JP3627425B2 - 抄紙用内添剤及び該内添剤を用いた機能紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は耐水性、撥水性、耐油性、撥油性、耐汚染性、耐熱性、乾燥強度、湿潤強度などの各種機能、特に耐水性が必要とされる包装用紙、又は建装用紙に用いられる耐水紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐水性、耐油性などの各種機能を紙に付与する方法としては、一般的に抄紙工程中に加工して付与する方法と、抄紙工程後に加工して付与する方法とがある。
【0003】
抄紙工程中の加工としては、パルプスラリー中に内添用サイズ剤〔ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)など〕、定着剤〔硫酸アルミニウムなど〕、内添用乾燥紙力増強剤〔カチオン性でんぷん、ポリアクリルアミド(PAM)系、植物ガムなど〕、内添用湿潤紙力増強剤〔ポリアミノアミドエピクロルヒドリン樹脂(PAE)など〕などを添加し、抄紙、乾燥する方法がある。これにより、筆記性(水性ペンのにじみ防止)及び軽度の耐水性が付与される。
【0004】
抄紙工程後の加工としては、紙の表面に表面サイズ剤[でんぷん系、ポリビニルアルコール(PVA)系、ポリアクリルアミド(PAM)系など]を塗布し、乾燥する方法である。これにより、筆記性(水性ペンのにじみ防止)、軽度の耐水性及び、印刷適性が付与される。
【0005】
また、高度の耐水性、耐油性などが必要とされる包装用紙、又は建装用紙を作製する場合は、紙にポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスティックフィルムをラミネーションする方法と、アクリル系、オレフィン系などの樹脂等でコーティング、又は含浸する方法等が使用されている。
【0006】
前記の抄紙工程中の加工では、紙の切断面からや摩擦破損による浸水、浸油は生じにくい。しかし、筆記性(水性ペンのにじみ防止)や軽度の耐水性の付与は可能であるが、高度の耐水性などが必要とされる包装用紙又は建装用紙には用いることができない。
【0007】
また、抄紙工程後の加工では、ラミネート紙やコーティング紙の端面は加工がされていないので、その部分からの浸水、浸油が生じてしまうために紙の各種機能が低下するという欠点を有していた。
【0008】
この様な課題を解決する技術として有機−無機ハイブリット紙が提案されている(例えば、特開昭64−6198号公報等)。
【0009】
この有機−無機ハイブリット紙は、紙基材にシロキサン結合を主鎖結合とするポリマーを含浸、固着されてなるもので、このポリマーは、無機化合物から成るシロキサン結合を骨格とし、側鎖は有機化合物で構成されているため、有機物による可塑性などと無機物による耐熱性、耐候性、耐水性などの特性を同時に兼ね備えた樹脂であり、これを紙基材に含浸させてハイブリット化をはかっている。
【0010】
しかし、この有機−無機ハイブリット紙は、紙基材に上記のポリマーを含浸させて作製しているために、紙基材中の厚さ方向におけるポリマーの偏析が生じ、紙の切断面や摩擦破損面からの浸水、浸油により各種機能の低下をきたすという欠点を有している。
【0011】
それらの課題を解決するために、上記の有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体を抄紙用内添剤とし、それらを抄紙工程中に内添し機能紙を作製することが考えられる。
【0012】
一般的に抄紙用内添剤は、少量の使用量で機能を発現することが望ましい。そのためには、抄紙工程中に内添剤が添加されたとき、水中に分散しているパルプ繊維に対して選択的に定着し、機能することが効率的であると考えられる。
【0013】
また、パルプ繊維は水に分散させると、カルボキシル基のような表面の官能基の解離や水からの水酸イオンの選択的吸着によりアニオン性に帯電するといわれている。アニオン性に帯電したパルプ繊維に対して反対の電荷であるカチオン性の内添剤を添加することにより、両者間で電気的作用が働き、内添剤とパルプ繊維とが水中で選択的に結合すると考えられる。
【0014】
従って、有機金属化合物の置換基にカチオン性の官能基を付与することにより、パルプ繊維への有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体の定着が可能となる。
【0015】
カチオン性の官能基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基などが例示される。
【0016】
しかし、置換基がアミノ基を少なくとも1つを有する有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体を抄紙用内添剤として用いる場合、パルプ繊維への定着性向上は可能となるが、機能紙の各種機能、例えば、高度の耐水性の付与は困難であった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術で作製した耐水紙における上記課題の解決を図ったものであり、すなわち、有機物による可塑性などと無機物による耐熱性、耐候性、耐水性などの特性を同時に兼ね備え、さらにパルプ繊維への定着性を一層改良した抄紙用内添剤を提供するとともに、この内添剤を使用して、紙の表面と端面からの浸水に強い耐水紙を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、少なくとも一般式、 Si(OR) n−m ・・・・・・(1)(式中、Aはアミノ基を少なくとも1つ有する置換基、Rはアルキル基であり、nは金属の酸化数、mは置換数(0<m<n)を表す)で示される有機金属化合物と、一般式、B Si(OR) n−m ・・・・・・(2)(式中、Bはビニル基、エポキシ基、アルキル基を少なくとも1つ有する置換基)で示される有機金属化合物と、の共重合体からなることを特徴とする抄紙用内添剤である。
【0019】
第2の発明は、一般式(1)で示される有機金属化合物と一般式(2)で示される有機金属化合物との混合モル比率が0.9/0.1〜0.1/0.9であることを特徴とする請求項1記載の抄紙用内添剤である。
【0020】
第3の発明は、請求項1または2の抄紙用内添加剤のいずれかを内添したことを特徴とする機能紙である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明の抄紙用内添剤及び機能紙について詳細に説明する。
【0027】
一般に、パルプ繊維を水に分散させると、カルボキシル基のような表面の官能基の解離や水からの水酸イオンの選択的吸着が発生してアニオン性に帯電すると言われている。アニオン性に帯電したパルプ繊維に対して、反対の電荷であるカチオン性の内添剤を添加することにより、両者間で電気的作用が働き内添剤とパルプ繊維とが水中で選択的に結合すると考えられる。
【0028】
従って、有機金属化合物の置換基にカチオン性の官能基を付与することにより、パルプ繊維への有機金属化合物、若しくはそれからなる重合体の定着が可能となる。
【0029】
カチオン性の官能基としては、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基などが例示される。
【0030】
一般式(1)に示される有機金属化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(N,N−ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、又はオクタデシルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等が例示できる。
【0031】
上記のパルプ繊維に対して選択的に結合するカチオン性の官能基を有する有機金属化合物を介し、各種機能、特に高度の耐水性を発現するために、置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基のうちの少なくとも1つを有する有機金属化合物を同時に用いる。
【0032】
一般式(2)に示される有機金属化合物としては、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が例示される。
【0033】
本発明の抄紙用内添剤は、上記の有機金属化合物の共重合体からなるものである。
【0034】
上記の有機金属化合物を用いて、共重合体を作製する方法は限定されないが、例えば、加水分解反応によって作製する方法が挙げられる。加水分解反応にあたっての触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、フッ酸、ギ酸、リン酸、シュウ酸、アンモニア等が例示でき、それらを単独に、あるいは2種類以上併せて用いる。特に、塩酸が最も好ましい。
【0035】
本発明で使用するパルプとしては、針葉樹、又は広葉樹を用いた晒、又は未晒であるクラフトパルプ、ソーダパルプ、スルファイトパルプ、砕木パルプ、レファイナー砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ等を単独に、あるいは2種類以上併せて用いる。
【0036】
本発明の機能紙は、上記の抄紙用内添剤をパルプスラリー中に内添し、抄紙、プレス、乾燥を行い作製したものである。
【0039】
本発明に係る抄紙用内添剤は、一般式()で示される置換基がアミノ基を少なくとも1つを有する有機金属化合物又は該有機金属化合物の重合体と、一般式()で示される置換基が、ビニル基、エポキシ基、アルキル基を少なくとも1つ有する有機金属化合物又は該有機金属化合物からなる重合体との共重合体であるために、有機物による可塑性などと、無機物による耐熱性、耐候性、耐水性などの特性を同時に兼ね備えることが可能となる。
【0040】
本発明に係る抄紙用内添剤として、一般式()で示される置換基がアミノ基を少なくとも1つ有する有機金属化合物を使用すると、その極性がカチオン性となり、アニオン性であるパルプ繊維への選択的に結合が生じ、高い定着性を示すと考えられる。
【0041】
さらに併用される一般式()で示される置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基を少なくとも1つ有する有機金属化合物であるために、各種機能、特に高度の耐水性を付与することが可能となる。
【0042】
本発明に係る耐水紙は、本発明に係る抄紙用内添剤を抄紙工程中に内添し作製していることから、紙全層からの機能化が生じ紙の表面と端面からの浸水に強い耐水性を有する。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが本発明は実施例に記載の材料に限定されるものではない。
【0044】
参考例1>
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(サイラエースS330 チッソ株式会社製、以下S330と略記)1molに対して、0.1N塩酸1mol、蒸留水3molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0045】
参考例2>
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS320 チッソ株式会社製、以下S320と略記)1molに対して、0.1N塩酸1mol、蒸留水3molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0046】
参考例3>
N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(チッソ株式会社製)1molに対して、0.1N塩酸1mol、蒸留水3molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0047】
参考例4>
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(S330)、及びN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(S320)をモル比で0.5:0.5になるように混合したものに対して、0.1N塩酸1mol、蒸留水3molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0048】
<実施例
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(S320)と、メチルトリメトシシラン(D031A チッソ株式会社製、以下D031Aと略記)をモル比で0.5/0.5になるように混合したものに対して、0.1N塩酸 15mol、イソプロピルアルコール 15molを加え室温で12時間攪拌し、共重合体を調整した。次に、これを0.1N塩酸を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0049】
<実施例
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(S330)と、ビニルトリメトキシシラン(サイラエースS210 チッソ株式会社製、以下S210と略記)をモル比で0.5/0.5になるように混合したものに対して、0.1N塩酸 15mol、イソプロピルアルコール 15molを加え室温で12時間攪拌し、共重合体を調整した。次に、これを0.1N塩酸を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0050】
<実施例
N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン(S320)と、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(サイラエースS510 チッソ株式会社製、以下S510と略記)をモル比で0.5/0.5になるように混合したものに対して、0.1N塩酸 15mol、イソプロピルアルコール 15molを加え室温で12時間攪拌し、共重合体を調整した。次に、これを0.1N塩酸を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0051】
<実施例
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(S330)と、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(S510)とのモル比を0.1/0.9、0.2/0.8、0.3/0.7、0.4/0.6、0.5/0.5、0.6/0.4、0.8/0.2、0.9/0.1と順次変えて混合したもの各々に対して、0.1N塩酸 15mol、イソプロピルアルコール 15molを加え室温で12時間攪拌し、共重合体を調整した。次に、これを0.1N塩酸を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、6種類の抄紙用内
添剤を作製した(各々順に、実施例−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8とする)。
【0052】
〈比較例1〉
テトラエトキシシラン(チッソ株式会社製)1molに対して、0.1N塩酸1mol、蒸留水3molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0053】
別に、広葉樹晒クラフトパルプを用いて、パルプスラリー〔叩解度385ml(csf)〕を作製した。
【0054】
このパルプスラリー中に上記参考例1〜4、比較例1の抄紙用内添剤のそれぞれ(SiO濃度:1.0wt%)を乾燥パルプ質量に対して、1.0wt%添加し、pH=5に調整した後、攪拌し、手漉き角形抄紙機を用いて抄紙を行い、プレス(100kgf−3min.)、ヤンキードライヤーを用いて乾燥工程(120℃−5min.)を行い、5種類の坪量60g/mの試験紙を作製した。
【0055】
〈比較例2〉
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(S330)1molに対して、0.1N塩酸15mol、イソプロピルアルコール15molを加え室温で2時間攪拌し、重合体を調整した。次に、これを蒸留水を用いてSiO濃度に換算したときに1.0wt%溶液になるように希釈し、抄紙用内添剤を作製した。
【0056】
別に、針葉樹晒クラフトパルプ〔叩解度355ml(csf)〕と広葉樹晒クラフトパルプ〔叩解度385ml(csf)〕を乾燥パルプ重量比で7/3になるように混合したパルプスラリー〔乾燥パルプ濃度1.57wt%〕を調整した。
【0057】
このパルプスラリー中に実施例、比較例2の抄紙用内添剤のそれぞれ(SiO濃度:1.0wt%)を乾燥パルプ質量に対して、1.0wt%添加し、pH=5に調整した後、攪拌し、手漉き角形抄紙機を用いて抄紙を行い、プレス(100kgf−3min.)、ヤンキードライヤーを用いて乾燥工程(120℃−5min.)を行い、10種類の坪量60g/mの試験紙を作製した。
【0058】
〈比較例3〉
さらに、比較例3として、抄紙用内添剤を添加していない無添加紙を同様の方法により作製した。
【0059】
このようにして作製した参考例1〜4、および実施例1〜4、比較例1、2、3合計18種類の用紙のSiO定着量、耐水性(wet/dry値)、吸水率を測定した。それぞれの試験方法とその結果について詳述する。
【0060】
なお、各種試料は物性評価を行う前に、JIS P8111に基づいて20°C−65%RH環境下で24時間以上調湿を行った。
【0061】
<試験1> SiO定着量
抄紙用内添剤の紙への定着性を測定するために、参考例1〜4および比較例1と3の合計6種類の用紙中のSiOの定量分析を行った。測定は蛍光X線分析法を用いた。詳しい測定方法を以下に示す。
【0062】
各試料を凍結粉砕機(SPEX 6700 Freezer/Mill)を用いて、粉末化した。粉砕時間は10分間とした。
【0063】
次に、ペレット成型機(MAEKAWA TESTING MACHINE MEG.CO.,LTD)中に粉末化した試料を1.0g入れ、圧縮(20tf−5min.)し、ペレット(φ=40mm)を作製した。成型後、ペレット中の水分を除去するため、デシケータ中に24時間以上静置し、蛍光X線分析用試料を作製した。
【0064】
また、検量線測定用試料の作製方法を以下に示す。
ブランク(無薬剤紙)試料に対して、所定量の内添剤を添加するために、各試料の乾燥質量を測定した。測定方法はJIS P8128に基づいて行った。各試料を105°Cの乾燥機中に1時間静置し、これをデシケーターに移し、室温になるまで放冷してから乾燥試料片の質量を秤量した。
各ブランクに対して、所定量の内添剤をしみこませ乾燥を行った。
次に、上記方法と同様に各試料を凍結粉砕し、粉末化した後、ペレット成型を行い検量線測定用試料を作製した。
【0065】
各試料中のSiOの定量分析は、蛍光X線装置(リガク製システム3270)を用いて行った。測定波長はSi−Kα線である。以上の結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003627425
【0067】
表1から明らかなように、置換基中にアミノ基を有する有機金属化合物からなる重合体を内添した機能紙は、高いSiO定着量を示した(参考例1〜4)。
【0068】
<試験2> 耐水性(wet/dry値)
参考例1〜4、および実施例1〜4、および比較例1〜3の合計18種類の用紙の耐水性を求めるため以下に記す試験を実施した。すなわち、先ず、JIS P8113に基づいてオートグラフ(島津製作所社製島津オートグラフAG−500A)を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)と湿潤状態(試料片を蒸留水中に1時間浸水)における破断強度を測定した。その結果を用いて、(a)式より、破断応力を算出した。
破断応力(kgf/mm)=破断強度(kgf)/試料片断面積(mm) ・・・・(a)
【0069】
また、上記より算出した破断応力を用いて、(b)式より、湿潤破断応力/乾燥破断応力比(wet/dry)を算出し、耐水性を評価した。
wet/dry(%)=湿潤破断応力(kgf/mm)/乾燥破断応力(kgf/mm)×100 ‥‥(b)
以上の結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
Figure 0003627425
【0071】
<試験3> 吸水率
下記する(c)式より、各試料の浸水前と浸水後の重量差から、吸水率(重量増加率)を算出した。各試料片は蒸留水中に1時間浸水した。
吸水率(%)=浸水前と浸水後の重量差(g)/浸水前の重量(g)×100‥‥(c)
その結果を表3に示す。
【0072】
【表3】
Figure 0003627425
【0073】
表2、表3から明らかなように、置換基中にアミノ基を有する有機金属化合物からなる重合体を内添した耐水紙は、比較例1、2、3と比べて、wet/dry値が高く、高い耐水性を示した(参考例1〜4)。
また、置換基中にアミノ基を有する有機金属化合物と置換基中に各種官能基を有する有機金属化合物との共重合体を抄紙用内添剤として用いた実施例は、置換基中にアミノ基を有する有機金属化合物の重合体を抄紙用内添剤として用いた比較例2と比較して、吸水率が低く、wet/dry値が高く、高い耐水性を示した。
さらに、S330とS510との混合系は、比較例2、3と比較して、吸水率が低く、wet/dry値が高く、高い耐水性を示した。特にS330とS510とのモル比が0.3/0.7〜0.4/0.6の範囲で吸水率が低く、wet/dry値が高く、非常に高い耐水性を示した(実施例−3、−4)。
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る抄紙用内添剤は、一般式(1)で示される有機金属化合物の置換基が、官能基であるアミノ基を有しているために、その極性がカチオン性となり、アニオン性であるパルプ繊維へ選択的に結合が生じ、高い定着性を示すことが可能となる。
【0076】
また、一般式()で示される置換基がアミノ基を少なくとも1つ有する有機金属化合物、またはそれからなる重合体と、一般式()で示される置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基等を少なくとも1つを有する有機金属化合物またはそれからなる重合体との共重合体であるために、有機物による可塑性などと、無機物による耐熱性、耐候性、耐水性などの特性を同時に兼ね備えることが可能となる。
【0077】
さらに本発明に係る耐水紙は、本発明に係る抄紙用内添剤を抄紙工程中に内添し、作製していることから、紙全層からの機能化が生じ、紙の表面と端面からの浸水に強い耐水性を有するため、高い耐水性が必要とされる包装用紙、又は建装用紙に使用することが可能となった。

Claims (3)

  1. 少なくとも、一般式
    Si(OR) n−m ・・・・・・(1)
    (式中、Aはアミノ基を少なくとも1つ有する置換基、Rはアルキル基であり、nは金属の酸化数、mは置換数(0<m<n)を表す)で示される有機金属化合物と、
    一般式
    Si(OR) n−m ・・・・・・(2)
    (式中、Bはビニル基、エポキシ基、アルキル基を少なくとも1つ有する置換基)で示される有機金属化合物と、の共重合体からなることを特徴とする抄紙用内添剤。
  2. 一般式(1)で示される有機金属化合物と一般式(2)で示される有機金属化合物との混合モル比率が0.9/0.1〜0.1/0.9であることを特徴とする請求項1記載の抄紙用内添剤。
  3. 請求項1または2の抄紙用内添加剤のいずれかを内添したことを特徴とする機能紙。
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