JP3629390B2 - 高周波用圧粉磁心およびその製造方法 - Google Patents

高周波用圧粉磁心およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は各種の電気・電子機器に使用される圧粉磁心に係るもので、とくに1kHz〜1MHz程度までの高周波領域で用いられる例えばチョークコイル,ノイズフィルター,リアクトルなどのコアに好適な、磁束密度が高く周波数特性に優れ、機器の小型化に対応し得る圧粉磁心に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
交流磁場内で使用される軟磁性材料の鉄心(磁心)では、磁束密度および透磁率が大きいことと、鉄損が小さいことが特に要求される。珪素鋼板はこの条件に適合するが、薄板の打ち抜き品を積層して作る関係で形状に制約を受けるため、形状が複雑な場合は、任意の形状に成形可能な粉末冶金による磁心(粉末磁心)によることが多い。粉末磁心には圧粉体を焼結した所謂焼結鉄心と、焼結せずに純鉄,Fe−Si合金,センダスト,パーマロイなど強磁性金属の粉末を熱硬化性樹脂,水ガラスその他適宜の結合材で固化させた圧粉磁心とがあるが、鉄損の主要部分を占める渦電流損は鉄心の厚さの自乗に比例するため、一体成形の焼結鉄心では鉄損が大きくなるという問題がある。
【0003】
この点では、圧粉磁心の場合は鉄粉粒子の間に非磁性の樹脂が介在するために渦電流損が小さいという本質的特徴がある。あとは、圧粉磁心の場合磁束密度は磁心の密度比によって一義的に定まるので、高密度に成形して磁束密度を高めれば要求特性を充足することができる訳である。圧粉体の密度を高めるためには、粉末を圧縮成形する際の成形圧力を高くすることと、それに伴って粉末相互間や粉末と金型との間に生じる摩擦抵抗を減じる必要があり、その手段として、一般的には粉末潤滑剤を原料粉に混合している。しかしその量によっては、焼結工程のない圧粉磁心の場合には摩擦抵抗は減じるものの却って圧粉密度の低下を招いたり、樹脂硬化の過程で溶融した粉末潤滑剤が鉄粉と樹脂の接合および樹脂層の良好な形成を妨げ、その結果圧粉体の強度(抗折力)の低下を招くことがある。従って圧粉磁心の場合は粉末潤滑剤の添加は出来るだけ少量に留め、押型潤滑を併用するのが好ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以前、本件出願人は特公昭49−15684号において、通常の溶解法による鉄系磁性合金の場合と同じく粉末磁心の場合も鉄にSi,Al,Niなど各成分単味の固有抵抗,または鉄との固溶体の固有抵抗が鉄単味の固有抵抗よりも高い成分の添加が磁気特性の向上に有効であること;特に、これらの成分またはその拡散部の薄層が鉄粒子を被覆して存在する組織構造にすると交流磁気特性(磁束密度,鉄損)が著しく改善されること;そしてこの様な組織構造は、Siを例にとると例えば珪素樹脂の水溶液に鉄粉を浸漬,乾燥すれば表面が珪素樹脂で被覆された鉄粉が得られるので、その鉄粉の使用により容易に実現されることを開示した。
【0005】
しかし近年、各種電気・電子機器の小型化が進むにつれてこれらに使用される磁心も小型化する必要が生じた結果、小型化しても従来の機能を損わない、即ち高磁束密度・高透磁率・低鉄損などの磁気特性を具え、且つ高強度の磁心が求められるに至った。ところが表面に固有抵抗の高い層を形成した粉末を用いても、これを高密度に圧粉するため粉末潤滑剤の添加量を減らして成形圧力を高くすると粉末相互の摩擦摩耗が増大する結果、従来の単なる造粒処理や前述の浸漬処理程度では折角の被覆層が剥離してしまい、所期の特性には達しなかった。そこでこの発明の課題は、被覆層のより一層の材質的改良と,その被覆層を鉄粉などの強磁性金属粉末(以下この明細書では鉄粉で強磁性金属粉末を代表させる。)の表面に強固に結合させる手段を見出すことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は種々研究の結果、先ず被覆層の材質については、被覆層が無機絶縁物と有機絶縁物の双方を含有し、この両者が微細に分散した状態で鉄粉粒子の表層部と融合した組織状態の被覆層が形成されれば所望の磁気特性が得られること;その際、鉄粉と被覆材(無機絶縁物および有機絶縁物)の配合割合については、体積比で無機絶縁物と有機絶縁物の和が1〜6%(その内無機絶縁物が0.5〜5.5%)および残り鉄粉の組成範囲が特に好ましいこと;この様な組織状態の被覆層は前述の通り従来の慣用手段では得られないが、鉄粉と絶縁物粉末を所定割合に配合した混合粉に、強力な圧縮・剪断作用を機械的に反復負荷する処理を施せば容易に得られることを見出した。
【0007】
この処理に適する装置としては圧縮剪断型の機械式粒子複合化装置と呼ばれる装置があり、被覆型複合粒子の作製,粒子の表面改質,形状制御,固体粒子間の融合の促進,精密混合などに応用できるとされている。市販品にはホソカワミクロン社のメカノフュージョン(表面融合)システム,奈良機械製作所のハイブリダイゼーションシステム,徳寿工作所のシータコンポーザ(何れも商品名)その他があり、原理は何れも類似している。筆頭のものを例にとると、装置は、回転する容器とその中に装着された円弧状ヘッドを持つ腕部材からなり、投入された粉体は遠心力によって容器内面に押し付けられて容器とともに回転してヘッドと容器内面の間で強力な圧縮・剪断作用を受け、容器内面に付着しスクレーパーで掻き取られる。これらが高速で繰り返されて粒子複合化などの効果が出る。容器内面とヘッドとの隙間は被処理粉末の種類や処理目的に合わせて調整されるが、概ね50〜500μm程度である。
【0008】
この処理を鉄粉と絶縁物粉末との混合粉に施すと、鉄粉を核としてその表面に絶縁物を主体とする被覆層が形成されるが、この被覆層はX線回折その他の試験結果によれば核の金属相と微細化した絶縁物粒子が交互に分散し、一部非晶質化した組織となって極めて高抵抗の絶縁性を示している。そして核の金属相と絶縁物粒子との界面近傍では、両者の成分の濃度分布が一方の成分は正の勾配,他の一方の成分は負の勾配をもって連続的に変化していることから、界面においては両者が融合していることが判る。この様に、この処理を施した複合粉末の場合は被覆層と核とが強固に一体化しているためこれを高圧力で圧縮成形しても造粒,浸漬その他の従来の処理法の場合と異なり、被覆層の破壊や剥離を生じて特性の劣化を招くことはない。ちなみに、この処理に相応しい名称として、この明細書では“融合処理”と呼ぶこととする。その趣旨は、同じく被覆を意図する処理でも単なる造粒や従来の複合とは被覆の効果が全く異なるので、これらとの区別を図ることにある。
【0009】
この融合処理を鉄粉と絶縁物粉末との混合粉に施すことにより前述の組織構造で核と強固に一体化した被覆層が形成される機序については、次のように考えられる。即ち、混合粉が処理装置の容器内面とヘッドとの間を通過する際に受ける強力な圧縮・剪断作用によって、鉄粉(核粒子)に挟まれた絶縁物粉末が微細に粉砕,分断され、核粒子の表面に付着する。核粒子の表面上では付着した絶縁物粉末が圧縮力によって埋め込まれ、核の金属相と微細化した絶縁物粒子との混合相(被覆層)が徐々に形成される。そして核の金属相と絶縁物粒子との界面では核粒子相互間に生じる摩擦熱によって両者が部分的に反応し固着(融合)する。この繰り返しの結果、所望の特徴を具えた被覆層が得られる訳である。
【0010】
強磁性金属粉末としては軟磁気特性に優れ、飽和磁束密度の高い鉄系金属粉末が望ましい。中でも価格的に純鉄粉は好適であり、アトマイズ法,還元法その他の各種製造法による鉄粉が用いられるが、圧縮成形性や純度の点から還元鉄粉が望ましい。ちなみに還元鉄粉の純度は通常99.9質量%以上である。純鉄以外の強磁性金属粉末としてはFe−Si系,Fe−Si−Al系,Fe−Ni系,Fe−Co系,Fe−Mo−Ni系なども挙げられるが、所望の磁束密度、透磁率およびコストに応じて適宜に選択される。強磁性金属粉末の粒径については、粒径が小さいほど渦電流損は小さくなり高周波特性が向上するが、小さ過ぎると粉末の流動性,圧縮成形性が悪くなり、高密度の圧粉磁心が得られない。従って粒径は150μm以下,好ましくは10〜100μm程度が適当である。
【0011】
無機絶縁物としてはAl,SiO,TiO,CaCOなどの酸化物粉末、およびカオリン(白陶土),珪藻土,タルク(滑石)などの鉱産物粉末が用いられる。無機絶縁物の粒径は微細混合相を得るため出来るだけ小さい方が望ましく、50μm以下が好ましい。ただし微細に過ぎると取り扱いやコストの問題があるので、0.5μm以上とするのがよい。有機絶縁物にはフェノール,エポキシ,ポリイミドなどの熱硬化性樹脂粉末や、ポリアミド,ポリエチレン,ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂粉末が使用される。有機絶縁物の粒径については、無機絶縁物について述べたのと同様の理由で1〜50μmが好ましい。
【0012】
有機絶縁物としての合成樹脂は、圧粉磁心の結合剤を兼ねる必須の成分であるが、これ単独では充分な絶縁性は得難く、特に高周波領域での絶縁性を確保するためには、無機絶縁物と併用する必要がある。そしてその場合、強磁性金属粉末(鉄粉)への配合量は、体積比で無機絶縁物と有機絶縁物の和が1〜6%(その内無機絶縁物が0.5〜5.5%)および残り鉄粉の組成範囲が特に好ましい。その理由は後述する実施例のデータが示すように、無機絶縁物が0.5%未満,無機絶縁物と有機絶縁物の和が1%未満では高周波領域での所望の絶縁性および圧粉磁心の強度が確保できず、一方、無機絶縁物が5.5%を越え、無機絶縁物と有機絶縁物の和が6%を越えて過剰になると、磁束密度および透磁率が著しく低下し、同時に磁心の強度も低下することによる。なおこの明細書における配合割合,添加量などは、特に断わらない限り全て体積比で示してある。
【0013】
【発明の実施の形態】
先ず原料粉については、強磁性金属粉末の代表としての純鉄粉には粒径100μm以下(以下、−100μmのように記す。)の還元鉄粉,およびこの鉄粉にリン酸被膜処理を施したものの二種類を、絶縁物粉末は、無機絶縁物にはタルク粉末(−3μm),アルミナ粉末(−5μm),シリカ粉末(−3μm),炭酸カルシウム粉末(−30μm)の四種類を、有機絶縁物にはフェノール樹脂粉末(−50μm)およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS;−30μm)粉末の二種類を用意した。有機樹脂は、圧粉磁心における結合材を兼ねている。次いでこれらの原料粉を表1に示した各所定の割合に配合して、それぞれ組成の異なる試料1〜試料23用の混合粉を調製した。表中、鉄粉の欄の☆印はリン酸被膜処理を施した鉄粉であることを、(有機)樹脂の欄の*印はポリフェニレンサルファイド樹脂(無印はフェノール樹脂)であることを示している。
【0014】
次にこの発明の特徴とする融合処理の作用効果を見るため、試料20〜23を除く他の試料はそれぞれの混合粉にシータコンポーザ(徳寿工作所の商品名)を使用して融合処理を施した後、粉末潤滑剤としてエチレンビスステアロアミドの粉末0.05%(各試料一律)を添加・混合する。一方、試料20〜23については無処理の比較例として、融合処理を施さずにエチレンビスステアロアミドの粉末0.05%(各試料一律)を添加・混合する。次いで各試料ごとに磁気特性測定用の磁心,および強度測定用の試験片を作製する訳であるが、圧粉時の成形圧力や圧粉体を固化する加熱温度の影響を見るため、これらの因子を各試料それぞれ、表1に示すように割り付けてある。
【0015】
磁気特性測定用の磁心は内径20mm,外径30mm,厚さ5mmのリング状である。また、強度測定用の試験片は長さ31.8mm,幅12.7mm,厚さ5mmの平板状であり、その抗折力をもって強度を評価する。これらを成形する金型には成形の都度、予め押型潤滑剤としてエチレンビスステアロアミドのアルコール懸濁液を塗布・乾燥しておく。成形後の固化処理のための加熱時間は加熱温度が180℃の場合は1時間,350℃では30分間,500℃では20分間とする。
【0016】
(実施例) 先ず表1の試料9の欄に示す条件に従い、リン酸被膜処理を施した還元鉄粉に無機絶縁物として滑石(タルク)粉末4.5%と,結合材を兼ねる有機絶縁物としてフェノール樹脂の粉末0.5%を配合してシータコンポーザにより融合処理を施し、粉末潤滑剤を0.05%添加して成形圧力980MPaで所定の形状に成形後、温度180℃で1時間の加熱を行なって圧粉磁心と抗折力試験片を作製した。以下同様にして、表1に示すそれぞれの配合組成および処理条件に従って試料1〜試料8および試料10〜試料23に係る圧粉磁心と抗折力試験片を作製し、特性試験に供した。なお、シータコンポーザの運転条件は容器内面とヘッドとの隙間500μm,両者の回転速度差2.5m/秒,処理時間は30分間である。
【0017】
次に磁気特性の試験については、交流磁気特性は1次コイル20回,2次コイル20回の捲線を磁心に施して周波数1kHz,400kHzおよび1MHzにおける実効透磁率μaを測り、1MHzにおける実効透磁率の1kHzにおける実効透磁率に対する比(表には1M/1kと略記)を求めた。この比は高周波特性を評価する物差の一つであり、この値が1に近いほど、所望の周波数範囲内における磁心の実効透磁率が安定していることを、即ち高周波特性が優れていることを示す訳である。直流磁気特性は1次コイル200回,2次コイル20回の捲線を磁心に施して磁束密度B100 を測定した。また、抗折力は試験片を材料試験機に支点間距離25.4mmで載置し、その中心に負荷して破壊強度を求めた。
【0018】
この様にして得られた試料1〜試料23の磁気特性,抗折力のデータを表2に示す。表1とこの表2は、本来は1枚の表を紙面の都合で分割したものなので、見易くするために表1には表2の備考欄を,表2には表1の配合欄の概要と融合処理の有無を、それぞれ重複して掲載してある。表における試料の配列は、試料1〜19は全てこの発明の骨子とする融合処理を施したもので、絶縁物配合量の少ない順に並べてある。表2のデータが示すように、試料1〜試料3は1kHzから1MHzまで周波数が高くなるにつれて透磁率が激減してしまうので、この高周波領域での磁心には使えない。これは、絶縁物含有量が1%未満で足りないために、所要の絶縁性を持つ被覆層が形成されないことによると考えられる。
【0019】
一方、試料17〜試料19は絶縁物含有量が6%超と多い(過剰)ため絶縁性被覆層の形成が充分で高周波特性は優れるものの、その反面磁心中の鉄粉の割合が不足するために実効透磁率,磁束密度および抗折力が劣り、所望の品質に達しない。これに対して、特に好ましいのは絶縁物が5%(鉄粉95%)であるが、絶縁物が1〜6%の範囲内にある試料4〜試料16は磁気特性,強度とも所望の品質を充分満たしている。従って試料4〜試料16がこの発明の実施例であり、試料1〜試料3は絶縁物(無機絶縁物と有機絶縁物の和)の配合量が1%未満で高周波特性が劣ること;試料17〜試料19は絶縁物が6%超と過剰で透磁率,磁束密度,強度ともに劣ることにより、何れもこの発明の範囲外とされる。次の試料20〜試料23はいわゆる従来型の圧粉磁心で、絶縁物の配合量は実施例中最適な5%を採択し、原料粉を混合したまま融合処理を省いて圧縮成形した比較例である。
【0020】
ここで、この発明の特徴とする融合処理についての検討に先立ち、他の要因に関する検討結果を説明する。先ず無機絶縁物の種類については、配合量が等しく4.5%の試料6〜試料15を見ると、各特性とも炭酸カルシウムの数値が幾分高いものの全体として有意差は認められない。これは絶縁物配合量が過剰の試料18,19からも同様である。
【0021】
次に鉄粉へのリン酸被膜処理の効果については、融合処理をしない比較例では一応有効と思われるが、融合処理を施した場合は試料7〜試料12を見ると相反するデータがあり、明らかに有効とは言い難い。その理由は、融合処理の過程で受ける強力な摩擦および圧縮・剪断作用によってリン酸被膜の効果が減殺されるためと考えられる。なおリン酸被膜処理を施した鉄粉は流動性などの粉末特性が改善されるためか、融合処理の有無に拘らず抗折力が高めになっている。
【0022】
成形時の成形圧力については、その影響を受けるのは主に磁束密度と抗折力の筈であり、事実低圧で成形した試料6〜試料8および試料13〜試料15と高圧で成形した試料9〜試料12とを比べると磁束密度,抗折力ともに有意である。また抗折力については、成形後の加熱温度との相関傾向も見受けられる。
【0023】
成形後の加熱(固化)処理温度の影響については、この加熱は一般に圧粉体を強化させ、また成形圧力によって圧粉体に残留する歪みを除去する。圧粉磁心に残留する歪みは透磁率,保磁力,鉄損(ヒステリシス損失)などの構造敏感性の磁気特性を阻害するので、加熱によって歪みが消失すれば、これらの特性が向上する筈である。しかしその一方で、鉄粉の表面に形成された被覆層の絶縁成分が加熱によって鉄粉内部に拡散すると、本来の絶縁効果が損われ、結果として磁気特性を劣化させる。加熱温度180℃の試料7,9;350℃の試料6,10;500℃の試料11,12が示すように、高温になるほど抗折力と透磁率は向上するものの高周波特性は劣化の傾向にあるのは、歪みの消失と拡散の進行という効果が相反する作用のためと考えられる。
【0024】
【表1】
Figure 0003629390
【0025】
【表2】
Figure 0003629390
【0026】
最後に、原料粉に対する融合処理の効果は、この処理を施した試料7〜試料9および試料11を見ると、その全てが実効透磁率,高周波特性,磁束密度などの磁気特性、抗折力とも高周波用圧粉磁心として充分な品質を具え、中でも高周波特性は高圧で成形した場合でも、僅かな低下に留まっている。その理由は、融合処理を経た被覆層は内部の鉄粉と強固に接合しているために、圧粉成形時の高い圧力や摩擦摩耗に充分耐え得ることにある。これに対して、融合処理を施さない試料20〜試料23では、周波数が400kHzを超えると低圧で成形した場合でも実効透磁率が急激に減少し、高周波特性が著しく劣化している。これは被覆層と内部の鉄粉との接合が弱いため、成形時に受ける圧力や摩擦により被覆層の剥離,損傷が生じたことを意味する。そしてこの事実は、この発明の特徴とする融合処理の有効性を如実に示している。なお抗折力が成形圧力や加熱温度の上昇につれて向上しているのは、常識的に首肯されるところである。
【0027】
【発明の効果】
従来、1MHzを超えるような高周波領域では、絶対値は低い(0.4前後)ものの磁束密度が安定しているフェライトコアが専ら用いられ、一方数十kHz程度までの領域では珪素鋼板積層品が用いられているが、その中間の領域用には適切な磁心材が無かった。例えばセンダストは、周波数1MHzでも磁束密度が安定してはいるがそのレベルはフェライトコアより若干高い程度のため、当初に述べた機器の小型化に対応することは出来ない。しかるに、この発明に係る圧粉磁心は周波数1MHzまで実効透磁率が殆ど低下しないため高周波特性が優れ、且つ高い磁束密度(1.1前後)を示している。従ってこの発明は圧粉磁心の用途範囲を拡大するとともに、電気・電子機器の小型化への対応を可能にしたものである。

Claims (2)

  1. 表面に絶縁性の強固な被覆層が形成された強磁性金属粉末からなる圧粉磁心において、この被覆層が無機絶縁物と有機絶縁物の双方を含有し、強磁性金属粉末と絶縁物の割合が、体積比で無機絶縁物および結合剤を兼ねる有機絶縁物が合計1〜6%(その内無機絶縁物が0.5〜5.5%)および強磁性金属粉末が残部であり、且つこの被覆層の界面近傍の組織状態が強磁性金属粉末を核としてその表面に、この核の金属相と絶縁物粒子とが一方の成分は正の勾配、他の一方の成分は負の勾配をもって連続的に変化する濃度分布をもって微細に分散した状態で強磁性金属粉末の表層部と融合した組織状態を呈することを特徴とする高周波用圧粉磁心。
  2. 強磁性金属粉末に無機絶縁物および結合剤を兼ねる有機絶縁物を体積比で合計1〜6%(その内無機絶縁物が0.5〜5.5%)配合した混合粉に、強力な圧縮・剪断作用を機械的に反復負荷する融合処理を施して強磁性金属粉末の表面に絶縁性の強固な被覆層を形成した後、この粉末を所要の形状に圧縮成形して加熱固化させることを特徴とする、請求項1に記載の高周波用圧粉磁心の製造方法。
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