JP3627396B2 - 合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法および測定装置 - Google Patents

合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法および測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、合成石英ガラスでの波長210nm以下の光についての内部吸収係数測定方法およびその実施に好適な測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の高集積化に伴い、より解像力が高い投影露光装置(典型的にはステッパ)が望まれている。そのため投影露光装置の光源は、g線(436nm)からi線(365nm)、さらにはKrF(248nm)やArF(193nm)エキシマレーザへと短波長化されている。特に、64Mビット以上のDRAMに相当するような高集積化半導体装置を製造するためのステッパでは、ステッパの解像度の指標であるラインアンドスペースを0.3μm以下にする必要があることから、露光光としてエキシマレーザ等、波長が250nm以下の紫外線や真空紫外線が用いられている。
【0003】
一方、露光光の短波長化に伴い投影露光装置のレンズ材料も変更される。なぜなら、i線以上の長波長の光源を用いたステッパの照明光学系あるいは投影光学系のレンズ材料として一般に用いられる多成分の光学ガラスでは、i線よりも短い波長領域での光透過率が急激に低下してしまう。特に250nm以下の波長領域の光は実質的に透過しなくなってしまう。そのため、エキシマレーザを光源としたステッパでは、レンズは石英ガラス特に合成石英ガラスで構成される。しかも、所望の出力光特性およびエキシマレーザ耐性等が得られるよう、合成石英ガラスには、エキシマレーザについての厚さ1cm当たりの内部透過率が99.8%以上(内部吸収係数で表現すれば0.002cm−1以下)という高透過率が要求される。このような点から、エキシマレーザを光源とするステッパ用の合成石英ガラスを開発する上では、合成石英ガラスでのエキシマレーザについての内部吸収係数を、0.001cm−1以下の高精度で測定できる方法が確率される必要がある。これが確立されれば、開発した合成石英ガラスの品質を、レンズに加工する前の段階で評価できる等の利点が得られるからである。
【0004】
従来このような波長250nm以下の領域での石英ガラスの内部吸収係数は、可視光領域と同様に、ダブルビーム型分光光度計による透過率測定から算出する方法がとられていた。すなわち、透過率を求めた後、
内部吸収係数=−ln(透過率/理論透過率)/試料厚さ ・・・(I)
という既知の式に従って内部吸収係数を算出する方法がとられていた。なお、理論透過率とは、内部吸収がゼロで、表面反射損失のみで決まる透過率のことである。この既知の測定方法であっても、波長が200nm以上の光であれば、その内部吸収係数を0.01〜0.001cm−1の精度で測定できた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダブルビーム型分光光度計を用いた従来の内部吸収係数測定方法では、波長が200nm以下の光についての内部吸収係数を0.001cm−1以下の高精度で測定すること自体、主に以下の(1),(2)の理由から、困難であった。したがって例えば実用化に向け鋭意研究が進められているArFエキシマレーザの波長である波長193nmの光などについても、その内部吸収係数を0.001cm−1以下の高精度で測定することは、従来は困難であった。
【0006】
(1)内部吸収係数を0.001cm−1以下の精度で測定するためには、透過率測定の精度として0.1%以下の精度が必要になる。なぜなら通常の測定では内部吸収係数は上記(I)式に従い求めるので、透過率の値自体も0.1%以下の精度が必要になるからである。しかし、現在最高の精度を有する市販の分光光度計であっても、上記精度は高々0.2%〜0.4%であるので、内部吸収係数についての上記精度(0.001cm−1以下の精度)は確保できない。
【0007】
(2)石英ガラス試料の表面での波長200nm以下の光についての表面吸収や表面散乱に起因する損失(以下、表面損失という。)も、0.1%未満、より好ましくは実質ゼロに維持される必要がある。そうでないと、透過率測定の際に生じている損失が表面損失によるものなのか内部吸収損失によるものなのかが分からないことになるので、内部吸収損失を0.001%以下の精度で測定できないからである。しかし、表面を一般の研磨精度で加工した試料では波長200nm以下の領域の光についての表面損失は内部吸収損失と同程度かそれ以上に達してしまう。したがって、内部吸収係数についての上記精度(0.001cm−1以下の精度)はやはり確保できない。
【0008】
このような問題点を回避するために、(a)透過率測定時の試料の光路長をできるだけ長くとる方法(光路長を長くすることで、内部吸収を起こす領域を増加させて表面損失の影響を低減する方法)、(b)光音響測定法などが検討されてきた。しかし、(a)、(b)いずれの方法も、前述の問題点を解決することはできなかった。なぜなら、(a)ではこんどは長尺の試料内の各部での内部吸収量が均質でない場合に正確な評価ができない、(b)では内部吸収と表面吸収がやはり区別できないからである。
【0009】
この発明はこのような点に鑑みなされたものであり、従ってこの発明の目的は、従来測定困難であった、波長200nm以下の光例えばArFエキシマレーザの波長である193nm光についての合成石英ガラスでの内部吸収係数を、0.001cm−1以下の高精度で測定可能な、新規な内部吸収係数測定方法およびその実施に好適な測定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこでこの出願に係る発明者は鋭意研究を重ねた。そして先ず、例えば特開平6−183752号公報に記載されているような事実、すなわち合成石英ガラスにエキシマレーザを照射するとこの合成石英ガラスでは波長650nm、280〜300nm、450nm付近にそれぞれピークを持つ発光がそれぞれ生じるという事実に着目した。次に、合成石英ガラスにArFエキシマレーザを照射した際の該合成石英ガラスで生じる発光現象と、該合成石英ガラスでのArFエキシマレーザについての内部吸収係数との関係を詳細に調査した。その結果、300nm光を主波長とする発光帯のみが、ArFエキシマレーザについての内部吸収係数と相関関係があり、その他の発光帯は相関関係がないことを見い出した。具体的には、ArFエキシマレーザについての内部吸収係数が既知の測定方法(例えばダブルビーム型分光光度計による測定方法)によって測定可能な程度に大きい複数のサンプル合成石英ガラスの前記内部吸収係数を、前記既知の測定方法によって予め測定し、かつ、該サンプルに対しArFエキシマレーザを照射して該サンプルから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度を予め測定したところ、この発光強度と、ArFエキシマレーザについての内部吸収係数とは、1対1の相関関係を示すことを見出した(図3参照)。しかも、この300nmを主波長とする発光は、所望の波長の光についての内部吸収係数が正確に評価できないようなサンプルからも、S/N良く検出できることがわかった。すなわち、所望の波長の光についての内部吸収が微弱すぎて(内部吸収係数が例えば0.005cm−1以下(内部透過率でいえば99.5%/cm以上))、既知の測定方法(例えばダブルビーム型分光光度計による方法)では内部吸収係数が正確に測定出来ないようなサンプルからも、この300nmを主波長とする発光はS/N良く検出できることがわかった。またさらに、この300nm光を主波長とする発光は、ArFエキシマレーザに対しのみではなく、波長が210nm〜160nmの範囲の他の光を合成石英ガラスに照射した場合にも、生じることが分かった。これは300nmの発光帯を生じさせる吸収帯が波長210nm〜160nmの範囲に種々存在しているためと考えられる。これらのことからして、合成石英ガラスに対し波長210〜160nmの範囲の所望の波長の光(例えばArFエキシマレーザ)を照射したときに該合成石英ガラスから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度から、該所望の波長の光(例えばArFエキシマレーザ)の内部吸収係数が推定できると、この出願に係る発明者は考えた。
【0011】
したがって、この出願の合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法の発明によれば、合成石英ガラスでの波長210nm〜160nmの範囲の所望の光についての内部吸収係数を測定するに当たり、前記合成石英ガラスに対し前記所望の光を照射したときに前記合成石英ガラスから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度から、前記内部吸収係数を推定することを特徴とする。
【0012】
なお、この発明において合成石英ガラスとは、これに限られないが、例えば直接法や、スート法や、CVD法により合成される合成石英ガラスであることができる。また、波長300nmを主波長とする光の発光(300nmの発光帯)とは、典型的には波長280〜320nm程度の範囲(これより狭い範囲も含む)とできる。
【0013】
また、この出願の合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置の発明によれば、測定対象の合成石英ガラスに対し前記所望の光を照射するための光源と、
前記所望の光が照射されたときに合成石英ガラスから発せられる主波長300nmの発光の強度を測定する発光測定部と、
前記発光強度と前記内部吸収係数との関係を示すデータを予め内蔵していて、前記測定された発光強度と前記内蔵データとから前記内部吸収係数を算出する内部吸収係数算出部と
を具えたことを特徴とする。
【0014】
この測定装置の発明によれば、波長210nm〜160nmの範囲の所望の波長の光についての合成石英ガラスでの内部吸収係数を、0.001cm−1以下の精度でかつ自動的に測定出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法および測定装置の実施の形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこれら発明を理解出来る程度に概略的に示してあるにすぎない。
【0016】
図1は、この出願の測定装置の実施の形態の説明図である。測定装置をその上方から見たブロック図である。図1において、11は光源、13は入力光側マスク、15は試料台、17はパワーメータをそれぞれ示す。さらに図1において、19は発光検出側マスク、21は集光用レンズ、23は発光測定部、25は内部吸収係数算出部、27は測定対象の合成石英ガラス(以下、試料ともいう。)をそれぞれ示す。
【0017】
入力光側マスク13、試料台15およびパワーメータ17それぞれは、光源11から出力される光(この発明でいう所望の光)の光路に沿って、この順に配置する。また、発光検出側マスク19、集光用レンズ21、発光測定部23それぞれは、試料27から発せられる波長300nmを主波長とする発光を検出するに好適な位置に、配置する。ここでは、光源11から出力される光の光軸に対し垂直な方向に沿って発光検出側マスク19、集光用レンズ21、発光測定部23それぞれを配置した例を示してある。このように配置した場合、試料27表面で光源11からの光に起因して散乱光が生じてもそれが発光測定部23に影響することを防止出来る。
【0018】
ここで光源11は、波長210〜160nmの範囲の所望の波長の光を出力するものである。所望の波長の光をArFエキシマレーザとする場合なら、光源11はArFエキシマレーザ装置で構成する。なお、光源11から試料27に照射する光のパワーは、試料から波長300nmを主波長とする目的の発光が得られることを前提に、なるべく低くするのがよい。このパワーが高すぎると光源11からの光により試料27にダメージを与えることになるからである。光源としてArFエキシマレーザ装置を用いる場合でいえば、そのパワーは、エネルギー密度でいって、1〜100mJ/cm /pulse の範囲、より好ましくは1〜50mJ/cm /pulse の範囲から選ばれた値とし、該光パルスの繰り返し周波数は10〜300Hz、好ましくは10〜100Hzとするのがよい。
【0019】
また入力光側マスク13は、光源11から出力される光の試料27に対する励起面積を規定するものである。励起面積が広すぎると試料27内の透過率の場所ムラの影響が出るので、入力光側マスク13を設けてこれを抑制しているのである。この入力光側マスク13は、所定の大きさの開口部13aを有した板状のもので構成出来る。開口部13aは、例えば10mm角より小さな面積の開口部とするのが良い。
【0020】
試料台15は測定対象の合成石英ガラスを所定位置にセットするためのものである。この試料台15は、任意好適なもので構成出来る。
【0021】
パワーメータ17は光源11から出力される光の強度をモニターしかつそれを光源11にフィードバックして光源11の出力の安定化を図るためのものである。このパワーメータは公知のモニター手段で構成できる。
【0022】
発光検出側マスク19は、試料27表面での散乱光が発光測定部23により検出されるのを抑制するためのものである。この発光検出側マスク19は、所定の平面形状および大きさの開口部19aを有した板状のもので構成出来る。
【0023】
集光用レンズ21は試料27で発せられる波長300nmを主波長とする光を発光測定部23に効率良く導くためのものである。このレンズ21は、石英ガラス製レンズで構成する。
【0024】
発光測定部23は、試料27で発せられる波長300nmを主波長とする光の強度を測定するものである。この発光測定部23は、例えば、回折格子分光器あるいは干渉フィルタ分光器と、光検出器とにより構成出来る。
【0025】
内部吸収係数算出部25は、試料27からの波長300nmを主波長とする発光の強度から目的の内部吸収係数を推定するためのデータを内蔵していて、かつ、前記発光強度と前記データとから前記内部吸収係数を算出するものである。具体的には、波長300nmを主波長とする発光の強度と、内部吸収係数との関係を示す式あるいはテーブル等を有していて、試料27の内部吸収係数を自動的に算出するものとできる。例えばマイクロプロセッサを内蔵した演算回路等により、この内部吸収係数算出部25は構成できる。
【0026】
また試料27は、平行平板型の試料であって対向面が研磨されているものとするのがよい。しかも、側面の少なくとも一部も研磨されているものとするのがよい。平行平板の一方の面が光源11と対向し、かつ、他方の面がパワーメータ17と対向し、研磨した側面が発光検出側マスク19と対向するよう、試料27を試料台15上に置く。試料27の平行平板の各面および側面を研磨しているのは、光源11からの光が試料27表面で散乱したり吸収されることを抑制するため、および、300nmを主波長とする発光が試料27表面で散乱したり吸収されることを抑制するためである。
【0027】
【実施例】
次に、実施例によりこの出願の各発明をさらに詳細に説明する。まずこの実施例で用いた石英ガラスについて説明する。この実施例では、市販の合成石英ガラスと、自社で作製した合成石英ガラスを用いた。
【0028】
市販の合成石英ガラスとして、直接法で合成された合成石英ガラスを数社から、合計で4個購入した。購入した合成石英ガラスは、いずれも、遷移金属不純物が0.1ppm以下の高純度なものであり、かつOH基の含有量が600〜900ppmのものであった。いずれの合成石英ガラスも、Φ60mm、厚さ10mm+αの形状で購入した。これら合成石英ガラスそれぞれを、対向する2面の平行度が10秒以内、片面ごとの平坦度がニュートンリング3本以内、片面ごとの表面粗さがrms(自乗平均誤差)=10オングストローム以下になるように、かつ、最終的に厚さが10±0.1mmとなるように精密研磨をした。さらに、表面に研磨材が残留しないように、高純度SiO 粉による仕上げ研磨加工を施した。さらに上記2面の研磨面と垂直な側面にオリエンテーションフラットな面(後に発光取り出し面となる面)を作製してその面も研磨を施した。このようにして、市販の合成石英ガラスについての実験用試料を準備した。
【0029】
一方、自社の合成石英ガラスについての実験用試料は次のように準備した。先ず、合成石英ガラスを次のように合成した。石英ガラス製バーナにて酸素ガス及び水素ガスを混合し燃焼させる。原料としての高純度(純度99.99%以上で金属不純物Fe濃度が10ppb以下、Ni、Cr濃度が2ppb以下)の四塩化ケイ素を、キャリアガス(通常、酸素ガス)で希釈しながら、上記バーナの中心管から原料流量30g/分で噴出させる。この際、火炎中で加水分解により石英ガラス微粒子(スート)が発生する。このスートを1分間に7回転の速度で回転し、80mmの移動距離、90秒周期で揺動し、1時間当たり4mmの速度で引き下げを行っているΦ200の石英ガラスターゲット板上に堆積、溶融して、石英ガラスを合成した。なお、この合成の際の水素ガス流量が約500slmとなるようにし、酸素ガス流量と水素ガス流量との比率がO /H =0.4となるようにした。また、この合成では、合成炉の耐火物から積層点までの距離を最短で200mmとなるようにした。積層点とはバーナから噴出されるスートがインゴットヘッドに到達する場所のことである。また、合成炉の耐火物は石英ガラスインゴットヘッドの周りに縦600mm×横800mm×高さ800mmの内面形状になるように配置されたもので、純度99%のアルミナ(Al )製である。このようにして得られた石英ガラスインゴットの中心から、Φ60mm、厚さ10mmの石英ガラス片を切り出した。切り出した石英ガラス片を上述した市販の石英ガラスに対し行なったと同様の研磨処理等をして実験用試料の1つとした。
【0030】
市販および自社製の各試料でのArFエキシマレーザ(193nm)についての内部吸収係数を、ダブルビーム型分光光度計による既知の方法によりそれぞれ20回ずつ測定した。市販品の各試料の内部吸収係数は、それぞれ平均値でいって、0.01cm−1、0.02−1cm、0.03−1cm、0.04−1cmであった。一方、自社製の試料の内部吸収係数は、平均値でいって0.005−1cmであった。またいずれの試料の場合も、測定誤差は3σでいって0.15%あった(図3の各水準の横方向のばらつき参照)。この誤差は、分光光度計の透過率数値の揺らぎ、測定再現性が主な原因で生じるものであるので、各試料ともほぼ同じとなっているのである。各試料で測定誤差が同じということは、ダブルビーム型分光光度計による既知の方法では、内部吸収係数が小さい試料についての測定を行なう程、測定精度が顕著に悪化することを意味する。したがって、ArFエキシマレーザについての内部吸収係数が0.005cm−1以下の領域になると、ダブルビーム型分光光度計による既知の方法では内部吸収係数の測定が困難なことがわかる。
【0031】
次に、これら各試料にArFエキシマレーザをパルスエネルギー密度10mj/cm 、繰り返し周波数50Hzで照射し、そのときに試料から発せられる波長300nmを主波長とする光の強度を測定する。ただし、ここでは図1を用い説明した装置により波長300nmを主波長とする光の強度を測定した。しかも、入力光側マスク13として、7×7mm角の開口部13aを有した厚さが1mmアルミニウム板を用いた。また、発光検出側マスク19として、幅2mm、長さ10mmのスリット状の開口部19aを有したアルミニウム板を用いた。図2に、試料から発せられる波長300nmを主波長とする光のスペクトルの一例を示した。ただし、図2において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)である。
【0032】
次に、各試料についての、上記既知の方法で測定した内部吸収係数と、上記測定で得た波長300nmを主波長とする光の強度との関係を調べて見た。具体的には、横軸に上記既知の方法で測定した内部吸収係数をとり、縦軸に上記測定した波長300nmを主波長とする光の強度をとって、各試料の測定値をプロットしてみた。その結果を図3に示した。この図3から分かるように、各試料から得られる波長300nmを主波長とする光の強度と、波長193nm光の内部吸収係数との間には1対1の相関関係が認められる。この場合は、内部吸収係数=発光強度/100という相関関係が認められる。しかも、波長300nmを主波長とする発光は、内部透過率が正確に評価できなくなるような領域すなわち内部吸収量が0.005cm−1以下(内部透過率99.5%/cm以上)の領域であっても、S/N良く検出することが可能であることがわかる。したがって、図3に示した特性図を検量線として用いることにより、300nm発光強度から193nm内部吸収係数を求めることが可能なことが分かる。また、300nm発光強度を測定すれば、これと上記相関式とから、内部吸収係数が自動的に算出できることも分かる。
【0033】
【発明の効果】
上述した説明からも明らかなように、この発明の合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法によれば、波長210nm〜160nmの範囲の所望の光を測定対象の合成石英ガラスに照射しかつその際にこの合成石英ガラスから発せられる波長300nmを主波長とする発光の強度を測定し、この発光強度から所望の光についての内部吸収係数を求める。ここで、波長300nmを主波長とするこの発光は、内部吸収係数と相関があり、しかも、内部吸収係数が微弱すぎて従来の測定法では測定出来ないような試料からもS/N良く発生する。そのため、所望の波長の光についての内部吸収係数が小さい合成石英ガラスであってもその内部吸収係数を、0.001cm−1以下の高精度で測定できる。したがって、合成石英ガラスが当初から有している内部吸収係数という物性を、波長200nm以下の光についても従来に比べてより小さな値の範囲まで正確に評価できる。そのため、例えばArFエキシマレーザリソグラフィ装置、ArFエキシマレーザCVD装置、ArFエキシマレーザ加工装置などに組み込まれるレンズ部材や、波長200nm以下の光を扱う他の装置のレンズ部材や、さらには波長200nm以下の光を扱うファイバ、窓部材、ミラー、エタロン、プリズムなどに使用される合成石英ガラスの評価を、より良好に行なえる。
【0034】
また、この発明の合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置によれば、上記方法発明を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定装置の実施の形態の説明図である。
【図2】試料から得られる発光のスペクトルを示した図である。
【図3】内部吸収係数と300nm発光帯の強度との関係を示した図である。
【符号の説明】
11:光源
13:入力光側マスク
13a:開口部
15:試料台
17:パワーメータ
19:発光検出側マスク
19a:開口部
21:集光用レンズ
23:発光測定部
25:内部吸収係数算出部
27:測定対象の合成石英ガラス(試料)

Claims (8)

  1. 合成石英ガラスでの波長210nm〜160nmの範囲の所望の光についての内部吸収係数を測定するに当たり、
    前記合成石英ガラスに対し前記所望の光を照射したときに前記合成石英ガラスから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度から、前記内部吸収係数を推定すること
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法。
  2. 合成石英ガラスでの波長210nm〜160nmの範囲の所望の光についての内部吸収係数を測定するに当たり、
    既知の測定方法によって測定可能な程度に前記内部吸収係数が大きい複数のサンプルについての前記内部吸収係数を、前記既知の測定方法によって予め測定し、かつ、これらサンプルに対し前記所望の光を照射して該サンプルから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度を予め測定して、前記発光強度と既知の測定方法による前記内部吸収係数との関係を予め求めておき、
    測定対象の合成石英ガラスの前記内部吸収係数は、該測定対象の合成石英ガラスに対し前記所望の光を照射してそこから発せられる波長300nmを主波長とする光の強度と、前記関係とから、推定すること
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法。
  3. 請求項1または2に記載の合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法において、
    前記合成石英ガラスから前記波長300nmを主波長とする光の強度を測定する際は、前記合成該石英ガラス表面での散乱光の影響を抑制するために前記合成石英ガラスの発光測定領域を特定する開口部を有したマスクを介して、行なうこと
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法。
  4. 請求項1または2に記載の合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法において、
    波長210nm〜160nmの範囲の前記所望の光が、ArFエキシマレーザであること
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定方法。
  5. 合成石英ガラスでの波長210nm〜160nmの範囲の所望の光についての内部吸収係数を測定する装置において、
    前記合成石英ガラスに対し前記所望の光を照射するための光源と、
    前記所望の光が照射されたときに合成石英ガラスから発せられる主波長300nmの発光の強度を測定する発光測定部と、
    前記発光強度と前記内部吸収係数との関係を示すデータを予め内蔵していて、前記測定された発光強度と前記内蔵データとから前記内部吸収係数を算出する内部吸収係数算出部と
    を具えたことを特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置。
  6. 請求項5に記載の合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置において、
    前記データは、
    既知の測定方法によって測定可能な程度に前記内部吸収係数が大きい複数のサンプルについての前記内部吸収係数を、前記既知の測定方法によって予め測定し、かつ、該サンプルに対し前記所望の光を照射して該サンプルから放出される波長300nmを主波長とする発光の強度を予め測定することで予め求めた、前記発光強度と前記既知の測定方法による内部吸収係数との関係を示すデータであること
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置。
  7. 請求項5に記載の合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置において、
    前記試料台と前記発光測定部との間に、前記測定対象の合成該石英ガラス表面での散乱光の影響を抑制するために前記測定対象の合成該石英ガラスの発光測定領域を特定する開口部を有したマスクを具えたこと
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置。
  8. 請求項5に記載の合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置において、
    波長210nm〜160nmの範囲の前記所望の光がArFエキシマレーザであること
    を特徴とする合成石英ガラスの内部吸収係数測定装置。
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