JP3631063B2 - フッ化物の精製方法及びフッ化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空紫外域から遠赤外域までの広い波長範囲から選ばれた所定の波長の光のために用いられる各種光学素子、レンズ、窓材、プリズム等に好適であるフッ化物の精製方法及びフッ化物結晶の製造方法の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
フッ化カルシウム等のフッ化物結晶は、真空紫外域から遠赤外域までの広い波長範囲において透過率が高く、各種光学素子、レンズ、窓材、プリズム等に広く利用されている。中でも、短波長での透過特性に優れた蛍石(フッ化カルシウム)はエキシマレーザー用の光学部品として有用である。とりわけ、波長135nmの光に対する内部透過率が70%以上のフッ化カルシウム結晶はArFエキシマレーザーに対する耐久性に優れ、高出力レーザーの繰り返し照射によってもその透過特性を劣化させることが少ない。
【0003】
このようなフッ化物結晶において、原料の嵩密度を上げ原料の不純物を除去するために、原料を融解して精製する工程が必要とされる。この精製工程においては、原料が水分等と反応して生成した酸化物や原料中の不純物を除去するために、金属のフッ化物であるスカベンジャーを原料に加えなくてはならない。例えば、フッ化物結晶がフッ化カルシウム、スカベンジャーが固体のZnFである場合、原料が水分と反応して生成したCaOはZnFと反応してCaFとなり、スカベンジャーはZnOとなって原料融解時に蒸発するものである。
【0004】
光学性能に優れた高品質のフッ化物結晶を得ようとした場合、上述の精製工程を複数回繰り返さなければならない。また、原料としては不純物の少ない高純度原料を用いなければならない。
【0005】
このようにして得られたフッ化物結晶のブロックを原料として結晶を製造した場合、透過特性等の光学性能の非常に優れたフッ化物結晶が得られる。
【0006】
一方、固体スカベンジャーに代えて、気体スカベンジャーを用いる方法がある。気体スカベンジャーとして使用できる反応性ガスとしては、フッ化水素ガスやフッ化炭素系ガスが用いられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、固体スカベンジャーは金属元素を含んでいるために、それが結晶中に残留して透過特性に悪影響を及ぼすことがある。その為に、固体スカベンジャーの添加量を少なくするか、あるいはルツボの蓋に穴を開けるなどして脱ガス性を上げれば、スカベンジャーからの金属元素は結晶中に残留し難くなる。しかし、添加量を少なくしすぎるとスカベンジャーとしての効果が減る。また、ルツボの蓋に大きい穴を開けて脱ガス性を上げすぎると、スカベンジャーがその効果を発揮する前にルツボ外へ放出されてしまう。こうして、フッ化物中への酸化物混入等によって透過特性の向上が妨げられる。従って、最適なスカベンジャーの添加量を定めること、または脱ガス性を最適化したルツボ形状の設計が重要となるが、原料中の水分濃度や不純物含有量によってこれらは変化するため、その手法は汎用性に欠ける。
【0008】
一方、気体スカベンジャーのうちフッ化水素ガスは腐食性を有し、四フッ化硫黄と三フッ化ホウ素は毒性を有する。よって、その管理コストが高くなる。また、ガスが融液中に溶解して結晶中に気泡として取り込まれることもしばしば生じ(Guggenheim, J. Appl. Phys. 34, P.2482〜2485 (1963))、満足のいく透過特性が得難い。
【0009】
また、反応性ガスとして四フッ化メタン(CF)などのフッ化炭素系ガスを使用すれば透過特性に優れた結晶を得ることができるが、これらのガスは大気中で非常に安定である。また、これらのガスは二酸化炭素と同様に地球温暖化を引き起こす温室効果ガスであるため、プラズマで分解して除害などの方策を取らねばならず、これも管理コストが高くなる。
【0010】
本発明の目的は、汎用性に富み、製造コストを低く抑えることができるフッ化物の精製方法及びフッ化物結晶の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、短波長で高出力の光を長期間繰り返し照射した場合であっても、透過率特性が劣化し難いフッ化物結晶を安価に提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のフッ化物の精製方法は、精製炉内に設置したルツボ内に装填された、固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料を溶解するために加熱し、溶解状態を保持する加熱程と、
前記溶解したフッ化物原料を固化するために冷却する冷却程と、を含むフッ化物の精製方法において、
前記加熱程の途中で、前記ルツボに設けられた前記ルツボ内と前記精製炉内とを結ぶ開口部が閉じられている第一の環境から、前記ルツボが前記精製炉と連通している第二の環境に変更する際に、前記精製炉に対する不活性ガスの供給量を減少することで前記第一の環境よりも前記第二の環境において前記精製炉の圧力を低下させることを特徴とする。
本発明の他のフッ化物の精製方法は、精製炉内に設置したルツボ内に装填された、固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料を溶解するために加熱し、溶解状態を保持する加熱程と、
前記溶解したフッ化物原料を固化するために冷却する冷却程と、を含むフッ化物の精製方法において、
前記加熱程の途中で、前記精製炉内に所定の圧力の不活性ガスが充填されている第一の環境から、前記精製炉内が真空排気されている第二の環境に変更することを特徴とする。
【0013】
本発明者は、以上のような多大な費用を削減するため、安価で一般的な、原料及び固体スカベンジャーを用いて光学性能を上げる方策を探求するうち、精製工程でのフッ化物原料を収納する室(例えばルツボ)の環境が非常に重要であることに気が付いた。即ち、加熱工程の途中で、フッ化物原料が収容された室の環境を、該環境より前記室内のガスが該室外に放出され易い環境に変えると、原料の加熱時にはスカベンジャーがルツボ内に留まり反応が十分に進行すること、また、融解後には反応に使われなかったスカベンジャーや反応生成物が全てルツボ外に出ていき、スカベンジャーの効果を最大限に高めることができ、非常に高純度なフッ化物が得られることが分かった。そして、それを用いれば、光学性能の優れた結晶が得られることが分かったのである。
なお、上記の「環境」という表現と同等の意味を有する表現として「雰囲気という表現を用いることもあるが、本文では以降「雰囲気」という表現を用いている。
そしてこの環境を変えるという意味、即ち雰囲気を変えるという意味とは、ルツボの室内のガスが室外へ放出されやすい状態に変えるということを意味する。より具体的には一つ目の意味として、ルツボ室外の圧力を減らすことで室内のガスが室外へ放出されやすい状態に変化させるという意味であったり、2つ目の意味として、ルツボに設けた開閉手段を開状態に変化させるという意味であったり、あるいは、3つ目の意味をして、室外へ供給された不活性ガスを排気して圧力を減圧にすることで室内のガスを室外へ放出されやすい状態に変化させるという意味等である。
またさらに上記3つの意味の少なくともいずれか2つの意味を組み合わせることも本発明でいうところの環境を変えるという意味に含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の一実施の形態によるフッ化物の精製方法のフローチャートを示す。
【0015】
工程S1においては、フッ化亜鉛等の固体スカベンジャーが添加されたフッ化カルシウム等のフッ化物原料を融解させる為に、加熱を開始する。その後、工程S2に示すように、所定のタイミングで、フッ化物が収容された室(例えばルツボ)の環境を、室内のガスが室外に比較的放出され易い環境に変える。
【0016】
室内のガスが室外に放出され易い環境に変化した後も加熱を続けて、二酸化炭素等の反応生成物や気化したスカベンジャーが原料中に取り込まれないようにする。
【0017】
工程S3においては、冷却を開始し、融解した原料を固化する。因みに、この工程においては原料の温度が融点より低くなればよいのであるから、外部からの加熱を完全に中止する必要はない。
【0018】
加熱工程における到達温度は、精製すべきフッ化物原料の融点以上であればよく、融点までの昇温過程においては、図2の符号1に示すように連続的に昇温させてもよく、図2の符号2に示すように断続的に昇温させてもよい。
【0019】
環境変更のタイミングは、スカベンジャーによる不純物除去反応(スカベンジ反応)開始温度T1に到達した後であって、冷却開始より前である。即ち、図2の時刻t1乃至時刻t2の間である。
【0020】
好ましくは、スカベンジ反応開始温度T1に到達した後、しばらくしてから環境変更を開始し、冷却開始より充分前の時点で環境変更を終了することが望ましい。すなわち図2における時刻t3乃至t4の間に環境の変更を開始することが好ましい。なおt3はスカベンジャーによる不純物除去反応が終了した時点(t3)であり、フッ化物原料は融点未満の温度であ
る。
【0021】
t4はフッ化物原料融解後冷却開始前の任意の時点であり、フッ化物原料は融点以上の温度である。環境変更は、融点以上の温度で行うことがより純度の高いフッ化物を得る上からは好ましい。なお、t4〜t2の間がガス室外に放出されやすい環境の状態である。
【0022】
例えば、固体スカベンジャーとしてフッ化亜鉛、フッ化物原料としてフッ化カルシウムを用いた場合のスカベンジ反応開始温度は、フッ化亜鉛が融解する872℃程度である。
【0023】
スカベンジ反応に必要な時間は、精製すべき原料の量に依存する。従って、実際の作業に際しては、例えば必要な時間と原料の量との関係を予め実験等で求めておき、その求めておいた時間に基づき時間を決めればよい。
【0024】
環境を変更するとは、フッ化物原料が収容されたルツボのような室内において、ガスが室外に放出され難い第1の環境から、ガスが室外に放出され易い第2の環境にすることである。
【0025】
第1の環境においては、ガスが室外に放出され難い為、固体スカベンジャーが気化して室外に逃げ出し難くなる。よって、スカベンジ反応が効率よく進行する。
【0026】
第2の環境においては、ガスが室外に放出され易い為、反応生成物や残留スカベンジャーが室外に逃げ出し易い。よって、反応生成物や残留スカベンジャーが精製された原料に混入し難くなる。
【0027】
環境変更の具体例は、第1の環境の圧力より第2の環境の圧力を低くすること、或いは室の内外を遮断した状態(密閉状態)から室の内外を連通させた状態(開放状態)に変更すること等である。
【0028】
前者は、室内の排気量や室内に供給する不活性ガスの供給量を増減することにより達成できる。
【0029】
後者は、ルツボ等の室に開口部を設け、その開口部を開閉することや、室に連通するガス供給管又はガス排気管のバルブを開閉することにより達成される。
【0030】
第1の環境の圧力としては、特に制限はないが、1.3Pa以上より好ましくは1気圧(約101.325kPa)以上にするとよい。なお、本発明において1気圧とは、760Torrのことである。1気圧以上とすることで、原料内不純物とスカベンジャーとが効率よく反応するという効果が得られる。
【0031】
第2の環境の圧力としては、特に制限はないが、1気圧以下が好ましく、10−3Pa以下がより好ましい。10−3Pa以下とすることにより、反応生成物や残留スカベンジャーが原料から容易に除かれるという効果が得られる。加えて、第2の環境の圧力は、原料自体の一部が大量に気化しない程度に設定されればよい。
【0032】
また、第1の環境を形成する為のガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等の不活性ガスが好ましく用いられる。
【0033】
第2の環境を形成する為のガスとしても、上記不活性ガスが用いられるが、ガスを供給せずに排気のみを行って真空としてもよい。
【0034】
第2の環境に移ってから、しばらくした後に、冷却を開始してフッ化物原料を固化させる。
【0035】
降温速度は、特に制限はないが、好ましくは300℃/h以下、更に好ましくは100℃/h程度である。
【0036】
なお、精製と同時に結晶成長させる場合には、降温速度は3〜4℃/hにするとよい。
【0037】
こうして得られたフッ化物は、酸素含有量が50ppm以下、スカベンジャーを構成する金属元素の含有量が10ppm以下になる。
【0038】
このように、本発明は、酸素やスカベンジャーの構成金属元素等の光透過性を劣化せしめる物質を精製工程において十分に除去することができるので、精製工程に後続する結晶製造工程において、つまり、結晶成長のために厳密な制御を必要とする結晶成長工程において、上記物質を除去する操作を簡略化することができる。
【0039】
更に、必要に応じて、スカベンジ反応前に室内を不活性ガスでパージしたり、真空引きする等して、室内を脱水処理することも好ましいものである。
【0040】
本発明に用いられるフッ化物原料は、例えば、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウム等である。
【0041】
本発明に用いられる固体スカベンジャーは、例えば、フッ化鉛、フッ化亜鉛、フッ化カドミウム、フッ化マンガン、フッ化ビスマス、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム等である。固体スカベンジャーの添加量としては、フッ化物原料の0.1mol%以上1mol%以下が好ましい。
【0042】
図3に本発明の別の実施の形態によるフッ化物の精製及びフッ化物結晶の製造方法のフローチャートを示す。
【0043】
(原料調合工程S11)
フッ化物原料に固体スカベンジャーを添加して十分に混合する。固体スカベンジャーの添加量は、原料の0.1mol%以上、1mol%以下とする。フッ化物原料は、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化マグネシウムであることが望ましい。固体スカベンジャーとして用いられるフッ化物は、フッ化鉛、フッ化亜鉛、フッ化カドミウム、フッ化マンガン、フッ化ビスマス、フッ化ナトリウム、フッ化リチウムであることが望ましい。
【0044】
(精製工程S12)
固体スカベンジャーを添加・混合したフッ化物原料を図4に示す精製炉のルツボの中に入れる。なお、図4において、201は精製炉のチャンバーであり、真空排気系に接続されている。202は断熱材、203はヒーター、204は原料を収容する室としてのルツボ、205はフッ化物原料である。206はルツボを上下させる機構に接続されている。ルツボ開口部開閉機構207は断熱材202に固定されており、ルツボを上下させることによりルツボ上部の開口部の開閉を行い、かつ開口部の大きさを制御せしめるものである。208は不活性ガス導入装置である。
【0045】
▲1▼不活性ガスを使用する場合
開口部を開けた状態で炉内を真空排気した(S21)後、不活性ガスを約1気圧ないしはそれ以上の圧力で炉内を充填する(S22)。ヒーターに通電してルツボを加熱し(S23)、スカベンジャーによる不純物除去反応が行われる温度まで昇温を続ける。反応は、たとえばスカベンジャーにPbFを使用した場合、
CaO + PbF → CaF + PbO
PbO + C → Pb + CO
という式で表される。ここで、Cはルツボなどのカーボン材である。反応には一酸化炭素の生成が含まれるので、反応温度はガス分析を行って一酸化炭素を検知することによって、容易に知ることができる。反応を十分に促進させるため、この温度帯では原料を加熱する速度を遅くしなくてはならない。反応が終了した温度で炉内を真空に排気し、次いで原料を完全に融解する(S24)。あるいは原料を完全に融解した後、炉内を真空に排気する(S25)。真空度が十分に安定した後、融解したフッ化物を徐冷して(S26)、固化させる(融解・成長)。
【0046】
▲2▼ルツボの開口部を開閉する場合
ルツボの開口部を閉じた状態で真空排気し(S31)、ヒーターに通電してルツボを加熱する(S32)。スカベンジャーによる不純物除去反応を十分に促進させるため、反応が進む温度帯では原料を加熱する速度をゆっくりにしなくてはならない。反応が終了した温度に達した時点でルツボの開口部を開け、さらに加熱を続け原料を完全に融解する。あるいは、原料を完全に融解した(S33)のち、ルツボの開口部を開ける(S34)。真空度が十分に安定した後、融解したフッ化物を徐冷して(S35)、固化させる(融解・成長)。
【0047】
この工程で得られたフッ化物は、多結晶でも粒界が存在する単結晶であってよいため、精密な温度管理は必要としない。なお、徐冷の際、ルツボを引き下げるのが好ましい。引き下げることにより、不純物の除去は一層向上する。
【0048】
こうして得られた結晶のうち特に上部、即ち経時的に最後に結晶化した部分を除去する。この部分は不純物が集まりやすいので、この除去作業によって特性に悪影響を与える不純物を除去する。
【0049】
(単結晶成長工程S13)
精製した結晶を原料として単結晶を成長させる。成長方法は結晶の大きさや使用目的に応じて適当な方法を選択する。一例として、ブリッジマン法による成長工程を示す。
【0050】
精製した結晶を図5に示す成長炉のルツボ内に入れる。成長炉のルツボは精製炉のルツボとは別物である。なお、図5において、301は成長炉のチャンバーであり、真空排気系に接続されている。302は断熱材、303はヒーター、304はルツボ、305はルツボ引き下げ機構、306はフッ化物結晶である。成長炉のルツボは、外部環境に対する密閉性が高い。精製炉で冷却されて得られるフッ化物原料は、精製炉のルツボから取出され、洗浄な成長炉のルツボへ移され収容される。その結果精製炉においてフッ化物原料から取除かれ且つ、精製炉ルツボ壁に付着した不純物が結晶成長時に溶融するフッ化物原料に再び混入するということがない。
【0051】
炉内を真空排気した後、ヒーターに通電してルツボを加熱し、原料となる結晶を完全に融解する。その後、徐々にルツボを引き下げ冷却して単結晶を成長させる。ルツボの降下速度は、1時間あたり0.1〜5.0mmが好ましい。
【0052】
こうして得られるフッ化物結晶は、酸素やスカベンジャーの構成元素の含有量が極めて少ない。これは、精製工程において既に酸素やスカベンジャーの構成元素を十分に取り除くことができるからである。なお成長工程においても、精製工程で説明した、ルツボ外の雰囲気を変える作業を行ってもよい。この場合、固体スカベンジャーを成長用ルツボ内に入れることで、成長工程においても更に不純物除去の作業を行ってもよいし、あるいは固体スカベンジャーを用いずに不純物除去の作業を行ってもよい。また成長工程においてのみ雰囲気を変える作業を行ってもよい。
【0053】
(アニール工程S14)
続いて、結晶成長したフッ化物単結晶を図6に示すアニール炉で熱処理する。なお、図6において、401はアニール炉のチャンバー、402は断熱材、403はヒーター、404はルツボ、405はフッ化物結晶である。
【0054】
このアニール工程では、ルツボをフッ化物結晶融点の400〜500℃以下の温度に加熱する。加熱時間は20時間以上、より好ましくは20〜30時間である。
【0055】
なお、フッ化マグネシウムのように熱衝撃に対して強度のある結晶は、アニール工程を省略してもかまわない。
【0056】
(成形加工性S15)
その後は、必要とされる光学物品の形状(凸レンズ、凹レンズ、円盤状、板状等)に成形する。また、必要に応じて、反射防止膜をフッ化物結晶の光学物品表面に設けるとよい。反射防止膜としては、フッ化マグネシウムや酸化アルミニウム、酸化タンタルが好適に用いられ、これらは抵抗加熱による蒸着や電子ビーム蒸着やスパッタリングなどで形成できる。本発明により得られた光学物品は水をほとんど含まない為に反射防止膜の密着性も優れたものとなる。
【0057】
こうして得られたレンズを各種組み合わせれば、エキシマレーザー、特にArFエキシマレーザーあるいはFエキシマレーザー等の高エネルギーレーザー光に適した高耐久性能を有する光学系を構成できる。特に、フッ化物結晶がフッ化カルシウムの場合、エキシマレーザー光源とフッ化カルシウム結晶からなるレンズを有する光学系と、被露光体としての基板を移動させ得るステージとを組み合わせて、露光装置を構成できる。
【0058】
(露光装置)
以下では、本発明の光学物品が用いられた露光装置について説明する。
【0059】
露光装置としては、レンズ光学系を用いた縮小投影露光装置、レンズ式等倍投影露光装置が挙げられる。
【0060】
特に、ウエハー全面を露光するために、ウエハーの1小区画(フィールド)を露光してはウエハーを1ステップ移動させて隣の1フィールドを露光する、ステップ・アンド・リピート方式を採用したステッパーが望ましい。勿論、マイクロスキャン方式の露光装置にも好適に用いられる。
【0061】
図7に本発明の露光装置の構成概略図を示す。同図において21は照明光源部であり、22は露光機構部であり、21,22は別個独立に構成されている。即ち両者は物理的に分離状態にある。23は照明光源で、例えばエキシマレーザのような高出力の大型光源である。24はミラーであり、25は凹レンズ、26は凸レンズであり、25,26はビームエキスパンダーとしての役割を持っており、レーザのビーム径をおおよそオプティカルインテグレータの大きさに拡げるものである。27はミラーであり、28はレチクル上を均一に照明するためのオプティカルインテグレータである。照明光源部21はレーザ23からオプティカルインテグレータ28までで構成されている。29はミラーであり、30はコンデンサレンズでオプティカルインテグレータ28を発した光束をコリメートする。31は回路パターンが描かれているレチクル、31aはレチクルを吸着保持するレチクルホルダ、32はレチクルのパターンを投影する投影光学系、33は投影レンズ32においてレチクル31のパターンが焼付けられるウエハである。34はXYステージでありウエハ33を吸着保持し、かつステップアンドリピートで焼付けを行う際にXY方向に移動する。35は露光装置の定盤である。
【0062】
露光機構部22は、照明光学系の一部であるミラー29から定盤35までで構成されている。36は、TTLアライメントに用いられるアライメント手段である。通常露光装置は、この他にオートフォーカス機構、ウエハー搬送機構等々によって構成されこれらも露光機構部22に含まれる。
【0063】
図8は、本発明の露光装置に用いられる光学物品の一例であり、図8に示す露光装置の投影光学系に用いられるレンズである。このレンズアセンブリはL1〜L11の11枚のレンズをお互いに接着することなく組みあわせて構成されている。そして、本発明の蛍石からなる光学物品は、図7、図8に示すレンズやミラーとして、或いは不図示ではあるが、ミラー式露光装置のミラーやレンズとして用いられる。より好ましくは、レンズ又はミラーの表面に反射防止膜または増反射膜を設けるとよい。
【0064】
また本発明のフッ化物結晶からなる光学部品は、プリズムやエタロンとして使用することが出来る。
【0065】
図9(a)と(b)は本発明のフッ化物結晶からなる光学部晶を用いたエキシマレーザー発振器の構成を模式的に表した図である。
【0066】
図9(a)が示すエキシマレーザー発振器は、エキシマレーザーを発光させ共振させるための共振器83と、該共振器83から出たエキシマレーザーを絞る絞り穴82と、エキシマレーザーの波長を単波長化させるためのプリズム84と、エキシマレーザーを反射させるための反射鏡81とから構成される。
【0067】
また図9(b)が示すエキシマレーザー発振器は、エキシマレーザーを発光させ共振させるための共振器83と、該共振器83から出たエキシマレーザーを絞る絞り穴82と、エキシマレーザーの波長を単波長化させるためのエタロン85と、エキシマレーザー光を反射させるための反射鏡81とから構成される。
【0068】
本発明のフッ化物結晶からなる光学物晶をプリズムやエタロンとして装置内に設けたエキシマレーザ光発振器は前記プリズムやエタロンを介してエキシマレーザーの波長をより狭くすることが出来、言い換えればエキシマレーザーを単波長化することが出来る。
【0069】
この露光装置を用いて、エキシマレーザー光をレチクルのパターンを介して基板上の光増感型レジストに照射すれば、形成すべきパターンに対応した潜像が形成できる。
本発明において精製に用いられるルツボとは、上述したようなフッ化物原料を収容するための空間、いいかえれば、室を1つ有するルツボである以外に、例えば室を少なくとも2つ以上有する形態であってもよい。
この室を少なくとも2つ以上有するツルボを図10Aと図10Bに示す。
図10と図10では、複数のルツボ1000が重なりあっており、各ルツボ1000の底面に相当する仕切り板部1030によってツルボの空間がそれぞれ独立して仕切られている。また最上部のルツボ1000の開口部を塞ぐようにふた1010が設けられている。
これらの多段式ルツボによって精製されたフッ化物原料は、各室の形状に倣いディスク形状になる。このディスク形状のフッ化物原料は、持ち運びやすく、又、小型なので成形加工が容易である。
またこれらの多段式のルツボは、ルツボ外部から伝わる熱が仕切り板1030を伝熱し、空間の中央に伝わりやすいという利点があり、熱制御を効果的に行いながらフッ化物原料を精製できる。
なお図10Aにおいて各ルツボ1000は、上部に重なる別のツルボ1000やふた1010との間のわずかの隙間1040を介して気体状の不純物をツルボの室から減圧されたルツボ外部へ排気可能な構成となっている。
また、図10Bにおいてルツボは、その側壁部に2つの孔1020をルツボの中心に対して対称に有しているが、この孔1020を介して気体状の不純物を図10Aに示すルツボよりも容易にルツボの室から減圧されたルツボ外部へ排気可能な構成となっている。
なおこの孔に不図示の開閉手段を設け、適宜孔の開閉を制御してもよい。
またルツボ1000と仕切り板部1030とは互いに着脱可能な構成であってもよい。この場合、ルツボ1000は筒型であってもよい。
またルツボ1000の側壁部に設けた孔1020は円形でもその他の形状でもよく、また孔の位置は、側壁部の上部に設けられる以外にその位置は適宜設定できる。また孔の数は図面で示すように2つある以外に必要に応じて適宜決めればよい。また孔の数が複数である場合は、夫々の孔が互いにルツボの中心対して対称な位置に位置決めされていてもよく、あるいは非対称な位置に位置決めされ
ていてもよい。
【0070】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をより詳細に説明する。
【0071】
(実施例1)
純度99%の一般的な合成フッ化カルシウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ化カルシウムに対して0.5mol%程度添加して混合した。次いで、この混合物を図4に示す精製炉のルツボに入れて炉及びルツボ内を排気した後、Arを10Paの圧力になるまで充填した。この時、ルツボは開口部を開けて脱ガス性を高めた状態にした。次にルツボの開口部を閉じルツボを1360℃に加熱して原料を融解した後、再び開口部を開いて炉内を排気し真空度を6.66×10−4Paにした。その後、ルツボを降下させて徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0072】
次に、上記結晶ブロックを、図5に示す単結晶成長炉のルツボに入れた。炉内を真空排気し、真空度を2.66×10−4Pa、温度を1360℃として11時間保った後、成長用のルツボを2mm/hの速度で降下させた。得られたフッ化物単結晶の直径は、単結晶成長炉のルツボの内径に従い適宜変更出来るが、例えば直径が230mmあるいは300mmあるいはそれ以上の単結晶を得ることができた。
【0073】
次にアニール炉のルツボに成長させたフッ化カルシウム単結晶と、0.1重量%のフッ化亜鉛を入れた。炉内を排気してルツボの温度を室温から900℃に速度100℃/hで上昇させた後、20時間900℃に保持した。そして、6℃/hの速度で低下させ、室温まで冷却した。
【0074】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図7に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図8にそれぞれ示す。結果として、真空紫外域の透過特性に優れ、ガンマ線照射による劣化が著しく少ないフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0075】
内部透過率は、真空紫外分光光度計で測定した。この内部透過率とは、媒質内即ちフッ化内に入光した光量を分母し、光が媒質内を単位距離進んだ場合の光量を分子とした場合の百分率のことであり、主に分母と分子の値の差は、媒質内で媒質を構成する材料によって吸収されるために生じると考えられている。また、劣化率は、1×10R/Hのガンマ線を1時間照射し、照射前後の透過率を可視域分光光度計で測定した。
【0076】
(実施例2)
純度99%の一般的な合成フッ化カルシウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ化カルシウムに対して0.5mol%程度添加した。次いで、この混合物を図4に示す精製炉のルツボに入れて炉及びルツボ内を排気した。この時、ルツボは開口部を閉めて脱ガス性を低下させた状態にした。ルツボを1360℃に加熱して原料を融解した後、ルツボを移動させて開口部を開け脱ガス性を高めた状態にし、真空度を6.66×10−4Paにした。その後、ルツボを降下させて徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0077】
以後の工程は、実施例1と同様にした。
【0078】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として実施例1の場合と同様に、真空紫外域の透過特性に優れ、ガンマ線照射による劣化が著しく少ないフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0079】
(実施例3)
純度99%の一般的な合成フッ化カルシウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ化カルシウムに対して0.5mol%程度添加した。次いで、この混合物を図4に示す精製炉のルツボに入れて炉及びルツボ内を排気した。スカベンジ反応がおこる温度にまで原料を加熱した後、ルツボを移動させて開口部を開け脱ガス性を高めた状態にした。その後原料を融点以上に加熱し、融解時の真空度を6.66×10−4Paにした。その後、ルツボを降下させて徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0080】
以後の工程は、実施例1と同様にした。
【0081】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として実施例1の場合と同様に、真空紫外域の透過特性に優れ、ガンマ線照射による劣化が著しく少ないフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0082】
(比較例1)
純度99%の一般的な合成フッ化カルシウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ化カルシウムに対して0.5mol%程度添加して混合した。次いで、この混合物を図4に示す精製炉のルツボに入れて炉内を排気した。この時、ルツボは開口部を開けて脱ガス性を高くした状態にした。ルツボを1360℃に加熱して原料を融解した後、ルツボを降下させて徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0083】
以後の工程は、実施例1と同様にした。
【0084】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として、真空紫外域の透過特性には優れているが、ガンマ線照射による劣化が大きいフッ化カルシウム結果が得られた。
【0085】
(比較例2)
純度99%の一般的な合成フッ化カルシウム原料に、スカベンジャーとしてフッ化亜鉛をフッ化カルシウムに対して0.5mol%程度添加して混合した。次いで、この混合物を図4に示す精製炉のルツボに入れて炉内を排気した。この時、ルツボは開口部を閉じて脱ガス性を低下させた状態にした。ルツボを1360℃に加熱して原料を融解した後、ルツボを降下させて徐冷し、原料を結晶化させた。ルツボ上部にあたる結晶化したフッ化カルシウムの上部を厚さ1mm除去した。
【0086】
以後の工程は、実施例1と同様とした。
【0087】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として、170nmより短波側での透過特性が低下し、ガンマ線照射による劣化が大きいフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0088】
(比較例3)
高純度の合成フッ化カルシウム原料粉末を用いた他は、比較例1と同様にしてフッ化カルシウム結晶を得た。高純度原料と一般合成原料との不純物濃度の差を表1に示す。なお、高純度原料の価格は一般合成原料の10倍である。
【0089】
【表1】
Figure 0003631063
【0090】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として、高純度の合成フッ化カルシウム原料を用いたにも拘わらず、真空紫外域の透過特性に優れてはいるが、ガンマ線照射によって劣化が生ずるフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0091】
(比較例4)
高純度の合成フッ化カルシウム原料を用いた他は、比較例2と同様にしてフッ化カルシウム結晶を得た。
【0092】
こうして得られたフッ化カルシウム結晶を切断、研磨して10mm厚の円盤とし、真空紫外域の透過スペクトルと内部透過率のガンマ線照射による劣化率を測定した。真空紫外域の透過スペクトルを図11に、ガンマ線照射後の透過スペクトルを図12にそれぞれ示す。結果として、高純度の合成フッ化カルシウム原料を用いたにも拘わらず、真空紫外域の透過特性は170nmより短波側で低下し、ガンマ線照射によって劣化が生ずるフッ化カルシウム結晶が得られた。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な固体スカベンジャーを用いる為にコストが低く抑えられる。
【0094】
また、精製能力が向上するので、不純物の多い原料を用いても、所望の特性のフッ化物が得られる為に、コストが低く抑えられる。
【0095】
更には、精製回数を増やさずに済む為にコストが低く抑えられる。
【0096】
そして、所望の高耐久性を持ち、透過率特性に優れたフッ化物結晶を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるフッ化物の精製工程のフローチャートである。
【図2】精製工程での温度プログラムを示すグラフである。また、ルツボの脱ガス性、つまり環境を切り替えるタイミングの許容範囲を示すグラフである。
【図3】製造工程例を説明するためのフローチャートである。
【図4】精製工程に用いられる精製炉の断面を示す模式図である。
【図5】単結晶成長工程に用いられる成長炉の断面を示す模式図である。
【図6】アニール工程に用いられるアニール炉の断面を示す模式図である。
【図7】本発明のフッ化物結晶を光学物品として用いた露光装置の構成概略図である。
【図8】本発明のフッ化物結晶を光学物品として用いた露光装置の投影光学系を示す模式図である。
【図9】本発明のフッ化物結晶を用いたエキシマレーザー発振器の光学系を示す模式図である。
【図10】精製工程に用いられる別の精製炉の断面を示す模式図であり、図10Aは多段式のルツボ図10Bは側壁に孔を有する多段式のルツボである。
【図11】種々の条件で作成したフッ化カルシウム結晶の透過スペクトルを示すグラフである。
【図12】種々の条件で作成したフッ化カルシウム結晶のガンマ線照射後の透過スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
21 照明光源部、
22 露光機構部、
23 照明光源、
24 ミラー、
25 凹レンズ、
26 凸レンズ、
27 オプティカルインテグレーター、
29 ミラー、
30 コンデンサーレンズ、
31 レチクル、
31a レチクルホルダ、
32 投影光学系、
33 ウエハ、
34 XYステージ、
35 定盤、
36 アライメント手段、
L1〜L11 レンズ、
81 反射鏡、
82 絞り穴、
83 共振器、
84 プリズム、
85 エタロン、
201 精製炉のチャンバー、
202 断熱材、
203 ヒーター、
204 ルツボ、
205 フッ化物、
206 ルツボ引き下げ機構、
207 ルツボ開口部開閉機構、
208 ガス導入装置、
301 成長炉のチャンバー、
302 断熱材、
303 ヒーター、
304 室(ルツボ)、
305 フッ化物、
306 ルツボ引き下げ機構、
401 アニール炉のチャンバー、
402 断熱材、
403 ヒーター、
404 ルツボ、
405 フッ化物結晶
1000 ルツボ
1010 ふた
1020 孔
1030 仕切り板部
1040 隙間

Claims (9)

  1. 精製炉内に設置したルツボ内に装填された、固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料を溶解するために加熱し、溶解状態を保持する加熱工程と、
    前記溶解したフッ化物原料を固化するために冷却する冷却工程と、を含むフッ化物の精製方法において、
    前記加熱工程の途中で、前記ルツボに設けられた前記ルツボ内と前記精製炉内とを結ぶ開口部が閉じられている第一の環境から、前記ルツボが前記精製炉と連通している第二の環境に変更する際に、前記精製炉に対する不活性ガスの供給量を減少することで前記第一の環境よりも前記第二の環境において前記精製炉の圧力を低下させることを特徴とするフッ化物の精製方法。
  2. 精製炉内に設置したルツボ内に装填された、固体スカベンジャーが添加されたフッ化物原料を溶解するために加熱し、溶解状態を保持する加熱工程と、
    前記溶解したフッ化物原料を固化するために冷却する冷却工程と、を含むフッ化物の精製方法において、
    前記加熱工程の途中で、前記精製炉内に所定の圧力の不活性ガスが充填されている第一の環境から、前記精製炉内が真空排気されている第二の環境に変更することを特徴とするフッ化物の精製方法。
  3. 前記第一の環境での精製炉内の圧力は1気圧以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフッ化物の精製方法。
  4. 前記第二の環境での精製炉内の圧力は10−3Pa以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のフッ化物の精製方法。
  5. 前記第一の環境から前記第二の環境への変更は、前記ルツボ内のスカベンジャーが溶融した後であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフッ化物の精製方法。
  6. 前記第一の環境から前記第二の環境への変更は、前記ルツボ内のフッ化物原料が溶融した後であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のフッ化物の精製方法。
  7. 前記冷却工程において、結晶成長させることにより精製と同時に成長を行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフッ化物の精製方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項記載の精製方法により精製されたフッ化物を融解し、結晶成長させることによりフッ化物を得ることを特徴とするフッ化物結晶の製造方法。
  9. 前記ルツボは内部が複数の空間に仕切られていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のフッ化物の精製方法。
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