JP3627924B2

JP3627924B2 - 車両用シートのトリムカバー製造方法

Info

Publication number: JP3627924B2
Application number: JP2001262800A
Authority: JP
Inventors: 博行牧野; 勉加藤
Original assignee: Tachi S Co Ltd
Current assignee: Tachi S Co Ltd
Priority date: 2001-08-31
Filing date: 2001-08-31
Publication date: 2005-03-09
Anticipated expiration: 2021-08-31
Also published as: JP2003071164A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用シートなどの車両用座席に使用するトリムカバーの製造方法、詳しくは、表面に巾が狭く、且つ深い装飾溝を有するトリムカバーの製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
車両用シートの外観品質を向上させるために、シートの外表面を形成するトリムカバーに、装飾溝を形成したものがある。
【０００３】
そして、トリムカバーは一般的に、表皮、発泡体製のワディング、裏基布の三者の積層体から構成して、着座者に対する感触を良好にしている。
【０００４】
このトリムカバーの表面側に設けた前記装飾溝は前記三者を一体に縫着、高周波溶着して形成したり、或いは、前記ワディングにあらかじめ凹溝を形成してこの凹溝に表皮を喰い込ませて縫着、溶着する…などの方法によって形成している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
以上の方法によって例えば平面曲線状、或いは略コ字状の装飾溝を形成するものは、くっきりした溝を形成できない不具合があった。
【０００６】
斯る不具合は本願出願人の出願に係る特許第２８１１２２３号公報に開示する方法で解消できる。
しかし、この方法によれば、例えば天然皮革、人口皮革などの一定の剛性を有する表皮を使用すると、下型の内面に沿って表皮全体が密着できず、くっきりした装飾溝が形成できない。
【０００７】
そこで、本発明は、天然皮革、人口皮革などの織物地などに対して剛性、弾性を有する表皮を有するトリムカバーにおいて、くっきりした装飾溝を形成できるようにすることを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明に係る車両用シートのトリムカバー製造方法は、装飾溝を形成する突条によって収容部を仕切ると共に該突条によって仕切られた各小収容部の底部に真空吸引装置に連結する吸気孔を設けた下型を使用し、該下型に表皮を被せて前記真空吸引装置によって表皮を前記各小収容部内に密着させ、表皮を真空吸引中又は真空吸引後、表皮を各小収容部内においてプレスで加圧し、次に、前記密着状態を前記真空吸引装置によって保持した状態で、各小収容部内にブロック状のワディングを収容し、然る後、このワディングの外面に裏基布を接着剤で接着して、表面に装飾溝を有するトリムカバーを製造することを特徴とするものである。
【０００９】
以上の構成により、剛性を有する表皮であっても下型の各小収容部内に吸引力で密着され、その密着状態が保持されるため、トリムカバーの表面側にくっきりした装飾溝が形成される。
【００１０】
また、前記表皮を真空吸引中又は真空吸引後、表皮を各小収容部内においてプレスで加圧することにより、更に、表皮の下型内に対する密着状態が良好になるため、くっきりした装飾溝が形成される。
【００１１】
更に、前記裏基布を接着後、表皮側に形成された前記装飾溝における底部の隅部に沿って、表皮と裏基布を一体に縫着することにより、表皮と裏基布とが一体になり、しかも、溝の底部形状を保持できるため、くっきりした装飾溝がシートの長期使用によって変形することがない。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図６は本発明方法によって製造したトリムカバーの使用状態を示し、シートバック（ＳＢ）の前面側に上下三段状に平面略コ字状の装飾溝（Ｓ）（Ｓ）（Ｓ）がくっきりと形成されている。
【００１３】
この装飾溝（Ｓ）（Ｓ）（Ｓ）を身頃部に有するトリムカバーは、図７に示すように構成されている。図中（３）は天然皮革、又は人口皮革からなる非通気性の表皮、（４Ｂ）（４Ｃ）はウレタンフォームなど発泡体製のブロック体からなるワディング、（５）は不織布などの裏基布で、この裏基布（５）は接着剤（６）によってワディング（４Ｂ）（４Ｃ）と、ワディング（４Ｂ）（４Ｃ）間に有する表皮（３）の一部とに接着され、装飾溝（Ｓ）内における底部左右の隅部に沿って表皮（３）が縫糸（７１）（７１）によつて裏基布（５）に縫着されている。
【００１４】
このトリムカバーは図１乃至図４に示す順序で製造される。
即ち、図５に示す下型（１）を使用し、この下型（１）は、前記トリムカバーの身頃部用のものであり、身頃部と略同一の大きさの収容部（イ）が凹窪状に形成され、この収容部（イ）内には前記装飾溝（Ｓ）を形成する突条（１０）（１０）（１０）が起立状に突設され、収容部（イ）は、各突条（１０）…によって仕切られ、多数の小収容部（１Ａ）（１Ｂ）（１Ｃ）（１Ｄ）に形成されている。
【００１５】
そして、各小収容部（１Ａ）…の底部には多数の吸気孔（１１）…が開孔され、この各吸気孔（１１）…は図１乃至図４に示すように空気室（１１Ａ）、吸気孔（１１Ｂ）を介して従来周知の真空吸引装置（不図示）に連結されている。
【００１６】
なお、前記吸気孔（１１）は底部の他に各小収容部（１Ａ）…の内側壁、或いは各突条（１０）…内に設けたものを使用しても良い。
また、以上の各突条（１０）…の高さは、下型（１）の上面（１２）と略同一の高さ、或いはやや低い程度に形成されている。
【００１７】
まず、図１に示すように、前記下型（１）上に、身頃部を構成する一枚状の表皮（３）をセツトする。
そして、真空吸引装置を作動させると、表皮（３）が吸引されて各突条（１０）の外面及び各小収容部（１Ａ）…の底面に各々沿って密着する。
【００１８】
この密着が不充分な場合には、更に、上型（２）を下降させて表皮（３）を下型（１）にプレスして下型（１）に密着させる。その際に、表皮（３）の押圧状態を良好にするために、上型（２）の周囲に設けた押圧片（２０）で、表皮（３）の周囲を押圧して固定する。押圧片（２０）は上片（２）に設けた取付片（２２）（２２）にばね（２１）によって取付けられ、上型（２）で表皮（３）を押圧する前に、表皮（３）の周囲を固定するように形成されている。
【００１９】
次に、前記表皮（３）を真空吸引装置での吸引状態を継続させながら、小収容部（１Ａ）…毎にブロック状の発泡体製ワディング（４Ｂ）…を収容する。なお、各ワディング（４Ｂ）（４Ａ）…は小収容部（１Ａ）の平面形状と略同一の大きさで、小収容部（１Ａ）の深さと略同一の厚みに成形されている。
【００２０】
然る後、図２、図３に示すように、下型（２）に収容した各ワディング（４Ａ）（４Ｂ）…と、各ワディング（４Ａ）…間から外部に露出する部分の表皮（３）に接着剤（６）を塗布する。
【００２１】
次に、裏基布（５）を被せて接着剤（６）で、ワディング（４Ａ）…と、ワディング（４Ａ）…間から外部に露出する部分の表皮（３）に接着する。この裏基布（５）の接着は裏基布（５）を軽く押し付けることにより接着する。
【００２２】
この接着によって前記トリムカバーの身頃部が形成され、この身頃部に額縁部、まち部等を接ぎ合わせることにより袋状のトリムカバーが形成される。
【００２３】
以上の如く方法でトリムカバーの身頃部を製造すると、図６に示すように、略コ字状の装飾溝（Ｓ）（Ｓ）（Ｓ）が多段状に形成でき、各装飾溝（Ｓ）の長さ方向の両端側に設けた折曲部が鋭角状にくっきりと形成される。
【００２４】
なお、図７に示すトリムカバーの身頃部は、前記裏基布を接着して脱型し、縫糸（７１）（７１）で表皮（３）と裏基布（５）とを縫着したものであるが、必ずしも、縫糸（７１）（７１）で縫着せずとも、くっきりした装飾溝（Ｓ）が形成できる。
【００２５】
【発明の効果】
本請求項１の発明によれば、下型内に表皮を密着状態を保持し乍ら、ワディングを収容し、裏基布を接着するため、天然皮革、人口皮革などの剛性、又は弾性を有する表皮を使用してもくっきりした装飾溝を有するトリムカバーが形成できる。
【００２６】
また、表皮がプレスによって下型内に密着できるため、更に、平面曲線状、或いは略コ字状などの折曲部を有する装飾溝において、そのコーナー部等が鋭角状に形成できる。
【００２７】
本請求項２の発明によれば、装飾溝内において、表皮と裏基布とを一体に縫着しているため、くっきりした装飾溝がシートの長期使用によって変形等することがない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明方法において、表皮を下型にセットした状態の断面図である。
【図２】図１の状態から表皮を下型に密着状態においてワディングを収容して接着剤を塗布した状態の断面図である。
【図３】図２のＩＩＩーＩＩＩ線断面図である。
【図４】下型でトリムカバーを製造した状態の断面図である。
【図５】本発明に使用する下型の斜視図である。
【図６】本発明方法によって製造したトリムカバーの使用状態斜視図である。
【図７】本発明方法によって製造したトリムカバーの部分断面図である。
【符号の説明】
１下型
１Ａ小収容部
１Ｂ小収容部
１Ｃ小収容部
１Ｄ小収容部
イ収容部
３表皮
４Ａワディング
４Ｂワディング
４Ｃワディング
４Ｄワディング
５裏基布
６接着剤
１０突条
１１吸気孔

Claims

装飾溝を形成する突条によって収容部を仕切ると共に該突条によって仕切られた各小収容部の底部に真空吸引装置に連結する吸気孔を設けた下型を使用し、該下型に表皮を被せて前記真空吸引装置によって表皮を前記各小収容部内に密着させ、表皮を真空吸引中又は真空吸引後、表皮を各小収容部内においてプレスで加圧し、次に、前記密着状態を前記真空吸引装置によって保持した状態で、各小収容部内にブロック状のワディングを収容し、然る後、このワディングの外面に裏基布を接着剤で接着して、表面に装飾溝を有するトリムカバーを製造することを特徴とする車両用シートのトリムカバー製造方法。
前記裏基布を接着後、表皮側に形成された前記装飾溝における底部の隅部に沿って、表皮と裏基布を一体に縫着してなる請求項１記載の車両用シートのトリムカバー製造方法。