JP3646036B2 - 手技式排便装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、肛門から挿入され、腸内の***されない便を強制的に掻き込んで強制排出するための技術に関する。特に寝たきりの老人・患者・自己排便力のない者にとって有用な装置である。
【0002】
【従来の技術】
従来、宿便等で腸内で滞留して排便できない便は、医師・看護人が肛門から指を挿入して掻き出していた。これは手間のかかるものであった。
これを解消する装置としては肛門から挿入される筒体の先端又は内部で便を破砕し、筒体に接続した吸引装置で吸引して便を強制排出させる構造のものを開発した。
しかし、比較的高価なため、家庭での寝たきり老人・患者等に用いることは困難であった。
また、患者によっては使い捨てでないと処置を嫌がる場合もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、非常に安価で、手軽に用いることができる手技式排便装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 先端部が肛門から直腸に挿入される筒体の後端を閉鎖し、先端に掻き込み部を備えた掻き込み体を前記筒体内部に前後方向に移動可能となるよう設け、掻き込み体の後端を前記筒体から突出させて操作部とし、同操作部の手動操作で掻き込み体を前後に移動できるようし、前記筒体後端から突出した掻き込み体部分に筒体内部から外部への洩れを防止する洩れ防止体を設け、前記筒体の基端部に排出口を設け、同排出口に腸内物を収容する袋又は容器を脱着自在に取り付け、しかも洩れ防止体が、掻き込み体の筒体からの突出部分を蛇腹で覆い、蛇腹の一端を筒体後端に水密性を有するように取り付け、もう一端を筒体の後端から所定距離後方の掻き込み体の外周に水密性を有するように取り付ける構造にした手技式排便装置
2) 掻き込み体本体を一本の長い線材とし、掻き込み部がスプーン状の形状であり掻き込み体本体の長手方向から直角に突出させ、操作部が掻き込み体本体の後端に操作レバーを掻き込み部と同方向に突出させた構造にした前記1)記載の手技式排便装置
3) 排出口が、筒体基端部の下方側に開口し、同開口部分に排出口グリルを設け、同排出口グリルの下端に袋又は容器を係止させる係止部を設けた前記1)又は2)いずれかに記載の手技式排便装置
4) 筒体の基端部を拡巾し、同拡巾部分の下方を開口して排出口とした構造にした前記1)〜3)いずれかに記載の手技式排便装置
5) 筒体の前方外周に膨縮自在なバルーンを設けた前記1)〜4)いずれかに記載の手技式排便装置
にある。
【0005】
【作用】
本発明では、筒体を肛門から直腸に挿入し、掻き込み体を前後に移動させるようにして掻き込み体の先端の掻き込み部で腸内物を筒体内部に掻き込むようにする。筒体内に掻き込まれた腸内物は、後から掻き込まれる腸内物によって押されるようにして筒体の基端部に移動する。筒体基端部には排出口が設けられているので、腸内物は自重で排出口より排出される。また、筒体後端から突出した掻き込み体部分に洩れ防止体を設け、筒体内部から外部への洩れを防止している。
洩れ防止体が蛇腹を用いた構造としたので、蛇腹の伸縮する動きで操作する動きができるようにし、両端は、それぞれ筒体後端及び掻き込み体に固定できるようにする。
掻き込み体本体を一本の長い線材とし、操作レバーを設けたものは、簡単な構成にし、また、掻き込み部の掻き込み体からの突出方向と操作レバーの掻き込み体からの突出方向を同じにして、掻き込み操作する際に掻き込み部の突出方向を認識できるようにする。
排出口が筒体の基端部の開口に排出口グリルを設け、排出口グリルの下端に係止部を設けたものは、腸内物を収容する袋や容器の取り付け部分が排出口グリルの係止部に係止するようにして、取り付けやすく、また落ちにくくする。
筒体の基端部を拡巾したものは、排出口を大きく取れるようにして、スムーズに腸内物を袋又は容器に送れる空間を確保する。
筒体の前方外周に膨縮自在なバルーンを設けたものは、筒体を人体に傷つけることなく固定することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
筒体は人体に傷を付けたりすることがないようシリコン・ゴム質で製作することを普通とする。
掻き込み体は金属製、樹脂製のどちらでもよいが、掻き込み体の取り付けに対応して適度に折曲・湾曲し、掻き込む際に先端が折曲又は湾曲せずに掻き込めるようにしたものが好ましい。
【0007】
【実施例】
本発明の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜4に示す実施例は、筒体の基端部を拡巾し、掻き込み体を設け、掻き込み体と筒体後端の間から外部への洩れを防ぐ洩れ防止体を設け、筒体基端部の下方に排出口を設け、洩れ防止体が蛇腹を用いる構造とし、掻き込み体本体を一本の長い線材で構成し、排出口が排出グリルと係止部からなるようにした手技式排便装置の例である。
図1は実施例の手技式排便装置の断面図である。図2は実施例の手技式排便装置の正面図である。図3は実施例の手技式排便装置の一部拡大断面図である。図4は実施例の手技式排便装置の説明図である。
図中、1は手技式排便装置、2は筒体、2aは掻き込み体支持板、3は拡巾した筒体基端部、3aは排出口グリル、3bは排出口下端の係止部、3cは掻き込み体引き出し口、4は掻き込み体、4aは掻き込み部、4bは操作部として用いた操作レバー、5は蛇腹、6はバルーン、6aは接続部、7はカバー、Aは収容袋である。
【0008】
実施例の手技式排便装置1はまず肛門から直腸に挿入できる大きさの筒体2を設け、筒体2の基端を拡巾して大きな内部空間を有する筒体基端部3を設ける。実施例では、筒体基端部3は、筒体2より径の大きな筒状のものをなだらかに筒体2に接続し、後端を塞ぐように設ける。
次に筒体基端部3の下方部分に円形状の開口部分を設けて排出口グリル3aとする。排出口グリル3aは、さらに下方に伸びた管部分を設け、この管部分の下端を外周側上方に折曲させるようにして係止部3bとする。
次に筒体2の上部の所定の高さに横方向に伸びた板状の掻き込み体支持板2aを設け、筒体基端部3の後端の所定の位置に掻き込み体引き出し口3cを設ける。
次に掻き込み体4を設ける。掻き込み体4は一本の長い金属製の線材であり、線材の先端にスプーン状の掻き込み部4aを掻き込み体から軸直角方向に突出するように設ける。この掻き込み体4を掻き込み部4aが前方になるようにし、もう一方の端を筒体2内に挿入し、掻き込み体支持板2a上の空間を貫通させ、一部の下端が掻き込み体支持板2aで支持されるようにし、さらに挿入して、一端が掻き込み体引き出し口3cから突出するようにする。さらに突出させた一端にはねじ部を設け、棒材を偏心させた位置に取り付けて操作レバー4bとする。操作レバー4bの偏心させ長くなる側は、掻き込み部4aと方向を合わせるようにする。次に、蛇腹5内を掻き込み体4の筒体基端部3から突出させた部分が貫通するようにして嵌入し、蛇腹5の一端を掻き込み体引き出し口3cにシール性を持たせて固定し、もう一端を掻き込み体4に対してシール性を持たせるように固定する。
次に筒体2の前端に近い2箇所に環状で空気の送り込みと吹い出しによって膨縮自在なバルーン6を設ける。バルーン6にはそれぞれチューブを接続し、その端には接続部6aを設ける。
この手技式排便装置1を使用するには、まず筒体2の先端に水溶性のカバー7を取り付け、排出口下端の係止部3bに収容袋Aを取り付ける。収容袋Aは開口端がゴムで締まるものである。これを排出口下端の係止部3bに取り付ける。
この状態で肛門より直腸に筒体2を挿入する。カバー7は水溶性であるので、腸内の水分によって溶けて筒体2内部を直内が連通する。次に、バルーン6に接続部6aから空気を送って膨らませる。バルーン6によって肛門の内、外から押さえるようにして筒体2を人体に固定することができ、また、肛門からの腸内物の流下を防ぐことができる。このようにして筒体2を人体に固定したならば、操作レバー4bを手で持って前方に押し、掻き込み部4aで腸内物を掻き込んで筒体2内部に移動させる。この際には、掻き込み部4aの掻き込み方向と操作レバー4bの長く伸びた方向が同方向になっているので非常に操作がしやすい。このように掻き込まれた腸内物は押し出されるようにして筒体2から筒体基端部3に移動し、排出口グリル3aから収容袋A内に落下するようにして移動し収容される。この際に収容袋Aが収容した腸内物の重みによって下方に下がろうとしても、排出口下端の係止部3bは外側上方に折曲した形状になっているので収容袋Aの開口端のゴムと係合して、確実に保持されるので落ちることなく容易に使用できる。
このように本実施例の手技式排便装置1は非常に簡単な構成でコストを抑制したものにできるため、家庭で手軽に用いやすく、また一部、又は全部を使い捨てにできる。
【0009】
【発明の効果】
本発明によれば、非常に安価で手軽に用いることができる手技式排便装置にできる。
洩れ防止体が蛇腹を用いた構造としたので、掻き込み体の動きに支障なく確実にシールして清潔に使用できる。
掻き込み体本体を一本の長い線材とし、操作レバーを設けたものは、確実に掻き込むよう容易に操作できる手技式排便装置にできる。
排出口が、筒体の基端部の開口に排出口グリルを設け、排出口グリルの下端に係止部を設けたものは、袋又は容器を確実に取り付けて使用しやすくする。
筒体の基端部を拡巾したものは、掻きとった腸内物が袋又は容器に確実に収容されるようにする。
筒体の前方外周に膨縮自在なバルーンを設けたものは、安全に人体に筒体を固定して確実に処置でき、また肛門から流下物が筒体と肛門の間から流れ出さないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の手技式排便装置の断面図である。
【図2】実施例の手技式排便装置の正面図である。
【図3】実施例の手技式排便装置の一部拡断面図である。
【図4】実施例の手技式排便装置の説明図である。
【符号の説明】
1 手技式排便装置
2 筒体
2a 掻き込み体支持板
3 筒体基端部
3a 排出口グリル
3b 係止部
3c 掻き込み体引き出し口
4 掻き込み体
4a 掻き込み部
4b 操作レバー
5 蛇腹
6 バルーン
6a 接続部
7 カバー
A 収容袋
Claims (5)
- 先端部が肛門から直腸に挿入される筒体の後端を閉鎖し、先端に掻き込み部を備えた掻き込み体を前記筒体内部に前後方向に移動可能となるよう設け、掻き込み体の後端を前記筒体から突出させて操作部とし、同操作部の手動操作で掻き込み体を前後に移動できるようし、前記筒体後端から突出した掻き込み体部分に筒体内部から外部への洩れを防止する洩れ防止体を設け、前記筒体の基端部に排出口を設け、同排出口に腸内物を収容する袋又は容器を脱着自在に取り付け、しかも洩れ防止体が、掻き込み体の筒体からの突出部分を蛇腹で覆い、蛇腹の一端を筒体後端に水密性を有するように取り付け、もう一端を筒体の後端から所定距離後方の掻き込み体の外周に水密性を有するように取り付ける構造にした手技式排便装置。
- 掻き込み体本体を一本の長い線材とし、掻き込み部がスプーン状の形状であり掻き込み体本体の長手方向から直角に突出させ、操作部が掻き込み体本体の後端に操作レバーを掻き込み部と同方向に突出させた構造にした請求項1記載の手技式排便装置。
- 排出口が、筒体基端部の下方側に開口し、同開口部分に排出口グリルを設け、同排出口グリルの下端に袋又は容器を係止させる係止部を設けた請求項1又は2いずれかに記載の手技式排便装置。
- 筒体の基端部を拡巾し、同拡巾部分の下方を開口して排出口とした構造にした請求項1〜3いずれかに記載の手技式排便装置。
- 筒体の前方外周に膨縮自在なバルーンを設けた請求項1〜4いずれかに記載の手技式排便装置。
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