JP3645058B2 - コンバイン刈取部の横移動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱穀部の前方に設けた刈取部によって穀稈を刈取り脱穀部に後送して脱穀処理するコンバインであって、刈取作業の始期における枕刈り、中割り作業等を容易にするための刈取部の横移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このように刈取部を横移動させてその目的を達成させようとするものとしては、実開平2−105318号公報と特開平5−153837号(以下前者という)と、特開平2−39182号公報(以下後者という)等に開示されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし前者のものは、刈取部の主フレ−ムを兼用する刈取2軸ケ−スが刈取部への動力を入力する入力1軸ケ−スから前下方に向けて延設して、この入力1軸ケ−スを軸にして回動し刈取部を上下動させるのであるから、機体の前後バランスなどの取り合わせの関係上ややもすると刈取2軸ケ−スが両側クロ−ラ始端部の間隔内を通るようになるとともに、後送される刈取穀稈を受継いで脱穀部に搬送する縦搬送機構を伝動する縦搬送駆動軸が刈取部の横移動に拘らず横移動しないから、刈取穀稈の搬送姿勢が乱れるとともに縦搬送駆動軸のために刈取部の横移動の範囲が制約を受けるようになる。その上、刈取部の横移動機構そのものが複雑な構成で円滑性を欠ぎコスト高になっている。また後者のものは、前者のものに加えて刈取2軸ケ−スの下端部に刈取部の横移動機構を介装してなるものであるから、その横移動機構によって刈刃により刈取られた穀稈の後送の障害になるという欠点を有しているのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明による横移動装置は、脱穀部の前方に設ける刈取部により穀稈を刈取るコンバインの刈取部であって、刈取部と脱穀部の間に刈取部への動力を入力する刈取1軸ケ−スを所定高さ位置で左右横方向に横架し、その刈取1軸ケ−スに内装する刈取1軸と平行にした中間軸を内装する中間軸ケ−スを前記刈取1軸ケ−スに横方向の摺動と外周りの回動とを可能に嵌合させて設け、該中間軸ケ−スから刈取部の主フレ−ムを兼用する刈取2軸ケ−スを前下方に向けて延設するとともに、その中間軸ケ−スを刈取1軸ケ−スの前方側に位置させることにより、機体の前後バランスなどの取り合わせの関係を考慮にいれなくでも刈取2軸ケ−スが両側クロ−ラ始端部の前側に位置するようになって刈取部の横移動範囲が拡大される。
【0005】
また中間軸ケ−スに、刈取部から脱穀部に穀稈を搬送するところの縦搬送駆動軸の支承部を一体的に取付けて中間軸から縦搬送駆動軸を伝動する構成にしたので、刈取部が横移動すると縦搬送駆動軸も移動して刈取部全体の搬送機構における相対関係が変動せず刈取穀稈の搬送に乱れが起こらず、また、その縦搬送駆動軸が移動するから刈取部の横移動の範囲が制約を受けないのである。
【0006】
そして、刈取1軸ケ−スを所定高さ位置に横架する両側の支持部材の下方部に横桁を掛け渡して連結し、前記中間軸ケ−ス部分から垂設する連動部材の下部を横桁に摺動自在に嵌合させ、その連動部材と前記刈取2軸ケ−スとの間に昇降シリンダを介装するとともに、連動部材を横方向駆動装置に連動連結したから、刈取部の横移動と昇降作動が簡潔構成となって円滑になりコスト安にもなる。
【0007】
更に、両側の支持部材のうち一側がわの支持部材を縦軸芯の周りに回動可能にし、他側がわ支持部材の前記刈取1軸ケ−ス端部を横架する状態と、下方部で横桁端部を連結する状態とをそれぞれ解除可能にして刈取部全体を一側がわの支持部材を軸にし側方に開放可能にすると、刈取部の側方への開放が容易に行えるものになってメンテナンス性がよくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下、本発明について実施例図を参照し具体的に説明する。このコンバインは図4に示すように機体の両側にクロ−ラ(12)を備えた走行フレ−ム(13)の左側に脱穀部(A)を右側に操縦部(C)と穀粒収納部を配設し脱穀部(A)の前方に刈取部(B)を設け、刈取部(B)により穀稈を刈取り脱穀部(A)に後送して脱穀処理するもので、その刈取部(B)は最前部に設けた分草板(14)と引起し装置(15)と刈刃(16)と掻込搬送機構(17)とこの掻込搬送機構(17)からの刈取穀稈を受継いで脱穀部(A)に後送する縦搬送機構(18)から成っている。
【0009】
そこで、先ず図1〜図4に記載するところの第1実施例のものについて記載すると、(1)は刈取部(B)と脱穀部(A)の間において走行フレ−ム(13)に立設状態に設けた両側の支持部材(8)(9)により所定高さ位置で左右方向に横架された刈取1軸ケ−スで、エンジンからの動力を入力して刈取部(B)の各部を伝動する刈取1軸(2)を内装し、その刈取1軸(2)はスプラインによって伸縮自在にしてある。
【0010】
(3)は前記刈取1軸(2)と平行にした中間軸(4)を内装する中間軸ケ−スであり、(19)は刈取1軸ケ−ス(1)に外嵌する筒状体であって、その内周面の2箇所に横方向の摺動と刈取1軸ケ−ス(1)の周りに回動可能の接触面(20)を有しているもので、筒状体(19)の右側は中間軸ケ−ス(3)右側のギヤボックス(21)に、左がわは刈取1軸(2)から中間軸(4)を伝動するところの伝動ケ−ス(22)にそれぞれ連結合体して中間軸ケ−ス(3)部分を構成し、中間軸ケ−ス(3)を刈取1軸ケ−ス(1)に対し筒状体(19)部分を介して横方向への摺動とこのケ−ス(1)の外周りに回動可能にしている。
【0011】
そして、中間軸ケ−ス(3)は刈取1軸ケ−ス(1)より前方側の上位に位置するように両側の支持部材(8)(9)により支持され、前記の中間軸ケ−ス(3)のギヤボックス(21)部分からは前記の刈取部(B)各部を支持し配設するところの主フレ−ムを兼用する刈取2軸(23)内装の刈取2軸ケ−ス(5)が前下方に向けて延設されているのである。
【0012】
また、前記の縦搬送機構(18)を伝動する縦搬送駆動軸(7)の支承部(6)は中間軸ケ−ス(3)の横方向中途部に一体的に取付けられて、中間軸ケ−ス(3)の横方向への摺動あるいは刈取1軸ケ−ス(1)周りの回動と共に前記刈取2軸ケ−ス(5)とこの縦搬送駆動軸(7)は横方向に移動しまたは回動するのである。
【0013】
そして、刈取1軸(2)の端部に軸着する入力プ−リ(24)の回転動力は刈取1軸ケ−ス(1)内から伝動ケ−ス(22)内を経て中間軸(4)に、中間軸(4)からギヤボックス(21)内を通り刈取2軸(23)を伝動して刈取部(B)の各部に伝達されるとともに、縦搬送駆動軸(7)も伝動して縦搬送機構(18)を駆動するのである。
【0014】
また、前記両側の支持部材(8)(9)の下方部には横桁(10)が掛け渡されて、この横桁(10)により両支持部材(8)(9)は連結され、横桁(10)には横方向に摺動自在の筒体(25)を嵌合させるとともに前記中間軸ケ−ス(3)のギヤボックス(21)がわの筒状体(19)部分からは連動部材(11)を垂設して連動部材(11)の下部を前記筒体(25)に溶着し、その筒体(25)と前記刈取2軸ケ−ス(5)との間に刈取部(B)上下動用の昇降シリンダ(C1)を介装させ、また、連動部材(11)の上下中程部を左側の支持部材(8)にシリンダ装置からなる横方向駆動装置(C2)により連結してある。
【0015】
これによって、昇降シリンダ(C1)の作動により刈取2軸ケ−ス(5)は中間軸ケ−ス(3)と縦搬送駆動軸(7)と共に刈取1軸ケ−ス(1)を軸にして上下動し刈取部(B)を昇降させ、横方向駆動装置(C2)によって連動部材(11)を介して中間軸ケ−ス(3)と縦搬送駆動軸(7)と刈取2軸ケ−ス(5)および昇降シリンダ(C1)は一体となって横移動するようになる。
【0016】
次に、図5〜図7に記載した第2実施例のものについて記載する。この同実施例のものは前記第1実施例のものと構成が類似しているので重複記載を避けるために相違点のみを説明し、他の構成は同じ符号を付して説明を省略することにする。
【0017】
即ち、刈取1軸ケ−ス(1)に内装する刈取1軸(2)は伸縮せず、縦搬送駆動軸(7)の支承部(6)がこの刈取1軸ケ−ス(1)に取付けられて刈取1軸(2)から伝動するものにし、刈取1軸(2)に平行にした中間軸(4)を内装する中間軸ケ−ス(3)がこの中間軸(4)と共に伸縮自在になり、中間軸ケ−ス(3)右側のギヤボックス(21)から突出する支持部(26)が刈取1軸ケ−ス(1)に外嵌し中間軸ケ−ス(3)を刈取1軸ケ−ス(1)に対して横方向の摺動と刈取1軸ケ−ス(1)の外周りに回動可能にするとともに、中間軸ケ−ス(3)を刈取1軸ケ−ス(1)よりも前方側の下位に位置するように支持させている。
【0018】
また、連動部材(11)は前記中間軸ケ−ス(3)のギヤボックス(21)がわの支持部(26)から垂設して、昇降シリンダ(C1)の作動により刈取2軸ケ−ス(5)は中間軸ケ−ス(3)と共に刈取1軸ケ−ス(1)を軸にして上下動して刈取部(B)を昇降させ、横方向駆動装置(C2)により連動部材(11)を介して中間軸ケ−ス(3)とこれに内装するところの中間軸(4)が伸縮し、支持部(26)が刈取1軸ケ−ス(1)と摺動して刈取2軸ケ−ス(5)と昇降シリンダ(C1)を横移動させている。
【0019】
そして左側の支持部材(8)を、その下部を走行フレ−ム(13)に縦軸芯の周りに回動可能にし、上部がわを支承柱(27)により回動自在に支持して立設し、右側の支持部材(9)を図8に示すようにして刈取1軸ケ−ス(1)の端部を横架する状態と横桁(10)の端部を連結する状態とを解除可能にするのである。
【0020】
その構成は、上部受体(28)と下部受体(29)に対して軸(30)(30)を支点にして回動し刈取1軸ケ−ス(1)と横桁(10)の各端部を固定または解除する上部押え体(31)と下部押え体(32)が設けられ、その上部押え体(31)と下部押え体(32)は連動棒(33)によって連動するようにし、上部押え体(31)に取付けたロックレバ−(34)を回動軸(35)を支点にして図8のように起立させると、回動軸(35)先端の係合ピン(36)が上部受体(28)の凹部に係合してロックされ、また、起立しているロックレバ−(34)を倒すと係合ピン(36)が凹部から外れてロックが解除されるようになり、この解除によって刈取部(B)全体が左側の支持部材(8)を軸にして側方に開放可能にしている。なお、(37)は係合ピン(36)の凹部への係合を維持するためのトルクバネである。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように実施されたもので、次に記載するところの効果を奏するのである。
【0022】
脱穀部の前方に設ける刈取部により穀稈を刈取るコンバインの刈取部であって、刈取部と脱穀部の間に刈取部への動力を入力する刈取1軸ケ−スを所定高さ位置で左右横方向に横架し、その刈取1軸ケ−スに内装する刈取1軸と平行にした中間軸を内装する中間軸ケ−スを前記刈取1軸ケ−スに横方向の摺動と外周りの回動とを可能に嵌合させて設け、該中間軸ケ−スから刈取部の主フレ−ムを兼用する刈取2軸ケ−スを前下方に向けて延設するとともに、その中間軸ケ−スを刈取1軸ケ−スの前方側に位置させることにより、機体の前後バランスなどの取り合わせの関係を考慮にいれなくでも刈取2軸ケ−スが側方視で両側クロ−ラ始端部の前側に位置するようになって刈取部の横移動範囲を拡大することができる。
【0023】
中間軸ケ−スに、刈取部から脱穀部に穀稈を搬送するところの縦搬送駆動軸の支承部を一体的に取付けて中間軸から縦搬送駆動軸を伝動する構成にしたので、刈取部の横移動により縦搬送駆動軸も移動して刈取部全体の搬送機構における相対関係が変動せず刈取穀稈の搬送に乱れが起こらず、また、その縦搬送駆動軸が移動するから刈取部の横移動の範囲が制約を受けないのである。
【0024】
刈取1軸ケ−スを所定高さ位置に横架する両側の支持部材の下方部に横桁を掛け渡して連結し、前記中間軸ケ−ス部分から垂設する連動部材の下部を横桁に摺動自在に嵌合させ、その連動部材と前記刈取2軸ケ−スとの間に昇降シリンダを介装するとともに、連動部材を横方向駆動装置に連動連結したから、刈取部の横移動と昇降作動が簡潔構成となって円滑になりコスト安にもなる。
【0025】
両側の支持部材のうち一側がわの支持部材を縦軸芯の周りに回動可能にし、他側がわ支持部材の前記刈取1軸ケ−ス端部を横架する状態と、下方部で横桁端部を連結する状態とをそれぞれ解除可能にして刈取部全体を一側がわの支持部材を軸にし側方に開放可能にすることにより、刈取部の側方への開放が容易に行えるものになってメンテナンス性が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例における刈取1軸ケ−ス周辺部を断面して示す平面図である。
【図2】同例のものの横移動装置を示す側方視図である。
【図3】同例の横移動装置の前方視図である。
【図4】コンバインの前側部の側方視図である。
【図5】第2実施例における刈取1軸ケ−ス周辺部を断面して示す平面図である。
【図6】同例のものの横移動装置を示す側方視図である。
【図7】同例の横移動装置の前方視図である。
【図8】右側支持部材の他の実施例のものを示す側方視図である。
【符号の説明】
A 脱穀部
B 刈取部
1 刈取1軸ケ−ス
2 刈取1軸
3 中間軸ケ−ス
4 中間軸
5 刈取2軸ケ−ス
6 支承部
7 縦搬送駆動軸
8・9 支持部材
10 横桁
11 連動部材
C1 昇降シリンダ
C2 横方向駆動装置
Claims (4)
- 脱穀部(A)の前方に設ける刈取部(B)により穀稈を刈取るコンバインの刈取部であって、刈取部(B)と脱穀部(A)の間に刈取部(B)への動力を入力する刈取1軸ケ−ス(1)を所定高さ位置で左右横方向に横架し、その刈取1軸ケ−ス(1)に内装する刈取1軸(2)と平行にした中間軸(4)を内装する中間軸ケ−ス(3)を前記刈取1軸ケ−ス(1)に横方向の摺動と外周りの回動とを可能に嵌合させて設け、該中間軸ケ−ス(3)から刈取部(B)の主フレ−ムを兼用する刈取2軸ケ−ス(5)を前下方に向けて延設するとともに、その中間軸ケ−ス(3)を刈取1軸ケ−ス(1)の前方側に位置させてあることを特徴とするコンバイン刈取部の横移動装置。
- 中間軸ケ−ス(3)に、刈取部(B)から脱穀部(A)に穀稈を搬送するところの縦搬送駆動軸(7)の支承部(6)を一体的に取付けて中間軸(4)から縦搬送駆動軸(7)を伝動する構成にしたことを特徴とする請求項1.記載のコンバイン刈取部の横移動装置。
- 刈取1軸ケ−ス(1)を所定高さ位置に横架する両側の支持部材(8)(9)の下方部に横桁(10)を掛け渡して連結し、前記中間軸ケ−ス(3)部分から垂設する連動部材(11)の下部を横桁(10)に摺動自在に嵌合させ、その連動部材(11)と前記刈取2軸ケ−ス(5)との間に昇降シリンダ(C1)を介装するとともに、連動部材(11)を横方向駆動装置(C2)に連動連結してあることを特徴とする請求項1.記載のコンバイン刈取部の横移動装置。
- 両側の支持部材(8)(9)のうち一側がわの支持部材(8)を縦軸芯の周りに回動可能にし、他側がわ支持部材(9)の前記刈取1軸ケ−ス(1)端部を横架する状態と、下方部で横桁(10)端部を連結する状態とをそれぞれ解除可能にして刈取部(B)全体を一側がわの支持部材(8)を軸にし側方に開放可能にしたことを特徴とする請求項3.記載のコンバイン刈取部の横移動装置。
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JP05421397A JP3645058B2 (ja) | 1997-02-20 | 1997-02-20 | コンバイン刈取部の横移動装置 |
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