JP3632158B2 - 記録信号電流設定方法及び信号記録装置 - Google Patents

記録信号電流設定方法及び信号記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【目次】
以下の順序で本発明を説明する。
発明の属する技術分野
従来の技術(図14〜図18)
発明が解決しようとする課題(図14、図19〜図22)
課題を解決するための手段(図3)
発明の実施の形態(図1〜図13)
発明の効果
【0002】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録信号電流設定方法、信号記録装置及び磁気記録媒体に関し、例えばビデオテープレコーダで最大振幅の再生信号を得る記録信号電流の最適値を磁気ヘツドに設定する際に適用し得る。
【0003】
【従来の技術】
従来、ビデオテープレコーダは、一般に搬送波をビデオ信号で周波数変調した高周波信号を回転ヘツドで磁気テープに記録する。高周波信号は、ヘツドに与える記録信号の電流が増加するに従つて、磁気テープの磁性層に強く記録される。磁性層の残留磁化は起磁力が増加するに従つて増大し、磁性層内の記録波長単位の記録プロセスの概念である、記録信号波長に対応した波長単位の磁化領域(以下、磁化領域という)は深くなる。磁気テープ表面に出る磁束は、残留磁化により増大して、再生信号は増加する。
【0004】
ところが、記録信号がある最適な強度を越えて起磁力が強くなると、磁化領域が深くなり過ぎる。即ち、磁性層内部の磁化領域の中心が深くなり過ぎる。この現象は、等価的に、同一の記録信号をある最適な強度で記録したときの磁化領域に比して厚く(太く)短い磁化領域を形成したことになる。
これにより、記録信号がある最適な強度を越えると、磁化領域自体に働いている減磁界によつて、起磁力が磁化領域内で閉ループを形成する。従つて、磁気テープ表面に出る磁束は、記録電流がある値を越えると、かえつて減少してゆく。
【0005】
テープ表面に出る磁束が最大となり、再生のときにヘツドで最大出力信号レベルを得るように、最適な信号記録強度となる起磁力を記録ヘツドに発生させる電流値を設定することが、記録電流の最適値の設定である。このときの記録電流値と再生出力レベルとの関係を表す特性曲線を最適記録電流特性曲線と呼ぶ。
また飽和記録とは、記録媒体である磁性体に記録された信号が、その記録のときの磁化信号に比して強力な記録信号で新たに磁化され、ほぼ消去されてしまう強度の信号記録をいう。
【0006】
記録媒体に塗布した磁性粉の保磁力Hcが低い 1/2″幅の酸化鉄テープを使用し、記録波長が比較的長い通常のビデオテープレコーダにおいて最適記録電流特性曲線を得るには、2つの方法があつた。第1の方法では、磁気テープを走行させ、先行する消去ヘツドで消去して複数の測定記録段階を順次一定期間づつ記録信号をレベルを変えて記録し、磁気テープを巻戻す。この後、磁気テープを走行させて対応する複数の再生測定段階を順次一定期間づつ再生信号の再生出力レベルを測定する。第2の方法では、磁気テープを静止し記録一時停止状態に保持して、各測定段階毎に毎回重ね書き記録して再生出力レベルを測定する。
【0007】
図14及び図15に示すように、第1及び第2の方法は、どちらも記録電流を各記録測定段階毎に段階的に増加させて測定対象のヘツドに印加し、この再生出力レベルを各再生測定段階毎に逐次検出測定して、再生出力レベルの極大値、即ち最大値となる最適な記録電流値を測定及び検出して設定する。
因みに、図14は、第1の方法において回転ドラムに例えば第1及び第2チヤンネルで対となるヘツドが設けられており、それぞれのヘツドが異なるトラツクを走行することを示す。また図15は、第2の方法において異なるヘツドが同一トラツクに異なる時刻に記録及び再生することを示す。
【0008】
一方、図16に示すように、音声信号を記録する音声用ヘツド1が画像用ヘツド2と別個に回転ドラム3に設けられ、音声信号を磁気テープの磁性層の深層にFM記録するビデオテープレコーダがある。この種のビデオテープレコーダにおいては、第3の方法が考えられる。図17に示すように、第3の方法では、音声信号を音声用ヘツド1で深層にFM記録した後、画像信号を画像用ヘツド2で表層に重ね書き記録する。この後、深層にFM記録した音声信号の消去レベルを測定する。
【0009】
例えば、図18に示すように、重ね書き記録する画像信号の記録電流に対する再生出力レベルの特性曲線4が明確な単一の極大値を示さず、ほぼ平坦な最大値を示す場合にも、画像用ヘツド2の記録信号強さに対応する記録深さの増加を、先に記録した音声信号の重ね書き記録による消去レベルを示す特性曲線5によつて判断できる。
これにより、第1の方法と併せて、記録信号強さをより正しく判断して、常に最適な深さで記録する記録電流を設定できるとの考えがあつた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述の第1の方法においては、磁気テープが走行した状態で測定する。このため、第1の方法は、記録走行、巻戻し、再生走行の動作が必要となる分、第2の方法(静止状態での測定)に比して測定時間が長くかかるという問題があつた。
即ち、第1の方法は、測定に必要な記録時間、巻戻し時間及び再生測定時間に加えて、磁気テープを走行させる機械構造系の記録、巻戻し、巻戻しから再生への状態遷移時間が必要となる。また機械構造系を制御するソフトウエアによつて測定のためにトラツク単位で精密に走行位置を合わせる同期制御の時間も必要となる。
【0011】
このため、図14に示すように、測定用トラツクを含む複数のトラツクに記録して、測定記録開始点まで巻き戻す制御精度の不足に予め備えることが考えられる。このとき、例えば第1及び第2チヤンネルで対となるヘツドには、通常使用の信号記録と同様に段階的に測定する記録電流が第1及び第2のヘツドにほぼ同レベル印加されていた。この場合でも、余分のトラツクに記録する分、測定時間がかかることになる。
因みに、制御誤差が±2トラツク以上なら、上記測定対象トラツクと、制御誤差があつた時の予備の測定トラツクを含めて5トラツク以上に同一信号を記録する必要がある。
【0012】
さらに第1の方法は、磁気テープが走行する際、テープ走行支持系の摩擦、振動、磁気テープとヘツド及びドラムとの間に形成される空気層の厚さの変動の増加、ドロツプアウトの多発等により、再生出力レベルの測定値が変動すると共に妨害ノイズ等が増加するという障害が発生する。
このため、図14に示すように、第1の方法は、同一レベルで記録した多くの観測点を再生して平均化、演算及び推定して、この障害の影響を除去する必要があり、これによつても測定時間が長くかかつた。
【0013】
次に、上述の第2の方法(磁気テープが静止した状態での測定)において、例えば第1及び第2チヤンネルで対となる第1及び第2のヘツドが回転ドラムに設けられており、それぞれのヘツドが第1又は第2の傾斜アジマス角度で記録及び再生する場合を考える。このとき、第1のアジマス角度の第1のヘツドと、第2のアジマス角度の第2のヘツドとには通常の信号記録と同様に各測定段階毎に測定する記録電流が第1及び第2のヘツドにほぼ同レベル流されて交互に記録されいた。この場合、磁性粉の保磁力Hcが低いと、今回の測定段階の第2のアジマス角度の第2のヘツドの記録により、前回測定段階で記録した第1のアジマス角度の第1のヘツドの記録信号は大半が重ね書き消去されてしまい、第1チヤンネルの第1のヘツドで毎回重ね書きしても、前回の記録信号により同一トラツク上で再生される同一の第1のアジマス角度の残留信号レベルは比較的弱い。これにより、後段階の記録信号の再生レベルに対する前回の記録信号の影響の問題は少なかつた。
【0014】
これに対して、短波長信号高密度記録に対応した磁気記録媒体である高画質用高性能酸化鉄テープやメタル粉テープのように、磁性粉の保磁力Hcが十分高いと、重ね書き後、前回の記録信号による同一アジマス角度の残留信号レベルが強くなつて、後段階の記録信号の再生レベルが残留信号レベルに顕著に影響される問題があつた。
図19に示すように、特に、記録電流が小さい段階で記録、再生及び測定すると、各測定段階毎に毎回重ね書き記録した前回の記録が十分に消去されず、前回の記録信号の同一アジマス角度の残留信号が現在の記録信号と共に再生される。
【0015】
このため、図20の上側の実線の特性曲線6に示すように、再生した現在の記録信号の測定レベルは残留信号と相互に干渉して、特に、記録電流が小さい段階での再生信号出力レベルの測定に誤差が生じる。従つて、平均化、演算等で処理しても誤差は残り、正確な測定ができないという問題があつた。
このため、上記従来の第3の方法の考えのように、記録の強さを測定対象の第1のヘツドと対となる他方の第2のヘツドで記録された信号の第1のヘツドによる重ね書き消去を受けた消去量を知ることで、第1のヘツドの記録信号強さである記録深さを知り、より正確に測定することが考えられる。
【0016】
ところが、図20の破線の特性曲線7に示すように、第2のアジマス角度の第2のヘツドの再生出力レベルは、本来の測定対象の第1のアジマス角度の第1のヘツドによる記録強さが第2のヘツドに比べて小さいかほぼ同等の場合には重ね書き消去が十分に行えない。このため前回測定のときに記録した第2のアジマス角度の第2のヘツドの記録信号の残留信号に干渉されて、特に、記録電流が小さい段階での重ね書き消去された第2のヘツドの再生信号出力レベルの測定に誤差が生じる。また本来の測定対象の第1のヘツドによる記録の強さが、他方の第2のヘツドに比して常に大きい場合には、他方の第2のヘツドによる記録強さが小さいため、続いての第1のヘツドによる重ね書き記録消去により第2のヘツドの記録信号は概ね消去され、記録信号が常に消去された微小信号レベルの状態となる。
このため、図20の下側の実線の特性曲線8に示すように、他方の第2のヘツドによる再生出力は測定対象の第1のヘツドによる記録の強さとほとんど関係なくなる。従つて、測定対象の第1のヘツドによる記録の強さを他方の第2のヘツドで測定する方法はこの従来の第2の方法においては定量的な測定に使用することは不可能であつた。
【0017】
ところで、上述したように、ヘツドによる記録信号レベルを増加するに従つて波長単位の磁化領域の中心が深くなり、テープ磁性層内部で生じる自己減磁力が増加して、一般に、記録信号レベルがある最適な強度以上になると再生出力レベルはかえつて減少する。ところが、磁性粉の保磁力Hcが高い場合や、蒸着型テープの磁性体構造のように、磁性体が斜めや垂直に配向されて密に起立し磁性層が薄い場合等では、減磁力の増加が難しいことがある。このため、記録信号レベルがある最適な強度以上になつても、再生出力レベルの減少が発生することが難しい場合がある。
【0018】
一方、メタル粉テープに記録するヘツドには、ヘツドギヤツプ内壁面に強い起磁力を発生する高透磁率膜が、最適な記録電流で最適な強度の起磁力を効率的に発生するほぼ丁度の厚さに形成されているものがある。この構造のヘツドでは、さらに強力な記録電流を加えてもギヤツプ中の磁界が飽和して過強度の起磁力を発生することが難しいことにより、一層深く記録することが難しい。このため、最適記録電流を越えて記録電流を大きくして記録しても再生出力レベルの減少が生じ難い場合がある。因みに、高透磁率膜を厚くすると、高透磁率膜材料の量を多く使用し、またヘツドの加工が難しく、このためコストが上昇する。
【0019】
これは、図21に示すように、記録電流を段階的に増加して測定して得た特性曲線9が、最適記録電流に到達する手前でほぼ平坦な特性に移行することを意味する。とりわけ、磁性層の構造、磁気特性が塗布型テープと異なる蒸着型テープに対して、上記構造のヘツドで記録する場合は最適な記録電流値を越えて記録してもヘツドで検出する再生出力レベルがほとんど減少しない場合もある。
【0020】
また平坦な特性のなかに前回の測定結果での測定残留信号が今回の記録された再生測定信号と同一アジマス角度の信号同士で干渉をおこし、僅かな再生出力変動による再生出力レベルの極大値が複数現れる場合もある。このように最適な記録電流値付近の再生出力レベルがほぼ平坦であつたり、複数の極大値が現れる場合の測定には、高い観測精度が必要であると共に、測定値を数値処理して推定することが必要である等、測定が煩雑となるという問題があつた。
これは最適な記録電流を設定する際に大きな支障となつていた。
【0021】
次に、上述の第3の方法においては、図22に示すように、音声用ヘツド1の下エツジと画像用ヘツド2の下エツジとの間には、回転ドラム3の回転軸方向の取付け段差が存在する。これは、音声用ヘツド1と画像用ヘツド2とがドラム3の回転方向に数°〜数10°先行するように取り付けられ、走行している磁気テープの同一トラツク上に記録する必要があるためである。
【0022】
このため、第3の方法で磁気テープを静止して記録及び再生すると、音声用ヘツド1と画像用ヘツド2とのトラツク軌跡は一致しない。従つて、第3の方法では、必ず磁気テープを走行させて、記録、巻戻し及び再生して測定することが必要となり、従来の第1の方法と同じく静止状態での測定に比して時間が長くかかると共に、測定対象である画像用ヘツドとは異なる音声用ヘツドを使用するため、測定対象の記録信号とは特性の異なる間接的な信号の測定結果を使用することとなるので却つて測定誤差を含み易くなり、また機構制御的に複雑になる欠点があつた。
【0023】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、任意の記録特性を有する磁気記録媒体及び記録再生ヘツドを組み合わせても、再生出力レベルが最大となる記録信号電流の大きさを短時間で精度良く設定して記録し得る記録信号電流設定方法及びその方法を使用する信号記録装置を開示し、この信号記録装置によつて最適な記録信号電流で記録して、より高出力高品質にバランスのとれた映像信号などのソフト記録済磁気記録媒体を得られることを提案しようとするものである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、同一回転面上に取り付けられた相互にアジマス角度が異なる対の記録再生ヘツドを有するヘリカルスキヤン方式のヘツドシリンダで記録信号電流の値を制御して記録信号を第1のアジマス角度の第1の記録再生ヘツドで磁気テープに記録し、記録信号の再生出力レベルを測定して得た第1の測定結果に基づいて、再生出力レベルが最大となる記録信号電流の値を設定する記録信号電流設定方法において、記録しようとする磁気テープを記録開始待ちの停止状態に制御する第1の処理と、第1の記録再生ヘツドと取付段差がなく同一回転面上の対となる位置に取り付けられた第1のアジマス角度と異なる第2のアジマス角度の第2の記録再生ヘツドで磁気テープ上の同一トラツクを使い回転対の先行する第2の記録再生ヘツドの記録信号を最大記録電流に設定してトラツクにほぼ飽和記録する第2の処理と、記録信号電流の値を最大記録電流の値以下の値に制御し、第2の処理によりほぼ飽和記録された記録信号に重ねて、回転対の後行する第1の記録再生ヘツドで複数の異なった信号記録電流の一つを選択してトラツクに記録する第3の処理と、第1及び第2及び第3の処理により記録開始待ちの停止状態で重ねて記録した後の残留した記録信号の再生出力レベルを先行する第2の記録再生ヘツドで測定する第4の処理と、第3の処理により重ねて記録した記録信号を後行する第1の記録再生ヘツドで再生して再生出力レベルを測定する第5の処理と、第2及び第3及び第4及び第5の処理を測定段階毎に繰り返し、当該第5の処理で得た第2の測定結果と、当該第4の処理で得た第3の測定結果とに基づいて、第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定する第6の処理とを行うようにした。
【0025】
このように磁気テープを記録開始待ちの停止状態にし、第1の記録再生ヘツドと取付段差がなく対である第2の記録再生ヘツドにより、記録がほぼ飽和する最大記録電流の記録信号を磁気テープのトラツクに先行記録して、それまでに同一トラツクに記録されていた記録信号を重ね書き消去し、この後、同一トラツク上をトラツキングする第1の記録再生ヘツドに測定段階毎に最大記録電流の値以下で段階的に変化する記録信号電流を与えて重ね書き記録することにより、磁気テープの走行時に発生するノイズの影響や、磁気テープ上の特性のばらつきによる影響等を受けずに、第2の記録再生ヘツドで記録した記録信号は第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の記録深さに比例して確実に消去される。従つて、第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルを正確に測定できる。これにより、任意の記録特性を有する磁気テープ及び記録再生ヘツドを組み合わせても、再生出力が最大となる記録信号電流の大きさを従来と比して一段と短時間でかつ精度良く測定できる。
【0026】
また本発明においては、第1のアジマス角度で記録及び再生する第1の記録再生ヘツドと、第1の記録再生ヘツドに対応して記録信号電流の値を調節する第1の記録信号電流値調節手段と、記録信号を第1の記録再生ヘツドによつて磁気テープに記録する第1の記録手段と、磁気テープに記録された記録信号を第1の記録再生ヘツドによつて再生する第1の再生手段と、磁気テープに第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルを測定した第1の測定結果を出力する再生出力レベル測定手段と、第1の測定結果を記憶する測定結果記憶手段と、第1の記録信号電流値調節手段と第1の記録手段と第1の再生手段と再生出力レベル測定手段とを制御する制御手段と、制御手段の制御内容を記憶して制御手段に当該制御手順信号を供給する制御内容記憶手段とを有し、第1の測定結果に基づいて、再生出力レベルが最大となる記録信号電流の値を設定するヘリカルスキヤン方式のヘツドシリンダでなる信号記録装置において、第1の記録再生ヘツドと対で取付段差がなく同一回転面上の対となる位置に取り付けられた第1のアジマス角度と異なる第2のアジマス角度で記録及び再生する第2の記録再生ヘツドと、記録信号電流の値を第2の記録再生ヘツドに対応して調節する第2の記録信号電流値調節手段と、記録信号を第2の記録再生ヘツドによつて磁気テープに記録する第2の記録手段と、磁気テープに記録された記録信号を第2の記録再生ヘツドによつて再生する第2の再生手段とを設け、設定のとき、記録しようとする磁気テープを記録開始待ちの停止状態に制御し、記録信号を最大記録電流に制御して測定段階毎に当該記録信号を回転対の先行する第2の記録再生ヘツドで磁気テープにほぼ飽和記録し、記録信号電流の値を最大記録電流の値以下の値に制御し、測定段階毎にほぼ飽和記録された記録信号に重ねて、記録信号を回転対の後行する第1の記録再生ヘツドで記録し、重ねて記録した後の残留した記録信号の再生出力レベルを測定段階毎に先行する第2の記録再生ヘツドで測定して得た第2の測定結果と、重ねて記録した記録信号の再生出力レベルを測定段階毎に後行する第1の記録再生ヘツドで測定して得た第1の測定結果とに基づいて、第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定するようにした。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の実施の一形態を詳述する。
【0029】
図1は全体として8ミリビデオテープレコーダ10を示す。
8ミリビデオテープレコーダ10は、画像信号の記録に先立つて、磁気テープ11に対する記録一時停止状態を維持して、1対のヘツド12及び13の記録電流特性を測定する。続いて、8ミリビデオテープレコーダ10は、再生出力が最大となる最適な記録信号電流、例えば記録電流値をヘツド12及び13にそれぞれ設定して、画像信号を記録する。
【0030】
記録電流特性を測定する際、8ミリビデオテープレコーダ10の制御ブロツク14は、記録信号処理ブロツク15への入力信号S1を遮断して、記録信号処理ブロツク15のFM変調部16より搬送波だけを第1及び第2チヤンネルの利得制御増幅器(図中、GCAで示す)17及び18に与える。制御ブロツク14は、利得制御増幅器17及び18を制御して、電流値を制御した搬送波信号S2及びS3を記録信号処理ブロツク15より機構ブロツク22に与える。
【0031】
機構ブロツク22のヘツド12及び13は、搬送波信号S2及びS3のそれぞれの記録電流値に応じた起磁力をそれぞれのアジマス角度(±10°)で発生する。これにより、搬送波信号S2及びS3は、停止した磁気テープ11の同一トラツク上にこの起磁力に応じた深さ及びアジマス角度を有する磁化領域として記録される。
【0032】
ヘツド12及び13のうち、第1のアジマス角度の第1のヘツドとしての一方のヘツドには図2(A)に示すように、測定段階j毎に増加する記録電流による信号(図中、白棒で示す)が与えられ、これに先行して走査する第2のアジマス角度の第2のヘツドとしての他方のヘツドには図2(B)に示すように、測定段階毎に一定の値のレベルとしての一定の最大記録電流による信号(図中、白棒で示す)が与えられる。
これにより、矢印で示すように、一方のヘツドで記録した信号は他方のヘツドの信号で完全に重ね書き消去され、これに先行して走査する他方のヘツドで記録した信号は一方のヘツドの記録信号強度の分だけ重ね書き消去される。
この後、ヘツド12及び13は、停止中の磁気テープ11の同一トラツクをトラツキングして、それぞれのアジマス角度による再生信号S4及びS5を再生信号処理ブロツク23に与える。
【0033】
因みに、全ての測定段階jが終了したとき、図3(A)に示すように、一方のヘツドの記録電流強さ(図中、白棒で示す)が最大値に達する前に、一方のヘツドの再生出力レベル(図中、斜線棒で示す)は、最大値に達する。また図3(B)に示すように、これに先行して走査する他方のヘツドの再生出力レベル(図中、斜線棒で示す)は重ね書き消去されることにより再生出力レベルが減少するため、段階的に減少することになる。
【0034】
再生信号処理ブロツク23は、再生信号S4及びS5のレベルを再生出力レベル検波部24でそれぞれ検出して、検出信号S6を制御ブロツク14に与える。制御ブロツク14内では、記録電流値と、検出信号S6が示す再生信号S4及びS5のレベルとを対応付けたデータS7を作業データ記憶部27に記憶させる。測定が終了すると、制御ブロツク14は、データS7に基づいて、最適な記録電流値を検出して、この電流値で記録するよう記録信号処理ブロツク15を制御する。
【0035】
制御ブロツク14は、マイクロコンピユータを含む制御部29と最適記録電流測定設定プログラム記憶部28と作業データ記憶部27とを有し、最適記録電流測定設定プログラム記憶部28からプログラムを読み出し作業データ記憶部27から測定データ演算結果を読み出し、マイクロコンピユータを含む制御部29により記録電流特性を測定して最適記録電流を設定する。図4に示すように、搬送波信号S2及びS3を記録する際、制御ブロツク14内のマイクロコンピユータを含む制御部29は最適記録電流測定設定プログラム記憶部28から記録プログラム30を読み出して利得制御増幅器17及び18の利得を制御すると共に、機構ブロツク22内の機構駆動系31を制御して記録一時停止状態を維持する。
【0036】
データS7を取り込む際、マイクロコンピユータを含む制御部29は、最適記録電流測定設定プログラム記憶部28から再生測定プログラム32を読み出して機構駆動系31及び再生出力レベル検波部24を制御する。最適記録電流を設定する際、マイクロコンピユータを含む制御部29は、最適記録電流測定設定プログラム記憶部28から再生演算プログラム33を読み出して、作業データ記憶部27よりデータS7を読み込み、再生演算プログラム33で最適記録電流値を検出する。続いて、マイクロコンピユータを含む制御部29は、再び記録プログラム30を読み出して利得制御増幅器17及び18を制御して、検出した最適記録電流値を設定する。
【0037】
ここで、記録電流特性を測定する際、マイクロコンピユータを含む制御部29は、図5に示す測定手順に従つて記録電流特性を測定する。即ち、マイクロコンピユータを含む制御部29は、開始ステツプSP0から入り、ステツプSP1において、機構駆動系31によつて記録一時停止状態に設定して、ステツプSP2に移る。ステツプSP2において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、同一の記録トラツクに対するヘツド12及び13の切換タイミングを同期させて、ステツプSP3に移る。
【0038】
ステツプSP3において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータiを0に初期化すると共に、パラメータE及びFをそれぞれ2及び1に設定して、ステツプSP4に移る。(これは、第2ヘツドが第Eヘツドに設定され、第1ヘツド12が第Fヘツドに設定されたことを意味する。)ステツプSP4において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Fヘツド(ここでは第1ヘツド12)に対して対となる第Eヘツド(ここでは第2ヘツド13)の搬送波信号S3の記録電流強さを最大の一定値に設定して、ステツプSP5に移る。
【0039】
ステツプSP5において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータjを0に初期化してステツプSP6に移る。ステツプSP6において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、任意の繰り返し測定回数をnとして、パラメータjがn+1に比して小さいか否かを判断し、否定結果を得るとパラメータjがn+1に比して小さいと判断してステツプSP7に移る。ステツプSP7において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Fヘツドの記録電流強さを第j段階(ここでは第0段階)に設定してステツプSP8に移る。
【0040】
ステツプSP8において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Eヘツド(ここでは第2ヘツド13)で搬送波信号S3を同一トラツクに1回記録してステツプSP9に移る。ステツプSP9において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Fヘツド(ここでは第1ヘツド)で第j段階の記録電流強さの搬送波信号S2を同一トラツクに1回記録して、ステツプSP10に移る。
【0041】
ステツプSP10において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Fヘツドで重ね書き消去された後の搬送波信号S3の残留記録信号を第Eヘツドによつて再生する。マイクロコンピユータを含む制御部29は、このときの再生出力レベルをデータData(i,E,j) として作業データ記憶部27に記憶させて、ステツプSP11に移る。ステツプSP11において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、第Fヘツドで記録した搬送波信号S2を再生する。マイクロコンピユータを含む制御部29は、このときの再生出力レベルをデータData(i,F,j) として作業データ記憶部27に記憶させて、ステツプSP12に移る。
【0042】
ステツプSP12において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータjをj+1にインクリメントして、上述のステツプSP6以降の処理を繰り返す。やがて、ステツプSP6において肯定結果を得ると、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータjがn+1と等しいと判断してステツプSP13に移る。これにより、例えば図6(A)に示すように、第1のヘツド12の記録電流を変化させたときの第1及び第2のヘツド12及び13の再生出力レベルを示す特性曲線34及び35を得ることができる。
【0043】
ステツプSP13においてマイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータiが1と等しいか否かを判断し、否定結果を得ると一方のヘツド(ここでは第1ヘツド12)の記録電流特性だけを測定したと判断してステツプSP14に移る。ステツプSP14において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータi、E及びFをそれぞれ1、1及び2に設定してステツプSP15に移る。(これは、第1ヘツド12が第Eヘツドに設定され、第2ヘツドが第Fヘツドに設定されたことを意味する。)
【0044】
ステツプSP15において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、次に記録再生測定する対象のヘツドの走査タイミングに同期して切り換えるため、回転ヘツドの切換タイミングを該当するタイミング角度である 180〔°〕シフトして、ステツプSP4以降の処理を繰り返す。やがて、ステツプSP13において肯定結果を得ると、マイクロコンピユータを含む制御部29は、両方のヘツドの記録電流特性を測定したと判断してステツプSP16に移り、記録電流特性の測定を終了する。
【0045】
これにより、例えば図6(B)に示すように、第2のヘツド13の記録電流を変化させたときの第2及び第1のヘツド13及び12の再生出力レベルを示す特性曲線36及び37を得ることができる。
因みに、特性曲線37は、第1のヘツド12の起磁力が第2のヘツドに比して小さく、最大値付近での再生出力レベルが特性曲線35に比して大きくなつている場合を示す。
【0046】
次に、最適記録電流値を設定する際、マイクロコンピユータを含む制御部29は、図7に示す検出及び設定手順に従つて最適記録電流値を検出して設定する。即ち、マイクロコンピユータを含む制御部29は、開始ステツプSP17から入り、ステツプSP18において、読み出すデータのパラメータiを0に初期化すると共に、パラメータE及びFをそれぞれ2及び1に設定してステツプSP19に移る。
【0047】
ステツプSP19において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータjが0〜nであるデータData(i,F,j) のうち、上述の設定に従つてパラメータi=0と、F=1であるデータを読み出す。図8に示すように、マイクロコンピユータを含む制御部29は、読み出したデータから最大値max 及び最小値min を検出すると、ステツプSP20に移る。ステツプSP20において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、最大値max から規定量だけ低い再生出力レベルをしきい値THとして設定して、ステツプSP21に移る。
【0048】
因みに、しきい値THは、例えば、最大値max から−0.5 〔dB〕(=0.944 ×max )として設定される。また、別の設定の仕方として最大値max と最小値mim との差分をΔとすれば、ビデオテープレコーダの磁気記録電流の通常の可変範囲では、この差分はほぼ4〔dB〕〜8〔dB〕となることから、差分を使用してしきい値THを設定するにはTH=max −(Δ/8)とする。この場合のしきい値THは(0.925 〜0.954 )×max となり、最大値max の0.94倍をしきい値とすることとほぼ等しいので、これを使用して設定してもほぼ同等の結果を期待し得る。
【0049】
ステツプSP21において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、しきい値THと、ステツプSP19で読み出したデータData(i,F,j) とを比較して、しきい値THを越えたデータPeak(i,F,j) を昇順に抽出して、ステツプSP22に移る。ステツプSP22において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、抽出したデータPeak(i,F,j) が1つか否かを判断し、否定結果を得るとしきい値THを越えた複数のデータPeak(i,F,j) が存在すると判断して、ステツプSP23に移る。
【0050】
ステツプSP23において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、上述の設定に従つてパラメータi=0と、E=2であるデータData(i,E,j) のうち、しきい値THを越えたデータData(i,E,j) のパラメータjに対応するものを抽出して、ステツプSP24に移る。ステツプSP24において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、ステツプSP23で抽出したデータData(i,E,j) の昇順の先頭データData(i,E,k) を検出し、先頭データData(i,E,k) から例えば−3〔dB〕となる値をしきい値Depth として算出する。
【0051】
マイクロコンピユータを含む制御部29は、しきい値Depth とステツプSP23で抽出したデータData(i,E,j) とを比較して、しきい値Depth に比して小さくなる1つ前のデータData(i,E,j) を検出する。マイクロコンピユータを含む制御部は、このときの測定段階jを設定値として得て、ステツプSP25に移る。ステツプSP25において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、ステツプSP24で得た測定段階jのデータData(i,F,j) を第Fヘツド(ここでは第1ヘツド12)の記録電流の設定値として、ステツプSP26に移る。
【0052】
一方、ステツプSP22において肯定結果を得ると、マイクロコンピユータを含む制御部29は、しきい値THを越えたデータPeak(i,F,j) が1つだけ存在すると判断して、ステツプSP27に移る。ステツプSP27において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、ステツプSP21で得た測定段階jのデータPeak(i,F,j) を第Fヘツド(ここでは第1ヘツド12)の記録電流の設定値として、ステツプSP26に移る。
【0053】
ステツプSP26において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、パラメータiが1であるか否かを判断し、否定結果を得ると一方のヘツド(ここでは第1ヘツド12)の設定値だけを得たと判断して、ステツプSP28に移る。ステツプSP28において、マイクロコンピユータを含む制御部29は、読み出すデータのパラメータi、E及びFをそれぞれ1、1及び2に設定して、上述のステツプSP19以降の処理を繰り返す。やがて、ステツプSP26において肯定結果を得ると、マイクロコンピユータを含む制御部29は、両方のヘツドの設定値を得たと判断して、ステツプSP28に移り、検出及び設定手順を終了する。
【0054】
図9に示すように、機構ブロツク22は、回転ドラム38が紙面に向かつて左回転する。回転ドラム38は、ヘツド12及び13が互いに180 °離れて配設されている。磁気テープ11は、回転ドラム38の周側面の手前側を左から右に走行する。図10(A)に示すように、回転ドラム38は、回転軸39が磁気テープ11の走行方向に対して傾斜している。これにより、ヘツド12及び13は、磁気テープ11の下エツジ側から磁気テープ11を斜めに走査する。
【0055】
図10(B)に示すように、互いに180 °離れたヘツド12及び13は、回転ドラム38上での取り付け段差が無い。(ここでは、ヘツドを、当接する磁気テープ11の磁性層側から見た状態を示す)。図10(C)に示すように、磁気テープ11が記録の一時停止状態のとき、ヘツド12及び13は、磁気テープ11上の同一トラツク40に交互に記録する(ここでは、磁気テープ11上のトラツク40を、磁性層に当接するヘツド側から見た状態を示す)。
【0056】
因みに、磁気テープ11が通常の走行状態のとき、ヘツド12及び13はそれぞれ1トラツクに1回記録する。アナログビデオテープレコーダの場合にはNTSC方式やPAL方式などの標準映像方式の信号では、それぞれのトラツクに1垂直区間の画像信号が記録される。このとき回転ドラム38は、半周回転で1トラツクに記録し、一周回転で合わせて2トラツクに記録する。
【0057】
これにより、回転ドラム38は、2ヘツドアナログFM方式ビデオテープレコーダの場合一周回転で2垂直区間(1フレーム区間)分の画像を記録する。従つて、図10(D)に示すように、ヘツドの当接する磁性層側より見た磁気テープ11上の記録フオーマツトは、第1及び第2チヤンネルに対応したトラツク41及び42が交互に形成される。
【0058】
以上の構成において、最適記録電流を設定する場合、まず、記録しようとするテープを録画開始待ちの停止状態に制御する。記録がほぼ飽和する最大の記録電流を例えば第2チヤンネルの第2のアジマスの第2の記録再生ヘツドであるヘツド13に与えて、トラツク40に1回(ドラム半周回転)だけ記録する。続く回転ドラム38の半周回転で、各測定段階毎に段階的に可変する記録電流を第1のチヤンネルのヘツド12に与えて、トラツク40に1回だけ重ね書き記録する。
【0059】
以上の手順で、トラツク40にそれぞれ1回ずつ重ね書き記録して、1記録区間(回転ドラム38の1回転)とする。これにより、トラツク40には、ヘツド13で飽和記録され、続いてヘツド12で重ね書き消去されて残つた記録信号と、ヘツド12で重ね書き記録した記録信号とが存在する。
【0060】
続いて、それぞれの記録信号をヘツド12及び13で再生して、それぞれの記録信号の再生出力レベルを測定する。それぞれの測定値を作業データ記憶部27に記憶する。この後、ヘツド12の記録信号強度レベルを1段階増やして、上記手順を繰り返し、この記録信号強度レベルに対応するそれぞれの再生出力レベルを測定する。
【0061】
この手順を記録信号強度レベルの全測定段階で繰り返すと、ヘツド12のデータ列より例えば図11(A)に示す最適記録電流特性曲線が与えられる。
続いて、再生出力レベルの最大値max を得て、図11(B)に示すしきい値THを越えるデータPeak(i,F,j) を昇順で検索する。これにより、データPeak(i,F,j) が1つのとき、これをヘツド12の最適記録電流を与える設定値とする。
【0062】
次に、記録再生測定する対象のヘツドの走査タイミングに同期して切り換えるためヘツド12及び13の記録順を前後交換して、測定対象を交代し、上述と同様の手順で測定する。これにより、残りのヘツド13の最適記録電流特性曲線と、この最大値を与える電流設定値とを得ることができる。これをこのチヤンネルのヘツドの最適記録電流を与える設定値とする。これにより、対をなすヘツド12及び13について最適な記録電流の設定値をそれぞれ求めることができる。
【0063】
一方、特性曲線の最大値を与える部分が最適記録電流値を越えた段階でもほぼ平坦となる特性(例えば、記録電流を過度に設定したときの、再生出力レベルの減少が− 0.5〔dB〕以内)を有するテープやヘツドの場合、上述の手順ではデータPeak(i,F,j) が複数となり、テープへの最適な記録電流値が分からない。この場合は、対となる第Eヘツドより得た重ね書き消去後の再生出力レベルの測定データ列を使用して最適な記録電流値を設定する。
【0064】
即ち、第Fヘツドの特性曲線が平坦になり始めるときの記録電流値と、この記録電流値に対応する第Eヘツドの再生信号出力レベルとを決定する。図11(C)に示すように、第Eの再生出力レベルがこのレベルに比して例えば−3〔dB〕だけ減衰したときの記録電流を、第Fヘツドに最適電流値を与える設定値とする。
【0065】
このようにして第Eヘツドの再生出力レベルを観測することによつて、第Fヘツドの再生出力レベルの特性が増加状態から平坦状態に移行した後も、第Fヘツドの記録深さ情報を感度良く得ることができる。また第Fヘツドに与える記録電流がまだ小さい測定段階での誤差が特に少なくなり、一段と高い精度で測定できる。
【0066】
従つて、ヘツド及びテープの組成、構造の多様化に従つて、特性の不揃いや相違があつて、最大値を越えた過電流記録でも平坦状態の特性になり、最大値が出にくい、又は従来の方法では前回測定の残留信号が干渉して複数の極大値が出ていたような場合であつても、本発明によれば、それらの影響をうけず、ヘツドに与える記録信号強度が過度又は不足になることを未然に防止する最適の記録電流値を短時間で精度良く設定できる。またヘツドの使用初期の記録特性の不揃いや、使用寿命が尽きるまで期間の記録特性の変化を容易に補正できる。
さらには従来の保磁力Hの低い磁気テープ使用のビデオテープレコーダにおいても、前回の記録の残留信号をほぼ消去することから、それによる信号干渉の悪影響を受けず、最適な記録電流を精度よく設定できる。
【0067】
以上の構成によれば、互いに異なるアジマス角度を有するヘツド12及び13に同一トラツク40をトラツキングさせ、上述の他方のヘツドに測定段階j毎に記録が飽和する一定で最大値の記録電流を与えて先行記録して、それ以前にトラツク40に記録された信号を消去し、この後、上述の一方のヘツドに測定段階j毎に段階的に増加する記録電流を与えて記録することにより、上述他方のヘツドで記録した搬送波信号S3は、上述一方のヘツドで記録した搬送波信号S2の記録深さにほぼ比例して消去される。従つて、搬送波信号S3に重ね書きした搬送波信号S2の再生出力レベル及び正確な記録深さを測定できることにより、任意の記録特性を有する磁気テープ及びヘツドを組み合わせても、再生出力が最大となる最適な記録電流値を短時間で精度良くヘツドに設定できる。
【0068】
なお上述の実施例においては、1つの測定段階で1回再生して測定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、測定の際に混入する測定ノイズの影響を除去するため、複数回測定して得た測定データを平均化して、混入ノイズの影響を減少させても良い。ヘツドに与える同一記録信号強度について、記録、再生及び測定を同一の手順で複数回繰り返しても良い。この場合、その都度メモリに記憶した結果を平均し、これを測定値として用いても良い。この場合にも上述と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また上述の実施例においては、回転ドラム38に1対のヘツド12及び13が設けられている場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図12に示すように、回転ドラム43に2対のヘツド44〜47が設けられており、これを交互に使つて記録する場合や、記録信号の種類毎に対になるヘツドをドラムに別個に設けて、各々のヘツド対毎に同様に測定する場合にも適用できる。因みに、図13に示すように、2対のヘツド44〜47は磁気テープが走行状態のとき互いに異なるトラツク48〜51を走査し、記録一時停止状態のとき同一トラツク53を走査する。
【0070】
ここで2対のヘツド44〜47は例えば44を第1のアジマス角度の第1のヘツド、45を第2のアジマス角度の第2のヘツド、46を第1のアジマス角度の第3のヘツド、47を第2のアジマス角度の第4のヘツドとするヘツド配置とするならば、磁気テープが走行状態のときには互いに異なるトラツク48〜51に順次走査して記録し、第1のヘツド44の走査軌跡であるトラツクを48とするならば、第2のヘツド45によるトラツクは49、第3のヘツド46によるトラツクは50、第4のヘツド47によるトラツクは51となるように、1つのトラツクをヘツド走査したら、ヘツド配置上、次の 270°後行して走査するヘツドに切り換えて次のトラツクをテープ上に順次走査して記録及び再生を行うこととなる。また、記録一時停止状態のときには各ヘツド44〜47はヘツド取付面に互いに段差をもたず同一走査軌跡上を走査するため、同一トラツク53をヘツドを上述のように切り換えながら、順次走査することとなる。
【0071】
この場合において本発明を実施する際には、上記実施例に即して行うのであるが、第1のヘツド44の記録及び再生測定の場合には直前に先行して走査する第2のアジマス角度のヘツドは第4のヘツド47であることから、第4のヘツド47で測定段階毎でも一定値である最大の記録電流にてほぼ飽和記録し、続く第1のヘツド44でその測定段階の一定値以下である記録電流にて記録する。この場合、第2のアジマス角度の第4のヘツド47は上記実施例中の第2のアジマス角度の第2のヘツド13に該当し、第1のアジマス角度の第1のヘツド44は上記実施例中の第1のアジマス角度の第1のヘツド12に該当するが、記録及び再生測定の際には上述のヘツド配置によるヘツド切り換え順序と同期させて記録を行い、その他の第2のヘツド45、第3のヘツド46では、通常走行での記録の場合とは異なり、記録を行わないように記録プログラムを読み出して同期制御させることとする。
【0072】
また、再生測定は記録に使用したヘツドを使用するように再生測定プログラムを読み出して同期制御させて測定データを取り込み、その測定データを作業データ記憶部27への記憶を行うこととする。
さらに、再生演算プログラムを読み出して、記録電流設定値を演算により求めて、マイクロコンピユータを含む制御部29が記録信号電流値調節手段であるGCAにこの設定値を設定する際には、上記実施例中の記録信号電流値調節手段であるGCA17、18に該当する第1ないし第4の記録信号電流値調節手段をそれぞれに対応するヘツドと共に保有していて、この4つの記録信号電流値調節手段のうちの第1のヘツド44に対応する第1の記録信号電流値調節手段に設定することとする。
【0073】
ここで、再生測定には記録に使用したヘツドを使用するのが、ヘツド測定上望ましく、第1のヘツド44を使用して記録した場合に、同一アジマス角度の第3のヘツド46で再生するならば、第3のヘツド46に何らかの異常があつた場合には本来第1のヘツド44を使用すれば問題なく記録再生を行えたものが、第3のヘツド46を再生測定に使用したために第1のヘツド44と第3のヘツド46のどちらに異常あるのかわからない不都合があるので、実施の際には留意すべきである。このことは第4のヘツド47に対する第2のヘツド45についても同様である。もちろんこれらのことは通常の記録再生の際のヘツド切り換え順序とはわざわざ別個のヘツド切り換え順序を別途用意して、第1のヘツド44の測定時に第4のヘツド47と同一のアジマス角度の第2のヘツド45を使用して先行記録し、さらに望むならばこの記録に使用したヘツドを用いて再生することを除外するものではないことは言うまでもない。
【0074】
また、上記実施例中の記録プログラム30、再生測定プログラム32、再生演算プログラム33における記録、再生測定、及び記録信号電流設定の対象となる第Fヘツドと、それに先行してほぼ飽和記録を行う第Eヘツドに該当するものは、ここの2対のヘツドにおいては、第Fヘツドが第1のヘツド44のときは、第Eのヘツドは第4のヘツド47となり、第Fのヘツドが第2のヘツド45のときは、第Eのヘツドは第1のヘツド44となり、第Fのヘツドが第3のヘツド46のときは、第Eのヘツドは第2のヘツド45となり、第Fのヘツドが第4のヘツド47のときは、第Eのヘツドは第3のヘツド46となるとして実施してよい。
【0075】
さらに上述の実施例においては、回転ドラム38に設けられている1対のヘツド12及び13をそれぞれ測定して、それぞれの記録電流を設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ヘツドの加工精度が高くて対をなすヘツドの記録特性の不揃いが少ないときは一方のヘツドの測定で得た設定値を他方のヘツドの設定値として使用しても良い。
さらに上述の実施例においては、記録信号強度レベルが最適な強度以上になつても再生出力レベルが減少しにくい場合にも測定する方法を述べたが、本発明はこれに限らず、酸化鉄テープやメタル塗布型テープのように最適なる強度以上では必ず再生出力レベルが減少する記録媒体の場合には、前回の測定段階で記録し、トラツクに残留、記録されている信号を先行する第2のアジマス角度のヘツドで略飽和記録により消去する作用をもつことから、第2のアジマス角度のヘツドの再生出力レベル測定は行わずとも、測定及び記録電流設定対象のヘツドの再生データの測定によりその最大値を求めるようにしてもよい。
【0076】
さらに上述の実施例においては、アナログ信号を記録するビデオテープレコーダ10に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録信号振幅をほぼ一定とし、特定の周期信号で記録特性を知ることが有効な記録信号なら、デイジタル信号で記録再生する記録再生装置にも適用できる。
【0077】
さらに上述の実施例においては、ヘツド12及び13のうち一方に与える搬送波信号S2の記録電流を、最小値から最大値に向かつて測定段階毎に増加させる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、前回の測定段階で記録し、トラツクに残留、記録されている信号を略飽和記録で消去する作用をもつことから、記録電流を、最大値から最小値に向かつて測定段階毎に減少させる場合にも適用できる。記録電流を最も予測される最適記録電流予測値から測定を開始させ、減少方向、増加方向へ測定記録電流を順次増減させ、より効率よく測定回数少なく最適記録電流を見出すのに適用することも問題なくできる。
【0078】
さらに上述の実施例においては、画像信号で変調する搬送波信号S2及びS3の記録電流を設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、任意の信号、例えば音声信号で変調する任意の搬送波信号及び音声デイジタル信号の記録信号を設定する場合にも適用できる。
【0079】
さらに上述の実施例においては、本発明を8ミリビデオテープレコーダ10に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像信号を記録する他の形式のビデオテープレコーダにも適用できる。そして、これにより記録された結果得られる映像ソフトビデオテープは良好な品質を得ることができる
【0080】
さらに上述の実施例においては、磁気テープ11に記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、記録深さが残留磁束として影響を及ぼす記録媒体の同一トラツクに傾斜アジマス損失を利用して信号を磁気記録する記録再生方式である限り、任意の磁気記録媒体、例えば円盤形状の記録媒体に記録再生する場合にも適用できる。そして、これにより記録された結果得られる映像ソフト磁気利用記録デイスクは良好な品質を得ることができる。
【0081】
磁気記録媒体としては、磁気記録テープ、円盤状磁気記録デイスク、などであり、磁気記録テープとしては一般に使用する酸化鉄テープ、短波長高密度記録に対応した保磁力の強い、高Hcの磁気記録媒体である、S−VHSテープ、メタル塗布型テープ、メタル蒸着テープなどが使え、8ミリビデオテープレコーダでは特に高Hcのメタル塗布型テープ及びメタル蒸着テープ、さらには多層メタル塗布型、多層蒸着型テープを使える。
【0082】
第1のアジマス角度の記録再生ヘツド及び第2のアジマス角度の記録再生ヘツドとしてはそれぞれのアジマス角度で磁気記録できる記録再生ヘツドである。例えば、ヘツドギヤツプにアジマス角度を有するリング型ヘツドとしてのフエライトヘツド、高透磁率材料をヘツド磁路に形成したヘツド、高透磁率材料の膜をフエライトなどのその他のヘツド材のギヤツプ周辺にスパツタ等の膜形成手段で形成して、ギヤツプより発生する起磁力を強化したヘツド、結晶方位のヘツド走査方向に対する向きや結晶構成サイズの加減によるテープ摺動時のノイズ低減を計つたヘツドなどを使用しても良い。
【0083】
また、記録信号電流値調節手段としては、アナログ信号の入力を受けて利得を可変するもの、デイジタル信号の入力を受けて同じくアナログ的にその信号振幅を可変するもの、デイジタル信号状態で入力されデイジタル信号処理で係数の乗除算又はビツトシフト等の信号振幅可変手段により、利得を可変した後、DA変換器によりアナログ変換して出力するもの、さらには対応するヘツドの記録媒体走査タイミングに同期させて、その可変利得を時分割で切り換えて対応するヘツドの記録信号電流を設定するもの、さらに、対応するヘツドへの記録信号電流値を設定する記憶メモリを内蔵し、制御手段の制御信号を受けて記憶メモリの所定の設定値を設定するものを使用しても良い。
【0084】
記録手段及び再生手段としては、記録手段、再生手段が独立に配されている場合と、記録手段及び再生手段が1体であつて、制御信号により記録再生の機能を切り換える場合とがある。具体的には記録アンプ、再生アンプの回路又は集積回路が別の構成である場合と、記録アンプ、再生アンプの回路を一部又は全部共通化して使用した場合と、それを集積回路内部で行つている場合などとである。また、記録、再生手段としてのアンプ回路がヘツドの数に対応して2つや4つと複数配されている場合には外部供給バイアス、ミユートスイツチの切り換えなどで互いのアンプ回路信号の干渉を低減させる手法を採用することなどは本発明の測定上の場合に応じて使用できる。
【0085】
再生出力レベルの測定を行う再生出力レベル測定手段内で使用する検波方法としては、アナログ信号処理、デイジタル信号処理によつて検波しても良く、アナログ信号処理においては、ダイオード検波、トランジスタによるエミツタ内部抵抗の非直線部分特性を利用した検波、クランプ回路の併用によりその検波効率を高めた検波などによるエンベロープ検波、ピーク検波、実効値検波など、またデイジタル信号に変換して入力してその検波を行う際には、デイジタル信号処理の絶対値処理、また再生FM信号をデイジタルFM復調する際に同時に、ドロツプアウト検出処理を行うデイジタル検波処理を使用しても良い。ここで、アナログ検波信号出力を受ける制御手段としてはADコンバータの内蔵されたマイクロコンピユータを使つても良い。
【0086】
制御手段としては、マイクロコンピユータを含む制御部であつて、マイクロコンピユータあるいは中央信号処理装置としては入出力手段としてADコンバータ、DAコンバータ、入出力インタフエースバツフア、基準クロツクをマイクロコンピユータの内部又は外部に備えた制御部、さらに付け加えてROM、EEPROM、RAMなどの記憶手段を内部又は外部に備えた制御部であつても良い。
【0087】
測定結果記憶手段は、測定データ、測定演算等の処理をする作業データ記憶手段であつて、メモリとしてRAM、バツクアツプにより測定内容を保持し続けられるRAM、書き換え可能なEEPROM、フラツシユメモリなどを使用できる。このメモリは上記制御手段の内部にあつても、外部にあつて制御バス信号でマイクロコンピユータを含む制御部と通信するメモリであつても、またインタフエースを通じてソケツトにより着脱自在であつても測定データを記憶、測定演算等の処理を行うメモリとして使い得るならば使用でき、それら測定データを記憶保持し続けられる場合、ヘツド特性の履歴を確認できる。制御内容記憶手段としては、記録電流設定方法の記憶手段であり、各構成を動作制御する制御内容をプログラムとして記憶して上記制御手段の読み出し制御信号を受けて記録信号電流設定のための記録、再生測定、再生演算プログラムによる制御手順の記憶信号を供給する記憶手段である。
【0088】
この記憶内容としては、測定用記録プログラム、測定用再生プログラム、測定データ演算プログラムを記憶内容として持つ最適記録電流測定設定プログラム記憶部である記憶メモリであり、ROM、ワンタイムROM、EEPROM、フラツシユメモリなどの記憶内容保持し得るメモリであり、上記制御手段内部に内蔵されていても良く、外部にあつて配線の制御バス信号でマイクロコンピユータを含む制御部と通信するメモリであつても良く、またインタフエースを持ち、ソケツトにより着脱自在であつて、上記内部、外部にあり、又は着脱自在な形態のメモリでも良く、それらが通信あるいはメモリ交換によりプログラムのしきい値などの内容、動作パラメータを適宜変更し得るものであつても良い。
【0089】
また、これら記録を行う記録信号としては、単一搬送波信号であつても良く、また、先行する記録再生ヘツドの記録信号の記録深さを深くするために先行する記録再生ヘツドの走査に同期させて記録信号周波数を低くしても、その周波数が実際の入力信号が記録信号処理ブロツクよつて記録信号とされる際の使用周波数帯域の範囲内でなら、単一搬送波の変調の範囲内であり、使用しても良い。
【0090】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、磁気テープを記録開始待ちの停止状態にし、第1の記録再生ヘツドと取付段差がなく対である第2の記録再生ヘツドにより、記録がほぼ飽和する最大記録電流の記録信号を磁気テープのトラツクに先行記録して、それまでに同一トラツクに記録されていた記録信号を重ね書き消去し、この後、同一トラツク上をトラツキングする第1の記録再生ヘツドに測定段階毎に最大記録電流の値以下で段階的に変化する記録信号電流を与えて重ね書き記録することにより、磁気テープの走行時に発生するノイズの影響や、磁気テープ上の特性のばらつきによる影響等を受けずに、第2の記録再生ヘツドで記録した記録信号は第1の記録再生ヘツドで記録した信号の記録深さに比例して確実に消去される。従つて、第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルを正確に測定できる。これにより、任意の記録特性を有する磁気テープ及び記録再生ヘツドを組み合わせても、再生出力が最大となる記録信号電流の大きさを従来と比して一段と短時間でかつ精度良く記録再生ヘツドに設定し得る記録信号電流設定方法及び信号記録装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による記録信号電流設定方法の一実施例によるビデオテープレコーダの構成を示すブロツク図である。
【図2】測定段階の初期の記録レベル及び再生出力レベルとタイミングとを示すタイミング図である。
【図3】全ての測定段階の記録レベル及び再生出力レベルとタイミングとを示すタイミング図である。
【図4】記録、再生測定及び最適記録電流設定のルートを示すブロツク図である。
【図5】実施の形態による記録電流特性の測定手順を示すフローチヤートである。
【図6】保磁力が高いテープの記録電流に対する再生出力を示す特性曲線図である。
【図7】実施の形態による最適記録電流の検出及び設定手順を示すフローチヤートである。
【図8】しきい値を越える複数のデータが存在する場合の記録電流に対する再生出力を示す特性曲線図である。
【図9】回転ドラム上のヘツドの配置及びテープの走行方向を示す略線図である。
【図10】回転ドラム、ヘツド及びトラツクの配置を示す略線図である。
【図11】保磁力が高いテープの記録電流に対する再生出力を示す特性曲線と、しきい値を越える複数のデータが存在する場合の記録電流に対する再生出力を示す特性曲線図である。
【図12】他の実施の形態による回転ドラム上のヘツドの配置及びテープの走行方向を示す略線図である。
【図13】他の実施の形態によるトラツクの配置を示す略線図である。
【図14】従来のテープ走行状態の記録レベル及び再生レベルとタイミングとを示すタイミング図である。
【図15】従来の記録一時停止状態における記録レベル及び再生レベルとタイミングとを示すタイミング図である。
【図16】音声用ヘツド及び画像用ヘツドの配置を示す略線図である。
【図17】音声用ヘツド及び画像用ヘツドによる記録状態を示す略線図である。
【図18】画像用ヘツドの記録電流に対する画像用ヘツド及び音声用ヘツドの再生出力特性を示す特性曲線図である。
【図19】同一アジマス角度の残留信号による相互干渉を示す略線図である。
【図20】対となるヘツドの記録電流を同時に変更した場合の再生出力を示す特性曲線図である。
【図21】最大値付近に平坦部が存在する場合の再生出力を示す特性曲線図である。
【図22】音声用ヘツドと画像用ヘツドとの段差を示す略線図である。
【符号の説明】
1、2、12、13、44〜47……ヘツド、3、38、43……回転ドラム、4〜9、34〜37……特性曲線、10……ビデオテープレコーダ、11……磁気テープ、14……制御ブロツク、15……記録信号処理ブロツク、16……FM変調部、17、18……利得制御増幅器、22……機構ブロツク、23……再生信号処理ブロツク、24……再生出力レベル検波部、27……作業データ記憶部、28……最適記録電流測定設定プログラム部、29……マイクロコンピユータを含む制御部、31……機構駆動系、39……回転軸、40〜42、48〜51、53……トラツク、S1……入力信号、S2……第1チヤンネルの記録信号、S3……第2チヤンネルの記録信号、S4、S5……第1、第2チヤンネルの再生信号、S6……再生出力レベル検波信号、S7……作業データ制御記憶信号、S8……記録信号処理ブロツク制御信号、S9……機構駆動系制御信号、S10……最適記録電流測定設定プログラム制御記憶信号、S11……再生信号ブロツク制御信号、S12……再生出力信号、S13……制御ブロツク内部制御信号、S14……制御バス信号。

Claims (12)

  1. 同一回転面上に取り付けられた相互にアジマス角度が異なる対の記録再生ヘツドを有するヘリカルスキヤン方式のヘツドシリンダで記録信号電流の値を制御して記録信号を第1のアジマス角度の第1の記録再生ヘツドで磁気テープに記録し、上記記録信号の再生出力レベルを測定して得た第1の測定結果に基づいて、上記再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定する記録信号電流設定方法において、
    記録しようとする磁気テープを記録開始待ちの停止状態に制御する第1の処理と、
    上記第1の記録再生ヘツドと取付段差がなく上記同一回転面上の対となる位置に取り付けられた上記第1のアジマス角度と異なる第2のアジマス角度の第2の記録再生ヘツドで上記磁気テープ上の同一トラツクを使い回転対の先行する上記第2の記録再生ヘツドの記録信号を最大記録電流に設定して上記トラツクにほぼ飽和記録する第2の処理と、
    上記記録信号電流の値を上記最大記録電流の値以下の値に制御し、上記第2の処理によりほぼ飽和記録された上記記録信号に重ねて、上記回転対の後行する上記第1の記録再生ヘツドで複数の異なった信号記録電流の一つを選択して上記トラツクに記録する第3の処理と、
    上記第1及び第2及び第3の処理により記録開始待ちの停止状態で重ねて記録した後の残留した上記記録信号の再生出力レベルを上記先行する第2の記録再生ヘツドで測定する第4の処理と、
    上記第3の処理により重ねて記録した上記記録信号を上記後行する第1の記録再生ヘツドで再生して再生出力レベルを測定する第5の処理と、
    上記第2及び第3及び第4及び第5の処理を測定段階毎に繰り返し、当該第5の処理で得た第2の測定結果と、当該第4の処理で得た第3の測定結果とに基づいて、上記第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定する第6の処理と
    を有することを特徴とする記録信号電流設定方法。
  2. 通常の記録再生のときは、
    上記第1のアジマス角度で記録及び再生する上記第1の記録再生ヘツドと、上記第2のアジマス角度で記録及び再生する上記第2の記録再生ヘツドと、上記第1のアジマス角度で記録及び再生する第3の記録再生ヘツドと、上記第2のアジマス角度で記録及び再生する第4の記録再生ヘツドとによつて、上記磁気テープに順次記録再生し、
    上記設定のときは、
    上記第2の処理において上記第4又は第2の記録再生ヘツドによつて記録し、上記第3の処理において上記第1又は第3の記録再生ヘツドによつて記録する
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録信号電流設定方法。
  3. 上記記録信号は、当該記録信号を記録した記録再生ヘツドによつて再生される
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録信号電流設定方法。
  4. 上記第1のアジマス角度で記録する上記第1の記録再生ヘツドの直前に配置されている上記第2の記録再生ヘツドによつて上記第2のアジマス角度でほぼ飽和記録する
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録信号電流設定方法。
  5. 上記第1及び第2及び第3の処理における上記記録信号は、任意の信号で変調される搬送波信号である
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録信号電流設定方法。
  6. 第1のアジマス角度で記録及び再生する第1の記録再生ヘツドと、上記第1の記録再生ヘツドに対応して記録信号電流の値を調節する第1の記録信号電流値調節手段と、上記記録信号を上記第1の記録再生ヘツドによつて磁気テープに記録する第1の記録手段と、上記磁気テープに記録された上記記録信号を上記第1の記録再生ヘツドによつて再生する第1の再生手段と、上記磁気テープに上記第1の記録再生ヘツドで記録した上記記録信号の再生出力レベルを測定した第1の測定結果を出力する再生出力レベル測定手段と、上記第1の測定結果を記憶する測定結果記憶手段と、上記第1の記録信号電流値調節手段と第1の記録手段と第1の再生手段と再生出力レベル測定手段とを制御する制御手段と、上記制御手段の制御内容を記憶して上記制御手段に当該制御手順信号を供給する制御内容記憶手段とを有し、上記第1の測定結果に基づいて、上記再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定するヘリカルスキヤン方式のヘツドシリンダでなる信号記録装置において、
    上記第1の記録再生ヘツドと取付段差がなく対であり同一回転面上の対となる位置に取り付けられた上記第1のアジマス角度と異なる第2のアジマス角度で記録及び再生する第2の記録再生ヘツドと、
    上記記録信号電流の値を上記第2の記録再生ヘツドに対応して調節する第2の記録信号電流値調節手段と、
    上記記録信号を上記第2の記録再生ヘツドによつて上記磁気テープに記録する第2の記録手段と
    上記磁気テープに記録された上記記録信号を上記第2の記録再生ヘツドによつて再生する第2の再生手段と
    を具え、上記設定のとき、
    記録しようとする上記磁気テープを記録開始待ちの停止状態に制御し、
    上記記録信号を最大記録電流に制御して測定段階毎に当該記録信号を回転対の先行する上記第2の記録再生ヘツドで上記磁気テープにほぼ飽和記録し、
    上記記録信号電流の値を上記最大記録電流の値以下の値に制御し、上記測定段階毎に上記ほぼ飽和記録された記録信号に重ねて、上記記録信号を上記回転対の後行する上記第1の記録再生ヘツドで記録し、
    重ねて記録した後の残留した上記記録信号の再生出力レベルを上記測定段階毎に上記先行する第2の記録再生ヘツドで測定して得た第2の測定結果と、重ねて記録した上記記録信号の再生出力レベルを上記測定段階毎に上記後行する第1の記録再生ヘツドで測定して得た上記第1の測定結果とに基づいて、上記第1の記録再生ヘツドで記録した記録信号の再生出力レベルが最大となる上記記録信号電流の値を設定する
    ことを特徴とする信号記録装置。
  7. 通常の記録再生のとき上記磁気テープに順次記録再生するように、上記第1の記録再生ヘツドと、上記第2の記録再生ヘツドと、上記第1のアジマス角度で記録及び再生する第3の記録再生ヘツドと、上記第2のアジマス角度で記録及び再生する第4の記録再生ヘツドとが上記同一回転面上に順次配置され、
    上記第3の記録再生ヘツドに対応して上記記録信号電流の値を調節する第3の記録信号電流値調節手段と、上記第4の記録再生ヘツドに対応して上記記録信号電流の値を調節する第4の記録信号電流値調節手段と、上記記録信号を上記第3の記録再生ヘツドによつて上記磁気テープに記録する第3の記録手段と、上記記録信号を上記第4の記録再生ヘツドによつて上記磁気テープに記録する第4の記録手段とを有し、
    上記設定のとき、
    上記記録信号を上記第4又は第2の記録再生ヘツドによつてほぼ飽和記録し、当該ほぼ飽和記録された記録信号に重ねて、上記第1又は第3の記録再生ヘツドによつて記録する
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
  8. 上記磁気テープに記録された上記記録信号を上記第3の記録再生ヘツドによつて再生する第3の再生手段と、上記磁気テープに記録された上記記録信号を上記第4の記録再生ヘツドによつて再生する第4の再生手段とを有し、
    上記設定のとき、
    上記記録信号を記録した記録再生ヘツドによつて当該記録信号を再生する
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
  9. 上記設定のとき、
    上記第1のアジマス角度で記録する上記第1の記録再生ヘツドの直前に配置されている上記第2の記録再生ヘツドによつて第2のアジマス角度でほぼ飽和記録する
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
  10. 上記測定結果記憶手段と制御手段と制御内容記憶手段とが配されて上記測定及び制御手順を制御する測定制御手段を有する
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
  11. 記録のとき同一回路を上記制御手段によつて切り換えて、上記第1及び第2の記録手段、又は上記第1及び第4の記録手段として使用し、
    再生のとき同一回路を上記制御手段によつて切り換えて、上記第1及び第2の再生手段、又は上記第1及び第4の再生手段として使用する
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
  12. 上記第1及び第2の記録信号電流値調節手段は、
    上記制御手段より与えられた利得設定制御信号によつて設定された利得を記憶する利得設定記憶手段を有し、
    上記磁気テープに上記第1及び第2の記録再生ヘツドで交互に記録するとき、上記第1及び第2の記録再生ヘツドの記録開始に同期して上記制御手段より与えられた制御信号によつて、上記第1及び第2の記録再生ヘツドに対応してそれぞれ設定された上記利得を切り換える
    ことを特徴とする請求項に記載の信号記録装置。
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