JP3646748B2 - 歯科用チップの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科用チップの製造方法に関し、更に詳しくは、歯や人工的な修復,補綴物やインプラント材などを損傷することなく歯石などの付着物を除去したり、根管の拡大清掃など歯内治療に用いることができ、また、容易に製作することができ、使い捨てが可能である歯科用チップの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯石やプラーク(歯垢)は、歯周病やウ蝕の主因を成している。そのため、歯面や歯根面,人工修復補綴物やインプラント材に付着したこれら歯石やプラークを除去することが、歯の病気の治療や予防に最も重要である。
このような歯科治療において、歯面の歯石の除去,ポケット内のデブライドメント,根面を滑沢にする歯根面の無毒化、すなわちスケーリングやルートプレーニングは重要な基本処置となっている。
【0003】
なお、スケーリングとは、歯肉の縁上および縁下のプラークや歯石などの付着物を除去する操作のことをいい、また、ルートプレーニングとは、歯根面を滑沢にして、歯根面の残存,埋入した歯石や壊死セメント質などを除去し、汚染された歯根面の無毒化をはかる操作のことをいう。
前記したスケーリング操作やルートプレーニング操作は、通常、手用の金属製スケーラー、とくに手用キュレットスケーラーを用いて行われており、世界的にも現在、この方法が最も確実とされている。しかしながら手用のキュレットスケーラーによるスケーリングやルートプレーニングは、非常に熟練を要する操作であり、しかも手間のかかる操作である。
【0004】
また、手用キュレットスケーラーを用いる方法の外に、補助的にエンジン用ロトソニック,タービン用エアスケーラー,超音波スケーラーなどを用いることによりスケーリングやルートプレーニングを行うことがある。
エンジン用ロトソニックは、例えば、六角錐状の回転チップを先端に装着し、前記チップを回転させながら当該チップを歯石などに押し当てて、歯石などの付着物を研削除去する治療具である。また、タービン用エアスケーラーは、例えば、金属製で棒状の専用チップをエアタービンの高速回転運動を利用して回転、あるいは前記回転運動を利用して振動させ、回転あるいは振動状態にあるチップを歯石などに押し当てて、歯石などの付着物を研削除去する治療具である。
【0005】
なお、これらの治療具は、一般的に振動が大きく、歯面に傷をつけやすかったり、また、振動や音により患者に不快感を与え、患者にはよい印象を与えていない。
一方、超音波スケーラーは、歯面に沿うような複雑形状を成す金属製の専用チップを超音波振動源に接続し、前記超音波振動源を超音波域で振動させることにより前記チップ先端に超音波振動を伝達し、超音波振動した状態にある前記チップ先端を歯表面に付着した歯石などに押し当てることによりこれを研削除去し、歯表面を滑沢にするものである。
【0006】
しかしながら、この超音波スケーラーも出力パワーを大きくして用いると、歯面に傷をつけたり、患者に疼痛を与えたりすることがある。
このような欠点を改善した新しい超音波スケーラーとして、歯肉にかくれた状態で歯根面に付着した歯石などを研削、歯肉などの軟組織を傷つけないような、パワーを低く抑えて歯石などを研削除去する超音波スケーラーが、特開平5−154164号公報で開示されている。この超音波スケーラーは、チップの形状を歯根面に沿うような3次元的に湾曲した形状にし、超音波スケーラーの超音波振動源の発振振動数をチップの固有振動数に一致させて、スケーリング時には共振状態で駆動させるものである。従って、この超音波スケーラーの場合、供給される超音波エネルギーが極微小パワーであってもチップ先端の振幅を大きくすることができ、患者に疼痛や不快感を与えることなく超音波振動を有効に利用できるので、歯肉などの軟組織を損傷することなく、歯根面の歯石の除去や処置を効率よく行うことができる。
【0007】
また、超音波スケーラーの場合には、一般に、チップを根管治療用チップ,ファイルなどにかえることにより、根管治療(根管充填や根管内の拡大清掃,洗浄など)にも使用することができる。
このように、スケーリング操作やルートプレーニング操作は、従来は、手用のキュレットスケーラーが広く用いられてきたが、チップを機械的に回転あるいは振動させるロトソニック,エアスケーラー,超音波スケーラーなどは、スケーリング,ルートプレーニング,根管治療などを、比較的簡便に、かつ効率よく行うことができるので、最近では、歯の病気の治療や予防に広く利用されるようになっている。
【0008】
しかしながら、出力パワーを大きくすると、患者に疼痛を与えるなど改善すべき点も残されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記したロトソニック,エアスケーラー,超音波スケーラーなどに装着される歯科用チップは、ステンレス鋼のような耐蝕性,耐磨耗性に優れている金属材料で製造されているのが通例である。とくに、硬質の金属材料で製造した歯科用チップの場合には、使用過程におけるチップ摩耗が抑制されるとともに、短時間でも歯石などの付着物を効率よく除去できるので、歯科治療にとっては極めて有効である。
【0010】
しかしながら、金属製の歯科用チップは、歯、またはインプラント材などで植立された人工歯根,人工歯,インレー,アマルガムなどの人工的な充填修復,補綴物(以下、単に人工物という)に当たると、これら人工物に比べて硬質でありすぎるため、人工物を損傷してしまうという問題が生じやすい。
このように、歯や人工物が損傷すると、その損傷部分に歯石やプラークなどが付着しやすくなり、新たにウ蝕や歯周病の原因をつくることになる。
【0011】
歯や人工物の表面の損傷は、上記したように、健全な口腔環境を害するものであるため、歯科治療においては、このような損傷の発生を極力抑制することが望ましいことになる。
しかし、前記した金属製の歯科用チップは、それが歯や人工物に対して硬質でありすぎるため、上記した条件を満たすには難点がある。
【0012】
また、超音波用のスケーリング,ルートプレーニングに用いる歯科用チップは、内部に細い通水管を有し、歯面や歯根面に沿うように、3次元的に湾曲した複雑な形状をしているので、その製造には、手作業による熟練作業が必要であり、そのため、大量生産が困難である。このようなことから、歯科用チップは不可避的に高価格とならざるを得ない。
【0013】
更に、最近では、歯科治療の際、感染力の強い血清肝炎やエイズなどの病気の感染を避けるために、治療に用いる器具、とくに、唾液や血液などの分泌物と直接接するような器具、あるいは前記分泌物と直接接触し、しかも細管を有するような器具は、使い捨て(ディスポーザブル)にすることが望まれている。しかしながら、金属製の歯科用チップは、上記したように非常に高価格となるために、一度の歯科治療や手術のたびごとに使い捨てるというわけにはいかない。
【0014】
本発明は、金属製の歯科用チップにおける上記した問題を解決し、従来の金属製の歯科用チップと同等の治療効果を発揮するだけではなく、歯や人工物を損傷することがなく、使い捨ても可能な歯科用チップを容易かつ安価に製造することができる歯科用チップの製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記した目的を達成するために、金属材料に代わり得る材料の開発に関し鋭意研究を重ねた結果、後述する材料は、従来の金属材料ほど硬質ではないにも関わらず、歯や人工物を損傷することなく、歯石などの歯への付着物を効果的に除去できるとの知見を得、本発明の歯科用チップの製造方法を開発するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、超音波駆動源に接続される基端部と、歯科における処置時に治療対象個所に作用する先端部とを備えた歯科用チップの製造方法において、プラスチック基材と無機質充填材または有機質充填材のいずれか一方あるいは双方から成る充填材とを混合して得た複合材を成形して、前記歯科用チップの前記基端部および前記先端部をなす成形体を得る工程を備え、この工程において、予め求めておいた成形体の固有振動数と成形体の硬度および弾性率との関係に基づき、前記プラスチック基材と前記充填材との配合割合を決定し、前記超音波振動源の発振振動数近傍で共振可能な固有振動数を有する成形体を得ることを特徴とする。
なお、ここでいう歯科における処置とは、歯科の治療,歯の病気の予防などの処置に関することを指し、このような処置としては、例えば、歯,人工物(以下、本発明ではこれらを総称して治療対象個所という)に対して行われる、付着物の除去,病的部分の除去,表面の研削,研磨,洗浄,根管治療などをあげることができる。したがって、本発明の歯科用チップの前記先端部は、上に列記した処置に適合した形状にすることが好ましい。すなわち、前記チップの形状としては、例えば、超音波スケーラーによるスケーリング,ルートプレーニングに用いられるような歯面に沿った複雑形状を有するチップや予防用チップ,根管治療に用いられるチップ(根管内の拡大清掃用チップ,根管充填用チップや逆根管治療用チップ)などをあげることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法により製造される歯科用チップの1例A1を図1に示す。この歯科用チップA1は超音波スケーラーに装着されるものであって、基端部1と先端部2とを備えた一体成形物として構成されている。
基端部1は、駆動源との接続部1aと支柱部1bとを備えており、接続部1aは軸線に沿って直線状に延び、支柱部1bは、接続部に対して個所a1で一方向に屈曲し、先端部2は支柱部1bに対して個所a2で更に屈曲するとともに、複雑な歯根面、直視できない歯根分岐部内や根管内に良好に適合するために繊細、かつ、前後・左右に複雑に湾曲した形状になっている。このように、歯科用チップA1は、全体として、3次元的に湾曲して基端部1から先端部2に向かって先細りする形状になっている。
【0018】
接続部1aには所望の深さまで例えば雌ねじ3が刻設されていて、ここに、後述する超音波スケーラーの接続部である例えば雄ねじを螺合することによって、歯科用チップA1は、図2で示したように、超音波振動源であるハンドピースBに装着できるようになっている。
前記した雌ねじ3の底からは、支柱部1bの軸線に沿って、一方に開口5を有する通路4が形成され、通路4を介して供給された洗浄水(または薬液)がこの開口5から先端部2に向けて噴出できるようになっている。
【0019】
この歯科用チップA1は、後述するプラスチック基材をマトリックスとし、これに後述の無機質充填材または/および有機質充填材を強化材として配合して成る複合材の成形体である。
用いるプラスチック基材としては、ポリフェニレンサルファイド,ポリアミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,液晶ポリマー,ポリカーボネート,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルケトン,ポリエーテルサルホン,ポリサルホン,ポリエーテルイミド,ポリアミドイミド,ポリイミド,ポリアセタールの群から選ばれる少なくとも1種を好適例としてあげることができる。
【0020】
これらのうち、ポリフェニレンサルファイドは、耐蝕性,耐熱性(複合材の成形体としての耐熱温度が約260℃),耐薬品性が優れ、また無毒である。したがって、ポリフェニレンサルファイドをマトリックスとして製造した歯科用チップは、口腔内や手術中使用しても安全であり、口腔内で唾液などと接触しても変質することがなく、更には、当該歯科用チップに対し、オートクレーブ滅菌,煮沸滅菌,薬液消毒などを行うことができるので好適である。
【0021】
このプラスチック基材に配合される充填材としては、無機質充填材,有機質充填材のいずれをも使用することができる。また、両者を混合して使用することもできる。
用いる無機質充填材や有機質充填材の形状は、粉末形状,繊維形状のいずれであってもよい。また、無機質充填材の場合は、ひげ結晶状のものであってもよい。なお、繊維形状のものは長繊維を適当な長さに切断し、短繊維として使用される。
【0022】
無機質充填材としては、例えば、カーボン繊維,繊維状チタン酸カリウム,カラス繊維,アルミナ繊維,酸化チタン,ボロン,タルクなどをあげることができ、とくに、カーボン繊維と繊維状チタン酸カリウムは好適である。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を適宜に混合して用いてもよい。
一方、有機質充填材としては、例えば、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維,ポリエチレン繊維,ポリビニルアルコール繊維,ポリアリーレート繊維,ポリプチレンテレフタレート繊維の群から選ばれる少なくとも1種を好適例としてあげることができ、とくにアラミド繊維は好適である。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を適宜に混合して用いてもよい。
【0023】
また、前記した無機質充填材と有機質充填材とを混合して用いてもよい。
この歯科用チップA1は、図2で示したように、ハンドピースBのような超音波振動源(駆動源)に装着して実使用されるが、その場合、前記駆動源の出力パワーが小さい場合であっても、効果的な振動が得られるように、超音波振動源から供給される振動エネルギーの減衰が小さく、超音波振動源の発振振動数と共振できるような固有振動数を有していることが好ましい。
【0024】
しかしながら、歯科用チップA1の固有振動数が、超音波振動源の振動数と多少ずれていても、歯石などを除去することにとって有効な振動が当該歯科用チップA1に実質的に伝達されるような状態であれば、その歯科用チップは充分に実使用可能である。
具体的には、超音波振動源の発振振動数をfとし、歯科用チップの固有振動数をf0としたときに、f0とfが、次式:
f−500(Hz)≦f0≦f+500(Hz)
の条件を満たしている場合には、その歯科用チップは実使用可能である。
【0025】
上記したように、歯科用チップA1を超音波振動源の発振振動数の近傍で共振させるためには、以下に示す4つの項目に関して検討を行い、これらの項目を組合せることにより、超音波振動源の前記した発振振動数近傍(幅は500Hz)に当該チップの固有振動数が入るように調節することが好ましい。
まず、第1の項目は複合成形体の材質である。
【0026】
すなわち、歯科用チップの形態をとっている複合材の成形体の材質を、振動の減衰が少なく、かつ、超音波振動源の発振振動数で共振する固有振動数(共振振動数)を得ることができるものにすることが好ましい。
その場合、複合材の成形体の材質が軟らかすぎると、目的とする共振が得られず、駆動源から供給される振動エネルギーが大きく減衰して超音波振動をチップの先端部2にまで有効に振動伝達させることが困難となる。逆に硬度を高くしすぎると、治療対象個所を損傷することがあるとともに、破折も起こりやすくなる。
【0027】
このようなことから、複合材の成形体としては、それを駆動源に装着して作動させたときに、超音波振動源の発振振動数と共振してその超音波振動を先端部にまで確実に伝達できるとともに、治療対象個所を損傷しないような材質であることが好ましい。すなわち、適切な硬度と弾性率を有していることが必要になる。具体的には、複合材の成形体の硬度はロックウェル硬度(Mスケール)で65〜120の範囲内にあることが好ましい。上記ロックウェル硬度が65より低い場合には、供給される振動エネルギーの減衰が大きくなり、また120より高い場合には、治療対象個所の損傷を引き起こすとともに破折が起こりやすくなるからである。
【0028】
また、複合材の成形体の弾性率は、曲げ弾性率で2500〜25000MPaの範囲内にあることが好ましい。この曲げ弾性率が2500MPaより小さい場合には、供給される超音波振動の伝達効率が低下して有効な治療効果が得にくくなり、また25000MPaより大きくするとチップの破折が起こりやすくなる。
硬度のより好ましい値は、ロックウェル硬度(Mスケール)で75〜100,曲げ弾性率のより好ましい値は10000〜25000MPaである。
【0029】
複合材の成形体の上記した硬度や曲げ弾性率、したがって、供給された振動エネルギーのチップ先端部への伝達効率は、用いるプラスチック基材の種類や配合割合、充填材の種類や配合割合などによって変化する。例えば、充填材が粉末であった場合には、その粉末の粒度によっても変化する。そして、充填材が短繊維であった場合には、その繊維径やアスペクト比によっても変化する。したがって、上記した範囲の硬度や曲げ弾性率を有する複合材の成形体は、上記の各因子を適切に組み合わせることによって製造することができる。
【0030】
その場合、充填材が無機質充填材であるか有機質充填材であるかによって、得られた複合成形体の歯科用チップとしての機能は変わってくる。
一般に、有機物質に振動エネルギーを供給した場合、当該有機物質内を伝搬していく振動エネルギーは吸収され、その減衰が大きくなるので、それを強化材として製造した複合材の成形体も振動エネルギーの減衰能は大きくなる傾向を示す。したがって、その複合材の成形体から成る歯科用チップを超音波振動源に装着して作動させた場合、超音波振動源の出力パワーを小さくすると、超音波振動源から供給される振動エネルギーは、歯科用チップの先端部に到達する前に減衰してしまい、結局、歯科用チップの先端部は共振動作を起こさず、治療効果を発揮しなくなることがある。
【0031】
したがって、有機質充填材が配合されている複合材の成形体の歯科用チップを実使用する場合には、超音波振動源の出力パワーを高めることが必要になる。しかし、有機質充填材の特徴の1つとして耐摩耗性が低く、治療対象個所に損傷を与えにくいという点で歯科用チップの充填材としては重要である。
これに反し、無機質充填材が配合されている場合には、上記した、振動の減衰や吸収の問題は起こりづらい。
【0032】
そのため、無機質充填材が配合されている複合材の成形体の場合には、超音波振動源の出力パワーを小さくしても、有効な歯科治療が可能となる。
例えば、プラスチック基材がポリフェニレンサルファイドで、充填材がカーボン繊維である複合材の成形体の場合、カーボン繊維の配合割合は10〜50重量%(したがって、ポリフェニレンサルファイドの割合は50〜90重量%)であることが好ましい。より好ましくは20〜40重量%である。カーボン繊維の配合割合が10重量%より少ないと、上記した適切な硬度が得られず、振動の減衰が大きくなり、また50重量%より大きくなると、硬度と剛性が高くなりすぎて使用時にチップの破折が起こりやすくなるからである。
【0033】
なお、上記した複合材の成形体において、カーボン繊維として、繊維径が7〜9μmでアスペクト比が15〜100であるものを用いると、得られた複合材の成形体のロックウェル硬度(Mスケール)は80〜100,曲げ弾性率は8000〜20000MPaになり、超音波振動源の出力パワーが小さい場合であっても、超音波振動の伝達効率は良好で、しかも目的とする所望の固有振動数を有する複合材の成形体の製造が行いやすくなるので好適である。
【0034】
また、プラスチック基材としてポリフェニレンサルファイドを用い、これに充填材として繊維状チタン酸カリウムを10〜50重量%配合した複合材の成形体の場合、この繊維状チタン酸カリウムとしては、繊維径0.3〜0.6μm,アスペクト比15〜67のものを用いると、そのロックウェル硬度(Mスケール)は80〜110,曲げ弾性率が5000〜15000MPaとなって硬度,曲げ弾性率は適正で、超音波振動源の出力パワーが小さい場合であっても(例えば1W)、超音波振動の伝達効率が高くなって好適である。
【0035】
なお、プラスチック基材としてポリフェニレンサルファイドに上記した充填材を加え、更に、繊維径12μmのアラミド繊維を約5重量%配合した複合材の成形体のロックウェル硬度(Mスケール)は75,曲げ弾性率は7000MPaであり、前記した2つの複合材の成形体に比べると、その超音波振動の伝達効率は低くなることが推定される。したがって、この複合成形体を歯科用チップとして実使用する場合には、前記した2つのものに比べ、高い出力パワー(例えば3W以上)の超音波振動源を用いて作動させることが必要になる。
【0036】
第2の因子は歯科用チップそれ自体の形状である。
用いる複合材の成形体の組成が同じであったとしても、チップ形状が異なると、そのチップを同じ超音波振動源に装着して同一の条件で作動させた場合、異なった共振動作を示す。
例えば、図1で示した形状のチップにおいて、全体の長さを変えたり、また、先端部2の湾曲形状を変えたりすると、同じ組成の複合材の成形体であっても、共振振動数が変わってくる。
【0037】
そのため、チップの形状としては、その先端部で治療効果を発揮する良好な超音波振動を得るために、チップの形状を超音波振動源の発振振動数で共振するような形状とすることが好ましい。この場合、初期の設計段階で、前記した良好な超音波振動が得られる形状を検討しておくことは重要であるが、本発明の歯科用チップは、マトリックスが軟質なプラスチック基材であるため切削が容易であり、歯科用チップを製作したのちに例えば基端部を多少切削するなどして全体の形状を修正してその固有振動数を微調整することもできる。
【0038】
第3の因子は、歯科用チップと超音波振動源との結合状態に関する問題である。
上記した結合が確実である場合には、超音波振動源からの振動エネルギーは当該結合部で反射や減衰することなく、効率よく歯科用チップに伝達される。
したがって、超音波振動源との結合状態を良好にするためには、結合部において、振動の反射や減衰が起きないようにすることが望ましく、その接続方法としては、図1で示したように、基端部1aにねじ3を刻設して超音波振動源との間でねじ止めすることを好適例としてあげることができる。
【0039】
その場合、図3に歯科用チップA2として示したように、基端部1の接続部1bに上部が開口し底部に通路4と連通する小孔を有する金属部材6を埋め込み、この金属部材6の内面に雌ねじ3を刻設すると、超音波振動源との接続を確実に行うことができ、前記した結合状態が良好になるので好適である。
また、図3で示した態様の代わりに、図1で示した雌ねじ3の部分に例えば無電解めっきを行って、当該雌ねじ3の表面を所定の金属で被覆してもよい。
【0040】
更には、結合部を帯状の金属で巻きしめてもよい。
これらの場合、結合部の数を可能な限り少なくして全体を一体化することが超音波振動の減衰要因を減少させることになる。また、途中にアダプターを介在させて使用することもできるが、しかし、これらは不安定要因になることがある。第4の因子は、歯科用チップを超音波振動源に装着したときの全体の系における固有振動数に関する問題である。
【0041】
この系において、チップの先端部で良好な共振状態を発揮させるためには、チップのみではなく、超音波振動源に装着したときの全体の系における固有振動数が適切になっていることが重要であり、それは、チップと超音波振動源とを、振動エネルギーを伝達するための一体化物として検討することによって対処することができる。
【0042】
本発明の歯科用チップは、更に、次のようにして治療対象個所に対する先端部の研磨効果を一層高めることができる。
まず、前記した充填材の外に、更に研磨性物質をも同時に配合して複合材の成形体に前記研磨性物質を混入し、均一分散させたり、プラスチック基材と充填材とから成る複合材の成形体の表面に前記研磨性物質を膜状に付着させる方法である。
【0043】
前記の方法が適用された複合材の成形体の場合は、それを実使用したときに、治療対象個所を研削する過程で先端部が経時的に摩耗していく場合でも、前記研磨性物質はチップ内に均一分散しているので、摩耗後に表出してくる面には必ず存在することになり、研磨効果の低下は起こらず、常時所望の研磨効果は維持されることになる。
【0044】
後者の方法が適用された複合材の成形体の場合は、その表面(チップ先端の表面)を被覆する膜状の研磨性物質が治療対象個所に対する研磨効果を発揮することになる。この後者の研磨性物質の付着方法としては、例えば、塗着,蒸着,イオンプレーティングなど、公知の成膜技術を採用することができる。
なお、上記した前者の方法と後者の方法を比較した場合、後者のチップはその膜状の研磨性物質が摩耗すると研磨効果を発揮しなくなってしまうが、前者のチップは、チップ全体が摩耗するまでの間は研磨効果を発揮し続けることができるので、歯科の治療・予防に対応して複雑な形状の部位を形成する場合にも適用することができ、極めて好適である。
【0045】
このような働きをする研磨性物質としては、治療対象個所に対する研磨効果を発揮するものであれば何であってもよく、例えば、アルミナ,シリカ,ジルコニア,ガラス,炭化ケイ素,炭化ホウ素,ダイヤモンドなどをあげることができる。とくに、アルミナは好適である。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また2種以上を一緒にして用いてもよい。
【0046】
なお、プラスチック基材に充填材と一緒に均一分散させる研磨性物質がアルミナである場合、あまり細かい粒度のものは均一分散が困難となり、またあまり粗い粒度のものは歯科用チップの表面が粗くなって、研磨というよりもむしろ傷をつけることになるので、粒度は1〜50μm程度の範囲にあるものを用いることが好ましい。そして、配合割合が少なすぎると、研磨効果は低下するようになり、逆に配合割合が多くなりすぎると、複合材の成形体の硬度や曲げ弾性率、更には振動エネルギーの伝達効率などに好ましくない影響が出はじめるので、その配合割合は、5〜20容積%程度にすることが好ましい。
【0047】
また、歯科用チップの先端部における研削効果を高めるためには、更に、図4に歯科用チップA3として示したように、先端部2の少なくとも1部に研削部7を形成してもよい。
すなわち、チップ全体をプラスチック基材と充填材から成る複合材の成形体で製作し、先端の一部に研削性物質から成る小片を研削部7として埋め込む、あるいは、基端部(接続部と支柱部)を複合材の成形体で構成し、支柱部の先に研削部を接続して先端部を研削部で置き換えることを行ってもよい。なお、ここでいう研削とは、病的根面,根管壁,軟組織や付着物を切削除去し、その後、切削面を研磨して滑沢にする作業のことを指す。
【0048】
この場合、先端部に埋め込む研削部としては、研削効果に優れた物で構成されていればよく、格別限定されるものではないが、例えば、金属片,セラミックス,ガラス片などをあげることができる。また、先端部全体と置き換える研削部としては、針状のファイルをあげることができる。このように、先端部にファイルを有するチップは、根管治療に好適である。ここで、前記ファイルは、表面に更にダイヤモンドを蒸着したファイルであってもよく、その場合には、一層研削効果の向上を実現することができるので、根管内の研削,清掃にとっては好適である。
【0049】
更に、精密な研磨効果も求めようとする場合には、研磨性を備えたプラスチック材でコーティングしてもよい。
なお、上記した根管治療とは、根管の拡大,根管内からの軟組織や壊死物質の除去,根管内の機械的拡大,清掃,洗浄および根管充填などの処置や外科処置時の逆根管治療などのことを指す。
【0050】
この歯科用チップを製造する場合には、まず、所定のプラスチック基材と充填材とを所定の割合で混合し、得られた混合物またはそのペレットを、所定の金型の中に例えば射出成形して目的形状に成形する。
すなわち、本発明の歯科用チップは、従来のプラスチック成形技術,装置をそのまま援用して製造することができ、一旦、金型形状を設定すれば、大量生産が可能であるため安価になる。
【0051】
このようにして製造される複合材の成形体である本発明の歯科用チップの場合、プラスチックの種類と充填材の種類や諸スペックと両者の配合割合が一定であり、かつ形状も全く同一であるときには、それらの歯科用チップは、すべてある値の硬度や曲げ弾性率、更には一定の固有振動数を有していることになる。
なお、複合材の成形体を製造する場合には、次のような方法を採用することができる。
【0052】
すなわち、それぞれの成形体は独立して本発明の歯科用チップとして使用することができる2種類またはそれ以上の複合材料を調製し、これらを所定の混合比率で混合して所定形状の金型に例えば射出成形することにより、目的とする固有振動数,硬度,曲げ弾性率を有する複合材の成形体にする方法である。
その場合、前記2種類の複合材料の混合比率を変化させ、その混合比率に対応する成形体を製造し、得られた成形体の固有振動数,硬度,曲げ弾性率、とりわけ固有振動数をそれぞれ測定することにより上記特性と混合比率との相関関係を把握し、その相関関係に基づいて2種類の複合材料の混合比率が決定される。
【0053】
具体的には、次のようにして複合材の成形体が製造される。
まず、所定のプラスチックに所定の充填材の所定量を混合して、組成が異なる2種類の複合材料a,bを調製する。
その場合、複合材料a,bは次のようにして調製される。
すなわち、複合材料a,bをそれぞれ例えば射出成形して成形体a’,b’にしたときに、得られた成形体a’の固有振動数がf1,成形体b’の固有振動数がf2になった場合、それぞれの固有振動数f1,f2が、使用する超音波発振器の発振振動数と共振可能な振動数になるように、複合材料a,bそれ自体でも本発明の歯科用チップの素材として使用できるように、複合材料a,bの組成が調整される。
【0054】
そして、目的とする歯科用チップの製造に先立ち、次のような準備操作が行われる。
すなわち、複合材料aと複合材料bの混合比率を様々に変えて混合し、得られた各混合物を例えば射出成形して組成が異なる混合物の成形体を製造し、超音波発振器の最適発振振動数に対するそれぞれ成形体の共振振動数を測定し、その共振振動数を前記した混合比率に対してプロットして共振振動数と混合比率の相関関係を表すグラフを作成しておく。
【0055】
そして、目的とする共振振動数を有する歯科用チップの製造に移る。すなわち、その共振振動数がfnである歯科用チップを製造する場合、前記したグラフから、共振振動数がfnになる複合材料aと複合材料bの混合比率を読み取る。
そして、読み取った混合比率となるように、複合材料aと複合材料bを混合した状態で例えば所定型面の金型内に射出成形する。かくして、所定の形状と、目的とする共振振動数fnを有する歯科用チップが容易に複合材として成形される。
【0056】
この方法によれば、金型の設計変更を行うことなく、2種類の複合材料の混合比率をかえるだけで、目的とする特性の複合材の成形体、すなわち歯科用チップを製造することができ、大幅に製造コストの低減を実現することができるので好適である。
【0057】
【実施例】
実施例1
ポリフェニレンサルファイド70重量%,繊維径8μmでアスペクト比が100のカーボン繊維30重量%を混練してペレット化し、得られたペレットを射出成形して、図1で示した形状の複合材の成形体を製造した。
【0058】
なお、この複合材の成形体の形状は、全長が36.3mmであり、先端部2は、個所a1,個所a2で2回に亘って湾曲した形状になっていて、歯科処置において口腔内の複雑な部位に存在する歯石などの付着物を効率よく研削除去できるとともに、超音波振動源に結合させた場合に全体で良好な共振動作が起こるように設計されている。そして、チップと超音波振動源との結合部には、ねじ部が設けられている。
【0059】
つぎに、この複合材の成形体を、図2で示すように、ハンドピースBに歯科用チップとして取り付け、ハンドピースBを作動した。
なお、このハンドピースに内蔵されている超音波振動源は0.1〜10Wのパワーで発振し、その発振振動数の最適値は31kHz,その幅は±2kHzに設定してある。
【0060】
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は32.8±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、従来の金属製歯科用チップのときよりも出力パワーを小さくすると性能は劣っていたものの、十分に、臨床に使用できる性能を示した。同時に、歯や人工物にとくに損傷を与えることはなかった。
【0061】
なお、上記した形状の複合成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、104,20000MPaであった。
なお、上記した形状の複合成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、104,20000MPaであった。
【0062】
実施例2
ポリフェニレンサルファイド70重量%,繊維径8μmでアスペクト比が100のカーボン繊維30重量%を用いて複合材の成形体を製造したこと、超音波振動源との結合状態を良好にして超音波振動の伝達効率を向上させるために、図3で示したように接続部1aに金属(ステンレス鋼)6を埋め込み、そこへ雌ねじ3を刻設したことを除いては実施例1と同様にして図1で示した形状の歯科用チップを製造し、それを同様の条件で作動させた。
【0063】
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は30.6±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、実施例1の場合よりも性能は向上し、出力パワーを3Wに下げても従来の金属製歯科用チップと同等の性能を示した。しかも実使用の過程では、歯や人工物に損傷を与えることはなかった。
【0064】
実施例3
ポリフェニレンサルファイド60重量%,繊維径0.3〜0.6μmでアスペクト比15〜67の繊維状チタン酸カリウム40重量%を混練してペレット化し、得られたペレットを射出成形して図1で示した形状の複合材の成形体を製造した。この複合材の成形体を実施例1と同様にハンドピースBに装着し、歯科用チップとして作動させた。
【0065】
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は30.4±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、性能は実施例1の場合よりも優れていて、出力パワーを1〜2Wに下げても従来の金属製歯科用チップと同等の性能を発揮し、治療に実使用している過程で、歯や人工物に損傷を与えることはなかった。
【0066】
しかし、ハンドピース2とのねじ締めを強くすると、その結合部でクラックが発生して破折しやすい傾向を示した。
なお、上記した形状の複合材の成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、104,14000MPaであった。
【0067】
実施例4
ポリフェニレンサルファイド60重量%,繊維径8μmでアスペクト比が100のカーボン繊維30重量%,繊維径0.3〜0.6μmでアスペクト比15〜67の繊維状チタン酸カリウム10重量%を混練して成るペレットを用いて図1で示した形状の複合材の成形体を製造し、それを実施例1と同様の条件で作動させた。
【0068】
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は32.8±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、性能は実施例1の場合よりも優れ、実施例3と同等、従来の金属製歯科用チップと同等の性能を発揮し、治療に実使用している過程で、歯や人工物に損傷を与えることはなかった。
【0069】
また、実施例3で起こることもあったねじ結合部におけるクラックなどは発生しづらくなった。
なお、上記した形状の複合材の成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、94,25000MPaであった。
【0070】
実施例5
ポリフェニレンサルファイド60重量%と繊維径8μmでアスペクト比が100のカーボン繊維30重量%,繊維径0.3〜0.6μmでアスペクト比15〜67の繊維チタン酸カリウム10重量%を混合し、更にここに、粒度1〜25μmのアルミナ粉末25容積%を混入し全体を混練して成るペレットを用いて図1で示した形状の複合材の成形体を製造し、それを歯科用チップとして実施例1と同様の条件で作動させた。
【0071】
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は32.1±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、従来の金属製歯科用チップと同等の性能を示し、更にはとりわけ優れた研磨性を発揮し、またその研磨性は長期に亘って持続し、また、出力パワーを0.3Wに下げても充分に治療効果を発揮した。
【0072】
しかも、アルミナの粗さが上記した範囲にあれば、歯や人工物にとくに損傷を与えることはなかった。これは、アルミナの分散状態が良好であり、どの部分でも同等の研磨効果を発揮しているからである。事実、このチップの表面と内部を電子顕微鏡で観察すると、どの個所でもアルミナが均一に分散していた。
実施例6
実施例4の複合材の成形体の先端部に、金属片(ステンレス鋼)7を埋め込んで図4で示した歯科用チップA3を製造した。
【0073】
この歯科用チップについても、実施例1と同様の条件で作動させた。
チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は31.8±0.3kHzを示した。
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、従来の金属製歯科用チップと同等の性能を示し、また実施例4に比べると、とりわけ優れた研削性を発揮した。
実施例7
ポリアセタール80重量%、繊維径8μmでアスペクト比100のカーボン繊維20重量%を混練してペレット化し、得られたペレットを射出成形して、図1で示した形状の複合材の成形体を製造した。
【0074】
この複合材の成形体を、実施例1で用いたハンドピースに歯科用チップとして装着して作動させた。実施例3,4のチップに比べて共振動作は悪くなった。
とくに、出力パワーが0.3Wのときは作動しなくなった。また、出力パワーを8Wに高めたところ先端部の破折が起こった。
出力パワーを3Wにすると、この時点で、チップは治療に用いるためには不充分な状態であったが、一応、共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は30.9±0.3kHzを示した。
【0075】
そして、その状態で歯科処置を行ったところ、従来の金属製歯科用チップと同等の性能は発揮せず、治療に実使用している過程で、歯や人工物に損傷を与えることはなかったが、しかし治療に充分な効果は得られなかった。
なお、上記した形状の複合材の成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、78,5600MPaであった。
【0076】
実施例8
ポリフェニレンサルファイド60重量%、繊維状チタン酸カリウム35重量%,繊維径12μmのアラミド繊維5重量%を混練してペレット化し、得られたペレットを射出成形して、図1で示した形状の複合材の成形体を製造した。
この複合材の成形体を、実施例1で用いたハンドピースに歯科用チップとして装着して作動させた。出力パワーが1Wのときには共振動作を起こさなかった。しかし、出力パワーを上げると、チップは共振動作を起こした。そのときのチップの共振振動数は31.5±0.3kHzを示した。
【0077】
そして、その状態で歯科処置を行ったが、実施例3のチップに比べると性能は劣っていた。しかし、実施例3のチップに比べて軟らかく、すべる感触を受けた。また、超音波振動源の出力パワーを大きくしても、歯や人工物に損傷を与えることはなかった。
なお、上記した形状の複合材の成形体と同じ材料を用いて、特性測定用の試験片を成形し、その硬度(ロックウェル硬度,Mスケール)と曲げ弾性率を測定したところ、それぞれ、75,7200MPaであった。
【0078】
実施例9
ポリフェニレンサルファイド60重量部に対し、繊維径0.3〜0.6μm,アスペクト比15〜67の繊維状チタン酸カリウム40重量部を混合して複合材料aを調製した。
ポリフェニレンサルファイド60重量部に対し、平均径8μm,アスペクト比100のカーボン繊維30重量部,繊維径0.3〜0.6μmでアスペクト比15〜67の繊維状チタン酸カリウム10重量部を混合して複合材料bを調製した。
【0079】
上記した複合材料aと複合材料bとの混合比率を変えた状態で2種類の材料を金型内に射出成形して、図1で示した形状の歯科用チップ各20個を製造した。そして、各歯科用チップの共振振動数fnを測定して平均値と標準偏差を求め、その結果を表1と図5に示した。
【0080】
【表1】
Figure 0003646748
【0081】
また、上記した複合材料a,bの混合比率を変えて図6で示した形状の複合材の成形体A1’を歯科用チップとして20個製造した。この複合材の成形体A1’は、全体が34.1mmであり、先端部2は、個所a1,個所a2、そして個所a3の3個所で湾曲している。
そして、各歯科用チップの共振振動数fnを測定して平均値と標準偏差を求め、その結果を表2と図7に示した。
【0082】
【表2】
Figure 0003646748
【0083】
上記の結果から明らかなように、複合材の成形体A1,A1’はいずれも同じ組成のものであるにもかかわらず、形状が異なっているので、固有振動数が異なったものになっている。
上記の表1、図5で示した結果を基にして共振振動数が31kHzである曲線上の点Aを求め、そのときの混合比率を読み取った。複合材料aは15重量%,複合材料bは85重量%になっている。
【0084】
ついで、複合材料aと複合材料bが上記の混合比率となるようにして射出成形を行い、図1で示した形状の歯科用チップを製作し、その共振振動数を測定したところ、平均値は31.08kHz,標準偏差は±0.21kHzであった。すなわち、目標とする固有振動数との誤差は、平均値で0.08kHzであった。
表2、図7の結果を基にして固有振動数が31kHzになる歯科用チップを次のようにして製造した。
【0085】
まず、図7において、共振振動数値が31kHzである曲線状の点Bを求め、そのときの混合比率を読み取った。複合材料aは52.5重量%,複合材料bは47.5重量%になっている。
ついで、複合材料aと複合材料bが上記の混合比率となるようにして射出成形を行い、図6で示した形状の歯科用チップを製作し、その共振振動数を測定したところ、平均値は30.97kHz,標準偏差は±0.26kHzであった。すなわち、目標とする共振振動数との誤差は、平均値で0.03kHzであった。
【0090】
実施例10
図8は、根管治療に用いられる本発明の歯科用チップである。この歯科用チップA5は、基端部10と研削先端部であるファイル11とを備えている。基端部10は、超音波スケーラーの超音波振動源に接続される接続部10aとファイル11を支持する支柱部10bとを有する。接続部10aには、ねじ部10cが刻設されており、ここに、超音波スケーラーが接続される。ファイル11はその表面にダイヤモンドが蒸着されている。
【0091】
この歯科用チップA5の製造に際しては、まず、前記形状の基端部10を、前記した各実施例の場合と同様にして複合材の成形体として成形し、ついで、支柱部10bの先端にファイル11が接続される。ファイル11の接続方法としては、例えば、ファイル11の基端部に雄ねじ11aを刻設し、支柱部11bの先端に雌ねじ11dを刻設してこれらをねじ止めすることが好適である。また、ファイル11を加熱することにより、支柱部10bに融着させて接続することもできる。
【0092】
この歯科用チップA5は、超音波スケーラーの超音波振動源に装着することにより根管治療に用いられ、とくに、根管の拡大,清掃,洗浄などの処置や手術時の逆根管治療などに効果を発揮する。
この歯科用チップA5は、基端部を射出成形により形成しているので、比較的容易に製作でき、また、先端ファイルの金属部は射出成形時に一体的に組み込むことができ、全体が金属から成る従来のチップに比べ、製作コストを低減することができ、使い捨てにすることも充分可能である。
【0093】
なお、上記したチップの製造時に、図9で示したように、支柱部10bの先端を湾曲させ、かつ内部には、ねじ部10cから支柱部10bの先端に至る通路12を成形し、支柱部10bの先端にファイル11を接続した根管治療用のチップA6にすることもできる。
このチップ6の場合には、通路12から洗浄水(または薬液)をファイル11に噴射または噴霧することができる。
【0094】
【発明の効果】
請求項1の発明は、超音波駆動源に接続される基端部と、歯科における処置時に治療対象個所に作用する先端部とを備える歯科用チップの製造方法において、プラスチック基材とそれに配合された無機質充填材または有機質充填材のいずれか一方あるいは双方から成る充填材とを混合して得た複合材を成形して、歯科用チップの基端部および先端部をなす成形体を得る工程を備え、前記工程において、予め求めておいた成形体の固有振動数と成形体の硬度および弾性率との関係に基づき、プラスチック基材と充填材との配合割合を決定し、超音波振動源の発振振動数近傍で共振可能な固有振動数を有する成形体を得るので、成形体ひいては歯科用チップを容易かつ安価に製造することができる。
請求項1の製造方法により製造される歯科用チップは、金属よりも軟質であるプラスチック基材をマトリックスとし、各種の充填材を強化材とする複合材の成形体で形成されているので、歯科における処置の際に、歯や人工物を損傷することなく処置が可能であり、処置表面に傷がつかず、歯石やプラークが新たに歯の表面に付着することを抑制できる。また、この複合材の成形体は、複雑形状のチップの場合であっても、射出成形により、容易かつ迅速に製造することができ、また大量生産が可能であるので、歯科用チップの製造コストは従来の金属製歯科用チップに比べて大幅に低減する。このように、本発明による歯科用チップは製造コストが低いので、使い捨てが可能であり、前記チップを1回の処置で捨てることにより、治療時に感染力の強い血清肝炎やエイズなどの病気に感染するという虞れを解消することができる。更に、基材がプラスチックであるので成形後も、研削することにより容易に形状を修正することができ、チップを患者の個々の治療対象個所に適合した形状にして用いることもできる。
【0095】
また、歯科用チップは、それに接続する超音波振動源の発振振動数で共振できる固有振動数を有しているので、治療時には有効に共振して治療効果を発揮することができる。
また、請求項2の発明では、複合材の成形体の硬度および曲げ弾性率を所定の範囲に調整しているので、歯科用チップが例えば超音波スケーラーに装着された場合、その発振振動数と適正な状態で共振して駆動することが容易である。
【0096】
請求項3の発明では、マトリックスであるプラスチック基材がいずれも入手容易なプラスチックであるため、製造しやすく、生産性に優れている。
請求項4の発明では、プラスチック基材として用いるポリフェニレンサルファイドが、耐食性,耐熱性,耐薬品性に優れているので、口腔内で使用しても唾液などによる変質を抑制することができるとともに、生体への影響も少なく、また、高温・高圧で用いるオートクレーブによる滅菌が可能であり、更に、薬液グルタールによる化学滅菌や各種の消毒も行うことができるので好適である。
【0097】
請求項5の発明では、複合材の成形体の充填材として、複合材の成形体の硬度および曲げ弾性率の調整が容易なカーボン繊維,繊維状チタン酸カリウム,ガラス繊維,アルミナ繊維,酸化チタン,ボロン,タルクの1種または2種以上を用いているので、固有振動数を所望する値に調整することが容易であるとともに、しかも、歯や人工物を損傷することなく、治療時には効率よく歯石などの付着物を除去することができる。
【0098】
とくに、請求項5の発明により製造された歯科用チップの場合は、超音波振動源から供給された振動エネルギーの減衰が小さいので、超音波振動源の出力パワーを小さくしても、治療に有効な共振動作を起こすことができ効率よく歯石などの付着物を除去することができる。そのため、軟組織を損傷することなく、歯肉に囲まれた直視できないような部位,歯根分岐部,手術中の根面や根尖部など複雑な部位へも使用が可能である。
【0099】
請求項6の発明により製造された歯科用チップの場合は、上記した効果が一層優れているので好適である。
請求項7、8の発明では、充填材が有機質充填材であるため、得られるチップは全体としては請求項5,6の発明によるチップに比べて軟質であり、治療対象個所の損傷をより起こしづらい材質になっている。しかし、歯科治療にとって有効な共振動作を行わせるためには、用いる超音波振動源の出力パワーを、請求項5、6のチップの時よりも高めることが必要になるという問題があるので、無機質充填材と合わせて用いることが有効である。
【0100】
請求項9の発明では、ポリフェニレンサルファイドに対し、カーボン繊維,または/および繊維状チタン酸カリウムを10〜50重量%配合しているので、得られる歯科用チップは、耐蝕性および耐熱性に優れ、かつ、所望の固有振動数,硬度,曲げ弾性率を有するものとなっている。
請求項10の発明では、複合材の成形体に、更に、請求項11に列記したような研磨性物質を配合するので、研磨効果の優れた歯科用チップを得ることができる。そして、この歯科用チップは、チップ自体を研削することによりチップ形状を修正したり、また歯科処置の実使用時に表面が摩耗した場合であっても、研磨性物質が内部に均一に分散しているので、摩耗して新しく表出した面にも必ず研磨性物質が存在していることになり、そのため、形状がかわっても所望の研磨効果が長期に亘って確保される。
【0101】
請求項12の発明では、研磨性物質がアルミナであるため、分散性もよく、研磨効果は一層優れたものになっている。
請求項13の発明により製造される歯科用チップは、先端部の一部に、請求項15に列記したような研削性物質から成る研削部を有しているので、病的根面や付着物に対する研削性が向上したものになっている。また、先端部の全体を研削部に取り替える、すなわち基端部の先に研削部を接続した構成のものは、根管治療などに用いることができる。これらの歯科用チップは、研削部以外はプラスチック基材をマトリックスとする複合材の成形体から成るので、全体が金属から成る従来の歯科用チップに比べ安価に製造することができる。そのため、充分使い捨てに対応できる。
【0102】
請求項14の発明では、研削部としてファイルを形成するので、根管治療にとってより好適な歯科用チップが提供される
請求項16の発明では、基端部における駆動源との結合個所に金属を埋め込んだり、金属をめっきしたり、また外側から帯状の金属で緊締したりしているので、駆動源とチップとの結合状態が良好となり、供給された振動エネルギーの伝達効率は高まり、超音波振動をより確実にチップの先端部にまで伝達することができる。
【0103】
以上の説明で明らかなように、本発明の歯科用チップの製造方法では、基材にプラスチックを用いているので、成形が容易であり、各種形状のチップを比較的簡単にしかも安価に製造することができる。本発明により製造されるチップは、各種歯科処置に柔軟に対応できるチップになっている。また、歯や人工物を損傷することなく歯石などを効率よく除去することができるので、歯面に、新たに歯石やプラークが付着することが抑制され、歯や人工歯根を健全な状態に長期間保持することができ、ウ蝕や歯周病の予防効果が充分に発揮される。更に、安価に製造できるため使い捨てが可能であり、感染力の強い血清肝炎やエイズなどの病気の感染の予防上からもきわめて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法により製造される歯科用チップA1の構成を示す断面図である。
【図2】 超音波スケーラーに歯科用チップを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】 基端部に金属を埋め込んだ歯科用チップA2の構成を示す断面図である。
【図4】 先端部に金属片を埋め込んだ歯科用チップA3の構成を示す断面図である。
【図5】 実施例9において、図1で示した形状の複合材の成形体A1を製造する際に、複合材料a,bの混合比率と、得られた複合材の成形体の固有振動数との関係を示すグラフである。
【図6】 本発明の製造方法により製造される別の歯科用チップA1'を示す断面図である。
【図7】 実施例9において、図6で示した形状の複合材の成形体A1'を製造する際に、複合材料a,bの混合比率と、得られた複合材の成形体の固有振動数との関係を示すグラフである。
【図8】 根管治療に用いる歯科用チップA5の構成を示す側面図である。
【図9】 根管治療に用いる別の歯科用チップA6を示す側面図である。

Claims (16)

  1. 超音波駆動源に接続される基端部と、歯科における処置時に治療対象個所に作用する先端部とを備える歯科用チップの製造方法において、
    プラスチック基材とそれに配合された無機質充填材または有機質充填材のいずれか一方あるいは双方から成る充填材とを混合して得た複合材を成形して、前記歯科用チップの前記基端部および前記先端部をなす成形体を得る工程を備え、
    前記工程において、予め求めておいた成形体の固有振動数と成形体の硬度および弾性率との関係に基づき、前記プラスチック基材と前記充填材との配合割合を決定し、前記超音波振動源の発振振動数近傍で共振可能な固有振動数を有する成形体を得る
    ことを特徴とする歯科用チップの製造方法
  2. 前記工程において、ロックウェル硬度(Mスケール)が65〜120且つ曲げ弾性率が2500〜25000 MPa の成形体を得る請求項1の歯科用チップの製造方法。
  3. 前記工程で用いられるプラスチック基材が、ポリフェニレンサルファイド,ポリアミド,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,液晶ポリマー,ポリカーボネート,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルケトン,ポリエーテルサルホン,ポリサルホン,ポリエーテルイミド,ポリアミドイミド,ポリイミド,ポリアセタールの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1の歯科用チップの製造方法。
  4. 前記プラスチック基材がポリフェニレンサルファイドである請求項3の歯科用チップの製造方法。
  5. 前記工程で用いられる無機質充填材が、カーボン繊維,繊維状チタン酸カリウム,ガラス繊維,アルミナ繊維,酸化チタン,ボロン,タルクの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1の歯科用チップの製造方法。
  6. 前記無機質充填材が、カーボン繊維または/および繊維状チタン酸カリウムである請求項5の歯科用チップの製造方法。
  7. 前記工程で用いられる有機質充填材が、アラミド(芳香族ポリアミド)繊維,ポリエチレン繊維,ポリビニルアルコール繊維,ポリアリーレート繊維,ポリプチレンテルフタレート繊維の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1の歯科用チップの製造方法。
  8. 前記有機質充填材がアラミド(芳香族ポリアミド)繊維である請求項7の歯科用チップの製造方法。
  9. 前記工程において、ポリフェニレンサルファイド50〜90重量%、ならびに、カーボン繊維または/および繊維状チタン酸カリウム10〜50重量%から成る成形体を得る請求項1の歯科用チップの製造方法
  10. 前記工程において、前記プラスチック基材および前記充填材に対して研磨性物質を配合する請求項1の歯科用チップの製造方法。
  11. 前記研磨性物質が、アルミナ,シリカ,ジルコニア,ガラス,炭化ケイ素,炭化ホウ素,ダイヤモンドの群から選ばれる少なくとも1種である請求項10の歯科用チップの製造方法。
  12. 前記研磨性物質がアルミナである請求項11の歯科用チップの製造方法。
  13. 前記先端部の少なくとも1部に研削性物質を付着させて研削部を形成する請求項1の歯科用チップの製造方法。
  14. 前記研削部がファイルである請求項13の歯科用チップの製造方法。
  15. 前記研削性物質が、金属片,セラミックス片,ガラス片の群から選ばれるいずれか1種である請求項13の歯科用チップの製造方法。
  16. 前記基端部における駆動源との接続部に、金属材料を埋め込むか、金属めっきを施すか、または帯状の金属を巻く請求項1の歯科用チップの製造方法。
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