロックアップ時(コーストロックアップ時も含む)以外には変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0025】
本発明のうち請求項5記載の発明にあっては、変速機構異常判定手段において、上記車速差条件に加え、個別異常判定によりエンジン回転センサと変速機入力回転センサと車速センサのいずれのセンサも正常であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定される。
【0026】
よって、エンジン回転センサと変速機入力回転センサと車速センサとのいずれかが断線やショート等の異常である場合、正確な三種の回転センサの比較判定を行うことができないため、個別異常判定によりいずれのセンサも正常ではない限り変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明による無段変速機の変速制御装置を、図面を参照して詳細に説明する。
【0040】
[無段変速機の伝動ユニット及び変速制御装置の構成について]
図1及び図2は、本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機を示し、図1はトロイダル型無段変速機の伝動ユニットを示す縦断側面図、図2はトロイダル型無段変速機の変速制御装置を示す図である。
【0041】
まず、トロイダル型無段変速機の主要部である伝動ユニットを、図1により説明する。この伝動ユニットは、図示しないエンジンからの回転が伝達される入力軸20を備え、この入力軸20は、図1に示すように、エンジンから遠い端部を変速機ケース21内に軸受22を介して回転自在に支持し、中央部を変速機ケース21の中間壁23内に軸受24及び中空出力軸25を介して回転自在に支持する。
【0042】
前記入力軸20には入力コーンディスク1を支持し、前記中空出力軸25には出力コーンディスク2を支持し、入出力コーンディスク1,2は、そのトロイド曲面1a,2aが互いに対向するように同軸配置する。
【0043】
そして、入出力コーンディスク1,2の対向するトロイド曲面1a,2a間には、入力軸20を挟んでその両側に配置した一対のパワーローラ3,3を介在させ、これらのパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧するために、以下の構成を採用する。
【0044】
すなわち、入力軸20の軸受22側端部にローディングナット26を螺合し、このローディングナット26により抜け止めして入力軸20上に回転係合させたカムディスク27と、入力コーンディスク1のトロイド曲面1aから遠い端面との間にローディングカム28を介在させ、このローディングカム28を介して、入力軸20からカムディスク27への回転が入力コーンディスク1に伝達されるようになす。
【0045】
ここで、入力コーンディスク1の回転は両パワーローラ3,3の回転を介して出力コーンディスク2に伝わり、この伝動中、ローディングカム28は伝達トルクに比例したスラストを発生して、パワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に狭圧し、上記動力伝達を可能にする。
【0046】
前記出力コーンディスク2は、出力軸25に楔着し、この出力軸25上に出力歯車29を一体回転するように嵌着する。
【0047】
出力軸25はさらに、ラジアル兼スラスト軸受30を介して変速機ケース21の端蓋31内に回転自在に支持し、この端蓋31内には別にラジアル兼スラスト軸受32を介して入力軸20を回転自在に支持する。ここで、ラジアル兼スラスト軸受30,32は、スペーサ33を介して相互に接近しないように突き合わせ、また相互に遠ざかる方向への相対変位不能になるよう、対応する出力歯車29入力軸20に対し軸線方向に衝接させる。
【0048】
上記構成により、ローディングカム28によって入出力コーンディスク1,2間に作用するスラストは、スペーサ33を挟むような内力となり、変速機ケース21に作用することがない。
【0049】
各パワーローラ3,3は、図2にも示すように、トラニオン41,41に回転自在に支持し、このトラニオン41,41は、それぞれ上端を球面継手42によりアッパリンク43の両端に回転自在及び揺動自在に、また、下端を球面継手44によりロアリンク45の両端に回転自在及び揺動自在に連結する。
【0050】
そして、アッパリンク43及びロアリンク45は、中央を球面継手46,47により変速機ケース21に上下方向揺動可能に支持し、両トラニオン41,41を相互逆向きにに同期して上下動させ得るようにする。
【0051】
このように、両トラニオン41,41を、相互逆向きに同期して上下動させることによって変速を行う変速制御装置を、図2に基づいて説明する。
【0052】
各トラニオン41,41は、これらを個々に上下方向へストロークさせるためのピストン6,6を設け、両ピストン6,6の両側に、それぞれ上方室51,52及び下方室53,54を画成する。そして両ピストン6,6を相互逆向きにストローク制御するために、変速制御弁5を設置する。
【0053】
ここで、変速制御弁5は、スプール型の内弁体5aと、スリーブ型の外弁体5bとを相互に摺動可能に嵌合し、外弁体5bを弁ケース5cに摺動自在に嵌合して構成する。
【0054】
上記変速制御弁5は、入力ポート5dを圧力源55に接続し、一方の連絡ポート5eをピストン室51,54に、また、他方の連絡ポート5fをピストン知る52,53にそれぞれ接続する。
【0055】
そして、内弁体5aを、一方のトラニオン41の下端に固着したプリセスカム7のカム面に、ベルクランク型の変速レバー8を介して共働させ、外弁体5bを変速アクチュエータとしてのステップモータ4に、ラックアンドピニオン型式で駆動係合させる。
【0056】
変速制御弁5の操作指令は、アクチュエータ駆動位置指令Astep(ステップ位置指令)に応動するステップモータ4が、ラックアンドピニオンを介し外弁体5bにストロークとして与えることとする。
【0057】
この操作指令で、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から、例えば、図2の位置に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧(ライン圧PL)が室52,53に供給される一方、他の室51,54がドレンされ、また、変速制御弁5の外弁体5bが内弁体5aに対し相対的に中立位置から逆方向に変位されて変速制御弁5が開くとき、圧力源55からの流体圧が室51,54に供給される一方、他の室52,53がドレンされ、両トラニオン41,41が流体圧でピストン6,6を介して図中、対応した上下方向へ相互逆向きに変位されるものとする。
【0058】
これにより両パワーローラ3,3は、回転軸軸Oが入出力コーンディスク1,2の回転軸線Oと交差する図示位置からオフセット(オフセット量y)されることになり、核オフセットによりパワーローラ3,3は入出力コーンディスク1,2からの首振り分力で、自己の回転軸線Oと直行する首振り軸線Oの周りに傾転(傾転角φ)されて無段変速を行うことができる。
【0059】
このような変速中、一方のトラニオン41の下端に結合したプリセスカム7は、変速リンク8を介して、トラニオン41及びパワーローラ3の上述した上下動(オフセット量y)及び傾転角φを変速制御弁5の内弁体5aに機械的にxで示すようにフィードバックされる。
【0060】
そして上記無段変速により、ステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、上記のプリセスカム7を介した機械的フィ一ドバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外弁体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線Oが入出力コーンディスク1,2の回転軸線0と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0061】
なお、パワーローラ傾転角φを変速比指令値に対応した値にすることが制御の狙いであるから、一般的にプリセスカム7はパワーローラ傾転角φのみをフィードバックすればよいことになるが、ここでパワーローラオフセット量yをもフィードバックする理由は、変速制御が振動的になるのを防止ずるダンピング効果を与えて、変速制御のハンチング現象を回避するためである。
【0062】
ステップモータ4へのアクチュエ一タ駆動位置指令Astepは、コントローラ61によって決定される。
【0063】
このためにコントローラ61には図2に示すように、エンジンスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ62からの信号、車速VSPを検出する車速センサ63からの信号、入力コーンディスク1の回転数Ni(エンジン回転数Neでもよい)を検出する入力回転センサ64からの信号、出力コーンディスク2の回転数Noを検出する出力回転センサ65からの信号、変速機作動油温TMPを検出ずる油温センサ66からの信号、前記油圧源55からのライン圧Pを検出する(通常は、ライン圧Pをコントローラ61で制御するからコントローラ61の内部信号から検知する)ライン圧センサ67からの信号、工ンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ68からの信号、インヒビタスイッチ60からのレンジ情報についての信号、UP/DOWNスイッチ69からのUP/DOWN情報についての信号、モード選択スイッチ70からの選択モード信号、工ンジン制御装置310からのトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御装置(ABS)320からのABS制御信号、トラクションコントロール装置(TCS)330からのTCS制御信号及び定速走行装置340からのASCDクルーズ信号をそれぞれ入力する。
【0064】
コントローラ61は、上記の各種入力情報を基にして以下の演算によってステップモータ4へのアクチュエータ駆動位置指令Astep(変速指令値)を決定するものとする。
【0065】
[コントローラの構成について]
本実施の形態では、コントローラ61を図3に示すように構成する。
【0066】
変速マップ選択部71は、図2のセンサ66で検出した油温TMPや、排気浄化触媒の活性化運転中か否かなど、各種条件に応じて変速マッブを選択する。
【0067】
到達入力回転数算出部72は、このようにして選択された変速マップが例えば図4に示すようなものである場合について説明すると、図2のセンサ62,63でそれぞれ検出したスロットル開度TVO及び車速VSPから、同図の変速線図に対応した変速マップをもとに、現在の運転状態での定常的な目標入力回転数とすべき到達入力回転数Ni*を検索して求める。
【0068】
到達変速比演算部73は、到達入力回転数Ni*を図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、到達入力回転数Ni*に対応する定常的な目標変速比である到達変速比i*を求める。
【0069】
変速時定数算出部74は、選択レンジ(前進通常走行レンジD、前進スポーツ走行レンジDs)、車速VSP、スロットル開度TVO、エンジン回転数Ne、アクセルペダル操作速度、トルクダウン制御装置(図示せず)からのトルクダウン量に関する信号及びトルクダウン許可信号、アンチスキッド制御信号、トラクション制御信号、定速走行信号、後に説明する目標変速比Ratio0との変速比偏差RtoERR、などの各種条件に応じて変速制御の第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2を決定するとともに、到達変速比i*と目標変速比Ratio0との偏差Eipを算出する。
【0070】
ここでトロイダル型無段変速機の2次的な遅れ系に対応するために決定される第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2は、到達変速比i*に対する変速の応答性を決定して変速速度を定めるためのもので、目標変速比算出部75は、到達変速比i*を第1変速時定数Tg1及び第2変速時定数Tg2で定めた変速応答をもって実現するための過渡的な時時刻々の目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00をそれぞれ算出し、目標変速比Ratio0のみを出力する。
【0071】
入力トルク算出部76は、周知の方法によって変速機入力トルクTiを求めるものであり、先ずスロットル開度TVO及びエンジン回転数Neからエンジン出力トルクを求め、次いでトルクコンバータの入出力回転数(Ne,Ni)比である速度比からトルクコンバータのトルク比tを求め、最後にエンジン出力トルクにトルク比tを乗じて変速機入力トルクTiを算出する。
【0072】
トルクシフト補償変速比算出部77は、過渡的な上記目標変速比Ratio0及び当該変速機入力トルクTiから、トロイダル型無段変速機に特有なトルクシフト(変速比の不正)をなくすためのトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。
【0073】
ここで、トロイダル型無段変速機のトルクシフトを補足説明すると、トロイダル型無段変速機の伝動中には、既に説明したようにしてパワーローラ3,3を入出力コーンディスク1,2間に挟圧することからトラニオン41の変形が発生し、これによりこのトラニオンの下端におけるプリセスカム7の位置が変化してプリセスカム7及び変速リンク8からなる機械的フィードバック系の系路長変化を惹起し、これによって上記トルクシフトを発生させる。
【0074】
したがって、トロイダル型無段変速機のトルクシフトは、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiによって異なり、トルクシフト補償変速比算出部77は、これらの2次元マップからトルクシフト補償変速比TSrtoを検索によって求める。
【0075】
実変速比算出部78は、変速機入力回転数Niを図2のセンサ65で検出した変速機出力回転数Noで除算することによって、実変速比Ratioを算出する。変速比偏差算出部79は、上記目標変速比Ratio0から実変速比Ratioを差し引いて、両者間における変速比偏差RtoERR(=Ratio0−Ratio)を求める。
【0076】
第1フィードバック(FB)ゲイン算出部80は、変速比偏差RtoERRに応じた周知のPID制御(Pは比例制御、Iは積分制御、Dは微分制御)による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いられ、それぞれの制御のフィードバックゲインのうち、変速機入力回転数Ni及び車速VSPに応じて決定すべき第1の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA1、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA1、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA1をそれぞれ求める。
【0077】
これら第1のフィードバックゲインfbpDATA1,fbiDATA1,fbdDATA1は、変速機入力回転数Ni及び車速VSPの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に変速機入力回転数Ni及び車速VSPから検素により求めるものとする。
【0078】
第2フィードバック(FB)ゲイン算出部81は、上記PID制御による変速比フィードバック補正量を算出するときに用いるフィードバックゲインのうち、変速機作動油温TMP及びライン圧Pに応じて決定すべき第2の比例制御用フィードバックゲインfbpDATA2、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA2、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA2をそれぞれ求める。
【0079】
これら第2のフィードバックゲインfbpDATA2,fbiDATA2,fbdDATA2は、作動油温TMP及びライン圧Pの2次元マップとして予め定めておき、このマップを基に作動油温TMP及びライン圧Pから検索により求めるものとする。
【0080】
フィードバックゲイン算出部83は、上記第1のフィ一ドバックゲイン及び第2のフィードバックゲインを対応するもの同士掛け合わせて、比例制御用フィードバックゲインfbpDATA(=fbpDATA1×fbpDATA2)、積分制御用フィードバックゲインfbiDATA(=fbiDATA1×fbiDATA2)、及び微分制御用フィードバックゲインfbdDATA(=fbdDATA1×fbdDATA2)を求める。
【0081】
PID制御部84は、以上のようにして求めたフィードバックゲインを用い、変速比偏差RtoERRに応じたPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoを算出するために、
先す比例制御による変速比フィードバック補正量をRtoERR×fbpDATAにより求め、
次いで積分制御による変速比フィードバック補正量を∫RtoERR×fbiDATAにより求め、
更に微分制御による変速比フィードバック補正量を(d/dt)RtoERR×fbdDATAにより求め、
最後にこれら3者の和値をPID制御による変速比フィードバック補正量FBrto(=RtoERR×fbpDATA+∫RtoERR×fbiDATA+(d/dt)RtoERR×fbdDATA)とする。
【0082】
目標変速比補正部85は、目標変速比Ratio0をトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrtoだけ補正して、補正済目標変速比DsrRTO(=Ratio0+TSrto+FBrto)を求める。目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)算出部86は、上記の補正済目標変速比DsrRTOを実現するためのステップモータ(アクチュエータ)4の目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPをマップ検索により求める。
【0083】
ステップモータ駆動位置指令算出部87は、ステップモータ駆動速度決定部88が変速機作動油温TMPなどから決定するステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の上記限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなし、ステップモータ4が1制御周期中に上記目標ステップ数DsrSTPに変位し得るときは、当該目標ステッブ数DsrSTPをそのままステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすものとする。
【0084】
したがって、駆動位置指令Astepは常時ステップモータ4の実駆動位置とみなすことができる。
【0085】
ステップモータ4は、駆動位置指令Astepに対応する方向及び位置に変位されてラックアンドピニオンを介し変速制御弁5の外弁体5bをストロ一クさせ、トロイダル型無段変速機を既に説明したように所定通りに変速させることができる。
【0086】
この変速によって駆動位置指令Astepに対応した変速比指令値が達成される時、プリセスカム7を介した機械的フィードバックが変速制御弁5の内弁体5aをして、外分体5bに対し相対的に初期の中立位置に復帰させ、同時に、両パワーローラ3,3は、回転軸線0が入出力コーンディスク1,2の回転軸線0と交差する図示位置に戻ることで、上記変速比指令値の達成状態を維持することができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89を付加して設ける。
【0088】
このステップモータ追従可能判定部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能か否かを、以下により判定するものである。
【0089】
つまり判定部89は先ず、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置とみなすことができる駆動位置指令Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPを求める。
【0090】
そして判定部89は、ステップモータ駆動速度決定部88によって既に説明したように決定されたステップモ一夕4の限界駆動速度でもステップモータ4が1制御周期中に解消し得ないステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)の下限値△STPLIMよりもステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STPが小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、
逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定する。
【0091】
判別部89は、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定する場合、PID制御部84で、既に説明した通りのPID制御による変速比フィードバック補正量FBrtoの演算を継続させる。
【0092】
このようにして、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定した場合は、積分制御による変速比フィードバック補正量∫RtoERR×fbiDATAを当該判定時における値に保持するようPID制御部84に指令する。
【0093】
さらに本実施の形態では、ステップモータ駆動位置指令算出部87において、ステップモータ4の限界駆動速度でも1制御周期中にステップモータ4が目標ステップ数DsrSTPに変位し得ないとき、ステップモータ4の限界駆動速度で実現可能な実現可能限界位置をステップモータ4への駆動位置指令Astepとなすようにし、この駆動位置指令Astepをステップモータ4の実駆動位置として判定部89でのステップモータ追従可能判定に資することにしたから、
このような追従可能判定を行うに際して必要なステップモータ4の実駆動位置を、変速制御装置からステップモータ4への駆動位置指令Astepで検知することとなり、上記の追従可能判定を、ステップモータ4の実駆動位置の実測に頼ることなく廉価に行うことができる。
【0094】
また本実施の形態では、ステップモータ追従可能判定部89において、目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPと、実駆動位置(駆動位置指令)Astepとの間におけるステップ数偏差(アクチュエータ駆動位置偏差)△STFが、ステップモータ4の限界駆動速度ごとに定めた追従判定基準偏差△STPLIMよりも小さい時(△STP<△STPLIM)、ステップモータ4が補正済目標変速比DsrRTOに対応した目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従可能であると判定し、逆に△STP≧△STPLIMである時、ステップモータ4が目標ステップ数(アクチュエータ目標駆動位置)DsrSTPに追従不能であると判定するため、
油温TMPなどで種々に変化するステップモータ4の限界駆動速度に関係なくステップモータ4の追従可能判定を確実に行うことができる。
【0095】
[変速制御の全体について]
図2のコントローラ61をマイクロコンピュータで構成する場合、図3について説明した変速制御は図5及び図6のプログラムでこれを実行する(変速制御手段に相当)。
【0096】
図5は変速制御の全体を示し、このルーチンは、例えば、10msごとに実行される。先ず、ステップ91において、変速時定数設定部74(図3)は、車速センサ63(図2)によって検出された車速VSP、エンジン回転センサ68(図2)によって検出されたエンジン回転数Ne、入力回転センサ64(図2)によって検出された変速機入力回転数Ni、スロットル開度センサ62(図2)によって検出されたスロットル開度TVO、インヒビタスイッチ60(図2)からのレンジ情報(自動変速(D)レンジ、スポーツ走行(S)レンジ等)等を読み込む。
【0097】
次いで、ステップ92において、到達入力回転数算出部72(図3)は、入力回転数Niを変速機出力回転数Noによって除算することによって、実変速比Ratioを算出する。次いで、ステップ93において、スロットル開度TVO及び車速VSPから図4に図示したような変速マップを基にして到達入力回転数Niを検索して求める。
【0098】
次いで、到達変速比設定手段としてのステップ94において、到達変速比算出部73(図3)は、この到達入力回転数Niを変速機出力回転数Noで除算することによって到達変速比iを算出する。次いで、偏差算出手段としてのステップ95において、変速時定数算出部74(図3)は、到達変速比iから、前回のルーチンで算出した目標変速比Ratio0(これは後のステップ99で算出される。)を減算して偏差Eipを算出する。
【0099】
次いで、ステップ96において、モード切替、マニュアル変速による有段の変速(以下、「スイッチ変速」という。)があったか否か判定する。具体的には、モード選択スイッチ70(図2)からの選択モード信号に応じて、パワーモードとスノーモードとの間の切替の有無を検出し、インヒビタスイッチ60(図2)からマニュアルレンジ信号を検出するとともにUP/DOWNスイッチ69(図2)からUP/DOWN情報についての信号を検出したか否か判定する。次いで、モード設定手段としてのステップ97、ステップ98及び目標変速比設定手段としてのステップ99において、変速時定数算出部74(図3)は、時定数算出モードと、第1及び第2変速時定数Tg1及びTg2と、目標変速比Ratio0及び中間変速比Ratio00とをそれぞれ算出する。
【0100】
その後、ステップ100において、トルクシフト補償変速比算出部77(図3)は、目標変速比Ratio0及び変速機入力トルクTiに関するマップからトルクシフト補償変速比TSrtoを算出する。次いで、ステップ101において、PID制御部84(図3)は、PID制御によって変速比フィードバック補正量FBrtoを算出する。次いで、ステップ102において、目標変速比補正部85(図3)は、目標変速比Ratio0にトルクシフト補償変速比TSrto及び変速比フィードバック補正量FBrto加算して、補正済目標変速比DsrRTOを算出する。次いで、ステップ103において、ステップモータ4(図2)への駆動位置指令Astepを算出し、本ルーチンを終了する。
【0101】
[車速センサ異常及び変速機構異常判定について]
図6(イ)は変速制御プログラム中の車速センサ異常及び変速機構異常判定処理を示すフローチャートである。ここで、変速機構の出力回転数Noを検出する出力回転センサ65が本発明での異常判定の対象となる車速センサに相当する。なお、図2において、出力回転センサ65とは別に車速センサ63が設けられているが、この車速センサ63は、出力回転センサ65からの出力回転数Noに対し終減速比や駆動系伝達応答等を考慮して車速VSPを得るもので、出力回転数Noを入力する車速演算回路により置き換え可能な検出手段である。
【0102】
先ず、ステップ104では、エンジン回転センサ68と入力回転センサ64と出力回転センサ65からのエンジン回転数Neと入力回転数Niと出力回転数Noの比較により車速センサ正常か車速センサ異常かの判定がされ、車速センサ正常の場合は、ステップ105へ進み、車速センサ正常を示す信号が出力され、車速センサ異常の場合はステップ106へ進む(車速センサ異常判定手段に相当)。
【0103】
ここで、エンジン回転数Neと入力回転数Niと出力回転数Noの比較判定は、図6(ロ)に示すように、Ne−NiとNi−NoとNe−Noのそれぞれについて、OKかNGかが判断され、3つの判断による8通りの組み合わせパターンのうち、Ne−NiがOKで、Ni−NoとNe−NoがNGのパターン、つまり、出力回転数Noを含まないNe−NiのみがOKで、出力回転数Noが含まれる2つの値がNGの場合、車速センサ(出力回転センサ65)が異常であると判定される。
【0104】
ステップ106では、従動輪速に基づいて算出された推定車体速VSPFLが使用禁止か使用許可かが判断され、使用禁止である場合はステップ107へ進み、車速センサ異常を示す信号が出力され、使用許可である場合はステップ108へ進む。このステップは、図外の推定車体速異常判定において、推定車体速VSPFLが異常であると判定されれば使用禁止され、推定車体速VSPFLが正常であると判定されれば使用許可され、この使用許可もしくは使用禁止を示す信号が出される。この信号を読み込むことで判断される。
【0105】
ステップ108では、出力回転センサ65からの出力回転数Noに基づき算出された車速センサ車速VSPSENと推定車体速VSPFLとの差の絶対値が、設定されたしきい値C以下かどうかが判断され、しきい値Cを超えていればステップ107へ進み、車速センサ異常を示す信号が出力され、しきい値C以下であればステップ109へ進む。なお、ステップ106及びステップ108は、車速差判断手段に相当する。
【0106】
ステップ109では、車速差がしきい値C以下の状態となって一定時間経過しているかどうかが判断され、NOの場合はステップ110へ進み、車速センサフェールについて現在判定が保持され、YESの場合はステップ111へ進み、車速センサ正常を示す信号が出力される(請求項1記載の変速機構異常判定手段に相当)。
【0107】
ステップ112では、ABS、TCS、VDCのいずれも非作動であるかどうかが判断され、何れかが作動である場合には、ステップ113へ進み、変速機構正常を示す信号が出力され、いずれも非作動である場合にはステップ114へ進む(請求項3記載の変速機構異常判定手段に相当)。
【0108】
ステップ114では、ロックアップ状態かどうかが判断され、ロックアップもしくはコーストロックアップ中以外の場合はステップ113へ進み、変速機構正常を示す信号が出力され、ロックアップもしくはコーストロックアップ中の場合はステップ115へ進む(請求項4記載の変速機構異常判定手段に相当)。
【0109】
ステップ115では、個別異常判定によりエンジン回転センサ68と入力回転センサ64と車速センサ(出力回転センサ65)が正常か異常かが判断され、何れかが異常である場合には、ステップ113へ進み、変速機構正常を示す信号が出力され、いずれも正常である場合にはステップ116へ進み、変速機構異常を示す信号が出力される(請求項5記載の変速機構異常判定手段に相当)。
【0110】
すなわち、三種の回転センサ検出値比較による異常判定では、単純に車速センサ異常であると判定されるが、車速センサ(出力回転センサ65)による検出値は変速機構を経過した回転情報である以上、この異常判定には、変速機構正常で車速センサ異常の場合と、変速機構異常で車速センサ正常の場合と、変速機構も車速センサも異常の場合が含まれる。このうち、変速機構も車速センサも同時に異常であるというのは実際上きわめて起こりにくいことであるので、実質的には、変速機構正常で車速センサ異常、もしくは、変速機構異常で車速センサ正常のいずれかであるといえる。
【0111】
一方、加速スリップ(駆動スリップ)や減速スリップ(制動ロック)を生じていない限り、駆動輪速である車速センサ車速VSPSENと従動輪速である推定車体速VSPFLとはほぼ同じ値になることから、車速センサ車速VSPSENと推定車体速VSPFLとの差の絶対値が、設定されたしきい値C以下の正常な車速差範囲内の状態が設定時間継続することによって、車速センサ単体として正常と判定することができる。
【0112】
そこで、回転センサ検出値比較による異常判定に、車速センサ単体として別の異常判定手法を導入し、検出値比較による判定では異常と判定されても、車速センサ単体としては正常という判定がなされたら、検出値比較による異常判定は、変速機構の異常を原因とする判定結果とみなすことができるという考え方を導入して変速機構の異常が判定される。
【0113】
よって、二種類の車速センサ異常判定手法を組み合わせることで、入力回転センサ64と出力回転センサ65との間に介在される変速機構の異常を簡単に精度良く判定することができる。
【0114】
また、変速機構異常判定のステップ112において、ABSやTCSやVDC等の制駆動力制御装置がいずれも非作動であるという条件を異常判定条件に加えているため、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0115】
すなわち、車速センサ異常の誤検知を回避することができない制駆動力制御装置の作動時には変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0116】
さらに、変速機構異常判定のステップ114において、ロックアップ中であるという条件を異常判定条件に加えているため、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0117】
すなわち、トルクコンバータのロックアップクラッチが解放されている時は、エンジン回転数と変速機入力回転数の関係がトルクコンバータによる流体滑り度合いにより変化し、正確な三種の回転センサの比較判定を行うことができないため、ロックアップ時(コーストロックアップ時も含む)以外には変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0118】
その上、変速機構異常判定のステップ115において、個別異常判定によりエンジン回転センサ68と入力回転センサ64と出力回転センサ65のいずれのセンサも正常であるという条件を異常判定条件に加えているため、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0119】
すなわち、エンジン回転センサ68と入力回転センサ64と出力回転センサ65とのいずれかが断線やショート等の異常である場合、正確な三種の回転センサ68,64,65の比較判定を行うことができないため、個別異常判定によりいずれのセンサ68,64,65も正常ではない限り変速機構の異常判定を禁止することで、正確な変速機構の異常判定を行うことができる。
【0120】
[変速制御車速の設定について]
上記説明ではABSまたはTCSが非作動であることを前提とし、車速VSPを用いて到達入力回転数Niを求める場合について説明してきたが、本実施の形態では、アンチスキッド制御装置320やトラクションコントロール装置330から作動信号が入力された場合、変速制御車速SftVSPとして、車速VSP(以下、車速センサ車速VSPSEN)に代えて各装置320,330で用いられる推定車体速VSPFLとする構成を採用している。
【0121】
図7は変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。この処理は、到達入力回転数算出部72(図3)において実行されるものである。
【0122】
先ず、ステップ117では、図6に示す車速センサ異常判定結果を受けて車速センサ異常かどうかが判断され、YESの場合はステップ118へ進み、NOの場合はステップ120へ進む。
【0123】
ステップ118では、車速センサ車速VSPSENが固定値に設定され、ステップ119へ進む。この固定値は、例えば、有段変速機の3速に相当する変速比が得られる車速値に設定される。
【0124】
ステップ119では、推定車体速VSPFLの使用が禁止され、ステップ117へ戻る
【0125】
ステップ120では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される。非作動であると判断されるとステップ121へ進み、作動であると判断されるとステップ123へ進む。
【0126】
ステップ121では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される。非作動であると判断されるとステップ122へ進み、作動であると判断されるとステップ123へ進む。
【0127】
ステップ122では、変速制御車速SftVSPとして車速センサ車速VSPSENが設定され、ステップ117へ戻る。
【0128】
ステップ123では、変速制御車速SftVSPとして推定車体速VSPFLが設定され、ステップ124へ進む。ここで、推定車体速VSPFLとは、ABS制御やTCS制御で従動輪速に基づいて決められる疑似車体速や前後加速度センサからの出力信号を積分演算することで得られる車体速演算値をいう。
【0129】
ステップ124では、アンチスキッド制御装置320からの作動信号によりABS作動かどうかが判断される。非作動であると判断されるとステップ125へ進み、作動であると判断されるとステップ123へ進む。
【0130】
ステップ125では、トラクションコントロール装置330からの作動信号によりTCS作動かどうかが判断される。非作動であると判断されるとステップ126へ進み、作動であると判断されるとステップ123へ進む。
【0131】
ステップ126では、スロットル開度TVO及び推定車体速VSPFLから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数NiFLが算出されると共に、スロットル開度TVO及び車速センサ車速VSPSENから図4に示したような変速マップを基にして到達入力回転数NiSENが算出され、ステップ127へ進む。
【0132】
ステップ127では、推定車体速VSPFLを用いて算出された到達入力回転数NiFLと、車速センサ車速VSPSENを用いて算出された到達入力回転数NiSENとの差の絶対値が、設定しきい値A以下かどうかが判断される。ここで、変速制御車速SftVSPを推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENへ戻すことにより変速比が変化する場合、乗員にとって変速比変化を許容できる最大値を実験等により求め、この求められた1つの値が設定しきい値Aとされる。このステップ127でYESと判断されると、ステップ122へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。また、ステップ127でNOと判断されると、ステップ128へ進む。
【0133】
ステップ128では、推定車体速VSPFLが固定値B以下かどうかが判断される。ここで、変速制御車速SftVSPの最小値として設定されている値が固定値Bとされる。このステップ128でYESと判断されると、ステップ122へ進み、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。また、ステップ128でNOと判断されると、ステップ123へ進む。
【0134】
したがって、車速センサ(出力回転センサ65)が正常であって、ABSもTCSも非作動である車両走行時には、変速制御車速SftVSPとして車速センサ車速VSPSENの設定が維持され、ABS或いはTCSが作動を開始すると、変速制御車速SftVSPが車速センサ車速VSPSENから推定車体速VSPFLに切り換えられ、ABS或いはTCSの作動が終了し、ABSもTCSも非作動状態になると、変速比の急変を抑えるステップ127の戻し条件とステップ128の戻し条件のうち何れかが成立すると、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLから車速センサ車速VSPSENに戻される。
【0135】
一方、車速センサ(出力回転センサ65)が異常であると判定されると、ステップ117→ステップ118→ステップ119へと進み、車速センサ車速VSPSENが一定の固定値にされ、推定車体速VSPFLの使用が禁止され、変速制御車速SftVSPが固定値とされて到達入力回転数Niを求める変速制御が行われる。
【0136】
すなわち、通常は車速センサ車速VSPSENを使用して到達入力回転数Niを決定し、車速センサの異常が発生した場合、変速制御車速SftVSPをある一定の値に固定して到達入力回転数Niを決定している場合、その状態でTCSやABS等が作動すると、変速制御車速SftVSPが推定車体速VSPFLに切り替わるため、その切り替わりの際にその車速差により、車両挙動変化やショックを招く急激なダウンシフトや急激なアップシフトが発生してしまう。また、推定車体速VSPFLによる変速制御から通常の車速センサ車速VSPSENに戻る際も同様な問題が発生する。
【0137】
そこで、車速センサ(出力回転センサ65)が異常であると判定された場合、推定車体速VSPFLの使用を禁止し、車速センサ車速VSPSENが一定の固定値、つまり、変速制御車速SftVSPを固定値としたままで変速制御を行うことで、TCSやABS等の制駆動力制御装置の作動開始時や作動終了時であっても変速比が一定に保たれ、意図しない車両挙動変化やショックを招く急な変速比変化を抑えることができる。
【0138】
[高車速イニシャライズ処理について]
図8は変速制御プログラム中の高車速イニシャライズ処理を示すフローチャートである。この処理は、ステップモータ駆動位置指令算出部87(図3)において実行されるものである。
【0139】
先ず、ステップ129では、ステップモータ4への駆動位置指令Astepを読み込み、ステップ130へ進む。
【0140】
ステップ130では、図6に示す変速機構異常判定結果を受けて変速機構が異常かどうかが判断され、YESの場合はステップ131へ進み、NOの場合はステップ132へ進む。
【0141】
ステップ131では、故障情報記憶制御に従い履歴データに変速機構異常情報を保存し、ステップ136へ進む(請求項2記載の故障情報記憶手段に相当)。
【0142】
ステップ132では、走行中の電源OFFの有無が判定され、YESの場合はステップ133へ進み、NOの場合はステップ134へ進む。
【0143】
ステップ133では、走行中初期化指令情報FLAGINIが、走行中初期化指令情報有りを示すFLAGINI=1に設定され、ステップ134へ進む。
【0144】
ステップ134では、FLAGINI=1かどうかが判断され、YESの場合はステップ136へ進み、NOの場合はステップ135へ進む。
【0145】
ステップ135では、駆動位置指令Astepが、通常のロー側制限値RTO1及びハイ側制限値RTO2と比較される。ここで、通常のロー側制限値RTO1及びハイ側制限値RTO2は、ステップモータ4の双方向の機械的な作動限界位置に対応する。
【0146】
このステップ135での比較において、Astep<RTO2であればステップ137でAstep=RTO2とし、RTO2≦Astep≦RTO1であればステップ138でAstep=Astepとし、Astep>RTO1であればステップ139でAstep=RTO1とする。
【0147】
ステップ136では、駆動位置指令Astepが、高車速イニシャライズ時のロー側制限値INIRTO1及びハイ側制限値INIRTO2と比較される。ここで、高車速イニシャライズ時のロー側制限値INIRTO1及びハイ側制限値INIRTO2は、上記通常時のロー側制限値RTO1及びハイ側制限値RTO2により規定される通常範囲(RTO2≦Astep≦RTO1)よりも狭く設定した制限範囲(INIRTO2≦Astep≦INIRTO1)に対応する。
【0148】
このステップ136での比較において、Astep<INIRTO2であればステップ140でAstep=INIRTO2とし、INIRTO2≦Astep≦INIRTO1であればステップ141でAstep=Astepとし、Astep>INIRTO1であればステップ142でAstep=INIRTO1とする。
【0149】
ステップ143では、停車かどうかが判断され、YESの場合はステップ144へ進み、ステップ144では、走行中初期化指令情報FLAGINIが、走行中初期化指令情報無しを示すFLAGINI=0に設定される。
【0150】
なお、ステップ130,ステップ136及びステップ140〜ステップ142は、請求項1記載のフェールセーフ制御手段に相当する。
【0151】
よって、変速機構が異常であると判定された場合、ステップ129→ステップ130→ステップ131→ステップ136へと進む流れとなり、走行中において変速アクチュエータであるステップモータ4への駆動位置指令Astepと変速比との関係を初期化する高車速イニシャライズ処理が行われる。
【0152】
すなわち、変速機構に異常が発生すると、ステップモータ4への駆動位置指令Astepと変速比との関係がずれているので、そのまま走行すると、ステップモータ4の動作を規定するストッパ当たりが発生してしまう。
【0153】
そこで、変速機構の異常が判定された場合、高車速イニシャライズを実施することによって、変速機構が異常のまま走行しても、ステップモータ4への駆動位置指令Astepと変速比との関係のずれが修正され、ストッパ当たりを防止することができる。
【0154】
また、高車速イニシャライズ処理において、図4に示すように、図中実線で示した停車時におけるイニシャライズ処理での変速範囲(RTO2≦Astep≦RTO1)に比べ変速範囲を狭く設定した制限範囲(INIRTO2≦Astep≦INIRTO1;図4中破線で示す)内に駆動位置指令Astepを制限したため、ステップモータ4への駆動位置指令Astepと変速比との関係のずれを修正しながら、ストッパ当たりが確実に防止される。
【0155】
さらに、変速機構が異常であると判定された場合、ステップ131において、履歴データに変速機構異常情報を保存するようにしているため、ディラー等では、変速機構が故障であると素早く検知され、変速機構を正常状態に修復する修理や部品交換等の対応を行うことができる。
【0156】
すなわち、変速機構に異常が発生した場合には、何らかの違和感を持つはずであり、点検修理のために車両をディラー等に入れる。このとき、履歴データに保存されている変速機構異常情報をディラー等において開くことにより、ディラー等では、変速機構が故障であると素早く検知され、変速機構を正常状態に修復する修理や部品交換等の対応を行うことができる。
【0157】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0158】
例えば、上記実施の形態では、本発明による無段変速機の変速制御装置をトロイダル型無段変速機に適用する場合について説明したが、本発明の変速制御装置をVベルト式無段変速機に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による無段変速機の変速制御装置を備えるトロイダル型無段変速機の縦断側面図である。
【図2】図1のトロイダル型無段変速機をその変速制御システムと共に示す縦断正面図である。
【図3】図2のコントローラが実行する変速制御の機能ブロック線図である。
【図4】無段変速機の変速パターンを例示する変速線図である。
【図5】本発明による無段変速機の変速制御装置の変速制御プログラムの全体を示すフローチャートである。
【図6】変速制御プログラム中の車速センサ異常及び変速機構異常判定処理を示すフローチャートである。
【図7】変速制御プログラム中の変速制御車速設定処理を示すフローチャートである。
【図8】変速制御プログラム中の高車速イニシャライズ処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 入力コーンディスク
2 出力コーンディスク
3 パワーローラ
4 ステップモータ
5 変速制御弁
6 ピストン
7 プリセスカム
8 変速リンク
20 入力軸
28 ローディングカム
41 トラニオン
43 アッパリンク
45 ロアリンク
60 インヒビタスイッチ
61 コントローラ
62 スロットル開度センサ
63 車速センサ
64 入力回転センサ
65 出力回転センサ
66 油温センサ
67 ライン圧センサ
68 エンジン回転センサ
69 UP/DOWNスイッチ
70 モード選択スイッチ
71 変速マップ選択部
72 到達入力回転数算出部
73 到達変速比算出部
74 変速時定数算出部
75 目標変速比算出部
310 エンジン制御スイッチ
320 アンチスキッド制御装置
330 トラクションコントロール装置
340 定速走行装置

Claims (5)

  1. エンジンからの入力回転を無段階に変速して駆動輪への出力回転を得る無段変速機構と、エンジン回転数を検出するエンジン回転センサと、変速機入力部材の回転を検出する変速機入力回転センサと、変速機出力部材の回転を検出する変速機出力回転センサと、これらの回転センサからのセンサ信号を含む入力情報に基づいて目標変速比を算出し、算出された目標変速比が得られる駆動指令を変速アクチュエータに出力する変速制御手段とを備えた無段変速機の変速制御装置において、
    前記回転センサにより検出されたエンジン回転数と変速機入力回転数と変速機出力回転数の3つの検出値に基づいて、変速機出力回転の検出値のみが、他の検出値と異なる値を示した場合、変速機出力回転センサ(以下、車速センサという)が異常であると判定する車速センサ異常判定手段と、
    前記車速センサ異常判定手段により車速センサが異常であると判定された場合、車速センサ信号とは異なる信号により算出された推定車体速が正常であり、かつ、車速センサ信号に基づき算出された車速センサ車速と推定車体速との差の絶対値が、設定されたしきい値以下かどうかを判断する車速差判断手段と、
    車速差絶対値がしきい値以下という判断状態のまま設定時間を経過すると、回転数比較による車速センサ異常という上記判定結果は、無段変速機構の異常を原因とする判定結果とみなし、無段変速機構が異常であると判定する変速機構異常判定手段と、
    前記変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、走行中において変速アクチュエータへの指令値と変速比との関係を初期化するイニシャライズ処理を行うフェールセーフ制御手段と、を設け、
    前記フェールセーフ制御手段は、変速機構異常判定時の走行中初期化指令情報を記憶し、この走行中初期化指令情報に基づき変速範囲を狭く設定した制限範囲内に指令値を制限する変速範囲制限手段を備えていることを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 請求項1記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速機構異常判定手段により変速機構が異常であると判定された場合、故障情報を記憶する故障履歴メモリに変速機構異常情報を保存する故障情報記憶手段を設けたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、制動力制御装置や駆動力制御装置がいずれも非作動であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、ロックアップ中であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の無段変速機の変速制御装置において、
    前記変速機構異常判定手段を、上記車速差条件に加え、個別異常判定によりエンジン回転センサと変速機入力回転センサと車速センサのいずれのセンサも正常であるという条件が成立する場合に無段変速機構が異常であると判定する手段としたことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
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