JP3643489B2 - 車両用サスペンションアームおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用サスペンションアームに係り、特に、全体が1枚の金属製の板材にて構成されている車両用サスペンションアームの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(a) 車輪側に連結される第1連結部と、(b) その第1連結部から二股形状に分岐するように設けられた一対のアーム部と、(c) その一対のアーム部の先端側にそれぞれ設けられて車体側に連結される一対の第2連結部とを有する車両用サスペンションアームが、各種のサスペンション装置のアッパアームやロワアームとして使用されている。例えば特開平8−332820号公報に記載されているL型アームはその一例で、ストラット型サスペンション装置のロワアームとして使用されるものであり、第1連結部および一対のアーム部は1枚の金属製の板材にて構成されているが、一対の第2連結部は別部品にて構成され、溶接などによってアーム部に一体的に固設されるようになっている。
【0003】
また、図15の(a) 、(b) は、ダブルウィッシュボーン型サスペンション装置のアッパアームとして使用されるサスペンションアームの一例で、所謂A型アームと呼ばれるものであり、それぞれ右側の断面図は一点鎖線部分の断面である。図15の(a) のサスペンションアーム200は、1枚の金属製の板材にて構成されており、一対のアーム部202は断面コの字形状を成しているとともに、外側の側壁204が高くなっていて、先端側部分はそのまま第2連結部206とされている。第2連結部206は紙面に対して略垂直で、紙面と平行な第1連結部208に対して略垂直であるとともに、それ等の連結部206、208には何れもバーリング加工によって円筒部210、212が設けられ、第1連結部208は円筒部212を介して車輪側のボールジョイントに連結される一方、第2連結部208の円筒部210には円筒ブッシュが圧入固定されて車体側に連結される。
【0004】
図15の(b) のサスペンションアーム220は、第1連結部222および一対のアーム部224が1枚の金属製の板材にて構成されており、第1連結部222にはバーリング加工によって円筒部226が設けられている一方、一対のアーム部224は断面C字形状に丸められている。また、アーム部224の先端部には、円筒形状の円筒部品228が溶接によって一体的に固設され、その円筒部品228内に円筒ブッシュが圧入固定されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15の(a) のようにアーム部が断面コの字形状を成すものは、アーム部の剛性が低いため、断面形状を大きくする必要がある。アーム部の断面形状をC字形状とした図15の(b) のものは、アーム部の剛性が高くなるが、第2連結部が別部品にて構成されているため、製造コストが高くなる。前記特開平8−332820号公報に記載のL型アームも同様の問題がある。
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、全体が1枚の金属製の板材にて構成されており、プレス加工を主体として簡単且つ安価に製造されるとともに、比較的高い剛性が得られてコンパクトに構成される車両用サスペンションアームを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 平坦な第1平面部を有して車輪側に連結される第1連結部と、(b) その第1連結部から二股形状に分岐するように設けられた一対のアーム部と、(c) その一対のアーム部の先端側にそれぞれ設けられて車体側に連結される一対の第2連結部と、を有する車両用サスペンションアームであって、(d) 全体が1枚の金属製の板材にて構成されているとともに、(e) 前記一対のアーム部は、それぞれ前記二股形状の内側または外側で突き合わされるように前記板材が略円筒形状に丸められたものであり、(f) 前記一対の第2連結部は、それぞれ前記二股形状の内側および外側のうち前記アーム部において前記板材が突き合わされる側と反対側の部分に連続して設けられ、前記第1平面部に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部を備えていることを特徴とする。
【0008】
第2発明は、第1発明の車両用サスペンションアームにおいて、(a) 前記一対のアーム部は、前記板材を略円筒形状に丸め加工する際のU曲げの中心部分である基準部位が、前記第1平面部と同一かその第1平面部に対して所定角度で折れ曲がっている共通の略平坦な基準面上に全長に亘って位置しており、(b) 前記第2連結部の第2平面部は、前記基準面の上下に延び出していることを特徴とする。
【0009】
第3発明は、第2発明の車両用サスペンションアームにおいて、(a) 前記一対のアーム部は、それぞれ前記第2連結部側から前記第1連結部側へ向かうに従って全周寸法が増大している一方、(b) そのアーム部における前記板材の突合せ部は、その板材を前記基準面に対して略垂直な方向からプレスによりJ字形にU曲げした後O曲げして丸める場合に、そのO曲げによる丸め寸法が略等しくなるように前記第1連結部側へ向かうに従って後退していることを特徴とする。
【0010】
第4発明は、第2発明または第3発明の車両用サスペンションアームの製造方法であって、(a) 前記第1連結部、前記アーム部および前記第2連結部を展開した形状で、略二股形状を成しているとともに、そのアーム部になる部分では前記基準部位を挟んでその二股形状の内側および外側のうち前記突合せ部と反対側が拡幅されている平坦な金属製の板材を用意する板材準備工程と、(b) 前記基準面に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記板材のうち前記アーム部となる部分を、前記基準部位を中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま前記基準面に対して略垂直に立ち上がる前記拡幅部分と合わせて全体として断面J字形状にするU曲げ工程と、(c) 前記基準面に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記J字形状のうち上方へ突き出す直線部を丸めて、全体として略円筒形状にするO曲げ工程とを有することを特徴とする。
【0011】
第5発明は、第4発明の車両用サスペンションアームの製造方法において、(a) 前記一対のアーム部は、前記基準面に対して垂直方向から見た平面視の状態において曲がっており、(b) 前記U曲げ工程および前記O曲げ工程では、その曲がり形状に沿って曲げ加工を行うことを特徴とする。
【0012】
第6発明は、第4発明または第5発明の車両用サスペンションアームの製造方法において、(a) 前記第2連結部は、前記基準面の上下に延び出している両方の端部に略直角に折れ曲がったフランジを有するもので、(b) 前記U曲げ工程は、前記アーム部の曲げ加工と同時に、前記第2連結部が前記基準面に対して略垂直になるように下側の端部のフランジを略直角に曲げ加工するもので、(c) 前記板材には、前記U曲げ工程で前記第2連結部の下端部が全体としてU字形状になるように、前記フランジになる部分に連続して補助板部が設けられており、その補助板部はそのU曲げ工程の後に切除されることを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
第1発明の車両用サスペンションアームは、全体が1枚の金属製の板材にて構成されているとともに、一対のアーム部は、それぞれ二股形状の内側または外側で突き合わされるように板材が略円筒形状に丸められたもので、一対の第2連結部は、それぞれ前記二股形状の内側および外側のうち前記アーム部において板材が突き合わされる側と反対側の部分に連続して設けられ、第1連結部の第1平面部に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部を備えており、その第2平面部を介して車体側に連結できるため、プレス加工を主体として簡単且つ安価に製造できる。また、一対のアーム部は、板材が突き合わされるように略円筒形状に丸められているため、断面コの字形やC字形のアームに比較して高い剛性が得られ、装置を軽量且つコンパクトに構成できる。
【0014】
第2発明では、一対のアーム部は、板材を略円筒形状に丸め加工する際のU曲げの中心部分である基準部位が略平坦な基準面上に位置しており、第2連結部は、アーム部における板材の突合せ部と反対側の部分に連続して基準面の上下に延び出すように設けられるため、板材の状態でアーム部と第2連結部との間にくびれなどの小幅部を設ける必要が無く、両者間での機械的強度の低下を回避できる。また、第2連結部は基準面から上下に延び出しているため、その第2連結部と車体側との連結位置とアーム部とのオフセット寸法が小さくなり、機械的強度の点で好ましい。
【0015】
第3発明では、一対のアーム部は、第2連結部側から第1連結部側へ向かうに従って全周寸法が増大しているため、平板状の第1連結部やその近傍部分の剛性が高められ、装置全体の剛性のバランスが向上する。一方、そのアーム部における板材の突合せ部は、第4発明のように板材を基準面に対して略垂直な方向からプレスによりJ字形にU曲げした後O曲げして丸める場合に、そのO曲げによる丸め寸法が略等しくなるように第1連結部側へ向かうに従って後退しているため、プレスでO曲げを行う際の板材の突出寸法がアーム部の全長に亘って略同じで、略同時に金型に当接させられるようになり、局部的に板材が当接して成形不良を生じることがなく、全長に亘って良好にO曲げが行われる。
【0016】
第4発明の製造方法によれば、所定形状の平坦な金属製の板材を用意し、基準面に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記板材のうちアーム部となる部分を前記基準部位を中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま基準面に対して略垂直に立ち上がる拡幅部分と合わせて全体として断面J字形状にした後、同じく基準面に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、J字形状のうち上方へ突き出す直線部を丸めて全体として略円筒形状にするため、板材の突合せ部が二股形状の内側または外側に位置するアーム部を良好にプレス加工によって成形できる。
【0017】
第5発明では、一対のアーム部は、平面視の状態において曲がっており、U曲げ工程およびO曲げ工程では、その曲がり形状に沿って曲げ加工を行うため、それ等の曲げ加工では絞り成形や張出し成形を伴い、比較的大きな成形抵抗が生じる。このため、O曲げ工程でJ字形状の直線部の上端に上型が当接して曲げ加工を行う際に、その直線部がそのまま下方へ押し込まれて下型の成形面に沿って反対側の端部が上方へ突き上がるといった成形不良が抑制され、J字形状の直線部が上型の成形面に沿って良好に曲げ加工されるようになる。
【0018】
第6発明では、U曲げ工程で、第2連結部が基準面に対して略垂直になるように下側の端部のフランジを略直角に曲げ加工する場合に、その板材には、U曲げ工程で第2連結部の下端部が全体としてU字形状になるように補助板部が設けられているため、簡単なプレス金型で下側の端部のフランジ曲げをアーム部のU曲げと同時に適正に行うことができる。すなわち、フランジは幅寸法が小さいため、そのフランジ部分のみを上型により下方へ押圧しても、フランジ部分を下方へ押し下げて第2連結部を略垂直に立ち上げることは困難で、仮に立ち上がったとしてもフランジを略直角に曲げることは不可能であり、下型に挟圧プレートなどを設けてフランジ部分を上型との間で挟圧した状態で下方へ押し込むなどの工夫が必要であるが、補助板部を設ければ、そのような挟圧手段を設けることなく、第2連結部が立ち上がるように下側の端部のフランジ曲げを適正に行うことができるのである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の車両用サスペンションアームは、例えばダブルウィッシュボーン型サスペンション装置のアッパアームとして使用されるA型アームに好適に適用されるが、ストラット型サスペンション装置のロワアームとして使用されるL型アームなど、二股形状を成す他の車両用サスペンションアームにも同様に適用され得る。
【0020】
第1連結部、第2連結部の第1平面部、第2平面部には、例えばバーリング加工により円筒部が設けられ、その円筒部を介してボールジョイントに連結されたり、円筒内に円筒ブッシュが圧入されたりするが、円筒部を設けることなく平面部に直接ボールジョイントなどを固定することも可能である。
【0021】
第2連結部は、第2発明以下では基準面の上下に延び出しているが、第1発明の実施に際しては、基準面の上方のみ或いは下方のみに延び出すものであっても良い。
【0022】
アーム部における板材の突合せ部は、一対のアーム部においてそれぞれ同じであることが望ましいが、一方のアーム部では二股形状の内側で突き合わされ、他方のアーム部では二股形状の外側で突き合わされるようになっていても良い。突合せ部は完全に密着していることが望ましく、必要に応じて溶接したり櫛歯状に噛み合わせたりすることも可能である。
【0023】
第2発明の基準面は、プレスによるU曲げの際の下端部(U曲げの中心部分)である基準部位が位置する略平坦な面で、一対のアーム部の基準部位は、全長に亘って共通の基準面上に位置するようになっている。この基準面は、例えば第1連結部の第1平面部と同じ平面にて構成されるが、第1平面部に対して所定角度で折れ曲がるように基準面が設けられても良い。なお、この基準面は必ずしも完全な平坦面である必要はなく、円弧状に湾曲している曲面などでも良い。
【0024】
第3発明では、アーム部の全周寸法が第1連結部側程大きくなっているが、第1発明、第2発明の実施に際しては、アーム部の全長に亘って全周寸法が略一定の同一径寸法の円筒形状であっても良い。全周寸法の増大に伴って円筒形状の径寸法が大きくなっても良いが、基準面からの高さ寸法が略一定になるように、第1連結部側では偏平円筒形状(長円形)にすることも可能で、その場合は配設スペースが大きくなることがなく、所定のスペースにコンパクトに配設できる。アーム部の断面形状は、円形や長円形のほか楕円形、卵型などでも良い。
【0025】
第5発明では、アーム部が平面視の状態で曲がっており、その曲がり形状のままU曲げ、O曲げを行うようになっているが、第4発明の実施に際しては、平面視において直線形状の状態でU曲げ、O曲げを行って円筒形状に丸めた後、その円筒形状のアーム部を曲げたり湾曲させたりして目的形状としても良いし、アーム部の形状がもともと平面視において直線形状であっても良い。U曲げ、O曲げを直線状態で行うと、成形抵抗が比較的小さいため、断面J字形状の直線部(上方への立上り部)をO曲げする際に、その直線部がそのまま下方へ押し込まれて下型の成形面に沿って曲げ加工され、反対側の端部が上方へ突き上がる可能性があるが、その場合には例えば反対側の端部の突き上がりをストッパなどで阻止するようにすれば良い。第5発明の実施に際しても、必要に応じてストッパなどで反対側の端部の突き上がりを阻止するようにしても良い。なお、第5発明の平面視における曲がり形状は、全体に滑らかに湾曲した湾曲形状でも良いし、「く」の字形状のように複数の直線部分と折れ曲がり部とを有する折れ曲がり形状でも良いが、湾曲形状の場合は全長に亘って絞り成形や張出し成形を伴い、全体的に成形抵抗が高められるため、より高い成形精度が得られる。
【0026】
第6発明では、補助板部を設けて下側の端部のフランジ曲げが適正に行われるようになっているが、第4発明、第5発明の実施に際しては、下型に挟圧プレートなどを設けてフランジ部分を上型との間で挟圧した状態で下方へ押し込むようにしても良い。また、アーム部のU曲げ工程とは別工程でフランジ曲げ、或いは第2連結部が基準面に対して略垂直となるようにする捩り曲げなどを行うようにしても良い。アーム部のU曲げ工程で、第2連結部の下側部分も同様にU字形状に曲げ加工した後、別工程で基準面に対して略垂直になるようにU字形状を延ばし起こすようにしても良い。
【0027】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用サスペンションアーム10を説明する図で、(a) は正面図、(b) は左側面図、(c) は(a) の下方から見た底面図、(d) は(a) のD−D断面図、(e) は(a) のE−E断面図である。この車両用サスペンションアーム10は、ダブルウィッシュボーン型サスペンション装置のアッパアームとして使用されるもので、所謂A型アームと呼ばれるものであり、全体が1枚の金属製の板材32(図4参照)にて構成されているとともに、平坦な第1平面部12を有する第1連結部14と、その第1連結部14から二股形状(本実施例では略U字形状)に分岐するように設けられた一対のアーム部16、18と、その一対のアーム部16、18の先端側にそれぞれ設けられた一対の第2連結部20、22とを備えている。
【0028】
上記第1連結部14の第1平面部12には、バーリング加工によって第1平面部12と垂直に円筒部12aが設けられており、図2の(a) に示すようにボールジョイント24を介して図示しない車輪のナックルに連結される。図2の(a) から明らかなように、第1連結部14の外側には略直角に曲げられたフランジ14aが設けられているとともに、内側には略半円弧形状に曲げられたフランジ14bが設けられている。また、一対のアーム部16、18は、板材32が略円筒形状に丸められたもので、一対の第2連結部20、22は、それぞれ二股形状の外側においてアーム部16、18に連続して設けられており、第1連結部14の第1平面部12に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部26、28を備えている。これ等の第2平面部26、28には、バーリング加工によって両平面部26、28と垂直な共通の一直線上に円筒部26a、28aが内向きに設けられており、図2の(b) に示すようにゴム等の弾性体を有する円筒ブッシュ30が圧入固定されて車体側に連結される。図2(b) は第2連結部20側の例であるが、第2連結部22側も同様に円筒ブッシュが圧入固定される。なお、図2(a) のポイントAは、ボールジョイント24の回動中心で、図2の(b) のポイントBは、円筒ブッシュ30の中心点である。
【0029】
前記一対のアーム部16、18は、全長に亘って共通の平坦な基準面S上に位置する基準部位Lの両側がそれぞれ丸められ、二股形状の内側で突き合わされている。図1の16a、18aは突合せ部で、本実施例では完全に密接するように突き合わされている。基準面Sは、プレスによるU曲げの際の下端部(U曲げの中心部分)である基準部位Lが位置する平面で、一対のアーム部16、18の基準部位Lは、全長に亘って共通の基準面S上に位置するようになっており、図1では、(c) における一対のアーム部16、18の下端縁が基準部位Lで、その基準部位Lを含んで紙面に垂直な平面が基準面Sである。また、図1(b) におけるアーム部16の左端縁が基準部位Lで、その基準部位Lを含んで紙面に垂直な平面が基準面Sである。なお、本実施例では、第1連結部14の第1平面部12も基準面S上に設けられている。上記突合せ部16a、18aには、必要に応じて溶接が施される。
【0030】
一対のアーム部16、18はまた、上記基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態、すなわち図1の(a) の状態において、それぞれ第2連結部20、22側が略平行になるように全体に滑らかに湾曲させられている。また、第2連結部20、22側から第1連結部14側へ向かうに従って全周寸法が増大しているが、図1の(b) 、(c) から明らかなように基準面Sからの高さ寸法は略一定であり、第2連結部20、22側では図1の(e) に示すように断面形状が略完全な円環形状であるのに対し、第1連結部14側では図1の(d) に示すように断面が長円形の偏平円筒形状を成している。それ等のアーム部16、18の突合せ部16a、18aは、板材32を基準面Sに対して略垂直な方向からプレスによりJ字形にU曲げした後O曲げして丸める場合に、そのO曲げによる丸め寸法が略等しくなるように、言い換えればO曲げの際の突出寸法が略一定となるように、全周寸法が大きい第1連結部14側へ向かうに従って二股形状の内側から徐々に外側へ後退している。なお、アーム部16、18の第1連結部14側は、単に全周寸法が大きくなっているだけでなく、二股形状の外側部分は第1連結部14の円筒部12aの近傍まで大きく延設され、第1連結部14付近の剛性を高める補強部16c、18cとされている。
【0031】
第2連結部20、22は、前記基準面Sの上下に略垂直に延び出しており、前記円筒部26a、28aは、その中心が基準面Sに対して垂直な方向において前記回動中心Aと一致するように設けられている。アーム部16、18も、基準面Sに対して垂直な方向における中心位置が円筒部26a、28aの中心や回動中心Aと略同じ位置である。第2連結部20、22の上下の両端部には、それぞれ略直角に内側へ曲げられたフランジ20a、20b、22a、22bが設けられている。
【0032】
このような車両用サスペンションアーム10は、図3に示すようにブランキング工程、U曲げ工程、O曲げ工程、トリミング工程、穴明け工程、およびバーリング工程の6工程でプレス成形される。ブランキング工程は板材準備工程に相当するもので、図4に示すように所定形状の平坦な金属製の板材32を帯板などから打ち抜いて用意する。板材32は、前記第1連結部14、アーム部16、18、および第2連結部20、22を基準面Sと同じ平面に位置するように展開した形状で、略二股形状を成しているとともに、アーム部16、18になる部分には、基準部位Lを挟んで二股形状の外側へ拡幅された拡幅部34、36が設けられている。拡幅部34、36の幅寸法、すなわち基準部位Lから外側の幅寸法は、アーム部16、18の全周寸法の変化に拘らず略一定で、基準部位Lよりも内側の寸法は、アーム部16、18の全周寸法が大きくなる第1連結部14となる側、すなわち図4の上部側程幅寸法が大きくされている。
【0033】
また、板材32には、円筒部12aが設けられる部位に、プレス加工時の位置決め用にパイロット穴38が形成されているとともに、第2連結部20、22になる部分の内側には、U曲げ工程で第2連結部20、22の下端部が全体としてU字形状になるように、前記フランジ20b、22bになる部分に連続して補助板部40、42が設けられている。この補助板部40、42も、上記パイロット穴38と共にプレス加工時の板材32の位置決めに用いられる。なお、図4の点線は、プレス成形後の車両用サスペンションアーム10の形状である。
【0034】
次のU曲げ工程では、図5に示すように基準面Sに対して垂直な方向(図5の(c) における上下方向)からプレス加工を行うことにより、前記板材32のうちアーム部16、18となる部分を、基準部位Lを中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま基準面Sに対して略垂直に立ち上がる拡幅部34、36と合わせて全体として断面J字形状にする。拡幅部34、36の幅寸法が略一定であることから、図5の(b) から明らかなように上方へ立ち上がる拡幅部34、36の突出寸法、すなわち基準面Sからの高さは略一定である。また、この曲げ加工は、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の形状、すなわち図5の(a) において、完成状態のアーム部16、18の形状と同じ湾曲形状に沿って行われ、二股形状の外側では絞り成形を伴うとともに二股形状の内側では張出し成形を伴う。
【0035】
上記U曲げ工程ではまた、アーム部16、18の曲げ加工と同時に、第1連結部14のフランジ14a、14bを曲げ加工するとともに、第2連結部20、22の第2平面部26、28が基準面Sに対して略垂直になるようにその第2平面部26、28となる部分の内側の端部を、前記補助板部40、42を含めてU字形状に曲げ加工することにより、下側のフランジ20b、22bを第2平面部26、28に対して略直角に曲げる。図5の(a) は正面図で、(b) は左側面図、(c) は(a) の下方から見た底面図で、図6、図7も同じである。
【0036】
O曲げ工程では、図6に示すように基準面Sに対して垂直な方向(図6の(c) における上下方向)からプレス加工を行うことにより、前記J字形状のうち上方へ突き出す直線部、すなわち拡幅部34、36を内側へ丸めて、全体として略円筒形状のアーム部16、18を成形すると同時に、第2平面部26、28の上端を略直角に内側へ曲げてフランジ20a、22aを成形する。このO曲げ工程では、拡幅部34、36と反対側部分、すなわち二股形状の内側に位置する端部についても、上方へ突き出す第1連結部14側部分において上型により曲げ加工が行われる。
【0037】
トリミング工程は、図7に示すように前記補助板部40、42を切り取る工程で、同じく基準面Sに対して垂直な方向(図7の(c) における上下方向)からプレス加工が行われる。図6の網掛け部分(グレー部分)は、このトリミング加工を行う一対の金型44、46を示したものである。なお、このトリミング加工をO曲げ工程の前に行うこともできる。
【0038】
穴明け工程は、同じく基準面Sに対して垂直な方向からプレス加工が行われることにより、第1連結部14の第1平面部12にバーリング加工を行うための円穴を形成するとともに、第2連結部20、22の第2平面部26、28にバーリング加工を行うための円穴を形成する。プレス方向と平行な第2平面部26、28に対する穴加工は、プレス動作に伴ってカムの作用で横方向へ移動させられる寄せ型によって行われる。最後のバーリング工程も穴明け加工と同様にして行われ、基準面Sに対して垂直な方向からプレス加工が行われることにより、上記第1平面部12および第2平面部26、28にバーリング加工を行って前記円筒部12a、26a、28aを成形する。
【0039】
ここで、本実施例の車両用サスペンションアーム10は、全体が1枚の金属製の板材32にて構成されているとともに、一対のアーム部16、18はその板材32が略円筒形状に丸められたもので、一対の第2連結部20、22は、それぞれ二股形状の外側においてアーム部20、22に連続して設けられ、第1連結部14の第1平面部12に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部26、28を備えており、その第2平面部26、28を介して車体側に連結されるようになっているため、図3に示すようにプレス加工によって簡単且つ安価に製造できる。また、一対のアーム部16、18は略円筒形状に丸められているため、断面コの字形やC字形のアームに比較して高い剛性が得られ、装置を軽量且つコンパクトに構成できる。
【0040】
また、一対のアーム部16、18は、二股形状の内側で突き合わされており、その反対側の部分に連続して基準面Sの上下に延び出す第2連結部20、22が設けられるため、板材32の状態でアーム部16、18と第2連結部20、22との間にくびれなどの小幅部を設ける必要が無く、両者間での機械的強度の低下を回避できる。すなわち、図14に示すようにアーム部66、68の突合せ部66a、68aを基準部位Lと反対側にして、二股形状の外側に連続して第2連結部70、72を設けることも可能であるが、(a) に示す板材96の状態でアーム部66、68と第2連結部70、72となる部分の間にズレが生じるため、そのズレ部分で幅寸法が小さくなって機械的強度が低下するのである。
【0041】
また、第2連結部20、22は基準面Sから上下に延び出しているため、基準面Sに対して垂直方向において、その第2連結部20、22と車体側との連結位置すなわち円筒ブッシュ30の中心点Bと、ボールジョイント24の回動中心Aとを一致させることができるだけでなく、それ等の中心点Bや回動中心Aとアーム部16、18の中心線とのオフセット寸法(基準面Sに対して垂直方向のずれ)を小さくできるため、機械的強度の点で好ましい。
【0042】
また、一対のアーム部16、18は、第2連結部20、22側から第1連結部14側へ向かうに従って全周寸法が増大しており、特に二股形状の外側部分は第1連結部14の円筒部12aの近傍まで大きく延設されているため、平板状の第1連結部14やその近傍部分の剛性が高められ、装置全体の剛性のバランスが向上する。一方、そのアーム部16、18における板材32の突合せ部16a、18aは、板材32を基準面Sに対して略垂直な方向からプレスによりJ字形にU曲げした後O曲げして丸める場合に、そのO曲げによる丸め寸法が略等しくなるように第1連結部14側へ向かうに従って後退しているため、プレスでO曲げを行う際の板材32の突出寸法がアーム部16、18の全長に亘って略同じで、略同時に金型に当接させられるようになり、局部的に板材32が当接して成形不良を生じることがなく、全長に亘って良好にO曲げが行われる。また、全周寸法が変化しても基準面Sからの高さ寸法は略一定で、第1連結部14側では偏平円筒形状を成しているため、配設スペースが大きくなることがなく、所定のスペースにコンパクトに配設できる。
【0043】
また、所定形状の平坦な金属製の板材32を用意し、基準面Sに対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、その板材32のうちアーム部16、18となる部分を基準部位Lを中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま基準面Sに対して略垂直に立ち上がる拡幅部34、36と合わせて全体として断面J字形状にした後、同じく基準面Sに対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、J字形状のうち上方へ突き出す直線部(拡幅部34、36)を丸めて全体として略円筒形状にするため、板材32の突合せ部16a、18aが二股形状の内側に位置するアーム部16、18を良好にプレス加工によって成形できる。
【0044】
また、一対のアーム部16、18は、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態において全体に滑らかに湾曲させられており、U曲げ工程およびO曲げ工程では、その湾曲形状に沿って曲げ加工を行うため、それ等の曲げ加工では絞り成形や張出し成形を伴い、比較的大きな成形抵抗が生じる。このため、O曲げ工程でJ字形状の直線部(拡幅部34、36)の上端に上型が当接して曲げ加工を行う際に、その直線部がそのまま下方へ押し込まれて下型の成形面に沿って曲げ加工され、反対側の端部が上方へ突き上がるといった成形不良が抑制され、J字形状の直線部が上型の成形面に沿って良好に曲げ加工されるようになる。特に、本実施例ではアーム部16、18全体が湾曲形状を成しているため、アーム部16、18の全長に亘って絞り成形および張出し成形を伴い、全体的に成形抵抗が高められるため、より高い成形精度が得られる。すなわち、例えば図11に示すように直線状態でU曲げ(図11の(b) )、O曲げ(図11の(d) )を行うと、成形抵抗が小さいため、断面J字形状の直線部(上方への立上り部)をO曲げする際に、その直線部がそのまま下方へ押し込まれて下型の成形面に沿って曲げ加工され、反対側の端部が上方へ突き上がり、成形不良を生じる可能性があるのである。
【0045】
また、U曲げ工程で、第2連結部20、22の第2平面部26、28が基準面Sに対して略垂直になるように下側の端部のフランジ20b、22bを略直角に曲げ加工する場合に、板材32には、U曲げ工程で第2連結部20、22の下端部が全体としてU字形状になるように補助板部40、42が設けられているため、簡単なプレス金型で下側の端部のフランジ曲げをアーム部16、18のU曲げと同時に適正に行うことができる。すなわち、図8の(a-1) 、(a-2) に第2連結部20側について示すように、凹形状の成形面を有する下型50および凸形状の成形面を有する上型52によってフランジ20bを曲げ加工する場合、補助板部40の存在で板材32に生じる左右の張力が略等しくなり、フランジ20bが下型50の凹所内に適正に押し込まれて曲げ加工が行われるのに対し、同図の(b-1) 、(b-2) に示すように補助板部40が存在しない板材54を用いた場合、フランジ20bは幅寸法が小さいため、そのフランジ20b部分のみを上型52によって下型50の凹所内に押し込んでも、フランジ20bが下方へ曲げられるだけで、第2平面部26を垂直に立ち上げることは困難であり、仮に立ち上がったとしてもフランジ20bを第2平面部26に対して直角に曲げることは不可能である。
【0046】
次に、本発明の他の実施例を説明する。
図9の車両用サスペンションアーム60は、前記実施例と同じくダブルウィッシュボーン型サスペンション装置のアッパアームとして使用されるもので、所謂A型アームと呼ばれるものであり、(a) は正面図で、(b) 〜(e) はそれぞれ(a) におけるB−B断面図、C−C断面図、D−D断面図、E−E断面図である。この車両用サスペンションアーム60は、全体が1枚の金属製の板材61(図11の(a) 参照)にて構成されているとともに、平坦な第1平面部62を有する第1連結部64と、その第1連結部64から二股形状(本実施例では略V字形状)に分岐するように設けられた一対のアーム部66、68と、その一対のアーム部66、68の先端側にそれぞれ設けられた一対の第2連結部70、72とを備えている。
【0047】
上記第1連結部64の第1平面部62には、バーリング加工によって第1平面部62と垂直に円筒部62aが設けられており、前記ボールジョイント24を介して図示しない車輪のナックルに連結される。第1連結部64の外側および内側には、それぞれ略直角に曲げられたフランジ64a、64bが設けられている。また、一対のアーム部66、68は、板材61が略円筒形状に丸められたもので、一対の第2連結部70、72は、それぞれ二股形状の外側においてアーム部66、68に連続して設けられており、第1連結部64の第1平面部62に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部76、78(第2平面部78は図示せず)を備えている。これ等の第2平面部76、78には、バーリング加工によって両平面部76、78と垂直な共通の一直線上に円筒部76a、78aが内向きに設けられており、前記円筒ブッシュ30が圧入固定されて車体側に連結される。
【0048】
前記一対のアーム部66、68は、全長に亘って共通の平坦な基準面S上に位置する基準部位Lの両側がそれぞれ丸められ、二股形状の内側で突き合わされている。66a、68aは突合せ部で、本実施例では完全に密接するように突き合わされている。一対のアーム部66、68の基準部位Lは、全長に亘って共通の基準面S上に位置するようになっており、第1連結部64の第1平面部62も基準面S上に設けられている。一対のアーム部66、68はまた、全長に亘って径寸法が略一定の円筒形状を成しているとともに、前記基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態、すなわち図9の(a) の状態において、それぞれ第2連結部70、72側が略平行になるように滑らかに曲げられている。上記突合せ部66a、68aには、必要に応じて溶接が施される。
【0049】
第2連結部70、72は、前記基準面Sの上下に略垂直に延び出しており、前記円筒部76a、78aは、その中心が基準面Sに対して垂直な方向において前記回動中心Aと略一致するように設けられている。アーム部76、78も、基準面Sに対して垂直な方向における中心位置が円筒部76a、78aの中心や回動中心Aと略同じ位置である。第2連結部70、72の上下の両端部には、それぞれ略直角に内側へ曲げられたフランジ70a、70b、72a、72b(フランジ72bは図示せず)が設けられている。
【0050】
このような車両用サスペンションアーム60は、例えば図10に示すようにブランキング工程、U曲げ工程、穴明け工程、バーリング工程、延ばし起こし工程、O曲げ工程、アーム曲げ工程、寄せ穴明け工程、寄せバーリング工程によりプレス加工を主体として成形される。ブランキング工程は板材準備工程に相当するもので、図11の(a) に示すように所定形状の平坦な金属製の板材61を帯板などから打ち抜いて用意する。板材61は、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態において、前記アーム部66、68を直線状に延ばした状態で前記第1連結部64、アーム部66、68、および第2連結部70、72を基準面Sと同じ平面に位置するように展開したもので、略二股形状を成しているとともに、アーム部66、68になる部分には、基準部位Lを挟んで二股形状の外側へ拡幅された拡幅部80、82が設けられている。拡幅部80、82の幅寸法、すなわち基準部位Lから外側の幅寸法は略一定である。なお、図11(a) の点線は、第1連結部64付近の機械的強度を高めるために、前記円筒部62aの近傍までアーム部66、68の外側部分を延長し、前記補強部16c、18cと同様な補強部を設ける場合の板材形状である。また、図11の(b) 、(c) 、(d) 、(f) の各図の左側に示されている断面図は、それぞれ一点鎖線部分の断面である。
【0051】
次のU曲げ工程では、図11の(b) に示すように基準面Sに対して垂直な方向(図11の紙面に対して垂直方向)からプレス加工を行うことにより、前記板材61のうちアーム部66、68となる部分を、基準部位Lを中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま基準面Sに対して略垂直に立ち上がる拡幅部80、82と合わせて全体として断面J字形状にする。拡幅部80、82の幅寸法が略一定であることから、上方へ立ち上がる拡幅部80、82の突出寸法、すなわち基準面Sからの高さは略一定である。この曲げ加工は、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態において、前記アーム部66、68を直線状に延ばした直線形状に沿って行われる。
【0052】
上記U曲げ工程ではまた、アーム部66、68の曲げ加工と同時に、第1連結部64のフランジ64a、64bを曲げ加工するとともに、第2連結部70、72となる部分の内側部分を略U字形状に曲げ加工する。このU字形状は円弧形状でなく、特に曲げ加工の先端側部分はフランジ70b、72bになる部分が略直角に曲げられる。
【0053】
次の穴明け工程およびバーリング工程は、第1連結部64の第1平面部62に円筒部62aを成形するためのもので、何れも基準面Sに対して垂直な方向からプレス加工を行うことにより、円穴を形成するとともにバーリング加工を行って円筒部62aを成形する。これにより、第1連結部64の成形が終了する。また、延ばし起こし工程では、第2連結部70、72となる部分の下端部で、前記U曲げ工程でU字形状に曲げられた部分を、先端側の折れ曲がりを除いて真っ直ぐに延ばし起こすことにより、下端に略直角に曲げられたフランジ70b、72bを備えた第2平面部76、78を成形する。図11の(c) は、これ等の穴明け工程、バーリング工程、および延ばし起こし工程が行われた状態である。
【0054】
O曲げ工程では、基準面Sに対して垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記U曲げ工程でアーム部66、68となる部分に形成された断面J字形状のうち上方へ突き出す直線部、すなわち拡幅部80、82を内側へ丸めて、全体として略円筒形状のアーム部66、68を成形すると同時に、寄せ型により第2平面部76、78の上端を略直角に内側へ曲げてフランジ70a、72aを成形する。このO曲げ工程は、前記U曲げ工程と同様に、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視の状態において、アーム部66、68を直線状に延ばした直線形状に沿って行われるため、板材61の成形抵抗が小さく、上方へ突き出す拡幅部80、82の上端に上型が当接した時に、その拡幅部80、82が上型に沿って変形する代わりにそのまま下方へ押圧され、下型の成形面に沿って曲げ加工されて、反対側の端部が上方へ突き上がる可能性がある。このため、必要に応じて反対側(二股形状の内側)の端部の突き上がりをストッパなどで阻止することになる。
【0055】
アーム曲げ工程では、上記O曲げ工程で円筒形状に丸められた平面視の形状が直線形状のアーム部66、68を、図11の(e) に示すように第2連結部70、72側が略平行になるように曲げ加工を行う。これにより、目的形状のアーム部66、68が成形される。また、続く寄せ穴明け工程、寄せバーリング工程では、それぞれ基準面Sに対して垂直な方向からプレス加工を行うことにより、寄せ型を用いて第2連結部70、72の第2平面部76、78に円穴を形成するとともに、バーリング加工を行って前記円筒部76a、78aを成形する。図11の(f) は、バーリング加工によって円筒部76a、78aが成形された状態で、これにより車両用サスペンションアーム60の製造が完了する。
【0056】
本実施例においても、全体が1枚の金属製の板材61にて構成されているとともに、一対のアーム部66、68はその板材61が略円筒形状に丸められたもので、一対の第2連結部70、72は、それぞれ二股形状の外側においてアーム部70、72に連続して設けられ、第1連結部64の第1平面部62に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部76、78を備えており、その第2平面部76、78を介して車体側に連結されるようになっているため、図10、図11に示すようにプレス加工を主体として簡単且つ安価に製造できる。また、一対のアーム部66、68は略円筒形状に丸められているため、断面コの字形やC字形のアームに比較して高い剛性が得られ、装置を軽量且つコンパクトに構成できる。
【0057】
また、一対のアーム部66、68は、二股形状の内側で突き合わされており、その反対側の部分に連続して基準面Sの上下に延び出す第2連結部70、72が設けられるため、板材61の状態でアーム部66、68と第2連結部70、72との間にくびれなどの小幅部を設ける必要が無く、両者間での機械的強度の低下を回避できる。
【0058】
また、第2連結部70、72は基準面Sから上下に延び出しているため、基準面Sに対して垂直方向において、その第2連結部70、72と車体側との連結位置すなわち円筒ブッシュ30の中心点Bと、ボールジョイント24の回動中心Aとを略一致させることができるだけでなく、それ等の中心点Bや回動中心Aとアーム部66、68の中心線とのオフセット寸法(基準面Sに対して垂直方向のずれ)を小さくできるため、機械的強度の点で好ましい。
【0059】
また、所定形状の平坦な金属製の板材61を用意し、基準面Sに対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、その板材61のうちアーム部66、68となる部分を基準部位Lを中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま基準面Sに対して略垂直に立ち上がる拡幅部80、82と合わせて全体として断面J字形状にした後、同じく基準面Sに対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、J字形状のうち上方へ突き出す直線部(拡幅部80、82)を丸めて全体として略円筒形状にするため、板材61の突合せ部66a、68aが二股形状の内側に位置するアーム部66、68を良好にプレス加工によって成形できる。
【0060】
次に、上記車両用サスペンションアーム60の変形例を説明する。なお、図13のようなアーム部の構成は図1の実施例にも適用できる。
【0061】
図12は、目的形状と同じ形状、すなわちアーム部66、68の折れ曲がり形状のまま展開した形状の板材84を用意し、その折れ曲がり形状に沿ってU曲げ加工、O曲げ加工を行う場合で、前記アーム曲げ工程が不要になるばかりでなく、それ等の曲げ加工では絞り成形や張出し成形を伴い、比較的大きな成形抵抗が生じるため、O曲げ工程でJ字形状の直線部(拡幅部80、82)の上端に上型が当接して曲げ加工を行う際に、その直線部がそのまま下方へ押し込まれて下型の成形面に沿って曲げ加工され、反対側の端部が上方へ突き上がるといった成形不良が抑制される。
【0062】
図13の車両用サスペンションアーム86は、一対のアーム部66、68の突合せ部66a、68aを二股形状の外側にした場合で、第2連結部70、72は、アーム部66、68に対して二股形状の内側に連続して設けられているとともに、フランジ70a、70b、72a、72bおよび円筒部76a、78aは、何れも二股形状の外側へ向かって形成されている。この場合の板材88は、略二股形状を成しているとともに、アーム部66、68になる部分には、基準部位Lを挟んで二股形状の内側へ拡幅された拡幅部90、92が設けられている。なお、図13の(a) は板材88を示す平面図で、(b) は車両用サスペンションアーム86の正面図、(c) は(b) の右側面図である。
【0063】
図14の車両用サスペンションアーム94は比較例で、一対のアーム部66、68の突合せ部66a、68aが、基準面Sに対して垂直方向から見た平面視(図14の(b) の状態)においてアーム部66、68の中心部分に位置するように、基準部位Lと反対側で板材96を突き合わせた場合で、第2連結部70、72は車両用サスペンションアーム60と同様に、アーム部66、68に対して二股形状の外側に連続して設けられている。板材96は、略二股形状を成しているとともに、アーム部66、68になる部分は基準部位Lを挟んで両側に略等しい寸法を有する一方、第2連結部70、72になる部分は基準部位Lから二股形状の外側へずれて設けられている。なお、図14の(a) は板材96を示す平面図で、(b) は車両用サスペンションアーム94の正面図、(c) は(b) の右側面図である。板材96のうち第2連結部70、72になる部分を基準部位Lから二股形状の内側へずらして設けることにより、車両用サスペンションアーム86と同様に第2連結部70、72を二股形状の内側に連続して設けることも可能である。また、(a) 、(b) の点線は、第1実施例の車両用サスペンションアーム10の補強部16c、18cや半円弧形状のフランジ14bと同様な構成部分を設けた場合である。
【0064】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である車両用サスペンションアームの構成を説明する図である。
【図2】図1の車両用サスペンションアームと車輪側、車体側との連結状態を説明する図で、(a) は第1連結部に車輪側のボールジョイントが連結された状態、(b) は第2連結部に車体側の円筒ブッシュが圧入固定された状態である。
【図3】図1の車両用サスペンションアームの製造工程を示す図である。
【図4】図3のブランキング工程で切り出される板材を示す図である。
【図5】図4の板材にU曲げ加工が施された状態を示す図である。
【図6】図5の状態の板材にO曲げ加工が施された状態を示す図である。
【図7】図6の状態の板材にトリミングが施された状態を示す図である。
【図8】図5のU曲げ工程で第2連結部のフランジ曲げが行われる部分の断面図で、(a-1) 、(a-2) は補助板部を備えている場合であり、(b-1) 、(b-2) は補助板部を備えていない場合である。
【図9】本発明の別の実施例の構成を説明する図である。
【図10】図9の実施例の製造工程を示す図である。
【図11】製造過程の形状を示す図で、(a) はブランキング工程後、(b) はU曲げ工程後、(c) はバーリング工程後、(d) はO曲げ工程後、(e) はアーム曲げ工程後、(f) は寄せバーリング工程後の形状である。
【図12】図9の実施例の変形例で、折れ曲がっているアーム部をそのままの形状でU曲げ、O曲げする場合の板材形状を示す図である。
【図13】図9の実施例の変形例で、アーム部の突合せ部を二股形状の外側にした場合である。
【図14】 アーム部の突合せ部を平面視におけるアーム部の中心部分にした比較例を示す図である。
【図15】従来の車両用サスペンションアームの2つの例を示す図である。
【符号の説明】
10、60、86:車両用サスペンションアーム
12、62:第1平面部
14、64:第1連結部
16、18、66、68:アーム部
20、22、70、72:第2連結部
26、28、76、78:第2平面部
32、61、84、88:板材
40、42:補助板部
S:基準面
L:基準部位
Claims (6)
- 平坦な第1平面部を有して車輪側に連結される第1連結部と、
該第1連結部から二股形状に分岐するように設けられた一対のアーム部と、
該一対のアーム部の先端側にそれぞれ設けられて車体側に連結される一対の第2連結部と
を有する車両用サスペンションアームであって、
全体が1枚の金属製の板材にて構成されているとともに、
前記一対のアーム部は、それぞれ前記二股形状の内側または外側で突き合わされるように前記板材が略円筒形状に丸められたものであり、
前記一対の第2連結部は、それぞれ前記二股形状の内側および外側のうち前記アーム部において前記板材が突き合わされる側と反対側の部分に連続して設けられ、前記第1平面部に対して略垂直で且つ互いに平行な平坦な第2平面部を備えている
ことを特徴とする車両用サスペンションアーム。 - 前記一対のアーム部は、前記板材を略円筒形状に丸め加工する際のU曲げの中心部分である基準部位(L)が、前記第1平面部と同一か該第1平面部に対して所定角度で折れ曲がっている共通の略平坦な基準面(S)上に全長に亘って位置しており、
前記第2連結部の第2平面部は、前記基準面(S)の上下に延び出している
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用サスペンションアーム。 - 前記一対のアーム部は、それぞれ前記第2連結部側から前記第1連結部側へ向かうに従って全周寸法が増大している一方、
該アーム部における前記板材の突合せ部は、該板材を前記基準面(S)に対して略垂直な方向からプレスによりJ字形にU曲げした後O曲げして丸める場合に、該O曲げによる丸め寸法が略等しくなるように前記第1連結部側へ向かうに従って後退している
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用サスペンションアーム。 - 請求項2または3に記載の車両用サスペンションアームの製造方法であって、
前記第1連結部、前記アーム部および前記第2連結部を展開した形状で、略二股形状を成しているとともに、該アーム部になる部分では前記基準部位(L)を挟んで該二股形状の内側および外側のうち前記突合せ部と反対側が拡幅されている平坦な金属製の板材を用意する板材準備工程と、
前記基準面(S)に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記板材のうち前記アーム部となる部分を、前記基準部位(L)を中心にしてU字形状に曲成し、平面状態のまま前記基準面(S)に対して略垂直に立ち上がる前記拡幅部分と合わせて全体として断面J字形状にするU曲げ工程と、
前記基準面(S)に対して略垂直な方向からプレス加工を行うことにより、前記J字形状のうち上方へ突き出す直線部を丸めて、全体として略円筒形状にするO曲げ工程と
を有することを特徴とする車両用サスペンションアームの製造方法。 - 前記一対のアーム部は、前記基準面(S)に対して垂直方向から見た平面視の状態において曲がっており、
前記U曲げ工程および前記O曲げ工程では、その曲がり形状に沿って曲げ加工を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用サスペンションアームの製造方法。 - 前記第2連結部は、前記基準面(S)の上下に延び出している両方の端部に略直角に折れ曲がったフランジを有するもので、
前記U曲げ工程は、前記アーム部の曲げ加工と同時に、前記第2連結部が前記基準面(S)に対して略垂直になるように下側の端部のフランジを略直角に曲げ加工するもので、
前記板材には、前記U曲げ工程で前記第2連結部の下端部が全体としてU字形状になるように、前記フランジになる部分に連続して補助板部が設けられており、該補助板部は該U曲げ工程の後に切除される
ことを特徴とする請求項4または5に記載の車両用サスペンションアームの製造方法。
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