JP3645688B2 - ラックピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵トルクを伝達する出力シャフトに一体化されるピニオンに、ラックが噛み合わされるラックピニオン式ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
操舵トルクを伝達する出力シャフトと、その出力シャフトに同行回転するように一体化されるピニオンと、そのピニオンに噛み合うラックと、その出力シャフトを軸受を介して支持するハウジングとを備え、そのピニオンの回転によるラックの移動により車両が操舵されるラックピニオン式ステアリング装置が従来から用いられている(特開平9‐20256号公報)。
従来のラックピニオン式ステアリング装置では、その出力シャフトの軸方向のがたつきにより、ラックとピニオンの噛み合い状態が変動し、操舵フィーリングが低下するという問題があった。
【0003】
そのラックピニオン式ステアリング装置において操舵補助力を付与するため、出力シャフトに、軸方向相対変位可能かつ操舵トルクに応じて弾性的に相対回転可能に連結される入力シャフトと、その入力シャフトに固定される磁性材製部材と出力シャフトに固定される磁性材製部材との間の磁気抵抗の変化に基づき、その操舵トルクを検出するトルクセンサと、その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力の付与手段とが設けられている。
しかし、その出力シャフトが軸方向にがたつくと、その入力シャフトに固定される磁性材製部材と出力シャフトに固定される磁性材製部材との間隔が変動するので、トルクセンサによる検出値が適正値から変動するという問題がある。
【0004】
そのトルクセンサにより検出された操舵トルクに応じた操舵補助力を付与するため、その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるアクチュエータと、その操舵補助力により回転する駆動ギアと、その駆動ギアに噛み合わされると共に前記出力シャフトに嵌め合わされる従動ギアとが設けられている。
その駆動ギアと従動ギアのバックラッシが適正でない場合、その従動ギアの交換作業が行われる。
しかし、その出力シャフトを単一のハウジングにより支持した場合、そのバックラッシが適正か否かを、ピニオンにラックを噛み合わせた後にしか行えない。そうすると、その従動ギアを交換してバックラッシを適正化するには、そのピニオンとラックの噛み合わせの解除を含め、多くの面倒な分解組立作業を必要とする。
【0005】
従来、その従動ギアの軸方向変位を阻止するため、出力シャフトに止め輪やナットが嵌め合わされている。
しかし、止め輪やナットを用いる場合、それだけ出力シャフトの軸方向寸法が大きくなるため、スペースの制限された車体内部にステアリング装置を配置できないことがある。
【0006】
そのアクチュエータの出力軸がロックした場合のフェイルセーフのため、その従動ギヤは出力シャフトにトルクリミッター機構を介して嵌め合わされ、予め設定されたリミットトルク以上の操舵トルクが作用すると従動ギヤは出力シャフトに対して相対回転するものとされている。
しかし、その従動ギアの軸方向変位を阻止するために止め輪を用いる場合、加工公差や組立公差に基づき、その従動ギアと止め輪との相対滑りを阻止する摩擦力が過大になり、適正にトルクリミッター機構を機能させることができない場合がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決することのできるラックピニオン式ステアリング装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のラックピニオン式ステアリング装置は、操舵トルクを伝達する出力シャフトと、その出力シャフトに同行回転するように一体化されるピニオンと、そのピニオンに噛み合うラックと、その出力シャフトを軸受を介して支持するハウジングと、その軸受に予圧を調節可能に付与する手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、その軸受に適正な予圧を付与することで、その出力シャフトの軸方向のがたつきを防止し、そのラックとピニオンの噛み合い状態の変動を防止し、操舵フィーリングが低下するのを防止できる。
【0009】
その出力シャフトに、軸方向相対変位可能かつ操舵トルクに応じて弾性的に相対回転可能に連結される入力シャフトと、その入力シャフトに固定される磁性材製部材と出力シャフトに固定される磁性材製部材との間の磁気抵抗の変化に基づき、その操舵トルクを検出するトルクセンサと、その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力の付与手段とを備えるのが好ましい。
この構成によれば、その出力シャフトの軸方向のがたつきが防止されることで、その入力シャフトに固定される磁性材製部材と出力シャフトに固定される磁性材製部材との間隔が変動するのを防止できる。これにより、そのトルクセンサによる検出値が適正値から変動するのを防止でき、適正な操舵補助力を付与することができる。
【0010】
本発明において、その出力シャフトは第1の転がり軸受と第2の転がり軸受とを介して前記ハウジングにより支持され、両転がり軸受の外輪を、互いに向かい変位するのを阻止する外輪変位阻止部と、第1の転がり軸受の内輪が、第2の転がり軸受の内輪から離れる方向へ変位するのを阻止する内輪変位阻止部と、その出力シャフトにねじ合わされる予圧調節部材とを備え、その予圧調節部材の出力シャフトへのねじ込み量に応じて、第2の転がり軸受の内輪を第1の転がり軸受の内輪に向かい押すことが可能とされているのが好ましい。
この構成によれば、両転がり軸受の外輪は互いに向かい変位するのが外輪変位阻止部により阻止され、第1の転がり軸受の内輪は第2の転がり軸受の内輪から離れる方向へ変位するのが内輪変位阻止部により阻止されるので、予圧調節部材の出力シャフトへのねじ込み量に応じて、第2の転がり軸受の内輪を第1の転がり軸受の内輪に向かい押すことで、両転がり軸受に予圧を容易に調節可能に付与できる。
【0011】
また、その操舵トルクを検出するトルクセンサと、その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるアクチュエータと、その操舵補助力により回転する駆動ギアと、その駆動ギアに噛み合わされると共に前記出力シャフトに嵌め合わされる従動ギアとを備え、前記ハウジングは、その駆動ギアと従動ギアを覆うギアハウジング部と、そのギアハウジング部と別体であって前記ピニオンとラックを覆うラックハウジング部とを有し、そのギアハウジング部により出力シャフトを前記第1の転がり軸受を介して支持することで、その駆動ギアに従動ギアを噛み合わせることが可能とされ、そのギアハウジング部により出力シャフトを支持した後に、そのラックハウジング部により出力シャフトを前記第2の転がり軸受を介して支持すると共にギアハウジング部にラックハウジング部を連結することで、前記ピニオンにラックを噛み合わせることが可能とされているのが好ましい。
この構成によれば、ギアハウジング部とラックハウジング部とを連結する前に、出力シャフトをギアハウジング部で支持した状態で駆動ギアと従動ギアとを噛み合わせることで、両ギアの間のバックラッシが適正か否かを判断できる。これにより、そのバックラッシの適正化のための従動ギアの交換作業を、ピニオンにラックを噛み合わせる前に行える。よって、そのバックラッシの適正化のための分解組立作業を簡単化できる。
【0012】
また、その操舵トルクを検出するトルクセンサと、その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるアクチュエータと、その操舵補助力により回転する駆動ギアと、その駆動ギアに噛み合わされると共に前記出力シャフトに嵌め合わされる従動ギアとを備え、その従動ギヤは出力シャフトに、予め設定されたリミットトルク以上の操舵トルクが作用すると相対回転するように、トルクリミッター機構を介して嵌め合わされ、その従動ギアは、前記第1の転がり軸受の内輪と内輪変位阻止部との間に配置され、その第1の転がり軸受の内輪は、その従動ギアを介して、その内輪変位阻止部により前記第2の転がり軸受の内輪から離れる方向へ変位するのが阻止されるのが好ましい。
この構成によれば、その従動ギアの軸方向変位を、出力シャフトを支持する第1の転がり軸受の内輪により規制できるので、止め輪等の専用の変位規制部材が不要である。これにより、出力シャフトの軸方向寸法を短くし、小型化を図ることができる。さらに、その第1の転がり軸受に付与される予圧を調節することで、その第1の転がり軸受の内輪と駆動ギアとの相対滑りを阻止する摩擦力が過大になるのを防止できる。これにより、適正にトルクリミッター機構を機能させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1に示すラックピニオン式電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール(図示省略)の操舵により発生する操舵トルクを、ハウジング1により支持されたステアリングシャフト3によりピニオン4に伝達する。その操舵トルクによるピニオン4の回転により、そのピニオン4に噛み合うラック5が移動する。そのラック5の移動により、そのラック5にナックルアーム等を介し連結される車輪の舵角が変化する。そのハウジング1は、ギアハウジング部2とラックハウジング部6とを連結することで構成されている。
【0015】
そのステアリングシャフト3により伝達される操舵トルクに応じた操舵補助力を付与するため、その操舵トルクを検出するトルクセンサ7と、その検出された操舵トルクに応じて駆動されることで操舵補助力を発生させるモータ(アクチュエータ)8と、そのモータ8の発生する操舵補助力により回転駆動されるウォーム(駆動ギア)9と、このウォーム9に噛み合うウォームホイール(従動ギア)10とが設けられている。
【0016】
上記ウォーム9とウォームホイール10はギアハウジング部2に覆われる。上記ピニオン4とラック5は、そのギアハウジング部2と別体のラックハウジング部6に覆われる。そのギアハウジング部2は、そのラックハウジング部6と、そのトルクセンサ7のセンサハウジング21とに連結される。
【0017】
そのセンサハウジング21内において、そのステアリングシャフト3は入力シャフト3aと出力シャフト3bとに分割される。その入力シャフト3aの一端にステアリングホイールが連結される。その入力シャフト3aの他端に、出力シャフト3bの一端がブッシュ25を介して相対回転可能に嵌め合わされる。
【0018】
その入力シャフト3aは、そのセンサハウジング21にボールベアリング31を介して支持される。その出力シャフト3bは、そのギアハウジング部2に第1ボールベアリング(第1の転がり軸受)26を介して支持され、そのラックハウジング部6に第2ボールベアリング(第2の転がり軸受)27を介して支持される。その第1ボールベアリング26の外輪26bは、そのギアハウジング部2の内周に形成された段差面(外輪変位阻止部)2aに接することで、第2ボールベアリング27に向かい変位するのが規制される。その第2ボールベアリング27の外輪27bは、そのラックハウジング部6の内周に形成された段差面(外輪変位阻止部)6aに接することで、第1ボールベアリング26に向かい変位するのが規制される。すなわち、その第1ボールベアリング26の外輪26bと、第2ボールベアリング27の外輪27bは、互いに向かい変位するのが規制されている。
【0019】
その出力シャフト3bの外周に上記ピニオン4が同行回転するように一体的に設けられている。上記ウォームホイール10は、その出力シャフト3bに後述のトルクリミッター機構11を介して嵌め合わされる。上記ウォーム9は、ギアハウジング部2の内部に軸受(図示省略)を介して支持される。
【0020】
各シャフト3a、3bの中心に沿ってトーションバー23が挿入されている。そのトーションバー23の一端は入力シャフト3aにピン22により連結され、他端はセレーション24により出力シャフト3bに連結されている。これにより、その入力シャフト3aと出力シャフト3bとは操舵トルクに応じて弾性的に相対回転可能とされている。また、そのトーションバー23と出力シャフト3bはセレーション24により連結されるので、入力シャフト3aと出力シャフト3bは軸方向に相対変位可能である。
【0021】
そのトルクセンサ7は、センサハウジング21により保持される第1、第2検出コイル33、34と、その入力シャフト3aの外周に固定される磁性材製の第1検出リング(磁性材製部材)36および磁性材製の第3検出リング38と、その出力シャフト3bの外周に固定される磁性材製の第2検出リング(磁性材製部材)37を有する。
その第1検出リング36の一端面と第2検出リング37の一端面とは互いに対向するように配置され、各検出リング36、37の一端面に、それぞれ歯36a、37aが周方向に沿って複数設けられている。
その第1検出リング36の他端面と第3検出リング38の一端面とは互いに対向するように配置される。その第3検出リング38の一端面に歯38aが周方向に沿って複数設けられている。その第1検出リング36の他端面には歯は設けられない。
その第1検出コイル33は第1検出リング36と第2検出リング37の対向間を覆うように配置され、第2検出コイル34は第1検出リング36と第3検出リング38の対向間を覆うように配置される。各検出コイル33、34はプリント基板41に接続される。
【0022】
その基板41に、図2に示す信号処理回路が形成されている。すなわち、第1検出コイル33は抵抗45を介して発振器46に接続され、第2検出コイル34は抵抗47を介して発振器46に接続され、各検出コイル33、34は差動増幅回路48に接続される。
これにより、操舵トルクによりトーションバー23が捩れ、第1検出リング36と第2検出リング37とが相対的に回転すると、両検出リング36、37の歯36a、37aの対向部分の面積が変化する。その面積変化により、その歯36a、37aの対向間における第1検出コイル33の発生磁束に対する磁気抵抗が変化することから、その変化に基づき第1検出コイル33の出力が変化し、その出力に対応した操舵トルクが検出される。
また、温度変動による第1検出コイル33の出力変動は、温度変動による第2検出コイル34の出力変動に等しくされている。これにより、温度変動による第1検出コイル33の出力変動は差動増幅回路48により打ち消され、操舵トルクの検出値の温度による変動が補償される。
【0023】
その差動増幅回路48から出力される操舵トルクに対応した信号が、配線61を介して制御装置(図示省略)に送られる。その制御装置は、その検出された操舵トルクに応じて上記操舵補助用モータ8を駆動する。そのモータ8の回転が、上記ウォーム9、ウォームホイール10を介して出力シャフト3bに伝達されることで、操舵補助力が付与される。
【0024】
上記トルクリミッター機構11は、図3に示すように、その出力シャフト3bの外周とウォームホイール10の内周とに挟まれることで径方向に変形するトルク設定部材51を有する。そのトルク設定部材51は、出力シャフト3bの外周に形成される周溝3h内に配置される。このトルク設定部材51は、図4の(1)、(2)に示すように、割り溝51aを有する金属製リング本体51bと、この本体51bに一体的に形成された複数の半円筒状突出部51cとを有する。それら突出部51cは、周方向に沿って一定間隔で並列し、径方向外方へ突出する。各突出部51cの径方向変形量に対応する径方向力が、その出力シャフト3bとウォームホイール10とに作用する。このようなトルク設定部材51として、例えばトレランスリング(レンコルトレランスリングス社製、SV型)を用いることができる。
【0025】
図5は、そのトルク設定部材51の径方向変形量と径方向力との関係を示し、径方向変形量が一定値δa以下では径方向変形量に比例して径方向力が増加するものとされ、その一定値δaを超える領域において、径方向変形量に対する径方向力の増加割合が一定値δa未満の領域における増加割合よりも小さくなる領域Aを有する。その一定値δaを超える領域A内の値δbにトルク設定部材51の径方向変形量が設定されている。
【0026】
図3に示すように、そのウォームホイール10は、出力シャフト3bの外周に一体形成されるリング状のフランジ(内輪変位阻止部)3dと、出力シャフト3bに嵌め合わされる上記第1ボールベアリング26の内輪26aとの間に配置される。その第1ボールベアリング26の内輪26aは、そのウォームホイール10を介して、そのフランジ3dにより上記第2ボールベアリング27の内輪27aから離れる方向へ変位するのが阻止される。また、ウォームホイール10の軸方向変位は、そのフランジ3dと第1ボールベアリング26の内輪26aとにより規制されることになる。
【0027】
そのトルク設定部材51の径方向変形量に対応する径方向力をステアリングシャフト3とウォームホイール10とに作用させることで、そのトルク設定部材51の内周とステアリングシャフト3の外周との間の摩擦抵抗、およびトルク設定部材51の外周とウォームホイール10の内周との間の摩擦抵抗により、ステアリングシャフト3とウォームホイール10との間でトルクを伝達することができる。その摩擦抵抗に対応してリミットトルクが定まる。本実施形態では、そのトルク設定部材51の内周とステアリングシャフト3の外周との間の摩擦抵抗は、そのトルク設定部材51外周とウォームホイール10の内周との間の摩擦抵抗よりも小さくされる。そのトルク設定部材51の内周とステアリングシャフト3の外周とが相対的に滑り始める時のトルクが、トルクリミッター機構11のリミットトルクとなる。そのリミットトルクは実験により予め適当な値に設定される。そのリミットトルク以上の操舵トルクが作用すると出力シャフト3bとウォームホイール10とは相対回転する。
【0028】
図1に示すように、上記ラック5はサポートヨーク(ラック支持部材)66の一端により支持される。そのサポートヨーク66は、ラックハウジング部6に形成された保持孔65に、ラック5に近接する方向と離反する方向とに移動可能に挿入されている。そのサポートヨーク66の移動により、ピニオン4及びラック5の歯の加工誤差やラック5の曲がりが吸収され、ラック5とピニオン4との噛み合いの円滑化が図られる。そのサポートヨーク66の他端と、その保持孔65にねじ込まれたプラグ68とで圧縮されるコイルバネ69が配置されている。そのバネ69の弾力により、サポートヨーク66はラック5に押し付けられる。そのプラグ68の外端には工具係合用凹部68aが形成されている。そのプラグ68の保持孔65へのねじ込み量の調節により、そのバネ69の弾力が調節され、ラック5とピニオン4の噛み合い状態の適正化が行われる。なお、そのプラグ68の外周にロックナット67がねじ合わされる。
【0029】
上記出力シャフト3bの他端は、ラックハウジング部6に形成された開口から突出する。その出力シャフト3bの他端に、予圧調節用ナット(予圧調節部材)71とロックナット72とがねじ合わされる。その予圧調節用ナット71の一端面71′は、上記第2ボールベアリング27の内輪27aに接する。その予圧調節用ナット71とロックナット72とを覆うキャップ73が、そのラックハウジング部6に嵌め合わされる。
【0030】
上記第1ボールベアリング26の内輪26aは第2ボールベアリング27の内輪27aから離れる方向に変位するのが阻止されているので、その予圧調節用ナット71の出力シャフト3bへのねじ込み量に応じて、第2ボールベアリング27の内輪27aを第1ボールベアリング26の内輪26aに向かい押すことができる。両ボールベアリング26、27の外輪26b、27bは、上記のように互いに向かい変位するのが規制されているので、その予圧調節用ナット71の出力シャフト3bへのねじ込みにより、両ボールベアリング26、27に予圧を付与でき、これにより、ステアリングシャフト3が軸方向にがたつくのを防止できる。また、その予圧調節用ナット71の出力シャフト3bへのねじ込み量を調節することで、その予圧を調節できる。
【0031】
上記ステアリング装置を組み立てる場合、先ず、第1検出リング36と第3検出リング38とが取り付けられた入力シャフト3aを、ウォームホイール10、トルクリミッター機構11、および第2検出リング37が取り付けられた出力シャフト3bに、ブッシュ25を介して嵌め合わせる。
次に、トーションバー23を、入力シャフト3aに挿入すると共にセレーション24を介して出力シャフト3bに接続する。
その入力シャフト3aと出力シャフト3bを含む組立体を、ウォーム9が取り付けられたギアハウジング部2により、第1ボールベアリング26を介して支持する。これにより、そのウォーム9とウォームホイール10とを噛み合わせることができる。
次に、そのウォーム9とウォームホイール10の間のバックラッシが適正か否か測定し、適正でなければ分解し、ウォームホイール10を交換する。
そのバックラッシが適正であれば、その入力シャフト3a、出力シャフト3b、およびギアハウジング部2を含む組立体を、第1、第2検出コイル33、34が取り付けられたセンサハウジング21により、ボールベアリング31を介して支持し、ギアハウジング部2とセンサハウジング21とをボルト(図示省略)により連結し、基板41を取り付けてトルクセンサ7を構成する。
次に、その入力シャフト3aに連結されるステアリングホイールが直進操舵状態に位置決めされる時に、トルクセンサ7の出力が零になるように、入力シャフト3aの出力シャフト3bに対する周方向における位置決めを行う。その位置決め後に、ピン22によりトーションバー23を入力シャフト3aに連結する。
次に、その入力シャフト3a、出力シャフト3b、ギアハウジング部2、およびトルクセンサ7を含む組立体を、ラック5を覆うラックハウジング部6により、第2ボールベアリング27を介して支持し、ギアハウジング部2とラックハウジング部6とをボルト(図示省略)により連結する。これにより、ピニオン4とラック5とを噛み合わせることができる。
次に、出力シャフト3bにねじ合わせる予圧調節用ナット71により第1ボールベアリング26と第2ボールベアリング27に付与する予圧を調節し、その調節後にロックナット72を出力シャフト3bにねじ合わせ、キャップ73をラックハウジング部6に取り付ける。
しかる後に、プラグ68の保持孔65へのねじ込み量を調節することで、コイルバネ69がサポートヨーク66を介してラック5を押し付ける弾力を調節し、ラック5とピニオン4の噛み合い状態の適正化を行う。しかる後に、プラグ68にロックナット67をねじ合わせる。
【0032】
上記構成によれば、出力シャフト3bを支持する一対のボールベアリング26、27に適正な予圧を付与することで、出力シャフト3bの軸方向のがたを防止できる。これにより、ラック5とピニオン4の噛み合い状態の変動を防止し、操舵フィーリングを向上できる。
また、その出力シャフト3bの軸方向のがたつきが防止されることで、トルクセンサ7の第1検出リング36と第2検出リング37の間隔が変動するのを防止できる。これにより、両検出リング36、37の間の磁気抵抗の変化に基づき検出される操舵トルクの値が適正値から変動するのを防止でき、適正な操舵補助力を付与することができる。
また、予圧調節用ナット71のねじ込み量を調節するだけで、両ボールベアリング26、27に予圧を容易に調節可能に付与できる。
また、ギアハウジング部2とラックハウジング部6とを連結する前に、出力シャフト3bをギアハウジング部2で支持した状態でウォーム9とウォームホイール10とを噛み合わせることで、そのウォーム9とウォームホイール10の間のバックラッシが適正か否かを判断できる。これにより、そのバックラッシを適正化するためのウォームホイール10の交換作業を、ピニオン4にラック5を噛み合わせる前に行える。よって、そのバックラッシの適正化のための分解組立作業を簡単化できる。
また、上記実施形態では、ウォームホイール10の軸方向変位を、出力シャフト3bを支持する第1ボールベアリング26の内輪26aにより規制できるので、止め輪等の専用の変位規制部材が不要である。これにより、出力シャフト3bの軸方向寸法を短くし、小型化を図ることができる。さらに、上記のように各ボールベアリング26、27に付与される予圧を調節できるので、第1ボールベアリング26の内輪26aとウォームホイール10との相対滑りを阻止する摩擦力が過大になるのを防止できる。これにより、適正にトルクリミッター機構11を機能させることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、操舵補助力を伝達する駆動ギアと従動ギアは、ウォームとウォームホイールに限定されず、ギアであればよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、操舵フィーリングの低下を容易に防止でき、適正な操舵補助力を付与でき、組立工程を簡単化でき、小型化を図れ、適正にフェイルセーフ機能を奏することができるラックピニオン式ステアリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の断面図
【図2】本発明の実施形態のトルクセンサの回路構成の説明図
【図3】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の要部の断面図
【図4】本発明の実施形態のトルクリミッター機構におけるトルク設定部材の(1)は断面図、(2)は正面図
【図5】本発明の実施形態のトルク設定部材の径方向変形量と径方向力との関係を示す図
【符号の説明】
2 ギアハウジング部
2a、6a 段差面(外輪変位阻止部)
3a 入力シャフト
3b 出力シャフト
3d フランジ(内輪変位阻止部)
4 ピニオン
5 ラック
6 ラックハウジング部
7 トルクセンサ
8 モータ
10 ウォームホイール
11 トルクリミッター機構
26 第1ボールベアリング
27 第2ボールベアリング
36 第1検出リング
37 第2検出リング
71 予圧調節用ナット
Claims (3)
- 操舵トルクを伝達する出力シャフトと、
その出力シャフトに同行回転するように一体化されるピニオンと、
そのピニオンに噛み合うラックと、
その出力シャフトを軸受を介して支持するハウジングと、
その軸受に予圧を調節可能に付与する手段とを備え、
その出力シャフトは、第1の転がり軸受と第2の転がり軸受とを介して前記ハウジングにより支持され、
両転がり軸受の外輪を、互いに向かい変位するのを阻止する外輪変位阻止部と、
第1の転がり軸受の内輪が、第2の転がり軸受の内輪から離れる方向へ変位するのを阻止する内輪変位阻止部と、
その出力シャフトにねじ合わされる予圧調節部材とを備え、
その予圧調節部材の出力シャフトへのねじ込み量に応じて、第2の転がり軸受の内輪を第1の転がり軸受の内輪に向かい押すことが可能とされ、
その操舵トルクを検出するトルクセンサと、
その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力を発生させるアクチュエータと、
その操舵補助力により回転する駆動ギアと、
その駆動ギアに噛み合わされると共に前記出力シャフトに嵌め合わされる従動ギアとを備え、
その従動ギヤは出力シャフトに、予め設定されたリミットトルク以上の操舵トルクが作用すると相対回転するように、トルクリミッター機構を介して嵌め合わされ、
その従動ギアは、前記第1の転がり軸受の内輪と内輪変位阻止部との間に配置され、
その第1の転がり軸受の内輪は、その従動ギアを介して、その内輪変位阻止部により前記第2の転がり軸受の内輪から離れる方向へ変位するのが阻止されるラックピニオン式ステアリング装置。 - その出力シャフトに、軸方向相対変位可能かつ操舵トルクに応じて弾性的に相対回転可能に連結される入力シャフトと、
その入力シャフトに固定される磁性材製部材と出力シャフトに固定される磁性材製部材との間の磁気抵抗の変化に基づき、その操舵トルクを検出するトルクセンサと、
その検出された操舵トルクに応じた操舵補助力の付与手段とを備える請求項1に記載のラックピニオン式ステアリング装置。 - 前記ハウジングは、その駆動ギアと従動ギアを覆うギアハウジング部と、そのギアハウジング部と別体であって前記ピニオンとラックを覆うラックハウジング部とを有し、
そのギアハウジング部により出力シャフトを前記第1の転がり軸受を介して支持することで、その駆動ギアに従動ギアを噛み合わせることが可能とされ、
そのギアハウジング部により出力シャフトを支持した後に、そのラックハウジング部により出力シャフトを前記第2の転がり軸受を介して支持すると共にギアハウジング部にラックハウジング部を連結することで、前記ピニオンにラックを噛み合わせることが可能とされている請求項1または2に記載のラックピニオン式ステアリング装置。
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