JP3636151B2 - 金属帯の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば鋼帯等の金属帯の製造法に関するものであり、例えば、先行鋼帯と後行鋼帯とが接合された鋼帯を、1または複数の圧延スタンドを有する圧延機を用いて冷間圧延し、先行鋼帯および後行鋼帯の接合部を切断した後、先行鋼帯および後行鋼帯をコイルに巻取って鋼帯を製造する際に、接合部の近傍における形状不良の発生を抑制できる金属帯の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟鋼や高張力鋼等からなる冷延鋼帯は、通常、連続式タンデム圧延により、1回の通板により高効率および高歩留りで圧延されている。この連続式タンデム圧延では、直列に配置された複数の圧延スタンドを有するタンデム圧延機の入側で母材となる酸洗済みの熱延鋼板のコイルを巻き戻して先行鋼帯とし、この先行鋼帯の後端に後行鋼帯の先端を溶接によって接合して通板することを繰り返して鋼帯をタンデム圧延機に切れ間なく供給し、タンデム圧延機で目標板厚まで一気に圧延する。そして、タンデム圧延機の出側で再びコイル状に巻き取りながら、先行鋼帯と後行鋼帯との接合部を切断するものである。
【0003】
先行鋼帯および後行鋼帯をそれぞれコイルに巻取るには、生産効果の点から並設された二つの巻取りリールを交互に用いて巻取る方式が一般的であった。しかし、近年では、主に設備コスト低減の観点から、二つの巻取りリールを装着されたカローゼル型と呼ばれる巻取り装置(以下、単に「カローゼルリール」という)が広く用いられる。
【0004】
図9(a) 〜図9(c) は、このカローゼルリール1の動作を経時的に示す説明図である。
図9(a) に示すように、カローゼルリール1では二つの巻取りリール2、3が一つの円盤状の架台4に配置されている。この架台4は、支点5を中心として回転自在に配置される。そして、図示しないタンデム圧延機の出側に存在する先行鋼帯6の先端がタンデム圧延機に近い側に位置する巻取りリール2に巻き付く。次に、図9(b) に示すように、先行鋼帯6が巻取りリール2に巻き取られている途中で架台4が矢印方向へ180 度回転し、これに伴って巻取りリール2がタンデム圧延機から遠い側の位置で停止し、この位置で先行鋼帯6がコイルに巻き取られる。そして、先行鋼帯6と後行鋼帯7との接合部が図示しない切断機により切断される。次に、図9(c) に示すように、後行鋼帯7の先端は、再びタンデム圧延機に近い側に位置する巻取りリール3に巻き付き、一方、巻き取られた先行鋼帯6はコイル抜き出し装置8により巻取りリール2から抜き取られ、搬出される。そして、後行鋼帯7が巻取りリール3に巻き取られている途中で架台4が再び180 度回転し、これに伴って巻取りリール3がタンデム圧延機から遠い側の位置で停止し、この位置で後行鋼帯7をコイルに巻取られる。以下、かかる一連の動作が繰り返して行われる。
【0005】
このカローゼルリール1では、先行鋼帯6および後行鋼帯7の巻取りリール2、3への巻き付きが同じ位置で行われることから巻取りリール周辺機器の設備トラブルの発生が少ない。また、圧延機に近い側に位置する巻取りリール2、3の周囲に配置する必要がある図示しないコイル巻き付け装置 (ベルトラッパ) 、および圧延機から遠い側に位置する巻取りリール2、3の下方に配置されるコイル抜き出し装置8それぞれの配置数がいずれも1基で済むことから、設備コストおよびメンテナンスの両面で優れるというメリットもある。
【0006】
さらに、このようにして冷間圧延を行われたコイルは、所望の機械的特性(強度や延び等)を確保するとともに生産効率や歩留りを改善するために、通常、巻き戻されて端部を他の鋼帯の端部と例えば溶接により接合され、多数の通板用曲げロールを配置されて数百メートルに及ぶ通過距離を確保された連続焼鈍炉に連続的に装入され、連続焼鈍炉を通過した後に所定の重量に切断されてコイルに巻き取られる連続焼鈍を行われる。
【0007】
近年、軟鋼や高張力鋼等からなる冷延鋼帯を素材とする製品の寸法精度向上や製造工程における歩留り向上を図るため、冷延鋼帯の圧延形状、すなわち平坦度の高精度化が強く要請されている。また、冷延鋼帯の製造工程における製造トラブル防止の観点からも、冷延鋼帯の平坦度の高精度化が強く要請されている。すなわち、冷延鋼帯の平坦度が不芳であると、上述した連続焼鈍炉の内部を通過する際に冷延鋼帯が蛇行し、炉壁への接触やバックリングと呼ばれる鋼帯の折れ等による品質不良、さらには低速での通板を強いられることによる生産効率の低下等が発生する。最悪の場合には、鋼帯が焼鈍炉内で破断することによって操業休止を余儀なくされて製造コストが大幅に上昇することもある。連続焼鈍炉におけるこれらの問題は、冷延鋼帯の平坦度が幅方向で非対称となる、いわゆる片延びが生じている場合に特に発生し易い。このため、連続焼鈍炉通板時の冷延鋼帯の通板性を高めて製造トラブルを防止するには、冷延鋼帯の圧延形状が非対称形状となることを抑制することが重要である。
【0008】
ところで、これまでにも、タンデム圧延における冷延鋼帯の形状を適正に制御する方法は広く知られている。例えば、タンデム圧延機の出側に設けられた、鋼帯に作用する張力を利用した形状検出装置の出力値に基づいて、目標形状に対する偏差を最小化するようにタンデム圧延機のロールベンダ、VCロール、レベリングさらにはロールクーラントといった、各圧延スタンドに設けられた各種の形状制御機構をフィードバック制御する技術が既に広く知られており、これらの先行技術に関しては多くの発明や報告がなされている。例えば、日本鉄鋼協会刊行の「板圧延の理論と実際」の309 〜313 頁には、平坦制御技術に関する技術が種々の引用文献とともに開示されており、また、同書の88〜110 頁には板圧延における平坦度に関する理論と形状制御機構とが開示されており、さらに、同書の266 〜270 頁には形状測定装置が開示されている。ここでは、一例として、平坦度を4次関数を用いて近似し、次数が偶数である関数成分を対称成分とするとともに次数が奇数である関数成分を非対称成分とし、それぞれに対応する形状制御機構のアクチュエータの操作量を求めることによって制御を行う発明が開示されている。なお、板形状対称成分制御機構として6段圧延機における中間ロールシフト量およびロールベンディング力が例示されるとともに、また板形状非対称成分制御機構としては圧下位置レベルとロールベンディング力レベルとが例示されている。
【0009】
しかしながら、上述した連続式タンデム圧延により製造される冷延鋼帯の強度は、端部同士が接合される先行鋼帯および後行鋼帯の素材である熱延鋼帯の板厚や板幅等の寸法や、化学成分や熱間圧延時の温度履歴等の材質諸元によって、異なる。このため、製造される冷延鋼帯の寸法および形状を目標値にするための冷間圧延の設定条件は、鋼帯に応じて変更する必要がある。そこで、コイル接合部がタンデム圧延機の各圧延スタンドを通過する前後で各圧延スタンドの圧下量や張力、形状制御アクチュエータ等の設定量をダイナミックに変更すること(以下、本明細書では「走間設定変更」という)が用いられる。しかしながら、この走間設定変更は、基本的に予測制御であるために、母材の寸法や強度の変動さらにはタンデム圧延機の状態等によって誤差を生じ易い。このため、走間設定変更を行うと、冷延鋼帯の平坦度は悪化し易い。
【0010】
そこで、これらの走間設定変更や予測制御に関して、特開平8−99103 号公報には、先行鋼帯および後行鋼帯それぞれの圧延条件の変化に相当する制御機構の変更量をモデル計算によって求め、後行鋼帯の圧延における制御機構の設定値を先行鋼帯の圧延の実績値に計算による変更量を加えた値として求めることによって予測誤差の影響を考慮し、これにより、冷延鋼帯の平坦度を改善する制御方法が開示されている。
【0011】
一方、特開平11−179414号公報には、バッチ式の冷間圧延機において形状計が圧延材の形状を測定可能となる以前に、圧延スタンドの出側に設置された蛇行検出器の出力に基づいて、圧延材の先端部における片伸び量を推定して求めることにより、冷延鋼帯の平坦度を改善する方法が開示されている。
【0012】
すなわち、連続式タンデム圧延での形状制御においては、出側で一方の巻取りリールに巻き取られている先行鋼帯がタンデム圧延機を完全に通過するまでは、タンデム圧延機の出側に設置した形状計の出力に基づいたフィードバック制御により先行鋼帯の形状は容易に良好に保たれる。しかし、先行鋼帯と後行鋼帯との接合部が切断された時から後行鋼帯の先端部がもう一方の巻き取りリールに完全に巻き取られて張力が安定する迄の数秒間程度の期間は、平坦度の制御が不可能な過度期状態であり、形状計の出力値も大きく変動する。このため、特開平8−99103 号公報や特開平11−179414号公報等により開示された従来の発明は、バッチ式の圧延に関して、上述した過渡期状態においても形状を適正に保つことにより、平坦度不良部の長さの低減を図ったものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは冷延鋼板のいっそうの品質向上を図るためにさらに検討を重ねた結果、例えば上述した特開平8−99103 号公報や特開平11−179414号公報等により開示された従来の発明によっても、図9(a) 〜図9(c) を参照しながら説明したカローゼルリール1を用いて先行鋼帯6および後行鋼帯7の巻取りを行うと、上述した過渡期状態においては冷延鋼帯の圧延形状、すなわち平坦度の高精度化を適正に保つことができず、平坦度不良部の長さを低減できないことを、新たに知見した。
【0014】
すなわち、本発明者らが確認した結果によれば、カローゼルリール1のように、巻取りの途中で設置位置が変更される二つの巻取りリールを有する巻取り装置を用いて先行鋼帯および後行鋼帯を順次巻き取る場合の鋼帯の形状制御では、巻取りリールが切り替わるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間では先行鋼帯および後行鋼帯に作用する張力が大きく変動することに起因して、実際の板形状は変わっていないにもかかわらず、先行鋼帯の後端部、および後行鋼帯の先端部について形状検出装置により検出される形状出力値が大きく変動し、特に、この期間では、左右の形状偏差が大きくなる。このため、誤差を有するこの値に基づいて最終スタンドにおける例えばレベリング等の板形状非対称成分制御装置 (形状アクチュエータ) をフィードバック制御してしまうと、その制御量は実際の板形状には則さず過大なものとなり、かえって冷延鋼帯の形状が悪化して、例えば連続焼鈍炉等における通板不良を生じてしまう。
【0015】
このように、従来の技術によっても、カローゼルリールのように、巻取りの途中で設置位置が変更される二つの巻取りリールを有する巻取り装置を用いて先行鋼帯および後行鋼帯を順次巻き取ろうとすると、巻取りリールが切り替わるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間では、冷延鋼帯の圧延形状、すなわち平坦度の精度を高くかつ適正に保つことが難しく、平坦度不良部の長さを低減できなかった。
【0016】
本発明の目的は、鋼帯等の金属帯の製造法を提供することであり、例えば、巻取りの途中で設置位置が変更される二つの巻取りリールを有する巻取り装置を用いて先行鋼帯および後行鋼帯を順次巻き取ろうとする場合に、巻取りリールが切り替わるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間であっても、冷延鋼帯の平坦度の精度を高くかつ適正に保って平坦度不良部の長さを低減することができる、例えば冷延鋼帯等の金属帯の製造法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、巻取りリールが切り替わるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間で先行鋼帯および後行鋼帯の張力の検出値が大きく変動する理由を詳細に検討した。その結果、この期間の検出値は、鋼帯の実際の板形状の変化を如実に示すものではなく、各々の巻取りリールの配置、取付け精度、長期間の使用による摩耗や変形等の幾何学的な因子、巻き取られる鋼帯の張力や重量、さらにはベルトラッパーなどの巻き付け装置からの外力が作用することによる弾性的な変形等の差によって、冷延鋼帯の左右のパスラインが微小に変動することによって生じる外乱に強く支配されていることが判明した。
【0018】
そこで、本発明者らはさらに検討を重ねた結果、上述した期間においては圧延機の出側における鋼帯の板形状の測定結果に基づいて、圧延機の少なくとも最終圧延スタンドに設けられた板形状制御装置に接続された板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御することにより、この期間においても、冷延鋼帯の平坦度の高精度化を適正に保って平坦度不良部の長さを確実に低減することができることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0019】
本発明は、先行金属帯の後端と後行金属帯の先端とが接合された金属帯を、1または複数の圧延スタンドを有する圧延機を用いて、この圧延機の出側における金属帯の板形状の測定結果に基づいて、この圧延機の少なくとも最終圧延スタンドに設けられた板形状制御装置をフィードバック制御しながら圧延し、圧延機の出側において先行金属帯および後行金属帯の接合部を切断し、切断された先行金属帯および後行金属帯を、巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置を用いてそれぞれコイルに巻取ることによって金属帯を製造する方法であって、接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間には、板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御して後行金属帯の圧延を行うことを特徴とする金属帯の製造法である。
【0020】
また、本発明は、先行金属帯の後端と後行金属帯の先端とが接合された金属帯を、1または複数の圧延スタンドを有する圧延機を用いて、圧延機の出側における金属帯の板形状の測定結果に基づいて、圧延機の少なくとも最終圧延スタンドに設けられた板形状制御装置をフィードバック制御しながら圧延し、圧延機の出側において先行金属帯および後行金属帯の接合部を切断し、切断された先行金属帯および後行金属帯を、巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置を用いてそれぞれコイルに巻取ることによって金属帯を製造する方法であって、接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間には、予め求めた、第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールの複数の設置位置それぞれにおける板形状の測定結果に対する、板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構の補正量を用いて、測定結果を補正して、フィードバック制御を行うことを特徴とする金属帯の製造法である。
【0021】
これらの本発明にかかる金属帯の製造法では、所定の時間が経過する時が、(i) 第2のリールにより巻き取られる後行金属帯の先端が、第2のリールへ巻き付いた時であること、(ii)巻取り時における第2の巻取りリールの設置位置の変更が、第2の巻取りリールによる後行金属帯の巻取り開始後に最初に完了する時であること、または(iii) 第2の巻取りリールによる後行金属帯の巻取りが完了する際に第2の巻取りリールが存在する位置への移動を、第2の巻取りリールが完了する時であることが例示される。
【0022】
また、これらの本発明にかかる金属帯の製造法では、接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間以外の期間には、板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構および板形状非対称成分制御機構の双方をフィードバック制御して後行金属帯の圧延を行うことが例示される。
【0023】
さらに、これらの本発明にかかる金属帯の製造法では、巻取り装置がカローゼルリールであって、所定の時間が経過する時が、第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを支持する架台の回転が、第2の巻取りリールによる後行金属帯の巻取り開始後に最初に完了した時であることが例示される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる金属帯の製造法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明では、金属帯が冷延鋼帯である場合を例にとる。
【0025】
図1は、本実施の形態で用いる冷延鋼帯の製造装置10の構成を模式的に示す説明図である。同図に示すように、この製造装置10は、タンデム圧延機11と、形状検出装置12と、切断機13と、巻取り装置14と、板形状制御装置30とを有する。以下、この製造装置10のこれらの構成要素について説明する。
【0026】
(タンデム圧延機11、板形状制御装置30)
本実施の形態では、図1に示すタンデム圧延機11の入側で、コイル状の先行鋼帯15および後行鋼帯16は図示しないペイオフリールからそれぞれ巻き戻された後、図示しない溶接機により、先行鋼帯15の後端と後行鋼帯16の先端とが溶接される。そして、溶接された先行鋼帯15および後行鋼帯16は、切れ目無くタンデム圧延機11に送られる。
【0027】
本実施の形態で用いるタンデム圧延機11は、第1圧延スタンドF1、第2圧延スタンドF2、第3圧延スタンドF3、第4圧延スタンドF4および最終圧延スタンドF5を有する。これらの第1圧延スタンドF1〜最終圧延スタンドF5は、それぞれ、上下のワークロールa 、a'と、上下のバックアップロールb 、b'とを有するとともに、最終圧延スタンドF5は、さらに中間ロールC 、C'を有する。タンデム圧延機11は、これらの第1圧延スタンドF1〜最終圧延スタンドF5を用いて、先行鋼帯15の後端と後行鋼帯16の先端とが接合された鋼帯にタンデム圧延を行って、冷延鋼帯を製造する。
【0028】
また、このタンデム圧延機11の最終スタンドF5には板形状制御装置30が接続されている。この板形状制御装置30は、後述する(1) 式〜(6) 式の演算を行うものである。
【0029】
また、板形状制御装置30には、公知の板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18が接続されている。すなわち、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18はいずれも板形状制御装置30によりその制御動作を制御される。
【0030】
本実施の形態では、板形状対称成分制御機構17としては最終圧延スタンドF5の中間ロールシフト装置 (図示しない) とワークロールベンディング装置 (図示しない) とを有するとともに、板形状非対称成分制御機構18として圧下レベリング制御装置 (図示しない) を有している。なお、図1では、中間ロールシフト装置、ワークロールベンディング装置および圧下レベリング制御装置はいずれも慣用されるものであるため、図示を省略してある。そして、この製造装置10では、後述する形状検出装置12の測定結果に基づいて板形状制御装置30が制御信号を出力し、この制御信号により、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18がフィードバック制御される。
【0031】
本実施の形態で用いるタンデム圧延機11および板形状制御装置30は、以上のように構成される。
(形状検出装置12)
本実施の形態では、タンデム圧延機11の出側に形状検出装置12が設けられている。この形状検出装置12は搬送される鋼帯の下面に接触して回転しながらこの鋼帯の幅方向に生じている張力を検出することにより、鋼帯の板形状を測定するものであり、既に公知のものである。
【0032】
上述したように、この形状検出装置12により検出された先行鋼帯15の形状は、板形状制御装置30に送られ、板形状制御装置30では後述する(1) 〜(6) 式の演算処理を行うことにより制御信号を、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18に出力する。これにより、最終圧延スタンドF5の中間ロールシフト装置、ワークロールベンディング装置および圧下レベリング制御装置のフィードバック制御が行われる。
【0033】
本実施の形態で用いられる形状検出装置12は、以上のように構成される。
(切断機13)
本実施の形態では、形状検出装置12の下流側に切断機13が設けられている。切断機13は、先行鋼帯15の後端と後行鋼帯16の先端との接合部を切断するためのものであり、本実施の形態では、鋼帯の切断に慣用されるシャーを用いた。
【0034】
本実施の形態で用いられる切断機13は、以上のように構成される。
(巻取り装置14)
本実施の形態では、切断機13の下流に、切断機13により切断された先行鋼帯15および後行鋼帯16をコイルに巻取るための巻取り装置14を有する。本実施の形態では、巻取り装置14として、図9を参照しながらその動作を説明したカローゼルリール1を用いた。
【0035】
すなわち、上述したように、カローゼルリール1は、先行鋼帯15をコイルに巻取るための第1の巻取りリール2と、後行鋼帯16をコイルの巻取るための第2の巻取りリール3と、第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3をともに回転自在に支持するとともに支点5を回転中心に回転自在に配置された架台4と、巻き取られたコイルを搬出するためのコイル抜き出し装置8とを有しており、上述した図9(a) 〜図9(c) に示す動作を繰り返すことにより、先行鋼帯15および後行鋼帯16をコイルに順次巻き取っている。図1に示すタイミングは、図9(b) に示すタイミングを過ぎ、巻取りリール2による先行鋼帯15の巻取りが完了する直前の時点を示している。
【0036】
上述したように、このカローゼルリール1には、設備トラブルが少なく、ベルトラッパ (コイル巻き付け装置) 、およびコイル抜き出し装置8の設置数がいずれも1基で済むというメリットがある。
【0037】
なお、カローゼルリール1では、巻き取り終わったコイルを1方向へ抜き出す必要があることから、第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3はいずれも、いわゆる片持ちで架台4に設置されており、架台4が設置された側 (ドライブサイド) と反対側に位置するワークサイドには、アウトボードと呼ばれる可動式の押さえ装置 (図示しない) が配置されており、このアウトボードによりリールを片持ちで支持している。
【0038】
このように、本実施の形態で用いる巻取り装置14は、先行鋼帯15および後行鋼帯16の巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3を有する巻取り装置である。
【0039】
なお、図示していないが、本実施の形態では、他の慣用される冷延鋼帯の製造装置と同様に、これらの他に、先行鋼帯15および後行鋼帯16を形状検出器12に所定の角度で巻き付けるとともにパスラインを一定に保つためデフレクタロールと呼ばれる通板ロール19が設けられている。
【0040】
この製造装置10を用いて、形状検出器12の出力に基づいて、タンデム圧延機11の最終スタンドF5に設けられた板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18をフィードバック制御した場合の圧延実績の変化を、確認試験により調査した。
【0041】
なお、本確認試験では、最終スタンドF5のワークロールa 、a'のロール径は480mm であり、ロールバレル長は2000mmである。形状検出装置12は、公知の中空分割ロール方式を用い、分割幅は50mmである。また、形状検出装置12により検出した形状は、板幅方向の分布を一次、二次および四次の関数で近似し、それぞれ目標に対する偏差が0となるように、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18を制御した。さらに、圧延に供した先行鋼帯15および後行鋼帯16は、いずれも、板厚3.6mm 、仕上厚0.7mm および板幅1200mmの軟鋼であり、最終スタンドF5はワークロールa 、a'はロール表面をショットブラストにてダル仕上げとしているため、最終スタンドF5の圧下率は2%程度とした。
【0042】
図2(a) 〜図2(d) は、本確認試験における、後行鋼帯16の長手方向での圧延諸特性の変化を示すグラフである。
図2(a) には、形状検出装置12の出力から形状を表す指標として後行鋼帯16の幅方向での伸び歪みの偏差を示す。図2(a) における伸び歪みとは、後行鋼帯16の板幅方向の中央部に対する板幅端部の偏差であり、左右の平均値を取ったものである。伸び歪は、形状の対称成分を表す。ここで、符号がプラス側であることはへり延び形状であることを表し、マイナス側であることは中伸び形状であることを表す。また、図2(a) における伸び歪み差は左右の板幅端部での偏差をとったものであり、形状の非対称成分を表す。ここで、符号がプラス側であることはワークサイド側が延びた状態であることを表し、マイナス側であることはドライブサイド側が延びた状態であることを示す。
【0043】
また、図2(b) には中間ロールc のシフト位置およびワークロールベンダ力の実績値を示し、形状の対称成分に関する制御アクチュエータの変化を示す。また、図2(c) には、最終スタンドF5の圧下レベリング量を示し、プラス側であることはワークサイド側の圧下位置をドライブサイドに対して閉める方向であることを示す。さらに、図2(d) には、最終スタンドF5の圧延荷重を示す。
【0044】
図2(a) 〜図2(d) にグラフで示す結果から、形状の対象成分である伸び歪みは後行鋼帯16の長手方向で殆ど変化せず、それを制御する中間ロールc のシフト位置およびワークロールベンダ力もトップ部の荷重変動に対応してわずかに変化するだけである。
【0045】
これに対し、形状の非対称成分である伸び歪み差は、後行鋼帯16の先端部でマイナス側に大きく変化し、続いて、架台4の回転のタイミング (約80秒経過時) で若干プラス側へ変化し、その後略0で一定となっている。また、これに対応する圧下レベリング量は後行鋼帯16の先端部でマイナス側へと大きく変化した後に一旦安定してから、架台4の回転のタイミングで逆にプラス側と大きく変化し、その後一定値となっている。これは、先行鋼帯15から後行鋼帯16へ切り替わった直後と、架台4が回転するタイミングとにおいて、形状検出器12が左右の非対称形状を検出し、それを抑制するために圧下レベリング量を制御したことを示している。
【0046】
一方、図3に、このとき圧延された鋼帯を特別に検査ラインを通板し、図2に▲1▼〜▲4▼で示した部位で実測した鋼帯の波高さから算出した伸び歪みの分布を示す。図3において、プラス側であることは相対的に延びていることを示し、凸型の分布であることは中伸び形状であることを示し、さらに凹型の分布であることはへり伸び形状であることを示している。図3に示すグラフから、部位▲2▼の後行鋼帯16の先端部でレベリングを大きく制御した後、実測した形状は顕著な片伸びとなっており、圧下レベリング量を制御することは、逆に片伸び形状の発生を助長することとなることがわかる。
【0047】
以上の結果から、タンデム圧延機11に近い側に位置する巻取りリール2または3と、遠い側に位置する巻取りリール3または2とでは、形状検出器2による形状検出精度に差が生じることが推定される。この原因は次のように考えられる。すなわち、本実施の形態で用いた分割ロール方式の形状検出器2は、鋼帯の幅方向の張力分布の測定結果を形状に換算する方式であるため、形状の変動ではなくパスラインの傾き等の幾何学的要因によって一次式に近い張力の外乱が生じた場合であっても、あたかも形状の非対称成分が生じたものとされる誤検出が生じるためと考えられる。特に、カローゼルリール1は、巻取りリール2、3の設置位置が巻き取り途中の段階で方向が180 度反転して大きく変化する構造であるため、巻取りリール2、3が架台4に対して完全に直角でない場合にはこのような外乱を特に生じ易い。さらに、巻取りリール2、3はそれ自体が回転および拡縮をともに行うために複雑な構造となっている。そのため、完全な剛性を確保することはできないとともに、常に巻取り張力やコイルの自重等の特定の方向に大きな力を受けている。そのため、経時的な要因による、特定方向への変形やガタの発生を完全に抑制することは困難である。つまり、タンデム圧延機11に近い側に位置する巻取りリール2または3と、遠い側に位置する巻取りリール3または2とでは、形状検出器2による形状検出精度に差が生じるという現象は、本確認試験で用いた製造装置10に固有の特殊な現象ではなく、同様の構造を有する装置であれば、程度の差こそあれ、一般的に発生し得る現象である。
【0048】
そこで、本実施の形態では、切断機13により先行鋼帯15と後行鋼帯16との接合部を切断した時から、予め定めた所定の時間が経過する時、換言すれば、 (i)第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3を支持する架台4の回転が、第2の巻取りリール3による後行鋼帯16の巻取り開始後に最初に完了した時、(ii)(ii)第2の巻取りリール3により巻き取られる後行鋼帯16に作用する張力が安定する時、(iii) 巻取り時における第2の巻取りリール3の設置位置の変更が、第2の巻取りリール3による後行鋼帯16の巻取り開始後に最初に完了する時であること、および(iv)第2の巻取りリール3による後行鋼帯16の巻取りが完了する際に第2の巻取りリール3が存在する位置に、架台4の回転によって第2の巻取りリール3が到達する時のうちのいずれかの時が経過する時までの期間、すなわち非定常期間においては板形状対称成分制御機構17のみをフィードバック制御しながらタンデム圧延を行う。
【0049】
そして、本実施の形態では、この非定常期間以外の期間においては、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18の双方をフィードバック制御しながらタンデム圧延を行う。
【0050】
これにより、先行鋼帯15および後行鋼帯16の巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3を有するカローゼルリール1を用いて先行鋼帯15および後行鋼帯16を順次巻き取ろうとする場合に、先行鋼帯15および後行鋼帯16の接合部が切断されるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間内であっても、冷延鋼帯の平坦度の高精度化を適正に保って平坦度不良部の長さを低減することができる
このように、実際の形状制御において形状検出器12による形状検出値の外乱を排除するためには、この検出外乱が生じている間は非対称成分のフィードバック制御を中断し、対象成分のみについてのみフィードバック制御を行うことが、最も簡便な方法である。しかしながら、母材の影響等によって実際に非対称形状が生じる場合も多々あり、より高精度の形状を確保するためには外乱の影響のみを排除する必要がある。
【0051】
図4は、本確認試験で用いた製造装置10を用いて、板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18を中断した状態で、先行鋼帯15から後行鋼帯16のトップで巻取りリール2、3が切り替わった際の、前述した伸び歪み差の変化量を測定した結果を示すグラフである。この時、母材であるコイルのウエッジ量が先行鋼帯15と後行鋼帯16とでどれだけ変化したかを横軸にとり、それに対する伸び歪み差の変化量を縦軸にとっている。
【0052】
この結果、ウエッジ量とリール位置による形状検出の非対称成分の変化量には相関があることがわかる。すなわち、ウエッジ量の変化が0の状態で生じる形状の非対称成分の変化は、巻取りリール2、3の位置に起因する形状外乱であり、そこから逸脱するウエッジ量に対応する変化代は実際に非対称形状が生じているものと考えられる。したがって、先行鋼帯15および後行鋼帯16の材質強度や寸法毎に、図4のごとき関係を予め求めておき、母材などの影響のないリール位置のみの形状外乱を形状補正量として数式ないしは設定テーブルにて計算機に記憶させておく。そこで、タンデム圧延機11から遠い側の巻取りリール2、3に巻き取られた状態での形状検出結果を基準値として、巻取りリール2、3が切り替わった際には上述した補正量を用いて検出形状の非対称成分を補正し、補正後の形状を用いて形状制御を行うことにより、誤差を最小化することが可能である。
【0053】
このように、第1の巻取りリール2および第2の巻取りリール3の二つの設置位置それぞれにおける板形状の測定結果に対する板形状非対称成分制御機構18の補正量を予め求めておき、板形状非対称成分制御機構18の出力を補正量を用いて補正するようにしてもよい。
【0054】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
図5は、従来の形状制御を示すブロック図である。タンデム圧延機11の出側に設置した形状検出装置12により先行鋼帯15の形状を測定し、形状検出装置12の出力は、板形状制御装置30に内蔵された信号処理部30a にて板幅方向の分布を所定の関数等にて近似することによって数値化される。ここでは例えば、四次の関数形を用いて(1) 式により数値化される。
【0055】
f(x) =A ・X4 +B ・X2 +C ・X+d ・・・・・(1)
この(4) 式において、Xは板幅方向の位置を表し、板幅によって規格化した値を用いる。したがって、板幅中央部ではX=0であり、板エッジではX=±1である。
【0056】
通常の制御においては、形状の対称成分A 、B および非対称成分C が圧延される後行鋼帯15の条件毎に予め与えられている形状目標値A0、B0、C0に一致するように演算制御装置にて形状制御装置の制御量を求める。
【0057】
ΔA =A −A0 ・・・・・(2)
ΔB =B −B0 ・・・・・(3)
ΔC =C −C0 ・・・・・(4)
【0058】
【数1】
Figure 0003636151
【0059】
ΔC =m・ΔS ・・・・・(6)
(6) 式において、Δδb はワークロールベンダ制御量を意味し、Δδs は中間ロールシフト制御量を示し、Δsは圧下レベリング制御量を示し、k11 、k12 、k21 、k22 およびm は、各アクチュエータが形状に与える影響係数である。
【0060】
ここで、この形状の影響係数は、予め後行鋼帯15の条件毎に求めておき、計算機の演算制御装置24にパラメータとして記憶させておく。このようにして、対象成分および非対象成分について、現在の形状実績値から目標値へ制御するために必要な板形状対称成分制御機構17および板形状非対称成分制御機構18の制御量を演算制御装置24により演算して、演算結果Δδs 、Δδb 、Δsを中間ロールシフト制御部21、ベンディング制御部22および圧下レベリング制御部23に信号として送信し、制御装置を操作する。
【0061】
これに対し、図6は、本発明例1の形状制御を示すブロック図である。
本発明例1では、従来の制御方法に対して、図6に示すように、巻取り装置1からの制御信号をカローゼルリール制御部26を介して、形状制御のオン/オフ切り替えタイミング演算装置25に出力し、オン/オフ切り替えタイミング演算装置25により非対称成分の制御の実施要否を決定し、スイッチ27により非対象成分の制御装置23に対する信号送信のオン/オフを切り替える。その結果、非対称成分 (本例では圧下レベリング量) は、制御がオフであれば板形状制御装置30から制御信号が出力されず、対称成分のみのフィードバック制御が行われることとなる。
【0062】
さらに、図7は、本発明例2の形状制御を示すブロック図である。
本発明例2では、図7に示すように、本発明例1の例と同様に、巻取り装置1からの制御信号に基づいてオン/オフ切り替えタイミングが決定されるが、各制御装置21〜23の信号のオン/オフの切り換えを直接行うのではなく、別に設けた形状補正演算装置28から演算制御装置24に送信される非対称成分補正量の有無を切り替える。
【0063】
ここで、非対称成分補正量とは、鋼帯の条件毎に、巻取り装置1における各巻取りリール2、3の位置によって与えられる形状実績値を補正するものであって、演算制御装置24において、実形状のうち、前述した(4) 式により表される非対称成分C について、
ΔC'=(C −C HOS ) −C0
ここで、C HOS は先に述べたリール位置による形状外乱の補正量であり、冷延鋼帯15、16の条件毎に予め求められる値である。巻取り装置1の各リール2、3の位置情報に基づいて、形状補正のオン/オフを決定し、補正オンの場合にのみ実測された形状から巻取り装置1の各リール2、3により発生する形状外乱分を差し引いた値を用いて非対称成分の制御を行う。この結果、冷延鋼帯15、16のウエッジなどによって生じる実際の非対称形状のみを制御することができる。
【0064】
さらに、図8には、本発明例1、2と比較例とについて、次工程の連続焼鈍工程における炉内での板蛇行による減速等の通板トラブルの発生頻度をグラフで示す。同図にグラフで示すように、本発明例1、2によれば、比較例よりも連続焼鈍炉内でのトラブルの発生を大幅に低減できた。
【0065】
(変形形態)
以上の実施の形態および実施例の説明では、複数の圧延スタンドを有するタンデム圧延機を用いて冷延鋼帯を製造する際に本発明を適用した場合を例にとった。しかし、本発明はこの形態には限定されず、1つの圧延スタンドを有する圧延機にも同様に適用することができる。このような圧延機として、例えば連続焼鈍設備出側での「スキンパスミル」と呼ばれる圧延機であっても同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
また、実施の形態および実施例の説明では、金属帯が冷延鋼帯である場合を例にとった。しかし、本発明は、冷延鋼帯には限定されず、例えばアルミニウム合金帯のような冷延鋼帯以外の他の金属帯であっても同様に適用可能である。
【0067】
また、実施の形態および実施例の説明では、「巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置」がいわゆるカローゼルリールである場合を例にとった。しかし、本発明はカローゼルリールに限定されるものではなく、巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置であれば、カローゼルリール以外であっても同様に適用可能である。
【0068】
また、実施の形態および実施例の説明では、「接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間」における「所定の時間が経過する時」が、(i) 第2のリールにより巻き取られる後行鋼帯の先端が、第2のリールへの巻き付いた時、(ii)巻取り時における第2の巻取りリールの設置位置の変更が、第2の巻取りリールによる後行鋼帯の巻取り開始後に最初に完了する時、または(iii) 第2の巻取りリールによる後行鋼帯の巻取りが完了する際に第2の巻取りリールが存在する位置への移動を、第2の巻取りリールが完了する時である場合、すなわち
(i) 接合部を切断した時から、第2のリールにより巻き取られる後行鋼帯の先端が、第2のリールへの巻き付いた時までの期間、(ii)接合部を切断した時から、巻取り時における第2の巻取りリールの設置位置の変更が、第2の巻取りリールによる後行鋼帯の巻取り開始後に最初に完了する時までの期間、または(iii) 接合部を切断した時から、第2の巻取りリールによる後行鋼帯の巻取りが完了する際に第2の巻取りリールが存在する位置への移動を、第2の巻取りリールが完了する時までの期間において、板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御して後行鋼帯の圧延を行う場合を例にとった。
【0069】
しかし、本発明はこれら(i) 項〜(iii) 項に示す形態に限定されるものではない。例えば、これら(i) 項〜(iii) 項により規定される期間の全期間ではなく、例えばその80%程度の期間だけ、板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御するようにし、残りの20%の期間では板形状対称成分制御機構のみならず板形状非対称成分制御機構をもフィードバック制御するようにしてもよい。これによれば、(i) 項〜(iii) 項により規定される期間の全期間について板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御する場合よりは、冷延鋼帯の平坦度達成効果は低減されるものの、(i) 項〜(iii) 項により規定される期間の全期間について板形状対称成分制御機構のみならず板形状非対称成分制御機構をもフィードバック制御する従来の方法よりは大きな改善効果が得られるものである。
【0070】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、巻取りの途中で設置位置が変更される二つの巻取りリールを有する巻取り装置を用いて先行金属帯および後行金属帯を順次巻き取ろうとする場合に、接合部が切断されるタイミングから所定の時間が経過する時までの期間であっても、金属帯の平坦度の高精度化を適正に保って平坦度不良部の長さを低減することができた。
【0071】
このため、例えば鋼帯の冷間タンデム圧延における鋼帯先端部における片伸び形状の発生を抑制することができ、次工程での通板トラブルによる操業阻害を低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の冷延鋼帯の製造装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】図2(a) 〜図2(d) は、本確認試験における、後行鋼帯の長手方向での圧延諸特性の変化を示すグラフである。
【図3】図2に▲1▼〜▲4▼で示した部位で実測した鋼帯の波高さから算出した伸び歪みの分布を示すグラフである。
【図4】板形状対称成分制御機構および板形状非対称成分制御機構を中断した状態で、先行鋼帯から後行鋼帯のトップで巻取りリールが切り替わった際の、前述した伸び歪み差の変化量を測定した結果を示すグラフである。
【図5】従来の形状制御を示すブロック図である。
【図6】本発明例1の形状制御を示すブロック図である。
【図7】本発明例2の形状制御を示すブロック図である。
【図8】本発明例1、本発明例2および比較例の結果を示すグラフである。
【図9】図9(a) 〜図9(c) は、カローゼルリールの動作を経時的に示す説明図である。
【符号の説明】
2 第1の巻取りリール
3 第2の巻取りリール
11 タンデム圧延機
15 先行鋼帯
16 後行鋼帯
17 板形状対称成分制御機構
18 板形状非対称成分制御機構
30 板形状制御装置
F5 最終圧延スタンド

Claims (7)

  1. 先行金属帯の後端と後行金属帯の先端とが接合された金属帯を、1または複数の圧延スタンドを有する圧延機を用いて、該圧延機の出側における金属帯の板形状の測定結果に基づいて、該圧延機の少なくとも最終圧延スタンドに設けられた板形状制御装置をフィードバック制御しながら圧延し、前記圧延機の出側において前記先行金属帯および前記後行金属帯の接合部を切断し、切断された該先行金属帯および該後行金属帯を、巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置を用いてそれぞれコイルに巻取ることによって金属帯を製造する方法であって、
    前記接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間には、前記板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構のみをフィードバック制御して前記後行金属帯の圧延を行うこと
    を特徴とする金属帯の製造法。
  2. 先行金属帯の後端と後行金属帯の先端とが接合された金属帯を、1または複数の圧延スタンドを有する圧延機を用いて、該圧延機の出側における金属帯の板形状の測定結果に基づいて、該圧延機の少なくとも最終圧延スタンドに設けられた板形状制御装置をフィードバック制御しながら圧延し、前記圧延機の出側において前記先行金属帯および前記後行金属帯の接合部を切断し、切断された該先行金属帯および該後行金属帯を、巻取りの途中で設置位置が変更される第1の巻取りリールおよび第2の巻取りリールを有する巻取り装置を用いてそれぞれコイルに巻取ることによって金属帯を製造する方法であって、
    前記接合部を切断した時から予め定めた所定の時間が経過する時までの期間には、予め求めた、前記第1の巻取りリールおよび前記第2の巻取りリールの複数の設置位置それぞれにおける前記板形状の測定結果に対する、前記板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構の補正量を用いて、前記測定結果を補正して、前記フィードバック制御を行うこと
    を特徴とする金属帯の製造法。
  3. 前記所定の時間が経過する時は、前記第2のリールにより巻き取られる前記後行金属帯の先端が、前記第2のリールへ巻き付いた時である請求項1または請求項2に記載された金属帯の製造法。
  4. 前記所定の時間が経過する時は、前記巻取り時における前記第2の巻取りリールの設置位置の変更が、該第2の巻取りリールによる前記後行金属帯の巻取り開始後に最初に完了する時である請求項1または請求項2に記載された金属帯の製造法。
  5. 前記所定の時間が経過する時は、該第2の巻取りリールによる前記後行金属帯の巻取りが完了する際に該第2の巻取りリールが存在する位置への移動を、該第2の巻取りリールが完了する時である請求項1または請求項2に記載された金属帯の製造法。
  6. 前記期間以外の期間には、前記板形状制御装置により制御される板形状対称成分制御機構および板形状非対称成分制御機構の双方をフィードバック制御して前記後行金属帯の圧延を行う請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載された金属帯の製造法。
  7. 前記巻取り装置はカローゼル型の巻取り装置であって、前記所定の時間が経過する時は、前記第1の巻取りリールおよび前記第2の巻取りリールを支持する架台の回転が、該第2の巻取りリールによる前記後行金属帯の巻取り開始後に最初に完了した時である請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された金属帯の製造法。
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