JP3632566B2 - 回転電機の冷却構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転電機の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
1つのステータで2つのロータを回転させる手段として、例えば、特開平11−275826号公報に示す回転電機が知られている。
【0003】
回転電機の概要は、ステータコアが複数に分割された分割コイル型ステータの内側に第1ロータが、分割コイル型ステータの外側に第2ロータが同心円にそれぞれ回転自在に配置された三層構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
回転電機を三層構造とする目的の1つにコンパクト化があげられるが、反面、熱の発生源となるステータは内側に第1ロータが、外側に第2ロータがそれぞれ配置され、挟まれた構造になっていることと、両サイドはケースによって取囲まれるため、ステータからの熱がこもり易く冷却効率の面で望ましくなかった。
【0005】
そこで、この発明は、ステータから発生する熱を効率よく外へ逃がすことのできる回転電機の冷却構造を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明の請求項1にあっては、ステータコアが複数に分割された分割コイル型ステータの内側に第1ロータを、分割コイル型ステータの外側に第2ロータを同心円にそれぞれ回転自在に配置した三層構造の回転電機において、前記分割コイル型ステータの軸方向両端を、非磁性体で、熱伝導性の良い材質によって形成されると共に、前記ステータコアとステータコアに配置される保持体を備えたステータ支持部材によって支持する。
【0007】
また、この発明の請求項2にあっては、ステータ支持部材に、冷却媒体が流れる通路を設ける。
【0008】
また、この発明の請求項3にあっては、ステータコアとステータコアの間を分割する保持体を、ステータ支持部材と一体または別体で作る。
【0009】
また、この発明の請求項4にあっては、ステータ支持部材から保持体までの全領域にわたって、冷却媒体が流れる通路を備えるようにする。
【0010】
また、この発明の請求項5にあっては、ステータコアに巻き付けられたコイルを、ステータ支持部材及び保持体の領域にわたって密着させる。
【0011】
また、この発明の請求項6にあっては、ステータコアを固定する固定ボルトの貫通孔をシール部材によりシール処理し冷却媒体が流れる通路とする。
【0012】
また、この発明の請求項7にあっては、ステータコアを、ステータ支持部材及び保持体に密着させる。
【0013】
【発明の効果】
この発明の請求項1によれば、保持体は拡い接触面積を備えた熱伝達手段として機能し、ステータから発生する熱は、保持体からステータ部材へ、あるいは直接ステータ支持部材へ伝わるようになる。この時、熱伝導性の良い材質によって効率の良い熱伝達が行われ、ステータ支持部材からの放熱により内部の熱を迅速に外へ逃がすことができる。
【0014】
この発明の請求項2によれば、通路を流れる冷却媒体との間で行われる熱交換と、ステータ支持部材からの放熱とにより内部の熱を効率よく外へ逃がすことができる。
【0015】
この発明の請求項3によれば、ステータコアからの熱を保持体を介してステータ支持部材へ伝達し、放熱することができる。
【0016】
この発明の請求項4によれば、ステータ支持部材から保持体の全領域にわたって流れる冷媒媒体により熱交換が行われるため、ステータからの熱を効率よく冷却する。
【0017】
この発明の請求項5によれば、コイルからの熱は、伝熱面積の大きな保持体を介してステータ支持部材へ、又は直接ステータ支持部材へ効率よく伝達され、ステータ支持部材による放熱によって内部の熱を円滑に外へ逃がすことができる。
【0018】
この発明の請求項6によれば、冷却媒体が流れる専用の通路を作らなくて済むと共に、効率のよい熱交換が可能となり、ステータからの熱を冷却する。
【0019】
この発明の請求項7によれば、ステータコアからの熱は伝熱面積の大きな保持体を介して、また、ステータ支持部材へ直接伝達されるようになり、ステータ支持部材による放熱によって効率よく外へ逃がすことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図5の図面を参照しながらこの発明の実施形態について具体的に説明する。
【0021】
図1は回転電機の断面図を示しており、回転電機1のケース3内には、ステータ5と第1、第2ロータ7,9とを備えている。第1ロータ7はステータ5の内側に、第2ロータ9はステータ5の外側にそれぞれ同心円に配置された三層構造となつている。
【0022】
第1ロータ7は、ケース3の中心に配置された第1回転軸11に装着されている。第1回転軸11の一方は後述するロータケース13に装着されたフロントロータケースベアリング15によって、他方はケース3に装着されたニードルベアリング等のリヤケースベアリング17によって回転自在に両端支持されている。
【0023】
ステータ5は、図2,図3に示すようにステータコア5Aが所定の間隔で配置された分割コイル型ステータとなっていて、図1に示すようにステータ5の一方の端部はフロント側のステータ支持部材19によって、他方の端部はリヤ側のステータ支持部材21によって両端支持され、ステータ5と各ステータ支持部材19,21の三者は固定ピン22によって一体に結合されている。
【0024】
ステータコア5Aは、図2に示すように頭部23と胴部25と基部27とから成り、胴部25にはコイル29が巻き付けられた構造となっている。
【0025】
ステータコア5Aとステータコア5Aの間には、リヤ側のステータ支持部材21からフロント側のステータ支持部材19へ向けて一体に延長された保持体31が配置され、ステータコア5A間を正しく分離する分割機能と、熱を各ステータ支持部材19,21へ迅速に伝達する機能とを有している。
【0026】
フロント及びリヤ側のステータ支持部材19,21は、非磁性体で、アルミ等の熱伝導性のよい材質で作られている。ステータコア5Aの頭部23、胴部25の一部分及び基部27は前記保持体31と長手方向に沿ってそれぞれ密着し、広い熱伝達面積が確保されている。また、ステータコア5Aの両端はフロント側及びリヤ側のステータ支持部材19,21と密着し、さらにコイル29は、保持体31及び各ステータ支持部材19,21と密着し合うことで、ステータ5及びコイル29からの熱が円滑に保持体31及びステータ支持部材19,21に伝達されるようになっている。
【0027】
ステータ5とフロント及びリヤ側の各ステータ支持部材19,21はリヤ側となるケース3の側壁から延長された複数の固定ボルト33によってケース3に固定支持されている。
【0028】
固定ボルト33が挿入されたリア側及びフロント側のステータ支持部材19,21の貫通孔と、ステータコア5Aの基部27とによって形成される貫通孔とは、合成樹脂等から成るシール部材によって連続し合うスリーブ状にシール処理され、固定ボルト33の外周を冷却媒体が流れる通路35に形成されている。
【0029】
この通路35は、前記保持体31内に設けられた通路37と連絡通路39を介して連通し合い、図3点線矢印で示すように、供給口41からの冷却媒体が、下側の通路35から上側,上側の通路37,37の順に流れた後、下側,下側の通路35,35の順に流れ、再び、上側、上側の通路37,37の順に流れを繰り返すことで、最終の取出口43へ流れるようになっている。
【0030】
なお、保持体31は、リヤ側のステータ支持部材21と別体の形状でもよい。また、図6に示すように冷却媒体が流れる通路37を省略した形状であってもよい。
【0031】
第2ロータ9は、ケース3の内側に配置されたロータケース13の内側に装着支持されている。ロータケース13の一方となるフロント側の外側軸受部45及び内側軸受部47の内、外側軸受部45は、ケース3に装着されたフロントケースベアリング49によって回転自在に支持されている。外側軸受部45には第2回転軸51がスプライン嵌合によって一体に結合され、一対のベアリング53によってケース3に回転自在に支持されている。
【0032】
第2回転軸51は、中空軸となっていて、内部には、前記第1回転軸11のフロント側の軸端部が延長され、2重軸の形状となっている。
【0033】
一方、内側軸受部47は、外周側がフロント側のステータ支持部材19に装着されたフロントステータベアリング55によって内周側が前記フロントケースベアリング15によってそれぞれ回転自在に支持されている。
【0034】
したがって、第2ロータ9によりロータケース13が回転することで一体に第2回転軸51の回転が可能となっている。
【0035】
なお、ステータ5のコイル29には、図外の制御部によって、前記第1,第2ロータ7,9の数と同数の回転磁場が発生するよう複合電流が流れるようになっている。
【0036】
このように構成された回転電機1によれば、コイル29に複合電流を流すことで、第1,第2ロータ7,9の内、一方を駆動モータとして、他方を発電機としてそれぞれ運転できるようになる。この場合、保持体31は、熱伝達手段として機能するため、ステータコア5A及びコイル29からの熱は、保持体31を介してフロント及びリヤ側の各ステータ支持部19,21へ迅速に、あるいは、直接各ステータ支持部材19,21に伝達される。この時、ステータコア5A及びコイル29は保持体31及び各ステータ支持部材19,21と拡く密着し合うため、効率のよい熱伝達が行なわれると共に、各ステータ支持部材19,21において放熱が行なわれる。
【0037】
一方、熱はステータコア5Aの内部を流れる冷却媒体との間で熱交換が行なわれ、冷却される。また、熱伝導性の良い材質で作られたステータ支持部材19,21による放熱と相俟って内部の熱を迅速に外へ逃がすことができる結果、冷却効率の大幅な向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる回転電機の概要切断面図。
【図2】一部分の保持体とステータコアを示した概要斜視図。
【図3】フロント側のステータ支持部材の概要断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】リヤ側のステータ支持部材の図4と同様の断面図。
【図6】保持体に通路を省略した図4と同様の断面図。
【符号の説明】
5 ステータ
5A ステータコア
7 第1ロータ
9 第2ロータ
19,21 ステータ支持部材
31 保持体
Claims (7)
- ステータコアが複数に分割された分割コイル型ステータの内側に第1ロータを、分割コイル型ステータの外側に第2ロータを同心円にそれぞれ回転自在に配置した三層構造の回転電機において、前記分割コイル型ステータの軸方向両端を、非磁性体で熱伝導性の良い材質によって形成されると共に、前記ステータコアとステータコアの間に配置される保持体を備えたステータ支持部材によって支持することを特徴とする回転電機の冷却構造。
- ステータ支持部材は、冷却媒体が流れる通路を有していることを特徴とする請求項1記載の回転電機の冷却構造。
- ステータコアとステータコアの間に配置される保持体は、ステータ支持部材と一体または別体で作られていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の回転電機の冷却構造。
- ステータ支持部材から保持体までの全領域にわたって、冷却媒体が流れる通路を備えていることを特徴とする請求項1,2,3のいずれかに記載の回転電機の冷却構造。
- ステータコアに巻き付けられたコイルは、ステータ支持部材及び保持体の領域にわたって密着していることを特徴とする請求項1記載の回転電機の冷却構造。
- ステータコアを固定する固定ボルトの貫通孔をシール部材によりシール処理し冷却媒体が流れる通路とすることを特徴とする請求項2記載の回転電機の冷却構造。
- ステータコアは、ステータ支持部材及び保持体と密着していることを特徴とする請求項1記載の回転電機の冷却構造。
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