JP3642063B2 - テルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法 - Google Patents

テルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、少なくともTbとAlとを含むテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法であり、例えば光通信用及び光記録用光アイソレータ、光サーキュレータ等に用いられるテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法である。
近年、情報通信量の増大に伴って従来の金属通信線を用いた通信手段では速度不足及び容量不足になってきており、高速及び大容量の情報通信技術として光通信技術が注目されている。現在の主流の光通信技術として、赤外線領域(波長が1300〜1600nm)における石英ファイバーの極低損失伝送特性を利用しており、高密度波長多重技術(DWDM)との組み合わせることによる高速大容量通信技術が盛んに研究開発されている。
このような背景から光通信技術をハードウェアの面からサポートする光部品の特性の向上及び低コスト化が重要になってきている。その中で、光と磁気との相互作用に基づいた磁気光学デバイスも重要になってきている。磁気光学デバイスの材料特性として、特に(1)大きなファラデー効果を有すること、及び(2)高い光透過率を有することが求められている。
上記の条件を満たす磁性体材料として、TbとAlとを含むテルビウム・アルミニウム常磁性ガーネット(Tb3Al512:以下、TAGと略す)の単結晶が挙げられる。このTAG単結晶は、常磁性体の単位長さ・単位磁界あたりのファラデー回転角の大きさを示すヴェルデ定数(deg/(Oe・cm))が他の常磁性材料に比べて非常に大きい。これにより、単結晶のサイズを小さくしても十分なファラデー回転角が得られるため、磁気光学デバイスの小型化を図ることができる。また、磁界を与えるための磁石を小さくすることができるため、磁気光学デバイスそのものの小型化だけではなく、他の電子部品への磁界の影響を最小限に防ぐことができ、磁気光学デバイスの機能の安定化をもたらす。また、TAG単結晶は光の波長が500nm〜1400nmと広い範囲おいて十分に高い光透過率が得られており、特に光の波長が400nm〜700nmである可視光領域においても、高い光透過率が得られることが明らかになっている。このような優れた特性を有するTAG単結晶を磁気光学デバイスにおいて積極的に活用することが考えられている。
しかしながら、このような優れた特性を示すTAG単結晶は分解溶融型化合物であり、出発原料を溶融した時の溶融組成と、溶融物を冷却して得られる結晶組成が異なるという問題があった。具体的に述べると、従来は、非特許文献1で示されるマイクロ引き下げ法(μ−PD法)、及び非特許文献2で示されるチョクラルスキー法(Czocklarski;Cz)等が用いられていた。より具体的には、マイクロ引き下げ法では、Ptからなる坩堝の底部に開口部を設け、坩堝の開口部に坩堝の外側から種結晶を設置する。別途坩堝に入れられた多結晶体を加熱溶融させて種結晶と多結晶体とを接合させ、種結晶を外側から引き下げることにより単結晶を育成していた。また、チョクラルスキー法の場合、出発原料であるTb47及びAl23の仮焼混合粉末をIr製坩堝中に充填し、高周波誘導加熱により溶融する。この溶融液に種結晶を接触させ十分になじませた後、種結晶を一定速度で回転させながら引き上げることによりTAG単結晶を育成していた。しかし、このような直接溶融凝固法を用いた場合、分解溶融型であるTAG単結晶は、出発原料を溶融した溶融組成から、直接ガーネット相であるTAG単結晶を得られず、TAG単結晶のほかにペロブスカイト相のTbAlO3が混在してしまうという問題を有していた。上記の問題から、非特許文献3で示されるフラックス法を用いて形成されることも試みられた。具体的には、フラックス法の場合、PbF2等の溶媒に、出発原料となるTb47及びAl23を溶質として溶かし込んだ溶液を準備し、この溶液に種結晶を入れて徐冷することによりバルク型のTAG単結晶を得ていた。しかしながら、これらの製造方法を用いると、TAG単結晶を作製するのに数日から数週間を要するうえ、長さがせいぜい1〜2mmの小型なものしか得られておらず、実用的な大きさのTAG単結晶が得られていなかった。
V.I.Chani et.al.,J.Cryst.Growth,212(2000)469. S.Ganschow et.al.,Cryst.Res.Technol.,34(1999)615. C.B.Rubinstein et.al.,J.Appl.Phys.,35(1964)3069.
上記のような理由から、TAG単結晶が得られない、もしくは得られたとしても小型であるため、優れた特性を有するTAG単結晶を磁気光学デバイスの材料として実用化するに至らなかった。
本発明の目的は、上述の問題点を解決するべくなされたもので、ファラデー効果が大きく、可視光域においても光透過率の高いという特性を有するTAG単結晶を容易に作製することができ、磁気光学デバイスの材料として用いることができる、テルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願第1の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、原料棒と種結晶とを用意する第1工程と、光エネルギーを照射することによって前記原料棒と前記種結晶とを溶融接合する第2工程と、光エネルギーの照射領域を溶融接合部分から原料棒側へ移動させる第3工程とを有し、前記原料棒が少なくともTbとAlとを含む常磁性ガーネット構造からなり、前記原料棒及び前記種結晶の密度が55%以上であり、前記原料棒及び前記種結晶の少なくとも一方の密度が85%以下であることを特徴とする。
このような製造方法を用いることによって、生成したTbAlO3を融帯から除外し、TAG単結晶を容易に生成することができるため、従来の製造方法では得られなかった大きさのTAG単結晶を容易に作製することが可能となる。これにより、TAG単結晶から切り出されるチップの数を増やすことができ、磁気光学デバイスの材料として積極的に用いることができる。従来の製造方法では分解溶融型のTb3Al512は融帯と固体との固液界面において、まずTbAlO3が最初に生成され、その後にTb3Al512が生成されていたため、TbAlO3とTb3Al512とが混在した状態にならざるを得なかった。しかしながら、本発明者らは、従来のFZ法であれば緻密な密度が求められる原料棒及び種結晶のうち少なくとも一方を、敢えて多孔質にし、原料棒と種結晶とに光エネルギーを与えながら溶融接合させて融帯を形成した際、融液が多孔質媒体中に浸透し、初相であるTbAlO3が多孔質媒体中に優先的に析出することを見出した。このようにして、多孔質媒体中に初相のTbAlO3を析出させ、融帯からTbAlO3を除外して、より大きなTb3Al512単相を得ることが可能とした。
また、原料棒及び種結晶を上記のような範囲の密度にすることによって、単結晶中にTbAlO3が析出するのを防ぎ、Tb3Al512単結晶を安定して生成することができる。なお、ここでの密度は出発原料組成の理論密度に対する相対密度を示す。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、前記種結晶は、密度が55%以上85%以下であり、前記原料棒の密度が55%以上100%以下であることが好ましい。
原料棒及び種結晶を上記のような範囲の密度にすることによって、単結晶中にTbAlO3が析出するのを防ぎ、Tb3Al512単結晶を安定して生成することができる。さらに、直径3mm以上のより大きなTb3Al512単結晶を安定的に生成できる。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、前記種結晶として、Tb3Al512単結晶、Tb3Al512多結晶、及びY3Al512のいずれかを用いることが好ましい。
本願第1〜第の発明において本願第の発明の種結晶を用いることによって、少なくともTbとAlとを含む原料棒と溶融接合されやすく、単結晶中へのTbAlO3の析出を防ぎながら従来得られない大きさのTAG系単結晶を得るのに好適である。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、前記原料棒として、Tb3Al512、もしくは(RTb)3Al512(但し、Rが希土類元素うち少なくとも一種)を用いることが好ましい。
このようにテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の基本組成のうち、TbをDy、Ho、Er、Tm等の希土類元素で置換したとしても、TAG単結晶中にTbAlO3が析出するのを防ぎ、従来得られない大きさのTAG系単結晶を得ることができる本願第1〜第3の発明を用いることが有用である。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法においては、前記第2工程において、前記原料棒と前記種結晶とをCO2ガスレーザー光を照射して溶融接合させることが好ましい。
このような製造方法を用いることによって、レーザー光を原料棒が効率よく吸収することができ、種結晶と原料棒との接合部分を容易に加熱溶融することができる。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、前記第2工程において、レーザー光を集光させて前記原料棒と前記種結晶との溶融接合させることが好ましい。
このような製造方法を用いることによって、種結晶と原料棒とに集中的にレーザー光が照射されるため、より急峻で大きな光エネルギーを照射することができる。
以上述べたように、本願第1の発明によるテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法を用いることによって、TAG単結晶を容易に得ることができ、TAG系単結晶を磁気光学デバイスの材料として好適に用いることができる。また、原料棒及び種結晶を上記のような範囲の密度にすることによって、単結晶中にTbAlO 3 が析出するのを防ぎ、Tb 3 Al 5 12 単結晶を安定して育成することができる。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法を用いることによって、原料棒及び種結晶を上記のような範囲の密度にすることによって、単結晶中にTbAlO3が析出するのを防ぎ、Tb3Al512単結晶を安定して育成することができる。さらに、直径3mm以上のより大きなTb3Al512単結晶を安定的に生成できる。
また、本願第の発明の種結晶を用いることによって、少なくともTbとAlとを含む常磁性ガーネット多結晶と溶融接合されやすく、単結晶中へのTbAlO3の析出を防ぎ、従来得られない大きさのTAG系単結晶を得るのに好適である。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法は、TbをDy、Ho、Er、Tm等の希土類元素で置換したとしても、大きくてかつ品質の良いTAG系単結晶を得ることができ、有用である。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法を用いることによって、レーザー光を原料棒と種結晶との接合部における溶融帯が効率よく吸収することができ、容易に溶融することができる。これにより、種結晶と原料棒との接合部分における融帯と固体との固液界面に大きな光エネルギーを与えることが可能となる。
また、本願第の発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法を用いることによって、種結晶と原料棒との接合部の一部分に集中的にレーザー光が照射されるため、より大きな光エネルギーを与えることが可能となる。
以下に、本発明の実施の好ましい実施形態を説明する。◆
本願発明では、原料棒及び種結晶のうち少なくとも一方が多孔質であることを特徴とする。上記のような原料棒及び種結晶を用いることによって、初相であるTbAlO3を多孔質媒体中に優先的に析出させ、融帯からTbAlO3を除外し、Tb3Al512単相を得ることができる。
特に、原料棒及び種結晶の密度が55%以上であり、原料棒及び前記種結晶の少なくとも一方の密度が85%以下である。従来、FZ法で、例えばYIG単結晶を育成する場合、焼結密度の高い原料棒及び種結晶が好ましいことが知られている。これは、焼結密度が低いと結晶成長時に融帯を安定して保持することが困難であるからである。一方、本発明のTAG単結晶の育成時には、敢えて上記のような、焼結密度の低い原料棒及び種結晶を用いているが、TAGの融液は、融帯保持に適した表面張力、及び粘性を有していると推測されるため、原料棒及び種結晶の密度が55%以上85%以下であっても単結晶を安定保持することができる。ただし、原料棒及び種結晶の密度が55%よりも小さい場合、融液が多孔質媒体中に過剰に浸透してしまう。このため、原料棒の密度が55%よりも小さい場合、融帯部が極端に細くなり、細い単結晶しか得られなかったり、接合部分が切れるという問題が生じる。また、種結晶の密度が55%よりも小さい場合であると単結晶を十分に安定保持できなくなるという問題がある。

以下にその作用について説明する。Tb3Al512は分解溶融型化合物であるために、結晶を融解すると、まず初相であるTbAlO3と液相とに分解溶融する。原料棒と種結晶とを光エネルギーによって加熱溶融すると、種結晶及び原料棒の空孔に融液が浸透する。このとき、TbAlO3が優先的に多孔質媒体中に析出し、融帯と原料棒との境界のうち原料棒側にTbAlO3が位置する形となることが分かった。一方、単結晶は種結晶上に成長していく。このとき単結晶の密度は100%であるため、結晶成長時の融液の浸透は原料棒側にのみ起きるようになる。なお、結晶成長時は、光エネルギーの照射領域を原料棒側へ移動させて行く際に、TbAlO3は常に融帯と原料棒との境界のうち原料棒側に位置するように融帯と共に移動していくため、融帯中に留まっていることはない。
さらに好ましくは前記種結晶の密度が55%以上85%以下であり、前記原料棒の密度が55%以上100%以下であることが好ましい。特に、原料棒と比較して種結晶の密度を小さくしておく方が好ましい。すなわち、単結晶と種結晶との加熱溶融後に、種結晶側に主に融液を浸透させ、初相のTbAlO3を種結晶側に析出させておく。このようにすると、一旦、種結晶上に単結晶が形成されれば、さらに融帯から種結晶側にTbAlO3が浸透することはなく、かつ結晶成長時には原料棒と融帯との界面に存在するTbAlO3を極力少なくすることができる。これにより、確実に単結晶中へのTbAlO3の析出を防ぐことができる。その結果、直径3mm以上と径の大きいTAG単結晶も育成することができる。
なお、上記のような多孔質な原料棒及び種結晶の製造方法としては、例えば出発原料と有機バインダと溶剤とを混合して、スラリー状の混合物を得た後、これらを焼結させるという方法を用いることができる。ここで、TAG多結晶体は1500〜1600℃の焼成温度により焼結されるが、密度の低いTAG多結晶は、これより低い焼成温度で焼成することにより得られる。本発明におけるTAG多結晶体の密度は、約1400℃〜1600℃の焼成温度で焼成することにより調整している。そのほかにも、上記有機バインダの添加量を変えたり、焼成時間を調整することによって得ることができる。また、ここで用いられる原料棒を円柱状に成形したが、後に説明する種結晶と溶融接合しやすい形状であればどのような形状でもよく、例えば棒状、薄板状等の形状でも用いることができる。
本発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造に好適な単結晶製造装置を用いて説明する。図1は本願発明の一実施の形態である、レーザーFZ装置(Floating Zone)の概略斜視図である。このレーザーFZ装置1は、レーザーを発振するレーザー装置5と、放熱板を兼ね雰囲気調整可能なボックス3と、ボックス3内を上下移動可能なシャフト2とからなる。シャフト2は、上シャフト2a及び下シャフト2bに分離可能な棒状の支持具であり、ボックス3の上面から下面までを貫き、上下運動可能なように形成されている。この上シャフト2aと下シャフト2bとのそれぞれに支持物を保持することができる。また、シャフト2aに支持される支持物と、シャフト2bに支持される支持物との接合部に集中的にレーザー光を照射できるように、ボックス3の両側面には窓部レンズ4aが嵌め込まれた窓部4が設けられている。また、レーザー装置5はボックス3の両窓部4からレーザー光が照射できるようにボックス3の両側部に設けられている。ボックス3の両側部に位置するレーザー装置5からレーザー光を発射されることにより、ボックス3の窓部4に嵌合された窓部レンズ4aを介し、シャフト2に支持される支持物に対して両方向からレーザー光が集中放射されることになる。
このように、シャフト2を軸方向に移動可能な構成にすることによって、シャフトに支持された支持物に照射されるレーザー光の照射領域をずらすことができる。このような構成によって、原料棒と種結晶との溶融接合及び得られた融帯の冷却を連続的に行うことができるため好ましい。具体的に説明すると、上シャフト2aに原料棒、下シャフト2bに種結晶を保持してレーザー光を原料棒の一端に照射して溶融させる。この溶融部分に光エネルギーを照射しながら下シャフト2bに保持された種結晶の一端を当接させることによって、原料棒と種結晶とが溶融接合し融帯が形成される。ここで、シャフト2を下方へ軸方向に移動させることによって、光エネルギーの照射領域を原料棒と種結晶との溶融接合部分から原料棒側へ移動させることができる。これにより、原料棒と種結晶との溶融接合部分から原料棒側へさらに融帯が形成され、続けてシャフト2を下方へ軸方向に移動させることによって、種結晶側の融液から徐々に冷却され固化される。なお、上シャフト2aの原料棒と下シャフト2bに保持されている種結晶とを当接しておいてから、当接部分を溶融させて溶融接合してもよい。
シャフトの移動速度は、原料として用いたTAG多結晶の直径にもよるが、30mm/時間以下が好ましい。融帯の軸方向への移動速度が30mm/時間よりも大きい場合、結晶を十分に融解できず融帯を単結晶化することが困難である。なお、ここではレーザー光の照射位置を固定し、シャフト2を軸方向に移動可能な構成にしたが、レーザー光を移動可能な構成にしてもよい。
ここで用いられるレーザー装置5としては波長が1.6μm以上であることが好ましい。TAG単結晶は1.6μm未満の波長に対して光透過率が高いため、1.6μm未満波長を有するレーザー光では、レーザー光が十分に吸収されず、原料棒の溶融が不十分となる恐れがある。波長が1.6μm以上のレーザー装置としては、特に、CO2ガスレーザーが好ましい。CO2ガスレーザー装置の場合、照射されるレーザー光の波長が長いため、広範囲の透明波長帯を有するTAG多結晶体であっても効率よくレーザー光を吸収することができ、TAG多結晶体を溶融接合しやすい。その他に、エキシマレーザー装置等を用いてもよい。
また、ここではレーザー装置5をボックス3の両側部に2つ設置しており、レーザー光はシャフト2に対して両側面から照射されているが、レーザー装置5の設置位置はこれに限るものではない。すなわち、レーザー光がTAG多結晶体と種結晶との接合部に集中的に光エネルギーを照射されればよく、レーザー装置を3つ以上設けて上記接合部に対して法線上の位置から照射することも可能である。このようにレーザー光の発振源を複数個用意することで、より急峻な温度勾配を与えるとともに、照射面積を大きくすることも可能となるため、より大きいサイズのTAG単結晶を得ることが可能となる。
また、ここではレーザー装置5から常磁性ガーネット単結晶体7と種結晶8とが保持されているシャフト2までの距離を調節することによって、レーザー光の光の強度を調節することが可能である。これらのレーザー光の調節は、得られる結晶体のサイズ、ボックス3の大きさ、及びレンズ4の焦点距離等によって適宜調節することができる。
また、本発明ではレーザー光をより集中的にTAG多結晶の端部に照射させるために、別途集光レンズ体6を用いることが好ましい。具体的にはボックス3の窓部と、レーザー装置5のレーザー発振口5aの延長線上であり、レーザー光がボックス3の窓部4を介して上シャフト2aに支持される支持物の端部に集中するような位置に集光レンズ6aを有する集光レンズ体6を設置する。なお、集光レンズ6aはボックス3の窓部4の窓部レンズ4aと必ずしも同じレンズを用いる必要はなく、CO2ガスレーザーを用いる場合、集光レンズ6aはZnSe製であることが好ましい。また、レーザー光を集光できる手段であれば集光レンズ以外のものも用いることができる。
なお、ここでの支持物としては原料棒と種結晶が用いられるが、シャフト2aに原料棒を保持しシャフト2bに種結晶を保持してもよいし、シャフト2aに種結晶を保持しシャフト2bに原料棒を保持してもよい。また、シャフト2aに保持された支持物とシャフト2bに保持された支持物との接合部の広範囲にレーザー光を照射できるように、シャフト2a及び2bを同速度及び同方向に回転させてもよい。
なお、本発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法によって得られたTAG系単結晶は、磁気光学デバイス、具体的には光アイソレータ、光アッテネータ、光スイッチ、光サーキュレータ等に用いることが可能となる。また、回転センサ、流速センサ、及び電流センサ等の種々の光磁気センサ材料に用いることができる。
実験例1
以下、本願発明のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法の好ましい一実施形態をより具体的に説明する。
1.第1工程
まず、原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)及びAl23(純度99.99%)を用意しTb3Al512となるように秤量した。次に調合した出発原料の混合粉末に純水を加えて玉石とともに約24時間混合し、混合された混合粉末をアスピレータで脱水した後に乾燥機で乾燥させた。乾燥された混合粉末をメッシュに通して混合粉末の粒度を調整し、電気炉を用いて1200℃で2時間の仮焼を行った。この仮焼後得られた混合粉末を粉砕した後、有機バインダ及び溶剤を加えて玉石とともに数時間混合した後、スラリー状の混合物を得た。この混合物を成形器で円柱状に成形した後、再度電気炉において1600℃2時間で焼成し、円柱状のTAG多結晶体を得た。なお、ここでのTAG多結晶体は密度が80%であった。
2.第2工程
次に、得られた円柱状のTAG多結晶体を、上述のような図1のレーザーFZ装置1を用いて、第1工程により得られたTAG多結晶体7を直径1mmの円柱状に成型し、レーザーFZ装置の上シャフト2aの一端に保持されるように配置し、下シャフト2bの一端にTAG単結晶からなる種結晶8を配置する。次に、ボックス3内の雰囲気を大気中雰囲気とし、レーザー装置5によりレーザー光を照射し、上シャフト2aの一端に配置されたTAG多結晶体7の端部を1900℃程度に加熱し溶融させ、溶融させた部分に下シャフト2bに配置された種結晶8の端部を接合させる。続けてTAG多結晶体7と種結晶8との溶融接合部にレーザー光を照射することによって融帯を形成する。なお、ここではレーザー装置5から常磁性ガーネット単結晶体7と種結晶8とが保持されているシャフト2までの距離は、約50cmとしている。また、ここで用いたレーザー装置5は、具体的には波長が10.6μmのCO2ガスレーザー光を出射可能なCO2ガスレーザー装置を用いており、その出力を60Wとしている。
3.第3工程
続いて、シャフト2を軸方向に30mm/時間以下の速度で下方へ移動させる。これにより、レーザー光の照射領域は溶融接合部の原料棒側へ移動していき、融帯のうち種結晶側の融液は冷却され、固化された。このようにして得られた結晶体を実施例1とする。
上記のようにして得られた結晶体が所望のTAG単結晶体かどうか以下の方法を用いて評価した。(1)種結晶として用いたTb3Al512単結晶体と、得られた結晶体との接合部近傍の縦断面写真撮影した。種結晶を領域1、得られた結晶体を領域2として、それぞれの写真を図2に示す。(2)また、(1)における領域1及び領域2について、それぞれの結晶体の表面に電子線を照射することによって、結晶体に含まれる元素固有の特性X線を検出するWDX法(波長分散型X線分光法)を用い、Tb組成に対するAl組成の位置依存性を線分析によって測定した。これを図3に示す。(3)また、種結晶として用いたTb3Al512単結晶体及び得られた結晶体のそれぞれについて反射型X線ラウエ写真を撮影した。これを図4に示す。(4)また、得られた結晶体にX線を照射することによって得られる回折ピークを測定するX線回折装置を用いて物質同定を行った結果を、図5に示す。
図2を見てわかるように、種結晶を示す領域1と得られた結晶体を示す領域2との接合部分近傍にはガーネット相以外の相が析出していないことがわかる。また、図3を見てわかるように、Tb組成に対するAl組成の位置依存性についても、得られた結晶体のどの位置でもAl/Tbが1.67と一定になっていることがわかる。これにより、領域1及び領域2のTbとAlとの組成比がどの位置でも同一であることがわかる。さらに、図4(1)に示される種結晶として用いたTb3Al512単結晶と、図4(2)に示される得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。さらに、図5(2)はガーネット相のX線ピーク値を示すJCPDSカードであるが、図5(1)の得られた結晶体のX線ピーク値は図5(2)のガーネット相のX線ピーク値と一致しており、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。このことから得られた結晶体はTAGの単相であることがわかる。上記の結果から、得られた結晶体は、Tb3Al512で示されるTAG単結晶体であることが明らかになった。
また得られたTAG単結晶体の形状を測定したところ、直径が1mm、長さが27mmのファイバー状のTAG単結晶が得られていることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)及びAl23(純度99.99%)を秤量し、実施例1と同様の方法にてTAG多結晶体を得た。なお、このときのTAG多結晶体の密度は80%であった。次に第2工程において、得られたTAG多結晶体7をレーザーFZ装置1の上シャフト2aの一端に保持し、さらにこの得られたTAG多結晶体7を種結晶として下シャフト2bの一端に配置した以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体がTAG単結晶体かどうか以下の方法を用いて評価した。(5)得られたファイバー状の結晶体を短手方向に切断してチップ状にした。これをHR−XRD装置(Philips製 X'pert)にセットしTAG単結晶の<111>方位へ100の反射が現れるように回折角を固定して、極点図(Pole−Figure)を測定した。その結果を図6に示す。
図6において、矢印はφ座標を示し、同心円の中心がφ=0であり、最外円がφ=90°を示している。得られた結晶体には、互いにφ=69°の角度をなす4つの100の反射が確認され、それ以外の100の反射は現れなかった。
また、実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影したところ、Tb3Al512単結晶と、得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はTb3Al512の単相であることがわかる。このことから得られた結晶体はTAG単結晶であることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)及びAl23(純度99.99%)を秤量し、実施例1と同様の方法にてTAG多結晶体を得た。なお、このときのTAG多結晶体の密度は80%であった。そして種結晶としてY3Al512単結晶を用いた以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体とTAG単結晶について実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影し比較したところ、得られた結晶体とTAG単結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のピークが検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はTAG単結晶であることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)、Al23(純度99.99%)、及びDy23(純度99.9%)とをDyTb2Al512を秤量し、実施例1と同様の方法にてDyTb2Al512多結晶体を得た。なお、このときのDyTb2Al512多結晶体の密度は80%であった。このときのそして、種結晶としてDyTb2Al512単結晶を用いた以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体について、実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影したところ、種結晶として用いたDyTb2Al512単結晶と、得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はDyTb2Al512単結晶の単相であることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)、Al23(純度99.99%)、及びHo23(純度99.9%)とをHo0.5Tb2.5Al512を秤量し、実施例1と同様の方法にてHo0.5Tb2.5Al512多結晶体を得た。なお、このとき得られたHo0.5Tb2.5Al512多結晶体の密度は80%であった。そして、種結晶としてHo0.5Tb2.5Al512単結晶を用いた以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体について、実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影したところ、種結晶として用いたHo0.5Tb2.5Al512単結晶と、得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はHo0.5Tb2.5Al512単結晶の単相であることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)、Al23(純度99.99%)、及びEr23(純度99.9%)とをErTb2Al512を秤量し、実施例1と同様の方法にてErTb2Al512多結晶体を得た。なお、このとき得られたErTb2Al512多結晶体の密度は80%であった。そして、種結晶としてErTb2Al512単結晶を用いた以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体について、実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影したところ、種結晶として用いたEr2TbAl512単結晶と、得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はEr2TbAl512単結晶の単相であることがわかる。
原料棒の出発原料として、Tb47(純度99.9%)、Al23(純度99.99%)、及びTm23(純度99.9%)とをTm1.2Tb1.8Al512を秤量し、実施例1と同様の方法にてTm1.2Tb1.8Al512多結晶体を得た。なお、このとき得られたTm1.2Tb1.8Al512多結晶体の密度は80%であった。そして、種結晶としてTm1.2Tb1.8Al512単結晶を用いた以外は実施例1と同様の方法で結晶体を得た。このようにして得られた結晶体について、実施例1の(3)と同様の方法にてラウエ写真を撮影したところ、種結晶として用いたTm1.2Tb1.8Al512単結晶と、得られた結晶体との反射型X線ラウエ像が一致しており、育成方位制御も達成できていることがわかる。また、実施例1の(4)と同様の方法にてX線解析装置を用いて得られた結晶体の物質同定を行ったところ、ガーネット相以外のX線ピーク値が検出されなかった。上記のことから得られた結晶体はTm1.2Tb1.8Al512単結晶の単相であることがわかる。
実験例2
原料棒及び種結晶の出発原料として、TAG単結晶を用意した。また、これとは別に、Tb47(純度99.9%)及びAl23(純度99.99%)を秤量し、表1に示されるような密度が55〜90%のTAG多結晶体を得た。このように密度の異なるTAG多結晶体の製造方法は、実施例1の第1工程において、焼成温度を1400℃〜1600℃とすることによって調整した。そして、得られたTAG多結晶体を直径3mmと直径1mmの円柱状に成型した。次に、原料棒及び種結晶として、表1に示すような組み合わせで用意し、実施例1と同様の方法でTAG単結晶の育成を行った。
上記のようにして得られた結晶体が所望のTAG単結晶体かどうか、得られた結晶体にX線を照射することによって得られる回折ピークを測定するX線回折装置を用いて物質同定を行った。直径3mmであってもTAG単結晶単相が得られたものを◎とした。また、直径3mmの単相のTAG単結晶は得られなかったが、直径1mmの単相TAG単結晶が得られたものを○とした。また、TbAlO3相が析出したものを×とした。また、クラックが生じたり融帯が切れたりして結晶体が生成できなかったものを××とした。
Figure 0003642063
表1から見て分かるように、原料棒及び種結晶のうち少なくとも一方が多孔質であり、原料棒及び種結晶のうち一方が密度が55%以上100%以下であり、他方が55%以上85%以下であれば、単相のTAG単結晶が得られていることがわかった。
特に種結晶の密度が55%以上85%以下、原料棒の密度が55%以上100%以下の範囲で得られた結晶体は、直径3mmという単相のTAG単結晶も得られることがわかった。
一方、種結晶及び原料棒の両方ともにTAG単結晶を用いた場合、また、ともに密度が85%よりも大きいものを用いた場合は単結晶中にTbAlO3が析出することが分かった。これは、原料棒と種結晶とが多孔質ではないため、加熱溶融した場合、初相のTbAlO3が単結晶中に析出したためと思われる。また、種結晶及び原料棒の共に55%よりも小さい場合は、融液が空孔に過剰に浸透してしまうため、単結晶が細くなりすぎて、融帯が切れたり十分に保持できないことがわかった。
本発明の一実施の形態であるレーザーFZ装置の概略斜視図である。 本発明に係るTb3Al512と種結晶との接合部近傍の縦断面写真である。 本発明の製造法方法によって得られたTb3Al512単結晶のTb組成に対するAl組成の一依存性を示すグラフである。 本発明に係るTb3Al512単結晶と種結晶との反射型X線ラウエ写真である。 本発明に係るTb3Al512単結晶のX線回折装置の物質同定の測定結果を示すグラフである。 本発明に係るTb3Al512単結晶の<111>方位の極点図を示すグラフである。
符号の説明
1 レーザーFZ装置
2 シャフト
2a 上シャフト
2b 下シャフト
3 ボックス
4 窓部
4a 窓部レンズ
5 レーザー装置
6 集光レンズ体
7 TAG多結晶体
8 種結晶

Claims (6)

  1. 原料棒と種結晶とを用意する第1工程と、
    光エネルギーを照射することによって前記原料棒と前記種結晶とを溶融接合する第2工程と、
    光エネルギーの照射領域を溶融接合部分から原料棒側へ移動させる第3工程とを有し、
    前記原料棒が少なくともTbとAlとを含む常磁性ガーネット構造からなり、前記原料棒及び前記種結晶の密度が55%以上であり、前記原料棒及び前記種結晶の少なくとも一方の密度が85%以下であることを特徴とするテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法。
  2. 前記種結晶の密度が55%以上85%以下であり、前記原料棒の密度が55%以上100%以下であることを特徴とする請求項1に記載のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶として、Tb3Al512単結晶、Tb3Al512多結晶、及びY3Al512のいずれかを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法
  4. 前記原料棒として、Tb3Al512、もしくは(RTb)3Al512(但し、Rが希土類元素のうち少なくとも一種)を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法。
  5. 前記第2工程において、前記原料棒と前記種結晶とをCO2ガスレーザー光を照射して溶融接合させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法。
  6. 前記第2工程において、レーザー光を集光させて前記原料棒と前記種結晶とを溶融接合させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のテルビウム・アルミニウム系常磁性ガーネット単結晶の製造方法。
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