JP3635335B2 - ドラム型金属回収装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉粒体中に混在する磁性金属異物を分離回収するドラム型金属回収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のドラム型金属回収装置では、回転自在の円筒状非磁性ドラムの内部に、非磁性ドラムの回転中心を通る鉛直線に対して左右いずれか一方の領域に永久磁石が固定して配置され、非磁性ドラムを回転させながら、磁石を配置した領域側の非磁性ドラム表面上に上方から粉粒体を落下させ、粉粒体中に混入している磁性金属異物を非磁性ドラムに磁気的に吸着させることで、磁性金属異物を分離している。さらに、非磁性ドラムの回転によって非磁性ドラムの表面上を永久磁石が配置された領域の最下流端部まで磁性金属異物を搬送し、非磁性ドラムの表面に固定したスクレーパによって永久磁石の最下流端部から磁力の影響のない領域まで送り出して、非磁性ドラムの表面から自重により自由落下させて、回収している。
【0003】
かかる従来のドラム型金属回収装置では、粉粒体中に混入している磁性金属異物が微小である場合や弱磁性体からなる場合に、非磁性ドラムにかかる磁性金属異物を吸着分離させるためには、非磁性ドラムの内部に配置する永久磁石の磁力を高める必要がある。
永久磁石の磁力を高める方法としては、非磁性ドラムの法線方向に着磁された磁石と接線方向に着磁された磁石を交互に配置して強力な磁力を発生させる、いわゆるリパルジョン型配置とした永久磁石を用いたドラム型金属回収装置が、特願平7−351981号に開示されている。
【0004】
本従来例のドラム型金属回収装置に用いられる非磁性ドラムの断面図を図3に示す。
図3において、水平方向に固定されたシャフト1を回転中心として回転自在に配置した円筒状非磁性ドラム2の内部に、シャフト1を通る鉛直線に対して図中左側に磁石ドラム3がアーム4を介してシャフト1に固定されている。
磁石ドラム3は、磁性体で構成される半円筒状ヨーク5の外表面が凸部5aと凹部5bとを交互に配置した歯車状の断面形状を有し、軸方向に沿って凸部5aに磁石ドラム3の法線方向に着磁された第1の磁石6と、凹部5bに接線方向に着磁された第2の磁石7を半円筒状ヨーク5の全周に亘って配置し、いわゆるリパルジョン型配置を構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このリパルジョン型配置とした磁石ドラムを用いたドラム型金属回収装置においては、磁力が強力であるために、非磁性ドラム2表面上の磁石ドラム3が配置された領域の最下流端部から、さらに下流側であって磁性金属異物を離脱する領域においても、強い磁気的吸着力が及ぶ。
その強い磁力により、釣針などの細長形状の磁性金属異物が混入していた場合には、非磁性ドラム2表面上において磁性金属異物は磁力線に沿って起立した状態となるために、非磁性ドラム2の表面上に固定され非磁性ドラム2の回転に伴って移動するスクレーパ17を容易にジャンプして乗り越え、スクレーパ17によって磁力の影響のない領域まで送り出すことができない状態が生じる。
このために、非磁性ドラム2表面上の磁石ドラム3が配置された領域の最下流端部に磁性金属異物が多量に滞留し、磁石ドラム3の磁力によって保持しきれなくなったものが粉粒体とともに落下してしまうため、磁性金属異物の分離回収効率が低下するという不都合が生じた。
そこで、本発明は粉粒体中に混入した磁性金属異物を分離回収する効率を向上させることを可能としたドラム型金属回収装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、回転軸を水平に向けて円筒状非磁性ドラムを配置し、非磁性ドラムの内部であって非磁性ドラムの回転軸を通る鉛直線に対して左右いずれか一方の領域に、軸方向に延びた永久磁石を周方向に沿って外表面上に複数配置した半円筒状磁石ドラムを固定して配置し、非磁性ドラムの表面にスクレーパを設けたドラム型金属回収装置において、磁石ドラムは、非磁性ドラムの回転方向下流側の磁力を上流側の磁力よりも小さく設定したことを特徴とするドラム型金属回収装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例に係るドラム型金属回収装置について説明する。まず本実施例に係るドラム型金属回収装置に用いる非磁性ドラムの断面図を図1に示す。
図1において、水平方向に固定されたシャフト1を回転中心として、SUS304、ハイマンガンスティール等からなる円筒状非磁性ドラム2を配置し、この非磁性ドラム2の内部に、シャフト1を通る鉛直線に対して図中左側に磁石ドラム3がアーム4を介してシャフト1に固定されている。
【0008】
磁石ドラム3は、鉄鋼材料などの磁性体で構成される半円筒状ヨーク5と、軸方向に沿って磁石ドラム3の法線方向に着磁された第1の磁石6と、接線方向に着磁された第2の磁石7から構成されている。なお、第1の磁石6及び第2の磁石7には、Nd−Fe−B系希土類磁石(日立金属製HS−40AH)を用いている。
半円筒状ヨーク5は、その外表面が凸部5aと凹部5bを交互に等間隔で配置した歯車状の断面形状を有する。磁石ドラム3での非磁性ドラム2の回転方向上流側部分においては、凸部5aに第1の磁石6が配置され、凹部5bに第2の磁石7が配置されている。一方、回転方向下流側部分においては、凸部5aにのみ第1の磁石6が配置されている。
【0009】
非磁性ドラム2の回転方向上流側部分においては、隣接する第1の磁石6、6は磁界の方向が互いに逆方向となるように配置される。すなわち、例えば、一の第1の磁石6がN極を外側に向けて配置されている場合、それに隣接する第1の磁石6はS極を外側に向けて配置される。
一方、隣接する第2の磁石7、7は、2つの隣接する第2の磁石7、7に挟まれる第1の磁石6の外側に向けて配置された磁極と同極性の磁極が対向するように配置される。すなわち、例えば、一の第1の磁石6を挟んで配置される2個の第2の磁石7、7は、当該第1の磁石6がN極を外側に向けて配置されている場合には、ともに当該第1の磁石6側にN極を向けて配置される。
このように非磁性ドラム2の回転方向上流側部分においては、磁力線を半円筒状ヨーク5の外表面凸部5aに集中させる構造とし、また、第1の磁石6と第2の磁石7との反発力を利用することで高い磁力を得ることが可能である。
一方、非磁性ドラム2の回転方向下流側部分においては、半円筒状ヨーク5の外表面凸部5aにのみ第1の磁石6を磁界の方向が互いに逆方向となるように配置された構成とし、非磁性ドラム2の回転方向上流側部分よりも磁力を弱く構成している。
【0010】
つぎに本実施例に係るドラム型金属回収装置の概略断面図を図2に示す。
図2において、前述した非磁性ドラム2が、筺体8の内部に配置されている。
筺体8の上部には、粉粒体状の原料9を一旦溜めておくホッパー10が配置され、案内板11と、供給量を調整するダンパー12とにより原料9を非磁性ドラム2上に導く。また、筺体8の下部には、仕切部材13を介して、その両側に原料排出口14と、磁性金属異物排出口15とが設けられている。
【0011】
ホッパー10に投入された原料9は、非磁性ドラム2の頂上部近傍であって、頂上部よりもシャフト1を通る鉛直線に対して磁石ドラム4が固定されている領域側に導かれ、非磁性ドラム2の表面上を反時計方向に回転する非磁性ドラム2に沿って落下する。
非磁性体である原料9は磁石ドラム3から発生する磁界の影響を受けず、非磁性ドラム2の表面上を落下し、シャフト1を通る水平面近傍で非磁性ドラム2表面上から離脱し、原料排出口14から排出される。
【0012】
一方、原料9に混入した磁性金属異物16は、原料9が非磁性ドラム2の表面上を落下する間に、磁石ドラム3から発生する磁界に捕捉されて、非磁性ドラム2上に吸着されながら搬送される。
磁石ドラム3における非磁性ドラム2の回転方向上流側部分では、前述のように第1の磁石6と第1の磁石7とを配置し、磁石ドラム3の表面に300〜500mTと強力な磁力を発生させる構成としたことによって、磁性金属異物16が微小である場合や、弱磁性体からなる場合でも、非磁性ドラム2表面上に吸着させることが可能となる。また、一旦非磁性ドラム2表面上に吸着された磁性金属異物16が、非磁性ドラム2の表面上を落下する原料9によって剥離されることも防止できる。
【0013】
非磁性ドラム2表面上に吸着された磁性金属異物16は、非磁性ドラム2の回転に従って搬送され、磁石ドラム3が配置された領域の最下流端部に到達する。最下流端部においては、磁性金属異物16は磁石ドラム3の下流側に形成された磁力に拘束され滞留するが、非磁性ドラム2の表面上に軸方向の全長に亘って固定した突起部からなるスクレーパ17によって、シャフト1を通る鉛直線に対して図中右側の磁界の働かない領域まで押し出される。これによって、磁性金属異物16は磁石ドラム3の磁界から開放されて非磁性ドラム2表面より落下し、磁性金属異物排出口15から排出される。
本実施例のドラム型金属回収装置に用いる磁石ドラム3においては、非磁性ドラム2の回転方向下流側の領域では、前述したように第1の磁石6のみによって構成し、磁力を100〜300mTと上流側の領域よりも弱く設定している。これによって、磁性金属異物が細長形状の場合に、磁石ドラム3の磁界によって磁性金属異物16が起立した状態となっても、磁界による拘束力は弱いため、スクレーパ17の移動を乗り越えて磁石ドラム3の磁界に拘束される現象は起こりにくい。そのため、磁性金属異物16はスクレーパ17によって磁力の影響のない領域まで搬送することができ、粉粒体中の磁性金属異物を分離回収する効率を向上させることが可能となる。
【0014】
なお、磁石ドラム3において強力な表面磁力が必要となるのは、非磁性体である原料9が非磁性ドラム2の表面上を落下し、原料9に混入した磁性金属異物16を磁石ドラム3から発生する磁界によって捕捉し、非磁性ドラム2上に吸着する領域である。したがって、少なくとも原料9が非磁性ドラム2表面に接触する非磁性ドラム2の頂上部から非磁性ドラム2表面上から離脱するシャフト1を通る水平面近傍までの上流側領域について、磁石ドラム3の表面磁力を強力に構成する必要がある。
一方、磁石ドラム3において比較的小さな表面磁力とする必要があるのは、磁石ドラム3が配置された領域の最下流端部近傍である。したがって、少なくとも磁石ドラム3の最下流端部近傍を含んだ領域において磁力を小さく構成する必要がある。
【0015】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ドラム型金属回収装置に用いる磁石ドラムの磁力を上流側で強くし、かつ下流側で弱く構成することによって、粉粒体中に混入した磁性金属異物を分離回収する効率を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るドラム型金属回収装置に用いる非磁性ドラムの断面図
【図2】本発明の一実施例に係るドラム型金属回収装置の概略断面図
【図3】従来例のドラム型金属回収装置に用いられる非磁性ドラムの断面図
【符号の説明】
1…シャフト 2…非磁性ドラム
3…磁石ドラム 4…アーム
5…半円筒状ヨーク 5a…半円筒状ヨーク凸部
5b…半円筒状ヨーク凹部 6…第1の磁石
7…第2の磁石 8…筺体
9…粉粒体状の原料 10…ホッパー
11…案内板 12…ダンパー
13…仕切部材 14…原料排出口
15…磁性金属異物排出口 16…磁性金属異物
17…スクレーパ
Claims (1)
- 回転軸を水平に向けて円筒状非磁性ドラムを配置し、該非磁性ドラムの内部であって該非磁性ドラムの前記回転軸を通る鉛直線に対して左右いずれか一方の領域に、軸方向に延びた永久磁石を周方向に沿って外表面上に複数配置した半円筒状磁石ドラムを固定して配置し、前記非磁性ドラムの表面にスクレーパを設けたドラム型金属回収装置において、前記磁石ドラムは、前記非磁性ドラムの回転方向上流側では、前記磁石ドラムの法線方向に着磁された第1の磁石と接線方向に着磁された第2の磁石を交互に配置され、前記円筒状非磁性ドラムの回転方向下流側では、前記磁石ドラムの法線方向に着磁された第1の磁石のみが配置されたことを特徴とするドラム型金属回収装置。
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