JP3628460B2 - 耐水紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐水紙及びこれを用いてなる耐水段ボール箱に関し、詳しくは、青果物や水産物等に用いられる耐水紙及びこれを用いてなる耐水段ボール箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の環境保護の面から、青果物や水産物等に使用される包装容器は、リサイクルが容易でない発泡スチロール箱から、リサイクルが容易な段ボールへの転換が望まれている。
【0003】
また、ブロッコリ等の野菜やりんご等の果実等の青果物等は、鮮度維持が要求されており、この鮮度を保持するため、近年、収穫直後から冷蔵貯蔵したり、出荷直前に予冷することが増えている。
【0004】
段ボール箱に充填された青果物等を低温貯蔵や予冷する際、使用される冷蔵庫等の冷蔵設備内の湿度は高い場合が多く、ここに上記の青果物等が充填された段ボール箱を入れると、段ボール箱の水分が高くなり、耐圧強度が低下する。これに加え、上記の段ボール箱内部は、青果物等の蒸散によって湿度が高くなって、飽和状態になりやすく、これも耐圧強度を低下させる要因となる。
【0005】
このような状態で、出荷のために上記段ボール箱を冷蔵庫等の冷蔵設備から外に出すと、この外気と内容品の温度差によって、段ボール箱内面に結露が生じやすい。また、流通の過程において、冷蔵設備と外界とを往復させると、上記の結露がより多く生ずることとなる。段ボール箱の内面に結露を生じると段ボール箱を構成する段ボール紙が濡れ、耐圧強度等の段ボール箱の強度が著しく低下し、この段ボール箱を積み重ねたとき、箱が壊れて荷崩れする原因となる。
【0006】
これに対し、段ボールのライナ表面にポリエチレン等のプラスチックフィルムやアルミ箔等の金属箔を積層した耐水段ボール、製紙段階で耐水剤を内添させた原紙を用いる耐水段ボール、段ボールのライナ表面にワックスを塗工した耐水段ボール、又は段ボールのライナ等にワックスを含浸させた耐水段ボール等が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、プラスチックフィルムや金属箔を積層した耐水段ボールやワックスを塗工した耐水段ボールの紙内部は耐水性を有さないので、段ボール箱の端部や切り込み部から水が侵入すると圧縮強さ等の強度が著しく低下する。一方、段ボール抄造時に添加できる耐水剤の量には限度があり、耐水剤を内添させた原紙を用いても十分な耐水性が得られない問題があった。また、ワックスを含浸した耐水段ボール箱は、十分な耐水性を得るためには非常に多くのワックスを含浸させる必要があるので極めて生産性が悪く、コストも高い。
【0008】
しかも、プラスチックフィルムや金属箔は製紙原料として異物であるし、また、ワックスは再生時の離解性を阻害する要因である。そのため、これらはいずれも古紙としては不適であり、リサイクルが困難であるという問題点を有する。
【0009】
そこで、この発明の課題は、紙が結露等の水分と接触しても強度の低下を抑制し、湿潤時の圧縮強さ等の強度を高めると共に、リサイクルを容易にした紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この発明は、抄造時に耐水剤を添加してなる耐水剤含有紙の少なくとも片面に、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂からなる塗工層を形成したものである。
【0011】
耐水剤を紙中に含有させて紙内部の耐水性を向上させた後、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂を含む耐水剤を塗工して、紙表層の撥水性を高めると共に耐水性を向上させたので、湿潤時の圧縮強さ等の強度を高めることができ、紙の端部が水と接触しても強度を維持できる。
【0012】
また、上記塗工層をワックスと合成高分子樹脂の比が固形分で95:5〜65:35の混合液を用いて形成することができ、さらに、この混合液を上記耐水剤含有紙の表層に撥水剤からなる塗工層を形成したものに塗工することができる。
【0013】
この場合は、撥水剤の塗工層によりワックスと合成高分子樹脂が表層部に均等に拡がり耐水性向上により効果的となる。
【0014】
抄造時の耐水剤の添加量を多くする必要がないので紙自体の性能の低下や生産性の低下、汚れ等の抄造時でのマシントラブル等を抑制することができる。さらにまた、この紙やこの紙を使用した段ボール箱を再生利用する際にも離解性が良好となり、リサイクルが容易となる。
【0015】
抄造時に耐水剤を添加してなる耐水剤含有紙の少なくとも片面に、ワックスエマルジョン、又はワックスエマルジョン及び合成高分子樹脂エマルジョンの混合液を塗工し、加熱乾燥することにより、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂の塗工層を形成させる方法を用いた。
【0016】
耐水剤含有紙に耐水剤を塗工しようとすると、エマルジョン型等の水系耐水剤は弾かれるため、有効な塗工ができないと考えられがちであるが、ワックスを含有する耐水剤を用いたので、たとえエマルジョン型の耐水剤であっても、塗工して加熱することにより、ワックスが溶融して一部紙中に浸透すると共に、紙表面にも均一な皮膜を形成させることができ、紙全体として耐水性を向上させることが可能となった。
【0017】
さらに、ワックスエマルジョンに含まれる界面活性剤は、上記の加熱乾燥時にエマルジョン中の水分が蒸発しても、そのまま残留する。このため、古紙再生の際に、離解するために水中で攪拌するとき、この界面活性剤が水分をトラップして離解を促進し、リサイクルを容易にする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を説明する。
【0019】
この発明にかかる耐水紙は、抄造時に耐水剤を添加してなる耐水剤含有紙の少なくとも片面に、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂を含むコート剤により塗工層を形成したものである。
【0020】
上記の抄造時に添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ懸濁液に添加する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤を用いることができる。このような湿潤紙力増強剤として、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん等をあげることができる。
【0021】
この耐水剤の添加量は、使用するパルプの種類、薬剤の種類や目的とする耐水性能により異なるが、対パルプ0.2〜2重量%(固形分換算)であり、好ましくは0.5〜1重量%である。
【0022】
上記耐水剤を添加してなる耐水剤含有紙に、さらに撥水剤の塗工層を形成させたものは好ましく使用することができる。この撥水剤としては、石油樹脂、石油系ワックス、ロジン変性マレイン酸樹脂、スチレン変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、スチレン変性アクリル樹脂等の水溶液やエマルジョンがあげられる。
【0023】
この撥水剤の添加量は、薬剤の種類や目的とする撥水度により異なるが、通常0.5〜1g/m(固形分)である。加工方法は、耐水剤含有紙を抄造する場合にサイズプレスやカレンダーで加工するオンマシン加工や、一旦抄造した後にロールコーター等で加工するオフマシン加工を任意に選ぶことができる。
【0024】
また、この撥水剤を塗工した撥水性耐水剤含有紙にワックスと合成高分子樹脂を含むコート剤により塗工層を形成させると、撥水加工をしていない耐水剤含有紙よりも少ない塗工量で同等の耐水性を得ることができる。
【0025】
さらに、上記の耐水剤含有紙には、上記以外の乾燥紙力増強剤、サイズ剤や充填剤等の通常の抄造に使用される製紙用薬品をこの発明の効果を損ねない程度に使用できる。
【0026】
上記耐水剤を添加して得られた耐水剤含有紙の少なくとも片面に形成される塗工層は、ワックスエマルジョン又はワックスエマルジョンと合成高分子樹脂エマルジョンの混合液からなるコート剤を塗工し、加熱乾燥することにより形成される。すなわち、この塗工層はワックス又はワックスと合成高分子樹脂、及びエマルジョンを形成するための界面活性剤からなる。
【0027】
この塗工層は、上記のように加熱乾燥することにより、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂等の一部が上記耐水剤含有紙に浸透し形成された浸透層と、一部が上記耐水剤含有紙表面で成膜した皮膜層からなる。
【0028】
上記ワックスエマルジョンは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス1種又はこれら2種以上の混合物に、乳化剤(すなわち、界面活性剤)を添加した水系分散剤である。これらの中でも、コストと性能のバランスがとれているパラフィンワックスが好ましい。
【0029】
上記合成高分子樹脂エマルジョンは、アクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の樹脂1種又はこれら2種以上の混合物に、乳化剤(すなわち、界面活性剤)を添加した水系分散体である。上記アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−アクリル系樹脂等の樹脂があげられる。また、合成ゴム系樹脂としては、メチルメタクリレート−ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂等があげられる。これらの中でも、合成ゴム系樹脂やアルキル系樹脂は、耐水剤含有紙への耐水性付与が良好なので好ましい。
【0030】
上記ワックス又は合成高分子樹脂のエマルジョンに含まれる界面活性剤の種類は、ワックス又は合成高分子樹脂をエマルジョン化できるものであれば特に限定しないが、含有量はワックス又は合成高分子樹脂に対し、1〜10重量%(固形分換算)が好ましい。1重量%未満では、エマルジョン化することが困難であると共に、離解性を損ねる傾向があり、10重量%を超えると耐水性を損ねる傾向がある。
【0031】
上記ワックスエマルジョンと合成高分子樹脂エマルジョンの混合割合は、固形分換算で、ワックスエマルジョン:合成高分子樹脂エマルジョン=95:5〜65:35(重量比)が好ましい。
【0032】
これらのエマルジョンを上記耐水剤含有紙や撥水性耐水剤含有紙に塗工すると、耐水剤や撥水剤によって弾かれるが、塗工後の加熱乾燥工程で、上記エマルジョン中のワックスが溶融し、耐水剤含有紙表面に均一に拡散し、一部は浸透し、一部は皮膜を形成する。このため、上記塗工層中にワックスは必須である。また、上記の固形分がワックス分100%であっても、湿潤時の紙の破裂強さや圧縮強さ等の強度を高め、耐水効果を発揮する。さらに、上記ワックスに上記合成高分子樹脂を加えると、湿潤時の強度をより高めることができ、より高い耐水効果をもたらす。このとき、上記ワックスは、上記合成高分子樹脂を耐水剤含有紙内部に浸透させる役割と共に紙表面に均一に拡散させる役割、すなわち、上記合成高分子樹脂のビヒクルとしても働く。ワックスエマルジョンと合成高分子樹脂エマルジョンの混合液中の固形分に対し合成高分子樹脂固形分が35重量%を超えると、耐水剤含有紙に含浸するワックスの量が低下し、それに伴いビヒクルとしての作用が低下し、上記合成高分子樹脂が紙表面に均一に広がりにくくなる。
【0033】
上記ワックスエマルジョン又はワックスエマルジョンと合成高分子樹脂エマルジョンの混合液には、印刷適性や加工適性を上げるため、通常の水性塗料や水性インキに使用されている助剤、すなわち、消泡剤、粘度調整剤、防滑剤、乾燥調整剤等をこの発明の効果を損なわない程度に添加してもよい。
【0034】
上記エマルジョンの紙に対する塗工量は、得ようとする耐水性に合わせ任意であるが、固形分として2〜10g/mの範囲が好ましい。塗工量が2g/m未満では、紙表面に均一な塗工層を形成することが困難で、十分な耐水性を与えることができない場合がある。一方、通常の塗工装置で一度に固形分で10g/mを超えて塗工することは難しく、また、塗工量が10g/mを超えても塗工量に見合うだけの大幅な耐水性向上は望みにくい。
【0035】
次に、上記塗工層を耐水剤含有紙に設ける方法を述べる。
【0036】
抄造時に耐水剤を添加してなる上記の耐水剤含有紙の少なくとも片面に、上記ワックスエマルジョン、又は上記ワックスエマルジョン及び合成高分子樹脂エマルジョンの混合液を塗工する。次いで、塗工したワックスの融点以上、溶融温度+150℃以下の範囲で加熱乾燥し、エマルジョン中の水分を除去する。塗工時は、耐水剤含有紙中の耐水剤あるいは上記の任意の内添剤や塗工剤により上記エマルジョンは弾かれる場合があるが、加熱乾燥すると、上記エマルジョンの水分が蒸発するにつれ、上記エマルジョン中の残存分であるワックスや合成高分子樹脂等が耐水剤含有紙の表面に均一に拡散し、一部は浸透して浸透層を、一部は表面で皮膜層を形成する。
【0037】
この塗工は、抄紙時、すなわち、抄紙機オンマシン塗工でも、抄紙後、すなわち、オフマシン塗工のいずれでもよく、塗工する量や生産量等により任意の方法を選択できる。
【0038】
このような塗工装置としては、通常の塗工や印刷に用いられている装置であればいずれも使用することができ、例えば、オンマシン塗工装置としては、サイズプレス、ロッドコーター等、オフマシン塗工装置としては、ロールコーター、グラビアコーター、ブレードコーター、ロッドコーター等のコーターがあげられる。
【0039】
上記塗工後の加熱乾燥工程に用いられる乾燥機としては、塗工装置と同様に通常の塗工や印刷に用いられているものが使用でき、具体的には、シリンダー型(ドラム型)乾燥機、熱風式乾燥機等があげられる。
【0040】
上記の塗工層を形成した耐水剤含有紙は、段ボールライナやその他板紙等任意の用途に使用することができる。例えば、段ボールライナとして使用すると、段ボールとして組み立てたときに、その表面に耐水効果を発揮させることができ、耐水性を有する耐水段ボール箱を得ることができる。
【0041】
また、この塗工層を形成した耐水剤含有紙は、抄造時添加の耐水剤の作用に加え、ワックス又はワックスと合成高分子樹脂の浸透層と皮膜層を有し、湿潤状態における破裂強さや圧縮強さ等の強度が高いので、結露等によって紙の端部から水が侵入したり紙表面が濡れても、強度低下が抑制されて紙としての機能を維持する。すなわち、耐水効果を発揮する。
【0042】
さらに、古紙として再生するときは、上記の浸透層と皮膜層の中に界面活性剤が含まれていることから水をトラップしやすく、離解がより容易となる。このため、リサイクルを容易とする。
【0043】
【実施例】
以下、この発明の実施例について示す。
【0044】
耐水剤含有紙の抄造
耐水剤として日本PMC社製:WS−500をパルプ乾燥重量に対し1重量%添加し、定法にしたがって抄造し、これに撥水剤として日本PMC社製:WR−984をロールコーターを用い、固形分で0.5g/mとなるように塗工して耐水段ボールライナA(坪量280g/m)を製造した。なお、上記撥水加工を施していないものを耐水段ボールライナA’とする。さらに、耐水剤として日本PMC社製:DS−423をパルプ乾燥重量に対し0.7重量%添加し、定法にしたがって抄造し、これに撥水剤として日本PMC社製:WR−984をロールコーターを用い、固形分で0.5g/mとなるように塗工して耐水板紙B(坪量280g/m)を製造した。
【0045】
〔実施例1〜8〕
上記耐水段ボールライナA、耐水段ボールライナA’又は耐水板紙Bの片面に、表1に示すような混合比のワックスエマルジョン又はワックスエマルジョンと合成高分子樹脂エマルジョンの混合液を塗工速度約80m/分のロールコーターで塗工量が表1に示すような塗工量となるように塗工し、120〜130℃の熱風乾燥機により30秒加熱乾燥して耐水紙を得た。
【0046】
なお、表1に示すワックスエマルジョンとして、マイケルマン社のCoating 3000(固形分:65重量%)、合成高分子エマルジョンの内、合成ゴム系エマルジョンとして旭化成工業社のXA−6661(固形分:45重量%)、アクリル系エマルジョンとしてヘキスト合成社のLA−723B1(固形分:40重量%)を用いた。
【0047】
〔比較例1〜6〕
比較例1として耐水段ボールライナA、比較例2として耐水段ボールライナA’、比較例3として耐水板紙B、比較例4として上記塗工法により耐水段ボールライナAに合成ゴム系エマルジョンのみを塗工したもの、比較例5として上記塗工法により耐水段ボールライナAにアクリル系エマルジョンのみを塗工したもの、比較例6として耐水剤を添加することなく抄造した一般段ボールライナC(坪量280g/m)に上記合成ゴム系エマルジョンを2回塗工したものを製造した。
【0048】
なお、比較例6においては、1回目の塗工は固形分が3g/mとなるように塗工できたが、2回目は1回目で形成させた耐水塗工層の上にエマルジョンを塗工するため弾き、固形分で1.5g/mしか塗工できなかった。
【0049】
実施例1〜8、比較例1〜6で製造したものについて、下記の方法による評価試験を行った。結果を表1に示す。
【0050】
〔評価項目と実験方法〕
ブロッキング性
5×5cm角の試験体を複数枚作成し、塗工面同士が接触するように重ね合わせ、250kgf/mの荷重をかけ、高温多湿(40℃、90%RH)下に24時間放置する。その後、手で試験体を剥がし、表面状態を目視し、次の基準で判定した。
○ 全くブロッキングなし
△ 一部ブロッキング有り
× ブロッキング有り。
【0051】
圧縮強さ保持率
JIS P8111(試験用紙の前処理)に従って前処理した試料から、JIS P8126(板紙の圧縮強さ試験方法:リングクラッシュ法)に従い、圧縮強さ(Dry RC強さ)を求めた。また、試験片を20℃の水に3分間浸漬し、その後過剰な水をろ紙で拭き取った後、圧縮強さ(Wet RC強さ)を求めた。圧縮強さ保持率を次式により求めた。
圧縮強さ保持率(%) =(Wet RC強さ(kgf) ÷Dry RC強さ(kgf) )× 100 。
【0052】
離解性
5×5cm角に断裁した試験体24g(絶乾)を30℃の水2リットルで、JIS P8209(パルプ試験用手すき紙調製方法)で用いる標準離解機で15分間離解した。離解後、分散液中の繊維の解繊状態を観察する。また、離解した分散液から坪量60g/mの手すき紙を調製する。分散液の解繊状態と手すき紙の繊維の分散状態を目視し、次の基準で判定した。
◎ 完全に離解されている
○ ほぼ離解されている
△ 細かい未離解物が残留している
× 大きな未離解物が残留している
【0053】
【表1】
Figure 0003628460
【0054】
〔実施例9〕
実施例1で抄造した段ボールライナAを表裏ライナとし、日本PMC社のDS−423をパルプ乾燥重量に対し、0.7重量%添加し、定法に従って抄造した板紙(坪量200g/m)を中芯として用い、上記各塗工層が段ボールの表面側になるように貼合し、Aフルート両面段ボールを製造した。
【0055】
〔実施例10、比較例7〜8〕
実施例3、比較例1及び比較例4で製造した段ボールライナを表裏ライナとして用いた以外は実施例9と同様に段ボールを製造した。
【0056】
実施例9〜10及び比較例7〜8で製造した段ボールについて、JIS Z0401(段ボールの圧縮強さ試験方法)に従って標準状態及び浸水3分後の垂直圧縮強さを測定した。その結果を表2に示す。
【0057】
さらに、これらの段ボールを原料としてフレキソフォルダーグルアで3色印刷と製函を行い段ボール箱を製造した。箱の寸法は、L×W×H=450×360×200mmで、形式はJIS Z1057、コードNo.0201である。これらの箱をJIS Z0212(包装貨物及び容器の圧縮試験方法)に従い圧縮強さを測定した。また、JIS Z0216(包装貨物及び容器の散水試験方法)に従って1時間の散水を行った後、上記と同様に圧縮強さを測定した。その結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
Figure 0003628460
【0059】
〔実施例11、比較例9〕
実施例9及び比較例7で製造した段ボール箱に10kgの氷を詰めたポリ袋を充填後封緘し、環境温度1℃、85%RHで一晩放置した。その後、環境温度を1時間かけて30℃、85%RHにし、更に同環境下で1時間放置し、強制的に結露を生じさせた。次いで直ちに上記と同様の方法で箱の圧縮強さを測定した。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
Figure 0003628460
【0061】
【発明の効果】
この発明によれば、耐水剤を紙中に添加すると共に、塗工して浸透層と皮膜層からなる塗工層を表面に設けたので、湿潤時の破裂強さや圧縮強さ等の強度を高めることができ、紙の端部から水が浸入したり水が紙の表面と接触しても強度を維持できる。
【0062】
また、耐水紙から段ボール箱を形成して積み重ね、高湿度環境下に放置されたり、水と接触しても、段ボール箱が壊れて荷崩れするというトラブルを回避できる。
【0063】
さらに、耐水剤含有紙にワックスを含有するエマルジョン型の耐水剤等を塗工して加熱することにより、ワックスが溶融して一部紙中に浸透するとともに、紙表面にも均一な皮膜を形成させることができ、紙全体として耐水性を向上させることが可能となった。
【0064】
さらにまた、上記耐水剤含有紙として撥水加工したものを用い、ワックスと合成高分子樹脂を含有するエマルジョン型の耐水剤等を塗工して加熱すると、ワックスと合成高分子樹脂が均等に拡がり、水が浸透しにくく、上記エマルジョン型耐水剤の塗工量を減少させることができる。
【0065】
また、ワックスエマルジョンに含まれる界面活性剤は、上記の加熱乾燥時にエマルジョン中の水分は蒸発しても、そのまま残留する。このため、古紙再生の際に、離解するために水中で分散し攪拌するとき、この界面活性剤が水分をトラップして離解を促進し、リサイクルを容易にする。
【0066】
さらに、抄造時に添加する耐水剤を多くする必要がないので、紙自体の性能の低下や生産性の低下、よごれ等のマシントラブル等を抑制することができる。

Claims (3)

  1. 抄造時に耐水剤を添加し、かつ、表層に撥水剤からなる塗工層を形成した耐水剤含有紙の少なくとも片面に、ワックスと合成高分子樹脂からなり、このワックスと合成高分子樹脂の比が固形分で95:5〜65:35である塗工層を形成した耐水紙。
  2. 抄造時に耐水剤を添加し、かつ、表層に撥水剤からなる塗工層を形成した耐水剤含有紙の少なくとも片面に、混合比が固形分でワックス:合成高分子樹脂=95:5〜65:35であるワックスエマルジョン及び合成高分子樹脂エマルジョンの混合液を塗工し、加熱乾燥させる耐水紙の製造方法。
  3. 請求項に記載の耐水紙を用いてなる耐水段ボール箱。
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