JP3635254B2 - 粉体の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化鉄などを原料として、成形体を製造する方法と装置に関わる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄鉱石粉、砂鉄、転炉ダスト等の酸化鉄を含む粉体を成形して、鉄鋼生産の原料とすることは、従来から盛んに実施されている。還元鉄や銑鉄の生産は、製鉄用高炉、天然ガスを用いる直接還元法、ロータリーキルンで焼成還元する方法、回転炉床法による方法などがある。これらの方法では、一部に、粉体を流動床で直接使用する方法があるものの、多くの場合は、数mmから百mmのサイズの成形体を原料として用いる。
【0003】
たとえば、高炉法では、粉鉱石を回転パン式の造粒機で成形した球形のペレットを使用する。また、回転炉床法では、同様の方法で製造したペレットや粉体を凹状の窪みのあるローラーで圧縮して製造するブリケットなどを使用することが行われている。このように、鉄鋼原料を成形することは従来からも行われており、世界中に存在する粉状の鉄鉱石や鉄鋼ダストなどを原料とするためには重要な技術である。
【0004】
一方、粉体を成形する手段の中に、押し出し型の成形方法がある。この方法は、陶器用の粘土を練りこんで、円柱型の成形体を製造したり、廃棄物である焼却炉の灰を成形することに用いられている。一般的には、酸化鉄粉の成形に用いられていないが、焼却灰などの一部の微粒ダストの成形などに用いられることもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来から、粉体を経済的に成形する方法として、前述したパン式ペレット造粒法、ブリケット成形法に加えて、押し出し式の粉体成形法がある。前者の2方式は、含有水分が7〜14%程度の粉体を成形することに有利な方法である。しかしながら、浮遊選鉱法で回収された含水の微粒鉱石や鉄鋼の生産工程で発生する高炉ガスの湿ダスト、転炉ガスの湿ダストや、酸洗の中和スラッジ等の水分が多く、粒径が小さい。これらの粉体は、通常は、含水率が20〜50%あり、粒径が2〜45μmである。また、これらの粉体を、特に優秀な脱水機で脱水しても、含有水分は20〜30%程度にしかならないため、脱水後に、乾燥させる必要がある。
【0006】
例えば、特開平11−193423号公報に示されるように、湿潤粉体をパン式造粒機やブリケット成形機で成形するためには、これらの粉体を脱水後に、更に乾燥していた。つまり、この方法を実施するためには、まず、粉体を脱水した後に、さらに乾燥して、水分を7〜14%程度にすることにより、実施が可能となる。しかし、この方法では、乾燥のための専用装置が必要であり、設備投資費用が多くなるとともに、乾燥熱源などの操業費用が増加する問題があった。
【0007】
一方、押し出し成形方法は、このような微粒子で比較的水分を多く含む粉体の成形には優れた方法である。押し出し成形機では、スクリュー式やローラー式の押し出し装置で、金属性のプレートに設置してある貫通穴型から、湿潤粉体を押し出す成形機である。しかしながら、押し出し成形機では、従来技術では、粉鉄鉱石や高炉ガスの湿ダストのような形状が不規則で、硬質の粉体を成形するための良い処理方法がなかった。まず、従来技術では、この方式の装置では、酸化鉄を含む粉体の場合は、機内での湿潤粉体の練り込みが難しかった。つまり、成形条件が未確立であったため、成形機内部の粉体の流れが悪化して、内部での摩擦が過大になったり、また、逆に流動性が高すぎて、製造された成形体が形をなさない場合もあり、成形の条件設定が不十分であり、成形を安定して実施できない問題があった。
【0008】
さらに、これらの酸化鉄を含む粉体は非常に硬いことから、成形機内部の磨耗が大きく、成形を長く続けることができない問題もあった。特に、水分調整が不十分で内部摩擦が多い成形の場合は、この現象が顕著であった。ひどい場合は、100〜150時間の成形処理で、部品を交換する必要があった。
【0009】
つまり、酸化鉄粉体を押し出し型成形機で成形する場合に、装置の損耗を防止して、かつ、安定して形状の良い成形体を製造する方法や装置がなかった。このように、押し出し式成形機での酸化鉄粉の成形をする新しい技術が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その要旨とするところは、
(1)湿潤粉体を、原料供給口を有する金属製の容器に入れて、当該容器の内部でスクリュー式押し込み装置を用いてエンドプレートの複数の貫通穴型から押し出す成形方法において、酸化鉄の含有率が30質量%以上の鉄化合物の粉体を含む平均粒子径が2〜45μmであって15〜30質量%の水分含有率の粉体を当該成形機に供給し、かつ、スクリュー式の押し込み装置の動力を計測して、成形体の製造速度1Kg/分あたりの当該動力を0.2〜0.8キロワットの範囲の適正な目標値を設定して、当該目標値から実績値が外れた場合は、当該粉体の水分を調整することにより、空隙率が33〜55%の範囲の成形体を製造することを特徴とする粉体の成形方法。
(2)酸化鉄含有粒子として、粉鉄鉱石、高炉ガスの集塵ダスト、転炉ガスの集塵ダスト、電気炉の集塵ダスト、製鉄業で発生する集塵ダスト、製鉄業で発生する酸化鉄スラッジ粒子、酸洗等の工程からでる水酸化鉄粒子等のうちの1又は2以上の発生物を用いる前記(1)に記載の酸化鉄含有粉体の成形方法、
(3)スクリュー式押し込み装置の羽根表面、金属製容器の内面、および、エンドプレートの貫通穴型内部の表面の損耗が大きい部分の少なくとも一部を、硬度がビッカース硬度4ギガパスカル以上の材質で表面硬質加工している押し込み式成形装置を用いて、酸化鉄含有粉体を成形する前記(1)又は(2)に記載の酸化鉄含有粉体の成形方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明での酸化鉄の成形体の製造では、図1に示す装置を用いる。図1の装置には、ケーシング1があり、この上部に原料供給口2が存在する。ケーシング1は、胴部の形状が円筒形、又は、上下がほぼ平板で側壁が円弧状の樽を横にした形状をしている。この内部には、回転軸3に接続する押し込みスクリュー4がある。押し込みスクリュー4、回転軸3、および、押し込みスクリュー4は、1式又は2式あることが一般的な押し込み式成形装置の構成である。図中に記載はないが、回転軸には電動機が接続されており、この電動機で駆動する。図1には、これらが1式あるものの例を示した。ケーシング1の出口方向にあるエンドプレート5には、複数の貫通穴型6が存在する。この貫通穴型6から、湿潤粉体が押し出されて、円柱形又は多角柱形の成形体が形成される。
【0012】
処理方法としては、まず、水分を含む粉体を原料供給口2から供給する。供給は連続的に行う。原料は、押し込みスクリュー4の推進力により、エンドプレート5に複数設置されている貫通穴型6から押し出される。押し出された成形体は、コンベアなどで、後工程の乾燥装置、焼成装置、梱包装置に送られる。
【0013】
本発明では、酸化鉄を主体として、一部に金属鉄や水酸化鉄を含む粉体を原料として、成形する。原料粉体は、ペレット用粉鉱石、高炉ガスの集塵ダスト、転炉ガスの集塵ダスト、電炉ガスの集塵ダスト、鋼材の酸洗工程で発生する中和スラジなどである。これらの粉体は、平均粒径が2〜45μmの粉体である。
【0014】
これらの粉体は微粒であるとともに、硬質である。この粉体で含有水分が低い場合は、原料の流動が悪くなり、ケーシング1の内部での押し込みスクリュー4部分での摩擦が大きくなる。この結果、原料が出口方向に押し出されなくなる。また、酸化鉄などは硬度が高く、ケーシング1の内面、押し込みスクリュー4の表面、および、貫通穴型6の内面との接触磨耗が起きやすい。この磨耗現象は水分が低い場合に顕著になる。したがって、鉄化合物の粉体を成形する場合には、他の種類の粉体を用いる場合に比べて、特に、水分が低くならないようにすることが重要である。
【0015】
また、水分が多すぎる場合は、原料の流動性が高くなりすぎる問題が生ずる。この結果、ケーシング1の内部での原料の抵抗が小さいため、貫通穴型6でも抵抗が少なく、成形体の圧密が不十分となる。また、水分が多いことから、成形体が粘着しやすい。その結果、製造された成形体が互いに粘着する問題があることから、含有水分には上限もある。
【0016】
つまり、水分を適正値にコントロールして、流動性が適正な状態となるようにする。適正な水分であれば、成形装置内部での摩擦が過大とならず、また、成形体の水分不足の角欠けや水分過多の粘着などの現象が起きない。したがって、原料水分の調整は非常に重要である。
【0017】
そこで、本発明者らは、酸化鉄などの鉄化合物の粉体を成形する時の適正な原料水分比率の研究を行った。この結果、原料の粒径分布により、若干の差はあるものの、粒子の空隙率が35〜55%である状態で、水がこの粒子の集合体の空間を埋める比率で含まれていることが、押し出し成形装置に適した原料条件であることを解明した。粒子の空隙率が35%以下と密に詰まった粒子の集合体では、成形体の流動が悪かった。この限界値は、粉体の粒径によってことなることも解明した。水と酸化鉄等の粉体の比重差を考慮すると、この充填率に相当する粉体の含有水分は、15質量%以下に相当する。また、空隙率が55%以上では、粉体粒子間の相互作用が小さく、成形体の形状保持が困難になるとともに、空隙を埋める水分による粘着性が高くなる問題が起きる。
【0018】
実験結果の一部を図2と図3に示す。図2には、平均粒径が7μmの粉体を成形した結果、また、図3には、31μmでの結果を示し、図中に含有水分と成形可能な範囲の関係を示した。図2の結果では、粒径が小さいことから、比較的高い水分での成形が望ましい。この粉体では、水分が17質量%以下では、成形機内部で詰まり現象がおきた。一方、水分が17〜30質量%では成形が継続できた。また、成形体の圧密と形状も良く、成形が安定した速度で行われる水分範囲は、18〜27質量%であった。また、図3に示されるように、平均粒径が31μmと比較的粗い粒子の場合は、成形可能な範囲は、15〜28質量%で、安定して成形体が良好な範囲は、水分が17〜25質量%であった。このように、平均粒径によって、成形しやすい水分の範囲は異なる。また、図2と図3に記載されてい水分と比動力の関係については後述する。
【0019】
これらの実験結果のように、粒径が比較的小さく、平均粒径が3〜8μmの粒子の場合は、空隙率が40〜55%と高空隙率側であることが良い。この結果、空隙の間に入り込む、水分比率は高いことが望ましい。水分と鉄化合物の比重差を考慮すると、水分は18〜30質量%程度の範囲とする。次に、中程度の粒径である平均粒径が8〜20μmの粒子の場合は、空隙率が38〜53%であり、水分は16〜27質量%の範囲とする。また、粒径の大きい、平均粒径が20〜45μmの粒子の場合は、空隙率が35〜52%であり、水分は15〜25質量%の範囲とする。
【0020】
したがって、事前に平均粒径などの粉体の性状の分析をして、適正な水分比率を調査しておくことが重要である。これらのデータを基に、原料の粉体の水分を調整することにより、安定した成形操作が行える。
【0021】
成形機に供給する前の水分の調整方法としては、乾燥した粉体に水を添加して、所定の水分となるように調整する方法、乾燥した粉体と水分を多く含むスラリー又はスラジ状の粉体を混合して水分を調整する方法、さらに、水分を多く含み流動性のあるスラリーを脱水して所定の水分とする方法がある。なお、ここで、スラジとは水分を含み、粘着性のある粘土状のもので、例えば、水分が20〜40質量%のもの、また、スラリーとは水分が多く、攪拌可能なほど流動のある状態のもの、例えば、水分を55〜90質量%含むものを言う。
【0022】
成形中に、原料の性状が変化したり、脱水機の条件が変化することが原因で、粉体の水分が変動することがあり、これが成形操作の障害となる。その場合は、赤外水分分析計などの連続又は間欠的な水分測定ができる装置で、原料の粉体もしくは成形体の水分を測定する。測定の結果、水分が不足の状態であれば、分析値と目標値の差分から計算される値に基づき、水又は60質量%以上の水分を含む酸化鉄粉体スラリーを添加する。また、水分が過多の場合は、水分が10質量%以下の酸化鉄粉体を添加する。
【0023】
このような操作を行うことにより、成形装置の内部での湿潤粉体の流動性を適正に保てる。この結果、水分が不足した場合の問題である、成形時の内部部品、駆動モーターの過負荷、また、貫通穴型の詰まりの発生のない成形操作が行える。また、水分が多すぎて、流動性が過剰となる場合の成形体の粘着現象や圧密の不足した成形体しかできない問題も解決できる。
【0024】
この際の成形機の動力は、原料の成形速度(1分間あたりの湿潤状態の成形体製造量)の1kg/分に対する動力値(比動力と称す)、0.2〜0.8キロワット、また、図2と図3に示されるように、好ましくは、比動力が0.26〜0.6キロワットである。
【0025】
前述した方法である、水分を連続的に測定することは有効であるが、水分を連続計測することは難しい場合がある。この場合には、押し出しスクリュー5を駆動する電動機の電力値を計測して、この結果を基に、比動力を求め、原料の水分を調整することにより、成形に適正な水分値とすることができる。このように、成形機の動力(計測値としては、電動機の電流値を求めて判断する)を連続的に測定して、これを制御変数として、水分を制御することが良い。また、材料の粉体の粒径分布などの影響で、圧密状態を良くできない場合には、貫通穴型6のテーパーを調整することにより、適正な比動力とすることにより、形状や圧密の良い成形体を製造することができる。したがって、比動力を適正な値とすることが有効な方法である。
【0026】
酸化鉄などの粉体は特に硬質であるため、水分が適正である場合でも、原料と接触する部分の損耗が大きい。これらの部分の内で、特に損耗が大きい部分は、ケーシング1の内面、押し込みスクリュー4の羽の部分、および、貫通穴型6の内面である。この部分は、通常の鉄鋼材料、例えばS45C、の場合は、わずか200〜300時間の稼動で損耗が大きくなってしまい、部品の交換が必要となる。本発明者らは、磨耗の原因を究明するために、損耗した材料の表面観察を行った。この結果、この損耗の原因は、腐食などが起因の化学的損耗ではなく、酸化鉄などの粒子の研磨による物理的磨耗現象が要因であることを突き止めた。
【0027】
そこで、本発明者らは、この問題を解決するためには、これらの部分の表面を硬質材料でコーティングすることが良いと考えて、種々の材料で実験を行った。この結果、表面硬度が高い材料であれば、磨耗が少なく、部品寿命が長いことを見出した。各種の材料を実験した結果では、表面を硬質加工する材料の硬度をビッカース硬度(Hv)で、4ギガパスカル以上のものであれば効果があることが判明した。この実験結果のグラフを図3に示す。
【0028】
まず、このような機械に一般的に用いられている鉄鋼材料であるS45Cは、Hvが2.0である。この材質では、実際の操業の際には、貫通穴型6の寿命が200〜300時間のものである。この材質を磨耗速度調査の標準(指数100)として、S45Cの表面硬化を行った数種類の材料の磨耗速度を指数として表記した。 S45Cをコバルト・クロム・タングステンからなるステライトで肉盛りした材料(材料1:Hv=4.4GPa)、高炭素・高クロム鋼の肉盛り加工した材料(材料2:Hv=6.4GPa)、 タングステンカーバイドとニッケルクロムの混合物で肉盛りした材料(材料3:Hv=8.8GPa)、高炭素ニッケル・クロム鋼で肉盛りした材料(材料4:Hv=7.2GPa)、アルミナを接着した材料(材料5:Hv=10.6GPa)、サイアロン(アルミニウムと珪素の酸化・窒化物)を接着した材料(材料6:Hv=15.2GPa)、および、S45Cの表面を窒化した材料(材料7:Hv=9.2GPa)を磨耗試験した。この結果、材料1と材料2では、ほぼS45Cの1/4〜1/5の磨耗速度であった。また、 S45Cの磨耗速度に対して、磨耗速度が、材料3と材料4で約1/10、材料5、材料6、および材料7では、1/20以下であった。
【0029】
この実験の結果で、ビッカース硬度が4ギガパスカル以上の材質では、800時間以上の部品寿命が得られることが判明した。したがって、磨耗の大きい部分である、ケーシング1の内面、押し込みスクリュー4の羽の部分、および、貫通穴型6の内面には、このような材質で、表面硬化した材料を使用する。特に、セラミックス材料での表面硬化の効果が大きい。
【0030】
このように、酸化鉄等を含む粉体の水分を適正に保って、押し出し式成形装置に供給することにより、安定して形状の良い成形体を製造する。本発明の方法を用いることが有効である条件としては、特に硬質である酸化鉄の含有率が30質量%以上の粉体を使用する場合である。これ以下の酸化鉄混合比率であっても、本発明は有効であるが、酸化鉄が30質量%以上の場合は特に有効な方法である。また、同様に硬質な粉体である粉コークスを混合してある場合は、本発明は特に効果が大きい。粉コークスの混合比が5質量%以上である場合にも効果が大きい。
【0031】
また、成形方法の項で述べた、図1の装置構成を基本とするとともに、ケーシング1の内面、押し込みスクリュー4の羽根の部分、および、貫通穴型6内面の材料表面のビッカース硬度を4ギガパスカル以上としてある成形装置も本発明の範囲である。この成形装置は、適正な水分比率の酸化鉄を含む粉原料を成形する際に、これらの部品寿命が長く、稼働率の高い装置となる。したがって、本発明は、これらの部品の表面高度を4ギガパスカル以上としたスクリュー押し込み型成形機を含むものである。この成形装置は、鉄化合物の中でも特に硬質の酸化鉄を含む粉体の成形に特に効果的なものである。
【0032】
【実施例】
本発明の装置である図1に示される成形装置を用いて、酸化鉄粉を含む湿潤粉体を成形した。装置の押し出しスクリュー5の羽根の表面と貫通穴型6の内面を、アルミナを接着して表面硬化した装置と実施例の成形操作に用いた。押し出しスクリュー5の直径は800mm、エンドプレートの内部径は900mmであった。出口内径が20mmの貫通穴型6を72個設置した。動力モーターは最大105キロワットのもので、成形体の製造速度(wet値)は、最大で毎分120kgであった。
【0033】
この成形結果を表1に示す。実施例1と2、比較例1と2の成形に用いた原料は、転炉ガスダスト、高炉ガスダスト、粉コークスの混合物であり、平均粒径は、7μmであった。実施例3の原料は、粉鉱石と粉コークスを混合したものであり、比較的粒径が大きいものった。
【0034】
混合した粉体に水分を添加して、湿式混合装置で均一に混合した原料を成形した。この結果、実施例1と2では、適正な水分範囲であるため、詰まり現象も起きずに、安定して一定速度で成形を継続できた。しかし、比較例1では、水分は低すぎたため、成形中に詰まり現象が多発して、継続的に成形を行うことができなかった。また、成形体の表面に凹凸があり、これがすぐに欠落して、粉となる現象が発生した。一方、比較例2では、水分が多すぎたため、成形操作は順調であったが、成形時の貫通穴型6での抵抗が少なすぎて、成形体の圧密が不足していた。この結果、搬送のベルトコンベア上で成形体が互いに粘着する問題が起きた。このように、本発明の水分範囲を外れると、成形操作が不安定になることや、成形体の形状等の問題があった。また、粒径の粗い原料の成形である実施例3でも、水分を23%と良好な範囲とすれば、問題なく成形できた。
【0035】
【表1】
【0036】
また、磨耗の大きい部分をアルミナで硬化処理した本発明の装置と硬化処理を全くしていないS45Cをそのまま使用している従来装置を比較した。この結果、通常の材料であるS45Cを用いた装置での処理の場合は、押し出しスクリュー5の羽根部の寿命は270時間であったのに対して、本発明の装置では、3800時間と15倍以上の寿命となった。また、貫通穴型6の寿命も、従来装置で、320時間であったものが、4000時間とこれも10倍以上の寿命となった。
【0037】
【発明の効果】
本発明を実施することにより、押し出し式成形装置を用いて、酸化鉄などの鉄化合物を含む粉体を安定して、かつ、良好な形状と圧密状態の成形体を製造することができる。また、押し出し式成形機の内部の損耗の大きい部分の部品寿命を延ばすこともできた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するスクリュー押し込み式の湿潤粉体の成形装置の図である。
【図2】平均粒径が7μmの酸化鉄を含む粉体を成形する際の成形可能範囲と成形時の電動機の比動力を示す図である。
【図3】平均粒径が31μmの酸化鉄を含む粉体を成形する際の成形可能範囲と成形時の電動機の比動力を示す図である。
【図4】図1に示す装置の磨耗が大きい部分での磨耗速度と材料のビッカース硬度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 原料供給口
3 回転軸
4 押し込みスクリュー
5 エンドプレート
6 貫通穴型
Claims (3)
- 湿潤粉体を、原料供給口を有する金属製の容器に入れて、当該容器の内部でスクリュー式押し込み装置を用いてエンドプレートの複数の貫通穴型から押し出す成形方法において、酸化鉄の含有率が30質量%以上の鉄化合物の粉体を含む平均粒子径が2〜45μmであって15〜30質量%の水分含有率の粉体を当該成形機に供給し、かつ、スクリュー式の押し込み装置の動力を計測して、成形体の製造速度1Kg/分あたりの当該動力を0.2〜0.8キロワットの範囲の適正な目標値を設定して、当該目標値から実績値が外れた場合は、当該粉体の水分を調整することにより、空隙率が33〜55%の範囲の成形体を製造することを特徴とする粉体の成形方法。
- 酸化鉄含有粒子として、粉鉄鉱石、高炉ガスの集塵ダスト、転炉ガスの集塵ダスト、電気炉の集塵ダスト、製鉄業で発生する集塵ダスト、製鉄業で発生する酸化鉄スラッジ粒子、酸洗等の工程からでる水酸化鉄粒子のうちの1又は2以上を用いることを特徴とする請求項1に記載の酸化鉄含有粉体の成形方法。
- スクリュー式の押し込み装置の羽根表面、金属製の容器の内面、および、エンドプレートの貫通穴型の内部表面の少なくとも一部を、硬度がビッカース硬度4ギガパスカル以上の材質で表面硬質加工している押し込み式成形装置を用いて、酸化鉄含有粉体を成形することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化鉄含有粉体の成形方法。
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