JP3625406B2 - 双方向光通信器及び双方向光通信装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、双方向に光信号を送受信することのできる双方向通信器に関し、より詳しくはプラスチック光ファイバ等のマルチモード光ファイバを伝送媒体として、家庭内通信や電子機器間通信、LAN(Local Area Network)等に使用することのできる双方向光通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化社会の進展に伴い、光ファイバによるネットワーク技術が注目されている。特に近年のプラスチック光ファイバ(以下POF)の低損失化・広帯域化に伴い、家庭内通信や電子機器間通信への応用が進んでいる。従来、光ファイバを伝送媒体として信号光の送受信を行う光通信装置においては、二本の光ファイバを用いた全二重方式のものが主流であった。しかし、二本の光ファイバを用いた場合、光通信器の小型化が困難であることや、伝送距離が長くなるに伴い光ファイバのコストが高くなるという問題があった。このため、一本の光ファイバを用いて、全二重方式の光通信を行う、双方向光通信器が提案されている。
【0003】
このような光通信器では、送信・受信を同一の光ファイバで行うことから、送信光と受信光の混信を防止することが重要となる。受信光に送信光が混信する原因としては、▲1▼送信光が光ファイバに入射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、近端反射と表記)、▲2▼光ファイバを伝播した送信光が光ファイバより出射する時に光ファイバ端面で反射する場合(以下、遠端反射と表記)、▲3▼通信相手の双方向通信器からの反射する場合(以下、相手モジュール反射と表記)がある。
【0004】
従来より提案されている代表的な方式としては、特開平10−153720号公報に開示されているように、偏光分離素子を用いて送受信光を分離する方法がある。この例を図7を基に説明する。
【0005】
図7において、レーザダイオード104より発せられる送信光113は、S偏光状態でプリズム108の斜面部上の偏光反射膜110に入射される。この送信光113は、偏光反射膜110で、その大部分を反射されて、レンズ106により集光されて、光ファイバ102に結合する。一方、光ファイバ2から放射される受信光115は、レンズ8で集光され、偏光反射膜110に入射する。マルチモードの光ファイバ2から出射した受信光115は、略半分が偏光反射膜110で反射され、残りの半分が透過し、受光素子105に結合する。光ファイバ2で反射された送信光113はS偏光であるため、偏光反射膜110で略全てが反射され、受光素子105には結合せずに、近端反射による混信を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開平10−153720号公報に開示されている方式では、受信光の約半分が偏光反射膜110により反射されるため、約3dBの受信損失が生じてしまい、効率的な光の利用が行なえないという問題があった。また、近端反射の防止は可能であるが、遠端反射、および、相手モジュール反射は偏光がそろっていないため、受信光との分離が困難であるという問題があった。更にまた、偏光を利用していることから、発光素子として、安価な発光ダイオード(LED)を用いることができず、更に、高価な偏光分離膜が必要であるため、コストが高くなるという問題があった。
【0007】
ところで、光信号を分岐・結合する光ファイバカプラとして、アパーチャを使用することが、実開昭63−26810号公報において提案されている。この方式を図8を基に説明する。
【0008】
図8において、光ファイバ202aを伝搬してきた光は、ロッドレンズ206aによってコリメートされて平行光となり、一部は光分岐結合素子208の開口部209を通過し、ロッドレンズ206bにより集光されて、光ファイバ202bに結合する。また、光分岐結合素子208の開口部209以外の部分に照射された光は、反射されて、ロッドレンズ206cで集光され、光ファイバ202cに結合する。平行光の径と光分岐結合素子208の開口部209の径を変化させることにより、分岐効率を変化させることができる。
【0009】
このように、実開昭63−26810号公報の方式では、送受信の分離をアパーチャで行っている。すなわち光を平行光にし、アパーチャで不必要な光を遮光し分離している形態をとっている。
【0010】
この光ファイバカプラの、光ファイバ202b、202cの替わりに、それぞれ、送信素子、受信素子を配置することにより、送受信光の分岐が可能となり、双方向光通信器として用いることができる。
【0011】
しかしながら、上記のように双方向通信に適応した場合には、送信光と受信光との混信防止対策が考慮されていないため、半二重方式での通信しか行なうことができなかった。すなわち、光ファイバ202aのチルトやわずかな組立て誤差が生じるだけで、光ファイバ202aからの反射光は開口部209以外の光分岐結合素子208に戻り、受光素子と結合してしまう。また、ロッドレンズ206aの端面からの反射も混信の原因となる。更にまた、この構造では、遠端反射や相手モジュール反射を抑制することが困難であった。この明細書では、上記半二重方式を、双方向通信において、同時に双方からデータを送受信することができずに、ある時間だけ見ると、片方向からの送信しかできない通信方式として定義し、全二重方式を、双方向通信において、同時に双方からデータを送信したり、受信したりすることができる通信方式として定義するものとする。
【0012】
本発明は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、すなわち、一本の光ファイバにより全二重方式の双方向通信が可能であり、送信および受信共に光の損失が少なく、受信光への送信光の混信を防止することが可能であり、また、特にPOFのように大口径の光ファイバとも高効率で結合させることができ、安価で小型の双方向光通信器、および、双方向光通信装置を提供するものである。
【0013】
第1の発明の双方向光通信器は、一本の光ファイバにより送受信を行う双方向光通信器において、前記光ファイバに送信光を収束して入射させる送信手段と、前記光ファイバから出射される受信光を略全反射する反射面を有する受信領域と、該受信領域にて反射された受信光を受光する受光手段と、前記受信光が照射される領域内に配置され、前記送信手段からの送信光を略全透過する透過部を有する送信領域とを有し、前記送信手段を、前記送信光が前記光ファイバの入射端面より奥側で焦点を結ぶように収束すると共に、前記送信光が前記光ファイバの端面に入射するときに反射された光である近端反射光が前記送信領域を通過するように配置したことを特徴とする。
【0014】
第2の発明の双方向通信器は、一本の光ファイバにより送受信を行う双方向光通信器において、前記光ファイバに送信光を収束して入射させる送信手段と、前記光ファイバから出射される受信光を略全透過する透過領域を有する受信領域と、該受信領域にて透過された受信光を受光する受光手段と、前記受信光が照射される領域内に配置され、前記送信手段からの送信光を略全反射する反射面を有する送信領域とを有し、前記送信手段を、前記送信光が前記光ファイバの入射端面より奥側で焦点を結ぶように収束すると共に、前記送信光が前記光ファイバの端面に入射するときに反射された光である近端反射光が前記送信領域で反射するように配置したことを特徴とする。
【0015】
第3の発明の双方向通信器は、第1の発明または第2の発明に記載の双方向光通信器において、前記反射面は、曲面形状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
第4の発明の双方向通信器は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの双方向光通信器において、前記送信領域における前記送信光のビーム半径が、前記送信領域における前記近端反射光のビーム半径よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
第5の発明の双方向通信器は、第1の発明乃至第4の発明のいずれかの双方向光通信器において、前記透過領域は中空であることを特徴とする。
【0018】
第6の発明の双方向通信装置は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかに記載の双方向光通信器と、該双方向光通信器に対して光を送受信する光ファイバと、を備えたことを特徴とする。
第7の発明の双方向通信装置は、第6の発明の双方向光通信装置において、前記光ファイバ端面が、その光軸に対して傾斜しているとともに、該端面に対して前記送信先の光軸が垂直になるように配置されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(第1実施の形態)
本発明に係る第1実施の形態について、図1、図2に基づいて説明する。
【0020】
図1は、双方向光通信装置の構成を示す概略図である。双方向光通信装置3は、伝送するデータ信号に基づく、伝送に適した変調光を双方向に伝送するための光ファイバ2と、光ファイバ2の両端に光学的に結合するように、それぞれ接続された各双方向通信器1とを備えている。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施の形態における双方向通信器の構成を示す概略図である。双方向通信器1は、データ信号に基づく変調光を生成する発光素子(送信手段)4と、光ファイバ2からの変調光を受光してデータ信号を生成するための受光素子(受光手段)5と、発光素子4からの送信光をNA変換する送信レンズ(送信手段)6と、光ファイバ2からの受信光15を集光する受信レンズ7および中央部付近に光学的な開口部である送信領域9を形成した光分離素子(分離手段)8とを有している。
【0022】
光分離素子8は、石英ガラスやアクリル、PMMAあるいはポリカーボネート等の光透過性に優れたプラスチックで形成された基板11に、全反射面となる部分にアルミニウムや金等といった反射率の高い金属材料で反射面(受信領域)10を形成したものを用いる。光分離素子8は送信光13の光軸に対して45°程度傾斜させて配置されている。また、その中央付近に光透過が可能な開口部(反射面を形成していない領域)である送信領域9を設けている。なお、この送信領域9は、上記反射面と同一平面の平面的な開口を指している。
【0023】
このような構成の双方向光通信器1では、発光素子4により生成された送信光13は、発光素子4の放射角にしたがって放射状に発散する。その後、送信レンズ6で任意の開口数NAbに変換されて集光され、光分離素子8の送信領域9を通過し、光ファイバ2に結合する。
【0024】
一方、光ファイバ2を伝播してきた受信光15は光ファイバ2の開口数NAfにしたがって、放射状に発散して、光分離素子8の反射面10でほぼ全反射し、受光レンズ7で集光されて受光素子5に結合する。
【0025】
ここで、光軸に対し端面が垂直な光ファイバ2を用い、その光ファイバ2の端面を送信光13に対し垂直に配置させることで、光ファイバ2端面で反射した反射送信光14が送信領域9に戻るようになり、受光素子5に結合することがないため、近端反射による混信が防止でき、全二重双方向光通信に適応できる。
【0026】
なお、光分離素子8における送信領域9に反射面10が形成されていない場合でも、基板11に特別な加工等がなされていないと、反射送信光14が基板11により反射されて、受信光15に混信する。したがって、基板11は送信領域9に対応する領域において、反射送信光14を受光素子5には導かないように構成することが望ましい。例えば図2に示すように、送信領域9における基板11の表面が光ファイバの光軸に対して垂直になるように、基板11を加工しておくことが望ましい。
【0027】
また、上述のように基板11における送信領域9に対応する領域を、反射送信光14を反射して受光素子5に導かないように構成した場合においても、その反射送信光14が光ファイバ2に再び結合してしまえば、相手モジュール(双方向通信の相手の双方向光通信器)に対する反射光となり混信の原因となる。この相手モジュールへの混信は上述の受信光15への混信に比べると非常に弱いものであるが、それを防止するために、基板11における送信領域9に対応する領域は、反射送信光14を反射して光ファイバ2にも導かないように、表面が傾斜されたものとしておくことが望ましい。より好ましくは、基板11における送信領域9に対応する領域を中空の状態にしてくことが良い。
【0028】
また、送信領域9は、光ファイバ2のチルト等により、反射光14の光軸が送信光13の光軸とずれることがあるため、この位置での送信光13の光束断面より大きく形成しておくことが好ましい。
【0029】
更にまた、送信光13は光ファイバ2端面の中心部に入射させることが好ましい。一般に、POF等の大口径の光ファイバ2では、石英ファイバのように高価なフェルールを用いることなく、光ファイバアダプターに固定するため、その軸ずれ量は100〜200μmと大きくなる。従って、送信光13を光ファイバ2の中心部に入射させることにより、光ファイバ2の軸ずれが生じても、送信光量の変動の少ない双方向光通信器1を得ることができる。また、同様の理由から、光ファイバ2の軸ずれによる送信光量の変動を少なくするためには、光ファイバ2としては、コア径が200μm以上のものを用いることが好ましい。
【0030】
次に、光ファイバ2で反射された反射送信光14が送信領域9に戻るための条件について図3を基に説明する。
【0031】
図3に示すように、送信レンズ6で開口数NAbに変換された送信光13の焦点を、光ファイバ2の内部(光ファイバ2の端面の奥)に設定すれば、光ファイバ2で反射された反射送信光14は、送信領域9において、送信光13よりもビーム径が小さくなる。このとき、反射送信光14のすべてを、送信領域9を通過させて、反射面10で反射されることがないようにすることができ、受光素子4に結合することを防止できる。また、各素子の組み立て公差をより大きく取ることができる。
【0032】
より具体的に示せば、送信領域9での送信光13のビーム半径をRbとし、光ファイバー2と送信領域9との距離をLとした場合、L<Rb/NAbを満足するように、光ファイバ2、光分離素子8、送信レンズ6を構成することにより、近端反射(送信光13の光ファイバ2端面での反射)による混信を防止することが可能となる。更に、反射光14が送信領域9で焦点となる配置、すなわち、2L≒Rb/NAbとなるように構成することにより、より確実に近端反射を防止することが可能となる。また、各素子の組み立て公差をより大きく取ることができる。
【0033】
なお、ここでは送信光の半径Rbを用いて説明したが、発光素子4としてビーム形状が楕円形状の半導体レーザを用いる場合、図3及び上記説明においてはその長軸方向の半径をRbとする。
【0034】
次に、光分離素子8による、送信・受信分離による損失について図4を基に説明する。
【0035】
受信光15は光ファイバ2を出射後、光ファイバ2の開口数NAfに従って広がる。光ファイバ2の半径をRfとすると、光ファイバ2から距離L離れた光分離素子8の位置では、受信光15は、およそ直径が2×(Rf+L×NAf)に広がっている。そして、その内の光分離素子8の送信領域9に入射する分が反射されないため、受光素子5に結合せずに損失となる。
【0036】
したがって、距離Lを長く、送信領域9の面積を小さくすることにより損失を低減することができる。例えば、光ファイバ2の径を1mm、開口数NAf=0.3、光ファイバ2と光分離素子8の間隔Lを1.5mm、送信領域9をφ0.3mmとすると、損失は約0.1dBとなる。
【0037】
一方、送信光は送信領域9を通過するため、分離損失は生じない。従って、偏光反射膜を用いた方式での受信分離損失3dBに比べ大幅に分離損失を低減することが可能となる。
【0038】
以上のように、第1実施の形態で示した双方向通信器1でか、光ファイバ2の端面で反射した反射光14が受光素子5に結合しない構成となっているため、近端反射に起因する混信が少なく、一本の光ファイバ2により全二重での双方向通信が可能となる。また、光ファイバ2の軸ずれや、各素子の組み立て誤差が生じても、送信・受信効率の変動が少なくなる。更にまた、受信光15と反射光14とを小径の送信領域9により分離しているため、低損失での分離が可能となる。
【0039】
(第2実施の形態)
続いて、第2実施形態について図5に基づいて説明すれば以下の通りである。ただし、この第2実施の形態では、第1実施の形態にて説明した部分と同様の機能を有する部材については、第1実施の形態と同一の部材番号を付与して、その説明を省略する。
【0040】
光分離素子8はPMMAあるいはポリカーボネート等のプラスチックを材料とし、射出成形等により作製した基板11に、アルミニウムや金等といった反射率の高い金属材料で反射面(受信領域)10を形成したものを用いる。光分離素子8は反射面10側が曲面となっており、その一部に円筒状の中空が形成されている。なお、ここでは、上記反射面10を上記中空にまで延長した場合における中空上の曲面が送信領域9となる。
【0041】
上記中空の送信素子4側には、送信レンズ6であるボールレンズが取りつけられている。このように光分離素子8に形成した中空に送信レンズ6を取りつけることにより、送信光13の光軸の位置合わせを容易にすることができる。
【0042】
光ファイバ2は、その光軸に対して、端面が傾斜した形状となっている。送信光13はボールレンズである送信用レンズ6で開口数NAbに変換されて、光分離素子8の送信領域9を通過して、光ファイバ2の端面の中心部に垂直に入射されて、光ファイバ2に結合する。光分離素子8は、その反射面10側が曲面となった形状であり、光ファイバ2を伝播してきた受信光15を反射すると共に集光して、受光素子5に結合させる。また、光ファイバ2端面での送信光13の反射光14は光分離素子8の送信領域9を通過して、受光素子5には結合しない。
【0043】
光ファイバ2の端面は傾斜角10°(図中α)程度に加工されている。POFでは端面を傾斜させてホットプレートに押し付けて溶融させることにより、容易に傾斜加工が可能である。
【0044】
このように光ファイバ2の端面を傾斜させることにより、光ファイバ2の遠端面での反射光(すなわち、相手側からの受信光が光ファイバ2から出射する際に、端面で生じる反射光)を低減させることが可能となり、遠端反射が原因となる混信を低減できる。
【0045】
また、光ファイバ2の端面が傾斜していると、送信光13は光ファイバ2への入射時に屈折して、光ファイバ2の光軸から傾斜した角度で入射することになる。このため、光ファイバ2の端面の傾斜角αは、光ファイバ2の開口数NAfより小さくする必要がある。もちろん、上記主旨から遠端反射を抑制できる角度とする必要もある。NAf=0.3の光ファイバ2では傾斜角10°程度の場合、遠端反射量は光ファイバ2からの出射光量に対して0.2%以下(0°では4%)に低減され、また、光ファイバ2にNAb=0.1の送信光13を結合させることが可能である。
【0046】
このような双方向光通信器の構成では、光ファイバ2より出射された受信光15は反射面10で反射されるとともに、その曲率により集光されて受光素子5に結合される。上述のように光分離素子8を曲面とすることにより、図2で示した受信レンズ7が不要となり、低コストで、かつ、組み立ての容易な双方向光通信器1を得ることができる。この光分離素子8の曲面は、受光素子5と光ファイバ2端面の近傍に焦点を持つ回転楕円体とすることにより、光ファイバ2から出射した受信光15を効率良く受光素子7に結合させることが可能となる。
【0047】
また、光ファイバ2の端面が傾斜していることから、受信光15は光ファイバ2出射時に図示するように屈折する。このため、光分離素子8の反射面10に到達した受信光15の中心は送信領域9からずれた位置となる。一般に、受信光15の中心位置が、最も強度が強く、かつ、曲面形状の反射面10でによる集光効率もよいため、送信領域9の位置からずれることにより、より高効率で受光することが可能となる。
【0048】
受光素子5の受光面17は例えば、窒化シリコンを0.1μm程度形成することで受信光15の反射を防止し、受光効率を向上させている。また、受光面17以外の部分にも、例えば、黒色の着色レジスト等、使用する波長領域での光吸収率が高く、反射率の低い材料により、反射防止膜16が形成されている。受信光15は全てが受光面17に入射するわけではなく、その一部が受光面17以外に入射して、反射し、相手モジュール反射の原因となる。このため、受光素子5の受光面17以外の部分にも、反射防止膜16を形成することにより、より確実に相手モジュール反射を抑制することが可能となる。
【0049】
以上のように、第2実施の形態で示した双方向通信器1を用いることにより、光ファイバ2の端面が傾斜しているため、遠端反射による混信を防止することができるとともに、第1実施の形態と同様に、光分離素子8の送信領域9により、反射光14を分離できるため、近端反射による混信も防止することができる。更には、受光素子5の表面に反射防止膜16を形成しているため、相手モジュール反射による混信も防止することができる。
【0050】
(第3実施の形態)
続いて、第3実施の形態について図6に基づいて説明すれば以下の通りである。ただし、この第3実施の形態では、第1および第2実施の形態にて説明した部分と同様の機能を有する部材については、第1および第2実施の形態と同一の部材番号を付与して、その説明を省いた。
【0051】
発光素子4から放射された送信光13は送信レンズ6により開口数NAbに変換されて、光分離素子8の一部に形成された送信領域9に入射する。送信領域9は、ガラスあるいはプラスチックなどの光透過性のある基板11の一部に形成された反射面であり、送信光13を反射して光ファイバ2に結合させる。一方、光ファイバ2からの受信光15は光分離素子8の送信領域9以外の部分(受信領域)を透過して、受信レンズ7で集光されて、受光素子5に結合する。
【0052】
また、光ファイバ2で反射された反射送信光14は再び送信領域9に入射するように構成されており、受信光15と分離される。これにより、近端反射(送信光の光ファイバ2端面での反射)に起因する混信を防止できる。
【0053】
本実施の形態は、第1および第2実施の形態において、光分離素子8の送信領域9を透過させていた送信光13を反射させているものであり、基本的な概念は同様のものである。従って、図3,図4で示したと同様に、L<Rb/NAbもしくは、2L≒Rb/NAbとすることにより、近端反射に起因する混信をより確実に防止することができる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、光分離素子8は送信領域9以外の部分にも広がる光透過性のある基板11を用いたが、送信領域9以外の部分にまで広がっていなくてもよい。この場合、受信光は基板等のない空間を透過することになるが、このような構成も本発明に含まれる。すなわち、本発明における分離手段は、上記のような基板等のない空間を受光領域とするものであっても良い。
【0055】
以上のように、第1乃至第3実施の形態で示した双方向光通信器1を用いることにより、一本の光ファイバ2により全二重方式での双方向通信を行うことが可能となり、双方向光通信器1の小型化・低コスト化が可能であり、信頼性が高く、高性能な双方向光通信装置3を得ることができる。
【0056】
なお、以上説明した第1乃至第3の実施の形態において、光ファイバ2としては、例えばPOF等のマルチモード光ファイバを用いることが好ましい。POFはコアがPMMA(PolymethylMethaAcrylate)やポリカーボネート等の光透過性に優れたプラスチックからなり、クラッドは上記のコアより屈折率の低いプラスチックで構成されている。このような光ファイバ2では、石英光ファイバに比べそのコアの径を約200μmから約1mmと大きくすることが容易であることから、双方向光通信器1との結合調整が容易であり、安価な双方向光通信装置3を得ることができる。
【0057】
また、コアが石英ガラスよりなり、クラッドがポリマーで構成されたPCFを用いても良い。PCFはPOFに比べると価格が高いが、伝送損失が小さく、伝送帯域が広いという特徴がある。このため、PCFを伝送媒体とすることにより長距離での通信やより高速での通信を行うことができる双方向光通信装置3を得ることができる。
【0058】
発光素子4としては、半導体レーザや、発光ダイオード(LED)が用いられる。発光素子4の波長としては、使用する光ファイバ2の伝送損失が少ない波長で、かつ安価であることが好ましい。例えば、光ファイバ2としてPOFを用いる場合、DVD等で量産効果のある、波長650nmの半導体レーザ等を用いることができる。また、発光素子4の後部には、モニター用フォトダイオード12が配置されており、発光素子4の光量を一定に保つようにしている。
【0059】
受光素子5としては、受光した変調光の強弱を電気信号に変換し、発光素子4の波長域で感度の高いフォトダイオードを使用し、例えば、シリコンを材料とするPINフォトダイオードや、アバランシェフォトダイオード等を用いることができる。
【0060】
なお、以上の実施の形態において、送信光、受信光等のビームについては、それらの光軸に垂直な方向において、最大強度の1/e2以上の強度を有する領域までを指す。したがって、ビーム径は、ビームの中心から最大強度の1/e2となる位置までの距離を指している。
【0061】
また、以上の実施の形態で示した構成は、一例であり、もちろんその一部を変更した構成によっても同様の効果を得ることが可能である。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、光ファイバで反射した送信光を、送信光の光路上に配置された送信領域へと戻すことにより、受信光と分離しているため、近端反射による混信を防止することができると共に、送信光の分離損失がなく、受信光の分離損失も低減できるという効果を奏する。また、送信光を収束させて光ファイバに入射するようにしているため、反射送信光のビーム径が小さくなり、組み立て公差等が存在する場合にも、混信を防止することが容易になる。
【0063】
さらに、送信領域における送信光のビーム径を、反射送信光におけるビーム径よりも大きくすることで、より確実に近端反射による混信を防止できると共に、開口部を小さく形成しても反射光の混信を防止でき、受信効率も高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の双方向通信装置の構成を説明する概略図である。
【図2】第1実施の形態の双方向通信器の構成を説明する概略図である。
【図3】本発明の近端反射防止方法を説明する概略図である。
【図4】本発明の送信・受信分離効率を説明する概略図である。
【図5】第2実施の形態の双方向通信器の構成を説明する概略図である。
【図6】第3実施の形態の双方向通信器の構成を説明する概略図である。
【図7】従来の光通信器の一構成を示す説明図である。
【図8】従来の光ファイバカプラの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 双方向光通信器
2 光ファイバ
3 双方向光通信装置
4 送信素子
5 受信素子
6 送信レンズ
7 受光レンズ
8 光分離素子
9 送信領域
10 反射面
11 基板
12 モニターフォトダイオード
13 送信光
14 反射送信光
15 受信光
16 反射防止膜
17 受光面
Claims (7)
- 一本の光ファイバにより送受信を行う双方向光通信器において、前記光ファイバに送信光を収束して入射させる送信手段と、前記光ファイバから出射される受信光を略全反射する反射面を有する受信領域と、該受信領域にて反射された受信光を受光する受光手段と、前記受信光が照射される領域内に配置され、前記送信手段からの送信光を略全透過する透過部を有する送信領域とを有し、前記送信手段を、前記送信光が前記光ファイバの入射端面より奥側で焦点を結ぶように収束すると共に、前記送信光が前記光ファイバの端面に入射するときに反射された光である近端反射光が前記送信領域を通過するように配置したことを特徴とする双方向光通信器。
- 一本の光ファイバにより送受信を行う双方向光通信器において、前記光ファイバに送信光を収束して入射させる送信手段と、前記光ファイバから出射される受信光を略全透過する透過領域を有する受信領域と、該受信領域にて透過された受信光を受光する受光手段と、前記受信光が照射される領域内に配置され、前記送信手段からの送信光を略全反射する反射面を有する送信領域とを有し、前記送信手段を、前記送信光が前記光ファイバの入射端面より奥側で焦点を結ぶように収束すると共に、前記送信光が前記光ファイバの端面に入射するときに反射された光である近端反射光が前記送信領域で反射するように配置したことを特徴とする双方向光通信器。
- 請求項1または2に記載の双方向光通信器において、前記反射面は、曲面形状に形成されていることを特徴とする双方向光通信器。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の双方向光通信器において、前記送信領域における前記送信光のビーム半径が、前記送信領域における前記近端反射光のビーム半径よりも大きいことを特徴とする双方向光通信器。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の双方向光通信器において、前記透過領域は中空であることを特徴とする双方向光通信機。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の双方向光通信器と、該双方向光通信器に対して光を送受信する光ファイバと、を備えたことを特徴とする双方向光通信装置。
- 請求項6に記載の双方向光通信装置において、前記光ファイバ端面が、その光軸に対して傾斜しているとともに、該端面に対して前記送信先の光軸が垂直になるように配置されていることを特徴とする双方向光通信装置。
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